JP3331026B2 - 油圧パワーステアリング装置 - Google Patents

油圧パワーステアリング装置

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JP3331026B2 JP26556793A JP26556793A JP3331026B2 JP 3331026 B2 JP3331026 B2 JP 3331026B2 JP 26556793 A JP26556793 A JP 26556793A JP 26556793 A JP26556793 A JP 26556793A JP 3331026 B2 JP3331026 B2 JP 3331026B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、操舵限界近傍において
操舵補助力を解除することのできる油圧パワーステアリ
ング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】操舵によるハンドルの回転をピニオンと
ラックを介して操舵用車輪に伝達すると共に操舵補助力
を付与する油圧シリンダを備えるラックピニオン式油圧
パワーステアリング装置や、ハンドルの回転をボールス
クリューとボールナットを介して操舵用車輪に伝達する
と共に操舵補助力を付与する油圧アクチュエータを備え
たボールスクリュー式油圧パワーステアリング装置等の
油圧パワーステアリング装置が従来より用いられてい
る。
【0003】そのような油圧パワーステアリング装置に
あっては、操舵角度を一定範囲に規制するため、操舵に
より往復移動するラックやボールナット等の移動範囲を
一定範囲に規制する規制手段が設けられている。例えば
ラックピニオン式ステアリング装置にあっては、ラック
と同行移動する被当接部と、この被当接部に当接するこ
とでラックの移動を一定範囲に規制するストッパーを設
けている。
【0004】このような油圧パワーステアリング装置に
おいて、被当接部がストッパーに当接するまで油圧アク
チュエータに高圧油を供給すると、その当接の際に大き
な打撃音や衝撃を生じ、高圧配管用ホースやシール部材
の寿命が無駄な高圧の作用により短くなり、不必要にエ
ネルギーを消費するためエンストを生じ易く省エネルギ
ー化に反する。
【0005】このような問題を解決するものとして実開
昭60‐122277号公報に開示されたラックピニオ
ン式油圧パワーステアリング装置が提案されている。こ
れは、操舵補助力を付与する油圧シリンダのシリンダチ
ューブの内周面に凹部を形成し、ラックが移動端に達す
る直前に油圧シリンダのピストンが凹部内に入り込むよ
うにしたものである。これにより、ラックが移動端に達
する直前に油圧シリンダの左右の油室を連通し、操舵補
助力を解除するようにしたものである。
【0006】操舵補助力を付与する油圧シリンダのピス
トンの外周には、シリンダチューブの内周に接するシー
ルリングが取り付けられる。そのため、上記従来のパワ
ーステアリング装置のようにシリンダチューブの内周面
に凹部を形成すると、その凹部に入り込んだピストンが
移動する際にシールリングが凹部の縁に引っ掛かり破損
してしまい、実用に供することができない。
【0007】また、上記従来のパワーステアリング装置
では、操舵限界近傍において操舵補助力が急激に低下す
るため、ハンドルの操作フィーリングが悪化するという
問題がある。
【0008】そこで、車両幅方向移動により操向用車輪
を操舵するラックと、このラックの車両幅方向移動を一
定範囲に規制する規制手段と、操舵補助力を付与する油
圧シリンダとを備えるラックピニオン式油圧パワーステ
アリング装置において、その油圧シリンダに供給される
高圧油の流路を低圧側に接続するバイパス流路と、この
バイパス流路を開閉可能とする開閉部材とが設けられ、
その開閉部材とラックとが、ラックが移動端に近接する
と開閉部材がバイパス流路を開く方向に移動し、ラック
が移動端から離反すると開閉部材がバイパス流路を閉鎖
する方向に移動するように、カムを介し係合するものが
提案されている(特願平3‐157686号参照)。
【0009】これにより、ラックが移動端に近接すると
開閉部材がバイパス流路を開く方向に移動し、油圧シリ
ンダに供給される高圧油が低圧側に流れることから、操
舵補助力の付与が解除される。また、油圧シリンダのピ
ストンの外周のシールリングが破損するといった問題が
生じることもない。さらに、カム形状に応じて開閉部材
を移動させてバイパス流路の開度を徐々に大きくするこ
とで、油圧シリンダに作用する油圧を徐々に低下させ、
操舵補助力が操舵限界近傍において急激に低下するのを
防止できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】油圧シリンダに供給さ
