JP3330722B2 - タービンブレード翼根部の加工方法 - Google Patents
タービンブレード翼根部の加工方法Info
- Publication number
- JP3330722B2 JP3330722B2 JP05313294A JP5313294A JP3330722B2 JP 3330722 B2 JP3330722 B2 JP 3330722B2 JP 05313294 A JP05313294 A JP 05313294A JP 5313294 A JP5313294 A JP 5313294A JP 3330722 B2 JP3330722 B2 JP 3330722B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- blade
- processing
- blade root
- turbine
- dimensions
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
- Machine Tool Sensing Apparatuses (AREA)
Description
ービン等の回転羽根(以下、タービンブレードまたは単
にブレードという)における翼根部(タービンブレード
の根もとで、ロータの回転胴や羽根車にそのブレードを
固定するための部分)を加工する方法とに関するもので
ある。
は、通常、1段あたり百個(百枚)以上が円周方向に並
べられてロータに取り付けられる。個々のタービンブレ
ードはたとえば図8のように形成され、凹部・凸部を有
する翼根部Paが、同様の凹凸を有するロータの溝(ロ
ータの周方向もしくは軸方向に形成されている。図示せ
ず)に差し入れられ、固定される。
よう、タービンブレードの翼根部には厳しい機械加工精
度が要求される。寸法公差についても、通常の部分(た
とえば図8のうち寸法E・Fの部分など)では±数十μ
m、とくに厳しい部分(たとえば同図の寸法Dの部分)
では±10μmもしくはそれ以下の範囲に設定されるの
が一般である。要求される精度が高くて加工が容易でな
いことと、加工すべきブレードの数が多いことから、か
かる翼根部の加工をいかに行うかは、タービンブレード
ひいては蒸気タービンの製造能率上、大きなウエイトを
占める。
部を手作業(工作機械の手動操作)で加工するとした
ら、作業員に甚だしい負担を強いるうえ能率・コストの
面でも不利であるため、従来は、図9のように立型旋盤
31と大型の治具33とを用いて加工していた。すなわ
ち、回転台32上の図示のような治具33に、実際の蒸
気タービンへの取り付け状態と同じように1段分のター
ビンブレードPを円周状に配置し、回転台32およびそ
の治具33とともにブレードPを回転させて旋削をす
る。この方法だと、ブレードPの取り付けなどいわゆる
セッティングを正確に行ったうえ、加工過程や寸法の管
理についてブレードPの1枚に対して払うのと同程度の
注意を払えば、百個以上のブレードPの翼根部Paを全
て同様の寸法精度に同時に加工することができる。
ついては、実開平2−135134号および特開平4−
272404号の各公報に関連技術の記載がある。
根部を図9に示す手段によって機械加工する場合、つぎ
のような不都合がともなう。すなわち、イ ) ブレードを取り付ける治具として、相当に大型で、
したがって高価なものが必要であるため、加工に要する
コストが高い。
加工を開始できないので、部品を1個ずつ作っては次工
程へ供給している生産の流れが滞り、いわゆる1個流し
生産体制による合理化が阻害される。
って加工したのちブレードを裏返して他方の側を同様に
加工するが、裏返しの際のセッティングの誤差により、
双方の側の凹凸に段差(加工誤差による非対称性)の生
じる可能性がある。このような段差が一定の大きさ以上
であれば、図8に示す各部の寸法(D・E…など)につ
いて所要の精度(公差)が満たされていても、そのブレ
ードは不良品となり、タービンに使用できない。
様の精度に仕上がるため、セッティングの際などに一つ
でも作業ミスがあれば、百個以上のブレードの全数が不
良品となる。したがって、コスト上ならびに工程管理上
のリスクが極めて大きい。
ビンブレードの翼根部を加工する手段として、マシニン
