JP3335717B2 - 合成無機ビルダー及び洗浄剤組成物 - Google Patents

合成無機ビルダー及び洗浄剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成無機ビルダー及びそ
れを含有する洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、液
体の界面活性剤等、他の液状物質を安定して担持すると
共に、カチオン交換能及びアルカリ能に優れ、各種洗浄
剤組成物に有用な結晶性の合成無機ビルダーおよびこれ
を含有する洗浄剤組成物、特に、常温で界面活性剤のし
み出しがなく、耐ケーキング性に優れる濃縮洗浄剤組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】非イオン
界面活性剤は、耐硬水性が良好であるうえ、洗浄力、汚
れ分散力が優れ洗浄用界面活性剤として注目されてい
る。しかしながら、通常洗浄用として使用される非イオ
ン界面活性剤は、常温付近で液体のものが多いため、液
体状態のまま洗浄剤に配合した場合、経日により非イオ
ン界面活性剤が徐々にしみだして、洗浄剤の流動性が著
しく損なわれたり、さらにはケーキング性を起こし洗浄
剤が固まってしまい使用不能となる。
【0003】これらを解決する手段として、特開昭61
−89300号公報には水不溶性粉粒体とシリカ粉末と
を混合した後、非イオン界面活性剤を噴霧しついでゼオ
ライト粒子を添加する方法が開示されているが、非イオ
ン界面活性剤の担持量が少なく非イオン界面活性剤の特
性が充分でない。また特開平4−363400号公報に
は吸油能のある特定組成の非晶質アルミノシリケートに
非イオン界面活性剤を担持させる方法が開示されている
が、カチオン交換容量の小さい非晶質アルミノシリケー
トにのみ非イオン界面活性剤を担持させるため、カチオ
ン交換能補償あるいは炭酸ソーダ等のアルカリ剤を多量
配合する必要があり、洗浄剤としては嵩高くなり濃縮洗
浄剤組成物を得ることは困難である。
【0004】一方、洗浄剤に配合するビルダーには、現
在までに多くのキレート剤、ビルダー、沈澱剤、分散剤
等が報告されている。近年、トリポリ燐酸塩は、湖沼等
の閉鎖系水域の富栄養化への懸念から使用が減少し、特
開昭50−12381号公報、特開昭51−12805
号公報に代表される結晶性アルミノ珪酸塩が多く用いら
れている。
【0005】珪酸ナトリウムはゼオライト以上のイオン
交換容量を有しているが、水に溶解するため、その利用
が限られていた。それを解決する手段として、珪酸ナト
リウムを加熱脱水、焼成して、粉末化する方法が特開昭
60−239320号公報に、また同様の手法で珪酸ナ
トリウムの珪素の一部をアルミニウムで同型置換する方
法が特開平3−93649号公報に開示されているが、
いずれも耐水溶性が不十分で、イオン交換能も低い。ま
た、水熱合成により得られる結晶性の珪酸カルシウムア
ルカリ水和物が特公昭61−59245号公報に開示さ
れているが、耐水溶性は充分であるが、イオン交換能は
低く、実質的に洗剤用ビルダーとして適さない。さら
に、粒子形状が粗大の長繊維状あるいは雲母状であるた
め水への分散性が悪く、実質的なイオン交換能はさらに
低下する。またDD−279234A1公報には水熱合
成により得られる結晶性のマグネシウム含有シリケート
が開示されているが、イオン交換能が極端に低く、実用
上洗剤用ビルダーとしては適用できないと言う問題が指
摘されている。
【0006】これらの結晶性のケイ酸塩は、その構造に
基づき、陰イオンの形による分類に従って分類すること
ができる(Friedrich Liebau,“St
ructural Chemistry of Sil
icates”p72,Springer−Verla
g,1985年発行)。即ち、例えば、代表的な無機ビ
ルダーであるNa2 O・Al23 ・2SiO2 の組成で
示される4A型ゼオライトはSiの1部がA1に同型置
換したテクトケイ酸塩構造に、また、Na2 O・2Si
2 の組成で示されるジメタケイ酸塩(層状シリケー
ト)はフィロケイ酸塩構造に分類される。さらに、Ca
O・MgO・2SiO2 ・nH2 Oの組成でしめされる
メタケイ酸塩(輝石、Diopside)およびNa2
O・SiO2 の組成で示されるメタケイ酸塩(メタケイ
酸ソーダ)は、イノケイ酸塩(ポリシリケート)構造に
それぞれ分類される。
【0007】さらに、詳しく説明すれば、Siに結合す
る酸素の架橋酸素数(Si−O−Si)で分類でき、そ
の架橋酸素数が4、3、2、1、0に対応して、それぞ
れQ4 、Q3 、Q2 、Q1 、Q0 ユニットに分類される
(Y.Tsunawaki,N.Iwamoto,T.
Hattori and A.Mitsuishi,
J.Non−Cryst.Solids,vol44,
p369(1981))。テクトケイ酸塩構造の場合は
架橋酸素数が4であるからQ4 ユニットのみから、フィ
ロケイ酸塩構造の場合は架橋酸素数が3であるからQ3
ユニットのみから、イノケイ酸塩構造の場合は架橋酸素
数が2.0〜2.5であるからQ2 ユニットのみあるい
はQ2 ユニットとQ3 ユニットとから形成される。ここ
で、Q2 ユニットのみからなるシリケート、Q2 ユニッ
トとQ3 ユニットとからなるシリケートのように少なく
ともQ2 ユニットを含むシリケートは、鎖状構造又は帯
状構造であるといわれている。これに対して、Q3 ユニ
ットのみからなるシリケートは層状構造であるといわれ
ており、両者は構造的に明確に区別されている。
【0008】これらの分類に従って、洗浄剤に用いられ
る無機ビルダーである前記のケイ酸塩化合物をみると、
4 ユニットから形成されるテクトケイ酸塩構造をもつ
4A型ゼオライトは、理論的に高いカチオン交換能を示
すものの、水中への分散性が悪く洗浄剤への配合量が限
定される。また、Q3 ユニットから形成されるフィロケ
イ酸塩構造をもつ層状シリケートとしては、前記のよう
な特開昭60−239320号公報、特開平3−936
49号公報に記載のものが挙げられるが、これらは前記
のように水中での分散性は、その水和特性故に優れる
が、逆に水中への溶解量が大きくなり、カチオン交換能
が4A型ゼオライトに比べて小さく、洗浄剤用ビルダー
としては不十分である。
【0009】一方、Q2 ユニットから構成されるイノケ
イ酸塩構造をもつ輝石はカチオン交換能はほとんど示さ
ず、無機ビルダーとしては不十分である。また、イノケ
イ酸塩で高いカチオン交換容量をもつ組成(Na2 O・
SiO2 )が結晶性のメタケイ酸塩として存在するが、
水中への溶解性が著しく、その構造が破壊されるため、
実際上のカチオン交換能は極端に低くなり、無機ビルダ
ーとして適さない。以上のように、耐水溶性、イオン交
換能がともに優れる無機ビルダーを得ることは困難であ
り、これらを改善した無機ビルダーの開発が求められて
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、常温付近
で液体の界面活性剤を主洗浄基剤とする濃縮洗浄剤組成
物について鋭意検討した結果、吸油能を有し、耐水溶性
に優れると共にカチオン交換能とアルカリ能をもった結
晶性の珪酸塩化合物を見いだし、さらに該珪酸塩化合物
を配合することにより、常温で界面活性剤のしみ出しが
なく、耐ケーキング性に優れる濃縮洗浄剤組成物を完成
するに到った。
【0011】即ち、本発明の要旨は、(1)吸油能が
0.5〜5.0ml/gであって、無水物の一般式とし
てxM2O・ySiO2 ・zM' O(式中、MはNa及
び/又はKを示し、M' はCa及び/又はMgを示し、
y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0であ
る。)で表される結晶性の合成無機ビルダー、および
(2)前記の合成無機ビルダーを含有することを特徴と
する洗浄剤組成物に関する。
【0012】本発明の合成無機ビルダーは、無水物での
組成が、一般式xM2 O・ySiO2 ・zM’Oで表さ
れる。ここでMはNa及び/又はKを示し、M’はCa
及び/又はMgを示す。また、y/xは0.5〜4.0
であり、好ましくは0.8〜2.1、さらに好ましくは
1.0〜1.9である。y/xが0.5未満では耐水溶
性が不十分であり、4.0を超えると、イオン交換能が
低くなり、無機ビルダーとして不十分である。z/xは
0〜1.0であり、好ましくは0.005〜1.0、更
に好ましくは0.005〜0.9、特に好ましくは0.
