JP3331274B2 - 医療用x線撮影装置 - Google Patents

医療用x線撮影装置

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JP3331274B2 JP04579395A JP4579395A JP3331274B2 JP 3331274 B2 JP3331274 B2 JP 3331274B2 JP 04579395 A JP04579395 A JP 04579395A JP 4579395 A JP4579395 A JP 4579395A JP 3331274 B2 JP3331274 B2 JP 3331274B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、曲面断層撮影または平
面断層撮影の少なくともいずれか一方を行う歯科用また
は耳鼻科用の医療用X線撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、従来の医療用X線撮影装置によ
って患者の頭部1に投影される光ビームを示す。患者の
上顎や下顎などの曲面断層撮影または平面断層撮影を行
う際には、患者の頭部1を、X線発生器とX線検出手段
である記録媒体との間の所定の位置に固定する必要があ
る。図8に示される光ビームは、患者の頭部1の固定の
際の位置合わせに用いられる。
【0003】患者の頭部1の位置合わせは、図8に示さ
れる正中線ビームL1、咬合平面ビームL2、水平線ビ
ームL3および断層面ビームL4を参照して行われる。
ここで、断層面ビームL4は、X線発生器とX線検出手
段とを対向状態で支持する旋回アームの位置決めを行う
ための光ビームである。
【0004】先ず、正中線ビームL1と頭部1の正中線
とが一致するように、かつ咬合平面ビームL2と頭部1
の咬合平面とが一致するように、かつ水平線ビームL3
上に眼窩下縁と外耳道を結ぶ線が一致するように、また
は、鼻下点と外耳道を結ぶ線が一致するように患者の頭
部を固定する。曲面断層撮影を行う際は、断層面ビーム
L4が断層基準位置(患者の犬歯の位置)に一致するよ
うにアーム全体を前後に移動させて位置決めを行う。平
面断層撮影を行う際は、計測によるか、または曲面断層
撮影を行ったフィルムから位置を割り出す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術では、
ビームL1〜L4は、患者の頭部1の位置合わせおよび
旋回アームの位置決めを行うためのものであり、実際に
曲面断層撮影および平面断層撮影が行われる際の撮影範
囲を示すものではない。このため、実際に撮影の行われ
る撮影部位の位置が、おおよその位置しか判らず、撮影
を行う術者は、実際に撮影される撮影部位が、撮影すべ
き撮影部位に一致するように経験と感とによって患者の
頭部および旋回アームの位置合わせを行っている。
【0006】曲面断層撮影のみの撮影を行う単機能の撮
影装置では、X線発生器およびX線記録媒体の上下方向
に対する位置は固定されている場合が多く、この場合で
は位置合わせは比較的容易に行うことができ、位置合わ
せの際の誤差が生じるなどの問題が生じることは少なか
った。
【0007】しかしながら、近年、特に歯科用のX線断
層撮影装置では、曲面断層撮影および平面断層撮影の両
方の撮影が可能な多機能の撮影装置が普及してきてお
り、このような多機能の撮影装置では、曲面断層撮影か
平面断層撮影かに対応してX線発生器およびX線検出手
段の上下方向に対する位置を移動させて位置合わせをす
る必要がある。このように、X線発生器および記録媒体
を上下方向に移動して位置合わせを行うようにした場
合、従来のビームL1〜L4だけでは、位置合わせを行
うのが困難であり、正確な位置合わせを行うためには長
時間の位置合わせ作業が必要である。
【0008】また、ビームL1〜L4しか投影されない
従来の撮影装置では、実際に撮影される撮影範囲が示さ
れないので、撮影を行う前に撮影範囲の確認を行うこと
ができず、撮影ミスが生じがちであり、撮影のやり直し