グセンタとともに使用できる治具を用いる加工方法とを
提供せんとするものである。
ド翼根部の加工方法(請求項1)は、横型マシニングセ
ンタによりタービンブレードの翼根部を切削加工(砥粒
を用いる研削を含んだ広義の切削加工)する際に使用す
る加工用治具を上記マシニングセンタの回転テーブル上
に取り付け、前記翼根部を垂直(回転テーブルに対して
垂直。つまり同テーブルが水平である以上は鉛直)上向
きにして1個(十個程度以下なら複数個であっても差し
支えない)のタービンブレードを一定位置に保持するタ
ービンブレード翼根部の加工方法であって、
所)に横型マシニングセンタの寸法計測用タッチセンサ
を当てることにより前記基準面とマシニングセンタにお
ける工具との距離変化である熱変位量を計測し、 2) その熱変位量に基づいてマシニングセンタの工具の
オフセット量を定め、 3) そのうえで切削加工する−ことを特徴とする。
に記載したように、 4) タービンブレードの1個について上記の切削加工が
完了したのち、加工部分の寸法を計測し、 5) 計測した寸法より工具の摩耗に基づく補正値を算出
して、次のタービンブレードの加工のための上記オフセ
ット量にその補正値を算入する−とよい。
くに厳しい(たとえば±10μm程度以下の)部分を有
する場合には、当該部分以外に対して請求項1または2
に記載の加工方法を実施する一方、寸法公差のとくに厳
しい部分について、請求項3のように、 6) 寸法計測をしたうえで研削(砥石による切削加工)
をし、 7) 再び寸法計測をしてその寸法が公差内にあるか否か
を知り、公差外(ただし研削しろがある側の公差外)の
とき再度研削加工をする−のが好ましい。
ニングセンタの定位置にタッチセンサを設けておき、上
記加工方法を実施する場合にそのタッチセンサを熱変位
量の計測のため上記治具の基準面に当て、かつ寸法計測
に使用するのもよい。
の翼根部を切削加工する際、本発明の加工方法(請求項
1)は、横型マシニングセンタによりタービンブレード
の翼根部を切削加工する際に、上記マシニングセンタの
回転テーブル上に、翼根部を垂直上向きにして1個のタ
ービンブレードを一定位置に保持することができる加工
用治具を使用するので、つぎのように好ましい加工が可
能になる。
つ)保持するものなので、この治具は形状の簡単な小型
・低コストのもので足り、ブレードの加工に要するコス
トが削減される。
る場合に役立つので、1段分のブレードの素材が全数そ
ろうのを待つことなく部品を1個ずつ作っては次工程へ
供給するという、1個流し生産体制による効率的な製造
を可能にする。ブレードを数個単位で加工するとして
も、従来(図9のような場合)に比べて同様の利点を得
られる。
にした姿勢)でブレードを保持することができるので、
回転テーブル上の特定の箇所にこの治具が取り付けられ
ていて同テーブルの停止位置が正確に定められる以上
は、同一寸法のどのブレードについてもマシニングセン
タにおける加工位置を一定にすることができる。そのた
め、マシニングセンタのNC(数値制御)機能に基づい
て工具の送り等がコントロールされることにより、翼根
部の切削加工はつねに自動的かつ迅速・正確に行われ
る。
グセンタにおいて、この治具は、水平な回転テーブル上
に翼根部を垂直(鉛直)上向きにしてブレードを保持す
る。したがって、そうした翼根部の一方の側に対し同セ
ンタの切削加工によって凹凸(水平方向に延びたもの)
を形成したのちは、回転テーブルとともにブレードを1
80°回転させて他方の側(裏側)に同様の加工をする
ことができる。回転テーブルがもとの水平面と同一の面
内で回転するものである以上、その上に取り付けられた
ブレードも正しく水平に回転するので、上記した180
°の回転にともなって双方の側の凹凸に段差(加工誤差
による非対称性)が生じる恐れがない。とくに、翼根部
の中心線がテーブルの回転中心に一致するようにしてお
くなら、加工のための工具の位置や送り等が上記双方の
側について同一になるうえ、回転テーブル8の水平度に
わずかの狂いがあったとしてもそれに基づく加工誤差が
最小限になり、上記の段差を生じさせない意味で一層こ
のましい。
能率的に加工されるが、この治具を用いてb)のようにブ
レードの加工を行うと、仮に突発的な作業ミスによって
不良品を生じた場合にもその個数が最小限度にとどま
