JP2011126490A - バンパー構造体 - Google Patents

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Tsunetake Tsuyoshi
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Abstract

【課題】バリヤ衝突に際して発生するバンパーリインフォースの引張荷重による溶接部の割れを防止し、あるいは仮に溶接部に割れが生じてもその伝播を抑え、溶接部の剥がれが生じないようにして、衝突エネルギー吸収性能の低下を防止する。
【解決手段】バンパーリインフォース1とバンパーステイ2の間に中空断面のアルミニウム押出材からなる天板3を、押出方向を車体上下方向に向けて配置し、バンパーリインフォース1とバンパーステイ2に対し溶接接合する。天板3の前側フランジがバンパーリインフォース1の端部真直部6に溶接される。
【選択図】図1

Description

本発明は、両端部が車体後方側に曲げられたアルミニウム押出材製のバンパーリインフォースの背面側に、一対のアルミニウム押出材製のバンパーステイが配置されたバンパー構造体の改良に関する。
バンパーリインフォースの背面側に一対のバンパーステイが接合したバンパー構造体において、バンパーリインフォースの中央部に衝突荷重が掛かると、接合部の車幅方向外側の部分に引張荷重が掛かる(特許文献1参照)。特にバンパーリインフォースの両端部が車体後方側に曲げられ、該両端部にバンパーステイが接合している場合、衝突荷重によりバンパーリインフォースの前記両端部が曲げ戻され、その曲げ戻し力により車幅方向外側の接合部に強い引張荷重が掛かる。このため、バンパーリインフォースとバンパーステイが溶接接合されている場合、溶接部の車幅方向外側の部分に溶接割れが生じ、さらにその割れが伝播して、バンパーリインフォースがバンパーステイの前面から剥がれて浮き上がるという事態が生じ得る。
図12はその状態を模式的に示すもので、バリヤ衝突時にバンパーリインフォース1が矢印方向に曲げ戻され(曲げ戻されたバンパーリインフォース1を一点鎖線で示す)、バンパーリインフォース1とバンパーステイ2の車幅方向外側の溶接部が剥がれ、バンパーリインフォース1がバンパーステイ2から浮き上る。なお、曲げ戻し力程度ではバンパーステイ2は塑性変形しない。
また、この種のバンパー構造体において、溶接精度向上のため、図13に示すように、バンパーステイ2とバンパーリインフォース1の間に板状の天板3が設けられることがある(特許文献2参照)。しかし、天板3には曲げ戻し力を吸収する効果がないため、図12の直付けと同じく、曲げ戻し力が主として車幅方向外側の溶接部に直接及び、当該溶接部が剥がれ、バンパーリインフォース1がバンパーステイ2から浮き上がる。
このように、衝突時にバンパーリインフォースとバンパーステイの溶接部が剥がれ、バンパーリインフォースがバンパーステイの前面から浮き上がると、バンパーリインフォース及びバンパーステイの反力が低下し、座屈が急速に進行して変位が拡大し、その結果、バンパー構造体としての衝突エネルギー吸収性能(エネルギー吸収量及びエネルギー吸収効率)が低下する。特に新IIHS(Insurance Institute for Highway Safety)のバリア衝突条件では、バンパーリインフォースに対し衝突時の曲げ戻し力が大きく作用し、バンパーリインフォースとバンパーステイの溶接部で溶接割れ、及び溶接部の剥がれが生じる可能性が高まる。
特開2004−255991号公報(段落0005〜0006,図11) 特開2005−7475号公報(図41(a))
従って、本発明は、バンパーステイがバンパーリインフォースの背面側に溶接接合されたバンパー構造体において、バリヤ衝突に際して発生する引張荷重による溶接部の割れを防止し、あるいは仮に溶接部に割れが生じてもその伝播を抑え、溶接部の剥がれが生じないようにし、衝突エネルギー吸収性能の低下を防止できるようにすることを目的とする。
