JP3338165B2 - 床擦れ防止用マット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、寝たきり病人や老人の
身体に生ずる蓐瘡いわゆる床擦れを防止するためのマッ
トに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の床擦れ防止用マットは、例えば実
開平4−114323号公報（Ａ61Ｇ7／05）の図５に見られる
ように、内部に空気室を有する複数の分割マットを並設
して連結することにより、一つの完成された床擦れ防止
用マットを構成したものが知られている。

【０００３】かかるものは、患者の失禁などによってマ
ットの一部が汚れたり、あるいはマットの一部が破れた
りした場合、マット全体を交換しなくとも、汚れたり破
れたりした分割マットのみを修理、交換すればよく、大
変好都合である。

【０００４】その反面、分割マット同志の連結部分には
空気室が存在しないので、この部分が低くなり、そのた
め患者の体がこの間に落ち込みやすく、良い寝心地が得
にくく、さらにこの連結部分が外れやすいという問題が
あった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、修理や交換
に便利なように、複数の分割マットを連結して一つの完
成された床擦れ防止用マットを構成するもので、分割マ
ット同志の連結部分での落ち込みをなくして、良い寝心
地が得られるようにするとともに、連結部分が外れにく
い床擦れ防止用マットを提供することを課題とする。

【０００６】また本発明は、分割マットを上下反転して
も反転しない場合と同じように、連結部分での落ち込み
がなく且つ外れにくいように分割マットを連結できる床
擦れ防止用マットを提供することを課題とする。

【０００７】さらに本発明は、床擦れを生じた部分とそ
うでない部分で空気室からの噴出空気を当てたり当てな
かったり選択できる床擦れ防止用マットを提供すること
を課題とする。

【０００８】さらに本発明は、連結マットの連結が容易
に且つ確実にできる床擦れ防止用マットを提供すること
を課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の手段は、
内部に空気室を形成した複数個の分割マットを並設し、
この各分割マットの空気室に空気を送るポンプ手段を備
えたもので、分割マットの一方の面の一端部側にあるフ
ランジと前記空気室の外表面に、夫々結合部材を設け、
この分割マットの他方の面の他端部側のフランジと空気
室の外表面に、夫々前記結合部材と結合する被結合部材
を設け、隣り合う一方のマットの前記フランジにある前
記結合部材と他方のマットの前記空気室の外表面にある
前記被結合部材を結合するとともに、一方のマットの前
記空気室の外表面にある前記結合部材と他方のマットの
前記フランジにある前記被結合部材を結合して複数の分
割マットを連結したものである。

【００１０】本発明の第２の手段は、前記結合部材を、
前記フランジに設けられた凹状結合部あるいは凸状結合
部と、前記空気室外表面に設けられた前記フランジとは
凹凸関係が反対の凹状あるいは凸条結合部とから構成
し、前記被結合部材を、前記フランジ及び前記空気室外
表面に夫々凹凸関係が前記結合部材と同じになるよう設
けられた凹条あるいは凸状結合部とから構成したもので
ある。

【００１１】本発明の第３の手段は、前記第２の手段に
おいて、前記分割マットは、その片方の面にのみ前記空
気室の空気を噴出する噴出孔を設けたものである。

【００１２】本発明の第４の手段は、前記凹状結合部と
凸状結合部を、夫々凹面ファスナ−と凸面ファスナーか
ら構成したしたものである。

【００１３】

【作用】本発明の第１の手段（請求項１の発明）によれ
ば、隣り合う一方の分割マットの一方の面のフランジに
ある結合部材と他方の分割マットの他方の面の空気室外
表面にある被結合部材を結合するとともに、隣り合う一
方の分割マットの一方の面の空気室外表面にある結合部
材と他方の分割マットの他方の面のフランジにある被結
合部材を結合するので、フランジ同志を結合する場合の
ように、連結部分でのマットの落ち込みが回避できる。
また隣り合う分割マットの空気室の外表面の一方の面と
他方の面の２ケ所で結合しているので、外れにくい。