る。
加工用治具を使用するものであるため、当然ながら上述
のような加工を可能とするが、切削加工のつど(または
何回かの切削加工ごとに、もしくは一定の時間ごとに)
前記1)・2)・3)のような手順をとることから、さらにつ
ぎのような作用をもなす。
タにおける工具との距離変化である熱変位量、すなわち
外気温度や機械の発熱等にともなう熱膨張・熱収縮によ
って両者間の距離が変化した量を知り、それに応じてマ
シニングセンタの工具のオフセット量(位置をずらす
量)を決めるので、ブレードの全数を加工し終わるまで
に休日が含まれたり寒暖の変化があったりしても、加工
寸法の精度が変化しない。前記1)のように治具の基準面
(一定箇所)にタッチセンサを当てることによって前記
熱変位量を計測し得るのは、同じタッチセンサを治具の
基準面に当てたとき、その時点では本来一定であるはず
のマシニングセンタ本体に対するタッチセンサの位置
(座標。マシニングセンタにおける一般的な制御量の一
つ)が、回転テーブルとコラムとの間などに熱膨張等が
あるならそれに応じて変わり、膨張量などが座標変化と
して検知されるからである。もっとも、上記の治具が回
転テーブル上に不動に取り付けられ、その治具における
一定位置にブレードが保持されていることは、当該計測
のための必要条件である。
のとおり、加工後の翼根部の寸法計測の結果から工具の
摩耗(とくに摩耗に限る必要はなく、他の原因を含めて
もよい)に基づく補正値を求めて上記のオフセット量に
含めるので、多数のブレードを加工する間にも加工精度
が低下することはない。寸法計測をして、たとえば外の
り寸法が増えたり内のり寸法が減ったりしておれば、そ
の増減は工具の摩耗に基づくものと判断されるので、上
記のようにその分だけ工具の位置をずらせてやることに
より、適正な寸法精度を維持し得るのである。いわば、
先に加工したブレードの寸法を制御上の出力信号とし、
これを、次に加工するブレードへの入力信号に戻すとい
う一種のフィードバック制御によって、好ましい結果を
得ていることになる。
によってもなお十分な精度が得られない程度の厳しい寸
法公差部分が翼根部にある場合に好適である。本方法で
は、当該部分を加工する前と後とにその部分の寸法計測
をするものとし、実測寸法が所要の公差内に入るまでそ
れを繰り返すので、高い加工精度を実現できる。現在加
工対象にしているブレードについて、加工後に計測した
寸法をもとにそのブレードへの再入力(追加加工量の指
示)を決定するので、ブレード各個の加工中にフィード
バック制御を実施していることになるからである。ま
た、この請求項3の加工方法では、寸法公差の厳しい部
分の加工を研削によって行うので、刃物を用いる一般的
な切削加工の場合よりも当該部分の精度を高めやすい。
なおこの方法では、当該部分の加工能率は高くないが、
その部分に限ってこうした加工を施し、他の部分には上
述の加工方法をとることによって、全体としての加工能
率の低下は抑制されている。
測は、マシニングセンタに付属のタッチセンサで行う方
が、手動計測または他の手段で行うよりも明らかに能率
的である。しかし通常、マシニングセンタにおけるタッ
チセンサは、主軸上に工具と交換されるかたちで取り付
けられ、その交換の際にゴミかみ等があれば微小ながら
計測誤差・加工誤差を生じる可能性がある。その点、請
求項4の加工方法ではマシニングセンタにおいて主軸と
は別に定位置に設けられたタッチセンサを用いるので、
それが工具と交換されることはなく、したがって交換に
ともなう誤差の生じる恐れがない。このようなタッチセ
ンサを寸法計測に用い、かつ熱変位量計測のために前述
のように治具の基準面に当てるので、この請求項4の方
法によることは能率・精度の両面で好ましいといえる。
この実施例は図8に示す蒸気タービン用のタービンブレ
ードPの加工に関するもので、ブレードPは、クロム等
を含む高合金鋼からなり、取付けのための翼根部Paと
ともにねじれ羽根の部分Pbを一体に有している。図1
は、マシニングセンタ1の回転テーブル8上において加
工用治具10にそのブレードPがワーク(被加工物)と
して取り付けられた状態を示し、図2はマシニングセン
タ1の主軸2の付近の構成を示す。図3は、当該ブレー
ドPの翼根部Paを加工する際の手順を表すフローチャ
