JP3333108B2 - 上皮性組織移植片およびその製造方法 - Google Patents

上皮性組織移植片およびその製造方法

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JP3333108B2 JP10402297A JP10402297A JP3333108B2 JP 3333108 B2 JP3333108 B2 JP 3333108B2 JP 10402297 A JP10402297 A JP 10402297A JP 10402297 A JP10402297 A JP 10402297A JP 3333108 B2 JP3333108 B2 JP 3333108B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移植片に関し、特
に、ヒト皮膚あるいはその他の扁平上皮組織の全層欠損
創を治療するために用いる移植片およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】重症熱傷や外科手術などにおいて、しば
しば広範囲の皮膚あるいはその他の扁平上皮組織の全層
欠損創が生じる。これらの創は当該組織の成分をすべて
失っているため、全層に至らない創のように自然の再生
治癒を期待することはできず、治療のためには当該組織
の移植が必要である。このような当該組織の移植に対し
て、例えば皮膚の構成細胞である表皮細胞、線維芽細胞
は、生体外において103 〜106 倍に増殖培養するこ
とが可能であるため、少量の皮膚を採取し、これを増殖
培養してから創部へ移植する治療法が報告されている。
【0003】これらの治療に用いられる移植法として
は、大きく分けて増殖培養した表皮細胞のみを移植する
「表皮細胞単独移植法」と、線維芽細胞を含むコラーゲ
ンゲルなどからなる真皮代替物上に表皮細胞を増殖培養
して作製した線維芽細胞と表皮細胞との両者を含む、皮
膚に類似の構造物を移植する「複合人工皮膚移植法」と
が知られている。
【0004】表皮細胞単独移植法には、表皮細胞のみを
増殖培養し、さらにこれを重層化せしめて表皮細胞のシ
ートを作製して移植する方法やコラーゲン、フィブリン
などをキャリアとして用い、培養した表皮細胞を単離状
態で移植する方法などがあり、例えば、特公昭57−1
8863号公報には、ケラチノサイト(表皮細胞)を、
増殖しないように放射線処理した3T3細胞と混合して
培養する表皮細胞の増殖培養法が開示されており、特公
平02−23191号公報には、このようにして得られ
た培養容器上の表皮細胞培養物を酵素処理して、移植用
のシートを作製する方法が、また、特開平02-174
848号公報には、コラーゲンを被覆した培養容器で表
皮細胞をEGFとともに培養する方法が、さらに、特開
平04−45785号公報には凝集したヒト血漿蛋白を
支持体とした表皮細胞の培養法が開示されている。
【0005】一方、複合人工皮膚移植法は、コラーゲン
ゲルやコラーゲンスポンジなどに培養した線維芽細胞を
分散し、さらにこれらの表面に表皮細胞を培養、重層さ
せて皮膚に類似の構造物を作製してから移植する方法で
あり、例えば、特公昭61−33593、特公平05−
53505、特開平04−129563、特開平06−
292568号公報をはじめ多数の文献が知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
表皮細胞単独移植法は、真皮成分を欠く皮膚全層欠損創
に直接移植した場合には生着性が低く、また長期間の生
着も困難であり、広範囲の皮膚全層欠損創にそのまま適
応するのは難しかった。従って、全層欠損創に対して
は、コラーゲンゲルなどに線維芽細胞が分散されている
真皮様構造を有する、皮膚に類似の構造物を移植する複
合人工皮膚移植法が好ましいことになる。しかし、この
移植法では、線維芽細胞を分散するコラーゲンなどの物
質が表皮下へ移植される結果となり、この物質に対する
免疫反応、易感染性などのために、やはり低い生着率し
か報告されていなかった。以上のように、皮膚全層が欠
損した体表面の創に増殖培養した皮膚細胞よりなる移植
片を移植して創を永久閉鎖することは事実上困難であっ
た。
【0007】従って、本発明は皮膚全層が欠損した創あ
るいは生体内の扁平上皮組織の創など体表面の創に移植
した場合に、優れた生着率で皮膚やその他の扁平上皮組
織を再現し、創を永久閉鎖することができる移植片およ
