JP3333091B2 - 車両運動制御装置 - Google Patents

車両運動制御装置

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JP3333091B2
JP3333091B2 JP17396196A JP17396196A JP3333091B2 JP 3333091 B2 JP3333091 B2 JP 3333091B2 JP 17396196 A JP17396196 A JP 17396196A JP 17396196 A JP17396196 A JP 17396196A JP 3333091 B2 JP3333091 B2 JP 3333091B2
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政道 今村
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 この発明は、車両運動制御
装置に関し、特に、車両の姿勢に応じて走行駆動源の出
力トルクならびにブレーキ制動力を制御して姿勢を安定
させるようにした車両運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、車両の姿勢を制動力により制御
する車両運動制御制御装置として、エンジン(走行駆動
源)の出力トルクを制御する装置(第1の従来技術)
や、あるいは、車両の姿勢に応じてブレーキ制動力を制
御する装置(第2の従来技術)が知られており、例え
ば、第2の従来技術としては、特開平6−247269
号公報に記載のものが公知である。第1の従来技術は、
路面摩擦係数や車体速度に基づいて制御目標値(エンジ
ンの出力トルク)を決定するよう構成されている。ま
た、第2の従来技術は、車両のヨー速度、舵角等により
車両の姿勢角を判断し、ある限界値を越えた時、制御開
始と判断して油圧装置によりブレーキ装置のホイルシリ
ンダ圧を変化させることにより姿勢角を増大しあるいは
旋回時における姿勢角の発生不能を回避するようにした
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 ところで、自動車の
ブレーキ配管は、右前輪と左後輪のホイルシリンダを接
続した系統と、左前輪と右後輪のホイルシリンダを接続
した系統の2系統の配管をマスタシリンダ(ブレーキ操
作に対応してブレーキ操作液圧を発生させる手段)に接
続した構造が一般的である。このような構造のブレーキ
配管を有したブレーキ装置において上述の第2の従来技
術を適用した場合、例えば、両前輪あるいは同一側面の
前後輪に対してポンプなどの制御用液圧源から液圧を供
給する際には、ブレーキ配管を2系統ともマスタシリン
ダと遮断するという構造となっていたため、車両の運動
制御を実行している時に、運転者がブレーキを操作した
場合に、マスタシリンダとブレーキ配管とが遮断されて
いることから、マスタシリンダで発生したブレーキ操作
液圧がホイルシリンダへ供給されず、運転者の意図に見
合ったブレーキ操作液圧が発生できないという問題があ
った。そこで、この対策として、すなわち、運動制御を
実行している時に、運転者の意図に見合ったブレーキ操
作液圧をホイルシリンダに供給することを可能とする手
段として、運転者のブレーキ操作力あるいはマスタシリ
ンダ圧を検出し、これに見合った液圧を制御用液圧源か
らホイルシリンダに供給する技術的手段が考えられる
が、このような手段では、制御の複雑化を招くという問
題や、運転者のブレーキ操作力などを検出する高価な検
出手段を設けることにより構造の複雑化ならびにコスト
アップを招くという問題や、このような制御ならびに構
造の複雑化に伴って信頼性が低下するという問題などが
あった。また、上述の第2の従来技術では、左右輪の制
動力(スリップ率)の差によって旋回モーメントを生じ
させているが、車輪は、スリップ率が所定値を越えた領
域では、サイドフォースの変化が小さくなるもので、こ
れは、制動力を大きくしても、ある値を超えると旋回モ
ーメントを発生させることができない、すなわち上述の
姿勢制御を行うことができなくなることを意味する。さ
らに、上述のように、姿勢制御中に運転者の操作に応じ
た制動液圧を与えるように構成した場合、この操作液圧
に加えて姿勢制御用の液圧を与える必要が生じ、この場
合、上述のように所定値を越えると旋回モーメントが充
分に発生せずに所望の姿勢制御を行うことができなくな
るとともに、車両全体のスリップ率が相対的に大きくな
ることから、車両の姿勢制御を終了しても、姿勢制御に
よって生じた旋回モーメントが速やかに解除されないお
それがある。
【0004】また、上述の第2の技術のように、車輪ご
とに独立に制動力を制御して車輪速を制御する構成にお
いて、第1の従来技術のようなエンジンの出力トルクの
制御を行う場合、路面摩擦係数や車体速度に基づいてエ
ンジンの出力トルクを決定する構成では、車輪ごとの制
動力と駆動力とを関連させた制御がなされないため、所
望の制御状態が得られないおそれがある。本発明は、こ
のような従来の問題点に着目してなされたもので、制動
力による車両の運動制御を実行している時も、運転者の
ブレーキ操作により発生したブレーキ操作液圧がホイル
シリンダに供給するようにして運転者の意図に見合った
制動力に得られるようにすることを、制御の複雑化や大
幅なコストアップや信頼性の低下を招くことなく達成す
ること、姿勢制御時に常時適切な旋回モーメントが得ら
れるようにするとともに、制御終了時には制御による旋
回モーメントを速やかに解除するようにして姿勢制御の
精度向上を図ること、ならびに、適切な出力トルクの制
御を行って姿勢制御性能の向上を図ることを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】 この発明は、制御を実
行するにあたり、制御用液圧源の液圧を供給するのは2
系統のブレーキ配管の1系統のみとし、もう一方の系統
のブレーキ配管には、運転者のブレーキ操作に対応して
発生したブレーキ操作液圧を供給するようにし、また、
左右の駆動輪の車輪速目標値と実車輪速との平均値に基
づいてトルク低減量を決定することで、上述の主目的を
達成することとした。すなわち、請求項1記載の発明に
あっては、図1のクレーム対応図に示すように、車両の
挙動を検出する車両挙動検出手段gと、車両の走行駆動
源jの出力トルクを変更可能な出力変更手段kと、車両
挙動検出手段gからの入力に基づいて前記出力変更手段
kの作動を制御する出力制御手段mと、ブレーキ操作に
対応して発生したブレーキ操作液圧aを各輪のホイルシ
リンダbに供給するブレーキ配管が、右前輪側と左後輪
側を接続した配管c1と、左前輪側と右後輪側を接続し
た配管c2との2系統の配管で構成されているブレーキ
装置と、各ブレーキ配管c1,c2に接続されて前記ブ
レーキ操作とは独立してホイルシリンダbの液圧を上昇
させることのできる制御用液圧源dと、前記ホイルシリ
ンダbへの供給液圧源をブレーキ操作液圧とするか制御
用液圧源とするかを切り替える供給源切替手段eと、各
ホイルシリンダbへの供給液圧を独立に制御可能な制御
バルブfと、前記車両挙動検出手段gからの入力に基づ
いて、前記供給源切替手段eの作動および前記制御バル
ブfの作動を制御する制動制御手段hとを備え、前記制
動制御手段hは、車両挙動検出手段gからの入力に基づ
いて車両が所定以上のオーバステア状態であると判断し
た時には、ヨーモーメントを抑える方向に前輪制動力を
与える系統のブレーキ配管c1またはc2へ制御用液圧
源dの液圧を供給し、他系統のブレーキ配管c2または
c1へブレーキ操作液圧aを供給するよう前記供給源切
替手段eを切り替えるオーバスアテア回避制御、あるい
は、車両が所定以上のアンダステア状態であると判断し
た時には、ヨーモーメントを発生させる方向に後輪制動
力を与える系統のブレーキ配管c1またはc2へ制御用
液圧源dの液圧を供給し、他系統のブレーキ配管c2ま
たはc1へブレーキ操作液圧aを供給するよう前記供給
源切替手段eを切り替えるアンダステア回避制御の少な
くともいずれか一方を行い、さらに、各回避制御時に
は、実車輪速が車両挙動に応じて設定した車輪速目標値
に収束するよう前記制御バルブfの作動を制御する液圧
制御を行い、前記出力制御手段mは、前記制動制御手段
hによるオーバステア回避制御時あるいはアンダステア
回避制御時には、制御用液圧源dを供給源としている系
統の駆動輪の車輪速目標値と、ブレーキ操作液圧aを供
給源としている系統の駆動輪の実車輪速との平均値から
駆動源制御目標値を求め、さらに、この駆動源制御目標
値と左右の駆動輪の実車輪速の平均値との差に基づいて
トルク低減量を決定するトルクダウン制御を行うことを
特徴とする。
【0006】請求項2記載の発明は、前記出力制御手段
mは、前記トルクダウン制御時に、前記駆動源制御目標
値と駆動輪の実車輪速平均値との差に基づいて駆動源出
力誤差トルクを求め、この駆動源出力誤差トルクから出
力誤差フィードバックトルクを求める一方、現在の出力
トルクを求め、この出力トルクと前記出力誤差フィード
バックトルクとの差から出力目標トルクを求め、この出
力目標トルクに基づいてトルクダウン量を設定するよう
構成されていることを特徴とする。
【0007】請求項3記載の発明は、前記駆動源出力誤
差トルクに所定のゲインを掛けた値と、駆動源出力誤差
トルクの微分値に所定のゲインを掛けた値と、駆動源出
力誤差トルクの積分値に所定のゲインを掛けた値とを足
し合わせて出力誤差フィードバックトルクを求めること
を特徴とする。
【0008】請求項4記載の発明は、前記供給源切替手
段eが、前記制御用液圧源dと各ブレーキ配管c1,c
2とをそれぞれ遮断できる液圧源側遮断バルブと、前記
ブレーキ操作液圧の各ブレーキ配管への供給を遮断でき
る操作液圧側遮断バルブとで構成され、前記制動制御手
段hが、各遮断バルブの開閉を制御することを特徴とす
る。
【0009】請求項5記載の発明は、前記制動制御手段
