JP3329180B2 - 陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の製造方法 - Google Patents

陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の製造方法

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JP3329180B2 JP09227596A JP9227596A JP3329180B2 JP 3329180 B2 JP3329180 B2 JP 3329180B2 JP 09227596 A JP09227596 A JP 09227596A JP 9227596 A JP9227596 A JP 9227596A JP 3329180 B2 JP3329180 B2 JP 3329180B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙の湿潤紙力向上
剤として有用な陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を製造す
る方法に関するものである。さらに詳しくは、低分子有
機ハロゲン化合物の含有量が少なく、かつ安定性の高
い、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン系の陽イ
オン性熱硬化性樹脂水溶液を製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】紙の強度、特に湿潤強度を向上させる薬
剤として、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹
脂が有用であることは公知であり、例えば特開昭 56-34
729 号公報(= USP 4,287,110) には、湿潤紙力向上剤と
して有用なポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン
樹脂の改良された製造方法が記載されている。しかるに
この公報に開示された方法では、ポリアミドポリアミン
−エピクロロヒドリン樹脂の経時安定性と紙力向上効果
の維持のために、多量のエピクロロヒドリンを用いて反
応が行われている。そのため生成物中には、環境汚染が
懸念される未反応エピクロロヒドリン由来の低分子有機
ハロゲン化合物、例えばジクロロヒドリンやモノクロロ
ヒドリンなどが、多量に含まれている。また、特開平 2
-170825 号公報(= USP 5,017,642) には、未反応エピハ
ロヒドリン由来の低分子有機ハロゲン化合物の含有量を
少なくしたポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹
脂の製造方法が記載されているが、この方法は、非常に
長い反応時間を必要とするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから本
発明者らは、湿潤紙力向上剤として優れた効果を有する
ことはもちろん、樹脂中の低分子有機ハロゲン化合物、
例えばジハロヒドリンやモノハロヒドリンの含有量が少
なく、しかも長期にわたってゲル化が生じないなど、安
定性の高いポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹
脂水溶液をできるだけ短時間で製造すべく、鋭意研究を
行った結果、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、次の
各工程を包含する陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液の製造
方法を提供するものである。
【0005】i)脂肪族ジカルボン酸系化合物とポリア
ルキレンポリアミンとを、1:1.0〜1.2のモル比で、
生成ポリアミドポリアミンの50重量%水溶液の25℃
における粘度が400〜1,000センチポイズ(cP)と
なるように加熱縮合させて、ポリアミドポリアミンを生
成させること、次いで ii)このポリアミドポリアミンを、そのポリアミドポリ
アミン中の第2級アミノ基に対して0.85〜1.4モル倍
