JP3337013B2 - 大規模集積回路の非接触計測装置 - Google Patents

大規模集積回路の非接触計測装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大規模集積回路
(以下、LSIという)の電源配線に生じた電位変動を
非接触で試験する装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、LSI内部の電源配線には、電
源電流の変化とともに電位変動が生じており、この電位
変動を観測する装置が種々知られている。しかし、LS
Iがモールド樹脂、セラミック、金属製のパッケージに
封入されているため、そのままでは試験装置によって内
部の電位変動を計測することができない。そこで、予め
何らかの前準備を必要とする。
【0003】図17は、一従来例による電位変動の観測
装置を説明する図である。この試験装置100は、金属
製などの接触式プローブ171を介して電位変動を観測
する装置である。この装置100によれば、予めLSI
101の封止構造部分から、その一部または全部を除去
して半導体ペレット111を露出させる。これによっ
て、半導体ペレット111上に形成された図示しない電
源配線部分に、電圧計103の接触式プローブ171を
直接当てて電位変動を計測することができる。
【0004】図18は、別の一従来例による電位変動の
観測装置を説明する図である。この別の観測装置200
は、電気光学効果電圧計などの光学的な非接触プローブ
272を用いた装置である。これによれば、前記観測装
置100とは異なって、接触式プローブ171に伴う寄
生容量などの弊害を排除できる。しかし、半導体ペレッ
ト111上の電源配線に光線Lを照射する必要があるた
め、やはりLSI101の封止構造を部分的であっても
除去する工程が必須であった。
【0005】なお、このような封止構造の除去技術とし
ては、既に確立した手法がいくつか存在する。例えば、
モールド樹脂によって封止されていれば、発煙硝酸など
により封止部分を溶解させる。セラミック封止であれば
封止部分を切削し、また、金属なら同じく切削や剥離な
どさせる技術があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例によるLSIの試験装置には、次に述べるような問
題点があった。すなわち、LSIの封止構造を一部でも
除去してしまうと、内部の半導体ペレットが有する物理
的な特性を変化させたり、ときには劣化させてしまう可
能性がきわめて高かった。しかも、この作業工程中に半
導体ペレット自体を損傷する危険もある。
【0007】さらに、封止構造の除去そのものによって
は特性が変化しなくとも、測定中に半導体ペレットが光
の照射を受けると、やはり大幅な物理的な特性変化を引
き起こしてしまう。このため、試験対象となるLSIを
暗室内に設置し、それから所要の測定をする必要があ
り、いずれにしても、このような前準備は甚だ煩わしい
作業であった。
【0008】そこで、本発明の目的は、LSIの封止構
造を除去しなくても、その内部の電源配線に生じた電位
変動を非接触で測定できる簡便なLSIの非接触計測装
置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による第1のLS
Iの非接触計測装置は、大規模集積回路内部の電源配線
に生じた電位変動を、大規模集積回路上方から非接触で
計測する非接触計測装置であって、電源配線から放射さ
れる電磁波を受信するため、半導体ペレット近傍に配置
したアンテナと、このアンテナに誘起された誘導起電力
を経時的に測定する電圧計と、この電圧計で測定した誘
導起電力に換算係数を乗算し、大規模集積回路の電位変
動を計算する計算部とを有した構成としてある。
【0010】半導体ペレットの電源配線には、一定のイ
ンダクタンス成分が寄生している。このインダクタンス
成分によって、LSIの電源電流の変化、すなわち電源
電流の微分値と近似的に比例した電位変動が生じ、これ
に伴い周辺のごく近傍に向けて電磁波が放射される。さ
