JP3331051B2 - フッ素樹脂積層体 - Google Patents

フッ素樹脂積層体

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JP3331051B2 JP14969194A JP14969194A JP3331051B2 JP 3331051 B2 JP3331051 B2 JP 3331051B2 JP 14969194 A JP14969194 A JP 14969194A JP 14969194 A JP14969194 A JP 14969194A JP 3331051 B2 JP3331051 B2 JP 3331051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐汚染性、耐薬品性、
非粘着性、耐候性などのフッ素樹脂の特徴に加えて、紫
外線吸収性能を兼ね備えたフッ素樹脂積層体に関する。
さらに、本発明は透明性を備えた前記のフッ素樹脂積層
体に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂フィルムは耐汚染性、耐薬
品性、非粘着性、耐候性に優れ、その特徴をかして、
種々の基材の保護フィルムとして用いられている。基材
としては、鋼板ポリ塩化ビニル樹脂板、ABS樹脂
板、ポリカーボネート樹脂板などが例示される。フッ素
樹脂フィルムを保護フィルムとして用いる場合には、通
フッ素樹脂フィルムが最外層になるように、各種基
材とフッ素樹脂フィルムが積層される。
【0003】フッ素樹脂フィルムと種々の基材を積層す
る場合、両者間の接着力を高めるために、フッ素樹脂フ
ィルムの表面をコロナ放電処理するまた接着剤で
両者を接着などの手段が採用される。しかし、透
明なフッ素樹脂フィルムを接着剤で基材に接着する場合
には、フッ素樹脂層を透過した紫外線により接着剤層お
よび基材が劣化退色し、フッ素樹脂フィルムの剥離や基
材の意匠性の低下という問題が生ずる。
【0004】また、農業用ハウスや園芸用ハウスの部材
または食品用包装材などの分野では、耐汚染性、耐薬品
性、非粘着性、耐候性等を有し、かつ紫外線吸収性およ
び可視光線透過性を有するフィルム材が要望されてい
る。透明なフッ素樹脂フィルムに有機系紫外線吸収剤を
添加する方法が考えられるが、この方法には次のような
難点が認められる。すなわち、一般的にフッ素樹脂の成
形温度が高いため、フィルム成形中に有機系紫外線吸収
剤が揮散しやすいまた、フッ素樹脂と紫外線吸収剤と
相溶性乏し、紫外線吸収剤が結晶化して不透明に
なったり、長期使用時に紫外線吸収剤のブリードアウト
現象がしたりする。
【0005】ポリフッ化ビニル樹脂は比較的低い成形温
度でフィルム成形できる。そのために、一部の有機系
紫外線吸収剤がポリフッ化ビニル樹脂のフィルム成形時
に使用され得る。また、ポリフッ化ビニル樹脂は、この
ような有機系紫外線吸収剤と良好な相溶性を示す。した
がって、このような有機系紫外線吸収剤は、ポリフッ化
ビニル樹脂のフィルム成形時の揮散の問題がほとんどな
く、またブリードアウト現象も比較的生起し難い。しか
し、ポリフッ化ビニル樹脂はフッ素含有率が低いため充
分な耐薬品性、非粘着性、耐汚染性が発揮され難く、さ
らに、透明性も不充分である。
【0006】一方、無機系の紫外線吸収剤として、酸化
チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物が知られている。特
に金属酸化物微粒子からなる紫外線吸収剤は、合成樹脂
に添加して使用する場合に、微粒子であるがゆえに合
成樹脂フィルムの透明性を損なわず、またブリードアウ
ト現象を生起し難い。しかし、金属酸化物微粒子をフッ
素樹脂に添加してフィルム成形する場合には、フッ素樹
脂との溶融混練時に金属酸化物微粒子の凝集により粒径
が増大し、得られるフィルムが不透明となる。しかも、
粒径が増大した金属酸化物はフッ素樹脂フィルムの表面
特性を損なう。
【0007】また、フッ素樹脂フィルムを接着剤で基材
に接着する場合、基材や接着剤層に紫外線吸収剤を添加
する方法も考えられる。この方法によれば、紫外線吸収
剤の揮散やブリードアウトの問題を解消できるが、基材
自体や接着剤層自体が徐々に劣化するという問題解消
されない。さらに、フッ素樹脂フィルムと接着剤の密着
充分でなく、特にフッ素含有量が多いフッ素樹脂に
対して充分な密着力を示す接着剤が開発されていない。
【0008】外線吸収塗料を塗布した合成樹脂フィル
ムが知られている。例えば、特開平4−152131号
公報には、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂フィ
ルムの表面に、酸化亜鉛微粒子を分散した紫外線吸収塗
料を塗布する方法が提案されている。しかし、この方法