びそれらの作製方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は単離した状態
にあるヒト皮膚あるいはその他の扁平上皮組織の細胞
を、体表面の全層欠損創に移植し、広い面積のヒト皮膚
あるいはその他の扁平上皮組織を再現する方法について
鋭意検討した結果、増殖培養したヒト表皮細胞あるいは
その他の扁平上皮細胞をヒト真皮あるいは当該臓器由来
線維芽細胞が包埋された凝集ヒト血漿蛋白もしくは凝集
ヒトフィブリン表面に付着させた移植片を用いることに
よって生体表面に広い面積を持つ皮膚あるいはその他の
扁平上皮組織を再現せしめ、体表面の創を永久閉鎖でき
ることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の移植片は、上皮性組織
由来の線維芽細胞が凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフ
ィブリンのシート内に包埋され、当該上皮性組織由来の
扁平上皮細胞が前記シート表面上に付着されたことを特
徴とし、また、ヒトの真皮組織由来の線維芽細胞が凝集
ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンのシート内に包
埋され、表皮細胞が前記シート表面上に付着されたこと
を特徴とする。
【0010】また、本発明の移植片の作製方法は、上皮
性組織から扁平上皮細胞ならびに線維芽細胞とを単離
し、扁平上皮細胞と扁平上皮細胞を単離した上皮性組織
と同一組織由来の線維芽細胞とをそれぞれ準備する段階
と、得られた前記扁平上皮細胞と前記線維芽細胞とをそ
れぞれ増殖培養する段階と、増殖培養された線維芽細胞
を凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンに包埋す
る段階と、得られた線維芽細胞を包埋した凝集ヒト血漿
蛋白または凝集ヒトフィブリンの表面に扁平上皮細胞を
付着させる段階との各段階を備えるもので、さらに、皮
膚組織から表皮細胞ならびに線維芽細胞とを単離し、表
皮細胞と真皮由来の線維芽細胞とをそれぞれ準備する段
階と、得られた前記表皮細胞と前記線維芽細胞とをそれ
ぞれ増殖培養する段階と、増殖培養された線維芽細胞を
凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンに包埋する
段階と、得られた線維芽細胞を包埋した凝集ヒト血漿蛋
白または凝集ヒトフィブリンの表面に表皮細胞を付着さ
せる段階との各段階を備えることを特徴とする。
【0011】本発明の移植片およびその製造方法は、す
べての哺乳動物に対して適用することができるが、臨床
的にも最も重要であるヒトに対する移植片の場合を例と
して、以下、詳細に説明する。
【0012】本発明の対象となる上皮性組織は、いずれ
も扁平上皮細胞を含む組織であり、種々の正常組織のす
べてが含まれるが、これらの組織の例としては、例え
ば、皮膚、口腔粘膜、食道、舌などがあげられる。ま
た、本発明に用いるヒトの細胞には、正常組織から得ら
れる細胞の他、正常組織由来の細胞に対し、試験管内
(インビトロ)において外来遺伝子の導入あるいは薬物
による処置などを行いその性質を変化せしめた細胞も使
用することができる。
【0013】本発明に用いる扁平上皮細胞は移植を行う
器官の正常な上皮性組織から採取する。例えば、皮膚移
植を行う場合、ヒト表皮細胞は、以下のような方法によ
り得ることができる。すなわち、ヒト分層もしくは全層
皮膚を無菌的に採取し、無菌の生理的食塩水にて洗浄す
る。これをディスパーゼ II( 2,000 U/ml)にて37
℃、20〜40分処理することによりヒト表皮層を分離
し、生理的食塩水で洗浄する。これをさらに0.25%
程度のトリプシンにて37℃、5分処理し、血清添加培
地中で攪拌して表皮細胞を分散する。分散した表皮細胞
を5×104 /cm2 程度の密度で培養器に播種し、2
0%程度のFCSもしくはヒト血清加MEMalpha
を用いて24時間培養する。その後に培地を低カルシウ
ム無血清培地(MCDB153)に置換し、1週間程度
培養を続ける。以後、培養された表皮細胞をトリプシン
処理によって剥離、継代し、低カルシウム無血清培地
(MCDB153)を用いて望む細胞数が得られるまで
増殖培養を行う。なお、他の扁平上皮細胞の場合にも、
同様な方法によって扁平上皮細胞を得ることができ、例
えば、口腔粘膜組織などは全く同様の方法で増殖培養す
ることができる。また、上記のヒト表皮細胞培養は、特
公昭57−18863号公報記載のように放射線照射し