【００１４】本発明の第２の手段（請求項２の発明）に
よれば、任意の分割マットを、各分割マットを並べた方
向と直行する方向を軸として上下反転すれば、隣り合う
分割マットとの連結部分は反転する前と同じ状態にな
り、従って上下反転しても反転前と同様に分割マットを
連結することができる。

【００１５】本発明の第３の手段（請求項３の発明）に
よれば、分割マットの噴出孔のある方向を上下どちらの
方向にでもすることができる。

【００１６】本発明の第４の手段（請求項４の発明）に
よれば、簡単な連結手段でもって、多少分割マットがず
れていても確実に連結することができる。また凹面、凸
面両ファスナーの結合方向が空気室の外表面で結合する
関係上、水平方向に対してずれており、そのため分割マ
ットが離れようとする方向（水平方向）の力に対して
は、抵抗力が強く外れにくい。

【００１７】

【実施例】本発明を図に基づき説明する。図１及び図２
は、床擦れ防止用マットの構成要素である分割マット１
を示し、分割マット１は、上下二枚の方形状軟質シート
２、２例えば表面を布地張りした塩化ビニ−ルシートや
ウレタン系ゴムシ−ト等で構成され、その周縁（ある一
辺側の両端近くにある２ケ所３、３を除く）が溶着され
てフランジ４が形成され、このフランジ４で囲まれる部
分を、両端が夫々前記２ケ所３、３の中央に位置した蛇
行した屈曲線５にて二つに仕切るようこの屈曲線に沿っ
て溶着せしめ、その結果、互いに向き合った二つの櫛歯
が交互に入り組んだようなＡ、Ｂ２系統の空気室６、７
が構成されている。そしてフランジ４が形成されていな
い前記２ケ所３、３には、夫々前記Ａ、Ｂ２系統の空気
室６、７と外部とを連通する接続パイプ８、９が設けら
れている。図で10は溶着部を示す。

【００１８】また分割マット１の片方の面（図２では上
側の面）には、各空気室６、７内の空気を微量噴出する
微細な噴出孔11が複数設けられている。この片方の面と
は反対側の面には、噴出孔は設けられていない。図では
噴出孔11は、分かり易いように大きく表している。

【００１９】かかる分割マット１は、図３の如く並設さ
れた上で後述する連結手段により連結される。図では３
個の分割マット１が連結されて完成された一つの床擦れ
防止用マットを形成している。

【００２０】３個の分割マット１の内、図３で最も左側
にある分割マット１の左寄りにある前記接続パイプ８、
９には、各空気室６、７へ夫々空気を送るポンプ手段12
の出力チューブ13、14が夫々接続され、同図で最も右側
にある分割マット１の右寄りにある接続パイプ８、９は
夫々栓体15、16で塞がれており、その他の接続パイプ
８、９は、隣接する分割マットのＡ系統の空気室６とＢ
系統の空気室７が、またＢ系統の空気室７とＡ系統の空
気室６が連通するように、接続チューブ17、18で接続さ
れている。この結果、図の如くＡ系統空気室６とＢ系統
空気室７が、分割マット１を並べる方向に、交互に並ん
だ状態になる。なお図３では、中央の分割マットの空気
室６、７は、両隣の分割マットと接続チュ−ブ17、18で
接続した関係上、分割マット単体を示した図１とは逆に
表示してある。

【００２１】前記ポンプ手段12は、図示しない切替弁に
よってＡ系統空気室６とＢ系統空気室７に交互に空気を
送ることができるようになっており、その結果、Ａ系統
空気室６とＢ系統空気室７は交互に膨張と収縮を繰り返
す。この間に噴出孔11より微量の空気が噴出される。

【００２２】次に各分割マット１を連結する連結手段に
ついて説明する。図１や図２に示すように、分割マット
１の上面（仮に噴出孔11のある側を上面とする）の一端
部側にあるフランジ４と空気室６の外表面には、夫々凹
状結合部となる凹面ファスナー19と凸状結合部となる凸
面ファスナー20が３個づつ設けられ、これらの凹面ファ
スナー19と凸面ファスナー20が結合部材となる。また分
割マット１の下面の他端部側のフランジ４と空気室６の
外表面にも、上記一端部側と凹凸関係が同じになるよう
夫々凹状結合部となる凹面ファスナー19と凸状結合部と
なる凸面ファスナー20が３個づつ設けられている。これ
ら他端部側の凹面ファスナー19と凸面ファスナー20が被
結合部材となる。

