JP2004314790A - 自動車用バンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車体の左右方向に延在する第1中空ビーム部材(バンパビーム1)と、車体の前後方向に延在する第2中空ビーム部材(衝撃吸収部材2)とを結合してなる自動車用バンパにおいて、第2中空ビーム部材の先端部を、第1中空ビーム部材の車体側の縦壁(4)に設けた孔(5)を貫通させて反車体側の縦壁の内面に結合するものとする。これにより、第1中空ビーム部材内にその先端を突入させた第2中空ビーム部材の車体前後方向に沿う座屈変形で衝突時の衝撃エネルギが吸収されることとなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の左右方向に延在する第1中空ビーム部材(バンパビーム)と、車体の前後方向に延在する第2中空ビーム部材(サイドフレーム)とを結合してなる自動車用バンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中空の閉断面部材で構成されたフロントサイドフレームの先端に、中空の閉断面部材で構成されたバンパビームを取り付ける構造が、例えば、特開2001−63619号公報、あるいは特開2001−58550号公報に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−63619号公報(図2)
【特許文献2】
特開2001−58550号公報(図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献に開示された従来の技術によると、車体の左右方向に延在するバンパビームの閉断面の変形によって衝突初期の衝撃エネルギの吸収が行われる。例えば、バンパビームの断面形状が矩形であった場合は、上下に位置する横壁が座屈変形することで衝撃エネルギが吸収されるが、この横壁の座屈変形では、反力荷重が直ぐに底付きしてしまうため、バンパービームの閉断面の前後長内で効果的なエネルギ吸収が行われない。このことは、バンパビームでエネルギ吸収量を十分に確保しようとすると、車室スペースに寄与しない無為な前後方向寸法の増大とバンパビームの重量増大を招くことを意味し、好ましいことではない。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、重量及び取付スペースの増大を招かずに衝突時のエネルギの吸収効率を高めることのできる自動車用バンパを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明の請求項1においては、車体の左右方向に延在する第1中空ビーム部材(バンパビーム1)と、車体の前後方向に延在する第2中空ビーム部材(衝撃吸収部材2)とを結合してなる自動車用バンパにおいて、第2中空ビーム部材の先端部を、第1中空ビーム部材の車体側の縦壁(4)に設けた孔(5)を貫通させて反車体側の縦壁の内面に結合するものとした。
【0007】
このようにすれば、第1中空ビーム部材内にその先端を突入させた第2中空ビーム部材の車体前後方向に沿う座屈変形で衝突時の衝撃エネルギが吸収されることとなる。
【0008】
また請求項2においては、第2中空ビーム部材の先端部の周囲の少なくとも一部をくるむように結合されたブラケット(7)を介して第1中空ビーム部材と第2中空ビーム部材とを結合するものとした。これにより、第1中空ビーム部材と第2中空ビーム部材との結合部の相互拘束力を高めることができ、第1中空ビーム部材の断面に作用する曲げモーメントの負担を軽減することができる。
【0009】
さらに請求項3においては、第1中空ビーム部材の車体側の縦壁に設けた孔の左右内周縁と孔を貫通する第2中空ビーム部材の外周面との間に所定の間隙(C)を開けるものとした。これにより、第1中空ビーム部材が曲げ変形した際の孔の内周縁と第2中空ビーム部材との相互干渉を回避することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明が適用された自動車用バンパの要部を一部透明にして表した斜視図である。図1において、中空の閉断面部材からなるバンパビーム(第1中空ビーム部材)1の左右両端部には、アルミニウム合金の押出材からなり外形輪郭が正六角形をなす中空の衝撃吸収部材(第2中空ビーム部材)2が結合されている。なお衝撃吸収部材2は、図1には明示されていないが、フロントサイドフレーム3(図3参照)の先端部に例えばねじ手段をもって結合されている。
【0012】
衝撃吸収部材2は、断面形状が矩形をなすバンパビーム1の車体側の縦壁4に開設された孔5を通ってバンパビーム1内に挿入され、反車体側の縦壁6の内面に突き当てられ、結合ブラケット7を介してバンパビーム1に剛固に結合されている。
【0013】