を行うことによって患者の被爆線量の増大を招くという
問題がある。
【0009】本発明の目的は、撮影される撮影範囲を予
め確認することができ、位置合わせの時間の短縮を図
り、撮影ミスを防止することができる医療用X線撮影装
置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、患者の頭部に
関して相互に対向配置されたX線発生器およびX線検出
手段を有するアームと、患者の頭部に線または面状の光
ビームを投影して、撮影される撮影範囲を示す光ビーム
発生器とを備えることを特徴とする医療用X線撮影装置
において、所定期間だけ光ビーム発生器より光ビームを
照射させるタイマ手段を備えることを特徴とする医療用
X線撮影装置である。また本発明は、患者の頭部に関し
て相互に対向配置されたX線発生器およびX線検出手段
を有するアームと、患者の頭部に線または面状の光ビー
ムを投影して、撮影される撮影範囲を示す光ビーム発生
器とを備えることを特徴とする医療用X線撮影装置にお
いて、X線撮影が開始されると、光ビームの照射を停止
させることを特徴とする医療用X線撮影装置である。ま
た本発明は、患者の頭部に関して相互に対向配置された
X線発生器およびX線検出手段を有するアームと、患者
の頭部に線または面状の光ビームを投影して、撮影され
る撮影範囲を示す光ビーム発生器とを備えることを特徴
とする医療用X線撮影装置において、撮影する断層像の
拡大率の変化に応じて光ビームの照射領域が移動するこ
とを特徴とする医療用X線撮影装置である。また本発明
は、前記光ビーム発生器は、撮影範囲の上限と下限とを
示す線状の光ビームを投影することを特徴とする。また
本発明は、前記光ビーム発生器は、光ビームの輝度また
は色を変化することを特徴とする。また本発明は、前記
光ビーム発生器は、光源として電球または発光ダイオー
ドを備えることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明に従えば、光ビーム発生器は、患者の頭
部に線または面状の光ビームを投影して、撮影される撮
影範囲を示す。
【0012】したがって、光ビームが投影される範囲
と、撮影すべき撮影範囲とが一致するようにして、患者
の頭部の位置合わせを行うので、位置合わせを容易に行
うことができ、短時間の作業で正確な位置合わせを行う
ことができる。
【0013】また、光ビームによって実際に撮影される
撮影範囲が示されるので、撮影の前に予め実際の撮影範
囲を確認することができる。その結果、撮影ミスを防止
することができ、撮影ミスによる撮影のやり直しによっ
て患者の被爆線量が増大するのを防止することができ
る。
【0014】また、光ビームによって予め撮影範囲を確
認することができるので、撮影を行うべき撮影範囲に比
べて光ビームによって示される撮影範囲が小さい場合に
は、撮影範囲を小さく絞るとか、撮影を2回に分けて行
い、撮影を行うべき撮影範囲の全範囲の撮影を行うとか
の判断を撮影を行う前にすることができる。また、患者
の頭部の位置合わせ作業の際に、タイマ手段が起動され
ると、タイマ手段が起動をしている所定期間だけ、光ビ
ーム発生器から光ビームが照射される。位置合わせが行
われ、所定期間が経過すると、タイマ手段によって自動
的に光ビームの照射が停止される。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】また本発明に従えば、光ビーム発生器は、
撮影範囲の上限と下限とを示す線状の光ビームを投影す
る。
【0025】
【0026】
【0027】また本発明に従えば、患者の頭部の位置合
わせ作業の間、光ビーム発生器から照射された光ビーム
は、撮影が開始されると自動的に照射が停止される。
【0028】したがって、必要期間以外は自動的に光ビ
ームの照射が停止されるので、光ビームの照射を停止さ
せるための作業が必要なく、操作性がよい。また、位置
合わせに必要な期間だけ光ビームの照射が行われるの
で、消費電力を小さくすることができる。
【0029】また本発明に従えば、撮影する断層像の拡
大率の変化に応じて光ビームの照射領域が移動される。