においては、合成樹脂フィルムの表面に塗膜が形成され
るので、合成樹脂フィルムの表面特性が損なわれる。特
に、この方法をフッ素樹脂フィルムに適用した場合に
は、表面特性への悪影響が大きく、フッ素樹脂フィルム
と塗膜との密着性も不充分であり、塗膜自体の劣化の問
題も残
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フッ
素樹脂の優れた特性に加えて紫外線遮蔽能力を有する
ッ素樹脂積層体を提供することにある。本発明の他の目
的は、基材の表面にフッ素樹脂の優れた特性を付与で
き、基材を光劣化や変色から保護でき、さらに透明性の
高いフッ素樹脂積層体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明は、フッ素含有量
が45重量%以上のフッ素樹脂からなる層(A)ならび
フルオロオレフィン類に基づく重合単位および官能基
を有するモノマーに基づく重合単位を含有する硬化型フ
ッ素樹脂の硬化物からなる層(B)を有する積層体であ
って、層(A)は密着性改善の表面処理された面を有
し、層(A)と層(B)とはこの表面処理された面で積
層されており、層(B)は紫外線吸収剤を含んでいるこ
とを特徴とするフッ素樹脂積層体を提供する。
【0011】本発明において、層(A)はフッ素含有量
が45重量%以上のフッ素樹脂からなる。フッ素含有量
が45重量%未満のフッ素樹脂は、耐汚染性、耐薬品
性、非粘着性、耐候性が不充分であり、特に非粘着性、
耐汚染性が不充分になる。フッ素含有量は50重量%以
上が好ましく、特に55重量%以上が好適である。この
ようなフッ素樹脂としては、エチレン/テトラフルオロ
エチレン系共重合体(以下、ETFEという)、テトラ
フルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合
体(以下、FEPという)またはテトラフルオロエチレ
ン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合
体(以下、PFAという)が好ましい。
【0012】ETFEとしては、テトラフルオロエチレ
ン重合単位/エチレン重合単位のモル比が30/70〜
70/30、好ましくは40/60〜60/40のET
FEが例示される。ETFEとしては、上記2成分の他
に、さらに1種または2種以上のフッ素含有オレフィン
や炭化水素系オレフィンなどの追加成分を共重合たも
のでもよい。この追加成分としては、プロピレン、1−
ブテン等のα−オレフィン類、ヘキサフルオロプロピレ
ン、フッ化ビニリデン、(パーフルオロブチル)エチレ
ン、トリフルオロクロロエチレン等の含フッ素オレフィ
ン類、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフ
ルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロ
ピルビニルエーテル)等の含フッ素ビニルエーテル類、
および含フッ素アクリレート類などが例示される。これ
らの追加成分を共重合る場合には、フッ素含有量が4
5%重量未満にならない範囲内で、ETFE中に50モ
ル%以下で共重合ることが望ましい。場合によって
は、追加成分を10モル%以下の少量で共重合、ET
FEを改質る程度でもよい。
【0013】ETFEの分子量は特に限定されないが、
その目安となる容量流速として10〜300mm3/秒
程度が好適である。ここでの容量流速は、高化式フロー
テスターを使用して、温度300℃、荷重30kgで
直径1mm、長さ2mmのノズルから流出させ、単位時
間(秒)に流出するETFEの容量(mm3)で表され
る値である。
【0014】FEPとしては、テトラフルオロエチレン
重合単位/ヘキサフルオロプロピレン重合単位のモル比
が70/30〜99/1、好ましくは80/20〜95
/5のFEPが例示される。FEPとしては、上記2成
分の他に、さらに1種または2種以上のフッ素含有オレ
フィンや炭化水素系オレフィンなどの追加成分を共重合
たものでもよい。この追加成分としては、プロピレ
ン、1−ブテン等のα−オレフィン類、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデン、(パーフルオロブチル)エチレン、
トリフルオロクロロエチレン等の含フッ素オレフィン
類、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフル
オロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピ
ルビニルエーテル)等の含フッ素ビニルエーテル類など
が例示される。これらの追加成分を共重合る場合に
は、FEPを改質る程度でよく、10モル%以下で共
重合ることが好ましい。