01〜0.6である。z/xが1.0を超えるとイオン
交換能が低く、無機ビルダーとして不十分である。x、
y、zは前記のy/xおよびz/xに示されるような関
係であれば、特に限定されるものではない。K/Naは
カチオン交換速度を高める観点から通常0〜8.0であ
り、好ましくは0.01〜8.0である。Mg/Caは
カチオン交換容量を高める観点から通常0〜10であ
り、好ましくは0.02〜10である。
【0013】このような本発明の合成無機ビルダーとし
て、種々の態様があるが好適なものを例示すると次のよ
うなものが挙げられる。 前記の一般式において、y/x=1.9〜4.0、
z/x=0.005〜1.0、M2 O中のK/Na=0
〜8.0、M’O中のMg/Ca=0〜10で表され
る、吸油能が0.5〜5.0ml/gである結晶性の合
成無機ビルダー、 前記の一般式において、y/x=0.5〜1.9、
z/x=0.005〜1.0、M2 O中のK/Na=
0.01〜8.0、M’O中のMg/Ca=0.02〜
10で表される、吸油能が0.5〜5.0ml/gであ
る結晶性の合成無機ビルダー、
【0014】また、本発明の合成無機ビルダーにおいて
は、水和物であってもよく、この場合の水和量はH2
のモル量換算として通常20モル%以下である。
【0015】また、本発明の合成無機ビルダーは、陰イ
オンの形による分類に従えば、イノケイ酸塩構造に分類
され、かつ、Q2 ユニットのみあるいはQ2 ユニットと
3ユニットとから形成される結晶性ケイ酸塩化合物で
ある。換言すれば、本発明の合成無機ビルダーは少なく
ともQ2 ユニットを有し、鎖状構造を有するものであ
る。
【0016】具体的には、Q3 、Q2 ユニットの存在
は、ラマン分光測定により同定できる。図1に、FT−
ラマン分光(日本電子製、形式:JRS−FT650
0、励起光:YAGレーザー、波長=1064nm、検
知器:InGaAs)により測定したラマンスペクトル
例を示す。
【0017】本発明の合成無機ビルダーは、前記の組成
を有する結晶性のイノケイ酸塩化合物(実施例57、図
1(a)を参照)であるため、フィロケイ酸塩構造をも
つ層状シリケート(比較例1、図1(b)を参照)と明
らかに異なる散乱ピークパターンを示し、970±20
cm-1にQ2 ユニットに由来する主たるシフトピークが
少なくとも存在する。ここで、主たるシフトピークと
は、900〜1200cm-1の範囲についてのラマン散
乱スペクトルにおいて、実質的に識別できる明確なシフ
トピークを指す。一方、Q3 ユニットに由来するシフト
ピークは、1070±30cm-1に観察される。
【0018】従って、本発明の合成無機ビルダーは、Q
2 ユニットのみあるいはQ2 ユニットとQ3 ユニットと
により構成されているため、900〜1200cm-1
範囲において、970±20cm-1のみ、または970
±20cm-1と1070±30cm-1にシフトピークを
有し、また結晶性であるためQ0 ,Q1 ユニットに由来
するシフトピークは実質的に存在しない。Q2 ユニット
とQ3 ユニットとにより構成されている場合には、後述
の実施例のラマン分光測定より得られた散乱ピークパタ
ーンが示すように、Q2 ユニットに由来するシフトピー
クとQ3 に由来するシフトピークの強度比(Q2
3 )は0.1〜100となる。ここで、シフトピーク
の強度比は1070±30cm-1に表れるシフトピーク
の高さに対する970±20cm-1に表れるピークの高
さの比より算出されたものである。
【0019】また、Q2 ユニット構造から形成されてい
るにもかかわらず、水中での高い構造安定性を示すの
は、Ca及び/又はMgイオンを適量シリカネットワー
ク中に含有させているためである。
【0020】本発明の合成無機ビルダーは、合成により
得られるものであって、前記一般式に示されるようにM
2 O、SiO2 、M' Oの三成分よりなっている。従っ
て、本発明の合成無機ビルダーを製造するには、その原
料として各成分に対応する物質が必要になるが、本発明
においては特に限定されることなく公知の化合物が適宜
用いられる。例えば、M2 O成分、M' O成分として
は、各々の当該元素の単独あるいは複合の酸化物、水酸
化物、塩類、当該元素含有鉱物が用いられる。具体的に
は例えば、M2 O成分の原料としては、NaOH,KO
H,Na2 CO3,K2 CO3 ,Na2 SO4 等が、M'
O成分の原料としては、CaCO3 ,Ca(O
H)2 、MgCO3 ,Mg(OH)2 ,MgO,ドロマ
イト等が挙げられる。SiO2 成分としてはケイ石,ケ
イ砂,クリストバライト石,カオリン,タルク,溶融シ
リカ,ケイ酸ソーダ等が用いられる。
【0021】本発明においては、これらの原料成分を目
的とする合成無機ビルダーのx、y、zとなるように所
定の量比で混合し、通常300〜1300℃、好ましく
は500〜1000℃、さらに好ましくは600〜90
0℃の範囲で焼成して結晶化させる方法、及び同様に混
合後、一旦1100℃〜1600℃で溶融してガラス化
物を得た後焼成する方法、更に溶融後水ガラス化し焼成
する方法が例示される。この場合、加熱温度が300℃
未満では結晶化が不充分で耐水溶性に劣り、1300℃
を超えると粗大粒子化しイオン交換能が低下する。加熱
時間は通常0.1〜24時間である。このような焼成は
通常、電気炉、ガス炉等の加熱炉で行うことができる。
また、焼成後、必要に応じて粉砕し所定の粒度に調製さ
れる。粉砕機としては例えばボールミル、ローラーミル
等を用いてなされる。このような製造方法により、前述
のような構造上の特徴を有する本発明の合成無機ビルダ
ーを得ることができる。
【0022】また、本発明の合成無機ビルダーの水和物
を調製するには、公知の方法により容易に行うことがで
き、特に制限されるものではない。例えば、前記のよう
にして得られた合成無機ビルダーの無水物をイオン交換
水に懸濁して水和させ、乾燥せしめて粉末化する方法が
挙げられる。
【0023】本発明の合成無機ビルダーは、吸油能が
0.5〜5.0ml/gのものである。吸油能が0.5
ml/g未満では、液状の界面活性剤の担持量が充分で
なく洗浄性能が低下する。また、5.0ml/gを越え
ると、比表面積が増大し、水分を吸着し逆に耐ケーキン
グ性に劣る。
【0024】このような本発明の合成無機ビルダーに吸
油能を付与させる方法としては、「多孔材料」(近藤連
一編著、P2、技報堂、昭和48年発行)に記述されて
いる粉末の凝集、発泡、ゲル化、水和などの方法、及び
特開昭63−270368号公報に開示されているアク
リル系ポリマー、メチルセルロース、ポリビニルアルコ
ール等の有機物を添加焼成する方法等が挙げられる。本
発明においては特に限定されるものではないが、細孔
径、細孔容積の制御の観点から有機物を添加焼成する方
法が好ましい。
【0025】このようにして得られた本発明の合成無機
ビルダーまたはその水和物は、全細孔容積が0.5cc
/g以上、好ましくは0.5〜8.8cc/gであっ
て、細孔径0.01〜10μmの細孔容積が0.2cc
/g以上のもの、好ましくは0.2〜5.5cc/gの
ものが好適である。全細孔容積が0.5cc/g未満で
は実質的に吸油能が0.5ml/g以上発現しない。ま
た、細孔径0.01〜10μmの細孔容積が0.2cc
/g未満では吸油能を発現したとしても、洗濯浴中で界
面活性剤の放出が遅く洗浄性能が劣る。また、細孔径が
10μmを越えると担持力が小さく、経日のしみだしが
発生し、耐ケーキング性に劣る。また、0.01μm以
下では担持しない。
【0026】このようにして得られた本発明の合成無機
ビルダーまたはその水和物は、高い洗浄性能並びに濃縮
化の観点からカチオン交換容量として少なくとも200
mgCaCO3 /g以上、好ましくは200〜600m
gCaCO3 /gを有するものである。本発明において
カチオン交換容量とは、実施例で示す後述の測定方法に
より得られるカチオン交換能の値をいう。
【0027】本発明において耐水溶性とは、合成無機ビ
ルダーの水中での安定性を意味する。従って耐水溶性に
劣るとは、水中での無機ビルダーの安定性が悪く水中で
のSi溶出量が増大することを意味する。一方、耐水溶
性に優れるとは、無機ビルダーの水中での安定性が高
く、水中でのSi溶出量が非常に少ないことをいう。本
発明の合成無機ビルダーにおいて、水へのSi溶出量は
SiO2 換算で通常120mg/g以下であり、好まし
くは90mg/g以下、より好ましくは60mg/g以
