JP3327906B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP3327906B2
JP3327906B2 JP2000293026A JP2000293026A JP3327906B2 JP 3327906 B2 JP3327906 B2 JP 3327906B2 JP 2000293026 A JP2000293026 A JP 2000293026A JP 2000293026 A JP2000293026 A JP 2000293026A JP 3327906 B2 JP3327906 B2 JP 3327906B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式により記録され
る画像の品位を左右する主な要因として、記録ヘッドか
ら吐出されるインク滴の量および被記録媒体上における
インク滴の着弾位置がある。
【0003】すなわち、所定量のインク滴が吐出されな
い場合には、被記録媒体上に形成されるドットの大きさ
が変化し記録画像に濃度むらを生じることがある。この
ような吐出インク滴の量を変化させる原因の一つとし
て、インクのリフィル速度を挙げることができる。
【0004】あるインク吐出口からインクを吐出し、次
にその吐出口からインクを吐出するときには、インク供
給がなされてその吐出口に対する所定位置までインクが
復帰している必要がある。このような、正常吐出が可能
な所定位置までのインクの復帰、すなわちリフィルが、
次の吐出まで充分になされていない場合には、その吐出
の際の吐出インク量の不足等、正常なインク吐出が得ら
れない。従って、リフィル周波数はそのヘッドの吐出周
波数より速い必要がある。
【0005】一方、吐出されたインク滴の着弾位置がず
れると、記録画像にスジ等を生じ画質が劣化する。この
ような着弾位置のずれは、上述したリフィルが良好にな
されない場合にもインク吐出方向が偏向するなどして生
じ得るものであるが、記録ヘッドを走査させながら記録
を行う、いわゆるシリアル方式の記録装置において、こ
の方式に起因して生じることがある。例えば、シリアル
方式において記録ヘッド走査の両方向で記録を行う場
合、往路記録時と復路記録時における記録ヘッドの予じ
め定めた相対的な記録位置のずれ量が変化すると、往路
記録時と復路記録時とで吐出インク滴の着弾位置が相互
にずれることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したリ
フィルの性能は、その装置の使用環境温度、さらに詳し
くは、インク自身の温度によって変化することがある。
また、インクタンク一体型の記録ヘッドにおいては、イ
ンクタンク内のインクを外部へ漏洩させないためにスポ
ンジ等のインク保持部材等を使用することがあり、この
ような構成では、リフィル性能がインク残量によっても
顕著に変化することがある。
【0007】例えば、使用環境温度が低い場合にはイン
ク自身の粘性が増加し、これにより共通液室やインク路
へのリフィルの際のインクの流れが抵抗を受け、リフィ
ル周波数が低下する。このようなリフィル周波数の低下
を防止するため吐出に利用されるエネルギーを発生する
素子の近傍にヒーターを設ける等により共通液室やイン
ク路の近傍を局部的に温める構成があるが、インク路部
分のリフィル性能は向上して適正なインク量が吐出可能
な状態となっても、インクタンク内のインク粘度は高い
ままなのでインクタンク内を流動するインクの流動抵抗
は変わらない。その結果、インク路に対するインクタン
クからのインクの供給が間に合わなくなる等の問題が生
じることがある。
【0008】また、インクタンクのインク残量が減少す
ると、共通液室やインク路の水頭圧が相対的に上昇して
インク供給のために十分な圧力差が確保されずリフィル
性能の低下を生じ、記録ヘッドの吐出周波数にリフィル
が追従できないことがある。
【0009】また、上述したような記録ヘッドの走査に
起因した記録位置のずれは、記録装置の環境温度や記録
装置自身の温度が変化することによって、記録ヘッド移
動に必要な駆動負荷が変化したり、記録ヘッド移動の駆
動モータ(一般にステッピングモータが使用される)の
出力トルクが変化したり、また上記温度変化により駆動
部材の寸法が変化することによって生じる。その結果、
上記往路記録時と復路記録時のずれ量が変化し、記録ヘ
ッドから吐出されるインク滴の着弾位置がずれることが
ある。
【0010】以上説明したように、従来のインクジェッ
ト記録装置にあっては、装置各部の温度やインクタンク
のインク残量に応じた適切な制御が十分になされていな
かったため、正常でないインクの吐出や着弾位置のずれ
などを生じ、記録画像の品位を低下させることがあっ
た。
【0011】本発明は、上記従来の問題を解消するため
になされたものであり、その目的とするところは、記録
装置の雰囲気温度に応じて適切な吐出タイミング制御を
行うことにより、往復記録における吐出インクの着弾位
置のずれを解消し、記録画像の品位低下を防止すること
が可能なインクジェット記録装置を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
インクを吐出するための記録ヘッドを用い、該記録ヘッ
ドから被記録媒体にインクを吐出させて記録を行うイン
クジェット記録装置において、前記記録ヘッドを前記被
記録媒体に対向させながら移動させる移動手段と、該移
動手段による前記記録ヘッドの往復移動の間に、該移動
手段を駆動させるための駆動タイミングに基づいて当該
記録ヘッドからインクを吐出させて往復記録を行わせる
往復記録手段と、前記移動手段による前記記録ヘッドの
移動速度を検知する速度検知手段と、当該インクジェッ
ト記録装置の略中央に配設された温度検知手段と、前記
速度検知手段が検知する移動速度および前記温度検知手
段が検知する装置温度に基づいて、前記往記録時と前記
復記録時それぞれにおける前記記録ヘッドの吐出タイミ
ングを変化させる吐出制御手段と、を具えたことを特徴
とする。
【0013】
【作用】以上の構成によれば、記録ヘッドを往復移動さ
せて記録を行なう場合に、記録ヘッドの移動速度および
その移動の際の、装置中央部に配設された検知手段によ
り検知される雰囲気温度に基づいて、当該移動のための
駆動タイミングに基づいた、往記録時と復記録時それぞ
れにおける記録ヘッドの吐出タイミングを変化させるの
で、上記移動速度や雰囲気温度によって変化する、記録
方向による吐出インクの着弾位置ずれに応じてその位置
ずれを少なくすることができる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。 (第1参考例)図1は、本発明の一参考例にかかるイン
クジェット記録装置を示す斜視図である。ヘッドカート
リッジ1は、インクジェット記録ヘッドとインクタンク
とを一体に有したヘッドカートリッジであり、キャリッ
ジ2に対して着脱自在に装着される。キャリッジ2は、
これを搭載して図中S方向に走査する。ヘッドカートリ
ッジ1は、フック3によってキャリッジ2に固定され、
フック3は、レバー4によって操作される。支持板5
は、キャリッジ2上に設けられ、ヘッドカートリッジ1
の装着によってその電気接続部を接続する電気接続部を
支持する。フレキシブル配線ケーブル6は、上記電気接
続部と本体制御部とを接続するために設けられる。ガイ
ド軸7は、キャリッジ2をS方向に案内するものであ
り、キャリッジ2の軸受け8に挿通されている。タイミ
ングベルト9は、その一部がキャリッジ2に連結しこれ
をS方向に移動させるための動力を伝達するよう設けら
れ、装置両側部に配置されたプーリ10A,10Bに張
架されている。一方のプーリ10Bには、ギヤ等の伝達
機構を介してキャリッジモータ11より駆動力が伝達さ
れる。
【0015】搬送ローラ12は、記録用紙等の被記録媒
体の記録面を規制するとともに記録等に際してこれを搬
送し、搬送モータ13によって駆動される。ペーパーパ
ン14は、被記録媒体を記録位置に導きピンチローラ1
5は、被記録媒体の送給経路途中に配設されて被記録媒
体を搬送ローラ12にむけて押圧する。プラテン16
は、ヘッドカートリッジ1の吐出口に対向し被記録媒体
の記録面を規制する。排紙ローラ17は、被記録媒体の
搬送方向において記録位置より下流側に配置され、被記
録媒体を図示しない排紙口へ向けて排紙するものであ
り、拍車18は、このとき排紙ローラ17に対応して設
けられ、被記録媒体を介して排紙ローラ17を押圧し、
排紙ローラ17の搬送力を生じさせる。19は記録媒体
のセット等に際してピンチローラ15,拍車18それぞ
れの付勢を解除するための解除レバーである。
【0016】プラテン16は、両端を排紙ローラ17の
軸で回転可能に支持され、左右プレート20の停止位置
から装置前方に付勢され、搬送ローラ12を最外周より
小さくしている部分12Aに対応して複数箇所設けられ
ている当接部16Aを紙押え板21の内側に接してい
る。
【0017】キャップ22はホームポジションにおいて
記録ヘッドの吐出口形成面と対向し、ゴム等の弾性材料
で形成され、記録ヘッドに対し当接/離脱が可能に支持
されている。このキャップ22は、非記録時等の記録ヘ
ッドの保護や、記録ヘッドの吐出回復処理に際して用い
られる。
【0018】吐出回復処理とは、キャップ22を上記吐
出口形成面に対向させ、インク吐出口内方に設けられて
インク吐出のために利用されるエネルギーを発生するエ
ネルギー発生素子を駆動することにより全吐出口からイ
ンクを吐出させ、これによって気泡や塵埃、あるいは、
増粘して記録に適さなくなったインクといった吐出不良
要因を除去する処理(予備吐出)や、これとは別に吐出
口形成面をキャップ22で覆った状態で吐出口よりイン
クを強制的に排出させることにより吐出不良要因を除去
する処理である。
【0019】23は、インクの強制排出のために吸引力
を作用するとともに、かかる強制排出による吐出回復処
理や予備吐出による吐出回復処理に際してキャップ22
に受容されたインクを吸引するために用いられるポンプ
である。24はこのポンプ23によって吸引された廃イ
ンクを貯留するための廃インクタンクである。廃インク
タンク24は、28のチューブによりポンプ23と接続
されている。
【0020】ブレード25は、記録ヘッドの吐出口形成
面のワイピングを行なうために設けられ、記録ヘッド側
に突出してキャリッジ移動の過程でワイピングを行なう
位置と吐出口形成面に係合しない後退位置とに移動可能
に支持されている。26はモータ、27は、モータ26
から動力の伝達を受けてポンプ23の駆動およびキャッ
プ22やブレード25の移動をそれぞれ行なわせるため
のカム装置である。
【0021】図2は、上記ヘッドカートリッジの構成を
模式的に表わしたものである。
【0022】図2において、記録ヘッドには64個の吐
出口29が配設される。共通液室30はそれぞれのイン
ク路に供給すべきインクを一時的に蓄え、チップタンク
31は、インクタンク部と共通液室30とを連結する管
である。32は、インクタンク内に設けられたスポンジ
であり、インクが漏れ出さないようにこれによって保持
されている。フィルタ33は、チップタンク31の一端
に設けられて、その内部への気泡やごみ等の侵入を防止
する吐出口29に連通したインク路内に設けられる図示
しない熱エネルギー発生素子に通電すると、そのインク
路内に発生する気泡によって、吐出口29からインクが
吐出する。
【0023】上記インクタンク内には温度センサ34が
設けられ、インクタンク内の温度変化に応じた電圧を出
力する。温度センサ34は、公知のサーミスタにより構
成され、インクタンク内のスポンジ32に保持されてい
るインクによって温度検出部や電気接点が腐食等されな
いようにインクから隔離され、または腐食されないよう
な材料によって構成等されてインクタンク内のインク温
度を検出できるように設けられている。温度センサ34
からの出力信号は、ヘッドカートリッジ1の上記電気的
接続部およびフレキシブル配線ケーブル6を通じ、また
所定の信号増幅回路等を経て後述のMPUに入力され
る。
【0024】図3は、図1に示したインクジェット記録
装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0025】キャリッジ2のキャップ位置や移動位置
は、回復系ホームセンサ35やキャリッジホームセンサ
36の検出に基づいて知ることができる構成となってい
る。同図において1000は、あらかじめ設定されたプ
ログラム等の制御手順を実行して各部を制御するMP
U、1001は、その制御手段に対応したプログラム等
を格納したROMであり、1002は、制御手順実行時
におけるワークエリヤとして用いられるRAMである。
1003は制御実行上等の時間計測を行なうタイマであ
る。
