JP3328988B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP3328988B2 JP06177993A JP6177993A JP3328988B2 JP 3328988 B2 JP3328988 B2 JP 3328988B2 JP 06177993 A JP06177993 A JP 06177993A JP 6177993 A JP6177993 A JP 6177993A JP 3328988 B2 JP3328988 B2 JP 3328988B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は書き換えが可能な光磁気
記録媒体のなかで、再生層の磁化状態を変化させながら
記録信号を読み取る光磁気記録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体は書き換え可能な光記録
媒体であり、相変化型光記録媒体などと比較して繰り返
し消去/書き込み耐久性や消去比率に優れ、可搬型大容
量の記録媒体として注目されている。
【0003】光磁気記録媒体は、レ−ザ−光照射による
局所加熱によって記録ビットを形成し、これをカ−効果
により読み出す記録再生方法が取られる。記録ビットの
間隔はレ−ザ−光照射パワ−、記録磁界の強度などの調
整でレ−ザ−スポット径よりもかなり小さくすることが
可能であるが、読みだしは再生時のレ−ザ波長、レンズ
の開口率などによって制約を受ける。
【0004】このような再生時の制約から決まる記録密
度を越えて、読み出すための改善の試みとして、少なく
とも再生層と記録保持層を有し再生層の磁化状態を変化
させながら記録信号を読み取る方法がMSR(Magn
etically induced Super Re
solution)と呼ばれて近年注目されている。例
えば、消滅型MSRあるいはFAD(Front Ap
erture Detection)とよばれる方式は
特開平1−143041号公報や特開平1−14304
2号公報に開示され、記録ビットを再生時に拡大、縮小
させながら再生することにより再生分解能が向上する技
術である。この方式は、記録磁性層を再生層、中間層、
記録保持層からなる交換結合多層膜とし、再生光照射に
よる温度上昇を利用し、中間層のキュリ−温度以上の高
温領域で再生層を再生磁界の方向に常に向けることによ
り、ビ−ムスポットを部分的にいわばマスクするもの
で、再生時の符号間干渉を減少させ、光の回折限界以下
の周期の信号を再生可能とするものである。
【0005】また、浮き出し型MSRあるいはRAD
(Rear Aperture Detection)
とよばれる方式は特開平3−93058号公報に開示さ
れ、記録磁性層を再生層、再生補助層、中間層、記録保
持層からなる交換結合多層膜とし、再生前に初期化磁石
で再生層の磁化の向きを揃えた後、記録保持層の記録ビ
ットを再生層に転写しながら、再生することにより再生
分解能が向上する技術である。
【0006】多層膜の各層で最もキュリ−温度が低いの
はFAD方式においては中間層、RAD方式においては
再生補助層である。これらの材料は、例えば特開平1−
143041号公報ではTbFe、TbFeCo、Dy
FeCo、特開平4−255937号公報ではTbFe
CoAlなどが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの複雑な多層膜
は通常スパッタ法で成膜されるが、合金タ−ゲットで成
膜したとしても最低膜の数だけのタ−ゲットが必要で、
さらに各層の最適の組み合わせを決める為には同時スパ
ッタを行う必要がありタ−ゲットの数はさらに多くな
る。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、できる
だけ少ない数のタ−ゲットで成膜が可能なMSR媒体を
得ることを可能とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、誘電体成
膜に必要なSiに注目して、中間層あるいは再生補助層
をTbFeCoSiとすることでタ−ゲットの数を少な
くすることを可能とし、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち本発明は、透明基板上にSiを含む
電体層を介して、少なくとも再生層、中間層、記録保持