【0030】したがって、一般に拡大率を変化させる
と、拡大率の変化に伴って実際に撮影される撮影範囲の
面積が変化するのであるが、拡大率の変化に伴って光ビ
ームが照射される照射領域も移動するので、拡大率の大
きさに対応した撮影範囲を示すことができる。
【0031】
【0032】
【0033】また本発明に従えば、光ビーム発生器は、
たとえば曲面断層撮影か平面断層撮影かに対応して光ビ
ームの輝度または色を変化する。
【0034】したがって、曲面断層撮影が行われるか、
平面断層撮影が行われるのかを、撮影の前に予め光ビー
ムの輝度または色の違いによって確認することができ、
撮影ミスを防止することができる。また本発明に従え
ば、光ビームは、電球または発光ダイオードから発せら
れ、レンズなどを介して患者の頭部に投影される。
【0035】
【実施例】図1は、本発明の一実施例であるX線撮影装
置12によって患者の頭部11に投影される光ビームL
14〜L16を示す図である。図2は、X線撮影装置1
2の構成を示す側面図である。X線撮影装置12は、患
者の頭部を保持固定するための一対の側頭部押え部材2
6,27およびチンレスト20と、旋回アーム16と、
昇降本体13と、患者フレーム19と、支柱28と、基
台25と、フィルムカセット18に取付けられる3つの
光ビーム発生器21〜23とを備えて構成される。
【0036】旋回アーム16は、大略的にコの字状に形
成され、一端部には、X線発生器17が取付けられてお
り、他端部にはフィルムカセット18および図示しない
スリット板が取付けられる。フィルムカセット18は、
旋回アーム16および前記スリット板に対して水平方向
に直線的に移動可能に備えられており、後述する曲面断
層撮影の際には、前記スリット板に設けられる細長形状
のスリット部に対してフィルムカセット18が直線的に
移動する。また、フィルムカセット18内には、X線が
入射されると感光するX線フィルムが備えられている。
【0037】また、本実施例では、X線検出手段として
X線フィルムを内蔵したフィルムカセット18を備えた
が、入射されるX線の画像を電気的な信号に変換するC
CD(電荷結合素子)などを備えるようにしてもよい。
【0038】旋回アームの中央部付近は、旋回手段15
を介して保持フレーム14に懸下されており、この保持
フレーム14は昇降本体13から一体的に延設されてい
る。旋回手段15内には、旋回アーム16を旋回させる
旋回機構、および旋回アーム16の旋回中心を水平方向
の任意の方向に移動するX−Yテーブルなどが内蔵され
ている。したがって、旋回アーム16をたとえば患者の
歯列弓の形状に対応させて旋回させることができ、曲面
断層撮影が可能となるとともに、歯列弓および頭骸の任
意の断面での平面断層撮影が可能となる。
【0039】昇降本体13は、基台25に立設される支
柱28上を上下方向に昇降変位可能に備えられており、
患者29の頭部11の上下方向に対する位置や、頭部1
1における撮影部位の位置などに対応して、X線発生器
17およびフィルムカセット18の上下方向に対する位
置を調節できるようになっている。
【0040】昇降本体13とは独立して支柱28上を上
下方向に昇降変位可能に備えられる患者フレーム19に
は、チンレスト20と把手24とが取付けられている。
患者フレーム19が昇降変位可能であるので、患者29
の顎が載置されるチンレスト20の上下方向に対する位
置を、患者の身長などに合わせて上下方向に対して調節
することができる。把手24は、患者フレーム19の下
面に取付けられており、患者に把手24を把持させるこ
とによって、撮影時の患者29の姿勢を安定させること
ができるとともに、患者29の肩が上がり、旋回アーム
16の旋回が阻害されることがない。
【0041】各光ビーム発生器21〜23は、曲面断層
撮影または平面断層撮影の行われる撮影範囲を示す各光
ビームL14〜L16を、患者29の頭部11に投影す
る。このような光ビームL14〜L16は、後述する患
者29の頭部11の位置合わせの際に利用される。
【0042】図3は、X線撮影装置12に備えられる光