た線維芽細胞もしくは線維芽細胞株との共培養によって
行うことも可能である。
【0014】本発明に用いる線維芽細胞は扁平上皮細胞
を得た上皮性組織に由来する線維芽細胞を使用する。こ
れは移植後に移植された扁平上皮細胞が増殖し、正常な
組織構造を形成し、また長期に生着するために必要なも
のであり、扁平上皮細胞を得た上皮性組織と異なる組織
由来の線維芽細胞では、移植後の長期生着が困難となる
傾向が見られる。一方、入手する線維芽細胞は自己のも
のでも他人のものでもよく、同一の上皮性組織に由来す
るものであれば自家線維芽細胞でも同種線維芽細胞でも
使用することができる。抗原性を考慮すれば自家細胞が
好ましいが、同種細胞を用いた場合でも生着率の向上、
正常な組織構造の再構築には問題がなく、同様の結果が
得られる。同種線維芽細胞はHLA抗原の発現が弱く、
比較的長期に生着することがその理由と考えられるが、
炎症などにともなってHLA抗原の発現が強くなること
もあり得るため、また、患者が同種抗原に対して既に感
作されていたり、抗体を持っていた場合、ただちに拒絶
されて機能しない可能性もあるので、できれば自家細胞
を用いることが好ましい。
【0015】このように、線維芽細胞は、移植された扁
平上皮細胞が正常な組織に分化、増殖するために、その
組織特有の何らかの情報を扁平上皮細胞に与えていると
考えられるが、この情報がどのような因子であるかを同
定するには至っていない。
【0016】皮膚移植の場合、ヒト表皮細胞に対しては
ヒト真皮由来の線維芽細胞を用いることになる。このヒ
ト真皮由来の線維芽細胞は、例えば、以下のような方法
により得ることができる。ヒト分層もしくは全層皮膚を
無菌的に採取し、無菌の生理的食塩水にて洗浄する。デ
ィスパーゼ II( 2,000 U/ml)にて37℃、20〜40
分処理することにより真皮層を分離し、生理的食塩水で
洗浄する。これを細切後20%程度のFCSまたはヒト
血清加MEMalpha培地中にて約1週間培養し、増
殖してきた線維芽細胞を継代培養する。なお、他の線維
芽細胞も同じようにして、扁平上皮細胞を採取した組織
由来の細胞から分離し増殖培養することができ、例え
ば、口腔粘膜、食道などの粘膜下組織も全く同じ方法で
増殖培養することができる。
【0017】本発明に用いる凝集ヒト血漿蛋白または凝
集ヒトフィブリンは、扁平上皮細胞と線維芽細胞とを担
持もしくは包埋し、移植片が生着して皮膚組織が再現さ
れるまでの間、移植片の一体性を保持するための基質と
して用いるものである。このような基質としては細胞を
付着することができ、細胞および生体に無害であって、
適当な弾性と保水性を有する物質であれば使用すること
ができ、このようなものとして例えば、ゼラチン、コラ
ーゲンなどがあげられる。しかし、本発明の移植片は、
生体に移植した後に抗原性を示さず、また可及的速やか
に分解、吸収されることが好ましく、この点から凝集ヒ
ト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンが最も好ましい物
質である。さらに、このような凝集ヒト血漿蛋白または
凝集ヒトフィブリンで作製したシートは移植片として容
易に取り扱うことができ、生体表面の創に固定できると
同時に、移植後の組織においては扁平上皮細胞が体表面
側に、線維芽細胞が組織側に整然と配列して正常な上皮
性組織と同様な組織像を示す一方、フィブリンそのもの
は炎症を惹起することなく速やかに分解、吸収されて上
皮性組織の完全な再生が図られるという点で好ましい結
果が得られる。
【0018】また、フィブリンは患者本人の血液より調
製することが可能であるため、必要に応じて、これを用
いることによりすべてが自己由来の有機成分によって構
成される移植片を作製することができる。現在フィブリ
ンの滅菌法は種々報告されており、既知の感染症の危険
はないが、自己フィブリンを用いることにより未知のも
のを含めて感染症伝播を完全に回避することができる。
【0019】シート状の凝集ヒト血漿蛋白またはフィブ
リンは、例えば、以下のような方法で作製することがで
きる。自家血液をクエン酸ナトリウム(0.2%)もし
くはACD液(5% (V/V))を加えて採取し、800×
gにて20分間遠心してその上清(すなわち、血漿)を
得る。これを培養器に入れ、ヒトトロンビン(30U/
ml)、塩化カルシウム(2mM)を加え、37℃にて
数時間放置すると、凝集ヒト血漿蛋白シートが得られ
る。
【0020】また、ヒト血漿をそのまま使用せずに、血
漿にエタノールを加え、−4℃にて一晩放置した後遠心