のエピハロヒドリンと、濃度30〜70重量%の水溶液
中、10〜55℃の温度で1次反応させること、 iii)この1次反応の開始後7時間以内であって、かつ仕
込んだエピハロヒドリンの70〜95%が消費された段
階で、1次反応時より重量%濃度表示で5ポイント以上
下げるが、20重量%以上の濃度となるように希釈する
こと、 iv)この濃度および25〜70℃の温度で、生成物の1
5重量%水溶液の25℃における粘度が10〜100cP
となるまで2次反応を行うこと、そして v)得られた反応生成物の水溶液を、25℃におけるp
Hが1.5〜4となるように調整すること。
【0006】このような工程を組み合わせることによ
り、反応の合計時間を短縮することができるとともに、
目的物である陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液中の低分子
有機ハロゲン化合物の含有量を少なくすることができ
る。以下、本発明を具体的に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず脂肪族ジ
カルボン酸系化合物とポリアルキレンポリアミンとの縮
合反応により、ポリアミドポリアミンを生成させる。こ
こで用いる脂肪族ジカルボン酸系化合物とは、分子内に
2個のカルボキシル基を有する脂肪族化合物およびその
アミン反応性誘導体を総称する意味であり、遊離酸のほ
か、そのエステル類や酸無水物なども包含される。かか
る脂肪族ジカルボン酸系化合物の代表的なものとして
は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸のような遊離のジカルボン酸、これらの低級ア
ルキルエステル類、これらの酸無水物などが挙げられ
る。これらの脂肪族ジカルボン酸系化合物は、一種類の
み用いても、また二種類以上併用してもよい。さらに
は、これらの脂肪族ジカルボン酸系化合物とともに、本
発明の効果を阻害しない範囲で、芳香族系など、他のジ
カルボン酸系化合物を併用してもよい。
【0008】ポリアルキレンポリアミンは、分子内に2
個の第1級アミノ基および少なくとも1個の第2級アミ
ノ基を有する脂肪族化合物であり、具体的には、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミン、イミノビスプロピルアミンなどが挙げ
られる。これらのポリアルキレンポリアミンも、一種類
のみ用いても、また二種類以上併用してもよい。また、
エチレンジアミンやプロピレンジアミンのような脂肪族
ジアミンを、本発明の効果を阻害しない範囲で上記ポリ
アルキレンポリアミンと併用することもできる。
【0009】脂肪族ジカルボン酸系化合物とポリアルキ
レンポリアミンとの縮合反応においては、前者1モルに
対し、後者を1.0〜1.2モルの範囲で、すなわち脂肪族
ジカルボン酸系化合物に対してポリアルキレンポリアミ
ンが等モルか若干過剰モル比となるように反応させる。
またこの際、本発明により得られる水溶性樹脂の性能を
阻害しない範囲で、アミノカルボン酸類を併用すること
もできる。アミノカルボン酸類の例としては、グリシ
ン、アラニン、アミノカプロン酸のようなアミノカルボ
ン酸およびそのエステル誘導体、カプロラクタムのよう
なラクタム類などが挙げられる。
【0010】ポリアミド化反応は加熱下で行われ、その
際の温度は、100〜250℃の範囲が適当であり、好
ましくは130〜200℃の範囲である。そして、生成
ポリアミドポリアミンを50重量%水溶液としたときの
25℃における粘度が400〜1,000cPとなるまで反
応を続ける。この粘度が400cPより低いと、最終製品
である陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が十分な湿潤紙力
向上効果を発現せず、また1,000cPを越えると、最終
製品の安定性が悪くなり、ゲル化に至ることが多い。
【0011】脂肪族ジカルボン酸系化合物とポリアルキ
レンポリアミンとの重縮合に際しては、触媒として、硫
酸やスルホン酸類を用いることができる。スルホン酸類
としては、ベンゼンスルホン酸やパラトルエンスルホン
酸などが挙げられる。酸触媒は、ポリアルキレンポリア