【0026】次に、上述した本参考例に係る記録ヘッド
の吐出のためのエネルギー発生素子の駆動方法について
説明する。
【0027】図4は、第1の駆動モードである、エネル
ギー発生素子の通電タイミングを表わす図である。
【0028】このエネルギー発生素子は、例えば電気熱
変換素子(以下、ヒータともいう)であって、64個の
吐出口それぞれに対応して設けられる64個のヒータに
は、同時には通電しない。すなわち、最大電流を低く押
えるために8個づつ8回に分けて通電する。さらに詳し
く説明すると、64個の吐出口をa〜hの8ブロックに
分け、ブロックaから順に7μ秒づつ、ヒータを記録信
号に応じて選択的に駆動し、間に8μ秒の通電しない時
間をおく。記録速度は例えば64cps(キャラクタ毎
秒)であり、吐出周波数は3072HZ、即ち48ドッ
ト×64cpsなので連続吐出時のあるドットのヒート
間隔Aは、おおよそ326μ秒即ち1/3072HZで
ある。連続吐出を行なう際には、吐出後に行なわれるリ
フィルが、例えばこの326μ秒の駆動周期内に完了す
る必要がある。また、このヒート間隔AはMPU100
0からの指示により可変に設定可能となるように構成さ
れている。
【0029】図5は、本参考例の第2の駆動モードを説
明するヒーターの通電タイミングを表わす図である。
【0030】この駆動モードは、本願人の先の提案によ
るシフト駆動方法であって、64個の吐出口の8個のブ
ロックの分け方を、図に示すように、偶数番,奇数番の
吐出口毎のブロックとするa,c,eおよびgとb,
d,fおよびhとをまとめて交互に加熱するようにする
ものである。これにより、図6に示すように、1吐出口
おきに1/720inchずらしたドットマトリックス
を記録出来る。
【0031】図7は、このドットマトリックスに従って
印刷を行なった1例を示し、ドット径を約120μmと
したものである。図5においてa,c,e,gはこの順
に7μ秒づつ、間に8μ秒の通電しない時間をおき、5
2μ秒でこのグループの吐出を完了する。次に通電しな
い時間B1をはさみb,d,f,hのグループも同様に
吐出する。全ドットのヒート間隔Bは、図4に示すモー
ドと同様MPU1000の指示により可変とすることが
できる。この駆動方法に依れば、図4の第1の駆動モー
ドと比較し、単位時間あたりのインク供給量が少なくて
済み、他の吐出口での吐出による反動波によるリフィル
が促進され、インク吐出後のリフィル時間の短縮をはか
ることができる。
【0032】図8は、以上説明した記録装置における記
録印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【0033】例えば、記録装置の電源がオンされ記録命
令があると(ステップS101)、回復系モータ26が
動作し回復系ユニットを回復系ホームポジションに設定
しキャップ22を後退させた後、キャリッジ2をホーム
位置に設定する。この後キャップ22を再び記録ヘッド
の吐出口部に当接させ記録データの信号を待機する。以
上の記録開始にかかる一連の処理(ステップS102)
を終了し、記録データの信号が入力されてくると、搬送
モータ13を動作させ給紙を開始して給紙された紙等の
被記録媒体を所望の記録先頭位置まで搬送し、この後キ
ャップ22を後退させて記録ヘッドの吐出口部から離脱
させた後(ステップS103)、キャリッジ2をホーム
ポジションに設定後所定の予備吐出を実施し(ステップ
S104)、所望される記録開始位置までキャリヤを移
動する(ステップS105)。次に、記録ヘッド内に設
けられたインク温度センサ34によりインク温度の検出
を行なう(ステップS106)。検出されたインク温度
に応じて、MPU1000は、図9に示す駆動方法選定
テーブルの参照を行ない(ステップS107,S10
8,S109)、駆動方法を決定し、一行分の記録を行
なう(ステップS110)。上記予備吐出は、上述のよ
うに、記録実施の直前に行なわれ、さらには、記録中で
あっても前回の予備吐出から所定の時間T秒経過してい
れば(ステップS112)、キャリッジ2は再びホーム
ポジションに移動され(ステップS114)、予備吐出
が実施される(ステップS115)。このとき、次行の
記録データの信号が入力されていれば再びインク温度の
検出が行なわれ記録動作が続行される。記録の終了信号
が入力されてくると回復系モータ26が動作しブレード
25を記録ヘッド側へ前進させて記録ヘッドの吐出口部
と当接可能な位置に設定し、キャリッジ2の移動に伴な
ってワイピング動作が実施される。その後キャリッジ2
は、キャップ22と当接可能位置に設定されキャップ2
2が前進しキャッピングされ一連の記録動作が終了する
(ステップS116)。
【0034】次に、図9に示す上記印刷動作の駆動方法
選定テーブルについて説明する。
【0035】図9は、温度センサ34からの出力信号に
より示されるインク温度によってMPU1000が駆動
方法決定のために参照するテーブルであって、各インク
温度に対する駆動方法が示されている。このテーブルに
は、各インク温度に対応し、図4に示した第1の駆動モ
ードであるノンシフト駆動か、図5に示した第2の駆動
モードであるシフト駆動かが示され、さらには各々全ド
ットのヒート間隔AもしくはBの値が示されている。上
記テーブルは、MPU1000のROM1001内に格
納されMPUを指示するプログラムによって適宜参照さ
れる構成となっており、プログラム上で参照の指示が下
されると、図9を参照し駆動方法が設定される。
【0036】本参考例においては、インク温度が23℃
の場合を標準温度と設定している。インク温度が標準温
度の場合に安定的にインク吐出が可能なヒート間隔Aと
してA0 が示されており、また、この標準温度は、記
録装置がこの温度において最も用いられる温度であるこ
とから、この温度の場合印刷ドットマトリックスの形を
変えることのない第1の駆動モードであるノンシフト駆
動が設定されている。検出インク温度が標準温度以上の
場合は、インク粘度が比較的低いため粘度の増加による
リフィル性能の低下がほとんどなく、そのために標準温
度の設定と同一となっている。また、常温域である15
℃から22℃の温度では、インク粘度が比較的高くなる
ためリフィル性能の低下が表われ始める。そのためリフ
ィル性能の低下した分だけ、さらには安定的にインク吐
出が行なわれるように全ドットのヒート間隔を上記のA
0 より長い値にA1 〜A8 のように設定している。
A1 〜A8 の値は、常温域であることを考慮し、最大
でも標準温度時のヒート間隔A0 に比較して増加割合
が10%程度になるように設定され、さらに、印刷ドッ
トマトリックスを変えることのない第1の駆動モードが
設定されている。次に、14℃以下の場合には、リフィ
ル性能の低下が顕著に表われ始め、より長いリフィル時
間が必要となるため全体として記録時間が低下しないよ
うリフィル時間を短縮できる第2の駆動モードが設定さ
れる。インク温度9℃以下においても同様に駆動方法が
設定されているが、全ドットのヒート間隔B5 は、使
用者の違和感を引き起こさない等のためインク標準温度
に応じたヒート間隔A0 に比較し増加割合が30%程
度に設定されている。
【0037】以上述べてきたように、駆動方法をインク
温度の変化に応じたリフィル特性の変化に応じて駆動方
法を最適に設定することによって、リフィル性能の低下
に依って発生する画像劣化を防止できる。
【0038】また、記録装置の使用者にとって使用頻度
の比較的多い15℃以上の温度領域において全ドットの
ヒート間隔の増加割合を10%程度に抑え、また、全温
度域においては増加割合を30%程度に抑えているた
め、使用者に記録速度の低下に依る不必要な違和感を与
えないという効果もある。
【0039】さらには、使用頻度の最も高い23℃以上
の温度領域で第1の駆動モードを設定しているため、記
録ドットマトリックスが変化せず、所望の画像が忠実に
得られるという効果もある。
【0040】なお、図9に示した駆動方法選択テーブル
は、記録ヘッドのリフィル性能に応じて設定される各駆
動モードの切り替わり点やヒート間隔の値は、記録ヘッ
ドや記録装置に最適になるように自由に設定可能であ
る。
【0041】また、インク温度の検出手段も前述の如き
直接的手段でなく間接的な手段によってインク温度を推
定する手段を用いても構わない。例えば、電気エネルギ
ーを記録ヘッドのエネルギー発生素子に印加しこの電気
エネルギーを熱エネルギーに変換してインク吐出を行な
う方式のインクジェット記録装置においては、記録装置
内の温度、印加された電気エネルギー量、この電気エネ
ルギーが印加されている時間、あるいは印加が終了した
時点からの経過時間等によってインク温度の推定を行な
っても良い。 (第1参考例の変形例1)本参考例では、駆動方法決定
の基準としてインクタンク内のインク残量を用いる場合
について説明する。
【0042】図10は、インク残量検知手段37がチッ
プタンク31に設けられた記録ヘッドの模式図である。
【0043】インク検知手段37は、圧力センサ等によ
って構成され、インクタンク内のインク残量に応じて変
化する圧力を検知し、この検知信号は、図11に示す制
御構成のインターフェイス部1004を通じてMPU1
000へ入力される。記録命令が入力されると図12に
示すように処理され、例えば1行ごとにインク残量に応
じた駆動方法が選定される。すなわち、図12に示すス
テップS206でインク残量を検出し、ステップS20
7でこのインク残量に応じた駆動方法の判別(決定)が
行われる。このとき、図9に示したテーブルと同様の駆
動方法選定テーブルが用いられ、ここでは、テーブルの
参照パラメータがインク温度ではなくインク残量とな
る。そして全体的には、インク残量が少なくなるにつれ
ヒート間隔が長くなるように構成されている。
【0044】このようにインク残量の変化に応じて駆動
方法を選定できる構成としたことにより、インク残量の
減少によって発生する記録ヘッドのリフィル性能の低下
に応じた駆動方法を選定でき、得られる画像の劣化を防
止することができる。
【0045】なお、上記参考例では、インク残量検知手
段として圧力センサを用いたが、記録ドット数を検知し
て、これによりインク残量を検知してもよい。この場合
において交換可能なインクタンク一体型の記録ヘッドを
用いる構成では、記録ヘッドの記録装置への装着の有無
を検知する手段を設け、インクタンクの未使用状態から
の総記録ドット数を累積的にカウントしインク残量を検
知しても良い。また、インクタンクのみを交換する装置
構成では、同様に、インクタンクの交換時からの総記録
ドット数をカウントし、また、記録ヘッドやインクタン
クが取り外された場合にはカウントされた記録ドット数
をリセットし、再び装着された時点から記録ドット数を
累積的にカウントを開始する構成とすることもできる。
さらに、残量検知手段としては、この他に、インクをイ
ンクタンク内に保持する部材がスポンジ等により形成さ
れインク自身に導電性がある場合等には、スポンジ内に
一対の電極を配しこの電極間の導電性を計測してインク
残量を検出するようにしてもよい。 (第1参考例の変形例2)本例では、駆動方法の決定基
準として、一定の領域に打ち込まれる液滴の数、即ち記
録デューティーを用いた場合について説明する。
【0046】図11に示す制御構成において、符号10
05は記録ドット数を検知する手段を示し、この手段
は、記録データから一定領域の記録に係るドット数をカ
ウントする。本参考例の場合、例えば図12に示す処理
手順において、ステップS206で、インク残量検出の
代わりに1行ごとの記録ドット数をカウントし1行内の
記録デューティーを算出する。算出された記録デューテ
ィーは、図11に示すMPU1000へ入力され、MP
U1000は、次の記録開始直前に、図12に示すステ
ップS207,S208,S209と同様に記録デュー
ティーに応じた駆動方法を選定する。この時の駆動方法
選定テーブルは、図9と同様のものであり、参照パラメ
ータはインク温度の代わりに記録デューティーを用い
る。そして、記録デューティーが高くなるにつれヒート
間隔が長くなるように設定されている。
【0047】このように記録デューティーの変化に応じ
て駆動方法を選定できる構成としたことにより、記録デ
ューティーが高いことによる記録ヘッドのリフィル性能
の低下に応じて最適な駆動方法を選定でき、このリフィ
ル性能の低下に起因する画像の劣化防止が可能となる。 (第1参考例の変形例3)本例では、駆動方法の決定基
準として記録装置内の温度センサを用いた場合を説明す
る。
【0048】図13に示す制御構成において、39は記
録装置内の温度センサであり、その検出温度に応じて出
力電圧が変化する公知のサーミスタであって図1に示す
ような記録装置に装着されている。また、この温度セン
サは装着スペースの関係で記録ヘッドの近傍への装着が
困難であったり、この装置内温度センサの検出温度は記