をこの順に積層して交換結合多層膜を形成し、該再生
層および該記録保持層が希土類遷移金属の磁性膜で構成
され、再生光照射による温度上昇により前記中間層のキ
ュリー温度以上となった高温領域で前記再生層を再生磁
界の方向に向けることにより、ビームスポットを部分的
にマスクしながら記録信号を読み出す光磁気記録媒体に
おいて、前記記録保持層がTb、Fe及びCoを含み、
前記中間層が(Tb、Fe、Co1-xSix(但し、
0.07<x≦0.18)により構成され、かつ、該中
間層のFeとCoの組成比(Fe/Co)と前記記録保
持層のFeとCoの組成比(Fe/Co)が同じである
ことを特徴とする光磁気記録媒体、並びに、透明基板上
にSiを含む誘電体層を介して、少なくとも再生層、再
生補助層、中間層、記録保持層をこの順に積層して交換
結合多層膜を形成し、該再生層および該記録保持層が希
土類遷移金属の磁性膜で構成され、再生前に初期化磁石
で再生層の磁化の向きを揃えることでマスクし、再生光
照射による温度上昇により記録保持層の記録磁化を再生
層に転写しながら再生することにより記録信号を読み出
す光磁気記録媒体において、前記記録保持層がTb、F
e及びCoを含み、前記再生補助層が(Tb、Fe、C
o) 1-x Si x (但し、0.07<x≦0.18)により
構成され、かつ、該再生補助層のFeとCoの組成比
(Fe/Co)と前記記録保持層のFeとCoの組成比
(Fe/Co)が同じであることを特徴とする光磁気記
録媒体に関する。
【0011】なお、本発明においては、FAD方式の光
磁気記録媒体における中間層、及び、RAD方式の光磁
気記録媒体における再生補助層を共に特定層と称する
が、この特定層は、本発明の光磁気記録媒体の交換結合
多層膜を形成する膜中で最も低いキュリー温度をもつ層
である。特定層としてTbFeCoにSiを含有させた
場合、Si濃度xを高くすることでキュリ−温度が下が
り、x=0.18でSiを含有しないとき(TbFeC
oのみ)と比べて約150℃下がる。x>0.18にな
ってもさらにキュリ−温度は下がるが、垂直磁気異方性
の下がり方が著しくなり良好なMSR特性が得られなく
なる。
【0012】キュリ−温度、垂直磁気異方性の関係から
特定層は、 (Tby(Fe1-zCoz))1-xSix (但し、x≦0.18、0.14≦y≦0.30、0≦
z≦0.20)なる構成をとることが好ましい。
【0013】また、本発明の光磁気記録媒体の特定層に
は、耐久性を高める為にCr、Ti、Ta等を0.1〜
15atm%含んでいてもよい。
【0014】本発明の光磁気記録媒体の製造方法として
は、例えばGd、Tb、FeCo、Siをタ−ゲットと
してそれらの任意の同時スパッタの組み合わせで成膜す
ることが可能である。より具体的にはFADの場合、誘
電体層を窒化ケイ素、再生層をGdFeCo、中間層を
TbFeCoSi、記録保持層をTbFeCoとして成
膜することができ、RADの場合、誘電体層を窒化ケイ
素、再生層をGdFeCo、再生補助層をTbFeCo
Si、中間層をGdFeCoまたはGdFeCoSi、
記録保持層をTbFeCoとして成膜することができ
る。従来、中間層にAlを添加したり、記録保持層と中
間層とでCoとFeの組成比を変えたりする方法が取ら
れていたが、このような方法ではさらに1〜2個のタ−
ゲットを追加して、スパッタチャンバ−の個数も増加せ
ざるを得なかった。
【0015】本発明の光磁気記録媒体で、記録保持層が
TbFeCo、特定層がTbFeCoSiからなる場
合、CoとFeの組成比が同一となるため、特定層と記
録保持層とのキュリ−温度の差により顕著なMSR効果
を得るためには、Si濃度xを0.07<xとすること
が好ましい。
【0016】
【実施例】
実施例1 Gd、Tb、Fe0.87Co0.13およびSiの各タ−ゲッ
トをそれぞれ単独あるいは同時スパッタの組合せとして
用い、図1に示すようなFAD方式の光磁気記録媒体を
製造した。ポリカ−ボネ−ト基板1上に、窒化ケイ素か
らなる誘電体層2(膜厚:800オングストローム)、
GdFeCoからなる再生層3(膜厚:300オングス
トローム、磁化:20emu/cc(室温)、キュリー
温度:340℃)、TbFeCoSiからなる中間層4
(膜厚:100オングストローム、補償組成、キュリー
温度:80〜200℃)、TbFeCoからなる記録保
持層5(膜厚:400オングストローム、保磁力:>1
2kOe、キュリー温度:260℃)、さらに窒化ケイ