し、その沈渣を生理的食塩水に溶解したもの(いわゆる
Cohnの第一血漿分画でフィブリノーゲン、フィブロ
ネクチンなどを含む)を原料としてこれにカルシウム、
トロンビンを作用させて調製した凝集ヒト血漿蛋白を用
いてもよい。この場合にはフィブリノーゲン濃度を調整
することができ、凝集シートの硬さ、移植後に分解され
る時間などを調節することも可能となる。さらに、これ
以外の塩析法などの種々の方法で精製、滅菌したフィブ
リノーゲンを用いたり、Cohnの第一血漿分画や精製
フィブリノーゲンを一旦凍結乾燥させ、使用時に生理的
食塩水に融解したものを用いても同様のものが得られ
る。
【0021】凝集ヒト血漿蛋白またはフィブリンのシー
トを調製する際のフィブリノーゲンの濃度は、作製する
シートの大きさや厚さ、シートを構成するゲル中のフィ
ブリン量などに応じて適宣調整される。シートの分解、
吸収性の点からみると、フィブリンの分解速度はシート
中のフィブリンの濃度にも依存することから、移植に用
いるにはシート作製時のフィブリノーゲン濃度を、概ね
400〜800mg/dl程度とすることが好ましく、
このような濃度のフィブリノーゲンを用いる場合、シー
トの厚さを0.5〜1mm程度に調製すると、適度な硬
さとフィブリン濃度を有するシートが得られ、シートの
取扱い、移植後の生着性の点からも好ましい結果が得ら
れる。
【0022】また、これらの凝集ヒト血漿蛋白あるいは
フィブリンシート作製時に加えるカルシウムの濃度は2
mM以下が細胞に対する影響を少なくする上で望まし
く、また、フィブリンシート作製時に、アプロチニン、
ウリナスタチンなどの蛋白分解酵素阻害剤を添加してお
くことにより、フィブリンの分解を適当に遅延させるこ
とができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の移植片は、フィブリンま
たは凝集ヒト血漿蛋白から構成されたゲル状のシート中
に線維芽細胞が分散された状態で存在し、シートの表面
が扁平上皮細胞で覆われたものである。このような移植
片は、フィブリンまたは凝集ヒト血漿蛋白に当該組織由
来の線維芽細胞を包埋させ、表面に扁平上皮細胞を付着
させることによって作製することができる。線維芽細胞
の包埋はフィブリノーゲンを凝集させる際、線維芽細胞
を共存させることにより行うことができ、フィブリノー
ゲンは線維芽細胞を取り囲むようにして凝集し、線維芽
細胞が包埋されたフィブリンクロットまたはシートとな
る。
【0024】例えば、皮膚移植用の植皮片の場合には、
次のようにして作製する。すなわち、前述のフィブリノ
ーゲンなどを含む溶液に真皮線維芽細胞を浮遊させ、真
皮線維芽細胞が浮遊したフィブリノーゲン溶液を調製す
る。次いで、この溶液を培養器などに展開し、上記のよ
うにトロンビンやカルシウムを添加し、フィブリノーゲ
ンを凝集させ、線維芽細胞が包埋された凝集フィブリン
シートを調製する。この時、後に移植片の剥離を容易に
するため、培養器の底面に少量のヒトアルブミン溶液を
滴下し、被覆しておくことは好ましい。線維芽細胞の包
埋された凝集フィブリンシートの入った培養器に低カル
シウム無血清培地(MCDB153)などを加えて37
℃にて数時間放置し、凝集フィブリンシートを膨潤し、
フィブリンクロットに含まれる水分を培地と置換する。
その後、この凝集フィブリンシート上に上記のヒト表皮
細胞播種し、細胞がフィブリン表面に付着するまで、さ
らに37℃にて3〜24時間程度培養する。培養期間は
1週間程度まで延長することができるが、あまり長期間
培養すると基底部構造が破壊され、移植片の生着率を低
下させる傾向が認められる。なお、移植後の感染予防の
ため、移植片作製時には抗生物質を含む培地を用いても
良いが、この場合の抗生物質には細胞毒性の少ないも
の、例えば500μg/mlのPIPC(ピペラシリ
ン)などを用いることが好ましい。
【0025】ヒト表皮細胞を播種するときの細胞播種密
度は、1〜4×105 /cm2 位がよく、特に、2×1
5 /cm2 程度が、生着率の点で、また、移植部範囲
すべてを被覆できるという点で好ましい。また、表皮細
胞と線維芽細胞との比率は1:2〜2:1程度が、生着
率の点で好ましい。また、ヒト表皮細胞を5×104
cm2 程度で播種し、そのままフィブリンシート上で4
8時間程度増殖培養しても同様の結果が得られる。
【0026】次いで、培養により細胞の付着したフィブ
リンシートをピンセットなどを用いて培養器から剥離
し、移植片を得る。得られた移植片は、線維芽細胞が包