hによるオーバステア判断あるいはアンダステア判断
を、車両のヨー速度に基づいて行うことを特徴とする。
【0010】請求項6記載の発明は、前記制動制御手段
hによるオーバステア判断あるいはアンダステア判断
を、車両のスリップ角に基づいて行うことを特徴とす
る。
【0011】請求項7記載の発明は、前記制動制御手段
dによるオーバステア判断あるいはアンダステア判断
を、車両の横方向加速度に基づいて行うことを特徴とす
る。
【0012】請求項8記載の発明は、前記制動制御手段
dが、前記オーバステア回避制御時に、制御用液圧源d
を供給源とする系統のブレーキ配管の後輪側のホイルシ
リンダへの供給圧を零とするよう前記制御バルブfを作
動させることを特徴する。
【0013】請求項9記載の発明は、前記制動制御手段
dが、前記オーバステア回避制御時に、車両制御定数K
FTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+(BETAS−BE
TA) (ただし、K1 ・K2 :制御ゲイン、YAWS:ヨー速
度目標値、YAW:ヨー速度検出手段検出値、BET
A:スリップ角検出手段検出値である。)の演算式に基
づいて求め、前記ブレーキ配管c1,c2のうち制御用
液圧源dを供給源とする系統の車輪速目標値としての前
輪スリップ率目標値SLIPCTF を、 SLIPCTF =SLIPCnF −KFM×SLIPCnR +|
FT×Slim /KFI| (ただし、SLIPCnF :ブレーキ操作液圧側前輪スリ
ップ率、SLIPCnR :ブレーキ操作液圧側後輪スリッ
プ率、KFM:車両前後重量配分特性定数、KFI:車両前
輪荷重・慣性特性定数、Slim :線形式タイヤスリップ
率である。)としてこれに制御用液圧源dを供給源とす
る系統のブレーキ配管側の実車輪速としての前輪スリッ
プ率が一致するように前記制御バルブfを駆動すること
を特徴とする。
【0014】請求項10記載の発明は、前記制動制御手
段hが、オーバステア回避制御時に、前記ブレーキ配管
c1,c2のうちブレーキ操作液圧を供給源とする系統
のスリップ率限界値SLIPCGF (前輪)、SLIP
CGR (後輪)を、 SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPMX−|Slim ×KFT|)/( KFI
RI) (ただし、KRI:車両後輪荷重・慣性特性定数、SLI
MX:制御上限スリップ率である。)とし、前記ブレー
キ操作液圧aを供給源とする系統のブレーキ配管側の実
車輪速としての車輪スリップ率SLIPCnF ,SLIP
CnR が前記スリップ率限界値SLIPCGF (前輪)、S
LIPCGR (後輪)を越えないよう前記制御バルブfを
駆動することを特徴とする。
【0015】請求項11記載の発明では、前記制動制御
手段hが、前記アンダステア回避制御時に、車両制御定
数KFTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+K2 (BETAS−
BETA) の演算式から求め、前記制御用液圧源dを供給源とする
系統のブレーキ配管側の車輪速目標値としての前輪スリ
ップ率目標値SLIPCTF を(YAWS−YAW)ある
いは(BETAS−BETA)の関数より求めた後、 SLIPCTF <KFM×SLIPMX+|KFT×Slim /K
FI| の条件を満たすように制限することを特徴とする。
【0016】請求項12記載の発明は、前記制動制御手
段hが、前記アンダステア回避制御時に、車両制御定数
FTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+K2 (BETAS−
BETA) の演算式から求め、前記ブレーキ配管c1,c2のうち
制御用液圧源dを供給源とする系統の車輪速目標値とし
ての後輪スリップ率目標値SLIPCTR を、 SLIPCTR =SLIPCnR −KFM(SLIPCnF −S
LIPCTF )−|KFT×Slim /KFI| としてこれに制御用液圧源dを供給源とする系統のブレ
ーキ配管側の実車輪速としての後輪スリップ率が一致す
るよう前記制御バルブfを駆動することを特徴とする。
【0017】請求項13記載の発明は、前記制動制御手
段hが、前記アンダステア回避制御時に、前記ブレーキ
配管c1,c2のうちブレーキ操作液圧aを供給源とす
る系統のスリップ率限界値SLIPCGF (前輪)、SL
IPCGR (後輪)を、 SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPCTF −KRI×SLIPMX−|Slim
×KFT|)/(KFI−KRI)とし、(ただし、KRI:車
両後輪荷重・慣性特性定数、SLIPMX:制御上限スリ
ップ率である。) 前記ブレーキ操作液圧aを供給源とする系統のブレーキ
配管側のスリップ率SLIPCnF ・SLIPCnR が前記
スリップ率限界値を越えないよう前記制御バルブfを駆
動することを特徴とする。
【0018】
【作用】 請求項1〜3記載の発明では、制動制御手段
hは車両挙動検出手段gからの入力に基づいて車両が所
定以上のオーバステア状態であると判断した時には、ヨ
ーモーメントを抑える方向に前輪制動力を与える系統の
ブレーキ配管c1またはc2へ制御用液圧源dの液圧を
供給し、他系統のブレーキ配管c2またはc1へブレー
キ操作液圧aを供給するよう供給源切替手段eを切り替
えるオーバステア回避制御を行う。すなわち、図2
(a)に示すように車両が左旋回している時にオーバス
テア状態となった場合には、右前輪FRに制動力を与え
てオーバステアモーメントを減じてオーバステア状態を
回避する(右前前輪FRに作用する制動力は車両に対し
て右旋回方向のモーメントとして車両に作用する。ま
た、制動力を増すことで、右前前輪FRにおいてオーバ
ステア方向に作用していたコーナリングフォースが低下
する。)。そして、この場合、供給源切替手段eは、図
1において、ブレーキ配管c1に制御用液圧源dの液圧
を供給する一方、ブレーキ配管c2にはブレーキ操作液
圧aを供給するように切り替えられており、このオーバ
ステア回避制御を行っている状態において運転者がブレ
ーキ操作を行った場合、それにより発生したブレーキ操
作液圧aはブレーキ配管c2に供給され、左前輪FLお
よび右後輪RRのホイルシリンダbを作動させて、運転
者の意図に応じた制動力が得られる。
【0019】あるいは、制動制御手段hは車両挙動手段
gからの入力に基づいて車両が所定以上のアンダステア
状態であると判断した時には、ヨーモーメントを発生さ
せる方向に後輪駆動力を与える系統のブレーキ配管c1
またはc2へ制御用液圧源dの液圧を供給し、他系統の
ブレーキ配管c2またはc1へブレーキ操作液圧aを供
給するよう供給源切替手段eを切り替えるアンダステア
回避制御を行う。すなわち、図2(b)に示すように車
両が左旋回している時にアンダステア状態となった場合
には、左後輪RLに制動力を与えてオーバステアモーメ
ントを発生させアンダステア状態を回避する。そして、
この場合、供給源切替手段eは、図1において、ブレー
キ配管c1に制御用液圧源dの液圧を供給する一方、ブ
レーキ配管c2にはブレーキ操作液圧aを供給するよう
に切り替えられており、このアンダステア回避制御を行
っている状態において運転者がブレーキ操作を行った場
合、それにより発生したブレーキ操作液圧aはブレーキ
配管c2に供給されて、左前輪FLおよび右後輪RRの
ホイルシリンダbを作動させて、運転者の意図に応じた
制動力が得られる。
【0020】さらに、これらの回避制御時には、出力制
御手段mは、制御用液圧源dを供給源とする系統の駆動
輪の車輪速目標値と、ブレーキ操作液圧源aを供給源と
している系統の駆動輪の実車輪速との平均値から駆動源
制御目標値を求める。すなわち、前輪駆動車において図
2(a)のオーバステア状態の例では、右前輪FRの車
輪速目標値と左前輪FLの実車輪速との平均値から駆動
源制御目標値を求め、あるいは図2(b)のアンダステ
ア状態では、左前輪FLの車輪速目標値と右前輪FRの
実車輪速との平均値から駆動源制御目標値を求める。つ
まり、上述の前輪駆動の例では、オーバステアあるいは
アンダステア状態では、制動制御手段hの制御により左
右の前輪の一方にしか制動力が作用せず、したがって、
左右で車輪速が異なるし、また、この状態で運転者が制
動操作を行った場合には、非制動操作時と車輪速のバラ
ンスが異なっている。そこで、出力制御手段mでは、制
御用液圧源dを供給源としている系統の駆動輪(例え
ば、図2に示す左旋回時であれば右前輪FR)の車輪速
目標値と、ブレーキ操作液圧aを供給源としている系統
の駆動輪(例えば、図2に示す左旋回時であれば左前輪
FL)の実車輪速との平均値から駆動源制御目標値を求
め、この駆動源制御目標値と左右の駆動輪の実車輪速の
平均値との差に基づいてトルク低減量を決定し、これを
出力変更手段kに出力する。そして、この出力変更手段
kは、走行駆動源jの出力トルクを、このトルク低減量
に見合った量だけ低減させる。すなわち、従来技術によ
り走行駆動源jの出力トルクの低減制御を行う場合、そ
の駆動源制御目標値は、左右の駆動輪が同一速度である
として左右輪の速度差に関係なく設定されている。そこ
で、上述のような制動力の制御を行うことで、左右の車
輪速、言い換えるとスリップ率が異なっている状態で、
従来技術のトルク制御を実行すると、例えば、制動して
いる駆動輪に駆動力を与える結果を招いたりするおそれ
があり、所望の制御状態が得られなくなるおそれが生じ
る。それに対して、本発明では、トルク低減量を、制御
バルブfの制御に対応して制御用液圧源dの液圧供給を
行って制動を与える駆動輪の車輪速目標値と、運転者の
意志により制動を行う駆動輪の実車輪速との平均値を求
めて、この平均値から駆動源制御目標値を求めるように
しており、このため、状況により従来よりもトルク低減
量を大きくしたり小さくしたりして、トルク低減量を最