ミン1モルに対して0.005〜0.1モルの範囲で用いる
のが好ましく、さらには0.01〜0.05モルの範囲がよ
り好ましい。
【0012】こうして得られるポリアミドポリアミンは
次に、水溶液中でエピハロヒドリンとの反応に供され
る。ここで用いるエピハロヒドリンとしては、エピクロ
ロヒドリンやエピブロモヒドリンなどが挙げられるが、
工業的にはエピクロロヒドリンが好ましい。
【0013】ポリアミドポリアミンとエピハロヒドリン
との反応は、2段階に分けて行われる。1次反応は、反
応物濃度30〜70重量%、好ましくは30〜60重量
%の水溶液中で行われる。1次反応の濃度が低すぎる
と、反応の進行が著しく遅くなるか、または全く反応し
なくなる。また、1次反応の濃度が高すぎると、反応の
進行が早くなりすぎて増粘が著しく、場合によってはゲ
ル化したりして、反応の制御が困難になる。この1次反
応は、10〜55℃の範囲の温度で、また、ポリアミド
ポリアミン中の第2級アミノ基に対するエピハロヒドリ
ンのモル比(以下「エピハロ比」という)を0.85〜
1.4の範囲、好ましくは0.85〜1.25の範囲、さらに
好ましくは1.0〜1.25の範囲として行われる。1次反
応の温度は、10〜45℃の範囲とするのがより好まし
い。反応温度が高すぎるか、またはエピハロ比が大きす
ぎると、最終製品である樹脂中の有機ハロゲン化合物の
含有量が多くなり、本発明の目的が十分に達成されなく
なる。一方、エピハロ比が小さいと、最終製品の湿潤紙
力増強剤としての加工性能が悪くなる。
【0014】以上の条件にて、1次反応の開始後7時間
以内であって、かつ仕込んだエピハロヒドリンの70〜
95%が消費されるまで1次反応を続ける。ここで、1
次反応の時間は、エピハロヒドリンの仕込みに要する時
間と、その後の保温時間との合計を意味する。エピハロ
ヒドリンは、10〜55℃の範囲の温度に保たれたポリ
アミドポリアミンの水溶液に、例えば短時間で一括して
仕込んでもよいし、ゆっくりと仕込んでいってもよい
が、エピハロヒドリンの仕込み時間が7時間を越えるこ
とはない。
【0015】所要量のエピハロヒドリンの仕込みが終わ
った時点で、エピハロヒドリンの消費量が70〜95%
の範囲に達していれば、そこを1次反応の終点とし、次
の操作に移ることができる。また、エピハロヒドリンの
仕込みが終了した時点で、エピハロヒドリンの消費量が
70%未満であれば、引き続き所定の温度に保って、エ
ピハロヒドリンの消費量が70〜95%の範囲になるま
で、1次反応が続けられる。もちろん、エピハロヒドリ
ンの仕込みが終了した時点で、エピハロヒドリンの消費
量が70%を越えていても、それが95%を上回らない
範囲で、さらに1次反応を続けることもできる。1次反
応の開始後、すなわちエピハロヒドリンの仕込み開始
後、7時間あれば、仕込みエピハロヒドリンの70%以
上が消費された状態になるが、1次反応の時間を6時間
以内とし、そこで次の操作へ移るのが、反応の効率性の
点で好ましい。
【0016】仕込んだエピハロヒドリンの消費量は、反
応系内に残存する未反応エピハロヒドリンの量を測定す
ることにより、仕込みエピハロヒドリン量と残存未反応
エピハロヒドリン量との差として、決定することができ
る。1次反応におけるエピハロヒドリンの消費量が70
%未満の状態で次の操作に移ると、最終製品である樹脂
中に含まれる不純物有機ハロゲン化合物の量が多くな
り、また、エピハロヒドリンの消費量が95%を越える
まで反応を続けるとすると、著しく反応時間を延長する
こととなり、工業的に好ましくない。仕込んだエピハロ
ヒドリンの70〜95%が消費された段階は、未だエピ
ハロヒドリンの反応が完結していない状態であり、その
後同じ濃度および同じ温度に維持したなら、未反応エピ
ハロヒドリンと他の低分子有機ハロゲン化合物との合計
量が変化していくことを意味する。未反応エピハロヒド
リンの量および他の低分子有機ハロゲン化合物の量は、
例えばガスクロマトグラフィーなどによって測定するこ
とができる。
【0017】1次反応終了後は、反応系に水を加えて希
釈し、1次反応時より反応物の重量%濃度表示で5ポイ
ント以上低く、ただしその濃度が20重量%以上となる
ようにする。例えば、1次反応を反応物濃度30重量%
で行った場合は、20〜25重量%の濃度となるよう