埋されたフィブリンシート上に、表皮細胞がほぼ1〜2
層の状態で付着しているもので、各々の細胞密度は各細
胞を播種後数時間では、播種時とほぼ同様の細胞密度を
有している。播種後24〜48時間培養したものでは各
々の細胞密度は播種時よりも増加し、表皮細胞は数層か
らなる重層構造を呈している。これらの移植片はいずれ
もそのまま移植に用いることができ、また移植床の形状
に応じて分割して用いることもできる。
【0027】また、他の扁平上皮細胞と線維芽細胞を用
いて、同様な方法により移植片を作製することができ
る。例えば、口腔粘膜扁平上皮も線維芽細胞として粘膜
下組織から同様の方法で培養したものを用い、全く同様
の方法で移植片を作製することができる。
【0028】本発明における移植用細胞を包含、付着せ
しめた凝集フィブリンシートすなわち移植片の移植は、
例えば以下のような方法で行うことができる。移植を行
う組織欠損に対し、上記移植片を表皮細胞非付着面が創
に向かうような方向で静置する。移植片が不安定であれ
ば、フィブリンのり(例えば、ベリプラスト(商品名、
ベーリンガー社製)など)を創面に塗布して移植片を固
定することも好ましい。この移植片の上から保湿性のよ
い被覆材を用いて被覆包帯を行う。被覆材には保湿性が
よく、非接着性で細胞毒性のないものならどのようなも
のでも使用できるが、シリコーン膜(例えば、テガダー
ム(商品名、住友スリーエム社製)など)やワセリンガ
ーゼなどが好ましい。この際ワセリンに細胞毒性のない
抗生物質、例えば500μg/mlのPIPC(ピペラ
シリン)などを混入せしめておくことは感染防止上有効
である。また、通気性2層性シリコーン膜(例えば、バ
イオブレン(商品名、日本バイリーン社製)など)など
も使用することができるが、この場合ワセリン塗布など
により保湿性をよくし、創に接着しにくくしておくこと
が望ましい。基質として用いたフィブリンシートは、通
常移植後3週間程度で分解、吸収されて組織からて消失
し、欠損部は移植した表皮細胞および線維芽細胞が増殖
して、新たな皮膚組織が形成されて被覆される。
【0029】なお、フィブリンシートが溶融し消失する
のは、タンパク分解酵素によるものであり、移植細胞を
生着させ欠損部を完全に修復するためにシートをより長
期間残しておく必要がある場合には、これらのタンパク
分解酵素の作用を抑えるように、例えば、アプロチニ
ン、ウリナスタチンのようなタンパク分解酵素抑制物質
を添加したり、またシート作製時に高い濃度のフィブリ
ノーゲンを用いることによって、シートが消失するまで
の期間をある程度調整することができる。
【0030】また、本発明における移植用細胞の付着し
た移植片の移植は、はじめから組織欠損部に対して行う
のではなく、次のように一度移植用細胞を体内で培養し
た後、移植部に移植する方法を採ることができる。これ
は、皮膚移植のように移植手術が比較的容易であり、移
植結果が容易に確認できる部位以外の上皮性組織の移植
に好適であり、このような例としては例えば、口蓋裂手
術時の口腔粘膜の欠損充填時などの移植があげられる。
具体的な方法としては、まず、移植する生体の皮膚を切
開し剥離して、皮下にポケットを作製する。このポケッ
ト中に移植用細胞の付着した移植片を、挿入し、切開創
を閉じる。なお、移植片を挿入するには、細胞付着面を
体表面側でも体内側に向けて挿入してもよい。次いで、
2〜4週間後に再び皮膚を切開し、皮下に再現された移
植細胞からなる皮膚あるいはその他の扁平上皮組織を切
り離して、これを望む部位へ移植する。なお、皮下ポケ
ット内に移植片を移植するときに、表皮細胞の付着した
面にシリコーン膜などを置いておくと、移植片の変形、
細胞の拡散を防止する上で好ましい結果が得られる。
【0031】上記の説明では、移植片としてシート状の
ものを例として説明したが、移植片の形状はシート状に
限られるものではなく、必要に応じて、他の形状のもの
を使用することができる。このような形状の移植片はフ
ィブリノーゲン溶液を凝集させる際に、フィブリノーゲ
ン溶液の量などをかえることにより調製することができ
る。
【0032】
【実施例】次に実験例によって本発明をさらに詳しく説
明する。
【0033】実験例1 1.移植片の作製 手術標本より得た皮膚から皮膚細胞の培養を行い、次の
ようにして移植片(移植用植皮片)を作製した。
【0034】分層皮膚を無菌的に採取し、無菌の生理的
食塩水にて洗浄する。これをディスパーゼ II (2,000
U/ml)にて37℃、20〜40分処理後表皮層を分離
し、生理的食塩水で洗浄する。これをさらに0.25%