下であり、ほとんどが実質的に水に不溶である。なお、
本発明において実質的に水に不溶であるとは、試料2g
をイオン交換水100g中に加え、25℃で30分攪拌
した場合におけるSi溶出量がSiO2 換算で通常10
0mg/gより少ないものをいう。
【0028】本発明の合成無機ビルダーは、酸に対する
緩衝作用であるアルカリ能に優れている。アルカリ能と
は、試料を一定量のイオン交換水に懸濁し攪拌しなが
ら、一定濃度の塩酸を所定量滴下した際にpHを9.0
以上、好ましくは9.5〜12.0に維持する能力をい
う。即ち、本発明の合成無機ビルダー0.1重量%イオ
ン交換水分散液1000mlに0.25規定の塩酸を1
5ml添加しても9〜12のpHを示す。pHが9.0
未満であれば補助ビルダーとして炭酸ソーダ、珪酸ソー
ダ等のアルカリ剤を洗浄剤組成物にさらに多量配合する
必要があり、濃縮洗浄剤組成物を得ることは困難であ
る。また、アルカリ緩衝効果についても、特に優れてお
り、炭酸ソーダや通常の無定形珪酸ナトリウムと比較し
てもアルカリ緩衝効果が優れるものである。
【0029】本発明の合成無機ビルダーは、前記のよう
に優れたイオン捕捉能を有するため、これを配合した洗
浄剤組成物は、優れた洗浄性能を有する。このような洗
浄剤組成物は、少なくとも前記の合成無機ビルダーおよ
び/またはその水和物を含有するものである。また、こ
の洗浄剤組成物は、特に限定されるものではないが、衣
料用洗浄剤、柔軟剤、食器用洗浄剤、歯ミガキ、身体用
洗浄剤、金属用洗浄剤等として用いられる。前記の合成
無機ビルダーおよび/またはその水和物の配合量は特に
限定されないが、通常0.1〜90重量%、好ましくは
0.5〜80重量%、さらに好ましくは1〜75重量%
である。0.1%重量未満であると充分な洗浄性能を発
現せず、90重量%を越えると分散性が不良となる。
【0030】なかでも衣料用洗浄剤としての本発明の合
成無機ビルダーの配合量は、通常0.1〜70重量%、
好ましくは1〜60重量%、さらに好ましくは2〜55
重量%である。0.1重量%未満であると、無機ビルダ
ーの性能が組成物として発現されず、70重量%を越え
ると、洗浄剤に含まれる他の成分の配合量が制約され、
洗浄剤としての成分バランスに支障をきたす。
【0031】本発明の洗浄剤組成物は通常、界面活性剤
を含有し、該界面活性剤としては、一般的に洗浄剤に用
いられるものであれば特に限定されるものではない。具
体的には、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、
陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より
選択される一種以上である。例えば、陰イオン界面活性
剤の中から複数選択する場合のごとく同一種類のみから
選択してもよく、また陰イオン界面活性剤と非イオン界
面活性剤の中からそれぞれ選択する場合のごとく各種の
ものを複数選択してもよい。
【0032】陰イオン界面活性剤としては、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテ
ル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレ
フィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩またはエステ
ル塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸
塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面
活性剤、アルキルまたはアルケニル燐酸エステルまたは
その塩等が例示され、好ましくはアルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、
アルキルまたはアルケニル硫酸塩等である。
【0033】非イオン界面活性剤としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エ
ステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン
アルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪
酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、アルキル
アミンオキサイド等が挙げられる。
【0034】本発明において、より好ましい界面活性剤
は、非イオン界面活性剤を主基材とするものであり、特
に融点が40℃以下、すなわち該温度においてスラリー
状ないし液状の非イオン界面活性剤を主基材とするもの
が、耐ケーキング性に問題がなく優れた洗浄力を発揮す
る。上記性質の界面活性剤の中でもエチレンオキサイド
付加型の非イオン界面活性剤が好ましく、例えば、炭素
数10〜20の直鎖又は分岐鎖の1級又は2級アルコー
ルのエチレンオキサイド付加物であって、該アルコール
1モルに対し平均付加モル数が5〜15のポリオキシエ
チレンアルキルエーテルを使用するのが望ましい。より
好ましくは炭素数12〜18の直鎖又は分岐鎖の1級又
は2級アルコールのエチレンオキサイド付加物であっ
て、平均付加モル数5〜10のポリオキシエチレンアル
キルエーテルを使用するのが望ましい。
【0035】本発明においては、融点40℃以下の非イ
オン界面活性剤と前述の0.5〜5.0ml/gの吸油
能を有する合成無機ビルダーを用いることにより、より
濃縮化された、つまり従来の洗剤よりも少ない使用量で
も優れた効果を発揮し、且つ、耐ケーキング性の優れた
非イオン性粉末洗浄剤組成物を得ることが可能となる。
このような本発明の非イオン性粉末洗浄剤組成物の配合
量を下記に示す。 (a)0.5〜5.0ml/gの吸油能を有する本発明
の合成無機ビルダー1〜70重量%、好ましくは10〜
60重量% (b)融点40℃以下、炭素数10〜20の直鎖又は分
岐鎖の1級又は2級アルコールのエチレンオキサイド付
加物であって、該アルコール1モルに対し平均付加モル
数が5〜15のポリオキシエチレンアルキルエーテルよ
りなる非イオン界面活性剤10〜60重量%、好ましく
は15〜50重量%
【0036】本発明の洗浄剤組成物には、上記成分の他
に通常洗剤に配合されている無機ビルダー、有機ビルダ
ー、再汚染防止剤、蛍光染料、酵素、香料等が配合可能
である。以下に配合可能な成分(I) 〜(VII) を例示す
る。
【0037】(I)無機ビルダー 1)炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウ
ム、亜硫酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、JIS
1号珪酸ナトリウム等のアルカリ金属珪酸塩に代表さ
れるアルカリ性塩。 2)硫酸ナトリウムなどの中性塩。 3)オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸
塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩
などのリン酸塩(ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属塩)。 4)更に以下の結晶性アルミノ珪酸塩又は非晶質アルミ
ノ珪酸塩。
【0038】具体的には次式で示される結晶性アルミノ
珪酸塩が挙げられる。 x’(M2 O)・Al2 3 ・y’(SiO)2 ・w’
(H2 O) (式中、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
を、x’,y’,w’は各成分のモル数を表し、一般的
には0.7≦x’≦1.5、0.8≦y’≦6、w’は
0以上の任意の定数である。)これらの中で、特に次の
一般式で示される平均粒径が15μm以下のものが好ま
しい。 Na2 O・Al2 3 ・ySiO2 ・wH2 O (式中、yは1.8〜3.0、wは1〜6の数を表
す。)
【0039】また非晶質アルミノ珪酸塩としては、例え
ば、次式に示されるものが挙げられる。 一般式αMeO・βM2 O・Al2 3 ・γSiO2 (式中、Meはアルカリ土類金属を、Mはアルカリ金属
を示し、α=0〜0.1、β=0.2〜2.0、γ=
0.5〜6である。)
【0040】上式の非晶質アルミノ珪酸塩は、常法によ