本発明は、両端部が車体後方側に曲げられたアルミニウム押出材製のバンパーリインフォースの背面側に、一対のアルミニウム押出材製のバンパーステイが配置されたバンパー構造体に関し、前記バンパーリインフォースとバンパーステイの間に中空断面のアルミニウム押出材からなる天板が押出方向を車体上下方向に向けて配置され、前記バンパーリインフォースと天板及び前記バンパーステイと天板がそれぞれ溶接され、前記バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向外側端が、前記バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置している。
なお、本明細書において、車両のフロント側、リア側に関わらず、衝突面側が前、車体側が後である。
上記バンパー構造体において、バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置とは、バンパーリインフォースの中央真直部の両端位置、すなわち曲げが始まる位置を意味する。バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向外側端が、この内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置するとき、バリヤ衝突に際して溶接部の車幅方向外側端に作用する引張荷重が大きくなり、また、バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向外側端がより車幅方向外側に位置するほど、該溶接部に作用する引張荷重が大きくなる。従って、本発明の効果も大きくなる。
上記バンパー構造体は、例えば次のような好ましい具体的形態をとることができる。
(1)バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向内側端がバンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置していること。
(2)天板が、バンパーリインフォースに溶接される前側フランジと、バンパーステイに溶接される後側フランジと、前後のフランジをつなぐ車幅方向内側の内側リブ及び車幅方向外側の外側リブを有すること。このとき、内側リブと外側リブの間に中リブが存在してもよい。
(3)上記(2)において、前側フランジの車幅方向内側端が前記バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置していること。
(4)上記(2)において、前記前側フランジが前記内側リブ及び外側リブより車幅方向内側及び外側に突出する突出フランジ部を有すること。
(5)前側フランジの前記外側リブより車幅方向外側に突出する突出フランジ部の突出長さが、内側リブと外側リブの間隔の1/4より大きく、かつその端部がバンパーリインフォースに溶接されていること。
(6)上記(3)〜(5)において、外側リブが湾曲形状を有すること。
本発明のバンパー構造体によれば、バンパーリインフォースとバンパーステイの間に中空断面の天板が配置されたことにより、前面衝突時に、前記天板が圧壊変形して溶接部の車幅方向外側部分に掛かる引張荷重を吸収する。特にバンパーリインフォースの曲げ戻しが生じた場合に、前記天板が圧壊変形して曲げ戻しの変形を吸収し、曲げ戻し力(溶接部の車幅方向外側部分に対し引張荷重となる)を軽減して、これにより溶接割れを防止する。また、仮に溶接割れが完全に防止できない場合でも、溶接割れの進行を抑え、溶接部の剥がれを抑える効果がある。
これにより、溶接構造のバンパー構造体において、前面衝突時における衝突エネルギー吸収性能の低下を防止することができる。