適制御するもので、例えば、制動制御手段hによる制御
用液圧源dの供給液圧のみの制動を行っている場合、す
でにこの制動で減速されているため、走行駆動源jにお
けるトルク低減量を従来よりも小さくして、車輪速度の
最適化を図り、一方、運転者が制動操作を行って、ブレ
ーキ操作液圧aと制御用液圧源dとの両方で制動を行っ
ている場合には、走行駆動源jにおけるトルク低減量を
従来よりも大きくして、左右両駆動輪に作用する駆動力
が上記制動制御を邪魔しないようにして、大きな減速度
が得られるようにする。
【0021】請求項4記載の発明では、常時は、各液圧
源側遮断バルブを閉じる一方、操作液圧側遮断バルブを
開いておいて、運転者のブレーキ操作に対応して発生し
たブレーキ操作液圧aが各ブレーキ配管c1,c2を介
して各ホイルシリンダbに供給されて、運転者の意図に
応じた制動力が得られる。また、オーバステア回避制御
・アンダステア回避制御時、例えば、図2に示すような
左旋回時にあっては、図1のブレーキ配管c1に接続さ
れている操作液圧側遮断バルブを閉じる一方、液圧源側
遮断バルブを開いて、右前輪FRおよび左後輪RLのホ
イルシリンダbに制御用液圧源dから液圧供給されるよ
うにし、ブレーキ配管c2側では操作液圧側遮断バルブ
を開いて液圧源側遮断バルブを閉じている状態を維持さ
せ、左前輪FL・右後輪RRのホイルシリンダbには運
転者の意図に応じて制動力が維持される状態を維持させ
る。
【0022】請求項5記載の発明では、オーバステア・
アンダステアの判断を車両のヨー速度に基づいて行う。
この場合、ヨー速度目標値と実ヨー速度との差に基づい
て判断するようにしてもよいし、あるいはヨー速度から
車輪のスリップ角を求めて、これから判断するようにし
てもよい。
【0023】請求項6記載の発明では、オーバステア・
アンダステアの判断を車両のスリップ角に基づいて行
う。この場合、スリップ角目標値と実スリップ角との差
に基づいて判断するようにしてもよいし、あるいはヨー
速度と横加速度から算出したスリップ角に基づいて判断
するようにしてもよい。
【0024】請求項7記載の発明では、オーバステア・
アンダステアの判断を車両の横方向加速度に基づいて行
う。この場合、横加速度目標値と実横加速度との差に基
づいて判断するようにしてもよいし、あるいは横加速度
に基づいてスリップ角を求めて、これから判断するよう
にしてもよい。
【0025】請求項8記載の発明では、オーバステア回
避制御時には、制御用液圧源dを供給源とする系統のブ
レーキ配管の後輪側のホイルシリンダb、例えば、図2
のように左旋回時ではブレーキ配管c1側の左後輪RL
のホイルシリンダbへの供給圧を零とするべく制御バル
ブfを作動させる。この結果、左後輪RLには制動力が
作用せず、この左後輪RLの車輪速は車体速と近似され
る。
【0026】請求項9記載の発明は、オーバステア回避
制御時には、前輪の車輪速目標値としてのスリップ率目
標値を演算し、制御用液圧源dを供給源とする系統の前
輪、例えば図2(a)の例ではブレーキ配管c1の前輪
である右前輪FRの実車輪速としてのスリップ率がスリ
ップ率目標値と一致するように制御バルブfを制御す
る。これによりオーバステア状態を回避するためヨーモ
ーメントを抑えるのに最適な制動力が得られる。
【0027】請求項10記載の発明では、オーバステア
回避制御時には、スリップ率限界値を演算し、制御用液
圧源dを供給源とする系統、例えば図2(a)の例では
ブレーキ配管c1の前後輪のスリップ率がスリップ率限
界値を越えないように制御バルブfを制御する。これに
より、運動制御のための制動力で車輪のスリップ率が必
要以上に高まることがないようにして、車輪のスリップ
率を必要な旋回モーメントが得られる範囲に制御して姿
勢制御を確実に実行することができ、さらには車輪がロ
ックすることによる姿勢変化を防止できる。
【0028】請求項11記載の発明では、アンダステア
回避制御時には、車輪速目標値としての前輪のスリップ
率目標値を演算し、制御用液圧源dを供給源とする系統
の前輪、例えば図2(b)の例ではブレーキ配管c1の
前輪である右前輪FRのスリップ率目標値に制限を与え
る。よって、後輪(図2における左後輪RL)の制動力
によりヨーモーメントを発生させてアンダステア状態を
回避するにあたり、後輪のスリップ率目標値を前輪のス
リップ率目標値よりも大きな値に設定する必要がある
が、前輪のスリップ率目標値に制限を与えない場合には
後輪のスリップ率目標値がブレーキ装置の制動力の制御
に適当な液圧よりも高い液圧を使用することになって、
所望の旋回モーメントを発生できないことになるおそれ
があるのに対して、本発明では、前輪のスリップ率に制
限を与えていることから後輪のスリップ率目標値が所望
の旋回モーメントが得られない値まで高くなるという不
具合を回避できる。また、右前輪FRのスリップ率に制
限を与えたから、左後輪RLで発生させたヨーモーメン
トを相殺しない程度の右前輪FRの制動が可能であるの
で車両の速度抑制に伴い車両の旋回方向のライントレー
ス性が向上する。
【0029】請求項12記載の発明では、アンダステア
回避制御時には、後輪のスリップ率目標値を演算し、制
御用液圧源dを供給源とする系統の後輪、例えば図2
(b)の例ではブレーキ配管c1の後輪である左後輪R
Lのスリップ率が後輪のスリップ率目標値と一致するよ
うに制御バルブfを制御する。これにより、アンダステ
ア状態を回避するためにヨーモーメントを発生させるの
に最適な制動力が得られる。
【0030】請求項13記載の発明では、アンダステア
回避制御時には、前後輪のスリップ率限界値を演算し、
制御用液圧源dを供給源とする系統、例えば図2(b)
の例ではブレーキ配管c1の前後輪のスリップ率がスリ
ップ率限界値を越えないように制御バルブfを制御す
る。これにより、運動制御のための制動力で車輪のスリ
ップ率が必要以上に高まることがないようにして、車輪
のスリップ率を必要な旋回モーメントが得られる範囲に
制御して姿勢制御を確実に実行することができ、さらに
は車輪がロックすることによる姿勢変化を防止できる。
【0031】
【発明の実施の形態】 本発明の実施例を図面に基づい
て説明する。まず、図3は本発明の一実施例を示す全体
図である。1〜4は車輪の回転速度を検出する車輪速セ
ンサ(車両挙動検出手段)であり、それぞれ、例えばピ
ックアップコイル等を使用し車輪の回転速度に応じた周
波数信号を出力する。5はハンドルの転舵角を検出する
舵角センサ(車両挙動検出手段)であり、例えば、フォ
トトランジスタ等により舵角速度に応じた周波数信号を
出力しこれを積分処理することで舵角の検出を行う。6
はヨー速度センサ(車両挙動検出手段)で、例えば、音
叉型のひずみゲージなどにコリオリ力を受けヨー速度の
検出を行う。7は横加速度(以下、横Gという)センサ
(車両挙動検出手段)で、例えば、片持ちはり型のひず
みゲージなどにて横力を受け横加速度の検出を行う。8
は車両挙動制御装置(制動制御手段)であり、各センサ
1〜7からの信号に基づいて車両挙動状態を読み取っ
て、ブレーキ油圧制御アクチュエータ13の各バルブ1
3a〜hの作動を制御することで、各車輪のホイルシリ
ンダ20への後述する油圧供給源の切り替え、ならびに
各ホイルシリンダ20へ供給されるブレーキ液圧の制御
を行い、各輪の制動力を制御している。また、同様に各
センサ1〜7からの各信号に基づいて要求エンジントル
クを算出し、エンジン制御装置9に要求エンジントルク
を送信している。
【0032】前記ブレーキ油圧制御アクチュエータ13
は、各輪のホイルシリンダ20に対してブレーキ液圧の
供給およびブレーキ液圧の制御を行うもので、ブレーキ
配管21,22,23の途中に設けられている。すなわ
ち、前記ブレーキ配管21〜23は、右前輪と左後輪の
ホイルシリンダ20,20を接続したブレーキ配管21
と、左前輪と右後輪のホイルシリンダ20,20を接続
したブレーキ配管22と、運転者のペダル操作に対応し
てブレーキ操作液圧を発生させるマスタシリンダ14と
各配管21,22とを結ぶブレーキ配管23とを有して
いる。そして、前記ブレーキ油圧制御アクチュエータ1
3は、前記ブレーキ配管21,22の途中に設けられ
て、各ホイルシリンダ20へ供給されるブレーキ液圧を
制御する油圧制御バルブ(制御バルブ)13a〜13d
と、車両挙動制御装置8の信号に応じて任意に圧力を上
昇できる制御用油圧源13iと、前記ブレーキ配管23
の途中に設けられて、各ブレーキ配管21に対する供給
液圧を、マスタシリンダ14で発生したブレーキ操作液
圧と制御用油圧源13iの液圧とのいずれにするかを切
り替える遮断バルブ(液圧源側遮断バルブ)13eおよ
び遮断バルブ(操作液圧側遮断バルブ)13gと、前記
ブレーキ配管22に対して同様の切り替えを行う遮断バ
ルブ(液圧源側遮断バルブ)13fおよび遮断バルブ
(操作液圧側遮断バルブ)13hとにより構成され、車
両挙動制御装置8の信号に応じて、片系統づつ単独にホ
イルシンダ20に対する圧力供給源を切り替える制御、
ならびに各ホイルシリンダ20のブレーキ液圧の制御を
行う。なお、各遮断バルブ13e,13f,13g,1
3hは、通常時は、マスタシリンダ14で発生したブレ
ーキ操作液圧が各ブレーキ配管21,22に伝達される
ように、マスタシリンダ14側の遮断バルブ13g,1
3hは開かれ、油圧供給ポンプ13i側の遮断バルブ1
3e,13fは閉じられている。
【0033】15はエンジンの回転速度を検出するエン
ジン回転数センサ(車両挙動検出手段)であり、例え
ば、車輪速センサ1〜4と同様ピックアップコイルなど
により周波数信号を検出する。16はスロットル開度セ
ンサ(車両挙動検出手段)であり、例えば、ポテンショ
メータなどによりスロットル開度を電圧値に変換し、ア
ナログ信号として検出を行う。これらのセンサ15,1
6の信号と車両挙動制御装置8より送信される要求エン
ジントルクはエンジン制御装置(出力制御手段)9に入
力され、要求エンジントルクを要求スロットル開度に変
