JP3334939B2 - 車両のデフマウント構造 - Google Patents

車両のデフマウント構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディファレンシャル装
置を車体に弾性材を介して支持するデフマウント構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】プロペラシャフトの後端部に連結される
入力軸を前端部に有し、その後方左右に左右の駆動軸
(アクスルシャフト)に連結される出力軸を有する従来
より周知のリヤディファレンシャル装置は、一般に前側
1点,後側左右2点の合計3点で車体側に弾性材(ブッ
シュ)を介して弾性的に支持される。この3点の支持点
のうち前側の支持点は通常ディファレンシャル装置の前
後方向中心線上又はその中心線よりやや側方にオフセッ
トした位置に設定され、後側の左右の支持点は上記中心
線に直交する垂直面上で中心線から等距離の左右2点に
設定されるのが普通である(例えば実開平4−7926
号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ディファレンシャル装
置はプロペラシャフトからの回転トルク入力や駆動軸の
回転トルク反力等で強制変位加振されるが、それらの強
制変位加振が車体側になるべく伝わらないようにするた
めには、デフマウントのブッシュのバネ定数をできるだ
け低くするのが効果的である。ところがブッシュのバネ
定数をあまり低くすると、上記従来のデフマウント構造
のものでは、例えば加速,減速等の特定の荷重条件での
各ブッシュの分担荷重が著しく不均等となって、3点の
デフマウントのうち特定のブッシュに大きなひずみが生
じてストッパ当りがおこり、その衝撃的なノイズが車体
側に伝わって車室内騒音を大きくするという問題が生じ
る。そのために従来のデフマウント構造のものはブッシ
ュのバネ定数を充分には低くできないという課題を有し
ている。
【0004】本発明は上記のような従来の課題を解決す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、ディファレン
シャル装置のバネ下重心又はその極近傍位置を通り、入
力軸へ入力する回転トルクベクトルと左右の出力軸に連
結される左右の駆動軸の回転トルク反力ベクトルとの合
成回転トルクベクトルに垂直な平面上の上記重心より前
方の1点に前側デフマウントを設定し、該重心より後方
で、上記前側デフマウントを頂点とし上記合成回転トル
クベクトルに垂直な上記平面を対称軸とする2等辺三角
形の底辺上の2頂点位置にほぼ相当する2点に後側デフ
マウントを設定したことを第1の特徴とするものであ
る。また、上記車両のデフマウント構造において、前側
デフマウントと後側デフマウントとディファレンシャル
装置のバネ下重心との位置関係を、後述する(8) 式を満
足するよう設定したことを第2の特徴とするものであ
る。
【0006】
【作用】上記により、評価駆動トルク条件にて3点のデ
フマウント部の分担荷重をほぼ均等とし、特定のブッシ
ュに大きなひずみが生じないようにすることが容易であ
り、各デフマウント部のブッシュのバネ定数を充分に低
くしてもストッパ当りが生じないようにすることが可能
となり、ディファレンシャル装置から車体側への振動伝
達の低減,それに伴う車室内騒音の低減をはかることが
できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0008】図1は、リヤのディファレンシャル装置
(以下デフと略称する)1の平面図であり、左側が車両
前方,右側が車両後方であって、プロペラシャフト2の
後端がカップリングを介してデフ1前端の入力軸に連結
され、デフ1の後方左右の出力軸には左右の駆動軸3,
3が連結される。Gはデフ1のバネ下重心位置を表して
いる。
【0009】上記のような従来より公知のデフ1におい
て、本発明においては、デフ1の重心G又はその極近傍
位置を通り、プロペラシャフト2の回転トルクベクトル
Rと駆動軸3,3の回転トルク反力ベクトルTP との
合成回転トルクベクトルTTにほぼ垂直な平面X−X上
の重心Gより前方の1点に前側デフマウント11を設定
し、重心Gより後方で上記平面X−Xと直交する垂直面
上の該X−Xを挟んで等距離の2点を後側デフマウント
12,12とし、上記前側デフマウント11と後側デフ
マウント12,12とが平面X−Xを対称軸とする2等