本発明に係るバンパー構造体の平面図である。 実施例に用いたバンパーステイ(a)及びバンパーリインフォース(b)の断面図である。 本発明に係る天板の断面図である。 本発明に係るバンパー構造体の背面側斜視図(a)及び前面側斜視図(b)である。 前面衝突時における天板の変形形態を説明する平面図である。 本発明に係る他の天板の断面図である。 本発明に係るさらに他の天板の断面図である。 本発明に係るさらに他の天板の断面図である。 前面衝突時における他の天板の変形形態を説明する平面図である。 実施例のバリア衝突試験の説明図である。 実施例で得られたバリア衝突試験の荷重−変位曲線である。 前面衝突時における従来のバンパー構造体の溶接部の割れを説明する平面図である。 前面衝突時における従来のバンパー構造体の溶接部の割れを説明する平面図である。
以下、図1〜11を参照し、本発明に係るバンパー構造体の構造及び作用について具体的に説明する。
本発明に係るバンパー構造体は、図1に示すように、バンパーリインフォース1、バンパーステイ2、及びバンパーリインフォース1とバンパーステイ2の間に配置された天板3からなる。4はサイドフレームである。バンパーリインフォース1、バンパーステイ2、及び天板3はいずれもアルミニウム押出材製(純アルミニウム及びアルミニウム合金を含む)である。
このバンパー構造体において、バンパーリインフォース1及びバンパーステイ2は、例えば図2(a),(b)に示す断面形状を有する。
バンパーリインフォース1は、両端部が車体側に曲げ加工され、中央真直部5、端部真直部6,6及び曲げ加工部7,7(両矢印で示す範囲)からなり、中央真直部5と曲げ加工部7の境界が内側曲げ開始位置7aである。バンパーリインフォース1の断面は、衝突面側の前壁8、車体側の後壁9、両壁8,9を接続する上壁11、中壁12及び下壁13からなる、いわゆる日形断面を有する(図中のサイズは後述する実施例のもの)。
バンパーステイ2は、押出方向が車体前後方向を向いて配置され、断面は、長方形の輪郭14(上下壁15,16及び側壁17,18)と、十字形に交差する2つのリブ19,21からなる、いわゆる田形断面を有する(図中のサイズは後述する実施例のもの)。
天板3は、図3に示すように中空断面を有し、バンパーリインフォース1の端部真直部6の背面(後壁9)に接合される前側フランジ22(前記端部真直部6と同じ角度で傾斜)、バンパーステイ2の前端に接合される後側フランジ23、両フランジ22,23を接続する車幅方向内側の内側リブ24及び車幅方向外側の外側リブ25からなる。前側フランジ22は、車幅方向内外に内側突出フランジ部22aと外側突出フランジ部22bを有し、後側フランジ23は内側突出フランジ部23aと外側突出フランジ部23bを有する。内側リブ24は車体前後方向を向く平板であり、外側リブ25は同じく車体前後方向を向くが、車体幅方向内向きに湾曲部を有する。天板3は、押出方向が車体上下方向を向いて配置される。
このバンパー構造体において、天板3の前側フランジ22がバンパーリインフォース1の端部真直部6の背面に密着し、後側フランジ23がバンパーステイ2の前端(切断端面)に密着して、それぞれ溶接接合される。その接合形態の一例を図4(a),(b)に示す。
図4(a),(b)に示すように、天板3の前側フランジ22は、内側突出フランジ部22a及び外側突出フランジ部22bの各端面とバンパーリインフォース1の後壁9の背面がそれぞれ重ね隅肉溶接され(溶接部a,b)、かつ内側リブ24と外側リブ25の間において前側フランジ22の前面とバンパーリインフォース1の上壁11の上面及び下壁12の下面(図示せず)がそれぞれ隅肉溶接されている(溶接部c)。また、後側フランジ23は、その背面とバンパーステイ2の輪郭14(上下壁15,16及び側壁17,18)の壁面が全周隅肉溶接されている。
このバンパー構造体において、バンパーリインフォース1、バンパーステイ2及び天板3の圧壊荷重(それぞれの部材を車体前後方向に圧縮し座屈させたときの初期最大荷重)は、バンパーリインフォース1≦天板3<バンパーステイ2、の関係で設定される。なお、バンパーリインフォース1の曲げ戻し荷重(曲げ戻しが生じる荷重)は、バンパーリインフォース1の圧壊荷重より小さい。圧壊荷重に関する上記関係は衝突面側から順に座屈変形させるという考え方に基づくもので、従来技術においても常套手段としてバンパーリインフォースの圧壊荷重はバンパーステイより小さく設定され、バンパーリインフォースの曲げ戻し荷重はその圧壊荷重より小さい。