らに、この放射電磁波によって、その電界強度Eに比例
した誘導起電力がアンテナに生じる。
【0011】このためアンテナの誘導起電力が、LSI
内部の電源配線における電位変動と近似的な比例関係に
あると考えられる。従って、適切な換算係数を誘導起電
力に乗算すれば、元の電位変動を測定することができ
る。
【0012】本発明の請求項2によるLSIの非接触計
測装置は、計算機の換算係数を、誘導起電力に対する比
例定数としてある。これによれば、誘導起電力に比例し
た電位変動が求まる。
【0013】本発明の請求項3によるLSIの非接触計
測装置は、アンテナを、平面状に形成した表面を半導体
ペレットに向けて電源配線面と平行に併置し、アンテナ
の裏面に金属板を重ね合わせてアンテナ部分と電気的に
絶縁させ、一定の電位に保った構成としてある。これに
よれば、アンテナの有効開口面積が、電源配線に沿った
直線偏波に対向する。
【0014】本発明による第2のLSIの非接触計測装
置は、大規模集積回路内部の電源配線に生じた電位変動
を、半導体ペレット上方から非接触で計測する非接触計
測装置であって、電源配線から放射される電磁波を受信
するため、平面状に形成した正面を半導体ペレットに向
けて大規模集積回路のパッケージに付設したアンテナ
と、このアンテナに生じた誘導起電力が外部に導き出さ
れる接続端子を併設するとともに、アンテナの裏面を被
覆しながらアンテナ部分と電気的に絶縁させて一定の電
位に保った金属キャップと、アンテナに誘起された誘導
起電力を経時的に測定する電圧計と、この電圧計で誘導
起電力を測定した結果に換算係数を乗算し、大規模集積
回路の電位変動を計算する計算部とを有した構成として
ある。
【0015】平面状のアンテナが、半導体ペレットに向
けられてパッケージに付設されるため、電源配線の電位
変動に伴う放射電磁波が、アンテナに効率よく誘導起電
力を生じさせる。しかも、アンテナの裏面が、一定電位
に絶縁された金属キャップに覆われ、さらに、金属キャ
ップにアンテナの接続端子が併設してある。このため、
LSI外部からの浮遊電磁波が遮蔽されながら、アンテ
ナの誘導起電力が外部に導き出されて計測される。
【0016】本発明の請求項5によるLSIの非接触計
測装置は、計算部の換算係数が、大規模集積回路の電源
配線における電流変化を、大規模集積回路の電源配線に
寄生するインダクタンス成分に乗算し、アンテナに生じ
た誘導起電力で割った比となるようにしてある。これに
よれば、誘導性インピーダンスに起因した電位変動が、
誘導起電力に比例した値で求まる。
【0017】本発明の請求項6によるLSIの非接触計
測装置は、計算部を、大規模集積回路のパッケージ構造
と、アンテナの種類および配置条件と、電圧計の測定結
果の換算係数とからなる組合せを複数組記憶し、これら
の組合せから、計算時の条件に基づいて一つの換算係数
を決定する構成としてある。これによれば、LSIから
の放射電磁波の伝搬特性にもとづいて、対応した換算係
数が選択的に決定される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態に
ついて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明
によるLSIの非接触計測装置の第1の実施形態を示す
ブロック図である。この第1の実施形態では、LSI1
0からの放射電磁波Wを受信するためのアンテナ20
と、受信した放射電磁波Wによる誘導起電力vAを経時
的に(時間軸に沿って)測定する電圧計30と、測定結
果である時系列データPをLSI10内部に生じた電位
変動vLに換算する計算部40と、換算した電位変動v
Lの時系列パターンを計測者に表示する表示部50とを
有したLSIの非接触計測装置1が構成される。
【0019】アンテナ20は、測定対象であるLSI1
0の近傍か、またはLSI10の絶縁部分に接触させて
配置して、LSI10からの放射電磁波Wを受信する。
この非接触計測装置1によれば、アンテナ20で放射電
磁波Wを受信すると、その電界強度Eに応じた誘導起電
力vAが生じ、この誘導起電力vAが電圧計30により
