JP3333720B2 - 車体フレーム用Al合金製中空フレーム部材 - Google Patents

車体フレーム用Al合金製中空フレーム部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車体フレーム用Al
合金製中空フレーム部材,特に衝突エネルギ吸収能を持
つものに関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車の軽量化の要請から,車体フレー
ムを,Al合金よりなる種々の中空フレーム部材と継手
部材とより構成したものが知られている。この場合,車
体フレームには,例えばその前部左右に,車体長方向に
延び,且つ圧潰により衝突エネルギ吸収能を発揮するA
l合金製中空フレーム部材が備えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら中空フレーム部
材による衝突エネルギ吸収効率を高めるためには,衝突
時中空フレーム部材がその先端から安定して圧潰するこ
と,中空フレーム部材におけるピーク荷重が小さいこ
と,ピーク荷重発生後の荷重振幅が小さく,一定荷重が
発生すること,衝突荷重を確実に受止めるべく,その衝
突荷重の受け面が広いこと等が要求される。
【0004】ところが,Al合金は,その特性上耐力が
低いことから,従来の中空フレーム部材は,その全長に
亘って肉厚が厚く,また同一横断面積を持つように構成
されている。そのため従来の中空フレーム部材は,衝突
時において,その圧潰性が不安定であり,またピーク荷
重も比較的大きくなり,その上ピーク荷重発生後の荷重
振幅が大きく,一定荷重を発生させることができない,
さらに衝突荷重に対する受け面が狭い等の問題があり,
したがって従来の中空フレーム部材によったのでは,衝
突エネルギ吸収効率を十分に高めることは極めて困難で
あった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は,特定の構成を
具備させることによって,衝突エネルギ吸収効率を十分
に高めることができるようにした前記車体フレーム用A
l合金製中空フレーム部材を提供することを目的とす
る。
【0006】前記目的を達成するため本発明によれば,
車体フレームの一部を構成し,且つ衝突エネルギ吸収能
を持つAl合金製中空フレーム部材において,先端に衝
突荷重の受け面となる環状端面を備えた末広がりの管部
を有しており,この末広がりの管部は,衝突時にその先
端から安定して圧潰されるように,横断面積が基端側か
ら前記受け面に向って漸増すると共に肉厚が前記基端側
から前記受け面に向って漸減している車体フレーム用A
l合金製中空フレーム部材が提供される。
【0007】ここで,横断面積とは,中空フレーム部材
をその軸線に直交する平面で切断したとき,その平面内
に存する中空フレーム部材の輪郭で囲まれた部分全体の
面積をいう。
【0008】前記のように,横断面積と厚さとの関係を
特定すると,衝突時中空フレーム部材がその先端から安
定して圧潰し,また中空フレーム部材におけるピーク荷
重が小さくなり,さらにピーク荷重発生後の荷重振幅が
小さく,一定荷重が発生する。その上,中空フレーム部
材は末広がりの管部を有していて,その先端の受け面が
広いので衝突荷重を確実に受止めることが可能である。
このような中空フレーム部材によれば,衝突エネルギ吸
収効率を十分に高めることが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】図1において,乗用車用車体フレ
ーム1は,Al合金よりなる種々の車体フレーム部材お
よび継手部材を用いて組立てられている。その車体フレ
ーム1の前部において,左右の前輪の車軸2を回避すべ
く一対のキックアップ部3が存在する。各キックアップ
部3は,後端部をフロア部材4に固定されて前方へ伸び
る弓形中空フレーム部材としての中空サイドフレーム部
材5と,その中空サイドフレーム部材5の前端部を支持
するフロントクロス部材6とを備えている。図示例で
は,1つのフロントクロス部材6が左右のキックアップ
部3に併用されている。
【0010】各中空サイドフレーム部材5は,図2,3
に明示するようにAl合金より構成されると共に衝突エ
ネルギ吸収能を持つ。即ち,中空サイドフレーム部材5
は,車体長方向前側に位置する末広がりで,且つ横断面
円形の前管部7と,その前管部7の後端,つまり基端に
連設された横断面円形で,且つ全長に亘り等径の後管部
8とよりなる。前管部7は,一端,つまり前端に衝突荷
重の受け面9となる環状端面を備えている。また前管部
7においては,横断面積sが他端側,つまり基端側から
受け面9に向って漸増すると共に肉厚tが基端側から受
け面9に向って漸減している。後管部8の肉厚は,その
全長に亘り,前管部7の基端の肉厚に等しい。前管部7
の横断面積sとは,前管部7をその軸線aに直交する平
面pで切断したとき,その平面p内に存する前管部7の
輪郭oで囲まれた部分全体の面積をいう。
【0011】このような中空サイドフレーム部材5の製
造に当っては,図4に示すように後管部8と同様の,横
断面円形の管状素材10を押出し加工により製造し,次
いで,その管状素材10に所定長さ範囲に亘り拡管加工
を施して前管部7を形成し,その後,弓形に折曲げるも
のである。
【0012】前管部7における横断面積sと厚さtとの
関係を前記のように特定すると,衝突時前管部7がその
先端から安定して圧潰し,また図5に示す時間−荷重曲
線において,前管部7におけるピーク荷重が小さくな
り,さらにピーク荷重発生後の荷重振幅が小さく,一定