ビーム発生器21の構成を示す断面図である。光ビーム
発生器21は、本体32と、本体32に着脱自在に備え
られる光源31とから構成される。光源31に備えられ
るランプ31aから発せられる光ビームは、本体32に
備えられる図示しないスリット、レンズ32bおよびミ
ラー32cを介して、本体32の筺体32aに設けられ
る出射孔32dから患者29の頭部11方向に照射され
る。本実施例では、スリットの形状を細長形状にして光
ビーム発生器21から照射される光ビームL14の形状
を線状の細長形状にしているが、スリットの形状を代え
ることによって、光ビームL14の形状をたとえば面状
の四角形状にすることができる。また本実施例では、ラ
ンプ31aに電球を用いているが、発光ダイオードを用
いてもよい。
【0043】ミラー32cの角度は可変となっており、
ミラー32cの角度を変化させることによって、光ビー
ムL14の照射方向を変化させることができる。
【0044】光ビーム発生器22,23は、光ビーム発
生器21と同様な構成であり、説明は省略する。
【0045】図4は、フィルムカセット18、光ビーム
発生器21〜23、X線発生器17および光ビームL1
4〜L16が投影される頭部11の投影面36の位置関
係を示す図である。図4に示されるように、各光ビーム
発生器21〜23は、フィルムカセット18のX線発生
器17に対向する面18a上に、上下方向に所定の間隔
をあけて配置される。
【0046】光ビーム発生器21から照射される光ビー
ムL14は、曲面断層撮影の際の撮影範囲の上限を示
す。光ビーム発生器22から照射される光ビームL15
は、平面断層撮影の際の撮影範囲の上限を示す。光ビー
ム発生器23から照射される光ビームL16は、曲面断
層撮影および平面断層撮影の際の撮影範囲の下限を示
す。
【0047】フィルムカセット18の面18aに対向配
置される図示しないスリット板には、曲面断層撮影の際
に用いられる細長形状のスリット部と、平面断層撮影の
際に用いられる四角形状のスリット部とが設けられてお
り、このような各スリット部を通過してX線がフィルム
カセット18に入射すると、フィルムカセット18に入
射するX線の面18a上における入射領域は、曲面断層
撮影の際には細長い入射領域37となり、平面断層撮影
の際には四角形状の入射領域38となる。
【0048】入射領域37の上下方向の幅W1は、入射
領域38の上下方向の幅W2よりも広くなっており、ま
た入射領域37の下端と入射領域38の下端とは、一致
するようになっている。面18a上において、光ビーム
発生器21は、上下方向に対する位置が入射領域37の
上端部と一致するように配置され、光ビーム発生器22
は、上下方向に対する位置が入射領域38の上端部と一
致するように配置され、光ビーム発生器23は、上下方
向に対する位置が入射領域37および38の下端と一致
するように配置される。
【0049】このように、配置される各ビーム発生器2
1〜23から照射される各光ビームL14〜L16は、
頭部11aの投影面36に光ビームL14〜L16が水
平方向に沿って延びるように、かつ光ビームL14〜L
16の照射方向が、X線発生器17におけるX線が照射
される際の焦点方向に照射される。
【0050】これによって、撮影の際にX線発生器17
とフィルムカセット18とを一定の間隔で支持する旋回
アーム16を、フィルムカセット18と投影面36との
間の距離が小さくなるように変化させて撮影する断層像
の拡大率が小さくなるように変化させると、拡大率の変
化に伴って実際に撮影される撮影範囲が大きくなるので
あるが、光ビームL14〜L16によって示される撮影
範囲である光ビームL14とL16との間の間隔および
光ビームL15とL16との間の間隔も拡大率の変化に
伴って大きくなる。
【0051】反対に、フィルムカセット18と投影面3
6との間の距離が大きくなるように旋回アーム16を移
動させて拡大率が大きくなるように変化させると、拡大
率の変化に伴って実際に撮影される撮影範囲が小さくな
るのであるが、撮影範囲を示す光ビームL14とL16
との間の間隔および光ビームL15とL16との間の間