このバンパー構造体におけるバリヤ衝突時の天板3の変形形態(軽衝突又は衝突初期を想定)の一例を図5に示す。図5において、実線は天板3の変形前の形状(バンパーリインフォース1の変形前の形状は図示省略)、一点鎖線はバリア衝突により曲げ戻しされたバンパーリインフォース1と天板3の形状を示す。以下の3つの要因により、バリア衝突時における溶接部の割れを防止又は抑制することができる。
(1)天板3が中空である(衝突方向に変形するリブ24,25が存在する)ので、バリア衝突時にバンパーリインフォース1に曲げ戻しが生じても、リブ24,25が変形して曲げ戻し力を吸収する。仮に溶接部b(大きい引張荷重が掛かる)に溶接割れが生じても、バンパーリインフォース1により天板3がさらに押し込まれたとき、リブ24,25が座屈変形して曲げ戻し力が吸収され、引張荷重が低減し、溶接割れの伝播が止められる。
(2)バリヤ衝突時、バンパーリインフォース1が曲げ戻されると、車幅方向に対する傾斜角度が小さくなって、バンパーリインフォース1は衝突面側に持ち上げられる。このとき予め曲げられていた天板3の外側リブ25が延び(湾曲している分、延び代がある)、バンパーリインフォース1の曲げ戻し力を吸収する。これにより、溶接部(特に溶接部b)に付加される引張荷重が低減し、該溶接部の割れが防止される。
(3)バリヤ衝突時、バンパーリインフォース1が曲げ戻されると、車幅方向に対する傾斜角度が小さくなって、バンパーリインフォース1は衝突面側に(矢印方向)持ち上げられる。一方、前側フランジ22の突出フランジ部22bが車幅方向に長く、外側リブ25と端面の間の範囲(範囲H)が溶接されていないことから、バンパーリインフォース1が衝突面側に持ち上げられたとき、同範囲において外側突出フランジ部22bがバンパーリインフォース1の後壁9から離れる方向に変形し、これによってもバンパーリインフォース1の曲げ戻し力が吸収される。曲げ戻し力が吸収されることにより、溶接部(特に溶接部b)に付加される引張荷重が低減し、該溶接部bの割れが防止される。なお、この作用を得るためには、前側フランジ22の外側突出フランジ部22bの幅Wは大きい方が望ましく、両リブ24,25間の幅をWとしたとき、W/W≧1/4(0.25)、さらにW/W≧1/3(0.33)とすることが望ましい(W,Wについては図3参照)。
なお、上記の例では、バンパーリインフォース1として、日形断面のアルミニウム押出材を用いたが、背面に天板3を密着させ得るのであれば、他の矩形輪郭、その他の形状が適宜選択し得る。また、バンパーステイ2として、田形断面のアルミニウム押出材を縦圧壊型ステイとして用いたが、他の断面形状が適宜選択でき、横圧壊型ステイも適用可能である。
さらに、上記の例では、溶接部cの範囲を内側リブ24と外側リブ25の間としたが、突出フランジ部22aの端面まで適宜の範囲で延長することができ、突出フランジ部22bの端面に向けて適宜の範囲で延長することもできる。また、前記(3)の作用を得るには、前記範囲Hの部分をバンパーリインフォース1と溶接しない(変形代として確保する)ことが望ましいが、溶接部bの補強のため、溶接部bの上端及び/又は下端から続いて前面側に所定範囲回し込み溶接(前側フランジ22の前面とバンパーリインフォース1の上壁11の上面及び下壁12の下面を隅肉溶接)することもできる。回し込み溶接する部分を図4(b)に範囲dで例示する。
図6に本発明に係る他の天板3Aを示す。この天板3Aは、外側リブ25が内側リブ24と同様に平板状である点でのみ、図3に示す天板3と異なる。天板3Aの場合、天板3に関して述べた前記要因の(1)、(3)に基づいて、バリア衝突時における溶接部の割れを防止又は抑制することができる。溶接箇所は天板3と同じでよい。
図7に本発明に係る他の天板3Bを示す。この天板3Bは、前側フランジ22の外側の突出フランジ部22bが短い点でのみ、図3に示す天板3と異なる。天板3Aの場合、天板3に関して述べた前記要因の(1)、(2)に基づいて、バリア衝突時における溶接部の割れを防止又は抑制することができる。溶接箇所は天板3と同じでよい。