換し、スロットル制御装置(出力制御手段)10へ送信
する。スロットル制御装置10では、要求スロットル開
度に見合ったモータ駆動電流をエンジン(走行駆動源)
12に取り付けられたスロットルアクチュエータ(出力
変更手段)11へ供給することによりエンジントルクの
制御を行う。以上説明した構成により、各種センサ1〜
7,15,16により車両の挙動を検出し、各輪の駆動
力および各ホイルシリンダ20のブレーキ液圧を変化さ
せ全車輪のトルクを制御するトルク制御手段を構成して
いる。
【0034】次に、図4〜12のフローチャートに基づ
いて車両運動制御装置8の制御動作を説明する。図4に
示す部分は、各種センサにより検出した車両挙動を示す
信号を処理する部分であり、まず、ステップ201で
は、各車輪速センサ1〜4からの入力に基づいて各車輪
の車輪速Vwを算出する。ステップ202〜203で
は、ヨー速度センサ6および横Gセンサ7からの入力に
基づいてヨー速度YAWおよび横GYG の算出を行う。
次に、ステップ204では、車体スリップ角BETAを
演算する。この演算にあたり、本形態では、 BETA=∫(1/Vi・YG +YAW) の式を用いて算出する。次に、ステップ205では、ス
テップ201において算出した各車輪速Vwから算出値
より車体速Viの算出を行う。ステップ206では、下
記の式(1)に基づいて各輪ごとにスリップ率SLIP
FR,SLIPFL,SLIPRR,SLIPRLを求める。
【0035】 SLIPxx=(Vwxx−Vixx)/Vixx ……(1) なお、式(1)のxxは各輪FR・FL・RR・RL を指す。次に、
ステップ207では、舵角センサ5からの入力に基づい
て舵角の算出を行う。ステップ208では、舵角および
車体速Viに基づいて、予め車両運動制御装置8に記憶
されているヨー速度目標値YAWSおよび車体スリップ
角目標値BETASの参照を行う。ステップ209で
は、ヨー速度目標値YAWSとステップ202で算出し
たヨー速度YAWとの差、および車体スリップ角目標値
BETAとステップ204で算出した車体スリップ角B
ETAとの差に、予め定めた重み定数K1 ,K2 を常時
加算した値を、車両運動を補正する指標KFTとして算出
する。
【0036】次に、図5に示すフローチャートは、右旋
回時における後述の前輪のスリップ率目標値SLIP
CTF や前後輪のスリップ率限界値SLIPCGR ,SLI
CGFを決定する部分であり、まず、ステップ210で
は、ヨー速度あるいは舵角などに基づいて右旋回か左旋
回かを判定し、右旋回と判断した時にはステップ211
に進み、左旋回と判断した時には図6のステップ222
に進む。ステップ211では、マスタシリンダ14を供
給源とするブレーキ配管系統として右前輪・左後輪の系
統であるブレーキ配管21を選択し、このブレーキ配管
21側のスリップ率をそれぞれ SLIPCnF =SLIPFR SLIPCnR =SLIPRL と設定する。そして、ステップ212では、左旋回オー
バステア状態フラグFOSRLおよび左旋回アンダステ
ア状態フラグFUSRLの両者をクリアする。次に、ス
テップ213では、現在の車両運動状態が右旋回オーバ
ステア状態であるか否か判定する。本実施の形態では右
旋回でのヨー速度を正としており、このステップ213
では、YAWS−YAW<−YWOBS、すなわち、ヨ
ー速度目標値YAWSからヨー速度(絶対値)YAWを
差し引いた値が、オーバステア設定値−YWOBSより
も小さいか否かを判定し、YESの場合、オーバステア
状態と判定してステップ214に進み、NOの場合、オ
ーバステップ状態でないとしてステップ216に進む。
本実施の形態では、右旋回においててヨー速度絶対値が
発生=オーバステア状態と判断している。
【0037】ステップ214では、スリップ率目標値の
設定など行う処理Aを行う。すなわち、この処理Aで
は、供給油圧源を油圧供給ポンプ13iとする系統(以
下、この系統を制御系統という)であるブレーキ配管2
2の前輪のスリップ率目標値SLIPCTF 、および供給
油圧源をマスタシリンダ14とする系統(以下、これを
マスタシリンダ系統という)であるブレーキ配管21の
前後輪のスリップ率限界値SLIPCGF ・SLIPCGR
を下記式により算出している。
【0038】 SLIPCTF =SLIPCnF −KFM×SLIPCnR
(Slim /KFI)×KFT SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPMX−Slim ×KFT)/KFI−KRI ここで、KFM,KFI,KRI,Slim ,SLIPMXは車両
諸元から予め定めて特性値であり、 KFM:車両前後重量配分特性定数 KFI:車両前輪荷重・慣性特性定数 KRI:車両後輪荷重・慣性特性定数 Slim :スリップ率と制動力の関係が線形である最大ス
リップ率 SLIPMX:制御最大スリップ率 を意味している。次に、ステップ215では、現在の車
両状態を記憶するため、右旋回オーバステア状態フラグ
FOSRRのセットを行う。
【0039】一方、ステップ213で右旋回オーバステ
ア状態でないと判断された場合に進むステップ216で
は、現在の車両運動状態が右旋回アンダステア状態であ
るかの判定を行う。すなわち、ステップ213とは逆
に、右旋回においてヨー速度目標値YAWSからヨー速
度(絶対値)YAWを差し引いた値が、アンダステア設
定値YWUBSよりも大きくなった時、操舵しているに
もかかわらずヨー速度YAWが発生しないアンダーステ
ア状態と判断する。ステップ216の状態を満足したな
らば右旋回アンダステア状態と判断し、ステップ217
に進み、それ以外ではステップ222に進む。ステップ
217では、制御系統であるブレーキ配管22側の前輪
のスリップ率目標値SLIPCTF を決定する。このスリ
ップ率目標値SLIPCTF の決定は、|YAWS−YA
W|あるいは|BETAS−BETA|値により予め定
められた値を参照し決定する。これは|目標値−検出値
|が大きいほどコーナのトレース性が悪化するため制動
力を上げトレース性の向上を図るためである。ステップ
218〜219では、ステップ217で算出したスリッ
プ率目標値SLIPCTF にリミッタを設ける。これは後
述のステップ220における制御系統であるブレーキ配
管22側の後輪のスリップ率目標値SLIPCTR の算出
では、前輪側のスリップ率目標値SLIPCTF による制
動力でのヨーモーメント減少を打ち消し、かつ指標KFT
によるヨーモーメントを発生させる制動力を出すための
スリップ率を算出するため、前輪のスリップ率目標値S
LIPCTF が大きすぎると、後輪のスリップ率目標値S
LIPCTR は極度に大きくなりタイヤ制動力の非線形域
を使用することになってしまうことを防止するためであ
る。この処理では指標KFTに依存して前輪のスリップ率
目標値SLIPCTF を減少させるよう下式により制限値
を算出している。 SLIPCTF =KFI×SLIPMX+(Slim /KFI)×
FT
【0040】次に、ステップ220では、制御系統であ
るブレーキ配管22側の後輪のスリップ率目標値SLI
CTR およびマスタシリンダ系統であるブレーキ配管2
1側の前後輪のスリップ率限界値SLIPCGF ,SLI
CGR を次式により算出する処理Bを実行する。 SLIPCTR =SLIPCnR −KFM(SLIPCnF −S
LIPCTF )−(Slim /KFI)×KFT SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPCTF −KRI×SLIPMX−Slim ×
FT)/(KFI−KRI) これによりヨー速度偏差あるいはスリップ角偏差が大き
いほど制御系統の後輪のスリップ率SLIPCTR を大き
くして制動力が強くかかるよう作用させ、マスタシリン
ダ系統の前後輪のスリップ率SLIPCGF ,SLIP
CGR は制御系統の車輪による運動制御のバランスをくず
さないよう制動力の制限を行っている。次に、ステップ
221では、現在の車両状態を記憶するため、右旋回ア
ンダステアフラグFUSRRのセットを行う。なお、ス
テップ213およびステップ216の両条件を満足しな
い時は、右旋回ニュートラル状態と判断し、ステップ2
22において右旋回オーバステア状態フラグFOSRR
および右旋回アンダステア状態フラグFUSRRのクリ
アを行う。
【0041】図6は、図5のステップ210において左
旋回時と判断された時に進んで処理を行う部分であり、
図5で説明した右旋回時の制御と各種信号の正負の違い
はあるが、その処理の内容は同様であるので詳細な説明
は省略する。ちなみに、左旋回の場合、ブレーキ配管2
1が制御系統となりブレーキ配管22がマスタシリンダ
系統となる。
【0042】図7に示すフローチャートは、2系統のブ
レーキ配管21,22に対する供給油圧源を油圧供給ポ
ンプ13iとするかマスタシリンダ14とするかを切り
替える制御を行う部分であり、まず、ステップ234〜
235において、前述のステップで処理を行った右旋回
オーバステア状態フラグFOSRRおよび右旋回アンダ
ステア状態フラグFUSRRのチェックを行い、FOS
RR=1の時に左前輪に制動力をかけオーバステアモー
メントをキャンセルし、また、FUSRR=1の時に右
後輪に制動力をかけオーバステアモーメントを発生させ
るために、左前輪・右後輪系統のブレーキ配管22の供
給油圧源を油圧供給ポンプ13iとすべくステップ23
7に進んで、図3に示す遮断バルブ13fを開き、同系
統の遮断バルブ13hを閉じる。また、ステップ234
〜235において各フラグFOSRR,FUSRRがク
リアでNOと判定された時には、ステップ236に進ん
で、右旋回方向制御要求がないためブレーキ配管22の
油圧供給源をマスタシリンダ14とすべく遮断バルブ1
3fを閉じ、同系統の遮断バルブ13hを開ける。
【0043】次に、ステップ238〜239において、
右旋回時と同様にして左旋回オーバステア状態フラグF