隔が、拡大率の変化に伴って小さくなる。
【0052】図1を参照して、X線撮影装置12には、
昇降本体13に、正中線ビームL11、および水平線ビ
ームL12をそれぞれ照射する図示しない2つの光ビー
ム発生器が備えられ、旋回アーム16に、断層面ビーム
L13を照射する図示しない光ビーム発生器が備えられ
る。撮影の際には、患者29の頭部11を、チンレスト
20および側頭部押え部材26,27を用いて、X線発
生器17とフィルムカセット18との間の所定の位置に
位置合わせをして保持固定する必要がある。X線発生器
17およびフィルムカセット18に対する頭部11の位
置合わせは、頭部11に対する前述の各ビームL11〜
L16の位置を確認しながら行われる。
【0053】撮影にあたって、患者29の頭部11の保
持固定は、次のようにして行われる。先ず、患者29を
X線撮影装置12の前に立たせて、次に患者の身長に合
わせて昇降本体13および患者フレーム19を昇降変位
させ、X線発生器17とフィルムカセット18の入射領
域37,38とを結ぶ直線が頭部11における撮影すべ
き撮影部位を貫くように、X線発生器17およびフィル
ムカセット18に対する頭部11の位置を合わせなが
ら、患者29の顎をチンレスト20上に載置し、旋回ア
ーム16から下方に立設される一対の側頭部押え部材2
6,27によって患者29の頭部11を保持固定する。
【0054】頭部11の位置合わせは、正中線ビームL
11が頭部11の正中線と一致するように、かつ水平線
ビームL12上に患者29の眼窩下縁と外耳道を結ぶ線
が一致するように、または、鼻下点と外耳道を結ぶ線が
一致するように行う。曲面断層撮影の際のアームの前後
位置合わせは、断層ビームL13によって行われる。ま
た、光ビームL14〜L16によって示される実際に撮
影される撮影範囲が、所望とする撮影範囲に一致するよ
うに昇降本体を上下させて行われる。
【0055】このように、患者29の頭部11の保持固
定が行われると、撮影目的に対応して曲面断層撮影かま
たは平面断層撮影かが行われる。曲面断層撮影は、たと
えば患者29の歯列弓の曲面断層撮影を行う場合では、
X線発生器17からX線を照射しながら、X線発生器1
7とフィルムカセット18とを結ぶ直線が歯列弓を垂直
方向に貫くようにして、X線発生器17とフィルムカセ
ット18とを歯列弓に沿って移動させるとともに、その
移動に同期してX線フィルムカセット18を細長形状の
スリット部を有するスリット板に対して、旋回アーム1
6の移動方向と反対方向に直線的に移動させることによ
って行われる。
【0056】また、平面断層撮影は、たとえば患者29
の歯列弓に垂直な方向の断層面の撮影を行う場合では、
歯列弓の所望とする断層面をX線発生器17とフィルム
カセット18とを結ぶ直線が垂直方向に貫くように、旋
回アーム16を旋回させ、X線発生器17からX線を照
射しながら、X線発生器17とフィルムカセット18と
を歯列弓の断層面に沿って、互いに平行な反対方向に直
線的に移動させることによって行われる。
【0057】X線撮影装置12には、所定の期間だけ光
ビーム発生器21〜23からビームを照射させるタイマ
手段が備えられており、患者29の頭部11の位置合わ
せの際に、光ビームL14〜L16の照射が開始され、
位置合わせに要する所定の期間が経過すると、タイマ手
段によって光ビームL14〜L16の照射が停止され
る。または、X線撮影装置12には、撮影が開始される
と光ビームの照射を停止させる手段が備えられており、
患者29の頭部11の位置合わせの際に、光ビームL1
4〜L16の照射が開始され、位置合わせ後、撮影を開
始すると光ビームL14〜L16の照射が停止される。
【0058】図5は、撮影される撮影範囲を示すために
患者29の頭部11に投影される光ビームの例を示す図
である。図5(1)の例は、各光ビームL14〜L16
が所定の間隔で投影されており、本実施例は、この図5
(1)の例に対応している。
【0059】図5(2)の例では、光ビームL14〜L
16の他に、光ビームL14〜L16の水平方向に対す
る中心部を通る上下方向に沿って細長い線状の他の光ビ