時間軸に沿った時系列データPに編成される。そして、
計算部40によって時系列データPが処理され、LSI
10内部の電源配線に生じた実際の電位変動vLに換算
される。このような電圧計30および計算部40として
は、当業者にとってよく知られた公知の計器を用いれば
よい。
【0020】図2は、図1に示すLSI内部の要部透視
図である。一般に、LSI10内部には、集積回路を印
刷配線した半導体ペレット11と、外部の電源装置と接
続するためのリードフレーム13,13・・・とが実装
されている。半導体ペレット11上の接続配線用パッド
19,19・・・からは、ボンディングワイヤ12によ
って各リードフレーム13の一端部に配線がしてある。
通常、このような実装構造を採ると、ボンディングワイ
ヤ12やリードフレーム13からなる電源配線18が、
集積回路に比べてかなり長い配線長を有する。このため
電源配線18には、無視できない程度の寄生インダクタ
ンス成分14.14が形成される。
【0021】図3は、図2に示す寄生インダクタンス成
分によって、電源配線に電位変動が生じる過程について
説明する図である。図3に示すLSI10の電源用の端
子部17に、外部の電源装置90から一定の電源電圧V
ddが印加されると、集積回路の作動に伴って電源電流
iddが微小時間内に電流変化Δiddを生じる。この
ため、前述した寄生インダクタンス成分14に起因して
電源配線18の両端に過渡的な電位差が生じ、これが電
位変動vLとして測定される。なお、91は電源電圧V
ddの安定化回路であり、92は各信号線のためのノイ
ズ防止用のバイパスコンデンサである。
【0022】図4は、図3に示す電源電流と電位変動の
関係のタイムチャートである。クロック信号CLKは、
外部からクロック信号用の端子部17に供給され、集積
回路各部を作動させるための信号である。このクロック
信号CLKに同期して各部の処理状態が遷移するため、
一般に、クロック信号CLKの立ち上がりおよび立ち下
がりタイミングで、電源電流iddの電流変化Δidd
が大きな値を示す。
【0023】このとき、寄生インダクタンス成分14の
両端に、電流変化Δiddに伴う電位差(電位変動)v
Lが生じる。これら寄生インダクタンス成分14、電流
変化Δidd電位差(電位変動)vLの関係は、下記の
式1で表すことができる。 vL=Li×(Δidd/Δt) ・・・ (式1) ここで、Liは、寄生インダクタンス成分14の値であ
り、ボンディングワイヤ12やリードフレーム13など
の材質、形状により一義的に決まる定数である。Δtは
微小時間を表している。
【0024】また、電源電圧Vddは、寄生インダクタ
ンス成分14を介して半導体ペレット11に印加され
る。このため、半導体ペレット11上の集積回路へは、
前述した電位差(電位変動)vLを電源電圧Vddから
差し引いた値(Vdd−vL)が、供給電圧Vdd0と
して加えられる。つまり、電源電圧Vddが確実に安定
化されて常に一定の値を保っていれば、供給電圧Vdd
0の電位変動vLは、電源電圧Vddに対して負の値
(−vL)となる。
【0025】同時に、電源配線18は、一種の送信アン
テナとして機能する。このため、電源電流iddの電流
変化Δiddに伴って、電源配線18が放射電磁波Wを
誘起し、これを周囲に向けて放射する。この放射電磁波
Wの放射強度Iと電流変動Δiddの関係は、下記の式
2で表すことができる。 I=a×(Δidd/Δt) ・・・ (式2) ここで、aは放射電磁波Wの伝搬係数であり、電源配線
18の印刷レイアウト、放射電磁波Wの伝搬距離および
方向、空間の媒質などによって一義的に決まる定数であ
る。
【0026】そこで、本装置1のアンテナ20(図1参
照)を適切な空間位置および受信方向に向けて設置して
おく。するとアンテナ20に、放射電磁波Wの放射強度
Iに比例する誘導起電力vAが生じる。この誘導起電力
vAは、アンテナ20の構造や形状や寸法、LSI10
およびアンテナ20の相対的な位置関係が一定であれ
ば、下記の式3で表すことができる。 vA=b×I ・・・ (式3) ここで、bはアンテナ20およびLSI10の前記各条