に、また例えば、1次反応を反応物濃度70重量%で行
った場合は、20〜65重量%の濃度となるように希釈
される。
【0018】こうして反応系を希釈したあとは、さらに
保温を続け、エピハロヒドリンが付加したポリアミドポ
リアミン間の架橋反応を行う(2次反応)。2次反応に
おける温度は、25〜70℃の範囲とする。この2次反
応は、生成物の樹脂分濃度を15重量%としたときの2
5℃における粘度が10〜100cP、好ましくは20〜
70cPとなったときを反応終点とし、ここまで反応が続
けられる。このときの15重量%濃度の水溶液の粘度が
10cPより低いと、最終製品である樹脂の湿潤紙力増強
効果が十分でなく、一方それが100cPを越えると、樹
脂水溶液の安定性が悪くなり、また抄紙過程でパルプス
ラリーに添加した際に強い発泡を伴い、抄紙作業を困難
にするばかりでなく、紙の地合いを損なうことにもな
る。
【0019】反応液が前記所望の粘度に達したならば、
必要により水で希釈した後、反応を停止させるために、
例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸のような酸を
加えて、pHを1.5〜4に調整し、目的物である樹脂水
溶液を得る。
【0020】このような方法によって得られる陽イオン
性熱硬化性樹脂水溶液は、従来から公知の方法で製造さ
れたポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂と同
等またはそれ以上の湿潤紙力増強効果を紙に付与し、し
かも低分子有機ハロゲン化合物の含有量が著しく少な
く、また卓越した安定性を有するという、極めて優れた
性質を有している。ここでいう低分子有機ハロゲン化合
物には、エピハロヒドリンに由来して副反応で生成する
ジハロヒドリン(具体的には、1,3−ジハロ−2−プ
ロパノール)およびモノハロヒドリン(具体的には、3
−ハロ−1,2−プロパンジオール)が包含される。例
えば、エピクロロヒドリンを原料とした場合は、副反応
によって、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび
3−クロロ−1,2−プロパンジオールが生成する可能
性がある。本発明で採用する反応においては、特にジハ
ロヒドリンが不純物として残存する可能性が大きいが、
本発明によれば、かかるジハロヒドリン、あるいはさら
にモノハロヒドリンが生成しても、これら低分子有機ハ
ロゲン化合物の含有量を低い値に保つことができる。
【0021】また本発明によれば、かかる優れた性質を
有する陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液が、比較的短い反
応時間で得られる。さらに本発明の方法は、最終製品の
濃度を高めるのにも有効であり、例えば、最終製品の樹
脂水溶液を20〜30重量%程度の濃度とした場合で
も、安定した状態で保存することができる。最終製品の
樹脂分濃度が高い場合は、pHを比較的低い値、例えば
pH1.5〜3程度に調整するのが好ましい。
【0022】本発明の方法により得られる樹脂水溶液
は、紙の湿潤紙力向上剤としての用途のみならず、製紙
工程中に添加される填料の歩留向上剤、製紙速度を向上
させるために使用される濾水性向上剤、あるいは工場排
液などの汚水中に含まれる微粒子を除去するための沈殿
凝集剤としても使用することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。例中にある%および量比は、特にことわらないか
ぎり重量基準である。また粘度は、ブルックフィールド
粘度計により測定した値である。
【0024】実施例1 温度計、リービッヒ冷却器および撹拌棒を備えた500
ml四つ口フラスコに、ジエチレントリアミン103g
(1.0モル)、水10g、アジピン酸138.7g(0.9
5モル)および98%硫酸2g(0.02モル)を仕込
み、水を抜きながら昇温し、155〜160℃で12時
間反応させた。その後、水210gを徐々に加えて、ポ
リアミドポリアミンの水溶液を得た。このポリアミドポ
リアミン水溶液は、固形分50.8%、25℃における粘
度690cPであった。
【0025】別のフラスコに、上で得られたポリアミド