OSRLおよび左旋回アンダステア状態フラグFUSR
Lのチェックを行い、いずれかのフラグがセットされて
いる時には、ステップ241に進んで右前輪・左後輪の
系統のブレーキ配管21の油圧供給源を油圧供給ポンプ
13iとすべく、遮断バルブ13eを開き、同系統の遮
断バルブ13gを閉じる。また、ステップ238〜23
9において、フラグクリアの時には、ブレーキ配管21
の油圧供給源をマスタシリンダ14とすべく、ステップ
240に進んで遮断バルブ13eを閉じ、遮断バルブ1
3gを開ける。以上説明したステップ234〜241の
制御によりヨーモーメント制御(車両運動制御)の実行
時は、2系統のブレーキ配管21,22のうちで一方の
系統の配管の油圧供給源は油圧供給ポンプ13iとな
り、他方の系統の配管の油圧供給源はマスタシリンダ1
4となる。したがって、運転者がブレーキ操作を行った
時には、ブレーキ配管21,22のうち少なくとも一方
の系統の配管にはマスタシリンダ14で発生したブレー
キ操作液圧が、その系統のホイルシリンダ20に供給さ
れる技術的手段を実現している。
【0044】図8はオーバステア状態と判断した時にお
ける前記制御系統のブレーキ液圧制御について示してい
る。まず、ステップ242〜243において、右旋回オ
ーバステア状態および左旋回オーバステア状態の判断を
行い、右旋回オーバステア状態フラグが1である時ステ
ップ244に進み、右後輪減圧制御および左前輪油圧制
御量算出ルーチンへ移る。まず、ステップ244では、
右旋回オーバステア状態フラグFOSRRの前回値を参
照し、本演算周期において初めて右旋回オーバステア状
態の判断が行われたか否の判断を行う。本演算周期にて
初めて判断された場合(YESの場合)、ステップ24
5に進んで減圧カウンタTOSRVをセットする。初め
て判断されたのではない場合(NOの場合)、ステップ
246に進んで減圧カウンタTOSRVを減算処理す
る。次に、ステップ247では、減圧カウンタTOSR
Vが零を上回るか否かを判定し、YESすなわち零を上
回る場合にはステップ248に進んで右後輪側の油圧制
御バルブ13dに減圧信号を与え、一方、ステップ24
7においてNOすなわち減圧カウンタTOSRVが零以
下の場合にはステップ249に進んで油圧制御バルブ1
3dに保持信号を与える。以上説明したように、ステッ
プ244〜248では、ブレーキ配管22の油圧供給源
を油圧供給ポンプ13i側に切り替えた際に、右後輪の
ホイルシリンダ20の油圧を所定時間COSRVだけ減
圧して十分抜いた後(すなわち、油圧を零にした後)、
その油圧(零)に保持する。
【0045】次に、ステップ250に進み、ステップ2
14において算出した現在の左前輪のスリップ率目標値
SLIPCTF と、ステップ206において算出した現在
の左前輪のスリップ率SLIPFLとの差に、予め定めら
れた制御ゲインKGCTF を乗じ、前輪の制御油圧要求値
PCTFを求める。
【0046】ステップ251〜257は、ステップ24
3において左旋回オーバステア状態であるとの判断を行
った時の制御であり、ステップ244〜250と同様の
制御(左右の違いのみ)を行うことで、左後輪のホイル
シリンダ20の油圧を零にして保持するとともに、前輪
の制御油圧要求値PPCTFを右前輪のスリップ率目標値S
LIPCTF ならびにスリップ率SLIPFLに基づいて算
出する流れを示している。
【0047】ステップ258〜269は、ステップ25
0あるいは257において算出した前輪の制御油圧要求
値PPCTFに基づいて各油圧制御バルブ13a,13bの
駆動を行う手順を示しており、まず、ステップ258で
は、制御油圧要求値PPCTFが予め定めた増圧しきい値P
ZCTFを下回るか否かの判断を行い、YESすなわち
下回ると判断した時には、前輪のスリップ率目標値SL
IPCTF がスリップ率SLIPFLあるいはSLIPFR
りも小さく更に制動をかける要求がある場合であると判
断して、ステップ259に進んで増圧インターバルカウ
ンタTZCTF を加算する一方、減圧インターバルカウン
タTGCTF をリセットする。ステップ260では、増圧
インターバルカウンタTZCTF が予め定められたインタ
ーバル時間TINTを上回るか否かを判定し、YESす
なわち上回る時にはステップ261に進み、NOすなわ
ちインターバル時間TINT以下ではステップ269に
進む。ステップ261では、制御油圧要求値PPCTFにパ
ルス変換係数PGAINを乗じて増圧出力パルスを算出
するとともに、増圧インターバルカウンタTZCTF をク
リアし、その後、ステップ262に進んで、右旋回オー
バステア状態の時(FOSRR=1の時)左前輪の油圧
制御バルブ13aを増圧出力パルス分だけ増圧駆動し、
左旋回オーバステア状態の時(FOSRL=1の時)右
前輪の油圧制御バルブ13bを同様に駆動する。ステッ
プ260においてNOと判断された場合、まだ増圧要求
ではないとしてステップ269に進んでホイルシリンダ
20の油圧を保持するよう油圧制御バルブ13aあるい
は13bを油圧保持動作させる。
【0048】一方、ステップ263〜267は、減圧側
の動作であり、すなわち、前輪のスリップ率目標値SL
IPCTF がスリップ率SLIPFLあるいはSLIPFR
りも大きい場合、制動力を減少する要求があると判断し
て、減圧インターバル時間TGCTF 毎に減圧出力を行う
手順を示している。また、ステップ258,263にお
いていずれの条件にも当てはまらない時には、スリップ
率SLIPFLあるいはSLIPFRがスリップ率目標値S
LIPCTFの近傍にあり増減圧要求がないとして、ステ
ップ268に進んで増圧インターバルカウンタTZCTF
ならびに減圧インターバルカウンタTGCTF をクリア
し、ステップ269に進んで保持出力を行う。なお、以
上の制御は、請求項9に記載の発明に対応している。以
上ステップ242〜269の制御によりオーバステア状
態であると判断した時には、ブレーキ配管21,22の
うち制御系統の配管の後輪側のホイルシリンダ20の油
圧を零とし、この制御系統の前輪側のホイルシリンダ2
0の油圧を、その前輪のスリップ率がスリップ率目標値
SLIPCTF に収束する制御することを実現している。
これによりオーバステア状態の時には、前輪の制動力に
よってオーバステアモーメントを減じ、後輪にあっては
ホイルシリンダ20の油圧が零のため、車体速と車輪速
の一致性が高くなり、精度の高い車体速の推定が可能と
なっている。
【0049】図9および図10はアンダステア状態判断
時における、マスタシリンダ系統(油圧供給源をマスタ
シリンダ14とした系統)のブレーキ油圧制御について
示している。ステップ270〜271では、右旋回アン
ダステア状態あるいは左旋回アンダステア状態であるか
否かの判断を行い、右旋回アンダステア状態と判断され
た時には、ステップ272に進み、制御系統の前輪のス
リップ率目標値SLIPCTFと左前輪のスリップ率SL
IPFLとの差に制御ゲインKGCTF を乗じて前輪の制御
油圧要求値PPCTFを求め、かつ、後輪のスリップ率目標
値SLIPCTR と右後輪のスリップ率SLIPRRとの差
に制御ゲインKGCTR を乗じて後輪の制御油圧要求値P
PCTRを求める。また、ステップ271において左旋回ア
ンダステア状態と判断された時には、ステップ273に
進んで、ステップ272と同様に前後のスリップ率目標
値SLIPCTF ,SLIPCTR と右前輪のスリップ率S
LIPFR,左後輪のスリップ率SLIPRLおよび制御ゲ
インKGCTF ,KGCTR を用いて前後輪の制御油圧要求
値PPCTF,PPCTRを算出する。
【0050】ステップ274〜297は、前後輪の制御
油圧要求値PPCTF,PPCTRに基づいて各油圧制御バルブ
13a〜13dの駆動制御を行う手順を示したものであ
り、既に図8のフローチャートのステップ258〜26
9により説明したのと同様の手順によって各輪のホイル
シリンダ20の油圧の制御を行うものである。これによ
り、アンダステア状態と判断した時には、前輪の制動力
によって車速を落とし、カーブのトレース性を向上さ
せ、さらに、後輪の制動力によってオーバステアモーメ
ントを発生させ、カーブでの車両の回頭性を向上してい
る。
【0051】図11は、ブレーキ配管21,22のうち
の一方をマスタシリンダ系統とした場合のブレーキ油圧
の制御について示している。まず、ステップ299にお
いて、ステップ214,220,225,231の処理
A,Bにより決定されたマスタシリンダ系統の前輪のス
リップ率限界値SLIPCGF とステップ211,222
により決定された前輪のスリップ率SLIPCnF とを比
較し、スリップ率SLIPCnF がスリップ率限界値SL
IPCGF を下回った時には、運転者がブレーキを操作を
行ってホイルシリンダ20へ供給されたブレーキ操作油
圧がスリップ率限界値以上を保てる圧力よりも大きくな
って制動力を減少する必要がある状況であると判断し、
それに続くステップ300においてブレーキ減圧制御実
行カウンタTABSCnF に予め定められた所定値TAB
Sをセットし、さらにステップ301において減圧制御
フラグFABSCnF をセットする。
【0052】一方、ステップ299においてスリップ率
SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF 以上と判
断した時は、ステップ302に進み、ブレーキ減圧制御
実行カウンタTABSCnF の減算を行う。次に、ステッ
プ303に進み、ブレーキ減圧制御実行カウンタTAB
CnF が零以下の時、すなわち、前輪のスリップ率SL
IPCnF が前輪のスリップ率限界値SLIPCGF を上回
り、後段のステップ309〜312による増圧を所定時
間行ってもスリップ率SLIPCnF がスリップ率限界値
SLIPCGF を下回らない時には、運転者がブレーキを
解除しマスタシリンダ14によるブレーキ操作油圧が下
がったと判断し、ステップ304において減圧制御フラ
