JP3327829B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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JP3327829B2
JP3327829B2 JP4655998A JP4655998A JP3327829B2 JP 3327829 B2 JP3327829 B2 JP 3327829B2 JP 4655998 A JP4655998 A JP 4655998A JP 4655998 A JP4655998 A JP 4655998A JP 3327829 B2 JP3327829 B2 JP 3327829B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真,静電印
刷の如き画像形成方法において、静電荷潜像を顕像化す
る為のトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては米国特許第2,29
7,691号明細書、特公昭42−23910号公報お
よび特公昭43−24748号公報等に記載されている
ように多数の方法が知られているが、一般には光導電性
物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像
を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要
に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加
熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着し複
写物を得るものである。
【0003】近年、このような複写装置は、より小型
化、より軽量化そしてより高速化、より高信頼性が厳し
く追求されてきており、その結果トナーに要求される性
能もより高度になってきている。例えばトナー像を紙の
如きシート上に定着する工程に関して種々の方法や装置
が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラ
ーによる加熱圧着方式である。熱ローラーによる加熱圧
着方式は、トナーに対し離型性を有する材料で表面を形
成した熱ローラーの表面に被定着シートのトナー像面を
加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行
うものである。この方法は熱ローラーの表面と被定着シ
ートのトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を
被定着シート上に定着する際の熱効率が極めて良好であ
り迅速に定着を行うことができ、高速電子写真複写機に
おいて非常に有効である。
【0004】しかしながら、上述の従来多用されてきた
熱ローラー定着では、下記問題が発生しやすい。
【0005】(1)熱ローラーが所定温度に達するまで
の画像形成作動禁止の時間、所謂ウエイト時間がある。
【0006】(2)記録材の通過あるいは他の外的要因
で加熱ローラーの温度が変動することによる定着不良お
よび加熱ローラーへのトナーの転移所謂オフセット現象
を防止するために加熱ローラーを最適な温度に維持する
必要があり、このためには加熱ローラーあるいは加熱体
の熱容量を大きくしなければならず、これには大きな電
力を要すると共に、画像形成装置内の機内昇温の原因と
もなる。
【0007】(3)加熱ローラーが高温度であるため、
記録材が加熱ローラーを通過排出される際は、記録材及
び記録材上の定着画像が緩慢に冷却され、トナー及び定
着画像は粘着性を有し、加熱ローラーにオフセットした
りあるいは記録材を巻き込むことによる紙づまりを生ず
ることがある。
【0008】特開昭63−313182号公報において
は、パルス状に通電発熱させた低熱容量の発熱体によっ
て移動する耐熱性シートを介してトナー顕画像を加熱
し、記録材へ定着させる定着装置によってウエイト時間
が短く低消費電力の画像形成装置が提案されている。特
開平1−187582号公報においては、トナー像を耐
熱性シートを介して記録材へ加熱定着する定着装置にお
いて、該耐熱性シートが耐熱層と離型層あるいは低抵抗
層を有することで、オフセット現象を有効に防止する定
着装置が提案されている。
【0009】こうしたことから、トナー像の記録材への
良好な定着性、オフセットの防止を達成しつつ、ウェイ
ト時間が短く低消費電力である定着方法を実現するため
のトナーが待望されている。
【0010】例えば、特開昭51−14333号公報,
同57−148752号公報,同58−97056号公
報,同60−247250号公報,特開平4−3629
53号公報及び特開平6−230600号公報に、離型
剤として固形シリコーンワニス、高級脂肪酸系ワック
ス、高級アルコール系ワックス、植物系天然ワックス
(カルナバ、ライス)、モンタン系エステルワックスが
記載されている。しかしながら、トナーの低温定着性と
耐オフセット性をさらに改良する必要があり、また、こ
れらのトナーの現像性(帯電性)及び耐久性も向上させ
る必要がある。
【0011】一般にこの様な低軟化点離型剤をトナーに
含有させると、トナーの流動性が低下するため、現像性
や転写性が低下する。また、帯電性、耐久性、保存性に
も悪影響を及ぼしやすい。
【0012】これらの問題に対し、各種モノマーでグラ
フト或いはブロック共重合せしめた変性ワックスが提案
されている。
【0013】例えば、特開昭59−121052号公報
にはα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステルモノマ
ーによりグラフト/ブロック共重合せしめたポリオレフ
ィンを使用することが提案され、特開昭56−1547
0号公報,特開昭59−121053号公報,特開昭6
0−93456号公報及び特開昭63−34550号公
報には、芳香族ビニルモノマーによりグラフト/ブロッ
ク共重合せしめたポリオレフィンを使用することが提案
されている。これらのトナーは、流動性に関し改善され
ているが、耐オフセット性に劣り、さらに現像性(帯電
性)及び耐久性をさらに向上させる必要がある。