り製造することができる。例えば、SiO2 とM2
(Mはアルカリ金属を意味する)のモル比がSiO2
2 O=1.0〜4.0であり、H2 OとM2 Oのモル
比がH2 O/M2 O=12〜200である珪酸アルカリ
金属塩水溶液を用いて、これにM2 OとAl2 3 のモ
ル比がM2 O/Al2 3 =1.0〜2.0であり、H
2 OとM2 Oのモル比がH2 O/M2 O=6.0〜50
0である低アルカリアルミン酸アルカリ金属塩水溶液を
通常15〜60℃、好ましくは30〜50℃の温度のも
とで強攪拌下に添加する。
【0041】次いで生成した白色沈澱物スラリーを通常
70〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度で、
通常10分以上10時間以下、好ましくは5時間以下加
熱処理し、その後濾過、洗浄、乾燥する事により有利に
得る事ができる。このとき添加方法は、低アルカリアル
ミン酸アルカリ金属塩水溶液に珪酸アルカリ金属塩水溶
液を添加する方法であってもよい。
【0042】1)〜4)で表される無機ビルダーのう
ち、1)〜3)のものは従来の洗剤よりも少ない配合
量、例えば合計で20重量%に満たない場合であって
も、優れた洗浄力を示す。また、4)のアルミノ珪酸塩
は粉末物性を改善し、また造粒性や、表面改質に有利で
あり、0.1〜89重量%配合するのが好ましい。
【0043】(II)有機ビルダー 有機ビルダーとしては以下の物質が例示される。 1)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,2−
トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジ
ホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,
1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキ
シ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン
酸等のホスホン酸の塩。 2)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−
ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メ
チルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸の塩。 3)アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸の塩。 4)ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、ジ
エチレンジアミン五酢酸塩等のアミノポリ酢酸塩。
【0044】5)ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、
ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポ
リマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ−α−ヒドロキシ
アクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマ
レイン酸、無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体、
無水マレイン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−
メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−エチ
レン共重合体、無水マレイン酸−エチレンクロスリンク
共重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、無水
マレイン酸−アクリロニトリル共重合体、無水マレイン
酸−アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸−ブ
タジエン共重合体、無水マレイン酸−イソプレン共重合
体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ−
β−ケトカルボン酸、イタコン酸−エチレン共重合体、
イタコン酸−アコニット酸共重合体、イタコン酸−マレ
イン酸共重合体、イタコン酸−アクリル酸共重合体、マ
ロン酸−メチレン共重合体、イタコン酸−フマル酸共重
合体、エチレングリコール−エチレンテレフタレート共
重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、1−
ブテン−2,3,4−トリカルボン酸−イタコン酸−ア
クリル酸共重合体、第四アンモニウム基を有するポリエ
ステルポリアルデヒドカルボン酸、エポキシコハク酸の
シス−異性体、ポリ〔N,N−ビス(カルボキシメチ
ル)アクリルアミド〕、ポリ(オキシカルボン酸)、デ
ンプンコハク酸あるいはマレイン酸あるいはテレフタル
酸エステル、デンプンリン酸エステル、ジカルボキシデ
ンプン、ジカルボキシメチルデンプン、カルボキシルメ
チルセルロース、コハク酸エステル等の高分子電解質。
【0045】6)ポリエチレングリコール、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチル
セルロース、冷水可溶性ウレタン化ポリビニルアルコー
ル等の非解離高分子。 7)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメ
チルオキシコハク酸、シクロペンタン−1,2,3,4
−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−1,2,
3,4−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,
2,5,5−テトラカルボン酸、クエン酸、乳酸、酒石
酸、ショ糖、ラクトース、ラフィノース等のカルボキシ
メチル化物、ペンタエリスリトールのカルボキシメチル
化物、グルコン酸のカルボキシメチル化物、多価アルコ
ールあるいは糖類と無水マレイン酸あるいは無水コハク
酸との縮合物、オキシカルボン酸と無水マレイン酸ある
いは無水コハク酸との縮合物、メリット酸で代表される
ベンゼンポリカルボン酸、エタン−1,1,2,2−テ
トラカルボン酸、エテン−1,1,2,2−テトラカル
ボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、
プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ブタン−1,
4−ジカルボン酸、シュウ酸、スルホコハク酸、デカン
−1,10−ジカルボン酸、スルホトリカルバリル酸、
スルホイタコン酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グル
コン酸、CMOS、ビルダーM等の有機酸塩。
【0046】これらの有機ビルダーの中では、クエン酸
又はその塩、ポリアクリル酸、その塩又はマレイン酸と
の共重合物、ポリエチレングリコールがより好ましい。
特に好ましいものはクエン酸3ナトリウム、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、又はアクリル酸−マレイン酸共重合物
のナトリウム塩である。
【0047】(III) 酵素 酵素としては従来より知られているプロテアーゼ、リパ
ーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ等を配合してよい。
【0048】(IV)漂白剤 漂白剤としては、例えば過硼酸塩、過炭酸塩が挙げられ
る。
【0049】(V) 漂白活性化剤 漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミ
ンや特開昭59−22999号公報、特開昭63−25
8447号公報、特開昭63−31566号公報記載の
有機過酸前駆体が使用できる。
【0050】(VI)消泡剤 消泡剤としては、例えばポリオキシプロピレンアルキル
エーテルや脂肪酸、シリコーン誘導体等を配合すること
ができ、シリコーン誘導体を造粒物として使用する際に