トリプシンにて37℃、5分処理し、血清添加培地中で
攪拌して表皮細胞を分散した。分散した表皮細胞を5×
104 /cm2 程度の密度で培養器に播種し、20%ヒ
ト血清加MEM−alphaを用いて24時間培養す
る。その後に培地を低カルシウム無血清培地(MCDB
153)に置換し、1週間程度培養を続けた。増殖して
きた表皮細胞をトリプシン処理によって剥離、継代し、
低カルシウム無血清培地(MCDB153)を用いて増
殖培養を行い移植片の作製に用いた(表皮細胞)。
【0035】また、表皮層分離後の真皮層を生理的食塩
水で洗浄し、これを細切後20%ヒト血清加MEMal
pha培地中にて約1週間培養し、増殖してきた線維芽
細胞を3回継代培養した(真皮線維芽細胞)。これらの
細胞は必要に応じて、20%ヒト血清、10%DMSO
加MEMalphaに浮遊し、プログラム凍結、液体窒
素中に保存し、使用時に37℃の温水中にて急速解凍、
それぞれの培地にて洗浄後短期間培養してから移植片作
製に用いた。
【0036】新鮮凍結血漿(日赤社製)にエタノールを
加え、−4℃にて一晩放置した後遠心し、その沈渣を生
理的食塩水に溶解した(フィブリノーゲン量400mg
/dlの粗製フィブリノーゲン溶液)。培養した真皮線
維芽細胞を微量の生理的食塩水に浮遊し、粗製フィブリ
ノーゲン溶液と混合、充分攪拌した後これを培養器に入
れ、ヒトトロンビン(30U/ml)、塩化カルシウム
(2mM)、PIPC(500μg/ml)、ウリナス
タチン(5,000 U/ml)を加え、37℃にて数
時間放置して、厚さ約1mmの、内部に真皮線維芽細胞
が分散、包埋された移植用フィブリンシートを形成させ
た。これに前述の自家表皮細胞を2×105 /cm2
密度でMCDB153培地に浮遊したものを重層して1
2〜18時間培養し、移植片を作製した。
【0037】2.移植実験 次の方法により、本発明の移植片の生着性について検討
した。まず、免疫不全マウス(balb−c nu/s
cid)の背部皮膚を直径1.5cmの大きさで全層切
除し、切除後の筋膜上に上記移植片を移植し、非付着性
包帯にて被覆した。次いで、経時的に移植部の肉眼的観
察、組織学的検討を行った。
【0038】組織学的検討は、経時的に移植部皮膚を生
検し、HE(ヘマトキシリン−エオシン)染色、HLA
クラスIなどの免疫染色、および電子顕微鏡により組織
学的検討を行い、移植片が生着したか否かの判断は、肉
眼的に生着しているかまたはHLAクラスI陽性細胞が
認められることを基準として行った。なお、HLAクラ
スI陽性細胞の確認は、免疫染色および遺伝子解析によ
り行った。
【0039】3.結果 対照試験として、表皮細胞のみをフィブリンシート表面
に付着せしめ、線維芽細胞を含まない移植片、およびコ
ラーゲンゲルを基質として作製した複合型移植片を作製
し、移植試験を行った。本願発明の移植片の結果を、こ
れらの対照試験の結果とともに表1に示す。
【0040】
【表1】 表1によると、表皮細胞と真皮線維芽細胞とを付着した
移植片を用いた場合、移植後の生着率は約80%であ
り、表皮細胞のみでは3週間以上の生着は認められなか
った。これは、表皮細胞のみを移植すると、正常なヒト
皮膚の構造が最初から形成されておらず、基底部構造も
未熟で、その後に表皮萎縮が観察されたことから、自己
再生、構造の維持が困難であったためと考えられる。従
って本発明の移植片は、特開平04−45785号公報
に従って作製された表皮細胞のみからなる移植片を移植
した場合に比較して明かに優れた生着性を有しているこ
とがわかる。また、本発明の移植片の生着率はコラーゲ
ンを基質とした複合型移植片の生着率よりも優れてい
た。これは、下記組織像に詳述するように、細胞ととも
に移植されたフィブリンは生体親和性がより高く、また
より速やかに吸収され消失すること、従って、コラーゲ
ンよりも炎症、感染を起こしにくいことなどがその理由
のひとつとして考えられる。免疫反応の正常なヒトに移
植した場合、この差異はさらに顕著となるであろうこと
は容易に推察できる。
【0041】再現された組織の肉眼的所見および組織像
を図1および図2に示す。図1の(a)は再現された皮
膚(移植3週間目)のHE(ヘマトキシリン−エオシ
ン)染色像であるが、体表面には表皮細胞が重層構造を
成しており、その内側に真皮様の結合組織が形成されて
いる。表皮には基底層、有棘層、顆粒層、角質層がそれ
ぞれ認められ、表皮肥厚を伴っているものの、正常皮膚
と同様の組織構造を示している。表皮下に残存フィブリ
ンと思われる無構造物が認められる。(b)は同じ標本