ポリアミン水溶液129g(2級アミノ基として0.3モ
ル)および水57.3gを仕込み、系内を25〜35℃に
維持しながらエピクロロヒドリン33.3g(0.36モ
ル)を2時間かけて滴下した。次に25〜35℃で4時
間保温を続けた。この時点で、系内に残存する未反応エ
ピクロロヒドリンの量をガスクロマトグラフィーで測定
したところ、未反応エピクロロヒドリンが仕込みに対し
て6%残存しており、エピクロロヒドリンの転化率は9
4%であった。次に水62.7gを加えて、反応水溶液の
濃度が35%となるように希釈した。40〜60℃に昇
温して増粘させ、水376.6gを加え、次いで硫酸にて
pHを3.4に調整した。得られた製品は、固形分15.7
%、25℃における粘度40.3 cP であった。
【0026】このものは、50℃で50日間保存しても
ゲル化せず、40℃で3日経過したときの粘度は36.4
cP であった。また、この製品に含まれる有機塩素化合
物はジクロロヒドリンであり、モノクロロヒドリンは検
出されなかった。ジクロロヒドリンの含有量は、固形分
に対して1.9%であった。
【0027】実施例2 実施例1で用いたのと同じ反応装置に、 イミノビスプ
ロピルアミン131g(1.0モル)、水10g、アジピ
ン酸138.7g(0.95モル)および98%硫酸3g
(0.03モル)を仕込み、水を抜きながら155〜15
6℃で18時間反応させた。その後、水230gを徐々
に加えて、ポリアミドポリアミンの水溶液を得た。この
ポリアミドポリアミン水溶液は、固形分50.2%、25
℃における粘度540cPであった。
【0028】別のフラスコに、上で得られたポリアミド
ポリアミン水溶液144g(2級アミノ基として0.3モ
ル)および水55gを仕込み、エピクロロヒドリン3
1.9g(0.345モル)を30℃で添加した。同温度で
6時間保温撹拌したあと、この溶液をガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、エピクロロヒドリンの転化率
は93%であった。次に、水66gを加えて濃度35%
に希釈したあと、30〜40℃に昇温して、反応液の2
5℃における粘度が370cPに達したところで水39
6.2gを加えて希釈し、さらに硫酸でpHを3.4に調整
した。得られた製品は、固形分16.2%、25℃におけ
る粘度39cPであった。
【0029】このものは、50℃で30日間保存しても
ゲル化しなかった。この製品中に含まれるジクロロヒド
リンは、固形分に対して0.01%であった。
【0030】実施例3 実施例1で用いたのと同じ反応装置に、ジエチレントリ
アミン103g(1.0モル)、水10gおよびアジピン
酸146.1g(1.0モル)を仕込み、水を抜きながら1
55〜156℃で15時間反応させた。その後、水21
0gを徐々に加えて、ポリアミドポリアミンの水溶液を
得た。このポリアミドポリアミン水溶液は、固形分5
0.1%、25℃における粘度610cPであった。
【0031】別のフラスコに、上で得られたポリアミド
ポリアミン水溶液126g(2級アミノ基として0.3モ
ル)および水47.9gを仕込み、20℃でエピクロロヒ
ドリン27.8g(0.3モル)を添加した。この45%濃
度の水溶液を、30分かけて30℃まで昇温し、同温度
で1時間保温撹拌した。この時点で、実施例1と同様に
ガスクロマトグラフィーにて分析を行ったところ、エピ
クロロヒドリンの転化率は93.2%であった。その後、
水97.3gを加えて、30〜45℃に保持し、反応液の
25℃における粘度が360cPに達したところで、水3
06.3gを添加し、さらに硫酸にてpHを3.5に調整し
た。
【0032】このものは、25℃において37.2 cP の
粘度を有し、固形分濃度は15.1%であり、50℃で3
0日間保存してもゲル化しなかった。また、この製品中
に含まれるジクロロヒドリンは、固形分に対して0.3%
であった。
【0033】実施例4 実施例3の前半で得られた50.1%濃度のポリアミドポ
リアミン水溶液168g(2級アミノ基として0.4モ
ル)および水68.4gをフラスコに仕込み、エピクロロ
ヒドリン40.7g(0.44モル)を25〜30℃で1時
間かけて滴下し、さらに30℃で4時間保温した。この