ームL17が投影されている。光ビームL17を投影す
ることによって、撮影範囲の水平方向に対する中心を確
認しやすくすることができる。
【0060】図5(3)の例では、光ビームL14〜L
16の両端部を通る上下方向に沿って細長い線状の2つ
の光ビームL18,L19が投影されている。光ビーム
L18,L19を投影することによって、平面断層撮影
を行う場合において、実際に撮影が行われる平面断層面
の上下および左右方向に対する大きさを確認することが
できる。
【0061】図5(1)〜図5(3)の例において、曲
面断層撮影の際の位置合わせのときに照射される光ビー
ムL14と、平面断層撮影の際の位置合わせのときに照
射される光ビームL15とで輝度または色が異なるよう
にすることによって、行われようとしている撮影が曲面
断層撮影であるか、平面断層撮影であるかを撮影の前に
予め確認することができる。
【0062】図5(4)の例では、曲面断層撮影の位置
合わせの際には、光ビームL14とL16との間の領域
A1に面状の光ビームを照射し、平面断層撮影の位置合
わせの際には、光ビームL15とL16との間の領域A
2に面状の光ビームを照射する。領域A1に照射される
光ビームと、領域A2に照射される光ビームA2とは、
輝度または色が異なるようにしてもよい。
【0063】したがって、患者29の頭部11の位置合
わせの際には、正中線ビームL11および水平線ビーム
L12の他に、光ビームL14〜L16が投影され、光
ビームL14〜L16が投影される領域と、撮影すべき
撮影領域とが一致するようにして、患者29の頭部11
の位置合わせを行うので、位置合わせを容易に行うこと
ができ、短時間の作業で正確な位置合わせを行うことが
できる。
【0064】また、光ビームL14〜L16によって実
際に撮影される撮影範囲が示されるので、撮影の前に予
め実際の撮影範囲を確認することができる。その結果、
撮影ミスを防止することができ、撮影ミスによる撮影の
やり直しによって患者の被爆線量が増大するのを防止す
ることができる。
【0065】また、光ビームL14〜L16によって予
め撮影範囲を確認することができるので、撮影を行うべ
き撮影範囲に比べて光ビームL14〜L16によって示
される実際の撮影範囲が小さい場合には、撮影範囲を小
さく設定し直すとか、撮影を2回に分けて行って撮影す
べき撮影範囲の全範囲の撮影を行うとかの判断を事前に
行うことができる。
【0066】また、光ビーム発生器21〜23がフィル
ムカセット18に取付けられており、光ビーム発生器2
1〜23がX線発生器17およびフィルムカセット18
に伴って昇降変位するので、X線発生器17およびフィ
ルムカセット18を昇降変位させても、光ビームL14
〜L16の照射領域を移動する必要がない。
【0067】また、光ビームL14〜L16は常にフィ
ルムカセット18からX線発生器17方向に照射される
ので、撮影する断層像の拡大率を変化させても、拡大率
の変化に伴って光ビームL14と光ビームL16との間
の間隔および光ビームL15と光ビームL16との間の
間隔が変化する。その結果、術者は、拡大率の大きさに
対応した撮影範囲の大きさを確認することができる。
【0068】また、光ビーム発生器21〜23による光
ビームL14〜L16の照射は、位置合わせ作業に必要
な期間以外は、自動的に停止されるので、術者がわざわ
ざ光ビームL14〜L16の照射を停止させる必要がな
く、操作性がよい。また、位置合わせに要する期間のみ
光ビームL14〜L16の照射が行われるので、消費電
力を小さくすることができる。
【0069】なお、本実施例では、患者29を立たせた
状態で撮影を行うようにしたが、基台25に椅子を取付
けることによって、座った姿勢で撮影を行うようにして
もよい。
【0070】図6は、本発明の他の実施例であるX線撮
影装置12aの構成を示す側面図である。図6のX線撮
影装置12aにおいて、図1〜図4に示されるX線撮影
装置12と対応および類似する部分には同一の参照符号
を付し、説明を省略する。X線撮影装置12aの特徴点
は、光ビーム発生器21〜23が、フィルムカセット1