【００２３】ここで各図においては、両ファスナー19、
20の区別がつき易いように、凸面ファスナー20には斜線
を入れてある。

【００２４】このような各分割マット１の連結は、図４
のように行なう。即ち隣接する一方の分割マット１の上
面フランジ４にある結合部材たる凹面ファスナー19と他
方の分割マット１の下面の空気室６の外表面にある被結
合部材たる凸面ファスナー20を結合するとともに、一方
の分割マット１の上面の空気室７の外表面にある結合部
材たる凸面ファスナー20と他方の分割マットの下面のフ
ランジにある被結合部材たる凹面ファスナー19とを結合
させる。

【００２５】このようにすれば、双方の分割マットのフ
ランジ４が相手方の分割マットの空気室外表面に結合さ
れるので、図７のように両マット１、１のフランジ４、
４同志を結合する時のように、結合部分即ち連結部分で
の床擦れ防止用マットの落ち込みがない。従って身体が
連結部分で沈むことなく、良い寝心地が得られる。図７
では、フランジの上下両面に凹面ファスナー19と凸面フ
ァスナー20を設けたものである。これは分割マットを上
下反転させた場合にでも結合できるようにするためであ
る。

【００２６】また図４のようにすれば、隣り合う分割マ
ット双方の空気室外表面、即ち２ケ所で結合しているの
で、図７のようにフランジ同志を結合するものに比べ、
結合力が増し、外れにくい。特に凹面ファスナー19や凸
面ファスナー20のような結合部材や被結合部材では、図
４の矢印Ｃで示す反結合方向の力に対しては外れやすい
が、図のような結合の場合、マット１、１が外れる方向
（矢印Ｄ方向）は上記反結合方向に対し斜めにずれてい
るので、この点からも外れにくくなる。

【００２７】図５は、凹状結合部と凸状結合部の他の実
施例で、凹面ファスナー19や凸面ファスナー20の代わり
に、凹型ホック21と凸型ホック22を用いたもので、この
場合も同様反結合方向（矢印Ｃ方向）の力に対しては外
れやすいが、マット１、１が外れる方向（矢印Ｄ方向）
に対しては斜めにずれているので外れにくくなる。両者
を比較した場合、凹面ファスナー19や凸面ファスナー20
の方が、分割マットが多少位置づれしていても結合でき
好都合である。

【００２８】次に任意の分割マット１の上下の方向を反
転させる場合を説明する。この場合、反転する必要のあ
る分割マットの接続チューブ17、18を接続パイプ８、９
から外し（両端の分割マットを反転させる場合は、さら
に出力チューブ13、14や栓体15、16も外す）、分割マッ
トを並設する方向と直行する方向を軸として、この分割
マットを反転させる。そうすれば隣接する分割マットの
凹面、凸面両ファスナー19、20の状態が反転前と同じに
なり、やはり図４と同様にして結合することができる。
その後接続チューブ17、18や出力チューブ13、14や栓体
15、16を再び接続パイプ８、９に接続する。

【００２９】図６は、中央の分割マット１を図３の状態
から上下反転した場合を模型的に示すものであり、同図
で矢印は噴出孔11からの噴出空気の方向を示す。

【００３０】このように分割マットを上下反転しても同
様に連結できるということは、例えば汚れが激しいマッ
トや傷みの激しいマットがある場合、修理や交換する迄
の応急措置として上下反転し、汚れたり傷んだりした部
分を下にして使用することができる。

【００３１】また以上の実施例のように、空気の噴出孔
11が分割マット１の片方の面にのみある場合、噴出孔11
を上にでも下にでも自由に選択でき、従って床擦れが生
じて噴出空気を当てる必要のある部分に相当する分割マ
ットは、噴出孔11を上に向け、そうでない部分に相当す
る分割マットは患者の要望により噴出孔11を下に向ける
ことができ、特に患者が熱があって噴出空気を当てない
ほうがよい場合や、冬場の寒い場合には有効である。