ート、図4・図5は、図3のフローチャートの一部をそ
れぞれ詳細に示す部分的フローチャートである。また図
6・図7は、加工ずみ部分の寸法について実測データを
表すグラフである。
無人にて自動加工することを目的とし、図2のような横
型のマシニングセンタ1に対して図1の治具10を使用
し、その治具10に図示のようにブレードPを取り付け
たうえ、図3〜図5の手順にしたがって翼根部Paを加
工するものである。翼根部Paの各部に要求される形状
・寸法・表面粗さ等の精度は高く、図8に例示した各寸
法の公差も厳しい。すなわち、寸法E・F・G・Hの公
差がいずれも±tμm(tは20〜80で部分ごとに異
なる)であるほか、寸法Dについてはとくに±sμm
(sは10以下)が要求される。本実施例は、このよう
な加工精度を効率的な生産によって満たすもので、ブレ
ードPの取付け姿勢を含む加工用治具10の構成と、マ
シニングセンタ1でのタッチセンサ5の配置、ならびに
図3〜図5に表される加工方法などに特徴がある。
は、図1のように、マシニングセンタ1の回転テーブル
8上に固定されるとともに、翼根部Paを上にして鉛直
に立てた状態で1個のブレードPを一定位置に保持する
ものである。構造としては、テーブル8上に固定される
ためのベース11aとともに、加工反力によって撓むこ
とのない十分な剛性を有するフレーム11を主体とし、
ブレードPを一定位置に不動に固定するためのホルダー
12・13を付属している。ホルダー12は、ブレード
Pの羽根の部分Pbのうち翼根部Pa寄りの部分を保持
するもの、他方のホルダー13は、羽根の部分Pbの先
端付近を保持するものである。また、後述するようにマ
シニングセンタ1のタッチセンサ5を当てる(図2(a)
・(c)参照)ための基準部15(X方向の基準面15X
と、Y方向の基準面15Y、およびZ方向の基準面15
Zとを含む)を一体に有している。そしてこの治具10
はテーブル8に対し、保持したブレードP(タービンに
おける一段分に相当する同一寸法の各ブレードP)の中
心線がテーブル8の回転中心に一致するように取り付け
て固定するものとする。
うに、ワークの寸法計測のためのタッチセンサ5を主軸
(スピンドル)2の側方に備え付けた。つまり、主軸2
の横で鉛直面内(水平状態と垂れ下がり状態との間。図
2(b)・(c)参照)の旋回が可能なようにマシニングセ
ンタ1のコラム4にアーム5aを設け、その先にタッチ
センサ5を取り付けている。主軸2に対して工具3は適
宜交換される必要があるが、このように備え付けたタッ
チセンサ5は、点検・整備やセンサ形式の変更等の場合
を除いて交換する必要がない。工具3の交換にともなう
タッチセンサ5の付け替えが不要であることは、タッチ
センサ5がいわゆるゴミかみ等による計測誤差を生じな
いという利点に直結する。アーム5aとともにタッチセ
ンサ5を鉛直面内で旋回可能にしたのは、計測のために
図示(実線)のように突出した状態のままでは、ワーク
の大きさや形状によってはそのワークにタッチセンサ5
が加工時に接触するおそれがあり、図示仮想線のように
退避させるのが好ましいからである。なお、図2(a)に
おける符号5bは退避時のタッチセンサ5用の保護カバ
ーである。
能、つまりNCによる自動加工特性と自動工具交換特性
ならびにタッチセンサ5による自動計測特性とを駆使し
ながら、図3〜図5の手順にしたがって1個ずつ、ワー
クすなわちブレードPの翼根部Paの加工を行う。手順
の概要は図3に示すとおりであり、つぎの各部分からな
る。
て、まず切削による粗加工を施す。この粗加工により、
仕上げ状態となるまでの削りしろが約0.1mm(10
0μm)残るようにする。
‥‥上記の切削粗加工S10をしたのち、後述する(図
4参照)ように熱変位補正S21をしたうえで切削仕上
加工S25をし、最終的に全加工部寸法計測S26をす
る。
切削仕上加工S25ののち、その翼根部Paのうち寸法
公差のとくに厳しい部分に対して、研削加工S38を含
む高精度な加工を施す。
部寸法計測S26による結果をプリントして検査記録と
するほか、万一公差外れ(寸法不良)が発生した場合に
は、モニター画面にその旨を表示する。
ついて加工を終了すると、次のワークがあるか否かを判
別し(S60)、ワークがあるなら、治具10へのその