件により一義的に決まる定数である。
【0027】従って、上記式2と式3から、アンテナ2
0に誘起される誘導起電力vAが求まり、前述した電源
電流iddの電流変動Δiddに対して、下記の式4の
関係を有する。 vA=b×a×(Δidd/Δt) ・・・ (式4) この式4に、前記式1を変形して(Δidd/Δt)に
代入すると、下記の式5が得られる。 vL=−{Li/(b×a)}×vA ・・・ (式5)
【0028】この式5によれば、Li/(b×a)が一
定の値になるため、寄生インダクタンス成分14による
電位差(電位変動)vLは、誘導起電力vAと比例関係
にある。そして、誘導起電力vAは、アンテナ20位置
での放射電磁波Wの電界強度Eに対応する。このため、
この誘導起電力vAから、前述した電位差(電位変動)
vLを算出し、集積回路への供給電圧Vdd0の電位変
動vLが−vLとして逆算できる。
【0029】このときの演算は、前述した計算部40
(図1参照)によって容易に行うことができる。また、
電源装置90の電源電圧Vddが一定であることから、
集積回路への供給電圧Vdd0を、下記の式6で求める
こともできる。 Vdd0=Vdd−{Li/(b×a)}×vA ・・・ (式6)
【0030】以上の式5または式6において、各種の定
数は、数値解析によって理論的に求めることができる。
すなわち、半導体ペレット14上の集積回路の配線レイ
アウト情報、ボンディングワイヤ12およびリードフレ
ーム13などのLSIパッケージ情報、アンテナ20の
構造、形状、寸法およびLSIからの受信距離や方向な
どのアンテナ情報に基づくものである。
【0031】この他、誘導起電力vAの校正曲線を、前
述した電位差(電位変動)vLに対する時系列的な比例
関数として作成することも可能である。この校正曲線を
求めるには、寄生インダクタンス成分14がLSI10
のパッケージに固有の値であることから、その値Liを
予めLCRメータなどを用いて測定しておく。次に、集
積回路を作動状態にし、電源電流iddの電流変化Δi
ddを実測する。そして、このときの寄生インダクタン
ス成分14両端の電位差(電位変動)vLを前記式1か
ら求め、その演算結果とアンテナ20の誘導起電力vA
との比を算出する。
【0032】図5は、図1に示す計算部の校正曲線を作
成するための回路図である。図5に示す抵抗器R0は、
電源電圧Vddに対して直列に接続され、寄生インダク
タンス成分14に比べて微小な値のものである。前述し
た電流変化Δiddは、この微小な抵抗器R0両端に生
じる電位差から直接に求めることができる。この他に
も、電源配線18周辺に生じる電界または磁界の強度を
測定し、この測定結果を適切に校正してから、電源電流
iddの電流変化Δiddを間接に求めるなど、その他
の原理を利用することも可能である。
【0033】図6は、図1に示す第1の実施形態の変形
例を説明する図である。この変形例では、アンテナ20
の構造を改良した他は、その基本的構成が第1の実施形
態と同様である。図6に示すアンテナ20は、全体を平
面状に形成し、一方の面を正面としてLSI20に向
け、他方の面を裏面として金属板21に貼り付けてあ
る。そしてアンテナ20の正面を、LSI10に接触さ
せ、または接近させて電位変動vLを測定する。
【0034】図7、図8は図6に示すアンテナの構造を
電圧計の方向(II−II’)から視た断面図である。図7
は、アンテナ20と金属板21の間を、電気的に絶縁す
るとともに、別の電源装置99によって金属板21を一
定の電位に保った構造の一例を示す。図8は、この絶縁
を確実にするため、アンテナ20と金属板21の間に絶
縁板22を介在させた構造のものを示す。
【0035】この変形例のアンテナ20によれば、アン
テナ20裏面に付加した金属板21が、静電遮蔽体とし
ての効果を奏する。通常は、試験対象のLSI10以外
の放射源からも、不要な電磁波がアンテナ20に到来す
る。しかし、この金属板21によって不要な電磁波に対
する受信感度を低減できる。その結果、LSI10から
の放射電磁波Wだけを選択的に受信でき、これにより正