8ではなく、昇降本体13に取付けられる点である。
【0071】本実施例では、光ビーム発生器21〜23
が、昇降本体13の患者29に対向する面に備えられて
おり、位置合わせの際には、光ビーム発生器21〜23
から照射される光ビームL14〜L16は、患者29の
顔面に向けて照射される。
【0072】したがって、X線発生器17およびフィル
ムカセット18を昇降変位させると、昇降本体13に伴
って光ビーム発生器21〜23が昇降変位するので、前
述の実施例のX線撮影装置12と同様に、X線発生器1
7およびフィルムカセット18の昇降変位に伴う光ビー
ムL14〜L16の照射領域の移動を行う必要がない。
【0073】撮影する断層像の拡大率の変更に対して
は、光ビーム発生器21〜23の上下方向に対する位置
の調節、または光ビームL14〜L16の照射方向を変
化するための光ビーム発生器21〜23の角度調節を行
い、光ビームL14〜L16の照射領域を拡大率の変化
に合わせて移動する必要がある。このような上下方向の
位置調節または角度調節は、光ビーム発生器21〜23
が昇降本体13上を上下方向に沿って移動可能となるよ
うにスライド機構を設ける、または光ビーム発生器21
〜23の向きを変化させる回転機構を備えることによっ
て行うことができ、スライド機構または回転機構を駆動
し、拡大率の変化に対応して光ビームL14〜L16の
照射範囲の大きさを変化させることができる。
【0074】図7は、本発明のまた他の実施例であるX
線撮影装置12bの構成を示す側面図である。図7のX
線撮影装置12bにおいて、図1〜図4のX線撮影装置
12と対応および類似する部分には同一の参照符号を付
し、説明を省略する。X線撮影装置12bの特徴点は、
光ビーム発生器21〜23が患者フレーム27に取付け
られる取付けアーム30に取付けられる点である。
【0075】X線撮影装置12bでは、光ビーム発生器
21〜23がX線発生器17およびフィルムカセット1
8の旋回半径の内側に備えられているので、X線発生器
17およびフィルムカセット18がどのような位置にく
るように旋回アーム16を旋回させても、旋回アーム1
6、X線発生器17、およびフィルムカセット18によ
って光ビームL14〜L16が遮られることなく、常に
光ビームL14〜L16によって撮影範囲を示すことが
できる。
【0076】X線撮影装置12bでは、光ビーム発生器
21〜23が患者フレーム19に取付けられる取付けア
ーム30に取付けられるので、X線発生器17およびフ
ィルムカセット18と、患者フレーム19とを昇降変位
させた場合、および拡大率を変化させた場合には、X線
発生器21〜23を取付けアーム30に対して上下方向
に移動するか、または光ビームL14〜L16の照射方
向を変化するように光ビーム発生器21〜23を回転す
る必要がある。このような光ビーム発生器21〜23の
移動、または回転は、前述のX線撮影装置12aに備え
られるスライド機構または回転機構を設けることによっ
て実現することができる。
【0077】また他の実施例として、光ビーム発生器2
1〜23を、X線発生器17、または旋回アーム16に
おけるX線発生器17が取付けられる部分の近傍に取付
けてもよい。このように光ビーム発生器21〜23が取
付けられた場合では、前述の実施例のX線撮影装置12
の場合と同様に、X線発生器17およびフィルムカセッ
ト18の昇降変位、および断層像の拡大率の変化に対し
て、光ビームL14〜L16の照射領域を移動する必要
がない。
【0078】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光ビーム
が投影される領域と、撮影すべき撮影領域とが一致する
ようにして、患者の頭部の位置合わせを行うので、位置
合わせを容易に行うことができ、短時間の作業で正確な
位置合わせを行うことができる。
【0079】また、光ビームによって実際に撮影される
撮影範囲が示されるので、撮影の前に予め実際の撮影範
囲を確認することができる。その結果、撮影ミスを防止
することができ、撮影ミスによる撮影のやり直しによっ