図8に本発明に係る他の天板3Cを示す。この天板3Cは、外側リブ25が内側リブ24と同様に平板状である点、及び前側フランジ22の外側の突出フランジ部22bが短い点でのみ、図3に示す天板3と異なる。溶接箇所は天板3と同じでよい。
天板3Cを用いたバンパー構造体におけるバリヤ衝突時の天板3Cの変形形態の一例を図9に示す。図9において、実線は天板3Cの変形前の形状(バンパーリインフォース1の変形前の形状は図示省略)、一点鎖線はバリア衝突により曲げ戻しされ、かつ押し込まれたバンパーリインフォース1と天板3Cの形状を示す。
この天板3Cは中空である(衝突方向に変形するリブ24,25が存在する)ので、バリア衝突時にバンパーリインフォース1に曲げ戻しが生じても、リブ24,25が変形して曲げ戻し力を吸収する。仮に溶接部bに溶接割れが生じても、図9に示すようにバンパーリインフォース1により天板3がさらに押し込まれたとき、リブ24,25が座屈変形して曲げ戻し力が吸収され、溶接割れの伝播が止められる。これによりバンパーリインフォース1と天板3Cの間の溶接部が維持され、さらにバンパーリインフォース1が押し込まれた場合に、バンパーステイ2によるエネルギー吸収が期待できる。なお、バンパーリインフォース1と天板3Cの間の溶接部が維持されないと、バンパーステイ2によるエネルギー吸収が阻害される。
なお、以上説明した天板3,3A〜3Cにおいて、外側リブ25は内向きに湾曲していたが、これはバリア衝突時にバンパーリインフォース1が衝突面側に持ち上げられたときの外側リブ25の全長を長くして延び代を確保するためであるので、外向きあるいはS字形等の湾曲、さらにはくの字形の屈曲でもよい。また、内側リブ24についても予め曲げておくことができる。内側リブ24が平板状だと衝突時に急激に座屈して、急激な荷重低下が生じる可能性があるが、内側リブ24を曲げておくことで急激な荷重低下が抑制される。
バンパーリインフォース及びバンパーステイに、種々の断面形状の天板を溶接してバンパー構造体(実施例1〜5、比較例1〜2)を製造した。これらの部材いずれもアルミニウム押出材(JIS7003−T5)からなる。
バンパーリインフォースは、図1に示す平面視形状、及び図2(a)に示す断面形状及びサイズ(単位:mm)を有し、車幅方向長さが1300mm、曲げ加工部の内側曲げ半径(後壁側の曲げ半径)が200mm、曲げ角度が15°、車幅方向中央からバンパーステイまでの距離が415mm、前壁(衝突面側)の板厚が3mm、後壁の板厚が2.5mm、上下壁及び中壁の板厚が2mmとされ、天板又はバンパーステイは端部真直部に接合されている。
バンパーステイは、図2(b)に示す断面形状及びサイズ(単位:mm)を有し、板厚が全て2mm、車体前後方向長さが220m、矩形断面輪郭の幅広側が上下壁となるように設置されている。
実施例1〜5及び比較例1〜2において、バンパーリインフォース及びバンパーステイは共通の断面形状及びサイズを有する。
実施例1〜5において、天板は次の形状及びサイズを有する。なお、天板とバンパーリインフォースの溶接、及び天板とバンパーステイの溶接は、図4を参照して説明したように行われている。
実施例1;図3に示す断面形状及びサイズを有する。板厚は全て3mm、前側フランジの車幅方向に対する傾斜角度が15°、前側フランジの両リブ間の幅が80mm、前側フランジの内側突出フランジ部の幅が10mm、前側フランジの外側突出フランジ部の幅が30mm、後側フランジの幅が200mm、内側リブの前後方向高さが60mm、外側リブの曲げ半径が40mm、天板の車体上下方向高さが125mmである。
実施例2;図6に示す断面形状を有する。外側リブが曲げられていない点でのみ、実施例1と異なる。
実施例3;図7に示す断面形状を有する。前側フランジの外側突出フランジ部の幅が5mmである点でのみ、実施例1と異なる。
実施例4;図8に示す断面形状を有する。外側リブが曲げられていない点と前側フランジの外側突出フランジ部の外幅が5mmである点でのみ、実施例1と異なる。
実施例5;実施例2に類似するが、内側リブが車幅方向外向きに半径40mmで曲げられている点で、実施例2と異なる。