録装置内の温度を検出するので検出される温度が記録装
置内の内部電源等の温度上昇要因に比較的敏感である等
のために記録ヘッドの温度と合致しないのが一般的であ
る。従って、本参考例では、一例として、図13に示す
ように記録装置の電源がオンとなってからの時間を計測
する計測手段1006を備え、この計測された時間に応
じて温度センサ39の検出温度を補正する構成とした。
【0049】この構成を図14に示す。すなわち、記録
装置内温度センサ39により検出される温度Ts(図
中、1403)について、電源オン時間(1401)に
応じた装置内温度とのずれ量を補正係数Pとしてあらか
じめ設定しておき(1402)、この補正係数Pを温度
Tsに加えることにより記録ヘッド温度Thを算出する
(1404)。ここで補正係数Pは温度センサの装着さ
れる位置や、記録ヘッド自身の熱容量などによって決定
される。この算出される記録ヘッド温度Thは、装置温
度センサ39の出力と電源オン時間計測手段1006と
からMPU1000において実施され前述の各参考例に
記載したのと同様に駆動方法決定の基準となる。
【0050】算出記録ヘッド温度を参照パラメータとす
る駆動方法選定テーブルを図9と同じように設けること
で、記録ヘッド温度によって変化するリフィル性能の変
化に応じて駆動方法を決定することができ、記録結果の
劣化を防止することが可能となる。 (第1参考例の変形例4)本例では、駆動方法の決定手
段として、記録装置へ記録ヘッドや、インクタンクを装
着した時点からの装着時間に応じて駆動方法を決定する
場合を説明する。
【0051】図13に示す制御構成の記録ヘッド(また
は、インクタンク)装着時間検出手段40は、例えば、
記録ヘッドの装着部位に装着の有無を検知するスイッチ
等を設け、装着に応じたスイッチ動作により装置が有っ
たことを検出し、この検出からの経過時間を計測保持で
きる構成となっている。また記録装置において記録動作
を可能にするための電源が投入されていない間も、経過
時間を計測保持可能にするために計測保持用の不図示の
別電源を具備しておりこの別電源は、公知の電池等のバ
ッテリー等で構成されている。
【0052】図1に示した吐出回復ユニットのキャップ
22は、記録ヘッドと対向しそのインク吐出口形成面を
覆っているとき、その内部を大気と連通し、これにより
環境温度の変化による大気圧の変化によって吐出口29
近傍のインクメニスカスの後退を防ぐのが一般的であ
る。このようにキャッピング状態においてもその内部が
大気と連通しているため、記録ヘッド等からのインク蒸
発が行なわれインク粘性の増加が認められる。従って、
経過時間の増加とともにリフィル性能の劣化が認められ
るようになる。本参考例においては、駆動方法選定テー
ブルは、経過時間に応じて駆動方法が設定されており概
略的には経過時間の増加に応じてヒート間隔が長くなる
ように設定されている。
【0053】このように記録ヘッド(または、インクタ
ンク)が装着されている経過時間に応じて駆動方法を選
定できる構成としたことにより、経過時間によるインク
蒸発に起因するリフィル性能の低下に応じて最適な駆動
方法を選定できるため、リフィル性能の低下に起因する
画像の劣化防止が出来る。 (第1参考例の変形例5)本例では、上述した種々の駆
動方法決定基準を、様々に組み合わせた決定基準とする
ものである。
【0054】図15は、駆動方法選定基準として、イン
ク温度センサ34および印刷ドット数検知手段1005
によりそれぞれ検出されるインク温度および記録デュー
ティーを組み合わせた駆動方法選定テーブルを示す。
【0055】図15において記録デューティーが21〜
30%であり、かつインク温度が23℃の時を標準駆動
方法とし、その駆動方法を第1の駆動モードでヒート間
隔AをA0 と設定するものである。記録デューティー
が低く成るにつれ、記録デューティーによるリフィル性
能の低下も少なくなってくる。このため、インク温度が
23℃の時の標準駆動方法と同一の値を記録デューティ
ーが11〜20%の場合には、インク温度が15℃時に
設定し、0〜10%の場合には、10℃時に設定する。
また、記録デューティーが上記の21〜30%よりも高
い31〜40%の場合には、記録デューティーによるリ
フィル性能の低下が表われ始めるためインク温度が23
℃であってもヒート間隔Aは、A0 よりも長いA4 の
値を設定する。 (第1参考例の変形例6)本例では、これ迄説明した様
々な駆動方法の他の例について説明する。
【0056】図16および図17は、上述したシフト駆
動のさらに発展した駆動方法による記録結果を示す模式
図である。
【0057】図16は、例えば基本格子間隔(1/36
0)インチのドットマトリックスにおいて、横方向に基
本格子間隔の1/3、即ち(1/1080)インチの格
子を設け、上下方向のドットを上下方向の同一線上に並
ばないように横方向にシフトした場合(以下3段シフト
と呼ぶ。)の記録結果を示している。また、図17は、
基本格子間隔の1/4、即ち(1/1440)インチの
格子を横方向に設け図16と同様に上下方向のドットを
各々横方向へシフトした場合(以下、4段シフトと呼
ぶ。)の記録結果を示している。図16,図17にこれ
迄一般的に実施されている駆動方法によるドットを破線
によって示した。また、上下方向同一線上のドットは、
略同時駆動によって記録されているのが一般的である。
【0058】図16および図17におけるそれぞれ上下
方向の同一線L1,L2に着目すると、一般的な駆動方
法の場合に比較して略同時駆動され吐出されるインク滴
が図16においては、1/3になり、図17において
は、1/4になるように構成されている。このため、略
同時駆動によって吐出された後、リフィルのために各吐
出口に向けて流れるインクの量が記録ヘッド全体では少
量でよいため、リフィル性能の向上を図ることができ
る。なお図16に示す3段シフト駆動の場合より図17
に示す4段シフト駆動による場合のほうがリフィル性能
の向上の効果が高い場合が多い。
【0059】なお、これらの駆動方法と、図6,図7に
おいて説明した従来のシフト駆動とを組合わせ、これ迄
に説明した各種の駆動方法選定基準とその組合わせによ
って決定される駆動方法として構成しても同様の効果が
得られる。
【0060】駆動方法選定基準としてインク温度を用い
た場合の駆動方法選定テーブルの一例を図18に示す。
図18において、2段シフトとは、図6,図7に示した
シフト方法である。また多段のシフト方式を採用してい
るために、ヒート間隔は全インク温度域において同一の
時間間隔としている。
【0061】このように、各吐出口毎の吐出に利用され
るエネルギーを発生するエネルギー発生素子の駆動間隔
を互いに変化させることにより、全体としてリフィル特
性の向上が可能になり、温度変化等によって記録ヘッド
のリフィル特性が変化しても安定的にインクの吐出を行
なうことができる。
【0062】なお、上述した3段,4段のシフト駆動方
法は、さらに基本格子間隔を細分化して1/n間隔の格
子とし、n段シフト駆動としてもよい。また、上述の例
では、横方向の格子間隔を等間隔に構成したがこれに限
定されることなく任意に設定してもよい。さらには、駆
動方法の切替えの基準となるインク温度の値は、図18
に示す例に限定されることなく記録ヘッド等によって最
適に設定可能で有る。また、ヒート間隔をA0 と一定
に設定したが、このヒート間隔も吐出特性を考慮して任
意に設定可能で有る。 (第1参考例の変形例7)本例は、記録に係るインク自
身の物理化学的特性に応じて、駆動方法選定基準を変化
させるものである。すなわち、同一記録装置に装着可能
な記録ヘッドが複数種で構成され、これら複数種の記録
ヘッドに各々異なった物理化学的特性のインクが使用さ
れる場合(例えば使用されるインクの色がそれぞれ異な
る場合)には、各インクに対応した記録ヘッドごとに駆
動方法を設定する。以下、記録装置に装着可能で記録ヘ
ッドごとに用いるインクの色が異なり、それぞれインク
のリフィル特性に係る特性が異なる場合について説明す
る。
【0063】記録ヘッドのインク色を検出する手段の一
例を図19に示す。図19は、図1に示す記録装置に装
着され駆動される記録ヘッドカートリッジ1の電気接点
部46を示す平面図である。
【0064】ヘッドカートリッジ1は、その電気接点部
46が支持板5(図1参照)においてFPC6と電気的
に接続されている。さらに詳しくは、電気接点部46の
電気接点41とFPC6の不図示の電気的接点とが接合
され、FPC6を介して検出信号がMPU1000に入
力される。また、図19(a),(b),(c)および
(d)は、各色のインクに対応したそれぞれのヘッドカ
ートリッジ1の電気接点部46を示しており、例えば図
19(a)は黒(Black)、図19(b)は赤(R
ed)、図19(c)は緑(Green)、図19
(d)は、青(Blue)のインクに対応した電気接点
部を示している。これら図において、符号42,43,
44,45は色検出のための接点である。図19(a)
を基本形態としており各接点42,43,44はFPC
6を介して装置本体の+5Vに接続され、パターン45
は、装置本体のGNDに接続されている。この接点を模
式的に図19(a)の破線内に示す。なお、これら接続
は図19(b),(c)および(d)においては省略さ
れている。
【0065】装着されたヘッドカートリッジ1のインク
色の判別は以下のようにして行う。
【0066】すなわち図19(a)に示す電気接点部4
6の場合、接点42,43,44および45は配線42
A,43A,44A,45Aによって電気的に接続され
ている。これにより、装置本体側で検出される信号は、
接点42から順に0,0,0,0(ここで0は、GND
レベルを示す。)であり、従って、インク色が黒の記録
ヘッドは、上記の検出信号で判別されることとなる。図
19(b)に示す赤の記録ヘッドでは、配線42Aが切
断されたパターンであるため検出信号は、接点42から
順に1,0,0,0(ここで1は、+5Vレベルを示
す。)となり、以下、同様に図19(c)のインクが緑
の記録ヘッドでは、1,1,0,0、図19(d)のイ
ンクが青の記録ヘッドでは、1,1,1,0となる。
【0067】このようにして、記録装置に装着された記
録ヘッドの種別(本参考例では、インク色)をMPU1
000が判別できる構成にしておき、各記録ヘッドやイ
ンクに適した駆動方法で、各記録ヘッドごとに駆動方法
選定テーブルを設定し駆動することができる。例えば黒
インクが他のインクに比較しインク粘性が高い場合、駆
動方法決定基準としてインク温度を用いた時には、図9
において検出温度が他のインクと同じであってもヒート
間隔を長くするかあるいはリフィル性能の向上に効果の
有るシフト駆動とするかを、また、両者を組み合わせる
等して設定することにより黒インクに適した駆動方法を
設定することができる。
【0068】なお、上述の参考例では、1つの記録ヘッ
ドに1つのインク色を対応させたモノカラーについて説
明したが、1つの記録ヘッドが複数のインク色で構成さ
れる場合等には、色指定データ等によって各色の駆動方
法選定テーブルの使い分けを行なっても良い。また、イ
ンクタンクのみを交換するパーマネントタイプの記録ヘ
ッドを使用する場合であってもインクタンクにインクタ
ンク種別を認識するための構成を設ければ本例を適用す
ることができる。
【0069】また、上述の例では、インクの種類が異な
る場合について説明したが、例えば、同一記録装置に装
着できる複数の記録ヘッドにおいて、それぞれリフィル
特性が異なる場合(例えば、記録ヘッド内のインク流路
や液室の構成が異なりリフィル特性が異なる場合等)も
上記構成を適用可能である。この場合にも図19に示す
如く記録ヘッドを記録ヘッドの判別が可能な構成とすれ
ばよい。
【0070】さらに、上述したインク温度の検出や、イ
ンク残量の検出、記録ドット数の検出等の駆動方法選定
基準の検出のタイミングは、上述のものに限定されるも
のではなく、例えば検出を1行内の所定時間間隔ごとに
検出し駆動方法を決定して記録動作を実施する等して、
記録処理手順等に最適な実行時期を設定してもよい。
【0071】さらに加えて上記各参考例では、各種の駆
動方法選定基準を自動的に検出認識する構成としたが、
記録装置の使用者が手動で設定可能に構成しても良く、
この場合、設定手段としては、記録装置に記録データを
送信するホスト(例えば、パーソナルコンピュータ,ワ
ードプロセッサ)の画面上において設定可能な構成が好
適である。
【0072】さらに加えて、上記各参考例ではインクタ
ンクと記録ヘッドが一体化されている交換可能なカート
リッジタイプの記録ヘッドを用いて説明したが、パーマ
ネントヘッドを用いたインクジェット記録装置において
も本発明を適用できる。また、記録装置が被記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても適用可能である。さらに、電気エネル