結合ブラケット7は、図2並びに図3に併せて示すように、バンパビーム1の反車体側の縦壁6の内面に接合されるフランジ部8と、衝撃吸収部材2の先端部の外周面における線対称位置にて1つの頂角を挟む2つの面に被着される結合部9とからなっており、例えばボルトやリベットなど、周知の結合手段を用いてバンパビーム1と衝撃吸収部材2とを互いに結合している。
【0014】
なお、アルミニウム合金材の溶接結合は、溶接加熱によって圧縮耐力が低下するという問題がある上、部品交換が困難なので修理費が高騰化するが、ボルト/ナットの如き反復着脱が容易な結合手段を用いれば、製造工程が簡略化されると同時に、部品交換を容易化して修理費を低廉化することができる。
【0015】
以上のように構成された本発明のバンパの構造によると、正面衝突時には、前方へ凸となる湾曲が与えられたバンパビーム1が、衝突直後の荷重Wによって直線的に伸ばされた形に変形する(図4参照)。これにより、バンパビーム1と衝撃吸収部材2との相対位置が変化する。この時、バンパビーム1の車体側の縦壁4に開けた孔5の車体中央側の端縁と衝撃吸収部材2の外周面とが干渉すると、衝撃吸収部材2の座屈変形の態様に影響が及ぶので、この干渉を回避するために、孔5の車体中央側の端縁と衝撃吸収部材2の外周面との間には、所定のクリアランスCが予め設けられている(図3参照)。
【0016】
バンパビーム1が曲げ変形した後は、バンパビーム1の反車体側の縦壁6に固着された衝撃吸収部材2に衝突荷重が直接的に加わるので、中空の衝撃吸収部材2がその軸線方向寸法を短縮するように圧潰変形し、安定した反力荷重が発生する(図5参照)。
【0017】
このように本発明の構造によれば、前記した文献に開示された如き中空のバンパビームの車体側の縦壁にサイドフレームの先端を結合させた従来のバンパビーム取付構造に比して、衝突時に比較的大きな反力荷重が早期に立ち上がり、衝突エネルギの吸収量が増大するので、車体減速度のより一層適正な制御が可能となる。
【0018】
縦軸に反力荷重を、横軸に衝突時の変位を示した図6に示すように、本発明の構造によると、従来のバンパビーム取付構造に比して衝突初期に少ない変位で大きな反力荷重が発生しており、エネルギ吸収量の増加に効果のあることが分かる。
【0019】
【発明の効果】
以上詳述した通り本発明の請求項1の構成によれば、第1中空ビーム部材としてのバンパビーム内にその先端を突入させた第2中空ビーム部材としての衝撃吸収部材の車体前後方向に沿う座屈変形で衝突時の衝撃エネルギが吸収されるので、無為なスペースを削減し、且つ衝突エネルギの吸収量を安定的に増大する上に多大な効果を奏することができる。
【0020】
また請求項2の構成によれば、バンパビームと衝撃吸収部材との結合部の相互拘束力が高められ、バンパビームの断面に作用する曲げモーメントの負担を軽減することができるので、バンパビームの軽量化を推進することができる。
【0021】
さらに請求項3の構成によれば、バンパビームが曲げ変形した際の孔の内周縁と衝撃吸収部材との相互干渉を回避することができるので、座屈変形による衝撃吸収特性の安定化に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動車用バンパの要部を一部透明にして表した斜視図
【図2】衝撃吸収部材と結合ブラケットとの関係を示す背面図
【図3】本発明による自動車用バンパの通常時の状態を一部切除して示す平面図
【図4】本発明による自動車用バンパの衝突初期の状態を一部切除して示す平面図
【図5】本発明による自動車用バンパの衝突後期の状態を一部切除して示す平面図
【図6】バンパビームと衝撃吸収部材との荷重−変位線図
【符号の説明】
1 バンパビーム
2 衝撃吸収部材
3 フロントサイドフレーム
4 車体側縦壁
5 孔
6 反車体側縦壁
7 結合ブラケット
8 フランジ部
9 結合部
Claims (3)
- 車体の左右方向に延在する第1中空ビーム部材と、車体の前後方向に延在する第2中空ビーム部材とを結合してなる自動車用バンパであって、
前記第2中空ビーム部材の先端部を、前記第1中空ビーム部材の車体側の縦壁に設けた孔を貫通させて反車体側の縦壁の内面に結合したことを特徴とする自動車用バンパ。 - 前記第2中空ビーム部材の先端部の周囲の少なくとも一部をくるむように結合されたブラケットを介して前記第1中空ビーム部材と前記第2中空ビーム部材とを結合することを特徴とする請求項1に記載の自動車用バンパ。
- 前記孔の左右の内周縁と前記孔を貫通する前記第2中空ビーム部材の外周面との間に所定の間隙を開けたことを特徴とする請求項1若しくは2に記載の自動車用バンパ。
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2003
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