取り付けを待って、再び以上のS10〜S60を行う。
S20は、詳細には図4の手順により構成している。す
なわち、まず熱変位補正S21として、治具10の基
準部15(基準面15Z)にタッチセンサ5の先を当て
る(図2(a)・(c)参照)ことによりZ方向基準面計測
S22を行い、そのときマシニングセンタ1における
工具3の位置を示す座標anと前回の同様の座標an-1
との差として、熱膨張等による基準面15Zと工具3と
の間の距離変化である熱変位量Aの算出S23をし、さ
らに、その熱変位量Aを、前回の加工時における各工
具のオフセット量Tに加算することによる入力S24を
行って各工具をオフセットさせる。続いて、そのような
工具オフセット量のもとで、翼根部Pa(図8のうちと
くに公差の厳しい寸法Dの部分は除く)に切削仕上加工
S25をなす。このときマシニングセンタ1は、工具3
として大小のエンドミル(図示せず)を自動交換しなが
ら使用し、加工の間、回転テーブル8とともに治具10
とワークとを適宜180°回転させて翼根部Paの両側
の凹凸を形成する。その後、図3のように高精度自動研
削システムS30(図5参照)による加工を施したの
ち、全加工部寸法計測S26、すなわち図4に示す全加
工部自動寸法計測S27と工具3の摩耗量補正値の自動
変更S28とを行う。自動寸法計測S27は前述のタッ
チセンサ5によって自動的に行うものとし、工具摩耗量
補正値自動変更S28は、目標値と当該計測による実測
値との差の2分の1(テーブルを回転して加工するので
差の2分の1を補正値とする。各寸法部を加工する各工
具について行う)を摩耗の進行量とし、加工に先だって
定めた工具3のオフセット量Tに加算することにより行
う(実際には摩耗以外の原因による微小な誤差もこの過
程で補正される)。なお、こうして補正したオフセット
量Tは、次のワークを加工する際の基準のオフセット量
(S24において新たな熱変位量Aを加算する前の値)
として使用する。
図8の寸法Dの部分に対しては、上記(図4)の熱変位
量自動補正切削加工システムS20ではなく、図5(a)
に示す高精度自動研削システムS30を適用している。
図4のシステムS20では、マシニングセンタのNC機
能に頼って切削加工をし、確認的に加工後にのみ寸法計
測を行うため、加工精度に限界があるからである。この
図5(a)のシステムS30は、ワークの該当部分につい
て寸法計測(前述のタッチセンサ5による自動計測)を
したうえで加工を施し、再び寸法計測を行って、公差
(±sμm)を満たすまではさらに研削・計測を繰り返
すものである。しかも加工は、刃物によるよりも高精度
の仕上げに好適である砥石による研削加工を施すものと
し、硬質材料に適したCBN砥石(立方晶窒化ホウ素か
らなる砥石)を工具3として使用する。システムS30
の詳細はつぎのとおりである。
るための変数Cを初期値(C=0)にするためのカウン
トS31を行い、該当部分(寸法Dになるべき部分)の
寸法dについて寸法計測S32をする。この寸法dと目
標の寸法Dとの差を判別(S33)し、その絶対値がs
μm以上であれば公差を外れていることになるので、す
でに公差外にまで削りすぎていないことを確認(S3
4)したうえ(寸法d・Dは内のり寸法なので │d−
D│>s かつ d−D≧−s ならば削りすぎであ
る)、研削パス数やアプローチ位置の決定S35を行
う。パス数は、1パスでの研削深さが10μm程度とな
るように定める。変数Cがゼロなら(S36)そのまま
1回目の研削加工S38に移るが、C≧1、すなわちそ
のワークについて研削加工が1回以上なされている場合
には、熱変位等に基づく砥石ミスマッチ量の補正S37
をしたうえ研削加工S38を行う。この補正S37で
は、S32による計測寸法dの半分(翼根部Paの中心
から加工部の片側までの寸法)と、前回の加工時の砥石
の最終研削位置(翼根部Paの中心が一致する回転テー
ブル8の中心から当該研削位置までの距離で、マシニン
グセンタ1が示す工具座標によるもの)との差を補正値
αとし、これを、前記の(図3のS24でセットした)
工具オフセット量Tに加えて砥石をその分だけオフセッ
トしなおす。補正値αは、工具座標から当然に期待され
るワークの寸法と実際の寸法との間の熱変位もしくは工
具摩耗による誤差に相当する値であるため、この補正S