ギーを熱エネルギーに変換してインク吐出を行なう方式
の記録ヘッドについて説明してきたが、これ以外の例え
ばピエゾ方式の記録ヘッドを用いた記録装置に適用する
ことができる。 (第2参考例)図20は、本発明の第2参考例にかかる
インクジェット記録装置を示す斜視図であり、図1に示
す装置と同様のものである。図1に示す要素と同様の要
素については同一の符号を付してその説明は省略し、主
に異なる要素について説明する。
【0073】すなわち、キャリッジ2に形成されるキャ
リアテーブル2A上には、本例に係るヒータ(以下予備
保温ヒータと呼ぶ)50が配設されている。なお、本参
考例では、ヒータ50を膜状ヒータとした。
【0074】図21は、前記予備保温ヒータ50を配設
したキャリッジ2の詳細を示す斜視図である。
【0075】ここで、予備保温ヒータ50の駆動電力は
導線52を接続したコネクタ54を介してFPC6より
得られる。また、56は導線52をキャリアテーブル面
2Aよりも記録ヘッド側へ突出させないために設けられ
た穴である。
【0076】予備保温ヒータ50はヘッドカートリッジ
1(図では取外されている)との接触面積が大きい方が
好ましいが、キャリッジ2とヘッドカートリッジ1との
接触面全体にヒータ50を設けることが不可能なときに
は、図21に示すようにできるだけヘッドカートリッジ
装着時に、ヘッドカートリッジのインク吐出ユニットの
近傍に集中するよう設けることが好ましい。また、図で
は予備保温ヒータ50をキャリアテーブル2A上に配設
した例を示したが、これに限られず、例えば支持板5上
に配設しても良い。この場合、予備保温ヒータ50によ
り発せられた熱量は、後述するアルミ等の材料により構
成されたベースプレートによって、熱量は局部的でなく
広面積に分散してインク全体へと適度に伝達することが
できる。
【0077】図22は、図20に示したヘッドカートリ
ッジの詳細を示す分解斜視図である。
【0078】図において、400は吐出口形成面であ
り、これには64個の吐出口が形成されている。420
は、吐出口形成面を一体に具えた天板であり、各吐出口
に連続するインク路やこのインク路に供給すべきインク
を一時的に蓄える共通液室用の溝が形成されている。1
600は、チップタンクと呼ばれインクタンク部と上記
共通液室とを接続する管である。900は、インクタン
ク内に格納されるスポンジであり、インクを保持するも
のである。700は、チップタンク内に気泡やごみ等が
侵入するのを防止するためのフィルターである。記録ヘ
ッドを構成する基板110には、吐出に利用される熱エ
ネルギー発生素子が形成され、これに通電されるとイン
ク路内に発生する気泡によって、吐出口からインクが吐
出される。210は、ヘッドカートリッジ1がキャリッ
ジ2に装着されたときこれに設けられたFPC6との接
触を行い、記録ヘッドと図20に示された記録装置本体
との電気的接点となる基板である。また、基板210は
アルミ等の材料により形成された記録ヘッドのベースプ
レート300と接合し、この接合を介してインクタンク
9B内に配設された温度検知手段34の電気接点34A
と電気的に接合している。ここで、電気接点34Aはイ
ンクタンクの匡体に設けられた穴1700を通じてイン
クタンク外に出てきているため、この穴1700は、電
気的接点34Aを通した後、Si等により封止される。
また温度検知手段34は、本参考例では温度センサとし
た。この温度センサは、温度変化に応じた出力電圧を示
す公知のサーミスタであってインクタンク内のスポンジ
900に保持されているインクによって温度検出部や電
気的接点が腐食等されないようにインクから隔離され、
または腐食されないような材料によって構成される。温
度センサからの出力信号は、接点34Aと基板210上
の所定の接点との接触により、FPC6を介して所定の
信号増幅回路を経る等してMPU1000に入力され
る。
【0079】また、37はチップタンク1600内に設
けられる圧力検知手段であり、ここでは圧力センサを用
いた。このチップタンク内壁面に配設された圧力センサ
は、不図示の導線により基板210と接続し、さらにF
PC6を介して所定の信号増幅回路を経る等してMPU
1000に入力される。
【0080】図23は、図22に示したヘッドカートリ
ッジの部分断面図であり、図において34はインクタン
ク内に設けられた上述の温度センサである。
【0081】以上説明した構成による記録装置の制御系
は、図11に示すものと同様である。キャリッジ2のキ
ャップ位置や移動位置は、回復系ホームセンサ35やキ
ャリッジホームセンサ36の検出に基づいて知ることが
できる。
【0082】また、本参考例に係る記録ヘッドの吐出の
ためのエネルギー発生素子の駆動方法は、図4にて説明
したものと同様でありその説明は省略する。
【0083】次に、図24を参照しながら以上の記録装
置における記録処理手順について説明する。
【0084】まず記録装置の電源がオンされると回復系
モータ26が動作し回復系ユニットを回復系ホームポジ
ションに設定しキャップ22を後退させた後、キャッジ
リ2をホーム位置に設定する。この後キャップ22を再
び記録ヘッドのノズル部に当接させ記録データの信号を
待機する。記録データの信号が入力されてくると(ステ
ップS301)、搬送モータ13を動作させて給紙を開
始し(ステップS303)、給紙された紙等の被記録媒
体を所望の記録先頭位置まで搬送する。この後、キャッ
プ22を後退させ(ステップS305)、記録ヘッドの
吐出口形成面から離脱させた後、キャリッジ2をホーム
ポジションに設定した後、所定量の予備吐出を実施し
(ステップS307)、所望される記録開始位置までキ
ャリッジ2を移動する(ステップS309)。次に、印
字方向モードを印刷設定により、また、記録用紙の種類
を書式設定あるいは縮小印刷等の命令により認識し(ス
テップS311)、続いて、チップタンク内に配設され
たインク残量検知手段37は、インク残量に応じて変化
する圧力を出力し(ステップS313)、さらにサーミ
スタ34は温度を検知して(ステップS315)、これ
らデータは、図11のインターフェイス部1004を介
してMPU1000へ入力される。次に、前行1行中の
印刷ドット数をカウントする(ステップS317)。
【0085】続いてMPU1000は、検出されたイン
ク温度および印刷ドット数により、後述される用紙係数
F,インク残量係数G,予備保温ヒータ駆動基本パルス
幅Aのそれぞれの値を示すテーブルの参照を行ない、基
本パルス幅Aに用紙係数Fとインク残量係数Gとを乗じ
て実行すべき駆動パルス幅を決定し、予備保温ヒータを
決定されたパルス幅の時間だけ駆動し(ステップS31
9)、一行分の記録を行なう(ステップS321)。
【0086】以上説明したように、インク残量の変化等
に応じて予備保温ヒータの駆動パルス幅を選定できる構
成としたことにより、例えば、インク残量の減少等によ
って発生する記録ヘッドのリフィル性能が低下した場
合、予備保温ヒータの駆動パルス幅を適切に選定し、こ
れによりインク温度を上昇させてリフィル性能の低下を
補うようにすることができる。その結果、画像の劣化を
防止することが可能となる。
【0087】また、ステップS307に示した予備吐出
は、記録実施の直前に行なわれるが、記録中であっても
前回の予備吐出から所定の時間K秒経過していれば(ス
テップS325)、キャリッジ2は再びホームポジショ
ンに移動され(ステップS329)、予備吐出が実施さ
れる(ステップS331)。このとき、次行の記録デー
タの信号が入力されていれば、再び、キャリッジ2を記
録位置へ移動し、インク残量の検出、インク温度の検出
および前行の印刷ドット数の算出等が行なわれ、記録動
作が続行される。記録の終了信号が入力されてくると、
回復系モータ26が動作しブレード25を記録ヘッド側
へ前進させて記録ヘッドの吐出口形成面に当接可能な位
置に設定しワイピング動作が実施される。その後、キャ
リッジ2は、キャップ22と当接可能位置に設定されキ
ャップ22が前進しキャッピングを行ない一連の記録動
作を終了する(ステップS333)。
【0088】次に、図25に示す印字方向モードと記録
用紙の種類により変化する用紙係数Fのテーブルの1例
について説明する。
【0089】単位時間当たりのインク吐出量を求める場
合、印刷ドット数だけに基づいて計算を行うと、改行に
要する時間や改頁に要する時間を考慮できないために求
められる単位時間当たりのインク吐出量が不正確なもの
となる。このため、印字方向モードと記録に使われるべ
き用紙の種類とを検出し、印刷ドット数を、単位時間あ
たりのインク吐出量として近似換算するためにこれに係
数Fを乗じる。図25に示すテーブルにおいて、用紙係
数Fの大小関係はF1 <F2 ,F3 <F4,…、か
つF1 <F3 <F5 <F7 …、である。
【0090】次に、図26に示すインク残量係数Gにつ
いて説明する。
【0091】このインク残量係数Gも同様にインクタン
ク内にあるインク残量Wの減少に伴って、共通液室内の
水頭圧が減少し、リフィル性能の低下をきたすことを考
慮して乗じられる補正係数であり、インク残量Wが少な
くなるにつれて大きな値となるよう設定されている。
【0092】図27は、温度センサ34からの出力信号
により示されるインク温度と印字行毎のドット数カウン
トとによってMPU1000が上記予備保温ヒータ50
の駆動基本パルス幅Aを決定するために参照するテーブ
ルを示す。このテーブルには印刷方向モード、記録用紙
の種類、およびインク残量とを考慮する以前の、インク
温度と1行中の印刷ドット数とからのみ決定される駆動
基本パルス幅Aが示されている。また、このテーブル
は、MPU1000のROM1001内に格納されプロ
グラムの手順によって適宜参照されるものであり、プロ
グラム上で参照の指示が下されると、図27を参照し予
備保温ヒートの基本パルス幅Aが設定される。ここで、
基本パルス幅Aは、低温すなわちインクの粘度が高くな
るほど大きくなり、また印刷ドット数が多いほど大きく
なるよう設定されている。よって図中の数値の大小関係
はA8 >A7 >A6 >A5 >A4 >A3 >A2
>A1 >A0 となっている。また、予備保温ヒータ5
0はインクの粘度が増大して必要なリフィル性能が得ら
れない時のみ駆動されれば良いので、本参考例において
はインク温度が19℃以下のときのみ駆動することとし
た。
【0093】このように設定された予備保温ヒータ駆動
基本パルス幅Aに、用紙係数Fとインク残量係数Gとを
乗じることにより、実際の予備保温ヒータ駆動パルス幅
が決定され、ヒータ駆動が実施される。
【0094】これまで述べてきたように予備保温ヒータ
の駆動パルス幅を、インク温度あるいはインク残量等の
変化によって発生するリフィル特性の低下に応じて最適
に決定することにより、インクの温度を上昇させて粘性
を低下させる。これにより、リフィル性能の低下に伴っ
て発生する画像劣化を防止できる。
【0095】さらに、従来、低温環境内においてはイン
クのリフィル性能の低下に伴って1ドット当たりの吐出
インク量が減少し印字濃度の低下が生じていたが、本例
によれば予備保温ヒートを行うことによりリフィル性能
が向上し、不具合も解消されるという効果もある。(第
2参考例の変形例1)上記第2参考例では予備保温ヒー
タをキャリア上に配設することとしたが、これに限定さ
れず、例えば図28,図29に示すようにヘッドカート
リッジ内に設けても良い。
【0096】すなわち、これら2つの図において、予備
保温ヒータ50はチップタンク上に配設され、導線52
によって基板210と電気的接続が保たれる。また、本
例ではチップタンク1600はヒータからの熱を効率的
に伝達するために、材質をアルミ合金としてある。さら
に、その形状をホーン形状とし、できる限り広範囲のイ
ンクを温めることができるように構成されている。 (第2参考例の変形例2)図30,図31に示されるよ
うにベースプレート210上に予備保温ヒータ50を設
けても良い。
【0097】この場合、ベースプレートは、集中した熱
源を拡散する働きをするため、本例のように予備保温ヒ
ータがベースプレート全域に配設されていなくとも、局
部的ではない広範囲のインクを適度に温めることが可能
である。50Aは基板210と電気的接触を保つための
接点である。
【0098】また、図32に示される壁1800は矢印
Aに示されるようにインクの流れを制限するためのもの
であり、可能な限りインクの流れをベースプレート30
0の近傍に沿うようにし、チップタンクに送り込まれる
インクがベースプレート300からの熱の影響を受けた
ものとするようにする。 (第2参考例の変形例3)図33はインクタンク内の内
壁面に予備保温ヒータを設けたときのヘッドカートリッ
ジ1の部分断面図である。
【0099】図33において、50は予備保温ヒータで