は、例えば特開平3−186307号公報記載の方法に
て造粒したものが使用できる。
【0051】(VII) その他 その他にも、洗浄剤組成物に配合される一般的な香料、
蛍光染料等の任意成分を配合してもよい。
【0052】本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、特に
限定されることなく、従来より公知の方法を用いること
ができる。例えば、高嵩密度洗剤を得るための方法とし
ては、特開昭61−69897号公報、特開昭61−6
9899号公報、特開昭61−69900号公報、EP
513824A号明細書記載の方法を使用することがで
きる。しかしながら、噴霧乾燥生地を使用する際は、本
発明の合成無機ビルダーを噴霧用スラリー組成物中に配
合しないことが好ましく、造粒時にブレンドすることが
好ましい。なお、造粒方法は特に限定されるものではな
い。また、本発明の非イオン性粉末洗浄剤組成物を調製
するには、例えば本発明の吸油能が0.5〜5.0ml
/gの合成無機ビルダー、必要に応じてアルミノ珪酸
塩、及び少量成分から成る粉末成分を混合しながら液体
の非イオン界面活性剤を徐々に添加し、さらに混合を続
けることにより粒子を生長させて調製することができ
る。
【0053】また、一般的に知られている表面改質剤と
して前記の結晶性や非晶質のアルミノ珪酸塩等の粉末を
添加し、造粒物の表面を被覆してもよい。粉末洗浄剤組
成物の平均粒子径は、200〜1000μm、好ましく
は300〜700μmであることが長期貯蔵時の粉末物
性において好ましい。この平均粒子径はJIS Z88
01の標準篩を用いて、5分間振動させたのちの篩目の
サイズにより重量分率から測定される。また、ビルダー
成分や界面活性剤等の噴霧乾燥粒子を配合してもよく、
更に別途造粒してアフターブレンドしてもよい。
【0054】本発明において、酵素、過硼酸塩、過炭酸
塩、また漂白活性化剤を配合する場合は、上記非イオン
界面活性剤を主成分とする造粒物にアフターブレンドす
ることが好ましく、また、これらは予め造粒したものを
用いてもよい。
【0055】このようにして得られた本発明の非イオン
性粉末洗浄剤組成物は約0.5〜1.0g/ml、好ま
しくは0.6〜0.9g/mlの嵩密度を有する。
【0056】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例等により
本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実
施例等によりなんら限定されるものではない。尚、本実
施例及び比較例における測定値は、次に示す方法により
測定した。
【0057】(1)カチオン交換能 試料0.1gを精秤し、塩化カルシウム水溶液(濃度は
CaCO3 として500ppm)100ml中に加え、
25℃で60分間撹拌した後、孔サイズ0.2μmのメ
ンブランフィルター(アドバンテック社、ニトロセルロ
ース製)を用いて濾過を行い、その濾液10ml中に含
まれるCa量をEDTA滴定により測定した。その値より試料
のカルシウムイオン交換容量(カチオン交換容量)を求
めた。但し、500mgCaCO3 /g以上の場合は、
塩化カルシウム溶液の量を200mlにして測定した値
である。
【0058】(2)吸油能 粉末2gを攪拌し、JIS 5101の顔料試験法(吸
油能)に準じて試験を行い、次式により算出した。 吸油能(ml/g)=滴下したあまに油の容量(ml)
/試料の質量(g)
【0059】(3)細孔容積及び細孔径 島津製作所製の水銀圧入式ポロシメーター(ポアサイザ
9320)を用い、0.005〜50μm径の範囲で測
定を行い、その範囲に存在する細孔の積分値を全細孔容
積とした。また、同様にして細孔径0.01〜10μm
の細孔容積を求めた。
【0060】(4)ラマンスペクトル強度比 フーリエ変換ラマン分光光度計(日本電子(株)製,J
SR−FT6500、励起光:YAGレーザー、波長=
1064nm、検知器:InGaAs)を用いてラマン
分光測定を行ない、得られたラマン散乱スペクトルにお
いて、Q2 及びQ3 に帰属する散乱の強度をそれぞれ、
970±20cm-1と1070±30cm-1に現れるシ
フトピークのピークトップの値として、Q2 /Q3 の相
対強度比を求めた。
【0061】(5)アルカリ能 試料1gを精秤し、イオン交換水1000mlに懸濁し
撹拌しながら、0.25規定の塩酸を10ml滴下した
際に、懸濁液のpHが9.0〜12.0を示すようなも
のをアルカリ能が良好であると判定し、pHが9.0未
満の場合に、アルカリ能が不十分であると判定した。ま
た、pHが12.0を超える場合には、ケーキングが起
こりやすくなるため、配合の自由度が狭くなり、洗浄剤
組成物として不適当と判定した。
【0062】実施例1 2号珪酸ソーダ(SiO2 / Na2 O=2.55、水分
59.9%)、水酸化ナトリウム、無水炭酸カルシウム
を表1に示す組成となるよう混合を行った。この混合物
100gに澱粉4gを添加し、700℃の温度下、空気
気流中において焼成を行い、本発明の無機ビルダー1を
得た。この粉体の吸油能は1.3ml/g、全細孔容積
は、1.5cc/g、細孔径0.01〜10μmの細孔
容積は0.8cc/gであった。また、カチオン交換能
は、354mgCaCO3 /gであり、アルカリ能も良
好なものであった。
【0063】実施例2〜6 実施例1と同様に、水酸化ナトリウム、無水炭酸カルシ
ウムの添加量を変えることにより、表1に示す組成とな
るよう混合し、焼成を行うことにより無機ビルダー2及
び3を得た。また、実施例1において、澱粉に代わりポ
リビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様に
して無機ビルダー4〜6を得た。このようにして得られ
た粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、
アルカリ能を測定した結果を表1に示したが、いずれも
高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示す
ものであった。
【0064】実施例7 325メッシュパスの珪石粉(SiO2 純度99.9
%)、水酸化カリウム水溶液、無水炭酸カルシウムを表
1に示す組成となるよう混合し、この混合物100gに
微粉砕した木粉6gを添加し、650℃の温度下、空気
気流中において焼成を行い、無機ビルダー7を得た。こ
のようにして得られた粉体について吸油能、細孔容積、
カチオン交換能、アルカリ能を測定した結果を表1に示
したが、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ
能を示すものであった。
【0065】実施例8〜13 実施例7において、木粉に代わり籾がら粉を用いた以外
は、実施例7と同様にして無機ビルダー8〜10を、
又、実施例7において、木粉に代わり澱粉を用いた以外
は、実施例7と同様にして無機ビルダー11〜13を得
た。このようにして得られた粉体について、吸油能、細
孔容積、カチオン交換能、アルカリ能を測定した結果を
表1に示したが、いずれも高吸油能、高カチオン交換
能、良好なアルカリ能を示すものであった。
【0066】
【表1】
【0067】実施例14 実施例7と同様にして表2に示す組成の粉体を得た。そ
の粉体を水中に30分間懸濁後、濾過、乾燥し、水和物
としての無機ビルダー14を得た。このようにして得ら
れた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換
能、アルカリ能を測定した結果を表2に示したが、高吸
油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すもの
であった。
【0068】実施例15 実施例1において、2号珪酸ソーダに代わり1号珪酸ソ
ーダ(SiO2 /Na2 O=2.14、水分44.9
%)を、無水炭酸カルシウムに代わり塩化マグネシウム
を用い、表2に示す組成となるようにした以外は実施例
1と同様にして無機ビルダー15を得た。このようにし
て得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン
交換能、アルカリ能を測定した結果を表2に示したが、
高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示す