のHLAクラスI染色であるが、表皮、真皮の細胞は共
に陽性で、ヒト細胞により構成さた皮膚であることがわ
かる。
【0042】図2は再現された皮膚(移植6週間目)の
(a)HE(ヘマトキシリン−エオシン)染色像である
が、表皮は移植3週間目よりも薄くなり、正常皮膚に近
い組織像を呈している。表皮下にフィブリンは認められ
ず、吸収、消失したものと考えられる。IV型コラーゲン
免疫染色(b)では、基底部(特に、表皮真皮接合部)
に明瞭な局在染色性が認められ、また皮下結合組織には
新生血管の内皮基底膜と思われる管腔構造に一致して局
在染色性が認められる。
【0043】以上から、本移植片は、全く皮膚の要素を
欠いたマウス筋膜組織上に、正常ヒト皮膚と同様の構造
を持った皮膚を再現でき、また基質に用いたフィブリン
は移植後3〜6週間程度で吸収されることがわかる。
【0044】実施例2 1.臨床成績 熱傷の臨床例において陳旧性の皮膚全層欠損創に対して
本移植片の移植を行った。
【0045】78歳、男性。たき火が引火して、左下肢
の全層性熱傷(体表面積の約10%)を負った。受傷約
3週間後に創感染を来たしたため転院。創部皮膚を筋膜
上まで全層切除、以後抗菌剤、抗生物質等により創傷処
置を行った。
【0046】受傷約7週間後、全身麻酔下に左下肢外側
の陳旧性肉芽に対しデブリードマンを行った後、創面に
フィブリンのり(ベリプラスト(商品名、ベーリンガー
社製))を塗布し、下記の方法にて作製した移植片(一
枚75cm2 )を10枚移植した。ペントシリン加ワセ
リン軟膏ガーゼにて被覆し、圧迫包帯を行った。移植5
日後より経日的に創を肉眼的に観察し、移植組織の生検
を行って、組織学的検討を加えた。
【0047】2.移植片の作製 患者大腿部より、3×3cmの分層皮膚を無菌的に採取
し、無菌の生理的食塩水にて洗浄。これをディスパーゼ
II( 2,000 U/ml)にて37℃、20〜40分処理後表
皮層を分離し、生理的食塩水で洗浄。さらに0.25%
トリプシンにて37℃、5分処理し、血清添加培地中で
攪拌して表皮細胞を分散した。分散した表皮細胞を5×
104 /cm2 程度の密度で培養器に播種し、20%ヒ
ト血清加MEM−alphaを用いて24時間培養。そ
の後に培地を低カルシウム無血清培地(MCDB15
3)に置換し、1週間程度培養を続けた。増殖してきた
表皮細胞をトリプシン処理によって剥離、継代し、低カ
ルシウム無血清培地(MCDB153)を用いて増殖培
養を行い、移植片の作製に用いた(自家表皮細胞)。
【0048】また、表皮層分離後の真皮層を生理的食塩
水で洗浄し、これを細切後20%ヒト血清加MEMal
pha培地中にて約1週間培養し、増殖してきた線維芽
細胞を3回継代培養した(真皮線維芽細胞)。これらの
細胞は必要に応じて、20%ヒト血清、10%DMSO
加MEMalphaに浮遊し、プログラム凍結、液体窒
素中に保存し、使用時に37℃の温水中にて急速解凍、
それぞれの培地にて洗浄後短期間培養してから移植片作
製に用いた。
【0049】ACD採血後遠心分離した自己血漿にエタ
ノールを加え、−4℃にて一晩放置した後遠心、その沈
渣を生理的食塩水に溶解した(フィブリノーゲン量40
0mg/dlの粗製フィブリノーゲン溶液)。培養した
真皮線維芽細胞を微量の生理的食塩水に浮遊し、粗製フ
ィブリノーゲン溶液と混合、充分攪拌した後これを培養
器に入れ、ヒトトロンビン(30U/ml)、塩化カル
シウム(2mM)、PIPC(500μg/ml)、ア
プロチニン(250U/ml)を加え、37℃にて数時
間放置して、厚さ約0.5mmの、内部に真皮線維芽細
胞が分散、包埋された移植用フィブリンシートを形成さ
せた。これにMCDB153培地に浮遊させた前述の自
家表皮細胞を5×104 /cm2 の密度で重層して18
時間培養した。その後フィブリンシートを培養器から剥
離し、移植片を培地中に浮遊せしめた状態にてさらに4
時間培養してから移植に用いた。
【0050】3.結果 移植部位には、移植7日目ごろより、肉眼的に皮膚と確
認される構造が形成された。2週間目までには創面積の
約90%は再現された皮膚によって被覆されており、移
植片の生着率は90%程度と考えられた。創は移植片か
らの上皮化により、移植4週間後には完全に閉鎖され治
癒した。
【0051】創部に再現された皮膚の肉眼所見および組
織像を図3および図4に示す。
【0052】図3は、移植前(a)および移植後11日
目(b)の肉眼所見であるが、創面積の約90%は移植
後に再現された皮膚によって覆われている。