37によってワークの仕上げ寸法をより目標値に近づけ
ることができる。研削加工S38が終わると変数Cを1
だけ増やし、上記の寸法計測S32以降を繰り返す。S
33において寸法dが公差内に入っていると判別される
と、S34以降の手順はとらず、砥石の偏摩耗量につい
ての判別S40を行い、偏摩耗していない(または偏摩
耗が少ない)と判別されればこのシステムS30を終了
して図3の計測S26に移行する。砥石の摩耗量に関す
るこの判別S40は、寸法dの部分として図5(b)に示
す部分のうち、開放部寄りの箇所の寸法d1と奥の方の
寸法d2とを比較し、その差が規定値u(μm)以上で
あるなら偏摩耗が進んだものとしメッセージを表示して
砥石交換S41をさせるものである。砥石が偏摩耗する
と寸法d2が寸法d1に比べて小さくなるため、この判
別S40によって交換時期を把握することができる。な
お、S34において万一削りすぎが明らかになった場合
には、アラームS42により異常を知らせて加工を停止
する。
ムS20の効果を確認するために、翼根部Paのうち寸
法Eの部分(図8参照)の実際の仕上がり寸法をワーク
(ブレードP)別に表したグラフである。図示の右半分
は、図3のすべての手順とともに図4のシステムS20
を実行した場合の当該部分の実測値を示すデータで、左
半分は、図4に示すシステムS20のうち熱変位量補正
21と工具摩耗量補正値自動変更S28とを行わなかっ
た場合の実測値データである。左半分に示す実測値が日
中の気温の変化に対応して変動し、一部が公差(目標寸
法からの許容誤差tμm)を超えているのに対し、右半
分の実測値は安定しており、このシステムS20等によ
る精度的メリットが確認される。
しい寸法D(図8)の部分の仕上がり寸法を示すもの
で、いずれのデータも図3・図4の手順とともに図5
(a)の高精度自動研削システムS30を実行した場合の
実測値に関する。図示のように、すべてのワークについ
て実測値が目標寸法に近く、公差(許容誤差sμm)の
範囲内にある。これによって、本実施例、とくにシステ
ムS30がもたらす精度的な効果が明らかである。
れに限って実施されるものでないことは言うまでもな
い。たとえば、タービンブレードPの翼根部Paの形状
や寸法が図8と異なる場合であっても、本発明の技術的
思想にしたがい適合する加工用治具を用いて、あるいは
さらに上記と同様の手順に沿って、効率的かつ高精度に
所定の加工を行うことができる。
加工方法(請求項1)は、前述したような加工用治具を
用いるため、つぎのような効果をもたらす。すなわち、 a) 治具が、形状の簡単な小型・低コストのもので足り
るため、ブレード翼根部の加工に要するコストが削減さ
れる。
きるので、部品を1個ずつ作っては次工程へ供給すると
いう1個流し生産体制によって、ブレードさらにはター
ビンを合理的に製造することが可能になる。
ードを保持するため、同一寸法のどのブレードについて
も、マシニングセンタのNC機能に基づいて自動的かつ
迅速・正確に翼根部の加工が行われる。
と横型マシニングセンタとの好適な組合せに基づいて、
翼根部の対称性が向上し、高い形状精度が得られる。
を生じた場合にもその個数が最小限度にとどまるので、
コストおよび工程管理上のリスクが少ない。
てさらにつぎのような効果をもたらす。すなわち、前記
加工用治具の基準面とマシニングセンタにおける工具と
の距離変化である熱変位量を知り、それに応じて工具の
オフセット量を決めるので、ブレードの全数を加工し終
わるまでに休日が含まれたり寒暖の変化があったりして
も加工寸法の精度が変化しない。そのため、マシニング
センタを恒温室に設置する必要がなく、かかる意味でも
設備コストの低減につながる。
測の結果から工具の摩耗等に基づく補正値を求めて上記
オフセット量に含めるので、多数の硬質のブレードを加
工する間にも加工精度が低下しない。
0μm程度以下という厳しい寸法公差部分が翼根部に含
まれる場合にも、その部分の公差を満たし、かつ全体と
して能率的な加工を行うことができる。
タに付属のタッチセンサによって寸法計測等を行い、し
かもそのタッチセンサを工具と交換する必要がないの
で、加工能率および加工精度の両面で一層このましい。
(ワーク)としてタービンブレードPが加工用治具10
に取り付けられた状態を示す。図1(a)はその平面図、