ものであった。
【0069】実施例16〜20 実施例15において、1号珪酸ソーダに代わり粉末状1
号珪酸ソーダ(SiO2 /Na2 O=2.11、水分2
2.1%)を用い、表2に示す組成となるよう混合した
以外は、実施例15と同様にして無機ビルダー16及び
17を得た。また、実施例15において、澱粉に代わり
ポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例15と同
様にして無機ビルダー18〜20を得た。このようにし
て得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン
交換能、アルカリ能を測定した結果を表2に示したが、
いずれも、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカ
リ能を示すものであった。
【0070】実施例21 実施例7において、無水炭酸カルシウムに代わり無水炭
酸マグネシウムを用いて表2に示す組成とした以外は、
実施例7と同様にして無機ビルダー21を得た。得られ
た粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、
アルカリ能を測定した結果を表2に示したが、高吸油
能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すもので
あった。
【0071】実施例22〜25 実施例21において、木粉に代わり籾がら粉を用いた以
外は、実施例21と同様にして無機ビルダー22及び2
3を、又、実施例21において、木粉に代わりポリビニ
ルアルコールを用いた以外は、実施例21と同様にして
無機ビルダー24及び25を得た。得られた粉体につい
て、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、アルカリ能を
測定した結果を表2に示したが、いずれも高吸油能、高
カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すものであっ
た。
【0072】実施例26 実施例25と同様の操作により、表2に示す組成の粉体
を得た。その粉体を水中に30分間懸濁後、濾過、乾燥
し、水和物としての無機ビルダー26を得た。このよう
にして得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチ
オン交換能、アルカリ能を測定した結果を表2に示した
が、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0073】
【表2】
【0074】実施例27 珪石粉、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マ
グネシウムをV型ミキサーを用いて、表3に示す組成に
混合し、この混合物を1300℃の温度で8時間溶融し
た後、急冷することによりカレットを得た。粉砕したカ
レットをオートクレーブを用いて、3kg/cm2 の圧
力で1時間水熱処理を行い、水ガラスを得た。得られた
水ガラス(水分62%)100gに澱粉2.5gを添加
したものを650℃の温度下、空気気流中において焼成
する事により、無機ビルダー27を得た。このようにし
て得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン
交換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示したが、
高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示す
ものであった。
【0075】実施例28 珪石粉、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、水酸化マ
グネシウムの添加量を変えることにより、表3に示す組
成となるように混合した以外は、実施例27と同様にし
て水ガラスを得た後、得られた水ガラス(水分64%)
100gにポリビニルアルコール4gを添加したものを
700℃の温度下、空気気流中において焼成する事によ
り、無機ビルダー28を得た。このようにして得られた
粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、ア
ルカリ能を測定した結果を表3に示したが、高吸油能、
高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すものであっ
た。
【0076】実施例29〜30 実施例27において、水酸化ナトリウムに代わり水酸化
カリウムを用いて表3に示す組成とした以外は、実施例
27と同様にして無機ビルダー29及び30を得た。こ
のようにして得られた粉体について、吸油能、細孔容
積、カチオン交換能、アルカリ能を測定した結果を表3
に示したが、いずれも、高吸油能、高カチオン交換能、
良好なアルカリ能を示すものであった。
【0077】実施例31 実施例28において、水酸化ナトリウムに代わり水酸化
カリウムを用いて表3に示す組成とした以外は、実施例
28と同様にして無機ビルダー31を得た。このように
して得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示した
が、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0078】実施例32 実施例1において、水酸化ナトリウムに加え、水酸化カ
リウムを用いて表3に示す組成とした以外は、実施例1
と同様にして無機ビルダー32を得た。このようにして
得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交
換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示したが、高
吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すも
のであった。
【0079】実施例33〜34 実施例32において、無水炭酸カルシウムに代わり無水
塩化カルシウムを用いて表3に示す組成とした以外は、
実施例32と同様にして無機ビルダー33及び34を得
た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示した
が、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアル
カリ能を示すものであった。
【0080】実施例35〜36 実施例32において、無水炭酸カルシウムに代わり水酸
化マグネシウムを用いて表3に示す組成とした以外は、
実施例32と同様にして無機ビルダー35及び36を得
た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示した
が、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアル
カリ能を示すものであった。
【0081】実施例37〜38 実施例32において、無水炭酸カルシウムに代わり塩化
マグネシウムを用いて表3に示す組成とした以外は、実
施例32と同様にして無機ビルダー37及び38を得
た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表3に示した
が、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアル
カリ能を示すものであった。
【0082】
【表3】
【0083】実施例39 実施例1において、無水炭酸カルシウムを添加しないこ
と以外は、実施例1と同様にして無機ビルダー39を得
た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表4に示した
が、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアル
カリ能を示すものであった。
【0084】実施例40 珪砂、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウムを表4に示す
組成となるようV型ミキサーを用いて混合し、この混合
物を1300℃の温度で20時間溶融した後、急冷する
ことによりカレットを得た。粉砕したカレットをオート