あり、FPC6との電気的接点50Aは、図22におい
て示した温度検出手段の電気的接点34Aと同様の構成
である。
【0100】なお、温度検出手段についても必ずしも記
録ヘッド内に設ける必要はなく、図34に示すようにキ
ャリッジ2上に設けても良い。
【0101】また、予備保温ヒータ駆動パルス幅を選定
する基準は、上記参考例のような種々の基準の組み合わ
せにより用いられることに限定されることなく、各基準
を様々に組み合わせてもよいし、また単独で、例えばイ
ンク温度のみを予備保温ヒータのパルス幅選定の基準と
しても良い。
【0102】さらに、予備保温ヒータの印加電力量の増
減は、電圧値固定でパルス幅を変化させるという方法に
限定されず、印加電圧値を変化させても良い。
【0103】さらに加えて、図24に示した記録処理手
順においては、インク温度の検出、インク残量の検出、
印刷ドット数の検出を1行の終了後に実施し、その後基
本駆動パルス幅選定テーブル等により駆動パルス幅の選
定を行なったが、上記検出を1行内の所定時間間隔Tご
とに検出し、駆動パルス幅を決定してインク加熱動作を
実施してもよく、例えば図35,36に示す制御手順に
よれば単位時間当たりの吐出ドット数が直接求められ、
単位時間当たりの吐出ドット数と温度検出手段により読
み取られた温度とから実際の駆動パルス幅を求めること
ができる。
【0104】さらに加えて、上記参考例では、インク残
量検知手段として圧力センサを用いたが、これに代わっ
て記録ドット数検知手段1005(図11参照)を用い
てもよい。この場合には、交換型の記録ヘッドに対処し
て、記録ヘッドの記録装置への装着の有無を検知する手
段を設け、未使用状態からの総印刷ドット数を累積的に
カウントし、インク残量を検知する等、オープンループ
制御により検知しても良い。また、インクタンクのみを
交換するタイプのパーマネント型記録ヘッドを用いる装
置では、インクタンクの交換時からの総印刷ドット数を
カウントすればよい。
【0105】さらに、インク温度検知手段を印字ドット
数等から、インク滴吐出数を記録媒体の種類から類推す
る等、必ずしも本参考例のようにクローズドループによ
り制御する必要はなくオープンループにより制御しても
良い。
【0106】さらに、上記各参考例では、交換可能な記
録ヘッドを用いた例を説明したが、パーマネントヘッド
を用いたインクジェット記録装置においても本発明を適
用できる。また、記録媒体の最大幅に対応した長さを有
するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても適用でき
る。さらに、電気エネルギーを機械的変形力に変換して
インクを吐出させるピエゾ方式等のインクジェット記録
装置においても適用できる。 (第3参考例)図37は、本発明の第3参考例にかかる
インクジェット記録装置を示す斜視図であり、図1に示
す装置と同様のものである。ここでは、本参考例に特に
関連する部分についてのみ説明する。
【0107】図37において、51はホームポジション
においてヘッドカートリッジ1における記録ヘッドのイ
ンク吐出口形成面と対向するゴム等の弾性材料で形成し
たキャップであり、記録ヘッドに対し当接および離脱が
可能に支持されている。このキャップ51は、非記録時
等の記録ヘッドからのインク水分蒸発の防止や、記録ヘ
ッドの吐出回復処理に際して用いられる。
【0108】吐出回復処理には主に2つの処理方法があ
り、1つは、キャップ51を吐出口形成面に対向させ、
インク路内のエネルギー発生素子を駆動することにより
吐出口からインクを吐出させ、これによって気泡や塵
埃、あるいは、増粘して記録に適さなくなったインクと
いった吐出不良要因を除去する処理(予備吐出)であ
り、他の1つは、吐出口形成面をキャップ51で覆った
状態で吐出口よりインクを強制的に排出させることによ
り吐出不良要因を除去する処理である。
【0109】53は、インクの強制排出のために吸引力
を作用するとともに、上記強制排出による吐出回復処理
や予備吐出による吐出回復処理に際してキャップ51に
受容されたインクを吸引する処理に用いられるポンプで
ある。55はこのポンプ53によって吸引された廃イン
クを貯留するための廃インクタンクである。廃インクタ
ンク55は、チューブ57によりポンプ53と接続され
ている。
【0110】59は、記録ヘッドの吐出口形成面のワイ
ピングを行なうためのブレードであり、記録ヘッド側に
突出してキャリア移動の過程でワイピングを行なう位置
と吐出口形成面に係合しない後退位置とに移動可能に支
持されている。61はモータ、63は、モータ61から
動力の伝達を受けてポンプ53の駆動、およびキャップ
51やブレード59の移動をそれぞれ行なわせるための
カム装置である。
【0111】図38は、図37におけるキャップ51,
ポンプ53,ブレード59,モータ61およびカム装置
63等から成る回復装置の分解斜視図である。ここで、
501はキャップ51内部に配置されるインク吸収体、
503はキャップ51を保持する保持部材、505はピ
ン507を中心に回動可能に取り付けられ、ピン507
に加えられる力によってキャップ51をヘッドカートリ
ッジ1の吐出口形成面に当接/離脱させるためのキャッ
プレバーである。511はキャップレバー505の端部
509に係合してキャップレバー505の回動範囲を規
制するためのピンである。513はキャップレバー50
5のピン507が嵌入される穴部を有する治具であり、
キャップレバー505をポンプ53に設けた支持部51
5に取付けるのに用いられる。516はその取付け状態
を確保するための留め部材である。517は吐出口形成
面に当接させるための力をキャップ51に作用する作用
部であり、キャップ51の後側部のほぼ中央に係合す
る。この作用部は吸引されたインクの導入口517Aを
有し、キャップレバー505内部,ピン507内部,治
具513内部および支持部515内部にはそれぞれイン
ク流路が形成されている。そして、ポンプ53が吸引力
を作用すると、インクはこれら流路を経て図中矢印で示
すようにポンプ53内に導入される。
【0112】519はポンプ53の端面中央に突設した
軸であり、520は軸519を保持しポンプ53自体を
回動可能とするためのポンプ支持板であり、その回動力
は支持部515を介してキャップレバー505に加えら
れ、これに伴ってキャップ51が進退する。521はポ
ンプ53の軸519を通ずるインク流路を直角にまげて
いる排インクシールであり、523は排インクシール5
21を支持し、さらに排インクチューブ57までのイン
ク流路を形成している排インクキャップである。これら
軸519,治具521および支持部材523の内部には
インク流路が形成され、ポンプ53に吸引されたインク
が、図中矢印で示すようにこれら流路を経て、さらにチ
ューブ57を介し廃インクタンク55に導入される。
【0113】525はポンプ53のピストン、527は
その軸、529はパッキン、531はポンプ53のキャ
ップである。533はピストン軸527に取付けられ、
ピストン525を作動させるための力の伝達を受けるピ
ンである。
【0114】535はブレード59が取付けられるブレ
ードレバーであり、ポンプ53の端面に突設した軸のま
わりに回転可能に支持され、当該回動に伴ってブレード
59を記録ヘッド側に突出または後退させる。537は
ブレードレバー535に対しブレード59を突出させる
方向への回動力を付与するばねである。また539はポ
ンプ53自体に対しキャップ53が記録ヘッド側に向か
う方向への回動習性を与えるばねである。
【0115】541はモータ61の回転をカム装置63
に伝達するギア列である。カム装置63は、ポンプ53
に設けた係合部545に係合してこれを回動させるため
のカム547と、ポンプ53のピストン軸527に設け
たピン533に係合してポンプを作動させるためのカム
549と、ブレードレバー535に設けた係合部551
に係合してこれを回転させるためのカム553と、カム
装置63のホームポジションを検出するためのスイッチ
555に係合するカム557とを有している。これらカ
ムの動作については後述する。
【0116】図39(a),(b)および(c)はキャ
ップ51等の詳細な構成を示す、それぞれ正面図,上面
図および縦断面図である。
【0117】キャップ51内において、インク吸引口5
61は鉛直方向下部に開口し、キャップレバー505の
作用部517に設けたインク導入口517Aに向ってイ
ンク流路563を形成している。また、吸引口561を
吸収体501によって完全に覆わない構成としている。
【0118】これによって、重力によってインクが下方
に流れてきても、インクは下方に設けた吸引口561よ
り吸引されるために、インク吸収体501に残留するイ
ンク量が著しく小となり、従って、固化による劣化等を
大幅に遅らせてインク吸収体ないしこれが取付けられた
キャップ51の寿命を伸ばすことができる。
【0119】図40は、上述した回復装置におけるカム
チャートであり、横軸にカム549の回転角度をとり、
スイッチ555,キャップ51,ポンプ53,ブレード
59それぞれの状態を示している。
【0120】図41は、上記回復装置の各状態でのポン
プ53内でのピストン525の位置を示す断面図であ
る。
【0121】図42は、図37に示すヘッドカートリッ
ジ1のS方向走査上での位置関係を示す模式図である。
【0122】図43は、上記回復系ユニットによって実
行される記録ヘッドの吐出回復処理動作を説明するため
のフローチャートである。
【0123】図40,図41,図42および図43を参
照して、本参考例回復系ユニットの機能について説明す
る。
【0124】図40において、に示す状態はカム54
9のホームポジション位置であり、印刷中の回復装置の
待機状態である。スイッチ555はオン、キャップ51
は記録ヘッドの吐出口形成面より離隔し(以下オープン
状態とよぶ)、ポンプ53は上死点にある。また、ブレ
ード59はオフ状態すなわち吐出口形成面に係合しない
位置に退避している。
【0125】次に、に示す状態はキャッピング状態で
あり、記録装置を使用しない場合等の状態でヘッド吐出
口形成面を覆い保護している。スイッチ555はオフ、
キャップ51はヘッド吐出口形成面に接合し(クロー
ズ)、ポンプ53は上死点にあり、ブレードはオフ状態
である。
【0126】に示す状態はポンピングが終了した状態
である。スイッチ555はオン、キャップ51はクロー
ズ、ポンプ53は弁が開ききった状態、下死点には至ら
ない状態である。また、ブレード59はオフ状態にあ
る。
【0127】に示す状態はポンピング終了の後、キャ
ップ51をオープンさせ、同時にキャップ51内および
キャップレバー505内に充満しているインクをポンプ
53内にとり込むための小空吸引を実行し終えた状態で
ある。スイッチ555はオン、キャップ51は半分程度
オープン、ポンプ53は下死点、ブレード59はオフ状
態にある。
【0128】次に、の状態を説明する。これはポンピ
ングによってポンプ53内に充満したインクを排インク
タンク側へ排出するための空吸引を始める準備位置であ
る。スイッチ55はオン、キャップ51はオープン、ポ
ンプ53は上死点より若干下がったところにある。ま
た、ブレード59はオフ状態にある。およびはそれ
ぞれ大空吸引および中空吸引を行ったときの停止位置で
ある。どちらもスイッチ55をオン、キャップ51はオ
ープン、ブレード59はオフ状態であるが、ポンプ53
の状態は、では下死点側にあるのに対し、では完全
には下がりきっていない。
【0129】に示す状態はワイピングを行うときの状
態である。スイッチ55はオン、キャップ51はオープ
ン、ポンプは上死点である。そして、ブレード59がオ
ン状態にあり、この状態でヘッドカートリッジ1を搭載
したキャリッジ2が移動することで吐出口形成面のワイ
ピングが実行可能となる。
【0130】図41(a)はポンプ内においてピストン
525が下死点にある状態を示している。ポンプ53内
の空間において、ピストン525の左側の空間に生じる
負圧によってポンプが機能する。531はその負圧をキ
ャップ51へと伝える弁口である。図41(a)に示す
状態では、ピストン525はこの弁口を乗り越え、さら
に右側に進んだ状態にある。ここでは、ピストン525
は左側からピストン軸フランジ部527によって押され
密着しているので、発生した負圧は他に伝わることなく
キャップ51側へ伝えられる。またピストン軸525の
右側にあるインクは排インクタンクへと押し出される。
【0131】図41(b)はピストン525が上死点に
ある状態を示す。この状態では、ピストン525は弁口
531の左側にあり、弁口531は閉じていない。すな
わち、この状態においてキャップ51は大気連通状態に
なっている。
【0132】図41(c)は図40に示すのときのポ
ンプ53の状態を示す。このとき、ピストン525は弁