れる高圧油の流路を低圧側に接続するバイパス流路を操
舵限界近傍において開く場合、最終的な操舵補助力の低
下度合いが過大になると、操舵限界から直進方向に操舵
する際に大きな操舵力を要し、また、操舵により弾性的
に捩じられた車両のタイヤが操舵補助力の低下時に復元
し、操舵フィーリングを悪化させる。そのため、操舵限
界におけるバイパス路の圧油流量は、最終的な操舵補助
力の低下度合いが適正なものとなるように設定する必要
がある。
【0011】しかし、カム形状に応じて開閉部材を移動
させる場合、開閉部材の位置はカムや開閉部材等の加工
精度や組み立て精度の影響を複合的に受けることから、
操舵部材が移動端に位置する時の開閉部材の位置設定精
度は低い。そのため、操舵限界におけるバイパス路の圧
油流量を最終的な操舵補助力の低下度合いが適正になる
ように正確に設定するのは困難である。
【0012】本発明は、上記課題を解決することのでき
る油圧パワーステアリング装置を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の油圧パワーステ
アリング装置は、操舵により往復移動する操舵部材と、
この操舵部材の移動を一定範囲に規制する規制手段と、
操舵補助力を付与する油圧アクチュエータと、この油圧
アクチュエータに高圧油を供給する流路を低圧側に接続
するバイパス流路と、このバイパス流路の途中に設けら
れる可変絞り部と、この可変絞り部の開度を変更する開
閉部材と、この開閉部材を操舵部材が移動端に近接する
と可変絞り部の開度を大きくする方向に次第に移動させ
ると共に操舵部材が移動端から離反すると可変絞り部の
開度を小さくする方向に移動させる手段と、その可変絞
り部の下流において圧油流路を開閉可能なチェック弁と
を備え、そのチェック弁は可変絞り部の開度が一定以上
になると開き、このチェック弁の開口当初はバイパス流
路の圧油流量は可変絞り部の開度変化に応じ変化し、操
舵部材が移動端に位置する時はバイパス流路の圧油流量
は可変絞り部の下流におけるバイパス流路の開度に応じ
定まる一定値とされることを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明の構成によれば、操舵部材が移動端に近
接して可変絞り部の開度が一定以上になるとチェック弁
が開く。このチェック弁の開口当初においては、バイパ
ス流路の圧油流量は可変絞り部の開度変化に応じ変化す
るので、この状態から操舵部材が移動端に近接して可変
絞り部の開度が次第に大きくなると、この可変絞り部の
開度変化に応じ油圧アクチュエータに作用する油圧が小
さくなり、操舵補助力を徐々に小さくすることができ
る。操舵部材が移動端に至った時は、バイパス流路の圧
油流量は可変絞り部の下流におけるバイパス流路の開度
に応じ定まる一定値とされているので、油圧アクチュエ
ータに作用する油圧は開閉部材の位置に影響されること
はなく、可変絞り部の下流におけるチェック弁の開度に
応じ定めることができる。そのチェック弁の開度設定
は、開閉部材の位置設定に比べ容易に精度良く設定でき
るので、操舵限界におけるバイパス路の圧油流量を最終
的な操舵補助力の低下度合いが適正になるように正確か
つ容易に設定することができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0016】図1、図2に示すラックピニオン式油圧パ
ワーステアリング装置1は、ハンドル(図示省略)に連
結される入力軸2と、この入力軸2にトーションバー3
を介して連結されるピニオン4と、このピニオン4に噛
み合うラック(操舵部材)5とを備えている。このラッ
ク5の各端にボールジョイント6(各端とも同様なので
他端は図示省略)を介して操舵用車輪が連結される。こ
れにより、ハンドルの操作による入力軸2の回転がトー
ションバー3を介してピニオン4に伝達され、このピニ
オン4の回転によりラック5が車両幅方向に往復移動し
て操舵用車輪の操舵がなされる。なお、ラック5は図中
左右に変位可能なサポートヨーク30により支持され、
このサポートヨーク30はバネ31の弾性力によりラッ
ク5に押し付けられ、ラック5とピニオン4の噛み合い
の円滑化が図られている。
【0017】そのラック5の車両幅方向移動を一定範囲
に規制するため、ラックハウジング11の各端にストッ
パー40(各端とも同様なので他端は図示省略)が形成
されている。これにより、ラック5が移動端に達する
と、各ストッパー40にそれぞれ前記ボールジョイント
6が当接し、ラック5の車両幅方向移動が規制される。
そのストッパー40は、例えば図2に示すようにラック
ハウジング11の内周に一体形成する段部や、ラックハ
ウジング11の内周に嵌合されるラック支持用ブッシュ
により構成することができる。