クレーブを用いて、4kg/cm2 の圧力で30分間水
熱処理を行い、水ガラスを得た。得られた水ガラス(水
分60%)100gに澱粉4gを添加したものを700
℃の温度下、空気気流中で焼成する事により、無機ビル
ダー40を得た。得られた粉体について、吸油能、細孔
容積、カチオン交換能、アルカリ能を測定した結果を表
4に示したが、高吸油能、高カチオン交換能、良好なア
ルカリ能を示すものであった。
【0085】実施例41 実施例40と同様にして、表4に示す組成のカレットを
調製し、粉砕したカレットをオートクレーブを用いて、
3kg/cm2 の圧力で1時間水熱処理を行い水ガラス
を得た。得られた水ガラス(水分60%)100gに澱
粉3gを添加したものを700℃の温度下、空気気流中
で焼成する事により、無機ビルダー41を得た。得られ
た粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、
アルカリ能を測定した結果を表4に示したが、いずれ
も、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0086】実施例42 実施例40において、炭酸カルシウムに加え、水酸化マ
グネシウムを用いて表4に示す組成とした以外は、実施
例40と同様にして無機ビルダー42を得た。得られた
粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換能、ア
ルカリ能を測定した結果を表4に示したが、高吸油能、
高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すものであっ
た。
【0087】実施例43〜44 実施例40において、炭酸カルシウムに加え、水酸化マ
グネシウムを用いて表4に示す組成とした以外は、実施
例40と同様にして無機ビルダー43及び44を得た。
得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交
換能、アルカリ能を測定した結果を表4に示したが、い
ずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能
を示すものであった。
【0088】実施例45〜47 実施例40において、水酸化ナトリウムに加え、水酸化
カリウムを用いて表4に示す組成とした以外は、実施例
40と同様にして無機ビルダー45〜47を得た。得ら
れた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換
能、アルカリ能を測定した結果を表4に示したが、いず
れも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0089】実施例48〜50 実施例42において、水酸化ナトリウムに加え、水酸化
カリウムを用いて表4に示す組成とした以外は、実施例
42と同様にして無機ビルダー48〜50を得た。得ら
れた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交換
能、アルカリ能を測定した結果を表4に示したが、いず
れも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0090】
【表4】
【0091】実施例51 実施例1において、水酸化ナトリウムに加え、水酸化カ
リウムを用い、無水炭酸カルシウムに加え、無水炭酸マ
グネシウムを用いることにより表5に示す組成とした以
外は、実施例1と同様にして無機ビルダー51を得た。
得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオン交
換能、アルカリ能を測定した結果を表5に示したが、高
吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を示すも
のであった。
【0092】実施例52 実施例7において、水酸化カリウムに加え、水酸化ナト
リウムを用い、又、無水炭酸カルシウムに代えて無水塩
化カルシウム及び塩化マグネシウムを用いて表5に示す
組成となるよう混合した以外は、実施例7と同様にし
て、無機ビルダー52を得た。得られた粉体について、
吸油能、細孔容積、カチオン交換能、アルカリ能を測定
した結果を表5に示したが、高吸油能、高カチオン交換
能、良好なアルカリ能を示すものであった。
【0093】実施例53 実施例52において、表5に示す組成の混合物に、木粉
に代わり澱粉を添加して700℃の温度下で焼成する以
外は、実施例52と同様にして無機ビルダー53を得
た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチオ
ン交換能、アルカリ能を測定した結果を表5に示した
が、高吸油能、高カチオン交換能、良好なアルカリ能を
示すものであった。
【0094】実施例54〜57 実施例27において、水酸化カリウムに加え、水酸化カ
リウムを用いて表5に示す組成となるよう混合した以外
は、実施例27と同様にして無機ビルダー54〜57を
得た。得られた粉体について、吸油能、細孔容積、カチ
オン交換能、アルカリ能を測定した結果を表5に示した
が、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良好なアル
カリ能を示すものであった。
【0095】実施例58〜61 実施例54において、澱粉に代わりポリビニルアルコー
ルを用いた実施例54と同様にして無機ビルダー58〜
61を得た。得られた粉体について、吸油能、細孔容
積、カチオン交換能、アルカリ能を測定した結果を表5
に示したが、いずれも高吸油能、高カチオン交換能、良
好なアルカリ能を示すものであった。
【0096】
【表5】
【0097】比較例1 2号珪酸ソーダ、水酸化ナトリウムを表6に示す組成と
なるよう混合した後、700℃の温度下で焼成すること
により、比較ビルダー1を得た。この粉体の吸油能は
0.42ml/gと低いものであった。
【0098】比較例2 1号珪酸ソーダ、水酸化ナトリウムを表6に示す組成と
なるよう混合した後、700℃の温度下で焼成すること
により、比較ビルダー2を得た。この粉体の吸油能は
0.35ml/gと低いものであった。
【0099】比較例3 325メッシュパスの珪石粉と水酸化カリウムを表6に
示す組成となるようV型ミキサーで混合し、これを60
0℃の温度下で焼成する事により、比較ビルダー3を得
た。表6に示すように、この粉体の吸油能は0.37m
l/gと低く、またアルカリ能は過剰なものであった。
【0100】比較例4 珪酸ソーダ水溶液中に消石灰を混合し、オートクレーブ
中、9kg/cm2 の圧力で20時間水熱合成を行い、
表6に示す組成の比較ビルダー4を得た。表6に示すよ
うに、この粉体の吸油能は0.35ml/gと低く、ま
たカチオン交換能、アルカリ能にも劣るものであった。
【0101】比較例5 珪酸ソーダ水溶液中に、水酸化マグネシウム、水酸化リ
チウムを混合し、オートクレーブ中180℃で20時間
水熱合成し、表6に示す組成の比較ビルダー5を得た。
表6に示すように、この粉体の吸油能は低く、またカチ
オン交換能、アルカリ能にも劣るものであった。
【0102】
【表6】
【0103】非晶質アルミノ珪酸塩(A)の合成 アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2 O 1.55重量
%、Al2 3 2.30重量%、Na2 O/Al2
3 =1.11(モル比))1010gを40℃で加熱
し、1500rpmの回転数で攪拌しながら珪酸ナトリ
ウム水溶液(Na2 O 2.75重量%、SiO2
7.88重量%、SiO2 /Na2 O=2.96(モル
比))700gを20分間滴下反応した。反応後、さら
に15分間加熱処理を行い、その後、濾過、洗浄を行っ
た。得られた湿潤ケーキを105℃、300torr、
10時間乾燥し、粉砕することによりX線回折より非晶
質アルミノ珪酸ナトリウムAの微粉末が得られたことを
確認した。得られた非晶質のアルミノ珪酸塩の組成は、
原子吸光分析及びプラズマ発光分析の結果、Al2 3
=21.1重量%、SiO2 =57.2重量%、Na2
O=21.7重量%であった。吸油能は210ml/1
00g、Ca交換能は182mgCaCO3 /gであっ
た。
【0104】洗浄剤組成物の調製例 前記の実施例1、10、39、46、57、および比較
例1、3で得られた無機ビルダー、前記のようにして合