同(b)は正面図、同(c)は側面図である。
す図面である。図2(a)はその平面図、同(b)は正面
図、そして同(c)は側面図である。
概要を示すフローチャートである。
動補正切削加工システムS20について詳細を示す部分
的なフローチャートである。
る高精度自動研削システムS30について詳細を示す部
分的フローチャートであり、同(b)はブレードPの一部
を示す説明図である。
グラフで、とくに熱変位量自動補正切削加工システムS
20の効果を示すものである。
ついて実測データを表すグラフで、高精度自動研削シス
テムS30の効果を示すものである。
す図面である。
概要図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 横型マシニングセンタによりタービンブ
レードの翼根部を切削加工する際に使用する加工用治具
を上記マシニングセンタの回転テーブル上に取り付け、
前記翼根部を垂直上向きにして1個のタービンブレード
を一定位置に保持するタービンブレード翼根部の加工方
法であって、 前記加工用治具の基準面に横型マシニングセンタの寸法
計測用タッチセンサを当てることにより前記基準面とマ
シニングセンタにおける工具との距離変化である熱変位
量を計測し、 その熱変位量に基づいてマシニングセンタの工具のオフ
セット量を定めたうえ切削加工する ことを特徴とするタ
ービンブレード翼根部の加工方法。 - 【請求項2】 タービンブレードの1個について切削加
工が完了したのち、加工部分の寸法を計測してその寸法
より工具の摩耗に基づく補正値を算出し、次のタービン
ブレードの加工のための上記オフセット量にその補正値
を算入することを特徴とする請求項1に記載のタービン
ブレード翼根部の加工方法。 - 【請求項3】 寸法公差のとくに厳しい部分について
は、寸法計測をしたうえ研削をし、再び寸法計測をして
公差内にあるか否かを知り、公差外のとき再度研削加工
をすることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービ
ンブレード翼根部の加工方法。 - 【請求項4】 主軸とは別にマシニングセンタの定位置
に設けたタッチセンサを、上記熱変位量の計測のため治
具の基準面に当て、かつ加工部分の寸法計測に使用する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のター
ビンブレード翼根部の加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05313294A JP3330722B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | タービンブレード翼根部の加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05313294A JP3330722B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | タービンブレード翼根部の加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07237045A JPH07237045A (ja) | 1995-09-12 |
JP3330722B2 true JP3330722B2 (ja) | 2002-09-30 |
Family
ID=12934297
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05313294A Expired - Fee Related JP3330722B2 (ja) | 1994-02-25 | 1994-02-25 | タービンブレード翼根部の加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3330722B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7080434B2 (en) * | 2003-06-06 | 2006-07-25 | General Electric Company | Fixture having integrated datum locators |