口531を乗り越え若干右へ進んでいる。
【0133】図41(d)は図40に示すのときのポ
ンプ53の状態を示し、この状態と図41(a)あるい
は図41(e)の状態を往復することで、大空吸引およ
び中空吸引を実行する。
【0134】図41(e)は中空吸引を終了したときの
ポンプ53の状態を示す。このとき、ピストン525は
弁口531を乗り越えた直後で停止している。図41
(a)に示す下死点まで至るとすると、上死点(図41
(b))あるいは空吸引準備位置(図41(d))に戻
るときに、弁口531を閉じられない時間が長くできて
しまう。このような場合に、左側の空間に正圧が生じる
ことのないよう、ピストン軸フランジ527aとピスト
ン525に若干のすき間を形成し、ピストン525の右
側の空間と連通するように構成する。しかしながら、流
路の抵抗等によって若干の正圧が生じそのための逆流が
生じるが、図41(e)に示す位置から図41(a)あ
るいは(d)にまで戻る場合にはその逆流は良く防止さ
れている。
【0135】図42に示すヘッドカートリッジ1の位置
関係は、ヘッドカートリッジ1が吐出回復系ユニット内
キャップ51の正面にある位置(キャッピング位置)を
基準(0ステップ)に表現されている。
【0136】ここで、図中記載のステップ数は、S方向
走査駆動用パルスモータ11(図37参照)の駆動量を
表している。1ステップあたりの移動量は、(6/36
0)インチ=(1/60)インチ=0.423mmとなっ
ている。
【0137】ワイピング動作をおこなうとき、まず、ヘ
ッドカートリッジ1を、ブレード59がキャリッジ2と
干渉しない位置、すなわちブレードオン位置まで移動さ
せ、吐出回復ユニット内のブレードをオンさせる。そし
てヘッドカートリッジ1をブレードオフ位置まで移動さ
せることでワイピングを実行する。
【0138】図43は、上記図40〜42で説明した吐
出回復処理の手順を示すフローチャートである。
【0139】本処理は、図40に示すのキャッピング
状態から開始される(S501)。この状態からの状
態に動くことでポンピングが実行され(S503)、そ
の状態でインク吸引が充分に行われるよう3秒間停止す
る(S505)。の状態ではキャップオープンと同時
に小空吸引が行われ(S507)、キャップ51内およ
びキャップレバー505内のインクのとり込みが行われ
る。次に、ポンプ53内に充満したインクの排出のため
に空吸引が行われる。まずで示す空吸引準備位置に移
り(S511)、そこからに示す中空吸引停止位置の
間を3回往復する(S513〜S519)。次に、か
らまでの大空吸引が行われ(S521)、ポンプ53
内のインクは充分に排インクタンク側へ押し出される。
引き続きの位置に移り、予備吐出を行った後(S52
5)、ヘッドカートリッジをブレードオン位置に移動さ
せ、の位置でブレードオンとし(S527)、そして
ヘッドカートリッジをブレードオフの位置まで移動させ
ることでワイピングを実行する(S529)。最後に
の位置でブレードをオフとし、ヘッドカートリッジをキ
ャッピング位置に戻し(S531)、でキャッピング
をする(S533)。
【0140】図44は、以上説明したインクジェット記
録装置における記録印刷処理の手順を示すフローチャー
トである。
【0141】まず、記録装置の電源がオンされると回復
系モータ61が動作し回復系ユニットを回復系ホームポ
ジションに設定しキャップ51を後退させた後、キャリ
ッジ2をホーム位置に設定する。この後、キャップ51
を再びヘッドカートリッジの吐出口形成面に当接させ記
録データの信号を待機する。記録データの信号が入力さ
れてくると(S601)、搬送モータ13を動作させ給
紙を開始し(S603)、給紙された紙等の被記録媒体
を所望の記録先頭位置まで搬送する。この後、キャップ
51を後退させ(S605)、ヘッドカートリッジの吐
出口形成面から離脱させた後、キャリッジ2をホームポ
ジションにて設定後、所定の予備吐出を実施し(S60
7)、所望される記録開始位置までキャリッジを移動し
て(S609)、タイマtを0にリセットしてからカウ
ントを開始する(S611)。続いて、頁終了の信号が
入力されるまで、1行毎に印刷を行い(S613)、頁
が終了すればチップタンク内に配設された圧力センサ等
のインク残量検知手段37によりインク残量に応じて変
化する圧力を出力し(S625)、t=0からの印刷ド
ット数を検知することにより単位時間あたりの平均吐出
ドット数を算出し(S627)、サーミスタ34により
温度を検知して(S629)、例えば本例の構成として
図11の構成を用いる場合、そのインターフェイス部1
004を介してMPU1000へ入力される。これら検
知した値から、図45および46に示すインク残量係数
Gおよび記録中にのみ行われる自動吐出回復処理の基本
実行間隔Cのそれぞれの値を示すテーブルの参照を行な
い、基本実行間隔Cにインク残量係数Gを乗じて実際の
実行間隔CLを決定する。そしてこの時点で、タイマt
の値が決定された実行間隔CLよりも大きな数をカウン
トしていれば(S131)、吐出回復処理を行い(S1
33)、タイマtを0リセットにしてから再び記録を行
う。タイマtの値がCLよりも小さな数であれば自動吐
出回復処理を実行せずに改頁して再び記録を行う。
【0142】上記予備吐出は、本参考例の場合、このよ
うに記録実施の直前に行なわれるが、記録中であっても
前回の予備吐出から所定の時間K秒経過していれば(S
615)、キャリッジ2は再びホームポジションに移動
され(S619)、予備吐出が実施される(S62
1)。このとき、次行の記録データの信号が入力されて
いれば再び記録動作が続行される。記録の終了信号が入
力されてくると回復系モータ61が動作しブレード59
を記録ヘッド側へ前進させ、記録ヘッドの吐出口形成面
に当接可能な位置に設定しワイピング動作が実施され
る。その後キャリッジ2は、キャップ51と当接可能位
置に設定されキャップ51が前進しキャッピングされ一
連の記録動作が終了する(S639)。
【0143】次に、図45に示すインク残量係数Gにつ
いて説明する。
【0144】該インク残量係数Gは、インクタンク内に
あるインク量Wの減少に伴って共通液室内の水頭圧が減
少し、リフィル性能の低下をきたすことを考慮して乗じ
られる補正係数であり、インク残量Wが少なくなるにつ
れて小さな値となるよう設定されている。
【0145】図46には、例えば図28あるいは図34
の温度センサ34からの出力信号により示されるインク
温度と印字行毎のドット数カウントとによって例えば図
11に示すMPU1000が前記自動吐出回復処理の基
本実行間隔Cを決定するために参照するテーブルを示
す。
【0146】このテーブルにはインク残量を考慮する以
前の、インク温度と単位時間あたりの平均印刷ドット数
とからのみ決定される基本実行間隔Cが示されている。
テーブルは、MPU1000のROM1001内に格納
されMPUを指示するプログラムによって適宜参照され
る構成となっており、プログラム上で参照の指示が下さ
れると、図46を参照し基本実行間隔Cが設定される。
ここで基本実行間隔Cは、低温すなわちインクの粘度が
高くなるほど小さくなり、また、印刷ドット数が多いほ
ど小さくなるよう設定されている。よって図中の数値の
大小関係はC8<C7 <C6 <C5 <C4 <C3
<C2 <C1 <C0 となっている。
【0147】また、自動吐出回復処理は、インクの粘度
が増大してリフィル性能の低下が現れ始める温度以下で
のみ実行されれば良いので、本参考例においてはインク
温度が19℃以下のときのみ実行することとした。これ
により、必要以上に吐出回復処理を行ってスループット
を低下させたり、前述した廃インクタンクの容量を極端
に増大させずに本発明に係る処理を実施することが可能
となる。
【0148】このようにして決定されたインク残量係数
Gと自動吐出回復処理基本実行間隔Cとを乗ずることに
より、実際に実行されるべき間隔CLが決定される。
【0149】これまで述べてきたように自動吐出回復処
理の実行間隔をインク温度あるいはインク残量等の変化
によって発生するリフィル特性の低下に応じて自動吐出
回復処理の実行間隔を最適に設定、実行することによっ
て、このリフィル性能の低下に伴って発生する画像劣化
を防止できる。
【0150】なお、上記第3例では、インク残量検知手
段として圧力センサを用いたが、印刷ドット数検知手段
を用いても構わない。この場合には使い捨て型のヘッド
に対しては、ヘッドの記録装置への装着の有無を検知す
る手段を設け、未使用状態からの総印刷ドット数を累積
的にカウントしインク残量を検知しても良い。またイン
クタンクのみを交換するタイプのパーマネント型では、
インクタンクの交換時からの総印刷ドット数をカウント
してもよい。
【0151】また、吐出回復処理の手順は常に一定のも
のとしたが、温度によりその処理方法を変え、例えば低
温においてインクの粘度が極端に高くなる等の場合に
は、インク温度がある温度以下になると図43に示した
前記自動吐出回復処理が2回連続して行なわれる等とし
ても良い。
【0152】さらに、図44に示した記録処理手順にお
いて、吐出回復処理の実行間隔を単位時間あたりの吐出
ドット数と、インク残量と、インクタンク内のインク温
度とにより決定したが、必ずしもこれによらなくとも良
く、例えば簡易的な方法を用いたい場合には、図47,
図48に示すように、記録用紙の種類、サイズ等により
実行間隔を一義的に定めても良い。この場合、実行間隔
は印字可能範囲の面積の広い方が小さく設定されてい
る。これは、改行あるいは改頁の入る間隔を考慮しての
ことであり、すなわち、少しでも実際の単位時間あたり
の吐出量に近似するためである。
【0153】さらに加えて、インクカートリッジあるい
は記録装置内に設けた温度センサにより印字中の温度上
昇量を検知し、この温度上昇量により印刷状態を推測し
て図49,図50により基本実行間隔Dを決定しても良
い。すなわち印字デューティーと温度上昇量との関係を
もとに印刷開始後のある一定時間後に印字開始直前の温
度との温度差を検知し、その上昇量に応じて実行間隔を
決定するものである。なお、図49では、決定された実
行間隔は一連の印刷が終了されるまで一定としたが、必
ずしもこれによらずとも良く、例えば常にある一定時間
毎に前記温度を参照して該基本実行間隔Dを変更しても
良い。(実施例)図51は本実施例の記録装置を有する
ワードプロセッサの斜視図であり、図52は本例のイン
クジェット記録装置を示す斜視図であり、上記各参考例
で示したものと同様の装置である。図52については異
なる部分のみについて説明する。
【0154】まず装置の全体について説明すると、この
装置は、図51に示すように、情報を入力するためのキ
ーボード2001と、入力情報を表示するためのCRT
を有した表示部2002と、入力情報を記憶するための
フロッピー(登録商標)ディスクを装着するディスクド
ライバー2004、さらには、入力情報を紙等の被記録
媒体2005に記録するための記録装置2003を備え
る。
【0155】この装置はキーボード2001により文字
情報等を入力すると、その入力情報が表示部2002に
表示される。この情報を出力するためにはインクジェッ
ト記録装置2003に被記録媒体2005をセットし、
キーボード2001上の記録開始キーを押下すると記録
装置が駆動されて、セットした被記録媒体に情報が記録
されるものである。
【0156】図52において、例えば図1と異なる点は
温度センサ34が記録装置の略中央部に配設され、装置
の温度を検出する点である。
【0157】図53は、図52に示されるヘッドカート
リッジ1の外観斜視図を示す。
【0158】図において、1415は、ヘッドカートリ
ッジ1を装置本体に装着する際にキャリッジ2(図52
参照)に設けられたフック3によって掛止される爪であ
る。図から明らかなように爪1415は記録ヘッドの全
延長より内側に配設される。また、ヘッドカートリッジ
1の前方には記録ヘッドユニット1411が配設され、
その近傍には、この図には示されないが位置決め用突き
当て部が設けられている。
【0159】また、1414は、このカートリッジの装
着時にキャリッジ2に立設されフレキシブル基板(電気
接続部)を支持するための支持板が挿入されるヘッド開
口部である。1413は記録ヘッドユニット1411と
一体に設けられた基板であり、吐出ヒータ(電気熱変換
素子)を設けたヒータボードと接続する。基板1413
は吐出ヒータへ電気を供給するためのフレキシブル基板
と電気的接合するためのコネクタ用基板を兼ねている。
【0160】次に、記録ヘッドの駆動タイミングについ
て説明する。
【0161】図52に示すような、いわゆるシリアルプ
リンタは、通常、縦(図において被記録媒体の搬送方
向)に複数のインク吐出口を有した記録ヘッドをキャリ
ッジに搭載し、このキャリッジを上記搬送方向とは直角