辺三角形の頂点を形成する構造としたものである。
【0010】このように設定した前側デフマウント11
と後側デフマウント12,12との3点でデフ1を車体
側に弾性材(ブッシュ)を介して支持させることによ
り、評価トルク条件にて3点のブッシュの分担荷重がほ
ぼ均等状態となるようにすることが容易となり、ブッシ
ュのバネ定数を充分低くしても、加速から減速,減速か
ら加速といった駆動トルク条件でブッシュ部にストッパ
当りが生じるようなことがなくなり、デフ強制変位加振
を加振源とする振動の車体側への伝達を大幅に低減する
ことが可能となる。
【0011】即ち、前側デフマウント11の下向き力を
F,後側デフマウント12,12の1個当りの下向き力
をRとし、無負荷状態でのデフ1の質量をMとすると、
無負荷状態では F+2R=M F=−2R+M である。
【0012】駆動状態ではデフ1は前側が上り後側が下
がる。
【0013】上記FとRのイニシャルの値をそれぞれF
i ,Ri とし、駆動トルクTT のとき、Fi −TT /l
1 =Ri +TT /2l1 となるよう狙った場合、Ri
iとは下記数1の(4)式と(5)式のようになる。
【0014】
【数1】
【0015】この数1を図で表すと図2の通りである。
【0016】上記数1の(5)式から下記数2の(8)式が
導き出される。
【0017】
【数2】
【0018】そこでこの(8)式を満足するようデフ1の
バネ下質量Mと評価駆動トルクTTとl1 とl2 の関係
を設定すれば、評価駆動トルク条件にて各デフマウント
部の分担荷重がほぼ均等となり、各デフマウント部のブ
ッシュのバネ定数を充分低くしてもストッパ当りが発生
するようなことはなくなる。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、極めて簡
単な構成によってデフマウントのブッシュのバネ定数を
従来より低くし、デフから車体側への振動伝達を低減さ
せ車室内騒音の大幅な低減をはかることが可能となると
共に、加速から減速へ,減速から加速へというように駆
動トルクが大きく変化する場合でも、各デフマウント部
の荷重分担がほぼ均等となることによって、低いバネ定
数のブッシュであってもストッパ当りが発生しないよう
にすることが可能であり、コストアップを伴わないこと
と相俟って実用上多大の効果をもたらし得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す平面説明図である。
【図2】図1に示すデフマウント構造のものにおける前
側デフマウント部の下向き力Fと後側デフマウント部の
1個当りの下向き力Rとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ディファレンシャル装置 2 プロペラシャフト 3 駆動軸 11 前側デフマウント 12 後側デフマウント

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディファレンシャル装置のバネ下重心
    はその極近傍位置を通り、入力軸へ入力する回転トルク
    ベクトルと左右の出力軸に連結される左右の駆動軸の回
    転トルク反力ベクトルとの合成回転トルクベクトルに垂
    直な平面上の上記重心より前方の1点に前側デフマウン
    トを設定し、該重心より後方で、上記前側デフマウント
    を頂点とし上記合成回転トルクベクトルに垂直な上記
    面を対称軸とする2等辺三角形の底辺上の2頂点位置に
    ほぼ相当する2点に後側デフマウントを設定したことを
    特徴とする車両のデフマウント構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した車両のデフマウント
    構造において、前側デフマウントを頂点とし後側デフマ
    ウントの2点を結ぶ直線を底辺とする2等辺三角形の上
    記頂点から底辺へ下ろした垂直線の長さl1 と、ディフ
    ァレンシャル装置のバネ下重心から上記垂直線の上記底
    辺への交点までの長さl2 とを、下記数3の式を満足す
    る関係に設定したことを特徴とする車両のデフマウント
    構造。尚、数3の式において、Mはディファレンシャ
    ル装置のバネ下質量、TT は評価駆動トルクである。) 【数3】
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