【0053】図4は、移植後9日目の組織像(HE染色
像)であるが、表皮肥厚を伴ったヒト皮膚と同様の組織
が認められる。表皮下、内に好中球を主体とした細胞浸
潤を認めるが、組織構造は破壊されていない。
【0054】以上から、本移植片は皮膚全層欠損創に形
成された肉芽組織上に移植した場合に、正常ヒト皮膚と
同様の構造を持った皮膚組織を再現することが可能であ
ることがわかる。また、高齢者の感染創に形成された陳
旧性肉芽組織という悪条件の移植床に対しても高率に生
着したことから、本移植片は従来の培養皮膚細胞からな
る移植片と比較して、格段に優れた生着性を有すること
がわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明によると、皮膚全層が欠損した創
あるいは生体内の扁平上皮組織の創など体表面の創に対
して、優れた生着率で皮膚やその他の扁平上皮組織を再
現し、創を永久閉鎖することが可能な移植片が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】移植3週間後の移植部位に再現された皮膚組織
の組織像を示す図面代用写真であり、(a)はHE(ヘ
マトキシリン−エオシン)染色像を、(b)HLAクラ
スI抗原免疫染色像を示す。
【図2】移植6週間後の移植部位に再現された皮膚組織
の組織像を示す図面代用写真であり、(a)はHE(ヘ
マトキシリン−エオシン)染色像を、(b)はIV型コラ
ーゲン免疫染色像を示す。
【図3】移植前(a)および移植11日後(b)の移植
部位に再現された皮膚組織の肉眼的所見を示す図面代用
写真である。
【図4】移植9日後の移植部位に再現された皮膚組織の
組織像を示す図面代用写真であり、HE(ヘマトキシリ
ン−エオシン)染色像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61L 15/00 - 33/18 A61F 2/00 - 4/00 C12N 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上皮性組織由来の線維芽細胞が凝集ヒト
    血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンのシート内に包埋さ
    れ、当該上皮性組織由来の扁平上皮細胞が前記シート表
    面上に付着された上皮性組織移植片。
  2. 【請求項2】 ヒトの真皮組織由来の線維芽細胞が凝集
    ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンのシート内に包
    埋され、表皮細胞が前記シート表面上に付着された上皮
    性組織移植片。
  3. 【請求項3】 さらに、前記凝集ヒト血漿蛋白または凝
    集ヒトフィブリンのシート中にタンパク分解酵素抑制物
    質を含む請求項1または2に記載の上皮性組織移植片。
  4. 【請求項4】 上皮性組織から扁平上皮細胞ならびに線
    維芽細胞とを単離し、扁平上皮細胞と扁平上皮細胞を単
    離した上皮性組織と同一組織由来の線維芽細胞とをそれ
    ぞれ準備する段階と、得られた前記扁平上皮細胞と前記
    線維芽細胞とをそれぞれ増殖培養する段階と、増殖培養
    された線維芽細胞を凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフ
    ィブリンに包埋する段階と、得られた線維芽細胞を包埋
    した凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンの表面
    に扁平上皮細胞を付着させる段階とを備える上皮性組織
    移植片の製造方法。
  5. 【請求項5】 皮膚組織から表皮細胞ならびに線維芽細
    胞とを単離し、表皮細胞と真皮由来の線維芽細胞とをそ
    れぞれ準備する段階と、得られた前記表皮細胞と前記線
    維芽細胞とをそれぞれ増殖培養する段階と、増殖培養さ
    れた線維芽細胞を凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィ
    ブリンに包埋する段階と、得られた線維芽細胞を包埋し
    た凝集ヒト血漿蛋白または凝集ヒトフィブリンの表面に
    表皮細胞を付着させる段階とを備える上皮性組織移植片
    の製造方法。
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