【0018】その操舵補助力を付与する油圧シリンダ
(油圧アクチュエータ)10が設けられている。すなわ
ち、その油圧シリンダ10のシリンダチューブはラック
ハウジング11により構成されると共に、ピストン12
はラック5の外周に固定されている。そのピストン12
により仕切られる油室13、14に、操舵方向と路面か
ら作用する操舵抵抗とに応じて高圧油を供給するため、
前記入力軸2の外周囲にロータリー式油圧制御バルブ2
0が形成されている。
【0019】その油圧制御バルブ20は、ラックハウジ
ング11と一体化されたバルブハウジング21と、この
バルブハウジング21の内部において入力軸2を囲む筒
状の弁部材22とを備えている。その弁部材22は前記
ピニオン4に同行回転するよう連結されている。また、
バルブハウジング21は、ポンプ23に接続される周溝
状の入口ポート24と、タンク25に接続される出口ポ
ート26と、前記油圧シリンダ10の一方の油室13に
接続される第1シリンダポート27と、他方の油室14
に接続される第2シリンダポート28とを備えている。
各ポート24、26、27、28は入力軸2と弁部材2
2との内外周間の油路を介し連通し、その油路の開度が
入力軸2と弁部材22との相対回転により変化すること
で、油圧シリンダ10に作用する油圧が制御される。す
なわち、操舵を行なっていない状態では入口ポート24
と出口ポート26との間で圧油は絞られることはなく、
ポンプ23から供給される高圧油はタンク25に還流
し、操舵補助力が作用することはない。ハンドルを回転
させて左右一方へ操舵を行なうと、操舵用車輪を介し路
面から作用する操舵抵抗に応じてトーションバー3が捻
じれて入力軸2と弁部材22とが相対回転し、入口ポー
ト24と油圧シリンダ10の油室13、14の一方とを
連通する油路の開度が大きくなり、その油室13、14
の一方と出口ポート26とを連通する油路の開度が小さ
くなり、入口ポート24と油圧シリンダ10の油室1
3、14の他方とを連通する油路の開度が小さくなり、
その油室13、14の他方と出口ポート26とを連通す
る油路の開度が大きくなる。これにより、油圧シリンダ
10は操舵抵抗に応じた左右一方への操舵補助力を発生
する。左右他方へ操舵を行なうと左右一方へ操舵を行な
った場合とは入力軸2と弁部材22とが逆方向に相対回
転し、油圧シリンダ10は操舵抵抗に応じた左右他方へ
の操舵補助力を発生する。なお、このロータリー式油圧
制御バルブ20は公知の構成のものを用いることができ
る。
【0020】そして、前記油圧シリンダ10に供給され
る高圧油の流路を低圧側に接続するバイパス流路50が
バルブハウジング21に形成されている。このバイパス
流路50は、前記ポンプ23に接続される入口ポート2
4とタンク25に接続される出口ポート26とを接続す
るものであって、第1流路50aと、この第1流路50
aに連通する油室50cと、この油室50cに連通する
第2流路50bとを有し、その第1流路50aは前記ポ
ンプ23に通じる入口ポート24に接続され、第2流路
50bは前記タンク25に通じる出口ポート26に接続
される。
【0021】その油室50cの内部に段付き円柱状の開
閉部材51が図において上下方向に移動可能にシール部
材71を介し挿入されている。図4に示すように、バイ
パス流路50の第1流路50aは、油室50cの内周に
形成された周溝55aを介し開閉部材51の外周に形成
された周溝55bに連通可能とされている。その油室5
0cの内周の周溝55aと開閉部材51の外周の周溝5
5bとの間が可変絞り部55とされている。この可変絞
り部55の開度は、開閉部材51が図において上方に移
動することで大きくなり、下方に移動することで小さく
なる。
【0022】その開閉部材51とラック5とが、ラック
5が移動端に近接すると開閉部材51が可変絞り部55
の開度を大きくする方向(図において上方)に移動する
と共に、ラック5が移動端から離反すると可変絞り部5
5が可変絞り部55の開度を小さくする方向(図におい
て下方)に移動するよう連動する。すなわち、開閉部材
51の図において下方側は小径部51′とされ、この小
径部51′はラックハウジング11を貫通し、また、油
室50cの内部にバネ76が挿入され、このバネ76の
弾性力により開閉部材51の一端はラック5に押し付け
られている。また、そのラック5の背面の各端に突出部
77(各端とも同様なので他端は図示省略)が形成され
ている。各突出部77はラック5の背面と傾斜面77a
を介し連なり、ラック5が車両幅方向に移動してボール
ジョイント6がストッパー40に当接する直前になる
と、開閉部材51の一端が傾斜面77aを介し突出部7
7に乗り上げる位置に形成されている。これにより、ラ
ック5が移動端に近接すると開閉部材51の一端はラッ
ク5の背面から傾斜面77aを介し突出部77に乗り上