素層6(膜厚:800オングストローム)を成膜した。
【0017】中間層のキュリ−温度を80〜200℃で
変化させるためにTbFeCoSi中のSi濃度はx=
0.08〜0.19で変化させた。補償組成とするため
にTb濃度も同時に変化させた。図2にSi濃度xに対
してキュリ−温度、補償組成のTb濃度yを示す。
【0018】次に、この光磁気記録媒体を記録再生装置
にセットして、線速度5.5m/secで回転させなが
ら780nmの波長のレ−ザ−ビ−ムを33%のデュ−
ティ−において7.1MHzで変調させながら5.4m
Wのレ−ザ−パワ−で記録を行なった。記録時のバイア
ス磁界は250Oeであった。
【0019】消去方向に300Oeのバイアス磁界(H
r)をかけながらレ−ザ−パワ−を1〜2.5mWで調
整して再生し、得られた最大のC/Nの値をSi濃度と
比較して図3に示す。Si濃度が0.18以下で40d
B以上の良好なC/Nが、特にx<0.15では45d
B以上の更に良好なC/Nが得られた。
【0020】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体では、MSR媒
体の特定層をTb、Fe、Co及びSiから構成するこ
とで、誘電体成膜に必要なSiタ−ゲットとタ−ゲット
を共通化して多層膜成膜に必要なタ−ゲットの数を少な
くすることを可能とした。また、Si添加による垂直磁
気異方性の低下が緩やかなので、Si濃度の調整だけで
特定層のキュリ−温度の選択の幅を150℃程度取るこ
とができ、マ−ジンを考慮したMSR媒体の設計が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光磁気記録媒体の構造の一例を示す
断面図である。
【図2】 TbFeCoSi中間層のSi濃度を変化さ
せたときのキュリ−温度または補償組成との関係を示す
図である。
【図3】 実施例1の光磁気記録媒体をFAD再生した
ときのSi濃度とC/Nとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−97140(JP,A) 特開 平6−251445(JP,A) 特開 昭61−196444(JP,A) 特開 昭63−100637(JP,A) 特開 平4−255937(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上にSiを含む誘電体層を介し
    て、少なくとも再生層、中間層、記録保持層をこの順に
    積層して交換結合多層膜を形成し、該再生層および該記
    録保持層が希土類遷移金属の磁性膜で構成され、再生光
    照射による温度上昇により前記中間層のキュリー温度以
    上となった高温領域で前記再生層を再生磁界の方向に向
    けることにより、ビームスポットを部分的にマスクし
    がら記録信号を読み出す光磁気記録媒体において、前記
    記録保持層がTb、Fe及びCoを含み、前記中間層が
    (Tb、Fe、Co1-xSix(但し、0.07<x≦
    0.18)により構成され、かつ、該中間層のFeとC
    oの組成比(Fe/Co)と前記記録保持層のFeとC
    oの組成比(Fe/Co)が同じであることを特徴とす
    る光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 透明基板上にSiを含む誘電体層を介し
    て、少なくとも再生層、再生補助層、中間層、記録保持
    層をこの順に積層して交換結合多層膜を形成し、該再生
    層および該記録保持層が希土類遷移金属の磁性膜で構成
    され、再生前に初期化磁石で再生層の磁化の向きを揃え
    ることでマスクし、再生光照射による温度上昇により記
    録保持層の記録磁化を再生層に転写しながら再生するこ
    とにより記録信号を読み出す光磁気記録媒体において、
    前記記録保持層がTb、Fe及びCoを含み、前記再生
    補助層が(Tb、Fe、Co) 1-x Si x (但し、0.0
    7<x≦0.18)により構成され、かつ、該再生補助
    層のFeとCoの組成比(Fe/Co)と前記記録保持
    層のFeとCoの組成比(Fe/Co)が同じであるこ
    とを特徴とする光磁気記録媒体。
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