時点で、実施例1と同様にガスクロマトグラフィーにて
分析を行ったところ、エピクロロヒドリンの転化率は9
4.5%であった。その後、水79.2gを加え、30〜5
5℃で保温して増粘させたあと、水142.5gを添加
し、さらに硫酸でpH2.0に調整した。
【0034】このものは、25℃において120cPの粘
度を有し、固形分濃度は25.8%であり、50℃で30
日保存してもゲル化しなかった。この製品を15%濃度
に希釈したときの粘度は、41cPであった。また、この
製品中に含まれるジクロロヒドリンは、固形分に対して
0.9%であった。
【0035】比較例1 実施例1で用いたのと同じ反応装置に、ジエチレントリ
アミン103g(1.0モル)、水10g、アジピン酸1
38.7g(0.95モル)および98%硫酸7g(0.07
モル)を仕込み、水を抜きながら155〜156℃で1
0時間反応させた。その後、水215gを加えて、ポリ
アミドポリアミンの水溶液を得た。このポリアミドポリ
アミン水溶液は、固形分50.2%、25℃における粘度
560cPであった。
【0036】別のフラスコに、上で得られたポリアミド
ポリアミン水溶液129g(2級アミノ基として0.3モ
ル)および水118gを仕込み、エピクロロヒドリン3
8.9g(0.42モル)を25℃で20分かけて滴下し
た。その後50分かけて60℃まで昇温し、同温度で保
温撹拌して、反応液の25℃における粘度が250cPに
達したところで、硫酸にてpHを3.4に調整し、さらに
水を加えて、固形分濃度15%に希釈したところ、25
℃における粘度は31cPになった。また、生成物中に含
まれるジクロロヒドリンの量は、固形分に対して6.2%
であった。
【0037】比較例2 実施例1の前半で得られた、固形分50.8%、25℃に
おける粘度690cPのポリアミドポリアミン水溶液12
9g(第2級アミノ基として0.3モル)、および水13
5gを四つ口フラスコに仕込み、そこへ、エピクロロヒ
ドリン44.4g(0.48モル)を25℃で20分かけて
滴下した。次に30分かけて50℃まで昇温し、同温度
で保温撹拌して、反応水溶液の25℃における粘度が4
00cPに達したところで、水410gを加え、さらに硫
酸でpHを3.5に調整した。得られた製品は、固形分1
5.1%、25℃における粘度44cPであった。また、生
成物中に含まれるジクロロヒドリン量は、固形分に対し
て9.65%であった。
【0038】比較例3 実施例1の前半で得られた、固形分50.8%、25℃に
おける粘度690cPのポリアミドポリアミン水溶液12
9g(第2級アミノ基として0.3モル)、および水49
7gを四つ口フラスコに仕込み、そこへ、エピクロロヒ
ドリン33.3g(0.36モル)を25℃で20分かけて
滴下した。次に30℃で24時間保温撹拌したあと70
℃まで昇温したが、増粘しなかった。
【0039】比較例4 実施例1で用いたのと同じ反応装置に、ジエチレントリ
アミン103g(1.0モル)、水10g、アジピン酸1
38.7g(0.95モル)および98%硫酸2g(0.02
モル)を仕込み、 水を抜きながら150〜153℃で
3時間反応させた。その後、水76.2gを加えて、固形
分74.7%のポリアミドポリアミン水溶液を得た。別の
フラスコに、上で得られたポリアミドポリアミン水溶液
の全量を移し、20〜25℃でエピクロロヒドリン11
1g(1.2モル)を加え、その後15分かけて50℃ま
で昇温し、同温度で保温撹拌したところ、急激に増粘
し、反応中にゲル化した。
【0040】比較例5 実施例1で用いたのと同じ反応装置に、ジエチレントリ
アミン103g(1.0モル)、水10g、アジピン酸1
38.7g(0.95モル)および98%硫酸3g(0.03
モル)を仕込み、水を抜きながら155〜160℃で2
0時間反応させた。 その後、水205gを徐々に加え
て、ポリアミドポリアミンの水溶液を得た。このポリア
ミドポリアミン水溶液は、固形分51.0%、25℃にお
ける粘度556cPであった。
【0041】別のフラスコに、上で得られたポリアミド
ポリアミン水溶液125g(2級アミノ基として0.3モ
ル)および水101gを仕込み、エピクロロヒドリン1
6.7g(0.18モル)を30℃で添加した。引き続き3