グFABSCnF をクリアする。ブレーキ減圧制御実行カ
ウンタTABSCnF が零の時は、まだ、後記ステップ3
09〜312による増圧が不充分であり、マスタシリン
ダ14におけるブレーキ操作油圧が下がっているか不確
定のため制御を続行する。以上ステップ299〜304
の操作により、減圧制御フラグFABSCnF のセットあ
るいはクリアを行う。
【0053】続くステップ305では、油圧制御実行判
断を行う。すなわち、減圧制御フラグFABSCnF がク
リアの時は、マスタシリンダ14におけるブレーキ操作
油圧が直接ホイルシリンダ20にかかってもスリップ率
SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF 以内に納
まるため、ステップ306においてスリップ率SLIP
CnF にあたる油圧制御バルブ13aあるいは13bを増
圧出力、すなわち通常のブレーキ状態とする。
【0054】一方、減圧制御フラグFABSCnF がセッ
トされている時は、減圧制御を実行するとしてステップ
307に進み、スリップ率限界値SLIPCGF とスリッ
プ率SLIPCnF との差に制御ゲインKGCnF を乗じて
前輪の制御液圧要求値PPOnFを求め、以降ステップ30
8〜319の制御により、スリップ率SLIPCnF がス
リップ率限界値SLIPCGF を上回らないよう前輪のホ
イルシリンダ20の油圧を制御する。以上説明したステ
ップ299〜319の制御により、オーバステア状態、
あるいはアンダステア状態に対応した制御中に運転者が
ブレーキ操作を行って、スリップ率SLIPCnF がスリ
ップ率限界値SLIPCGF を下回った場合、制動力を減
少させてヨーモーメントを制御している。なお、本実施
の形態ではマスタシリンダ系統の制御について前輪の制
御例を説明したが、後輪についてもスリップ率限界値S
LIPCGR とスリップ率SLIPCnR を用いて前輪と同
様の減圧制御を実行する。以上説明した図11のフロー
チャートに示す制御により、前述の制御系の制動制御に
よる制御バランスを崩さないようにしながら、運転者の
ブレーキ操作によりマスタシリンダ14で発生したブレ
ーキ操作油圧によるマスタシリンダ系統の制動制御が行
える。
【0055】次に、図12に基づき、エンジン制御用ス
リップ率目標値および目標トルクの算出について説明す
る。まず、ステップ320〜323において、右旋回オ
ーバステア・アンダステアおよび左旋回オーバステア・
アンダステアの判断を行う。右旋回のオーバステアある
いはアンダステア状態の時は、左前輪側のホイルシリン
ダ20に対して油圧供給ポンプ13iを供給源として油
圧制御を行い、右前輪側のホイルシリンダ20は運転者
のブレーキ操作に応じたマスタシリンダ14の油圧が作
用する。
【0056】したがって、この場合、制御収束時の各輪
スリップ率は、左前輪側はスリップ率目標値SLIP
CTF であり、右前輪側は非制御であるからスリップ率S
LIPFRとなっている(図15参照)。そこで、ステッ
プ324では、エンジン制御目標スリップ率SLIP
eng を左右前輪のスリップ率の平均、すなわち、(SL
IPCTF +SLIPFR)/2とする。また、左旋回オー
バステアあるいはアンダステア時には、ステップ325
に進み、エンジン制御目標スリップ率SLIPeng を左
右前輪のスリップ率の平均、すなわち、(SLIPCTF
+SLIPFL)/2とする。また、オーバステア状態・
アンダステア状態と判断しない時には、ステップ326
に進み、エンジン制御目標スリップ率SLIPeng を、
予め定めた所定値SLPEIにクランプする。次に、ス
テップ327において、現在の駆動輪平均速SLIPE
を算出し、ステップ328においてエンジン制御目標ス
リップ率SLIPeng と駆動輪平均速SLIPE との差
に、エンジン制御ゲインGENGを掛け、エンジン出力
誤差トルクTRQESを算出し、ステップ329におい
てエンジン制御装置9に向けてエンジン出力誤差トルク
TRQESを送信する。なお、本実施の形態では、前輪
駆動車に適用した形態を示したものであり、後輪駆動車
では、後輪に駆動力がかかるため、右旋回オーバステア
あるいはアンダステア時には、エンジン制御目標スリッ
プ率SLIPeng は、SLIPeng =(SLIPCTR
SLIPFL)/2の式により求め、また、左旋回オーバ
ステアあるいはアンダステア時には、SLIPeng
(SLIPCTR +SLIPFR)/2に式により求める。
【0057】次に、図13〜14によりエンジン制御装
置9の動作を説明する。まず、ステップ401におい
て、エンジン回転数センサ15により検出されたエンジ
ン回転数Neを求め、続くステップ402では、スロッ
トル開度センサ16により検出されたスロットル開度T
VOを求める。次に、ステップ403において、前記エ
ンジン回転数Neおよびスロットル開度TVOに基づい
て予めエンジン制御装置9に記憶されている値を参照し
てエンジン出力トルクTRQEGを算出する。
【0058】そして、ステップ404に進み、車両挙動
制御装置8から送信されたエンジン出力誤差トルクTR
QESを検出し、ステップ405および406におい
て、エンジン出力誤差トルクTRQESの微分値DTR
QESおよび積分値ITRQESを求める。
【0059】次に、ステップ407において、予め定め
られた比例ゲインKp、微分ゲインKD および積分ゲイ
ンKI を、それぞれ、エンジン出力誤差トルクTRQE
S、微分値DTRQESおよび積分値ITRQEに乗じ
て加算することで出力誤差フィードバックトルクTRQ
FBを算出する。次に、ステップ408において、エン
ジン出力トルクTRQEGから出力誤差フィードバック
トルクTRQFBを減じることで、エンジン出力目標ト
ルクTRQSを算出する。以上のステップ404〜40
8の処理によってエンジン出力誤差に対するPID補償
を実現している。
【0060】次に、ステップ409に進み、ステップ4
01で求めたエンジン回転数Neとステップ408で求
めたエンジン出力目標トルクTRQSにより予め記憶さ
れているマップに基づいてスロットル開度目標値DKR
を算出し、ステップ410において、スロットルバルブ
制御装置10に向けてスロットル開度目標値DKRの送
信を行う。以上説明した図13のフローチャートに基づ
いて、エンジン出力誤差トルクTRQESを車両挙動制
御装置8から受信して、スロットルバルブ開度目標値D
KRをスロットルバルブ制御装置10に向けて送信する
制御がなされる。
【0061】次に、図14に基づきスロットルバルブ制
御装置10の動作を説明する。まず、ステップ501に
おいて、エンジン制御装置9から送信されたスロットル
開度目標値DKRを検出し、続くステップ502におい
て、スロットル開度目標値DKRに対応して予めスロッ
トルバルブ制御装置10に記憶されている値を参照して
スロットルアクチュエータ供給電流VDKRを求める。
次に、ステップ503において、スロットルアクチュエ
ータ供給電流VDKRに相当する電流をスロットルアク
チュエータ11へ供給する。以上の動作により、スロッ
トル開度目標値DKRをエンジン制御装置9から受信し
て、スロットルアクチュエータ11を駆動してエンジン
出力トルクを制御する。
【0062】上述のように構成した実施の形態では、車
両がオーバステア状態あるいはアンダステア状態となる
と、前者の場合ヨーモーメントを抑え、後者の場合ヨー
モーメントを発生させるだけの制動力が得られるよう、
図15(a)に示すように、車両の挙動に応じた分だ
け、すなわち、前記指標KFTに応じた分だけ増圧するよ
うにスリップ率目標値SLIPCTF を決定して、これに
見合った油圧を、制御系統のブレーキ配管21または2
2の一方にのみ油圧供給ポンプ13iから供給する。次
に、このような車両姿勢の制御途中において、運転者が
ブレーキ操作を行った場合、それが緩いブレーキ操作、
すなわち前輪のスリップ率SLIPCnF がスリップ率限
界値SLIPCGF よりも小さな操作を行った場合には、
図15(b)に示すように、マスタシリンダ系統のブレ
ーキ配管21または22の一方には、ブレーキ操作に応
じてマスタシリンダ圧をそのまま伝達させるとともに、
制御系統のブレーキ配管22または21には、車両挙動
による増圧分である指標KFTに応じた圧力に、マスタ系
統のスリップ率SLIPCnF の分だけ上乗せしてスリッ
プ率目標値SLIPCTF を決定する。この場合、ブレー
キ操作中と非ブレーキ操作中とで車両姿勢制御中の両系
統のブレーキ配管21,22におけるスリップ率目標値
nF,CTFの差、すなわち、車両に発生させるヨーモー
メントのバランスが変化することがないから、車両姿勢
が乱れない。また、上記制御中に運転者が急ブレーキ操
作を行った場合、すなわち前輪のスリップ率SLIP
CnF がスリップ率限界値SLIPCGF よりも大きな操作
を行った場合、マスタシリンダ系統の車輪がスリップし
ないようにするために、図15(c)に示すようにスリ
ップ率SLIPCnF がスリップ率限界値SLIPCGF
越えないよう制御バルブ13a,13dまたは13b,
13cを制御し、また、制御系統では、その分だけ液圧
を上乗せしてバランスをとるが、この時、スリップ率目
標値SLIPCTF が制御最大スリップ率SLIPMXを越
えることのないように制御することで、ヨーモーメント
を最適に制御する。すなわち、車輪のスリップ率が所定
値を越えた領域ではサイドフォースの変化が小さくなっ
て所望の旋回モーメントが得られなくなるもので、これ
は姿勢制御ができなくなることを意味する。よって、上
述のように本実施の形態においてスリップ率SLIP
CnF がスリップ率限界値SLIPCGF を越えないように
制御するとともに、スリップ率目標値SLIPCTF が制
御最大スリップ率SLIPMXを越えることのないように
制御することにより、スリップ率が高くなり過ぎて所望
の姿勢制御が実行できなくなることがないもので、特