て患者の被爆線量が増大するのを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるX線撮影装置12によ
って患者の頭部11に投影される光ビームL14〜L1
6を示す図である。
【図2】X線撮影装置12の構成を示す側面図である。
【図3】X線撮影装置12に備えられる光ビーム発生器
21の構成を示す断面図である。
【図4】フィルムカセット18、光ビーム発生器21〜
23、X線発生器17および光ビームL14〜L16が
投影される頭部11の投影面36の位置関係を示す図で
ある。
【図5】撮影される撮影範囲を示すために患者29の頭
部11に投影される光ビームの例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例であるX線撮影装置12a
の構成を示す側面図である。
【図7】本発明のまた他の実施例であるX線撮影装置1
2bの構成を示す側面図である。
【図8】従来の医療用X線撮影装置によって患者の頭部
1に投影される光ビームを示す。
【符号の説明】
11 頭部 12,12a,12b X線撮影装置 13 昇降本体 14 保持フレーム 15 旋回手段 16 旋回アーム 17 X線発生器 18 フィルムカセット 19 患者フレーム 21〜23 光ビーム発生器 25 基台 28 支柱 L11〜L16 ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭56−47613(JP,U) 実開 昭57−95111(JP,U) 実開 昭55−166213(JP,U) 実開 平6−75411(JP,U) 実開 昭63−182714(JP,U) 実開 昭56−23109(JP,U) 実開 平6−7711(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 6/00 - 6/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者の頭部に関して相互に対向配置され
    たX線発生器およびX線検出手段を有するアームと、 患者の頭部に線または面状の光ビームを投影して、撮影
    される撮影範囲を示す光ビーム発生器とを備えることを
    特徴とする医療用X線撮影装置において、 所定期間だけ光ビーム発生器より光ビームを照射させる
    タイマ手段を備えることを特徴とする医療用X線撮影装
    置。
  2. 【請求項2】 患者の頭部に関して相互に対向配置され
    たX線発生器およびX線検出手段を有するアームと、 患者の頭部に線または面状の光ビームを投影して、撮影
    される撮影範囲を示す光ビーム発生器とを備えることを
    特徴とする医療用X線撮影装置において、 X線撮影が開始されると、光ビームの照射を停止させる
    ことを特徴とする医療用X線撮影装置。
  3. 【請求項3】 患者の頭部に関して相互に対向配置され
    たX線発生器およびX線検出手段を有するアームと、 患者の頭部に線または面状の光ビームを投影して、撮影
    される撮影範囲を示す光ビーム発生器とを備えることを
    特徴とする医療用X線撮影装置において、 撮影する断層像の拡大率の変化に応じて光ビームの照射
    領域が移動することを特徴とする医療用X線撮影装置。
  4. 【請求項4】 前記光ビーム発生器は、撮影範囲の上限
    と下限とを示す線状の光ビームを投影することを特徴と
    する請求項1〜3のうちの1つに記載の医療用X線撮影
    装置。
  5. 【請求項5】 前記光ビーム発生器は、光ビームの輝度
    または色を変化することを特徴とする請求項1〜3のう
    ちの1つに記載の医療用X線撮影装置。
  6. 【請求項6】 前記光ビーム発生器は、光源として電球
    または発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項
    5記載の医療用X線撮影装置。
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