【0015】FEPの分子量は特に限定されないが、そ
の目安となる容量流速として0.5〜300mm3/秒
程度が好適である。ここでの容量流速は、高化式フロー
テスターを使用して、温度380℃、荷重7kgで、直
径2mm、長さ8mmのノズルから流出させ、単位時間
(秒)に流出するFEPの容量(mm3)で表される値
である。
【0016】PFAとしては、テトラフルオロエチレン
重合単位/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)重
合単位のモル比が80/20〜99.5/0.5、好ま
しくは90/10〜99/1のPFAが例示される。ま
た、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)として
は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフル
オロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピ
ルビニルエーテル)、パーフルオロ(n−ヘプチルビニ
ルエーテル)などが挙げられる。共重合体物性などを考
慮するとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好
ましい。PFAとしては、上記2成分の他に、さらに1
種または2種以上の少量のフッ素含有オレフィンや炭化
水素系オレフィンなどの追加成分を共重合たものでも
よい。この追加成分としては、プロピレン、1−ブテン
等のα−オレフィン類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、(パーフルオロブチル)エチレン、トリフルオロク
ロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等の含フッ素
オレフィン類などが例示される。これらの追加成分を共
重合る場合には、PFAを改質る程度でよく、10
モル%以下で共重合ることが好ましい。
【0017】PFAの分子量は特に限定されないが、そ
の目安となる容量流速として0.5〜300mm3/秒
程度が好適である。ここでの容量流速は、高化式フロー
テスターを使用して、温度380℃、荷重7kgで、直
径2mm、長さ8mmのノズルから流出させ、単位時間
(秒)に流出するPFAの容量(mm3)で表される値
である。
【0018】層(A)のフッ素樹脂としては、フッ素含
有量が45重量%以上のものであれば特に限定されるこ
となく、上記のETFE、FEP、PFAの他にも種々
のフッ素樹脂が採用され得る。例えば、高い透明性を有
するフッ素樹脂として、含フッ素脂肪族環構造を有する
重合体が挙げられる。この重合体としては、含フッ素環
構造を有するモノマーを重合して得られるもの、また
少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノ
マーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構
造を有する重合体が例示される。
【0019】主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合
体は、例えばパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3
−ジオキソール)等の含フッ素環構造を有するモノマー
を単独重合するまたは、この含フッ素環構造を有する
モノマーとテトラフルオロエチレン等のラジカル重合性
モノマーを共重合する、ことにより得られる(特公昭
63−18964号公報などを参照)。また、主鎖に含
フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、例えばパーフル
オロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニ
ルビニルエーテル)等の少なくとも2つの重合性二重結
合を有する含フッ素モノマーを環化重合する、または、
この含フッ素モノマーとテトラフルオロエチレン等のラ
ジカル重合性モノマーを共重合する、ことにより得られ
る(特開昭63−238111号公報、特開昭63−2
38115号公報などを参照)。さらに、主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体は、含フッ素環構造を有
するモノマーと少なくとも2つの重合性二重結合を有す
る含フッ素モノマーを共重合しても得られる。主鎖に含
フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、環構造の含有割
合が20重量%以上であるものが、透明性や機械的特性
等の面から特に好ましい。