な方向に走行させる間に記録データに基づいて記録ヘッ
ドからインクを吐出するものである。
【0162】図54は、この方式による記録結果の一例
を示す模式図であり、図中、白丸は記録されない部分、
黒丸は記録されたインクドットである。
【0163】図54において、ドット配列の上下方向の
ドットは同一タイミングで吐出されたインクによるドッ
トであり、左右方向のドットは、キャリッジの走行に伴
なって異なるタイミングで吐出されたインクによるドッ
トである。また、キャリッジ走行中に記録ヘッドが駆動
されてインクを吐出するタイミングは、記録ヘッドを搭
載しているキャリッジの駆動源であるキャリッジモータ
の駆動に同期させて行っている。
【0164】図55および図56は、記録ヘッドの駆動
タイミングを示すタイミングチャートである。
【0165】前述の通り、記録ヘッドの駆動は記録ヘッ
ドを搭載しているキャリッジの駆動源であるキャリッジ
モータの駆動タイミングに同期させて行っており、図5
5に示すように、例えば左から右への記録を往路記録と
して、キャリッジモータに1A,2A…7Aのタイミン
グで励磁するとともに記録ヘッドの吐出駆動を行うと、
記録される画像はキャリアモータ励磁タイミング(1
A,2A…7A)の位置を基準にキャリア移動方向の下
流側、すなわち図中右側の位置(1a,2a…7a)に
記録される。また、記録方向が逆の復路記録においてモ
ータ励磁タイミング(1B,2B…7B)の位置を往路
記録時と同じものとすると、キャリッジ移動方向の下流
側に記録されることは同じであるため、この場合は図中
左側の位置(1b,2b…7b)に記録されることにな
る。
【0166】したがって、吐出駆動のタイミングをキャ
リッジモータの駆動タイミングに同期させると、キャリ
ッジの移動方向により励磁位置を基準として左右に記録
位置がずれてしまうことになる。さらに実際の記録装置
においては、機械的な要因により前記ずれ量が増加する
ことがある。
【0167】通常、実際の記録装置においては、キャリ
ッジモータの駆動力をギアを介してキャリッジに伝達さ
せる場合が多く、この場合、各ギア間にはバックラッシ
ュがあるため、キャリッジの移動方向を反転させる際に
キャリッジモータの駆動を逆転させてもバックラッシュ
がなくなるまでギアは駆動力を伝達せずその間、キャリ
ッジが移動しないことになる。
【0168】例えば、ギアのバックラッシュがキャリッ
ジモータの励磁1パルス分に等しい量であったとする
と、往路記録時にタイミング7A(図55参照)の励磁
で記録が終了し、復路記録時にこれと位置的に等しいタ
イミング1Bから励磁を開始しても、ギアのバックラッ
シュのため、キャリッジが、実際、タイミング7Aに対
応する位置に到達するのはタイミング2Bで励磁を行っ
た時となり、タイミング1Bで記録すると1パルス分の
ズレが発生してしまう。また、7bの位置の記録を行う
ためにはモータは最低8Bのタイミングまで励磁してキ
ャリッジを走行させる必要がある。
【0169】さらに、キャリッジモータとして一般的に
用いられるステッピングモータは、励磁を行ってから実
際モータの軸がその励磁された位置へ移動するまでには
ある時間の遅れTD(図56参照)があり、その分キャ
リッジの移動も遅れるためモータの励磁と記録ヘッドの
駆動タイミングを同期させても前記時間分の記録位置の
ずれが発生する。この時間の遅れTDは、モータの出力
トルクやキャリッジを駆動するための負荷等により決定
され、モータの出力トルクはモータの回転速度つまり記
録速度によって定まっておりまた装置温度により変化す
る。また、キャリッジを駆動するための負荷は装置温度
や経時変化等によって変化する。前述の記録方向によっ
てモータの励磁位置を基準とする記録位置のずれはキャ
リッジの移動速度つまり記録速度から算出することがで
き、またモータの励磁と実際のキャリアの位置のずれT
Dは、モータのトルクおよびキャリッジの駆動負荷を実
験的に求めて算出することができる。
【0170】図56に示されるように、キャリッジの往
路記録時にモータの励磁タイミングと実際のキャリッジ
の位置とのずれがTDあり、また、ギアのバックラッシ
ュがモータの1パルス相当分あるとすると、復路記録時
には、本来1aの記録と7bの記録位置が等しくなると
ころが7bの記録位置は3aの記録位置に近くなってし
まう。そのため、本来の記録位置にするためには7bの
記録を7b′の位置へ補正する必要がある(6bは6
b′へ、5bは5b′へ…順次補正していく)。この補
正する量をTHとすると、前述の通りTHは記録速度や
装置内温度等によって変化する。
【0171】そこで、図57に示すような、記録速度お
よび装置温度をパラメータとするテーブルを備え、それ
ぞれの条件下での補正量THを決定する。なお図57に
おいてはモータ1パルスを補正量TH=2とし、+は復
路時の記録を遅らせる方向(図55および図56で左側
に相当する方向)を現している。
【0172】次に、図58に示すフローチャートを用い
て実際の制御方法を説明する。
【0173】まず、記録命令を受信し(ステップS90
1)、次に記録速度を判別する(ステップS902)。
そして温度検出センサ34により装置温度TXを検出し
(ステップS903)、このTXに基づいて図57のテ
ーブルを参照して記録位置補正量THを決定する(ステ
ップS904)。その後、搬送モータを駆動して被記録
媒体を記録位置まで搬送し(ステップS905)、キャ
リッジを図52中右方向に移動させながら記録ヘッドを
駆動して往路記録を行う(ステップS906,S90
7)。次に、記録するデータが有るかを判断し(ステッ
プS908)、ない場合は記録終了(ステップS91
3)となり、有る場合は、ステップS909に進み、搬
送モータを駆動して被記録媒体を次の記録位置まで搬送
する(ステップS909)。その後、キャリッジを上記
とは逆方向に移動させながら(ステップS910)、記
録ヘッドを、補正量THだけ加算して駆動し復路記録を
行う(ステップS911)。そして、次に記録するデー
タが有るかを判断し(ステップS912)、有る場合
は、ステップS905に戻って繰り返し記録を行い、な
い場合は、記録終了(ステップS913)となる。
【0174】次に記録装置を駆動制御する制御構成につ
いて説明する。
【0175】図59は制御系を示すブロック図である。
このブロック図は各ブロックの接続関係のみを示し、詳
細なコントロールラインは省略してある。また破線で囲
まれた部分がCPUユニットである。
【0176】CPU2040は中央演算処理装置であ
り、後述のROM2041やフロッピィディスクドライ
バー2004等からプログラムや各種データを読み出
し、必要な演算や判断を行い、各種の制御を行うもので
ある。
【0177】ROM2041は、CPU2040が動作
するための各種プログラムや文字コード、ドットパター
ン(キャラクタジェネレータ;CG)等記録に必要な各
種データを格納している。
【0178】RAM2042は、CPU2040が命令
中のデータや演算結果を一時貯えておくワーキングエリ
ア、キーボード2001、外部インターフェース部20
44あるいはフロッピィディスクドライバー2004等
から入力された各種データを格納しておくバッファエリ
ア、文書を保存しておくテキストエリア等からなってい
る。またCPUユニットは記録ヘッドドライバー204
5、モータドライバー2046および検出部2047を
介してプリンタユニット2003と接続されている。
【0179】記録ヘッドドライバー2045はCPU2
040の制御により、前述のプリンタユニット2003
に設けられている記録ヘッドを駆動し、モータドライバ
−2046はCPU2040の制御によって搬送モー
タ、キャリッジモータ等を駆動する。
【0180】検出部2047はプリンタユニット200
3に設けられた記録装置内温度を検出する温度センサ3
4、あるいはキャリアの位置を検出するキャリアホーム
ポジションセンサ、記録媒体の有無を検出する紙センサ
等から検出情報をCPU2040に伝達する。電源20
48は、記録ヘッドの駆動用電源VH 、搬送モータ、
キャリッジモータ等の駆動用電源VM ,フロッピィデ
ィスクドライバー2004の駆動用電源VFDD ,並
びにその他のロジック回路用電源VCCを供給制御す
る。
【0181】また、コントローラ2043はCPU20
40の制御によって記録ヘッドの記録データ転送を行っ
たり、駆動電源VH の電圧電流を変化させたり各種の
制御を行う。
【0182】CPUユニットにはキーボードコネクタ
(KBC)2040を介して記録や編集等に必要な各種
データを入力するキーボード2001が接続されてい
る。また、CPUユニットにはCRTコネクタ(CRT
C)2050を介してキーボード2001より入力され
たデータや各種情報を表示するためのCRTで構成した
表示部2002が接続されている。尚、この表示部20
02はCRTの代わりに液晶表示等の他の構成にしても
良い。さらにCPUユニットにはフロッピィディスクド
ライバーコネクタ(FDDC)2051を介してフロッ
ピィディスクドライバー2004が接続されている。な
お、フロッピィディスクの代わりにハードディスク或い
は外部RAM等を接続するようにしても良い。CPUユ
ニットはインターフェースコネクタ(IFC)2052
を介して外部制御装置による記録装置2003の制御や
外部機器との通信を行うためのRS232C2053,
セントロニクス2054,モデム2055等のインター
フェースを接続することも可能である。
【0183】なお、上記実施例では、キャリッジの復路
記録時の記録ヘッド駆動タイミングを補正したが、本発
明はこれに限定されることなく、キャリッジの往路記録
時に上記駆動タイミングの補正を行ってもよいし、ま
た、往路記録時および復路記録時の両記録時に補正を行
ってもよい。
【0184】また、上記実施例では、記録ヘッド駆動の
補正量を、キャリッジモータの1/2パルス時間の整数
倍として設定したが、本発明はこれに限定されることな
く、キャリッジモータの励磁タイミングと無関係な任意
の時間に設定してもよい。
【0185】さらに、上記実施例では、記録速度を2種
類の記録装置について説明したが、本発明はこれに限定
されることなく、複数の記録速度を持つ記録装置につい
ても同様に実施できる。
【0186】さらに加えて、上記実施例では、上記補正
量を、記録速度と装置温度によるテーブルから決定する
ものとしたが、記録速度毎の装置内温度をパラメータと
した算出式からその都度導いて求めることもできる。
【0187】さらに加えて、上記実施例では、電気熱変
換素子を用い、この素子が発生する熱エネルギーを利用
してインクを吐出する方式としたが、本発明はこれに限
定されることなく、電気エネルギーを力に変換させてイ
ンクを吐出させるピエゾジェット方式等、被記録媒体と
非接触に記録ヘッドを配設し、インクを噴射して記録す
る方式の記録装置に適用することができる。
【0188】さらに加えて、インクジェット方式に限定
されることなく、ワイヤードット方式の記録装置におい
ても同様に適用でき、さらに熱転写方式の記録装置にお
いても、例えば、往路記録用記録ヘッドと復路記録用記
録ヘッドの2つの記録ヘッドをキャリッジに搭載するこ
とにより、本発明を同様に適用することができる。
【0189】また、記録ヘッドはインクタンクと一体と
し、キャリッジに対して取り外し可能であるものとした
が、これに限定されることなく、装置本体との電気的な
接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自
在のチップタイプの記録ヘッド、或は記録ヘッドは交換
不可能で、インクの供給を行うインクタンクが交換可能
なものを用いる方式にも適用できる。
【0190】さらに加えて、搭載される記録ヘッドの種
類ないし個数についても、例えば単色のインクに対応し
て1個のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異に
する複数のインクに対応して複数個設けられているもの
であっても良い。
【0191】さらに加えて、記録媒体の搬送方向とし
て、搬送ローラに記録媒体を巻き付けてピンチローラと
ガイドの押圧力により搬送する方法を示したが、本発明
はこれに限定されることなく、例えば搬送ローラに記録
媒体を巻き付けずに、水平に搬送する水平搬送方法にも
適用することができる。 (その他)なお、本発明は、特にインクジェット記録方
式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエ
ネルギとして熱エネルギを発生する手段(例えば電気熱
変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギによりイ
ンクの状態変化を生起させる方式の記録ヘッド、記録装
置において優れた効果をもたらすものである。かかる方