荷重が発生する。その上,前管部7は末広がりに形成さ
れていて,その受け面9が広いので衝突荷重を確実に受
止めることができる。このような前管部7を持つ中空サ
イドフレーム部材5によれば,衝突エネルギ吸収効率を
十分に高めることが可能である。
【0013】図6(b)に示すAl合金製中空サイドフ
レーム部材51 は,車体長方向前側に位置する末広がり
で,且つ横断面六角形の前管部7と,その前管部7の基
端に連設された横断面六角形で,且つ全長に亘り等しい
横断面積を有する後管部8とよりなる。このような中空
サイドフレーム部材51 の製造に当っては,図6(a)
に示すように押出し加工により製造された,後管部8と
同様の,横断面六角形の管状素材101 を用いて,前記
と同様の方法を実施する。
【0014】この中空サイドフレーム部材51 は,図7
(a)にも明示するように,帯状上壁11と,その上壁
11に対向する帯状下壁12と,上壁11の両側縁およ
び下壁12の両側縁間をそれぞれ繋ぐと共に横断面V字
形をなす一対の側壁13とを有する。衝突時には,前記
同様に,前管部7がその先端から安定して圧潰する。ま
た,衝突荷重を吸収すべく中空サイドフレーム部材51
の長手方向略中央部,つまり弓形の略頂点部T(図2に
も明示)において,図7(a)に示すように下壁12に
作用する圧縮力に起因してその下壁12を上壁11側に
突上げる力Fが発生すると,図7(b)に示すように両
側壁13の折曲げ部14がその折曲げ角θを減少させる
ように圧縮変形し,この圧縮変形量に応じて上壁11の
伸びが抑制される。これにより上壁11の伸びを,その
構成材料であるAl合金が持つ限界値内にとどめて,そ
の破断を回避し,衝突エネルギ吸収効率を大いに高める
ことが可能である。
【0015】図8(b)に示すAl合金製中空サイドフ
レーム部材52 は,車体長方向前側に位置する末広がり
で,且つ横断面長方形の前管部7と,その前管部7の基
端に連設された横断面長方形で,且つ全長に亘り等しい
横断面積を有する後管部8とよりなる。このような中空
サイドフレーム部材52 の製造に当っては,図8(a)
に示すように押出し加工により製造された,後管部8と
同様の,横断面長方形の管状素材102 を用いて,前記
と同様の方法を実施する。
【0016】
【発明の効果】本発明のAl合金製中空フレーム部材
は,先端に衝突荷重の受け面となる環状端面を備えた末
広がりの管部を有しており,この末広がりの管部は,衝
突時にその先端から安定して圧潰されるように,横断面
積が基端側から前記受け面に向って漸増すると共に肉厚
が前記基端側から前記受け面に向って漸減しているの
で,衝突時に上記末広がりの管部がその先端から安定し
て圧潰し,これにより,該管部におけるピーク荷重が小
さくなり,さらにピーク荷重発生後の荷重振幅が小さく
なって,一定荷重を発生させることができる。その結
果,上記末広がりの管部の広い受け面で衝突荷重を確実
に受止めることができ,衝突エネルギ吸収効率を十分に
高めることが可能な車体フレーム用Al合金製中空フレ
ーム部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体フレームの要部斜視図である。
【図2】サイドフレーム部材の一例を示す斜視図であ
る。
【図3】図2の3−3線拡大断面図である。
【図4】押出し加工による管状素材と中空サイドフレー
ム部材との関係の第1例を示す要部斜視図である。
【図5】時間と荷重との関係を示すグラフである。
【図6】押出し加工による管状素材と中空サイドフレー
ム部材との関係の第2例を示す要部斜視図である。
【図7】中空サイドフレーム部材の第2例の圧縮変形説
明図である。
【図8】押出し加工による管状素材と中空サイドフレー
ム部材との関係の第3例を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 車体フレーム 3 キックアップ部 5,51 ,52 中空サイドフレーム部材(中空フレ
ーム部材) 9 受け面 11 帯状上壁 12 帯状下壁 13 側壁 s 横断面積 t 肉厚
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/20 B62D 21/02 B62D 25/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体フレーム(1)の一部を構成し,且
    つ衝突エネルギ吸収能を持つAl合金製中空フレーム部
    材(5,51 ,52 )において,先 端に衝突荷重の受け面(9)となる環状端面を備えた
    末広がりの管部(7)を有しており,この末広がりの管
    部(7)は,衝突時にその先端から安定して圧潰される
    ように,横断面積(s)が基端側から前記受け面(9)
    に向って漸増すると共に肉厚(t)が前記基端側から前
    記受け面(9)に向って漸減していることを特徴とす
    る,車体フレーム用Al合金製中空フレーム部材。
  2. 【請求項2】 前記車体フレーム(1)のキックアップ
    部(3)を構成すべく弓形に折曲げられ,且つ横断面六
    角形をなすと共に帯状上壁(11)と,その上壁(1
    1)に対向する帯状下壁(12)と,前記上壁(11)
    の両側縁および前記下壁(12)の両側縁間をそれぞれ
    繋ぐと共に横断面V字状をなす一対の側壁(13)とを
    有する,請求項1記載の車体フレーム用Al合金製中空
    フレーム部材。
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