0℃で6時間保温撹拌し、反応液の25℃における粘度
が447cPに達したところで、水285gを加えて希釈
し、さらに硫酸でpHを3.4に調整した。得られた製品
は、固形分15.5%、25℃における粘度32.5 cP で
あった。この製品の湿潤紙力増強剤としての加工性能は
著しく低かった。
【0042】比較例6 実施例1で得られた製品のpHを1.2に調整したとこ
ろ、40℃で3日経過すると、製品粘度が低下し、粘度
は14.3cPとなった。この製品の湿潤紙力増強剤として
の加工性能は著しく低下していた。
【0043】比較例7 実施例2において、最後のpH調整の段階で、硫酸を用
いてpH5にしたところ、50℃で2日経過するとゲル
化した。
【0044】参考例 実施例1で得た樹脂水溶液、その40℃で3日経時品、
実施例2〜4で得たそれぞれの樹脂水溶液、比較例1〜
3および5で得たそれぞれの樹脂水溶液、ならびに比較
例6の40℃で3日経時品を用いて、TAPPI 式標準抄紙
法により、以下の条件で抄紙試験を行った。得られた紙
の湿潤引張強さを JIS P 8135 に準じて測定し、結果を
湿潤裂断長として表1に示した。
【0045】《抄紙条件》 使用パルプ: N-BKP/L-BKP =1/1 叩 解 度:420cc 樹脂添加量:0.4%(樹脂固形分の対パルプ乾燥重量) 熱処理条件:110℃、4分間 抄紙平均米坪量:60g/m2
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、有機ハロゲン化合物の
含有量が少ない陽イオン性熱硬化性樹脂水溶液を、比較
的短時間の反応で効率的に得ることができる。そして、
得られる樹脂水溶液は、紙に対して優れた湿潤紙力増強
効果を与え、経時変化に対しても高い安定性を示す。特
に本発明によれば、比較的高濃度の樹脂水溶液とした場
合でも、高い安定性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−170825(JP,A) 特開 平6−256508(JP,A) 特開 平6−220189(JP,A) 特開 平6−1842(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】i)脂肪族ジカルボン酸系化合物とポリア
    ルキレンポリアミンとを、1:1.0〜1.2のモル比で、
    生成ポリアミドポリアミンの50重量%水溶液の25℃
    における粘度が400〜1,000cPとなるように加熱縮
    合させて、ポリアミドポリアミンを生成させ、次いで ii)該ポリアミドポリアミンを、該ポリアミドポリアミ
    ン中の第2級アミノ基に対して0.85〜1.4モル倍のエ
    ピハロヒドリンと、濃度30〜70重量%の水溶液中、
    10〜55℃の温度で1次反応させ、 iii)該1次反応の開始後7時間以内であって、かつ仕込
    んだエピハロヒドリンの70〜95%が消費された段階
    で、該1次反応時より重量%濃度表示で5ポイント以上
    下げるが、20重量%以上の濃度となるように希釈し、 iv)この濃度および25〜70℃の温度で、生成物の1
    5重量%水溶液の25℃における粘度が10〜100cP
    となるまで2次反応を行い、そして v)得られた反応生成物の水溶液を、25℃におけるp
    Hが1.5〜4となるように調整することを特徴とする陽
    イオン性熱硬化性樹脂水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリアミドポリアミン中の第2級アミノ基
    に対して0.85〜1.25モル倍のエピハロヒドリンを使
    用する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリアミドポリアミン中の第2級アミノ基
    に対して1.0〜1.25モル倍のエピハロヒドリンを使用
    する請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】1次反応を10〜45℃の温度で行う請求
    項1〜3のいずれかに記載の方法。
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