に、運転者がブレーキ操作を行ってマスタシリンダ系統
のブレーキ液圧が高まった時に、それよりも高く制御す
る制御系統のブレーキ液圧が高くなり過ぎるのを防止で
きる。
【0063】さらに、上述のような各回避制御時におけ
るエンジン制御装置9およびスロットルバルブ制御装置
10のエンジン12のトルク制御について説明する。図
15(a)の場合のように、左右の前輪の一方に油圧供
給ポンプ13iを供給源とする油圧供給を行って制動力
を発生させて車両運動制御を行った(この例の場合、左
旋回時に右前輪に制動力を発生させている)時には、左
右の前輪(これらを駆動輪とする)のスリップ率が異な
っている。このような場合に、図16(a)において点
線で示す従来の路面摩擦係数や車体速により決定するス
リップ率目標値(=車輪速目標値)に向けて、左右輪の
スリップ率に関係なくエンジン12のトルクを低減させ
た場合、エンジン12のトルク低減により生じるスリッ
プ率は、左輪のスリップ率および右輪のスリップ率目標
値よりも大きな値となって、大きな減速がなされるもの
で、これは、運転者に大きな減速感を与えてしまい、運
転者の操作意識から外れた運動がなされることになる。
それに対し、本実施の形態では、駆動源制御目標値が左
右輪のスリップ率とスリップ率目標値との平均、すなわ
ち、図16(a)のP点となり、エンジン12のトルク
ダウンによる過剰な減速がなされることがなく、車両運
動制御が運転者の意識から外れることが無い。
【0064】次に、図15(b)(c)に示すように、
各回避制御中に運転者がブレーキ操作を行った場合、両
図のように左右両輪に制動力が生じてスリップ率が高ま
る。この時、図16(b)に示すように、左右両輪のス
リップ率が従来のスリップ率目標値を越えているとする
と、従来のようにエンジン12をこのスリップ率目標値
に向けて制御したとすると、エンジン12の駆動力が左
右両輪を回転させる方向に作用させて、充分な制動力が
得られないことになるが、本実施の形態では、左右両輪
の平均値をスリップ率目標値としているから、エンジン
12の駆動力が左右両輪を回転させる側にも制動させる
側にも作用させることがなく、運転者の意識に応じた制
動力が得られる。
【0065】
【発明の効果】 以上説明してきたように、請求項1〜
4記載の発明によれば、2系統のブレーキ配管のそれぞ
れの液圧供給源をブレーキ操作液圧とするか制御溶液圧
源とするかを切り替える供給源切替手段と、オーバステ
ア状態と判断した時には、ヨーモーメントを抑える方向
に前輪制動力を与える系統のブレーキ配管に制御溶液圧
源の液圧を供給するとともに、他系統のブレーキ配管へ
ブレーキ操作液圧を供給するよう前記供給源切替手段を
切り替えるオーバステア回避制御、あるいは、アンダス
テア状態と判断した時には、ヨーモーメントを発生させ
る方向に後輪制動力を与える系統のブレーキ配管へ制御
用液圧源の液圧を供給するとともに、他系統のブレーキ
配管へブレーキ操作液圧を供給するよう供給源切替手段
を切り替えるアンダステア回避制御を行う制動制御手段
とを設けた構成としたため、オーバステアあるいはアン
ダステア状態の際にこれを抑える制御を行っていても、
運転者の操作に応じた液圧を一方の系統のブレーキ配管
のホイルシリンダに供給されて、運転者の意図に見合っ
た制動力が得られるもので、このように運転者の意図に
見合った制動力を得るにあたり、単に切替手段を設ける
だけで高価なセンサ類を付加したりそれに応じた制御が
不要であり、運転者の意図に見合った制動力に得られる
ようにすることを、制御の複雑化や大幅なコストアップ
やセンサの故障による信頼性の低下を招くことなく達成
することができるという効果が得られ、しかも、出力制
御手段を、各回避制御時には、制御用液圧源を供給源と
している系統の駆動輪の車輪速目標値と、ブレーキ操作
液圧を供給源としている系統の駆動輪の実車輪速との平
均値から駆動源制御目標値を求め、さらに、この駆動源
制御目標値と左右の駆動輪の実車輪速の平均値との差に
基づいてトルク低減量を決定するトルクダウン制御を行
うよう構成したため、上記各回避制御時に、駆動輪に対
する走行駆動源の出力トルクが、制動力による運動制御
を抑制したり促進させ過ぎたりすることが無く、適切な
運動制御がなされるという効果が得られる。請求項5〜
7に記載の発明にあっては、オーバステアあるいはアン
ダステアの判断を、簡便な検出手段を用いて高い精度で
行うことができるという効果が得られる。請求項8に記
載の発明では、旋回時に、オーバステア回避制御あるい
はアンダステア回避制御を行っている際に、後内輪のホ
イルシリンダへの供給圧を零にする制御を行う構成とし
たため、車体速を後内輪の車輪速と近似でき、高価なセ
ンサ無しに車体速推定精度の向上を図ることができる。
請求項9,11および12に記載の発明にあっては、車
両のヨー速度およびスリップ角に基づいて制御定数を求
め、さらに、この制御定数に基づいてスリップ率目標値
を求め、制御用油圧源を供給源とする系統の車輪のスリ
ップ率がこのスリップ率目標値に一致するように制御す
る構成としたため、高い制御品質を得ることができると
いう効果が得られる。請求項10,13記載の発明にあ
っては、ブレーキ操作液圧を供給源とする系統のスリッ
プ率限界値を、車両輪荷重などに基づいて求めて、この
系統のスリップ率(車輪速)に制限を持たせ、運転者が
ブレーキ操作をしてブレーキ操作液圧がこの系統のブレ
ーキ配管に供給された際に、スリップ率(車輪速)この
限界を越えないよう制御バルブを制御するように構成し
たため、オーバステア回避制御あるいはアンダステア回
避制御を行っている最中に運転者が急ブレーキ操作を行
ったとしても、ブレーキ操作液圧を供給源とする系統の
車輪のスリップ率が限界値にとどまる。これにより、車
輪のスリップ率が所定値以上の領域ではサイドフォース
が変化が小さくなって所望の旋回モーメントが得られな
くなるおそれがあるが、本発明では、これを防止して所
望の姿勢制御を実行することができ、かつ車輪のロック
を防止して車輪ロックにより車両のバランスが崩れるこ
とを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示すクレーム対応図である。
【図2】本発明の作用を示す作用説明図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す全体図である。
【図4】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図5】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図6】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図7】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図8】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図9】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図10】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図11】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図12】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図13】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図14】実施の形態の制御を示すフローチャートであ
る。
【図15】実施の形態動作を示す説明図である。
【図16】実施の形態動作を示す説明図である。
【符号の説明】
a ブレーキ操作液圧 b ホイルシリンダ c1 ブレーキ配管 c2 ブレーキ配管 d 制御用液圧源 e 供給源切替手段 f 制御バルブ g 車両挙動検出手段 h 制動制御手段 j 走行駆動手段 k 出力変更手段 m 出力制御手段 1〜4 車輪速センサ 5 舵角センサ 6 ヨー速度センサ 7 横加速度センサ 8 車両挙動制御装置 9 エンジン制御装置 10 スロットルバルブ制御装置 11 スロットルアクチュエータ 12 エンジン 13 エンジン油圧制御アクチュエータ 13a〜d 油圧制御バルブ 13e〜h 遮断バルブ 13i 油圧供給ポンプ 14 マスタシリンダ 15 エンジン回転数センサ 16 スロットル開度センサ 20 ホイルシリンダ 21 ブレーキ配管 22 ブレーキ配管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−24821(JP,A) 特開 平8−310360(JP,A) 特開 平9−315277(JP,A) 特開 平9−142273(JP,A) 特開 平7−89426(JP,A) 特開 平6−99800(JP,A) 特開 平4−27651(JP,A) 特開 平8−332932(JP,A) 特開 平8−244588(JP,A) 特開 平9−164931(JP,A) 特開 平8−310365(JP,A) 特開 平9−164932(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/00;8/32 - 8/96

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の挙動を検出する車両挙動検出手段
    と、 車両の走行駆動源の出力トルクを変更可能な出力変更手
    段と、 車両挙動検出手段からの入力に基づいて前記出力変更手
    段の作動を制御する出力制御手段と、 ブレーキ操作に対応して発生したブレーキ操作液圧を各
    輪のホイルシリンダに供給するブレーキ配管が、右前輪
    側と左後輪側を接続した配管と、左前輪側と右後輪側を
    接続した配管との2系統の配管で構成されているブレー