【0020】層(A)の厚さは特に限定されないが、高
い透明性を得るためには5〜500μm、特に積層体と
しての機械的特性やコストなどを考慮して好ましくは1
0〜200μmが採用される。また、本発明のフッ素樹
脂積層体を各種基材の保護フィルムとして適用する場合
には、基材に強度などの機械的特性を持たせるなどによ
り、層(A)の厚さをさらに小さくできる。
【0021】層(A)は密着性改善の表面処理が施され
た面を有する。表面処理方法としては、フッ素樹脂の密
着性改善に通常用いられる表面処理方法が特に限定され
ることなく広範囲にわたって採用され得る。例えば、コ
ロナ放電処理、金属ナトリウム処理、機械的粗面化処
理、エキシマレーザー処理などが採用され特に、コロ
ナ放電処理が好ましい。フッ素樹脂にコロナ放電処理を
行った表面は、フッ素を含まないプラスチックの表面と
かなり異なる。ESCA(電子分光法)分析により表
面を追跡した結果、酸素含有量が増加してフッ素含有量
が減少ので、確かにフッ素原子が減少すると同時
に、酸素原子をその構成成分とる極性基が導入される
ことが判明した
【0022】コロナ放電処理としては、フッ素樹脂フィ
ルムの成形ラインにコロナ放電処理機を配置し逐次処
理が製造プロセス上有利である。処理条件は、処理する
フィルムの種類や、所望する処理の程度により選択され
る。特に限定されないが、0.1〜10kWの強度で、
0.5〜100m2/分程度理が好ましい。
【0023】本発明において、層(B)はフルオロオレ
フィン類に基づく重合単位および官能基を有するモノマ
ーに基づく重合単位を含有する硬化型フッ素樹脂の硬化
物からなる。層(B)の硬化型フッ素樹脂は、フルオロ
オレフィン類に基づく重合単位を含有、耐候性に優
るので、層(B)自体には劣化の問題が認められない。
また、層(B)の硬化型フッ素樹脂は、官能基を有する
モノマーに基づく重合単位を含有するので、層(A)の
表面処理された面に導入されたカルボキシル基等の極性
基との相互作用により、層(A)との高い密着性を発現
する。さらに、層(B)の硬化型フッ素樹脂は、フルオ
ロオレフィン類に基づく重合単位を有するので、極性が
比較的低く抑えられる。したがって、層(B)は、比較
的低い極性を有する層(A)との親和性が大きくなり、
層(A)とのより高い密着性を発現する。
【0024】層(B)における硬化型フッ素樹脂として
は、テトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロ
エチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種のフル
オロオレフィン類に基づく重合単位(1)を20モル
%以上含有し、官能基を有するモノマーに基づく重合単
位(2)を1〜80モル%含有し、全重合単位に対し
重合単位(1)および重合単位(2)の合計30
モル%以上の割合で含有る溶剤可溶型フッ素樹脂が特
に好ましい。重合単位(1)の含有量は、20モル%
未満では硬化型フッ素樹脂としての耐候性の点で不利と
なるので、好ましくは25〜70モル%程度である。
【0025】層(B)の好適な硬化型フッ素樹脂におい
て、重合単位(2)を与えるモノマーとしては、ビニ
ル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基な
どの重合性部位を有する単量体が挙げられる。具体的に
は、オレフィン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル
類、アリルエーテル類、アリルエステル類、アクリル酸
エステル類、メタクリル酸エステル類などが例示され、
重合性部位とともに官能基を有するモノマーが例示され
る。重合単位(2)の含有量は、好ましくは10〜6
5モル%である。
【0026】合単位(2)における官能基は任意に
選択できる。具体的には、水酸基、カルボキシル基、ア
ミノ基、カルバモイル基などの活性水素を含有する官能
基、ハロホルミル基、カルボン酸無水物基、エポキシ
基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、シアノ
基、共重合にかかわる重合性部位重合性の異なる不飽
和結合など例示される
【0027】重合単位(2)を与えるモノマーは、上
記重合性部位官能基併有する単量体である。具体
的には、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシ
エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、エチレングリコールモノアリルエーテル、ア
クリル酸、マレイン酸、N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、tert−ブチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、グリシジルビ
ニルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニ
ルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルビ
ニルエーテルなどが例示される。
【0028】重合単位(2)における官能基は、重合
単位(1)を与えるモノマーとの共重合後に、他の官
能基に転換することもできる。具体的には、ヒドロキシ
アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエ
ーテル、アクリル酸と多価アルコールとの反応物、グリ
シジルアリルエーテルとアルカノールアミンまたはフェ
ノール性化合物との反応物、アリルアルコール等からな
る水酸基含有化合物にアルキレンオキシドを付加反応さ
せた化合物、その他水酸基、アルコキシシリル基、カル
ボキシル基など上記官能基と反応し得る基を有する化合
物を反応させた化合物などが例示される。
【0029】層(B)の硬化型フッ素樹脂としては、溶
剤可溶型フッ素樹脂が好適に採用される。溶剤可溶型フ
ッ素樹脂の数平均分子量は5000〜20000が適用
される。数平均分子量が20000を超えると溶剤に不
溶となり、5000未満では塗膜の特性や、溶剤に溶解
した溶液の粘度が低く紫外線吸収剤の酸化亜鉛等の金属
酸化物超微粒子の分散やその分散液の塗装等の点で好ま
しくない。
【0030】剤可溶型フッ素樹脂の官能基が加水分解
性シリル基またはイソシアネート基である場合には、湿
気で硬化が可能であり1液で使用できる。また、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基などの活性水素を含有す
る官能基である場合には、硬化剤として一般に利用され
ている多価イソシアネートとの反応が迅速である。
【0031】溶剤可溶型フッ素樹脂重合単位(1)
および(2)を構成するモノマー以外のモノマーと
ては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレンと共重合可能なモノマーを採用できる。例えば、
エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、エチルビニ
ルエーテル、シクロヘキシルビニルエル、アリルエ
ーテル類、アリルエステル類、アクリル酸エステル類、
メタクリル酸エステル類、ヘキサフルオロプロピレン、
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレ
ン、フルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテ
ルなどが例示される。この層(B)の塗膜厚さは、透明
性が得られる1〜100μm、好ましくは3〜30μm
が適用される。
【0032】また、本発明に用いられる紫外線吸収剤
は、上記溶剤可溶型フッ素樹脂と相溶性のあるものであ
ればよく、ベンゾトリアゾール系化合物、サリシレート
系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレー
ト系化合物、無機金属酸化物系化合物その他多くの公知
のものが使用できる。
【0033】具体的には、2−(5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−
ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2,4−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフ
ェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾ
フェノン、サリチル酸フェニル、サリチル酸4−ter
−ブチルフェニル、2−シアノ−3,−ジフェニル
アクリル酸エチル、2−シアノ−3−メチル−3−(p
−メトキシフェニル)アクリル酸メチルに代表される有
機系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン、酸化亜
鉛等の金属酸化物微粒子に代表される無機系紫外線吸
収剤が挙げられる。
【0034】上記の紫外線吸収剤の添加量は、溶剤可溶
型フッ素樹脂100重量部に対して1〜200重量部、
好ましくは5〜150重量部が適用される。添加量が多
すぎると紫外線吸収剤の凝集・結晶化により透明性が低
するので好ましくない。特に、金属酸化物は紫外線吸
収剤自身の耐候性や使用時の耐ブリードアウト性に優れ
ており、特に透明性に優れた微粒子酸化亜鉛が好まし
い。
【0035】溶剤可溶型フッ素樹脂はキシレン、トルエ