確な電位変動vLの測定が可能になる。
【0036】次に、本発明による第2の実施形態につい
て説明する。図9は、本発明の第2の実施形態を示すブ
ロック図である。この第2の実施形態は、第1の実施形
態におけるLSI10のパッケージの一部を、アンテナ
20を有する金属キャップ27で構成したものである他
は、第1の実施形態と同様である。
【0037】図10は、図9に示すLSIの構造を矢視
線(III−III’)の方向から視た断面図である。図10
に示す金属キャップ27の構造は、LSI10と対向す
る一面にアンテナ20を有し、その反対側の他面にアン
テナ20の両端部を引き出したものである。これらアン
テナ20の両端部は接続端子28とされ、前述した電圧
計30に配線して誘導起電力vAを測定する。
【0038】図11は、図10に示すLSIの構造を矢
視線(IV−IV’)の方向から視た平面図である。この金
属キャップ27によれば、前述した他からの不要な電磁
波が遮蔽できるため、LSIの放射電磁波Wに対してア
ンテナ20の指向性が高まる。しかも、金属キャップ2
7をLSI10のパッケージに支持するため、半導体ペ
レット11とアンテナ20との相対位置および対向方向
を常に一定に保ち、誘導起電力vAの測定変動を低く抑
える効果もある。
【0039】
【実施例】図12は、図1に示す第1の実施形態にもと
づく第1実施例の構成図である。この第1実施例は、静
電遮蔽機能を有するセミリジット構造の円形ループアン
テナ220と、電圧計としての差動型のオシロスコープ
230と、計算部および表示部としてのパーソナルコン
ピュータ240とから構成した非接触計測装置200で
ある。
【0040】ロジックLSI210は、樹脂封止された
QFP型で動作周波数が10MHzのものであり、実装
ボード211に搭載して電源装置212と接続される。
ループアンテナ220は、そのループの直径が1cmで
ある。試験対象であるロジックLSI210上方に垂直
に立てて配置し、その下端部をロジックLSI210の
樹脂封止したパッケージに接触させておく。
【0041】差動型のオシロスコープ230は、ロジッ
クLSI210の動作周波数よりも十分に高い周波数帯
域まで測定させるため、400MHz帯域のものを使用
する。このオシロスコープ230によれば、放射電磁波
Wの電界強度Eに基づくアンテナ220の誘導起電力v
Aを導入して値を測定する。オシロスコープ230とパ
ーソナルコンピュータ240とは、データ線250で接
続さている。
【0042】パーソナルコンピュータ240は、電送さ
れた誘導起電力vAの測定結果に予め求めておいた換算
係数を乗算し、ロジックLSI210内部における供給
電圧Vdd0の電位変動を求める。そして、この電位変
動をスクリーン241に表示するとともに、所定のデー
タ形式に編成しながら記憶部242の所定領域に保存す
る。
【0043】図13は、同じく第1の実施形態による第
2実施例の構成図である。この第2実施例は、ループア
ンテナ320のループ面を横倒しにし、その平面状の正
面をロジックLSI210の上面と平行に配置してあ
る。また、データ線250を削除し、オシロスコープ
を、フロッピー(登録商標)ディスク部232を併有す
る別の差動型のオシロスコープ331に置き換えた他
は、第1実施例と同様である。
【0044】この第2実施例によれば、オシロスコープ
331による測定データを、フロッピーディスク部33
2のフロッピーディスクに記憶させる。そして、このフ
ロッピーディスクを、パーソナルコンピュータ241の
記憶部242に移し替え、この記憶部242を介してパ
ーソナルコンピュータ241にデータ入力する。
【0045】図14は、図13に示すループアンテナを
矢視線(V−V’)の方向から視た正面図である。ルー
プアンテナ320には、ロジックLSI210の反対側
の裏面に金属板321を重ね合わせてある。この金属板
321は、ループアンテナ320と電気的に絶縁させる
とともに接地電位GNDに保ってある。このため、ロジ
ックLSI210以外の放射源からの不要な電磁波を遮
蔽させ、放射電磁波Wに高い指向性を有する。
