JP3111960B2 - 光磁気記録媒体における信号再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体における信号再生方法

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JP3111960B2
JP3111960B2 JP10000401A JP40198A JP3111960B2 JP 3111960 B2 JP3111960 B2 JP 3111960B2 JP 10000401 A JP10000401 A JP 10000401A JP 40198 A JP40198 A JP 40198A JP 3111960 B2 JP3111960 B2 JP 3111960B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気光学効果によ
って情報ビット(磁区)の読み出しを行う光磁気記録媒
体における信号再生方法に関するものであり、特に線記
録密度,トラック密度を向上するための技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式は、磁性薄膜を部分的に
キュリー温度または補償点温度を越えて昇温し、この部
分の保磁力を消滅させて外部から印加される記録磁界の
方向に磁化の向きを反転させることを基本原理とするも
のである。したがって光磁気記録媒体の構成としては、
例えばポリカーボネート等からなる透明基板の一主面
に、膜面と垂直方向に磁化容易軸を有し優れた磁気光学
特性を有する記録磁性層(例えば希土類−遷移金属合金
非晶質薄膜)や反射層、誘電体層を積層することにより
記録部を設け、透明基板側からレーザー光を照射して信
号の読み取りを行うようにしたものが知られている。
【0003】ところで、光磁気記録媒体に限らず、デジ
タル・オーディオ・ディスク(いわゆるコンパクトディ
スク)やビデオディスク等の光ディスクの線記録密度
は、主として再生時のS/Nによって決められており、
また再生信号の信号量は記録されている信号のビット列
の周期と再生光学系のレーザー波長,対物レンズの開口
数に大きく依存する。
【0004】現状では、再生光学系のレーザー波長λと
対物レンズの開口数N.A.が決まると、検出限界とな
るビット周期fが決まる。すなわち、f=λ/2・N.
A.である。
【0005】主としてクロストークによって制限される
トラック密度についても同様であり、クロストークが主
に媒体面でのレーザービームの分布(プロファイル)で
決まることから、前記ビット周期と同様にやはりλ/2
・N.A.の関数で概略表される。
【0006】したがって、光ディスクで高密度化を図る
ためには、再生光学系のレーザー波長λを短くし、対物
レンズの開口数N.A.を大きくするというのが基本姿
勢である。
【0007】しかしながら、現状の技術ではレーザー波
長λや対物レンズの開口数N.A.の改善にも限度があ
り、一方では光磁気記録媒体の構成や読み取り方法を工
夫し、記録密度を改善する技術が開発されている。
【0008】例えば、本願出願人は、先に特開平1−1
43041号公報,特開平1−143042号公報等に
おいて、情報ビット(磁区)を再生時に部分的に拡大,
縮小若しくは消滅させることにより、再生分解能を向上
させる方式を提案している。この方式は、記録磁性層を
再生層,中間層,記録保持層からなる交換結合多層膜と
し、再生時において再生光ビームで加熱された再生層の
磁区を温度の高い部分で拡大,縮小あるいは消去するこ
とにより、再生時の情報ビット間の干渉を減少させ、光
の回折限界以上の周期の信号を再生可能とするものであ
る。
【0009】ただし、この方式では、線記録密度はある
程度改善されるものの、トラック密度を改善することは
難しい。
【0010】このような状況から、さらに本願出願人
は、先に特願平1−229395号明細書において、記
録層を磁気的に結合される再生層と記録保持層とを含む
多層膜で構成し、予め再生層の磁化の向きを揃えていわ
ば消去状態としておくとともに、再生時にはレーザー光
の照射によって再生層を所定の温度以上に昇温せしめ、
この昇温された領域でのみ記録保持層に書き込まれた磁
化信号を再生層に転写しながら読み取るようにすること
により、クロストークを解消し、線記録密度,トラック
密度の両者を向上し得る新規な信号再生方法を提案し
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
法においては、再生パワーを上げるに従い、再生層に転
写される範囲(再生可能エリア)が広がり、再生時の周
波数特性が劣化するという問題を残している。
【0012】そこで本発明は、かかる実情に鑑みて提案
されたものであって、線記録密度,トラック密度のいず
れをも向上させることができ、しかも再生パワーの上昇
によって周波数特性を劣化することのない信号再生方法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の信号再生方法は、少なくとも磁気的に結
合された再生層、中間層及び記録保持層を有してなる多
層膜を有し、記録保持層にデータが記録され、再生層は
記録保持層の磁化の向きとは独立に一方向に磁化が揃え
られ初期化状態とされていることを特徴とする光磁気記
録媒体の信号再生方法において、前記再生層側からレー
ザー光を照射し、このレーザー照射によって生ずる温度
分布により、レーザービーム径内の再生層に、初期化状
態を維持する第1の部分と、記録保持層の磁区パターン
が転写される第2の部分と、中間層のキュリー温度近傍
温度まで上昇し中間層の磁化による交換結合力をほとん
ど受けない第3の部分を生じさせるステップと、前記記
録保持層の磁区パターンが転写された部分の磁化信号を
磁気光学効果により光学信号に変換して読み出すステッ
プを有することを特徴とするものである。
【0014】さらに、本発明の信号再生方法は、少なく
とも磁気的に結合された再生層、中間層及び記録保持層
を有してなる多層膜を有し、記録保持層にデータが記録
され、再生層は記録保持層の磁化の向きとは独立に一方
向に磁化が揃えられ初期化状態とされていることを特徴
とする光磁気記録媒体の信号再生方法において、再生用
レーザー光の照射パワーは、このレーザー照射によって
生ずる温度分布により、レーザービーム径内の再生層
に、初期化状態を維持する第1の部分と、記録保持層の
磁区パターンが転写される第2の部分と、中間層のキュ
リー温度近傍温度まで上昇し中間層の磁化による交換結
合力をほとんど受けない第3の部分が生成されるように
調整されていることを特徴とするものである。
【0015】本発明の信号再生方法においては、信号の
読み取りを行うための再生層の磁界の向きは、初期化磁
界によって予め揃えられ、いわば消去状態とされる。
【0016】次いで、この消去状態の再生層に対してレ
ーザー光の照射と再生磁界の印加とを同時に行うと、レ
ーザー照射によって生ずる温度分布により、レーザービ
ーム径内に初期化状態を維持する部分と、記録保持層の
磁区パターンが転写される部分と、再生磁界方向に磁化
が揃えられる部分とに分かれる。
【0017】ここで、初期化状態を維持した部分と、再
生磁界方向に磁化が揃えられる部分では、記録保持層の
磁化パターンによらず常に同じ磁化状態となる。
【0018】したがって、これらの部分は光学的にマス
クされたかたちとなり、記録保持層の磁区パターンが転
写された部分でのみ記録信号の読み取りが行われ、高密
度再生が行われる。
【0019】このとき、再生パワーが変動したとして
も、再生可能エリア(記録保持層の磁区パターンが転写
された部分)の変動は小さく、周波数特性が維持され
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】第1の実施例 本実施例は、光磁気記録媒体の記録層を、再生層、中間
層、記録保持層からなる3層構造とした例である。
【0022】光磁気記録媒体1の構成は、図1に示す通
りであり、ポリカーボネートやガラスからなる透明基板
2上に、再生層3、中間層4及び記録保持層5を順次積
層形成してなるものである。
【0023】上記再生層3は、磁気光学特性に優れた材
料が使用され、カー回転角,ファラデー回転角が大きな
ものとされている。記録保持層5は、大きな保磁力を有
する垂直磁化膜である。また、これら再生層3と記録保
持層5は、静磁結合あるいは交換結合等によって磁気的
に結合される。
【0024】ここで、再生層3のキュリー温度をTC1
保磁力をHC1、磁化をMS1、膜厚をh1 、中間層4の温
度をTC2、保磁力をHC2、磁化をMS2、膜厚をh2 、記
録保持層5のキュリー温度をTC3、保磁力をHC3、磁化
をMS3、膜厚をh3 、界面磁壁エネルギーをσW とす
る。
【0025】一方、前記光磁気記録媒体1の情報信号を
読み取るための光磁気再生装置には、図2に示すよう
に、2つの磁気ヘッド,すなわち初期化磁界Hini を印
加するための初期化磁石6及び再生磁界Hreadを印加す
るための再生用磁石7と、光ヘッド(光学ピックアッ
プ)8とが設置される。
【0026】このうち、再生用磁石7と光ヘッド8とは
同位置に対向配置され、初期化用磁石6はこれら再生用
磁石7や光ヘッド8よりも先行するように配置される。
【0027】以下、このような光磁気記録媒体1及び光
磁気再生装置を用いた再生方法について詳細に説明す
る。
【0028】先ず、記録保持層5に対して光磁気記録装
置によって情報信号を記録するが、この記録の手法とし
ては、通常の光磁気記録媒体と同様、光変調方式あるい
は磁界変調方式がいずれも採用できる。さらには、記録
保持層5に接して垂直磁化膜を設け、この垂直磁化膜に
垂直磁気記録媒体と同様に磁気ヘッドで磁気信号を記録
した後、レーザー光の照射により垂直磁化膜に記録され
た磁気信号を記録保持層5に転写するようにしてもよ
い。
【0029】このようにして情報信号が記録された状態
が図3である。
【0030】再生に際しては、予め前記情報信号が記録
された光磁気記録媒体1に対して初期化磁石6によって
初期化磁界Hini を印加し、再生層3のみを初期化す
る。初期化の様子を図4に示す。
【0031】前記初期化により、再生層3の磁化の向き
が初期化磁界Hini の向きに揃えられ、再生層3側から
見たときに全面が同一の磁化状態となる。なお、この初
期化によって再生層3の磁化の向きが記録保持層5の磁
化の向きと反転された部分では、中間層4が磁壁とな
る。
【0032】このように、初期化磁界Hini の印加によ
って再生層3の磁化の向きが反転するためには、 Hini >HC1+σW /2MS11 ・・・(1) なる条件を満足する初期化磁界Hini が必要である。
【0033】また、この初期化磁界Hini の印加によっ
ても記録保持層5の情報信号が維持されるためには、 Hini <HC3−σW /2MS33 ・・・(2) であることが必要である。
【0034】さらに、初期化磁界Hini の印加が終わっ
た後にも再生層3と記録保持層5間の磁壁が維持される
ためには、 HC1>σW /2MS11 ・・・(3) でなければならない。
【0035】上述の初期化が済んだ後、再生用磁石7と
光ヘッド8が対向配置される位置においてレーザー光の
照射と再生磁界Hreadの印加を行い、情報信号の読み出
しを行う。
【0036】情報信号の読み出しに際しては、レーザー
光LBが照射されるが、このとき光磁気記録媒体1には
図5のような温度分布が生ずる。
【0037】すなわち、光磁気記録媒体1の走行方向
(図中矢印X方向)の先端部で温度が最も高く、後方に
行くに従って徐々に温度が低くなるような温度分布であ
る。
【0038】ここで、ある温度Tm (ただし、Tm <T
C2である。また、TC2<TC1、TC2<TC3である。)以
上で、 HC1−σW /2MS11 <Hread<HC1+σW /2MS11 ・・・(4) なる条件を満足するような再生磁界Hreadを加えると、
磁壁が存在する部分で記録保持層5との交換力等によっ
て再生層3の磁化反転を起こすことができる。
【0039】したがって、レーザー光照射によって前記
温度Tm 以上となった部分においてのみ、記録保持層5
の磁区パターンPが再生層3に転写される。
【0040】また、前記温度Tm 以上であっても、中間
層4のキュリー温度TC2以上となった部分では、中間層
4の磁化が消失し、再生層3と記録保持層5との交換結
合が遮断される。この状態でHread>HC1なる再生磁界
readが印加されると、その部分の磁化は全て再生磁界
readの向きに揃う。これが、図5中の領域αである。
【0041】したがって、記録保持層5の磁区パターン
Pが再生層3に転写されるのは、図5中の領域βに限ら
れる。
【0042】一方、温度Tm 未満の領域(図5中の領域
γ)では、前記再生磁界Hreadでは再生層3の磁化反転
を起こすことができず、初期化状態が保たれる。
【0043】以上の信号再生方法によれば、領域γでは
再生層3の磁化の向きは常に初期化磁界Hini の方向に
揃い、領域αでは再生層3の磁化の向きは再生磁界H
readの向きに揃う。これは、光学的にマスクされている
のと等価な状態であり、線記録密度を著しく向上するこ
とが可能となる。なお、トラック幅方向に関して言え
ば、再生トラックと隣接トラックの境界での温度が前記
温度Tm 未満となるような温度分布としておけば、隣接
トラック下の記録保持層5に記録された信号が再生層3
に転写されてくることはなく、クロストークは完全に解
消される。
【0044】また、本実施例の信号再生方法では、レー
ザー光の再生パワーの変動による周波数特性の劣化も極
めて少ない。
【0045】すなわち、再生パワーが低い場合には、図
6に示すように、温度Tm 以上となる部分が少なくなっ
て再生層3が磁化反転を起こす領域が縮小するが、これ
に伴ってキュリー温度TC2以上となる部分(領域α)も
縮小するので、記録保持層5の磁区パターンPが再生層
3に転写される領域βは、実質的にほとんど変化しな
い。
【0046】逆に、再生パワーが高い場合には、図7に
示すように、温度Tm 以上となる部分が多くなって再生
層3が磁化反転を起こす領域が拡大するが、これに伴っ
てキュリー温度TC2以上となる部分(領域α)も拡大す
るので、記録保持層5の磁区パターンPが再生層3に転
写される領域βは、やはり実質的にほとんど変化しな
い。
【0047】第2の実施例 本実施例は、光磁気記録媒体の記録層を、再生層、再生
補助層、中間層、記録保持層からなる4層構造とした例
である。
【0048】4層構造とした場合にも、原理的には3層
構造の場合と同様であるが、各層の成膜条件等を緩和す
ることができる。
【0049】以下、再生層3のキュリー温度をTC1、保
磁力をHC1、磁化をMS1、膜厚をh1 、再生補助層4a
のキュリー温度をTC2a 、保磁力をHC2a 、磁化をM
S2a 、膜厚をh2a、中間層4bの温度をTC2b 、保磁力
をHC2b 、磁化をMS2b 、膜厚をh2b、記録保持層5の
キュリー温度をTC3、保磁力をHC3、磁化をMS3、膜厚
をh3 、中間層の界面磁壁エネルギーをσW2b として、
信号再生のための条件について説明する。
【0050】情報信号の記録は、先の第1の実施例と同
様であり、記録直後には図8に示すように4層全てに記
録情報が書き込まれる。
【0051】再生も、先の第1の実施例と同様の光磁気
再生装置を用いて行い、先ず初期化磁界Hini を印加し
て再生層3及び再生補助層4aを初期化する。初期化の
様子を図9に示す。
【0052】ここで、再生層3及び再生補助層4aが初
期化磁界Hini の方向に反転するためには、初期化磁界
ini が、再生層3,再生補助層4aの平均の保磁力
(HC1,HC2a AVG と中間層4bに生ずる界面磁壁エ
ネルギーσW2b による力の和(Hc1+ )よりも大きいこ
とが必要である。すなわち、 Hini >(HC1,HC2aAVG +σW2b /2(MS11 +MS2a2a)=Hc1+ ・・・(5) である。
【0053】ただし、 (HC1,HC2a AVG =(MS11C1+MS2a2aC2a )/(MS11 + MS2a2a) ・・・(6) であり、また HC1<(HC1,HC2aAVG <HC2a ・・・(7) である。
【0054】一方、再生層3,再生補助層4aが初期化
磁界Hini の方向に反転する際に、記録保持層5は情報
信号を維持する必要がある。したがって、記録保持層5
と初期化磁界Hini との間には、 Hini >HC3−σW2b /2MS33 ・・・(8) なる関係が成り立つことが必要である。
【0055】また、初期化磁界Hini で初期化した後、
中間層4bに生じた磁壁が安定に存在するためには、 (HC1,HC2aAVG >σW2b /2(MS11 +MS2a2a)・・・(9) なる関係が成り立つことが必要である。
【0056】光磁気記録媒体を構成する各層が、室温に
おいてこれらの条件を満たすことにより、初期化磁界H
ini の印加による初期化操作が行われた部分では、図1
0に示すように、再生層3及び再生補助層4aの磁化の
向きが全て初期化磁界Hiniの方向(ここでは図中上向
き)に揃う。そして、この状態は再生レーザー光を照射
する直前まで維持され、このままでは再生出力は検出さ
れない。
【0057】そこで、本例でも、3層構造の場合と同
様、レーザー光の照射による温度分布と再生磁界Hread
の印加によって情報信号の読み出しを行う。
【0058】レーザー光LBの照射による温度分布は、
図11に示す通りである。すなわち、この場合にも、光
磁気記録媒体1の走行方向(図中矢印X方向)の先端部
で温度が最も高く、後方に行くに従って徐々に温度が低
くなるような温度分布となる。
【0059】ここで、ある温度Tn (ただし、Tn <T
C2a である。また、TC2a <TC1、TC2a <TC2b 、T
C2a <TC3である。)以上で、 HC1- <Hread<HC1+ ・・・(10) なる条件を満足するような再生磁界Hreadを加えると、
磁壁が存在する部分で記録保持層5との交換力等によっ
て再生層3の磁化反転を起こすことができる。
【0060】ただし、 HC1-=(HC1’C2aAVG−σW2b/2(MS11+MS2a2a) ・・・(11) である。
【0061】すなわち、図11に示すような温度分布を
有し、領域γが室温〜Tn なる温度、領域βがTn 〜T
C2a なる温度、領域αがTC2a 以上の温度となっている
ときに、領域γではHread<HC1- となっているこ
とから、再生層3の磁化反転が起こらず、再生層3及び
再生補助層4aは初期化状態(初期化磁界Hini の方向
に磁化の向きが揃った状態)を維持している。
【0062】領域βでは、先にも述べた通り、HC1-
read<HC1+ となり、中間層4bに磁壁が存在した部
分では、磁壁が消滅して再生層3,再生補助層4aに記
録保持層5の情報が転写される。すなわち、領域βに
は、記録保持層5の磁化パターンが転写され、記録信号
に応じて磁区パターンPが形成される。
【0063】領域αでは、温度はTC2a を越えているの
で、当該再生補助層4aの磁化が消失しており、再生層
3と記録保持層5との磁気的結合が遮断されている。そ
して、この領域ではHC1+ <Hreadであるので、再生層
3の磁化の向きは全て再生磁界Hreadの方向に揃えられ
る。
【0064】したがって、領域γと領域αが光学的にマ
スクされているのと等価な状態となり、線記録密度を著
しく向上することが可能となる。
【0065】また、本実施例の信号再生方法でも、先の
第1の実施例と同様の理由から、レーザー光の再生パワ
ーの変動による周波数特性の劣化も極めて少ない。
【0066】次に、実際に上述の条件を満たすような光
磁気記録媒体を作成し、CN特性を評価した。
【0067】作成した光磁気記録媒体の構成は、次の通
りである。 再生層3 :GdFeCo(キュリー温度TC1>300℃) 再生補助層4a:TbFeCoAl(キュリー温度TC2a =約120℃) 中間層4b :GdFeCo(キュリー温度TC2b =約250℃) 記録保持層5 :TbFeCo(キュリー温度TC3=約300℃)
【0068】<中間層が遷移金属副格子優勢(TMリッ
チ)の場合>各層の膜厚及び保磁力を次のような値に設
定した。 h1 =300Å h2a=50〜100Å (Hc1,HC2aAVG =1〜4kOe h2b=200Å HC2b <1kOe(TMリッチ) h3 =450Å Hc3=TMリッチ7kOe〜REリッチ10kOe
【0069】そして、初期化磁界Hini =4kOeで初
期化した後、再生磁界Hread=200〜600Oe、再
生レーザーパワー3mW(ディスク盤面)で信号再生を
行ったところ、ビット周期0.8μm(線速度=8m/
秒,周波数10MHz)で十分なC/Nが得られた。
【0070】図12は、再生補助層4aの膜厚h2aを変
化させたときのC/Nの変化を示すものであるが、h2a
=50〜100Åの範囲で44dB以上のC/Nが確保
されている。
【0071】図13は中間層4bのGdの組成を変化さ
せたときのC/Nの変化を、図14は再生補助層4aの
Tbの組成を変化させたときのC/Nの変化を示すもの
であるが、いずれの場合にも良好なC/Nが得られてい
る。
【0072】また、C/Nの周波数特性を見ると、図1
5に示すように、単に記録保持層に記録された磁気信号
を再生層に転写しながら読み取る方式(いわば1マスク
方式)(図中線B)に比べて、本実施例の方式(いわば
2マスク方式)(図中線A)では、高周波数帯域でのC
/Nが高い。
【0073】<中間層が希土類副格子優勢(REリッ
チ)の場合>各層の膜厚及び保磁力を次のような値に設
定した。
【0074】h1 =300Å h2a=50〜110Å (Hc1,HC2aAVG =0.9〜4kOe h2b=200Å HC2b <1kOe(REリッチ) h3 =450Å Hc3=TMリッチ7kOe〜REリッチ10kOe この場合には、TMリッチの場合に比べて若干成膜条件
が厳しくなる。
【0075】そして、初期化磁界Hini =4kOeで初
期化した後、再生磁界Hread=200〜600Oe、再
生レーザーパワー3mW(ディスク盤面)で信号再生を
行ったところ、ビット周期0.8μm(線速度=8m/
秒,周波数10MHz)でやはり十分なC/Nが得られ
た。
【0076】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、再生レーザー照射により生ずる温度分布
を利用して、初期化状態を維持する部分、記録保持層の
情報が転写される部分、再生磁界方向に磁化の向きが揃
えられる部分をレンズ視野内に生ぜしめているので、レ
ンズ視野内を光学的にマスクしたのと等価な状態とする
ことができ、線記録密度やトラック密度を大幅に向上す
ることが可能である。
【0077】また、再生パワーが変動しても記録保持層
の情報が転写される領域が縮小あるいは拡大することが
なく、再生時の周波数特性も良好なものとすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光磁気記録媒体の構成例を示す要部概略断面図
である。
【図2】光磁気再生装置の一例を模式的に示す概略斜視
図である。
【図3】3層構造の光磁気記録媒体における信号記録後
の磁化状態を示す模式図である。
【図4】3層構造の光磁気記録媒体における初期化中の
磁化状態を示す模式図である。
【図5】再生時のレーザー照射による温度プロファイル
並びに再生時の磁化状態を示す模式図である。
【図6】再生パワーが小さい場合のレンズ視野内での領
域区分状態を示す模式図である。
【図7】再生パワーが大きい場合のレンズ視野内での領
域区分状態を示す模式図である。
【図8】4層構造の光磁気記録媒体における信号記録後
の磁化状態を示す模式図である。
【図9】4層構造の光磁気記録媒体における初期化中の
磁化状態を示す模式図である。
【図10】4層構造の光磁気記録媒体における初期化後
の磁化状態を示す模式図である。
【図11】再生時のレーザー照射による温度プロファイ
ル並びに再生時の磁化状態を示す模式図である。
【図12】4層構造の光磁気記録媒体における再生補助
層の膜厚によるC/Nの変化を示す特性図である。
【図13】4層構造の光磁気記録媒体における中間層の
組成によるC/Nの変化を示す特性図である。
【図14】4層構造の光磁気記録媒体における再生補助
層の組成によるC/Nの変化を示す特性図である。
【図15】本発明を適用した実施例におけるC/Nの周
波数特性を再生時の領域を初期化部分と転写部分のみと
する信号再生方法のそれと比べて示す特性図である。
【符号の説明】
1 光磁気記録媒体、2 透明基板、3 再生層、4
中間層、5 記録保持層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも磁気的に結合された再生層、
    中間層及び記録保持層を有してなる多層膜を有し、記録
    保持層にデータが記録され、再生層は記録保持層の磁化
    の向きとは独立に一方向に磁化が揃えられ初期化状態と
    されていることを特徴とする光磁気記録媒体の信号再生
    方法において、 前記再生層側からレーザー光を照射し、このレーザー照
    射によって生ずる温度分布により、レーザービーム径内
    の再生層に、初期化状態を維持する第1の部分と、記録
    保持層の磁区パターンが転写される第2の部分と、中間
    層のキュリー温度近傍温度まで上昇し中間層の磁化によ
    る交換結合力をほとんど受けない第3の部分を生じさせ
    るステップと、 前記記録保持層の磁区パターンが転写された部分の磁化
    信号を磁気光学効果により光学信号に変換して読み出す
    ステップを有することを特徴とする光磁気記録媒体にお
    ける信号再生方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも磁気的に結合された再生層、
    中間層及び記録保持層を有してなる多層膜を有し、記録
    保持層にデータが記録され、再生層は記録保持層の磁化
    の向きとは独立に一方向に磁化が揃えられ初期化状態と
    されていることを特徴とする光磁気記録媒体の信号再生
    方法において、 再生用レーザー光の照射パワーは、このレーザー照射に
    よって生ずる温度分布により、レーザービーム径内の再
    生層に、初期化状態を維持する第1の部分と、記録保持
    層の磁区パターンが転写される第2の部分と、中間層の
    キュリー温度近傍温度まで上昇し中間層の磁化による交
    換結合力をほとんど受けない第3の部分が生成されるよ
    うに調整されていることを特徴とする光磁気記録媒体に
    おける信号再生方法。
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