げるので図において上方に次第に移動し、この開閉部材
51の移動により可変絞り部55の開度は次第に大きく
なる。また、ラック5が移動端から離れると開閉部材5
1の一端は突出部77から傾斜面77aを介し図におい
て下方に移動し、この開閉部材51の移動により開閉部
材51の開度は次第に小さくなる。
【0023】その可変絞り部55を構成する開閉部材5
1の外周の周溝55bは、開閉部材51に形成された径
方向孔51bと軸方向孔51cとを介し開閉部材51の
上方の油室50c内に連通し、この開閉部材51の上方
の油室50cが前記バイパス流路50の第2流路50b
から出口ポート26を介しタンク25に連通する。その
可変絞り部55の下流に位置する軸方向孔51cは、図
において上方側が下方側よりも大径とされ、その大径部
51c′内にチェック弁80が設けられている。すなわ
ち、その軸方向孔51cの大径部51c′内に小径部5
1c″よりも大径のボール81とバネ82とが挿入さ
れ、その大径部51c′にリング状のバネ受け83がね
じ合わされ、そのバネ82の弾性力によりボール81は
図において下方に押されて小径部51c″を閉鎖する。
【0024】そのチェック弁80の大径部51c′と可
変絞り部55を構成する開閉部材51の周溝55bとを
連通するオリフィス90が開閉部材51に形成されてい
る。これにより、そのチェック弁80の上流側と下流側
との間はオリフィス90により連通される。そのオリフ
ィス90の開口面積はチェック弁80の開口面積(すな
わち小径部51c″の開口面積)よりも小さくされてい
る。
【0025】図3に示すように、ラック5が移動端近傍
に近接するまでは開閉部材51の一端はラック5の背面
に当接し、この状態では可変絞り部55は閉鎖され、バ
イパス流路は閉鎖されている。図4に示すように、ラッ
ク5が移動端に近接して開閉部材51の一端が突出部7
7の傾斜面77aに乗り上げると、可変絞り部55が開
いて高圧油の一部はオリフィス90を介しタンク25に
還流し、油圧シリンダ10に作用する油圧は低下する。
さらにラック5が移動端に近接して可変絞り部55の開
度が大きくなって一定以上になると、可変絞り部55と
オリフィス90との間の油圧がチェック弁80のボール
81に作用するバネ82の弾性力に打ち勝ち、図5に示
すようにボール81が図中上方に移動してチェック弁8
0は開く。このチェック弁80の開口当初において可変
絞り部55は圧油の絞り機能を有するように開度設定さ
れており、これにより、バイパス流路50の圧油流量は
可変絞り部55の開度変化に応じ変化する。図6に示す
ように、ラック5が移動端に位置する時は開閉部材51
の一端は突出部77に乗り上げ、この時の可変絞り部5
5の開度は圧油の絞り機能を奏することのないものとさ
れ、これにより、バイパス流路50の圧油流量は可変絞
り部55の下流におけるバイパス流路50の開度、すな
わちチェック弁80の開度とオリフィス90の開度に応
じ定まる一定値となる。
【0026】図7に示すように、上記構成の油圧パワー
ステアリング装置におけるハンドル回転角と油圧シリン
ダ10に作用する油圧との関係は、ハンドル回転角が±
a°に達すると、開閉部材51の一端が突出部77の傾
斜面77aに乗り上げて可変絞り部55が開かれ始め、
高圧油の入口ポート24はバイパス流路50のオリフィ
ス90を介し低圧側に連通し、油圧シリンダ10に作用
する油圧は低下する。この状態からハンドル回転角が大
きくなってラック5が移動端に近接して可変絞り部55
の開度が次第に大きくなると、この可変絞り部55の開
度変化に応じ油圧シリンダ10に作用する油圧が次第に
小さくなり、操舵補助力を徐々に小さくすることができ
る。
【0027】ハンドル回転角が±b°に達して可変絞り
部55の開度が一定以上になるとチェック弁80が開
く。このチェック弁80の開口当初においては、可変絞
り部55において圧油が絞られることから、この状態か
らハンドル回転角が大きくなってラック5が移動端に近
接して可変絞り部55の開度が次第に大きくなると、こ
の可変絞り部55の開度変化に応じ油圧シリンダ10に
作用する油圧が次第に小さくなり、操舵補助力を徐々に
小さくすることができる。この操舵補助力の低下割合
は、チェック弁80の開口後の方がチェック弁80の開
口前よりも大きくなる。
【0028】ハンドル回転角が±c°に達して可変絞り
部55が絞り機能を奏することがなくなると、バイパス
流路50の圧油流量は可変絞り部55の下流におけるチ
ェック弁80とオリフィス90の各開度に応じ定まる一
定値となるので、開閉部材51が移動しても油圧シリン
ダ10に作用する油圧は変化せず、ハンドル回転角が操
舵限界である±d°に達してラック5が移動端に至るま
で一定値となる。そのチェック弁80の開度とオリフィ
ス90の開度の設定は、開閉部材51の位置設定に比べ