式によれば記録の高密度化,高精細化が達成できるから
である。
【0192】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0193】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0194】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0195】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0196】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0197】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0198】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0199】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0200】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、記録ヘッドを往復移動させて記録を行なう場合
に、記録ヘッドの移動速度およびその移動の際の、装置
中央部に配設された検知手段により検知される雰囲気温
度に基づいて、当該移動のための駆動タイミングに基づ
いた、往記録時と復記録時それぞれにおける記録ヘッド
の吐出タイミングを変化させるので、上記移動速度や雰
囲気温度によって変化する、記録方向による吐出インク
の着弾位置ずれに応じてその位置ずれを少なくすること
ができる。
【0201】この結果、記録結果の品位低下を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一参考例にかかるインクジェット記録
装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示した装置で用いることが可能なヘッド
カートリッジを示す模式図である。
【図3】図1に示した記録装置を用いたシステムの制御
構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の参考例にかかる第1の駆動モードとし
てのノンシフト印刷の印字タイミングを示す説明図であ
る。
【図5】本発明の例にかかる第2駆動モードとしてのシ
フト印刷の印字タイミングを示す説明図である。
【図6】上記第2駆動モードによるシフト印刷を説明す
るためのドットマトリックスを示す説明図である。
【図7】上記第2駆動モードとしてのシフト印刷によっ
て記録可能なドットマトリックスを示す模式図である。
【図8】上記記録装置による記録処理手順を示すフロー
チャートである。
【図9】本発明の第1参考例に係る駆動方法選定テーブ
ルを示す模式図である。
【図10】本発明の他の参考例に係りインク残量検出手
段を備えたヘッドカートリッジを示す模式図である。
【図11】本発明の他の参考例にかかる記録装置の制御
構成を示すブロック図である。
【図12】上記他の参考例にかかる記録装置による記録
処理手順を説明するフローチャートである。
【図13】本発明のさらに他の例にかかる記録装置の制
御構成を示すブロック図である。
【図14】図13に示した制御構成による記録ヘッド温
度算出処理を説明するためのブロック図である。
【図15】本発明のさらに他の参考例に係る駆動方法選
定テーブルを示す模式図である。
【図16】上述したシフト印刷の他の例によって記録可
能なドットマトリックスを示す模式図である。
【図17】シフト印刷のさらに他の例によって記録可能
なドットマトリックスを示す模式図である。
【図18】上述した駆動方法選定テーブルのさらに他の
例を示す模式図である。
【図19】(a)〜(d)は、本発明のさらに他の参考
例に関し記録ヘッドの種類を認識するための構成を説明
するための記録ヘッドの電気的接合部を示す模式的平面
図である。
【図20】本発明の第2参考例にかかるインクジェット
記録装置を示す斜視図である。
【図21】図20に示す装置に設けられ予備保温ヒータ
を配設したキャリッジを示す斜視図である。
【図22】図20に示す装置で用いることが可能なヘッ
ドカートリッジを示す分解斜視図である。
【図23】上記ヘッドカートリッジのインクタンク内に
設けられた温度センサを示す部分断面図である。
【図24】本発明の第2参考例に係る記録装置の記録処
理手順を示すフローチャートである。
【図25】上記第2参考例に係るインク残量係数選定テ
ーブルを示す模式図である。
【図26】上記第2参考例に係る用紙係数選定テーブル
を示す模式図である。
【図27】上記第2参考例に係る予備保温ヒータ駆動基
本パルス数選定テーブルを示す模式図である。
【図28】上記第2参考例の変形例にかかるヘッドカー
トリッジを示す分解斜視図である。
【図29】図28に示したカートリッジを側方から視た
断面図である。
【図30】上記第2参考例の他の変形例にかかるヘッド
カートリッジを示す分解斜視図である。
【図31】図30に示したカートリッジを側方から視た
断面図である。
【図32】上記第2参考例の他の変形例にかかるヘッド
カートリッジを上方から視た断面図である。
【図33】上記第2参考例の他の変形例にかかるヘッド
カートリッジを上方から視た部分断面図である。
【図34】上記第2参考例のさらに他の変形例にかかる
インクジェット記録装置の斜視図である。
【図35】上記第2参考例のさらに他の変形例にかかる
記録処理手順を示すフローチャートである。
【図36】上記処理手順で用いられる予備保温ヒータの
駆動基本パルス数選定テーブルを示す模式図である。
【図37】本発明の第3参考例にかかるインクジェット
記録装置を示す斜視図である。
【図38】図37に示した吐出回復処理装置を示す分解
斜視図である。
【図39】(a),(b)および(c)は図38に示し
た吐出回復処理装置におけるキャップの構成を示すそれ
ぞれ正面図,上面図および縦断面図である。
【図40】上記吐出回復処理装置におけるポンプ動作に
かかるカムチャートである。
【図41】(a)〜(e)は、吐出回復処理装置におけ
るポンプの各状態を示す断面図である。
【図42】上記吐出回復処理装置におけるブレードを用
いたワイピング動作を説明するための説明図である。
【図43】上記吐出回復処理装置の動作を示すフローチ
ャートである。
【図44】本発明の第3参考例にかかる記録装置の記録
印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図45】上記処理手順で用いられるインク残量係数の
テーブルを示す模式図である。
【図46】上記処理手順で用いられる自動吐出回復処理
の基本実行間隔Cのテーブルを示す模式図である。
【図47】上記第3例の変形例による記録処理手順を示
すフローチャートである。
【図48】上記第3参考例の変形例による自動吐出回復
処理で用いられる基本実行間隔Dのテーブルを示す模式
図である。
【図49】上記第3参考例の他の変形例による記録処理
手順を示すフローチャートである。
【図50】上記他の変形例による自動吐出回復処理で用
いられる基本実行間隔Eのテーブルを示す模式図であ
る。
【図51】本発明の実施例による記録装置を搭載したワ
ードプロセッサを示す外観斜視図である。
【図52】上記実施例で用いられる記録装置を示す斜視
図である。
【図53】上記装置で用いられるヘッドカートリッジを
示す斜視図である。
【図54】上記装置により記録可能なドットマトリック
スを示す模式図である。
【図55】従来のキャリッジモータと記録ヘッドの駆動
タイミングの関係を示すタイミングチャートである。
【図56】上記実施例によるキャリッジモータと記録ヘ
ッドの駆動タイミングの関係を説明するためのタイミン
グチャートである。
【図57】上記実施例で用いられる記録ヘッドの駆動補
正量のテーブルを示す模式図である。
【図58】上記実施例による記録装置の駆動手順を示す
フローチャートである。
【図59】上記実施例に用いられる制御系の構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 ヘッドカートリッジ 2 キャリッジ 2A キャリッジテーブル 3 フック 4 操作レバー 5 支持板 6 FPC 7 ガイド軸 8 軸受け 9 タイミングベルト 10 プーリ 11 キャリッジモータ 12 搬送ローラ 13 搬送モータ 14 ペーパーパン 15 ピンチローラー 16 プラテン 17 排紙ローラー 18 拍車 19 解除レバー 20 プレート 21 ペーパーパン全面部 22 キャップ 23 ポンプ 24 廃インクタンク 25 ブレード 26 回復系モータ 27 カム 28 チューブ 29 ノズル部 30 共通液室 31 チップタンク 32 スポンジ 33 フィルター 34 インク温度センサ 35 回復系ホームセンサ 36 キャリッジホームセンサ 37 インク残量検知手段 38 キーボード 39 装置内温度センサ 40 ヘッド装着時間検出手段 41,42,43,44,45 電気接点 46 電気的接合部 50 予備保温ヒータ 210 基板 300 ベースプレート 1000 MPU 1001 ROM 1002 RAM 1003 タイマ 1004 インターフェース部 1005 記録ドット数検知手段 1006 電源ON時間計測手段 1800 流路限定板
フロントページの続き (72)発明者 大島 則美 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−76267(JP,A) 特開 昭62−286778(JP,A) 特開 平4−82764(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/01 B41J 2/05 B41J 19/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するための記録ヘッドを用
    い、該記録ヘッドから被記録媒体にインクを吐出させて
    記録を行うインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドを前記被記録媒体に対向させながら移動
    させる移動手段と、 該移動手段による前記記録ヘッドの往復移動の間に、
    移動手段を駆動させるための駆動タイミングに基づいて
    当該記録ヘッドからインクを吐出させて往復記録を行わ
    せる往復記録手段と、 前記移動手段による前記記録ヘッドの移動速度を検知す
    る速度検知手段と、当該インクジェット記録装置の略中央に配設された 温度
    検知手段と、 前記速度検知手段が検知する移動速度および前記温度検
    知手段が検知する装置温度に基づいて、前記往記録時と
    前記復記録時それぞれにおける前記記録ヘッドの吐出タ
    イミングを変化させる吐出制御手段と、 を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記吐出制御手段は、前記往記録時の吐
    出タイミングに対して、前記移動速度および前記装置温
    度に応じた補正量を加えることによって前記復記録時の
    吐出タイミングを定め、前記往記録時と前記復記録時そ
    れぞれにおける吐出タイミングを変化させることを特徴
    とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記補正量は、前記移動速度および前記
    装置温度それぞれをパラメータとするテーブルによって
    得られることを特徴とする請求項2に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記移動手段は、ステッピングモータを
    有し該モータの駆動力によって記録ヘッドを移動させる
    ものであり、前記補正量は、前記ステッピングモータの
    パルス数に対応したものであることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用
    してインクに気泡を生じさせ、該気泡の生成に伴なって
    インクを吐出することを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれかに記載のインクジェット記録装置。
JP2000293026A 1993-03-31 2000-09-26 インクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP3327906B2 (ja)

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