【0014】特開昭62−226260号公報、特開昭
63−139365号公報、特開平3−50559号公
報及び特開平6−208244号公報では、カルボン酸
又はマレイン酸で変性されたポリプロピレンを含有した
トナーあるいはトナー用樹脂組成物が提案されている。
さらに特開平9−127722号公報及び特開平9−1
27723号公報には、芳香族ビニルモノマーにより変
性されたポリオレフィンと重合体成分との組合せにより
低温定着性と耐オフセット性を改良したトナーが提案さ
れている。
【0015】しかし、上記構成においても、近年求めら
れる高速複写系においては未だ不十分である。即ち、複
写スピードがより高速となると定着時の加熱温度や加圧
力が従来と同程度でも、記録材が定着器を通過する時間
が短縮される。つまり記録材にかかるトータル熱量(仕
事量)としては減少される方向であり、トナーとしても
さらなる定着性の改良が不可欠である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高速
なプロセススピードにおいてもトナーの低温定着性、耐
オフセット性、高耐久性を満足するような静電荷像現像
用トナーを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも重
合体成分を有する樹脂組成物及び離型剤を含有している
トナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該
離型剤が1〜15mgKOH/gの酸価を有する酸変性
ポリプロピレン系ワックスを有しており、且つ該離型剤
の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークが130
℃以下であり、該離型剤は、エチレン成分を3重量%以
上含有していることを特徴とする静電荷像現像用トナー
に関する。
【0018】さらに本発明は、該離型剤中のエチレン成
分が3〜20重量%であることを特徴とする静電荷像現
像用トナーに関する。
【0019】さらに本発明は、該離型剤中のエチレン成
分が3〜10重量%であることを特徴とする静電荷像現
像用トナーに関する。
【0020】さらに本発明は、該離型剤がマレイン酸、
マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸のうち少な
くとも1種類以上から選択される酸モノマーにより変性
されていることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関
する。
【0021】さらに本発明は、(a)該樹脂組成物は、
実質的にTHF不溶分を含まず、(b)該トナー粒子の
THF可溶分は、GPCクロマトグラムにおいて、少な
くとも分子量3×103〜3×104の領域にメインピー
クを有し、且つ分子量1×105〜3×106の領域にサ
ブピーク又はショルダーを有し、(c)1mgKOH/
g以上の酸価を有することを特徴とする静電荷像現像用
トナーに関する。
【0022】さらに本発明は、該樹脂組成物において、
GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104未満の
領域の低分子量重合体の酸価(AVL)とGPCクロマト
グラムにおいて分子量5×104以上の領域の高分子量
重合体の酸価(AVH)とが下記条件 AVL>AVH を満足していることを特徴とする静電荷像現像用トナー
に関する。
【0023】さらに本発明は、該樹脂組成物において、
低分子量重合体の酸価(AVL)が12〜35mgKOH
/gであり、且つ高分子量重合体の酸価(AVH)が0.
5〜11mgKOH/gであり、且つその差の関係が 10≦(AVL−AVH)≦27 であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関す
る。
【0024】さらに本発明は、該樹脂組成物の酸価/全
酸価の値が0.7以下であることを特徴とする静電荷像
現像用トナーに関する。
【0025】さらに本発明は、該トナーのTHF可溶分
のGPCクロマトグラムにおいて、分子量3×104
上1×105未満の領域に極小値を有することを特徴と
する静電荷像現像用トナーに関する。
【0026】さらに本発明は、該樹脂組成物のガラス転
移点(Tg)が50〜70℃であり、かつ該組成物の低
分子量重合体のTgLと高分子量重合体のTgHの関係が TgL≧TgH−5 の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーに
関する。
【0027】さらに本発明は、該樹脂組成物のTgが5
5〜65℃であり、かつ該組成物の低分子量重合体成分
のTgLと高分子量重合体成分のTgHの関係が TgL≧TgH の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーに
関する。
【0028】さらに本発明は、該トナーのTHF可溶分
のGPCクロマトグラムにおいて分子量100万以上を
示す重合体成分の面積比が1〜20%であることを特徴
とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0029】さらに本発明は、該樹脂組成物の重合体成
分が下記の式を満足することを特徴とする静電荷像現像
用トナーに関する。
【0030】
【数2】
【0031】さらに本発明は、該樹脂組成物の低分子量
重合体成分及び高分子量重合体成分の双方が、少なくと
もスチレン系単量体成分ユニットを65重量%以上含有
していることを特徴とする静電荷像現像用トナーに関す
る。
【0032】さらに本発明は、該樹脂組成物の高分子量
重合体成分が、多官能性重合開始剤で重合された重合体
を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーに関す
る。
【0033】さらに本発明は、該樹脂組成物の高分子量
重合体成分が、多官能性重合開始剤と単官能性重合開始
剤を少なくとも併用して重合された重合体を有すること
を特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリプロピレン系