容易に精度良く設定できる。すなわち、チェック弁80
の開度の設定精度は、開閉部材51に形成される軸方向
孔51cの小径部51c″の孔径精度により定まり、オ
リフィス90の開度の設定精度も開閉部材51に形成さ
れる孔径精度により定まるので比較的精度良く設定でき
るのに対し、開閉部材51の位置設定精度は、突出部7
7の突出寸法精度や開閉部材51の長さ寸法精度だけで
なくパワーステアリング装置の組み立て精度等の影響を
複合的に受けることから精度良く設定するのが困難であ
る。これにより、操舵限界におけるバイパス流路50の
圧油流量を最終的な操舵補助力の低下度合いが適正にな
るように正確かつ容易に設定することができる。
【0029】なお、本発明は上記各実施例に限定される
ものではない。例えば、上記実施例では操舵部材として
ラックを有するラックピニオン式油圧パワーステアリン
グ装置に本発明を適用したが、操舵部材としてボールナ
ットを有するボールスクリュー式油圧パワーステアリン
グ装置にも本発明を適用することができ、また、操舵部
材はラックやボールナットに限定されず、操舵により往
復移動する部材であればよい。
【0030】
【発明の効果】本発明の油圧パワーステアリング装置に
よれば、油圧アクチュエータにより付与される操舵補助
力の付与を操舵部材の移動端近傍において徐々に解除す
ることで、操舵フィーリングを悪化させることなく操舵
限界において大きな打撃音や衝撃の発生等を防止でき、
さらに、操舵限界における最終的な操舵補助力の低下度
合いを正確かつ容易に適正なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の縦断面図
【図2】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の一部の横断面図
【図3】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の要部の縦断面図
【図4】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の要部の縦断面図
【図5】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の要部の縦断面図
【図6】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の要部の縦断面図
【図7】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
のハンドル回転角と油圧シリンダに作用する油圧との関
係を示す図
【符号の説明】
5 ラック(操舵部材) 10 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ) 50 バイパス流路 51 開閉部材 55 可変絞り部 80 チェック弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−193509(JP,A) 特開 平5−105094(JP,A) 特開 平6−183359(JP,A) 特開 平3−157272(JP,A) 特開 平5−77746(JP,A) 実開 昭60−122277(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/06 - 5/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵により往復移動する操舵部材と、こ
    の操舵部材の移動を一定範囲に規制する規制手段と、操
    舵補助力を付与する油圧アクチュエータと、この油圧ア
    クチュエータに高圧油を供給する流路を低圧側に接続す
    るバイパス流路と、このバイパス流路の途中に設けられ
    る可変絞り部と、この可変絞り部の開度を変更する開閉
    部材と、この開閉部材を操舵部材が移動端に近接すると
    可変絞り部の開度を大きくする方向に次第に移動させる
    と共に操舵部材が移動端から離反すると可変絞り部の開
    度を小さくする方向に移動させる手段と、その可変絞り
    部の下流において圧油流路を開閉可能なチェック弁とを
    備え、そのチェック弁は可変絞り部の開度が一定以上に
    なると開き、このチェック弁の開口当初はバイパス流路
    の圧油流量は可変絞り部の開度変化に応じ変化し、操舵
    部材が移動端に位置する時はバイパス流路の圧油流量は
    可変絞り部の下流におけるバイパス流路の開度に応じ定
    まる一定値とされることを特徴とする油圧パワーステア
    リング装置。
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