【0046】図15は、図9に示す第2の実施形態によ
る第3実施例の構成図である。この第3実施例は、第1
実施例におけるロジックLSIに代わって、パッケージ
の一部が金属キャップ427で形成された別のロジック
LSI410に置き換えてある。また、ループアンテナ
は、金属キャップ427に内蔵させた別のループアンテ
ナ420に置き換えるとともに、オシロスコープも、接
続プローブ431を有する別の差動型のオシロスコープ
430に置き換えた構成としてある。接続プローブ43
1は、ループアンテナ420の接続端子と導通可能なも
のとしてある。
【0047】さらに、パーソナルコンピュータは、その
記憶部442内に換算係数のデータベースを有するパー
ソナルコンピュータ440に置き換えた構成としてあ
る。その他は、第1実施例と同様の構成としてある。記
憶部442内のデータベースには、前述した半導体ペレ
ット14上の集積回路の配線レイアウト情報、ボンディ
ングワイヤ12およびリードフレーム13などのLSI
パッケージ情報、アンテナ20の構造、形状、寸法およ
びLSIからの受信距離や方向などのアンテナ情報を組
み合わせた検索キーが構成してある。
【0048】このため、データベースには、これら検索
キーに従って、ループアンテナ420の誘導起電力vA
と、ロジックLSI410内の供給電圧Vdd0の電位
変動との換算係数を配列させて記憶してある。これら換
算係数は、前述した理論値または校正値に基づいて、予
め求めた数値を使用すればよい。
【0049】この第3実施例によれば、例えばロジック
LSI410のパッケージ型式番号をLSIパッケージ
情報とし、アンテナ情報に基づく測定条件を特定してパ
ーソナルコンピュータ441に入力する。パーソナルコ
ンピュータは、これら情報に従ってデータベースを検索
し、適切な換算係数を選んでオシロスコープ430から
の時系列データPに乗算する。従って、多様なLSIパ
ッケージや測定条件に対しても、従来より簡単に適切な
測定を行うことができる。
【0050】図16は、同じく第2の実施形態による第
4実施例の構成図である。この第4実施例は、第3実施
例におけるループアンテナに代わって、静電遮蔽型のル
ープアンテナ520を用い、金属キャップに代わって、
ループアンテナ520に付設した金属キャップ527を
用いている他は、第3実施例と同様である。
【0051】この金属キャップ527によれば、ループ
アンテナ520自体が静電遮蔽型であるとともに、この
ループアンテナ520の接続端子528に対して、金属
キャップ527に基準電位を与える機能も有している。
なお、本発明が上記各実施例に限定されず、本発明の技
術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得る
ことは明らかである。
【0052】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
LSIの非接触計測装置によれば、前準備としてのLS
Iパッケージの開封工程を要せず、LSI近傍に配置し
たアンテナによって放射電磁波を経時的に測定し、この
時系列データに所定の換算係数を乗算する。従って、L
SIの封止構造を除去しなくても、内部の電源配線に生
じた電位変動を非接触で測定可能で簡便なLSIの非接
触計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるLSIの非接触計測装置の第1の
実施形態を示すブロック図。
【図2】図1に示すLSI内部の要部透視図。
【図3】図2に示す寄生インダクタンス成分によって、
電源配線に電位変動が生じる過程について説明する図。
【図4】図3に示す電源電流と電位変動の関係のタイム
チャート。
【図5】図1に示す計算部の校正曲線を作成するための
回路図。
【図6】図1に示す第1の実施形態の変形例を説明する
図。
【図7】図6に示すアンテナの構造を電圧計の方向(II
−II’)から視た断面図。
【図8】図6に示すアンテナの構造を電圧計の方向(II
−II’)から視た断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態を示すブロック図。