成された非晶質アルミノ珪酸塩(A)等を用いて、表7
〜表9に示す組成からなる洗浄剤組成物(本発明品1〜
11、比較品1〜8)を以下の方法により製造した。即
ち、所定の粉末原料を攪拌式転動造粒機に入れ、液状の
非イオン界面活性剤を徐々に投入しながら、混合造粒し
た。表面改質剤を添加する場合は、造粒時に添加し、さ
らに混合を行うことにより造粒物の表面を被覆した。こ
のようにして、平均粒径200〜500μmの粉末の洗
浄剤組成物を得た。本発明の無機ビルダーを使用したも
のは、非イオン界面活性剤のしみ出しもなく、良好であ
った。なお、表7〜表9中のEOP は平均エチレンオキサ
イド付加モル数を表す。
【0105】試験例1(ケーキング性試験) 下記に示す方法で本発明品1〜11及び比較品1〜8に
ついてケーキング性試験を行った。その結果を表7〜表
9に示す。
【0106】(1)濾紙(東洋濾紙NO.2)で長さ1
0.2cm×幅6.2cm×高さ4cmの天部の無い箱
をつくる。四隅をホッチキスでとめる。 (2)この箱に試料50gを入れ、その上にアクリル樹
脂板と鉛板(または鉄板)(重量合計250g+15
g)をのせる。 (3)これを温度30℃、湿度80%の恒温恒湿器中に
放置し、10日後にケーキング状態について判定を行
う。
【0107】ケーキング性の判定は以下のようにして通
過率を求める事により行った。 通過率:試験後の試料を金網(またはフルイ、網目5m
m×5mm)上に静かにあけ、金網を通過した粉末の重
量を測り試験後の試料に対する通過率を求める。数値が
大きいほど、耐ケーキング性が良好である。 通過率(%)=〔通過した粉末の重量(g)/試料全体
の重量(g)〕×100 その結果、本発明品1〜11は比較品1〜8に比較し
て、耐ケーキング性に優れていた。
【0108】試験例2(洗浄力試験) 前記で調製した洗浄剤組成物(本発明品1〜11、比較
品1〜8)を用いて、下記に示す方法で洗浄力を測定し
た。その結果を表7〜表9に示す。
【0109】(人工汚染布の調製)10cm×10cm
の木綿布に下記組成の油脂と微量のカーボンブラックで
汚染して調製した。 綿実油 60% コレステロール 10% オレイン酸 10% パルミチン酸 10% 液体及び固体パラフィン 10%
【0110】(洗浄条件)2槽式洗濯機(東芝(株)
製,銀河)を使用して、洗濯時間10分、温度20℃、
使用水3°DH(Ca/Mg=3/1)、流水すすぎ8
分、洗浄剤濃度0.1%、0.75%、0.50%で洗
濯を行った。
【0111】(洗浄率の算出)原布及び洗浄前後の55
0mμにおける反射率を自記色彩計(島津製作所製)に
て測定し、次式によって洗浄率D(%)を算出した。 D=(L2 −L1 )/(L0 −L1 )×100(%) L0 :原布の反射率 L1 :洗浄前汚染布の反射率 L2 :洗浄後汚染布の反射率
【0112】表7〜表9の結果より、本発明の洗浄剤組
成物は従来の配合と比較して、少ない無機ビルダーの使
用量で耐ケーキング性も良好で同等の洗浄性能を得る事
ができる。これは本発明における無機ビルダーが、吸油
能、イオン交換能とアルカリ能に優れた多機能のもので
ある為であり、その使用によって、従来の配合ではビル
ダーとアルカリ剤を別々に相当量用いていたものを、そ
の合計量よりも少ない配合量で同等の洗浄性能を得る事
ができるためである。
【0113】
【表7】
【0114】
【表8】
【0115】
【表9】
【0116】
【発明の効果】本発明の吸油能を有する合成無機ビルダ
ーは、カチオン交換能及び耐水溶性に共に優れたもので
あるため、例えば洗浄剤に用いられる水軟水化剤、アル
カリ調整剤として有用である。従って、これを含有する
洗浄剤組成物は、洗浄効果が優れるとともに、洗浄剤の
濃縮化に適したものであり、洗浄剤包装材のコンパクト
化、さらには洗浄後の排水中の汚泥量の低減化につなが
り、資源環境の保全上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ラマン分光測定により得られたスペク
トルを示すものである。図中(a)は実施例57で得ら
れた無機ビルダーについてのものであり、(b)は比較
例1で得られたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 妻鳥 正樹 和歌山県和歌山市雑賀崎6−23 (56)参考文献 特開 平2−178398(JP,A) 特開 昭60−227895(JP,A) 特開 平5−5100(JP,A) 特開 平4−339898(JP,A) 特開 昭63−270368(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C11D 1/00 - 17/08 C01B 33/32

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸油能が0.5〜5.0ml/gであっ
    て、無水物の一般式としてxM2 O・ySiO2 ・z
    M' O(式中、MはNa及び/又はKを示し、M' はC
    a及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z
    /x=0〜1.0である。)で表される結晶性の合成無
    機ビルダー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の一般式において、y/
    x=1.9〜4.0、z/x=0.005〜1.0、M
    2 O中のK/Na=0〜8.0、M’O中のMg/Ca
    =0〜10で表される、吸油能が0.5〜5.0ml/
    gである結晶性の合成無機ビルダー。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の一般式において、y/
    x=0.5〜1.9、z/x=0.005〜1.0、M
    2 O中のK/Na=0.01〜8.0、M’O中のMg
    /Ca=0.02〜10で表される、吸油能が0.5〜
    5.0ml/gである結晶性の合成無機ビルダー。
  4. 【請求項4】 ラマン分光測定における900〜120
    0cm-1での散乱スペクトルにおいて、970±20c
    -1と1070±30cm-1に主たるシフトピークを有
    し、970±20cm-1におけるシフトピークの107
    0±30cm-1におけるシフトピークに対する強度比が
    0.1〜100である請求項3に記載の合成無機ビルダ
    ー。
  5. 【請求項5】 全細孔容積が0.5cc/g以上であっ
    て、細孔径0.01〜10μmの細孔容積が0.2cc
    /g以上である請求項1〜4いずれかに記載の合成無機
    ビルダー。
  6. 【請求項6】 カチオン交換容量が200mgCaCO
    3 /g以上である請求項1〜5いずれかに記載の合成無
    機ビルダー。
  7. 【請求項7】 酸に対する緩衝作用であるアルカリ能を
    有する請求項1〜6いずれかに記載の合成無機ビルダ
    ー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれかに記載の合成無機
    ビルダーを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
  9. 【請求項9】 非イオン界面活性剤を主基材とする請求
    項8記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。
  10. 【請求項10】 次の成分を含有してなる請求項9記載
    の非イオン性粉末洗浄剤組成物。 (a)請求項1〜7いずれかに記載の合成無機ビルダ
    ー、1〜70重量% (b)融点が40℃以下である非イオン界面活性剤、1
    0〜60重量%
  11. 【請求項11】 次の成分をさらに含有してなる請求項
    10記載の非イオン性粉末洗浄剤組成物。 (c)アルミノ珪酸塩、0.1〜89重量%
  12. 【請求項12】 非イオン界面活性剤が炭素数10〜2
    0の直鎖又は分岐鎖の1級又は2級アルコール1モルに
    対しエチレンオキサイドを平均5〜15モル付加させた
    ものである、請求項9〜11いずれかに記載の非イオン
    性粉末洗浄剤組成物。
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