【００３２】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、隣り合う双方
の分割マットのフランジが相手方の分割マットの空気室
外表面に結合されるので、フランジ同志を結合する場合
のように、連結部分でのマットの落ち込みを回避でき、
この結果、連結部分での身体の落ち込みがなく良い寝心
地が得られる。また隣り合う分割マットの双方の空気室
外表面の２ケ所で結合しているので、結合力が増し外れ
にくい。

【００３３】その上に、請求項２の発明によれば、任意
の分割マットを、各分割マットを並べた方向と直行する
方向を軸として上下反転しても、反転しない時と同様
に、分割マット同志を結合でき、従って、例えば汚れが
激しいマットや傷みの激しいマットがある場合、修理や
交換する迄の応急措置として上下反転し、汚れたり傷ん
だりした部分を下にして使用することができる。

【００３４】さらに請求項３の発明によれば、空気室か
らの空気の噴出を、床擦れが生じて空気を当てる必要の
ある部分にのみ当て、そうでない部分には患者の要望に
応じて当たらないようにすることができ、使用者にとっ
て頗好都合なものである。

【００３５】さらに請求項４の発明によれば、簡単で安
価な連結手段でもって、多少の分割マットの位置ずれが
あっても確実に分割マットを連結することができると共
に、結合している分割マット同志に水平方向の互いに離
れようとする力が加わっても、この方向に対しては抵抗
力が強く、外れにくくできるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の床擦れ防止用マットを構成する分割マ
ットの平面図である。

【図２】同分割マットの図１のＡ−Ａ線に基づく断面図
である。

【図３】同分割マットを連結して床擦れ防止用マットを
完成させた状態の平面図である。

【図４】同分割マットの連結状態を示し、図３のＢ−Ｂ
線に基づく断面図である。

【図５】同分割マットを他の方法で連結した状態を示す
縦断面図である。

【図６】本発明の分割マットの一つを上下反転させた状
態を模型的に示す図である。

【図７】分割マットの一般的な連結状態を示す縦断面図
である。

【符号の説明】

６ 空気室 ７ 空気室 １ 分割マット 12 ポンプ手段 ４ フランジ 19 凹面ファスナー（凹状結合部）（結合部材、被結
合部材） 20 凸面ファスナー（凸状結合部）（結合部材、被結
合部材） 21 凹型ホック（凹状結合部）（結合部材、被結合部
材） 22 凸型ホック（凸状結合部）（結合部材、被結合部
材） 11 噴出孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61G 7/05 A47C 27/10

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に空気室を形成した複数個の分割マ
   ットを並設し、この各分割マットの空気室に空気を送る
   ポンプ手段を備えたものにおいて、分割マットの一方の
   面の一端部側にあるフランジと前記空気室の外表面に、
   夫々結合部材を設け、この分割マットの他方の面の他端
   部側のフランジと空気室の外表面に、夫々前記結合部材
   と結合する被結合部材を設け、隣り合う一方のマットの
   前記フランジにある前記結合部材と他方のマットの前記
   空気室の外表面にある前記被結合部材を結合するととも
   に、一方のマットの前記空気室の外表面にある前記結合
   部材と他方のマットの前記フランジにある前記被結合部
   材を結合して複数の分割マットを連結した床擦れ防止用
   マット。
2. 【請求項２】 前記結合部材は、前記フランジに設けら
   れた凹状結合部あるいは凸状結合部と、前記空気室外表
   面に設けられた前記フランジとは凹凸関係が反対の凹状
   あるいは凸条結合部とからなり、前記被結合部材は、前
   記フランジ及び前記空気室外表面に夫々凹凸関係が前記
   結合部材と同じになるよう設けられた凹条あるいは凸状
   結合部とからなる請求項１記載の床擦れ防止用マット。
3. 【請求項３】 前記分割マットは、その片方の面にのみ
   前記空気室の空気を噴出する噴出孔を設けた請求項２記
   載の床擦れ防止用マット。
4. 【請求項４】 前記凹状結合部と凸状結合部は、夫々凹
   面ファスナ−と凸面ファスナーから構成した請求項２又
   は請求項３記載の床擦れ防止用マット。