【図10】図9に示すLSIの構造を矢視線(III−II
I’)の方向から視た断面図。
【図11】図10に示すLSIの構造を矢視線(IV−I
V’)の方向から視た平面図。
【図12】本発明の第1の実施形態による第1実施例の
構成図。
【図13】本発明の第1の実施形態による第2実施例の
構成図。
【図14】図13に示すループアンテナを矢視線(V−
V’)の方向から視た正面図。
【図15】本発明の第2の実施形態による第3実施例の
構成図。
【図16】本発明の第2の実施形態による第4実施例の
構成図。
【図17】一従来例による電位変動の観測装置を説明す
る図。
【図18】別の一従来例による電位変動の観測装置を説
明する図。
【符号の説明】
1 200.300.400.大規模集積回路(LS
I)の非接触計測装置 10 大規模集積回路(LSI) 11 半導体ペレット 12 ボンディングワイヤ 13 リードフレーム 14 寄生インダクタンス成分 17 端子部 18 電源配線 19 配線用パッド 20 アンテナ 21 金属板 27 金属キャップ 30 電圧計 40 計算部 50 表示部 P 時系列データ V 電位変動 vA 誘導起電力

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大規模集積回路内部の電源配線に生じた
    電位変動を、大規模集積回路上方から非接触で計測する
    非接触計測装置であって、 前記電源配線から放射される電磁波を受信するため、半
    導体ペレット近傍に配置したアンテナと、 このアンテナに誘起された誘導起電力を経時的に測定す
    る電圧計と、 この電圧計で測定した誘導起電力に換算係数を乗算し、
    大規模集積回路の電位変動を計算する計算部とを有した
    大規模集積回路の非接触計測装置。
  2. 【請求項2】 前記計算部の換算係数は、 誘導起電力に対する比例定数であることを特徴とする請
    求項1記載の大規模集積回路の非接触試験装置。
  3. 【請求項3】 前記アンテナは、 平面状に形成した表面を半導体ペレットに向けて電源配
    線面と平行に配置し、アンテナの裏面に金属板を重ね合
    わせてアンテナ部分と電気的に絶縁させ、一定の電位に
    保ったことを特徴とする請求項1記載の大規模集積回路
    の非接触計測装置。
  4. 【請求項4】 大規模集積回路内部の電源配線に生じた
    電位変動を、半導体ペレット上方から非接触で計測する
    非接触計測装置であって、 前記電源配線から放射される電磁波を受信するため、平
    面状に形成した正面を半導体ペレットに向けて大規模集
    積回路のパッケージに付設したアンテナと、 このアンテナに生じた誘導起電力が外部に導き出される
    接続端子を併設するとともに、アンテナの裏面を被覆し
    ながらアンテナ部分と電気的に絶縁させて一定の電位に
    保った金属キャップと、 前記アンテナに誘起された誘導起電力を経時的に測定す
    る電圧計と、 この電圧計で誘導起電力を測定した結果に換算係数を乗
    算し、大規模集積回路の電位変動を計算する計算部とを
    有した大規模集積回路の非接触計測装置。
  5. 【請求項5】 前記計算部の換算係数は、大規模集積回
    路の電源配線における電流変化を、大規模集積回路の電
    源配線に寄生するインダクタンス成分に乗算し、アンテ
    ナに生じた誘導起電力で割った比であることを特徴とす
    る請求項4記載の大規模集積回路の非接触計測装置。
  6. 【請求項6】 前記計算部が、大規模集積回路のパッケ
    ージ構造と、アンテナの種類および配置条件と、電圧計
    の測定結果の換算係数とからなる組合せを複数組記憶
    し、これらの組合せから、計算時の条件に基づいて一つ
    の換算係数を決定することを特徴とする請求項4記載の
    大規模集積回路の非接触計測装置。
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