ン等の芳香族炭化水素、酢酸ブチル等のエステル類、メ
チルイソブチルケトン等のケトン類、n−ヘキサン、リ
グロイン等の飽和炭化水素類に溶解して用いられる。そ
の際、粒子径0.1μm以下の酸化亜鉛微粒子を均一に
分散するため、例えばボールミル、三本ロール、高速イ
ンペラーミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、
超音波分散機等を用いることが望ましい。
【0036】上述のようにして得られた塗料をフィル
表面に塗布する場合には、例えば、グラビア印刷等の
通常の塗布法を採用できる。また、かかる酸化亜鉛を溶
剤可溶型フッ素樹脂に添加する際、分散安定剤を使用す
ると分散性が向上し透明性や紫外線吸収性能の向上に有
用である。
【0037】本発明のフッ素樹脂積層体において、層
(B)は、層(A)の表面処理された面の上で硬化され
た硬化物であることが好ましい。 本発明のフッ素樹脂積
層体において、層(A)が最外層にあることが好まし
い。 本発明のフッ素樹脂積層体は、層(A)が最外層と
して基材に積層されてなるフッ素樹脂積層体であること
が好ましい。本発明のフッ素樹脂積層体は、2層の構成
からなる積層体で使用する場合は、紫外線遮蔽透明フ
ッ素樹脂フィルムとして農業用ビニールハウスや食品包
装材等に好適である。
【0038】一方、2層以上からなる積層体を鋼板やポ
リ塩化ビニル樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート
樹脂板などの建築物内外装、マーキングフィルム、高速
道路遮音壁等にラミネートして用いる場合に、接着
剤、粘着剤、ホットメルト使用できるが、接着性を有
する溶剤可溶型耐候性フッ素樹脂を適用すれば層(B)
を接着層兼紫外線遮蔽層とする構成も可能である。
【0039】
【実施例】[実施例1] 紫外線吸収剤として粒子径が0.05μm以下の酸化亜
鉛微粉末50重量部、溶剤可溶型フッ素樹脂−1(重合
単位組成クロロトリフルオロエチレン/エチルビニルエ
ーテル/ヒドロキシブチルビニルエーテル=50/43
/7モル%、数平均分子量20000)50重量部、ト
ルエン145重量部をホモジナイザーで均一に混合し、
酸化亜鉛微粒子が分散した溶剤可溶型フッ素樹脂からな
る塗料を得た。この塗料を厚さ25μmのコロナ放電処
理したETFEフィルム(重合単位組成テトラフルオロ
エチレン/エチレン/(パーフルオロブチル)エチレン
=52.0/46.5/1.5モル%、容量流速60m
3/秒)に、バーコーターを用いて塗布した後、80
℃で20分加熱し、4μm厚の塗膜を形成した。次にこ
のフィルムのフッ素樹脂塗料塗膜面側に、ポリ塩化ビニ
ル製白色マーキングフィルムをラミネートして積層体を
得た。
【0040】[実施例2] 溶剤可溶型フッ素樹脂−1を溶剤可溶型フッ素樹脂−2
(重合単位組成クロロトリフルオロエチレン/酢酸ビニ
ル/エチレングリコールモノアリルエーテル=45/4
5/10モル%、数平均分子量18000)に変更す
以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0041】[実施例3] 溶剤可溶型フッ素樹脂−1を溶剤可溶型フッ素樹脂−3
(重合単位組成テトラフルオロエチレン/シクロヘキシ
ルビニルエーテル/エチルビニルエーテル/ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル=50/15/25/10モル
%、数平均分子量15000)に変更する以外は実施例
1と同様にして積層体を得た。
【0042】[実施例4] 紫外線吸収剤を2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオ
シベンゾフェノン5重量部とし、塗膜厚さを20μmと
する以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0043】[実施例5] ETFEフィルムを厚さ25μmのコロナ放電処理した
FEPフィルム(重合単位組成テトラフルオロエチレン
/ヘキサフルオロプロピレン=90/10モル%、容量
流速16mm3/秒)に変更する以外は実施例1と同様
にして積層体を得た。
【0044】[実施例6] ETFEフィルムを厚さ25μmのコロナ放電処理した
PFAフィルム(重合単位組成テトラフルオロエチレン
/パーフルオロプロピルビニルエーテル=98.5
/1.5モル%、容量流速15mm3/秒)に変更す
以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0045】[比較例1] 紫外線吸収剤が添加されたデュポン社製ポリフッ化ビニ
ルフィルム(商品名テドラーTUT10BG3)をポリ
塩化ビニル製白色マーキングフィルムにラミネートして
積層体を得た。