比較例1,2については次のとおり。
比較例1;天板を有しない(図12参照)。バンパーステイとバンパーリインフォースの溶接は全周溶接とした。
比較例2;天板が単なる板である(図13参照)。天板とバンパーリインフォースの溶接、天板とバンパーステイの溶接はいずれも全周溶接とした。
実施例1〜5及び比較例1,2のバンパー構造体を図10に示すように、取り付け治具26に水平に固定し、押し治具(バリア)27に対し速度30mm/minで衝突させる、静的バリア試験を行った。その結果を表1及び図11に示す。
Figure 2011126490
表1に示すように、実施例1〜3,5では、天板とバンパーリインフォースとの溶接部に割れが発生せず、当然溶接部の剥がれもなかった。実施例4では、天板の前側フランジの外側端面とバンパーリインフォースの溶接部に割れが発生したが、その割れが伝播せず、溶接部の剥がれが生じなかった。
一方、比較例1では、図12,13を参照して説明したような溶接割れ及び溶接部の剥がれが生じた。
また、図11をみると、実施例1〜4は、従来例である比較例1,2に比べて、圧縮荷重が大きく、圧縮荷重の変動が小さい。実施例5は実施例2よりさらに荷重ピークが低く荷重落ち込みも少ない。このように、実施例1〜5は比較例1,2に比べて衝突エネルギー吸収性能が高くなっている。
1 バンパーリインフォース
2 バンパーステイ
3 天板
22 前側フランジ
23 後側フランジ
24 内側リブ
25 外側リブ
22a,23a 内側突出フランジ部
22b,23b 外側突出フランジ部

Claims (7)

  1. 両端部が車体後方側に曲げられたアルミニウム押出材製のバンパーリインフォースの背面側に、一対のアルミニウム押出材製のバンパーステイが配置されたバンパー構造体であって、前記バンパーリインフォースとバンパーステイの間に中空断面のアルミニウム押出材からなる天板が押出方向を車体上下方向に向けて配置され、前記バンパーリインフォースと天板及び前記バンパーステイと天板がそれぞれ溶接され、前記バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向外側端が前記バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置していることを特徴とするバンパー構造体。
  2. 前記バンパーリインフォースと天板の溶接部の車幅方向内側端が前記バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置していることを特徴とする請求項1に記載されたバンパー構造体。
  3. 前記天板は、前記バンパーリインフォースに溶接される前側フランジと、前記バンパーステイに溶接される後側フランジと、前記両フランジをつなぐ車幅方向内側の内側リブ及び車幅方向外側の外側リブを有することを特徴とする請求項1又は2に記載されたバンパー構造体。
  4. 前記前側フランジの車幅方向内側端が前記バンパーリインフォースの内側曲げ開始位置より車幅方向外側に位置していることを特徴とする請求項3に記載されたバンパー構造体。
  5. 前記前側フランジが前記内側リブ及び外側リブより車幅方向内側及び外側に突出する突出フランジ部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載されたバンパー構造体。
  6. 前記前側フランジの前記外側リブより車幅方向外側に突出する突出フランジ部の突出長さが前記内側リブと外側リブの間隔の1/4より大きく、かつその端部が前記バンパーリインフォースに溶接されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載されたバンパー構造体。
  7. 前記外側リブが湾曲形状を有することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載されたバンパー構造体。
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