    キ装置と、 各ブレーキ配管に接続されて前記ブレーキ操作とは独立
    してホイルシリンダの液圧を上昇させることのできる制
    御用液圧源と、 前記ホイルシリンダへの供給液圧源をブレーキ操作液圧
    とするか制御用液圧源とするかを切り替える供給源切替
    手段と、 各ホイルシリンダへの供給液圧を独立に制御可能な制御
    バルブと、 前記車両挙動検出手段からの入力に基づいて、前記供給
    源切替手段の作動および前記制御バルブの作動を制御す
    る制動制御手段とを備え、 前記制動制御手段は、車両挙動検出手段からの入力に基
    づいて車両が所定以上のオーバステア状態であると判断
    した時には、ヨーモーメントを抑える方向に前輪制動力
    を与える系統のブレーキ配管へ制御用液圧源の液圧を供
    給し、他系統のブレーキ配管へブレーキ操作液圧を供給
    するよう前記供給源切替手段を切り替えるオーバスアテ
    ア回避制御、あるいは、車両が所定以上のアンダステア
    状態であると判断した時には、ヨーモーメントを発生さ
    せる方向に後輪制動力を与える系統のブレーキ配管へ制
    御用液圧源の液圧を供給し、他系統のブレーキ配管へブ
    レーキ操作液圧を供給するよう前記供給源切替手段を切
    り替えるアンダステア回避制御の少なくともいずれか一
    方を行い、さらに、各回避制御時には、実車輪速が車両
    挙動に応じて設定した車輪速目標値に収束するよう前記
    制御バルブの作動を制御する液圧制御を行い、 前記出力制御手段は、前記制動制御手段によるオーバス
    テア回避制御時あるいはアンダステア回避制御時には、
    制御用液圧源を供給源としている系統の駆動輪の車輪速
    目標値と、ブレーキ操作液圧を供給源としている系統の
    駆動輪の実車輪速との平均値から駆動源制御目標値を求
    め、さらに、この駆動源制御目標値と左右の駆動輪の実
    車輪速の平均値との差に基づいてトルク低減量を決定す
    るトルクダウン制御を行うことを特徴とする車両運動制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記出力制御手段は、前記トルクダウン
    制御時に、前記駆動源制御目標値と駆動輪の実車輪速平
    均値との差に基づいて駆動源出力誤差トルクを求め、こ
    の駆動源出力誤差トルクから出力誤差フィードバックト
    ルクを求める一方、現在の出力トルクを求め、この出力
    トルクと前記出力誤差フィードバックトルクとの差から
    出力目標トルクを求め、この出力目標トルクに基づいて
    トルクダウン量を設定するよう構成されていることを特
    徴とする請求項1記載の車両運動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動源出力誤差トルクに所定のゲイ
    ンを掛けた値と、駆動源出力誤差トルクの微分値に所定
    のゲインを掛けた値と、駆動源出力誤差トルクの積分値
    に所定のゲインを掛けた値とを足し合わせて出力誤差フ
    ィードバックトルクを求めることを特徴とする請求項2
    記載の車両運動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記供給源切替手段が、前記制御用液圧
    源と各ブレーキ配管とをそれぞれ遮断できる液圧源側遮
    断バルブと、前記ブレーキ操作液圧の各ブレーキ配管へ
    の供給を遮断できる操作液圧側遮断バルブとで構成さ
    れ、 前記制動制御手段が、各遮断バルブの開閉を制御するこ
    とを特徴とする請求項1ないし3記載の車両運動制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記制動制御手段によるオーバステア判
    断あるいはアンダステア判断を、車両のヨー速度に基づ
    いて行うことを特徴とする請求項1ないし4記載の車両
    運動制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制動制御手段によるオーバステア判
    断あるいはアンダステア判断を、車両のスリップ角に基
    づいて行うことを特徴とする請求項1ないし4記載の車
    両運動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記制動制御手段によるオーバステア判
    断あるいはアンダステア判断を、車両の横方向加速度に
    基づいて行うことを特徴とする請求項1ないし4記載の
    車両運動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記制動制御手段が、前記オーバステア
    回避制御時に、制御用液圧源を供給源とする系統のブレ
    ーキ配管の後輪側のホイルシリンダへの供給圧を零とす
    るよう前記制御バルブを作動させることを特徴する請求
    項1ないし7に記載の車両運動制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制動制御手段が、前記オーバステア
    回避制御時に、車両制御定数KFTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+(BETAS−BE
    TA) (ただし、K1 ・K2 :制御ゲイン、YAWS:ヨー速
    度目標値、YAW:ヨー速度検出手段検出値、BET
    A:スリップ角検出手段検出値である。)の演算式に基
    づいて求め、前記ブレーキ配管のうち制御用液圧源を供
    給源とする系統の車輪速目標値としての前輪スリップ率
    目標値SLIPCTF を、 SLIPCTF =SLIPCnF −KFM×SLIPCnR +|
    FT×Slim /KFI| (ただし、SLIPCnF :ブレーキ操作液圧側前輪スリ
    ップ率、SLIPCnR :ブレーキ操作液圧側後輪スリッ
    プ率、KFM:車両前後重量配分特性定数、KFI:車両前
    輪荷重・慣性特性定数、Slim :線形式タイヤスリップ
    率である。)としてこれに制御用液圧源を供給源とする
    系統のブレーキ配管側の実車輪速としての前輪スリップ
    率が一致するように前記制御バルブを駆動することを特
    徴とする請求項1ないし8に記載の車両運動制御装置。
  10. 【請求項10】 前記制動制御手段が、オーバステア回
    避制御時に、前記ブレーキ配管のうちブレーキ操作液圧
    を供給源とする系統のスリップ率限界値SLIPCGF
    (前輪)、SLIPCGR (後輪)を、 SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPMX−|Slim ×KFT|)/( KFI
    RI) (ただし、KRI:車両後輪荷重・慣性特性定数、SLI
    MX:制御上限スリップ率である。)とし、前記ブレー
    キ操作液圧を供給源とする系統のブレーキ配管側の車輪
    スリップ率SLIPCnF ,SLIPCnR が前記スリップ
    率限界値SLIPCGF (前輪)、SLIPCGR (後輪)
    を越えないよう前記制御バルブを駆動することを特徴と
    する請求項1ないし9に記載の車両運動制御装置。
  11. 【請求項11】 前記制動制御手段が、前記アンダステ
    ア回避制御時に、車両制御定数KFTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+K2 (BETAS−
    BETA) の演算式から求め、前記制御用液圧源を供給源とする系
    統のブレーキ配管側の車輪速目標値としての前輪スリッ
    プ率目標値SLIPCTF を(YAWS−YAW)あるい
    は(BETAS−BETA)の関数より求めた後、 SLIPCTF <KFM×SLIPMX+|KFT×Slim /K
    FI| の条件を満たすように制限することを特徴とする請求項
    1ないし10に記載の車両運動制御装置。
  12. 【請求項12】 前記制動制御手段が、前記アンダステ
    ア回避制御時に、車両制御定数KFTを、 KFT=K1 (YAWS−YAW)+K2 (BETAS−
    BETA) の演算式から求め、前記ブレーキ配管のうち制御用液圧
    源を供給源とする系統の車輪速目標値としての後輪スリ
    ップ率目標値SLIPCTR を、 SLIPCTR =SLIPCnR −KFM(SLIPCnF −S
    LIPCTF )−|KFT×Slim /KFI| としてこれに制御用液圧源を供給源とする系統のブレー
    キ配管側の実車輪速としての後輪スリップ率が一致する
    よう前記制御バルブを駆動することを特徴とする請求項
    1ないし11に記載の車両運動制御装置。
  13. 【請求項13】 前記制動制御手段が、前記アンダステ
    ア回避制御時に、前記ブレーキ配管のうちブレーキ操作
    液圧を供給源とする系統のスリップ率限界値SLIP
    CGF (前輪)、SLIPCGR (後輪)を、 SLIPCGF =SLIPCGR =(KFI×SLIPCTF −KRI×SLIPMX−|Slim
    ×KFT|)/(KFI−KRI)とし、(ただし、KRI:車
    両後輪荷重・慣性特性定数、SLIPMX:制御上限スリ
    ップ率である。) 前記ブレーキ操作液圧を供給源とする系統のブレーキ配
    管側のスリップ率SLIPCnF ・SLIPCnR が前記ス
    リップ率限界値を越えないよう前記制御バルブを駆動す
    ることを特徴とする請求1ないし12に記載の車両運動
    制御装置。
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