【0046】[比較例2] ETFEフィルムを表面が脱脂された厚さ50μmの透
明塩化ビニル樹脂フィルムに変更する以外は実施例1と
同様にして積層体を得た。
【0047】[比較例3] 溶剤可溶型フッ素樹脂−1をアクリルウレタン樹脂に
更する以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
【0048】実施例1〜6、比較例1〜3の積層体の特
性の評価結果を表1に示す。以下に各試験の方法を示
す。
【0049】[光線透過率] 自記分光光度計を用い、基材であるポリ塩化ビニル製マ
ーキングフィルムを除いたフッ素樹脂積層体の波長40
0nmにおける透過率を測定した。
【0050】[耐汚染性] JIS K−6902に準拠し汚染の度合いを肉眼で判
定した。判定;全く変化しないもの:○、軽微な変化:
△、強い変化:×
【0051】[耐候性] スーパーUVテスターを用い200時間後の積層体を肉
眼で観察した。判定;全く変化しないもの:○、軽微な
変化:△、強い変化:×
【0052】[耐薬品性] 35%HCl、98%濃H2SO4、50%NaOH、2
8%アンモニア水、アニリンの5種のそれぞれの薬品を
積層体上層に滴下し、室温(23℃)で24時間後の外
を肉眼で判定した。判定;全く変化しないもの:○、
軽微な変化:△、強い変化:×
【0053】[密着性] 塗装被膜とフィルムとの密着性をASTM−3359に
従い評価した。密着性(1)初期、密着性(2)
ーパーUVテスト200時間処理後のそれぞれで測定
し残ったマス目数である
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】本発明のフッ素樹脂積層体は、フッ素樹
脂本来の耐汚染性、耐薬品性、耐候性を有し、加えて、
優れた紫外線遮蔽能力を有する。透明性を有するフッ素
樹脂積層体を基材の保護被覆に用いた場合、基材の意匠
性を活し、基材の光劣化や変色を長期間にわたって防
止する。さらに、接着剤を介して上記保護被覆を行った
場合には、接着剤の光劣化や変色を長期間にわたって防
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/00 C08K 5/00 C08L 27/12 C08L 27/12 27/18 27/18 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C09D 1/00 - 201/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素含有量が45重量%以上のフッ素樹
    脂からなる層(A)ならびにフルオロオレフィン類に基
    づく重合単位および官能基を有するモノマーに基づく重
    合単位を含有する硬化型フッ素樹脂の硬化物からなる層
    (B)を有する積層体であって、層(A)は密着性改善
    の表面処理された面を有し、層(A)と層(B)とはこ
    の表面処理された面で積層されており、層(B)紫外
    線吸収剤を含ことを特徴とするフッ素樹脂積層体。
  2. 【請求項2】層(A)の表面処理がコロナ放電処理であ
    る請求項1に記載のフッ素樹脂積層体。
  3. 【請求項3】層(B)における硬化型フッ素樹脂が、テ
    トラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレ
    ンからなる群から選ばれる少なくとも一種のフルオロオ
    レフィン類に基づく重合単位(1)を20モル%以上
    含有し、官能基を有するモノマーに基づく重合単位(
    2)を1〜80モル%含有し、全重合単位に対し重合単
    位(1)および重合単位(2)の合計30モル%
    以上の割合で含有る溶剤可溶型フッ素樹脂である請求
    項1または2に記載のフッ素樹脂積層体。
  4. 【請求項4】層(A)におけるフッ素樹脂が、エチレン
    /テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロ
    エチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体および
    テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニ
    ルエーテル)系共重合体からなる群から選ばれる少なく
    とも一種のフッ素樹脂である請求項1、2または3に記
    のフッ素樹脂積層体。
  5. 【請求項5】層(B)における紫外線吸収剤が酸化亜鉛
    である請求項1、2、3または4に記載のフッ素樹脂積
    層体。
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