FR2879117A1 (fr) * | 2004-12-15 | 2006-06-16 | Malichaud Atlantique Soc Par A | Procede d'usinage d'une piece telle qu'une aube de turbine et dispositif porte-piece pour sa mse en oeuvre |
CN105436838B (zh) * | 2015-11-05 | 2018-02-23 | 西安航空动力股份有限公司 | 一种涡轮工作叶片机械加工方法 |
CN105312864B (zh) * | 2015-12-09 | 2017-08-15 | 中国南方航空工业(集团)有限公司 | 涡轮工作叶片的加工方法 |
-
1994
- 1994-02-25 JP JP05313294A patent/JP3330722B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07237045A (ja) | 1995-09-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5599324B2 (ja) | 工作機械における振れ補償方法 | |
CN102554701B (zh) | 机床分度误差补偿方法及装置 | |
JP6405098B2 (ja) | 研磨マシンのドレスツールのトポグラフィ偏差を特定する方法およびこれに対応して構成されたcnc制御マシン | |
CN107498428B (zh) | 发动机风扇转子叶尖加工机构 | |
US20150081074A1 (en) | Method for machining the trailing edge of a turbine engine blade | |
JP2017037640A (ja) | 振動感知を用いる機械工具経路補正 | |
US5662514A (en) | Method for producing cutting blades | |
JP6921511B2 (ja) | 自動工具交換装置付き工作機械及び自動測定方法 | |
JP3330722B2 (ja) | タービンブレード翼根部の加工方法 | |
US20090215361A1 (en) | Method for near-net-shape machining of curved contours | |
CN112276571B (zh) | 一种斜孔加工方法 | |
JP7172636B2 (ja) | 工作機械のメンテナンス支援装置および工作機械システム | |
EP0609414B1 (en) | Method for removal of abradable material from gas turbine engine airseals | |
JPH0847842A (ja) | 工作機械及び工作方法 | |
JPS60238258A (ja) | 自動芯出し装置 | |
JPS59192457A (ja) | 位置決め装置 | |
JP2012168742A (ja) | 砥石摩耗補正機能を備えるマシニングセンタ | |
JP5399651B2 (ja) | 丸駒チップを用いる切削加工方法 | |
JP2012061578A (ja) | 工作機械 | |
JP2024055116A (ja) | 加工条件設定装置および工作機械 | |
CN118789404A (en) | Processing method of boss of thin-wall curved-surface titanium alloy blade | |
US20240110481A1 (en) | Methods of machining turbine components using a reference surface | |
WO2023047437A1 (ja) | 加工推定装置 | |
JP3687324B2 (ja) | シリンダボアの高精度微細溝加工装置及び加工方法 | |
JP3666121B2 (ja) | 研削方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |