JP3328215B2 - 残留塩素測定装置 - Google Patents

残留塩素測定装置

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JP3328215B2 JP10584199A JP10584199A JP3328215B2 JP 3328215 B2 JP3328215 B2 JP 3328215B2 JP 10584199 A JP10584199 A JP 10584199A JP 10584199 A JP10584199 A JP 10584199A JP 3328215 B2 JP3328215 B2 JP 3328215B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水道水、プール
水、海水、その他の液体に、消毒等のために注入されて
液中に残っている残留塩素を測定する残留塩素測定装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、浄水場やスイミングプールにお
いては、消毒のために処理水に塩素が注入される。ま
た、電力、化学、製鉄や遠洋航海漁業などの各産業にお
いても、冷却水や洗浄水の水路に生物繁殖防止のため塩
素の注入がなされている。このような場合、用水の残留
塩素濃度を監視することが、水質管理上の要点になって
おり、特に後者の用途の場合は、0.1mg/リットル
以下の極微小濃度を正確に把握したいという要求がでて
くる。
【0003】水中の残留塩素濃度を測定する従来技術と
しては、白金(検出電極、指示電極ともいう)と銀−塩
化銀(比較電極、参照電極、あるいは対極ともいう)、
金と銅などの組合せ電極により、塩素の還元電流値を測
定することにより、残留塩素量を測定するタイプのもの
が主流である。この技術は、検出電極表面上で生ずる酸
化還元反応に伴う電流が残留塩素量に対応するという現
象を利用したものであり、両電極を含む電気閉回路に挿
入した抵抗によって上記電流を電圧に変換することで残
留塩素量を求めるようにしている。
【0004】このような技術のうち、ガルバニ電池方式
と呼ばれる残留塩素測定装置があるが、この方式の測定
装置は、検出電極に外部から電圧を印加しないため、ア
ンモニア等の水中成分と塩素とが反応して生成したクロ
ラミンや、用水中に必然的に含まれる溶存酸素の還元電
流が塩素の還元電流と重複して検出され、そのため検出
限界が高まってしまう欠点を有している。また、電圧無
印加のため、白金を検出電極とした場合には、結晶性に
乏しい酸化白金が1〜2原子層形成されるといわれ、検
出感度の低下が著しいという欠点もある。
【0005】一方、測定対象物質を限定するために、比
較電極の電位より高い1V以内程度の電圧を検出電極に
印加するポーラロ方式の残留塩素測定装置も知られてい
る。この方式の測定装置は、次の原理で残留塩素濃度を
測定する。即ち、電極間に外部から積極的に電圧を印加
した場合においても還元電流は生ずる。この場合に生ず
る電流を還元ポーラロ電流というが、この場合、印加電
圧を変えたときの電流値は、残留塩素が同濃度であって
も当然のことながら変わってくる。しかし、一定の印加
電圧にしておけば、ポーラロ電流は残留塩素濃度に比例
するので、このポーラロ電流を測定することによって、
残留塩素量を求めることができる。ここで、水中に溶存
する物質には、残留塩素のほかに、還元電流を左右する
意味ではこれと同列にあげられるモノクロラミン(NH
2 Cl)や溶存酸素等も考えられる。しかし、これらの
溶存物質に基づく還元ポーラロ電流は、電極に印加され
る電圧をある特定の領域に設定しないと生じず、その領
域範囲が互いに異なる。従って、この印加電圧を特定の
範囲に設定することにより、測定対象物質を限定し、例
えばモノクロラミン(NH2 Cl)や溶存酸素等が共存
する検水であっても、残留塩素のみの含有量を測定する
ことが可能となる。
【0006】ところで、このポーラロ方式の残留塩素測
定装置では、白金電極表面の酸化膜形成が進行するた
め、ガルバニ電池方式よりも感度低下が著しいという問
題がある。
【0007】そこで、酸化膜形成による感度低下を防ぐ
ために、電極をビーズで機械的に研磨したり、秒あるい
は分の周期で逆極性電圧を検出電極に一時的に印加する
ことにより、電極に付着した酸化膜を電気的に還元溶出
させたりする方法が開発されている(特開平10−82
761号公報参照)。あるいは、検出電極の表面への酸
化膜形成や濁質による汚染を少なくするために、四フッ
化エチレン膜等の高分子隔膜やメンブランフィルタ等に
よって検出電極を保護する方式も検討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ビーズで機械
的に研磨する方式は、構造が複雑化するという問題があ
る。また、秒または分の周期で逆電圧を検出電極に印加
する方式は、逆電圧印加後の還元電流値が定常状態にな
るまで、残留塩素測定ができないという難点がある。ま
た、隔膜やフィルタで検出電極を保護する方式は、1原
子層程度の酸化膜の形成についてはこれを阻止すること
はできず、あまり有効な方法とは認められない。
【0009】本発明は、上記事情を考慮し、検出電極に
形成された酸化膜を機械的に除去したり、電気的に還元
溶出させたりするのではなく、最初から酸化膜が検出電
極表面に形成されないようにすることのできる残留塩素
測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、測定
対象液体に接触させたときに該液体に含有される残留塩
素量に依存して酸化還元電位が変化する検出電極と、前
記液体に含有される残留塩素量に依存せずに定電位を示
す比較電極とを有し、前記検出電極と比較電極とを含む
電気回路において前記測定対象液体に含有される残留塩
素量に依存して変化する電気的量を測定することによっ
て前記測定対象液体に含有される残留塩素量を求める残
留塩素測定装置において、前記比較電極の電位を基準に
して極大・極小値が±0.8V以内の正・負の電位とな
る一定周期の交流電圧を前記検出電極に印加する交流電
圧印加手段と、前記電気回路において前記測定対象液体
に含有される残留塩素量に依存して変化する電気的量を
平均化する平均化手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】酸化膜は、検出電極の電位が一定で、溶存
酸素の還元が起きにくい検出電極電位において形成され
やすく、いったん形成されると、次第に電極金属の内部
まで進行する。
【0012】そこで、請求項1の発明では、比較電極の
電位を基準にして極大・極小値が±0.8V以内の正・
負の電位となる一定周期の交流電圧を検出電極に印加す
ることにより、酸化膜が形成されやすい条件を回避して
いる。ここで、±0.8V以内の交流電圧を印加する根
拠について簡単に説明する。
【0013】一般に遊離残留塩素1mg/リットルを含
む用水の酸化還元電位は+0.8V程度であり、酸化電
位領域にある。従って、+0.8Vを超える正(プラ
ス)電位を検出電極に印加すると、残留塩素の還元電流
が検出されないばかりか、逆反応である酸化電解反応が
起きる可能性がある。一方、−0.8Vを超える負(マ
イナス)電位を検出電極に印加すると、過酸化水素が分
解して酸素が発生するごとく一般的な化学反応と、過酸
化水素が還元されて水酸化物イオンが生じる電気化学反
応とが起き、還元電流値が安定しないという現象が生じ
る可能性がある。つまり、還元電流値を検出して溶存成
分濃度を測定するという本案の前提が、−0.8Vを超
えるマイナス電圧印加では崩れてしまうおそれがある。
それ故に、本発明では、前述の条件と合わせて、±0.
8V以内の交流電圧を印加するようにしているのであ
る。
【0014】この場合、酸化膜の形成を阻止するために
は、検出電極の電位を商用電源の周波数(関西地区で6
0Hz、関東地区で50Hz)以上の周波数で変動させ
るのが望ましい(請求項3)。
【0015】また、通常の用水の水質では静電気的に負
(マイナス)の帯電をしている濁質を、検出電極に交流
電圧を印加することで、検出電極に接近させないように
している。つまり、プラス電圧印加ではマイナス帯電の
濁質が検出電極に静電気吸着されやすいが、マイナス電
圧に切り換わることで、反発力により検出電極にマイナ
ス帯電の濁質が付着しないようにしている。検出電極に
対する交流電圧の印加により、これが一定周期毎に行わ
れるので、濁質の付着が有効に防止される。
【0016】このように交流電圧を印加することで、電
気回路中において残留塩素量に依存して変化する電気的
量(具体例は還元電流)も周期的に変化するようにな
る。そこで、本発明では、この周期的に変化する電気的
量を平均化することで残留塩素量を求めるようにしてい
る。
【0017】従って、検出電極への酸化膜の形成や濁質
の付着を事前に防止することができて、連続的に残留塩
素量を測定することができる。また、ビーズ等で機械的
に酸化膜等を除去する必要がなくなるので、構成が簡単
になる。
【0018】請求項2の発明は、請求項1における前記
検出電極として第1及び第2の2つの検出電極を設け、
前記交流電圧印加手段として前記第1及び第2の検出電
極にそれぞれ概略矩形波状の異なる交流電圧を印加し得
る交流電圧印加手段を設け、更に、前記第1及び第2の
検出電極のそれぞれと前記比較電極とを含む2つの電気
回路を流れる各電流に対応する電気的量をそれぞれ平均
化して測定する測定手段と、前記2つの電気回路に流れ
る各電流に対応する電気的量の平均値のそれぞれの増幅
後の値の差を求める差測定手段とを設けたことを特徴と
する。
【0019】この場合、具体的には、第1の電気回路の
印加電圧の大きさを、該回路を流れる電流が主として測
定対象液体に含有される残留塩素量に依存して変化する
ような領域の値に設定する。また、第2の電気回路の印
加電圧の大きさを、該回路を流れる電流が主として測定
対象液体に含有される残留塩素以外の残余の含有物質に
依存する残余の電流になる領域の値に設定する。そし
て、2つの電気回路に流れる各電流に対応する電気的量
の平均値のそれぞれの増幅後の値の差を求めることによ
り、残留塩素以外の物質による還元電流を相殺して、測
定対象液体に含有される残留塩素量のみを求めることが
できる。
【0020】つまり、電圧印加条件の異なる2つの検出
電極を設けて、干渉物質の還元電流信号を相殺すること
により、遊離残留塩素と共存するクロラミン類(結合残
留塩素)や溶存酸素の干渉作用をなくすことができ、残
留塩素量のみを求めることができる。
【0021】その場合、第1の検出電極には電圧絶対値
においてプラス電圧が大きくマイナス電圧が小さい概略
矩形波の交流電圧を印加し、第2の検出電極には電圧絶
対値においてプラス電圧が小さくマイナス電圧が大きい
概略矩形波の交流電圧を印加するのが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
形態を説明する。図1は実施形態の残留塩素測定装置の
概略構成図である。図1において、符号1は交流電源で
あり、該交流電源としては、AC100VまたはAC2
00Vの商用交流電源が用いられている。2は電圧降下
用のトランスであり、このトランス2の二次側に、電圧
調整した交流電圧を検出電極13と比較電極14の間に
印加する交流電圧印加手段30が接続されている。
【0023】前記検出電極13は、測定対象液体に接触
させたときに該液体に含有される残留塩素量に依存して
酸化還元電位が変化する金属、例えば白金よりなる。ま
た、比較電極14は、前記液体に含有される残留塩素量
に依存せずに定電位を示す金属、例えば銀−塩化銀より
なる。上記の特性を満足するものであれば、他の金属材
料よりなる電極の組み合わせでもよい。
【0024】前記交流電圧印加手段30を含む図示の電
気回路は、定電流ダイオード4とツェナーダイオード6
により過電圧をクリップすると共に、正電圧側と負電圧
側でクリップ電圧をそれぞれトリマ(可変抵抗器よりな
る微小調整器)8で調整できるようにしたものである。
ここで、整流ダイオード3、7は逆電流阻止のために設
けてある。
【0025】この回路において、トランス2により降圧
された正方向電流は、2つの整流ダイオード3のうち上
側の整流ダイオード3aを通って、定電流ダイオード4
aで定電流化され、ツェナーダイオード6aとトリマ8
とに分流する。トリマ8の両端の電圧がツェナーダイオ
ード6aの仕様を超えると、該ダイオード6aは導通
し、定電圧に保つ働きをする。また、負方向電流は、整
流ダイオード7b及びツェナーダイオード6bとトリマ
8とに分流した後、電圧降下抵抗5を経て再度合流し、
定電流ダイオード4b及び整流ダイオード3bを経てト
ランス2に帰還する。
【0026】トリマ8の摺動子の設定により分圧された
電圧は、検出抵抗9を介して検出電極13に印加され
る。交流電圧印加手段30のコモンになるトランス2の
二次側の下端は、比較電極14と接続されている。検出
電極13に印加される矩形波に近い台形をなすクリップ
電圧は、正方向・負方向一対の交流電圧となり、該交流
電圧は、トリマ8の摺動子を動かすことで調節される。
【0027】なお、図1においては、正電圧側より負電
圧側の印加電圧を小さくするため、負電流側回路に、ト
リマ8と直列に電圧降下用の抵抗5を挿入しているが、
印加電圧の大きさを逆にしたい場合は、正電流側回路に
同様の抵抗または可変抵抗を挿入すればよい。
【0028】上記の回路構成により、図2に示すような
概略矩形波の交流電圧が検出電極13に印加される。こ
こでは、20ミリ秒周期すなわち50Hzの交流電圧が
印加される。
【0029】還元電流を電圧変換するための検出抵抗9
には、電流平均化のためのコンデンサ(平均化手段)1
0が並列接続されている。検出抵抗9の両端の配線は増
幅器11に入力されており、増幅器11の出力が外部取
出端子及びメータリレー12に接続され、残留塩素濃度
として表示される。表示値の校正は、試薬法等により増
幅器12に付属するスパン調整トリマ(図示略)によっ
て行う。
【0030】図3は、変動する還元電流の概略波形Bと
印加電圧の概略波形Aを示したものである。交流電圧の
印加により還元電流値は一定にならないが、コンデンサ
10によって平滑化して測定すれば、この平均計測値が
残留塩素濃度に比例した値になる。また、波形のシンク
ロスコープ観察から、単数検出電極法では溶存酸素の還
元電流を若干検出している実態を掌握できる。
【0031】図4は検水流路への残留塩素検出プローブ
の挿入構造を示すものである。プローブ50には、支持
筒51内に前述した検出電極13と比較電極14とを配
置したものである。比較電極14は螺旋状に巻かれた銀
線よりなる。検出電極13は円板状白金よりなり、一部
表面が支持筒51の外部に露出している。支持筒51の
下部には、プローブ50内に検水が侵入して塩橋が構成
されるように、複数の通液孔(図示略)が設けられてい
る。そして、このプローブ50は、検水を検出電極13
に接触させると共に、通液孔を通じて比較電極14にも
接触させることによって、検出電極13と比較電極14
との間に生ずる還元電流を検出することができるように
なっている。
【0032】図4においては、検水の流量を一定にする
仕組が設けられ、検水に流水が衝突するようにプローブ
50が挿入され、プローブ50の挿入方向に対して直角
に流水が通過するようになっている。なお、塩橋の電解
液には、溶存イオン濃度が比較的一定である水道水・プ
ール水・海水が検水の場合、検水そのものを用いること
ができる。そうした場合、規定濃度の塩化カリウム溶液
や電解質ゲルを必ずしも必要としない。
【0033】このようにプローブ50を配置して、検出
電極13に交流電圧を印加することにより、酸化膜が形
成されやすい条件を回避しながら、還元電流を連続的に
検出することができる。また、周期的に検出電極13が
マイナス電位になることで、検出電極13への濁質の付
着も防止することができる。そして、周期的に変動する
還元電流を平均化して電圧に変換して出力することによ
り、精度の良い連続的な残留塩素の測定が可能になる。
【0034】上記実施形態のように、検出電極13に対
し電圧絶対値においてプラス電圧が大きくマイナス電圧
が小さい概略矩形波の交流電圧を印加するのは、プラス
電圧印加(例えば台形波の平滑時間帯)で遊離残留塩素
を主体に検出し、マイナス電圧印加で補助的に電極の酸
化進行を防止するためである。先述したように、これは
逆に設定してもよい。即ち、検出電極13に対し電圧絶
対値においてプラス電圧が小さくマイナス電圧が大きい
概略矩形波の交流電圧を印加するようにしてもよい。そ
の場合は、主体的に電極酸化の進行を確実に阻止するこ
とを目的とする場合である。例えば、遊離残留塩素を測
定対象としないで総残留塩素を測定対象とするような場
合には、極大/極小値が+0.2V/−0.3Vの交流
電圧を印加するように設定する。
【0035】なお、電圧印加条件の異なる2つの検出電
極を設けて、干渉物質の還元電流信号を相殺することに
より、クロラミン類(結合残留塩素)や溶存酸素の影響
を受けずに、残留塩素量のみを求めることもできる。
【0036】即ち、その場合は図5に例示するように、
第1及び第2の2つの検出電極13A、13Bを設け、
交流電圧印加手段として第1及び第2の検出電極13
A、13Bにそれぞれ概略矩形波状の異なる交流電圧を
印加し得る2系統の交流電圧印加手段30A、30Bを
設ける。両方の交流電圧印加手段30A、30Bは、そ
れぞれにトリマ8の摺動子の設定により個別に印加電圧
を変えられるようになっている。
【0037】また、図5の上側の交流電圧印加手段30
Aは、前記実施形態の交流電圧印加手段30と同じもの
であり、正電圧側より負電圧側の印加電圧を小さくする
ために、負電流側回路にトリマ8と直列に電圧降下用の
抵抗5を挿入しているが、図5の下側の交流電圧印加手
段30Bは、正電圧側より負電圧側の印加電圧を大きく
するために、正電流側回路にトリマ8と直列に電圧降下
用の抵抗5を挿入している。これにより、第1の検出電
極13Aには、電圧絶対値においてプラス電圧が大きく
マイナス電圧が小さい概略矩形波の交流電圧が印加さ
れ、第2の検出電極13Bには、電圧絶対値においてプ
ラス電圧が小さくマイナス電圧が大きい概略矩形波の交
流電圧が印加されることになる。
【0038】ここでは、上下の回路に設けた各トリマ8
を調節することにより、一方の交流電圧印加手段30A
(または30B)の印加電圧の大きさを、該手段側の回
路を流れる電流が主として測定対象液体に含有する残留
塩素量に依存して変化するような領域の値に設定する。
また、他方の交流電圧印加手段30B(または30A)
の印加電圧の大きさを、該手段側の回路を流れる電流が
主として測定対象液体に含有する残留塩素以外の残余の
含有物質に依存する残余の電流になる領域の値に設定す
る。
【0039】更に、第1及び第2の検出電極13A、1
3Bのそれぞれと比較電極14とを含む2つの電気回路
を流れる還元電流を電圧に変換する検出抵抗9A、9B
にそれぞれコンデンサ10A、10Bを並列接続し、出
力の周期変動を平均化するように構成し、2つの電気回
路にそれぞれ流れる各還元電流の平均値に対応する電圧
の増幅後の値の差を示差電圧増幅器11Aで求め、その
差を残留塩素量として表示したり出力したりする。
【0040】例えば、第1の検出電極13Aには極大・
極小値が+450〜−350mV程度の交流電圧を印加
し、第2の検出電極13Bにはこれよりもさらに+50
〜−400mV程度幅の大きい交流電圧を印加する。こ
の場合、極大・極小値+450〜−350mVの交流電
圧が印加された第1の検出電極13Aによれば、遊離残
留塩素の含有量に依存して還元ポーラロ電流が変化する
が、遊離残留塩素と還元特性を異にするモノクロラミン
(NH2 Cl)や溶存酸素等の他の溶存物質に基づく還
元ポーラロ電流が大きく生じることはない。即ち、第1
の検出電極13Aを介して生ずる電流は、仮に検水中に
遊離残留塩素のほかにモノクロラミンや溶存酸素等の他
の溶存物質が含有されていたとしても、これらの成分に
左右されることなく、残留塩素量にほぼ対応した値を示
すことになる。ただし、この電流には「残余電流」と呼
ばれる対象物質不明の酸化還元電流や電気回路の「暗電
流」も含まれている可能性がある。
【0041】一方、極大・極小値が+50〜−400m
V程度の交流電圧が印加された第2の検出電極13Bに
よれば、遊離残留塩素はもとより、モノクロラミンや溶
存酸素の還元電流が重複し、しかも検出電極13Aより
も高感度で検出される。さらに、「残余電流」及び「暗
電流」と称される帰属不明な電流や酸化被膜物質なdの
還元電流も該電極13Aより大きくなる。
【0042】従って、第1の検出電極13Aを含む回路
中を流れる電流と、第2の検出電極13Bを含む回路中
を流れる電流それぞれの増幅後の差は、第1の検出電極
13Aの増幅信号から遊離残留塩素以外の成分を主体と
する還元電流信号を縮小して差し引いたものとなる。こ
の演算で、遊離残留塩素濃度に比例する還元電流信号は
若干小さくなるが、遊離残留塩素以外の成分に起因する
干渉信号を相殺することができるために、示差電圧増幅
器11Aが内蔵する2段目の増幅器によって、「遊離残
留塩素濃度」に限定した測定値として校正ができる。な
お、校正は、前述した単数電極方式と同様に、試薬法等
によって2段目増幅器のスパン調整によって行う。
【0043】なお、実際には、印加電圧に応じて「残余
電流」等も変化するので、示差電圧増幅器11Aを、そ
れぞれの増幅率が調節できるように構成することによっ
て、残留塩素が皆無の指示値がゼロになるようにゼロ調
整を行って測定する。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
検出電極に一定周期の交流電圧(例えば商用電源の周波
数以上の交流電圧)を印加するようにしたことにより、
検出電極に対する酸化膜の形成や濁質の付着を回避しな
がら、感度低下を来さずに、連続的に残留塩素量を測定
することができる。また、秒または分周期という長周期
の電気的洗浄機構や研磨等の機械的洗浄機構が不要にな
り、安価で簡素な構成を実現できる。
【0045】また、干渉物質の還元電流値を相殺できる
ように検出電極を追加し、示差電圧増幅器等の差測定手
段によって共存物の影響を除去しながら測定できるよう
にした場合は、より微少濃度の残留塩素を測定すること
も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の残留塩素測定装置を示す概
略構成図である。
【図2】上記測定装置で検出電極に印加する電圧の波形
を示す図である。
【図3】上記測定装置における印加電圧と還元電流の各
波形を示す図である。
【図4】上記測定装置のプローブの配置構造を示す概略
図である。
【図5】本発明の他の実施形態の残留塩素測定装置を示
す概略構成図である。
【符号の説明】
1 交流電源 2 トランス 3,3a,3b 整流ダイオード 4,4a,4b 定電流ダイオード 5 抵抗 6,6a,6b ツェナーダイオード 7,7a,7b 整流ダイオード 8 トリマ 9,9A,9B 検出抵抗 10 コンデンサ(平均化手段) 11 増幅器 11A 示差電圧増幅器 12 メータリレー 13,13A,13B 検出電極 14 比較電極 30,30A,30B 交流電圧印加手段

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象液体に接触させたときに該液体
    に含有される残留塩素量に依存して酸化還元電位が変化
    する検出電極と、前記液体に含有される残留塩素量に依
    存せずに定電位を示す比較電極とを有し、前記検出電極
    と比較電極とを含む電気回路において前記測定対象液体
    に含有される残留塩素量に依存して変化する電気的量を
    測定することによって前記測定対象液体に含有される残
    留塩素量を求める残留塩素測定装置において、 前記比較電極の電位を基準にして極大・極小値が±0.
    8V以内の正・負の電位となる一定周期の交流電圧を前
    記検出電極に印加する交流電圧印加手段と、前記電気回
    路において前記測定対象液体に含有される残留塩素量に
    依存して変化する電気的量を平均化する平均化手段とを
    備えていることを特徴とする残留塩素測定装置。
  2. 【請求項2】 前記検出電極として第1及び第2の2つ
    の検出電極を設け、前記交流電圧印加手段として前記第
    1及び第2の検出電極にそれぞれ概略矩形波状の異なる
    交流電圧を印加し得る交流電圧印加手段を設け、更に、
    前記第1及び第2の検出電極のそれぞれと前記比較電極
    とを含む2つの電気回路を流れる各電流に対応する電気
    的量をそれぞれ平均化して測定する測定手段と、前記2
    つの電気回路に流れる各電流に対応する電気的量の平均
    値のそれぞれの増幅後の値の差を求める差測定手段とを
    設けたことを特徴とする請求項1記載の残留塩素測定装
    置。
  3. 【請求項3】 前記検出電極に印加する交流電圧の周波
    数を、商用電源の周波数と同じか、それより高く設定し
    たことを特徴とする請求項1または2記載の残留塩素測
    定装置。
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