ワックスとは、主成分としてプロピレンを少なくとも5
0%以上含有するワックスのことであり、他にワックス
として機能する成分を含有しても良い。
【0035】本発明における離型剤は、1〜15mgK
OH/gの酸価を有する酸変性ポリプロピレン系ワック
スであり、且つDSCの吸熱ピークが130℃以下であ
り、離型剤中のエチレン成分が3重量%以上であること
を特徴とする。
【0036】ポリプロピレン系ワックス中のエチレン成
分含有量を3重量%以上であることにより、ワックスの
結晶化度を低下させることができ、トナー中でのワック
スの分散性が向上し、結着樹脂に対してワックスが可塑
剤として働くことにより、トナーの軟化点を下げること
ができ、さらには離型剤のDSCの吸熱ピークが130
℃以下と低いことでトナーの低温定着が達成される。ま
た酸価が上記範囲であることでトナー中のワックスの分
散が好ましい状態となり、定着性や帯電特性が改良さ
れ、長期にわたって高品質な画像を得ることができる。
【0037】離型剤中のエチレン成分が3重量%未満、
またはDSCの吸熱ピークが130℃を超える場合で
は、低温定着の効果が不十分となる。
【0038】離型剤の酸価が1mgKOH/g未満で
は、トナー中のワックスの分散径が小さくなり十分な離
型性、低温定着性が得られない。離型剤の酸価が15m
gKOH/gを超えると、ワックス同士の凝集性が強く
なりトナーの流動性や現像性に問題が発生する。
【0039】本発明に係わるDSC測定では、熱のやり
とりを測定し、その挙動を観測するので、測定原理か
ら、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定
する必要がある。例えばパーキンエルマー社製のDSC
−7が使用できる。
【0040】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回
昇温させ前履歴をとった後、温度速度10℃/min、
温度0〜200℃の範囲で降温・昇温させたときに測定
されるDSC曲線を用いる。吸熱ピーク温度とは、DS
C曲線において、プラスの方向のピーク温度のことであ
り、即ち、ピーク曲線の微分値が正から負に変わる際の
0になる点を言う。
【0041】また、本発明の離型剤中のエチレン成分含
有量は、核磁気共鳴装置(NMR)による組成分析で測
定することができる。
【0042】さらに、離型剤中のエチレン成分は3〜2
0重量%(より好ましくは3〜10重量%)であること
が、定着性、現像性の観点からより好ましい。
【0043】本発明の酸変性プロピレン系ワックスを合
成する方法としては、例えば、プロピレン及びエチレン
の単量体からプロピレン−エチレン共重合体をある程度
高分子量化して合成し、得られたプロピレン−エチレン
共重合体を所望の吸熱ピークが得られる程度まで熱分解
し、更に酸基を有するモノマーを反応させた後に再び熱
分解する方法があげられる。
【0044】本発明に用いるポリプロピレン系ワックス
は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)により測定される分子量分布で、重量平均分子量
(Mw)が50000以下、好ましくは30000以下
であることが、ワックスに本発明の特徴とする熱特性を
付与する観点から好ましい。
【0045】本発明に用いるポリプロピレン系ワックス
の変性に使用する酸モノマーとしては、カルボキシル
基、カルボン酸無水基、カルボン酸塩基のうち少なくと
も1種以上を含有するものが好ましく、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン
酸等のアクリル酸及びそのα−あるいはβ−アルキル誘
導体、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸等の不飽和
ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体または無水物
等があり、これらの酸モノマーを単独、或は混合して用
いることができる。
【0046】中でも、マレイン酸、マレイン酸ハーフエ
ステル、無水マレイン酸の少なくとも1種類以上から選
択される酸モノマーにより、変性されたポリプロピレン
系ワックスであることが好ましい。
【0047】本発明においてワックスの分子量分布はゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によ
り次の条件で測定される。
【0048】<GPC測定条件> 装置 :GPC−150C(ウォーターズ社) カラム:GMH−HT30cm 2連(東ソー社製) 温度 :135℃ 溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール
添加) 流速 :1.0ml/min 試料 :0.15%の試料を0.4ml注入
【0049】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した
分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Hou
wink粘度式から導き出される換算式でポリプロピレ
ン換算などワックスに応じた換算をすることによって算
出される。
【0050】本発明において、ワックスの酸価は以下の
方法により求める。
【0051】<ワックス成分の分取>トナーサンプル
0.5〜1.0gを秤量し、円筒濾紙(例えば東洋濾紙
製No.86R)に入れて、溶媒としてトルエン100
〜200mlを用いて20時間ソックスレー抽出し、溶
媒によって溶出された可溶成分をエバポレートした後、
100℃で数時間真空乾燥する。得られた抽出物にクロ
ロホルム20mlを加え、1時間静置した後ポアサイズ
0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、乾燥さ
せてワックス成分を得る。
【0052】<酸価の測定> ・装置及び器具 直示天秤 三角フラスコ(200ml) メスシリンダー(100ml) ミクロビュレット(10ml) 電熱器 ・試薬 キシレン ジオキサン N/10苛性カリ標準メタノール溶液 1%フェノールフタレイン溶液(指示薬) ・測定法 三角フラスコにワックス1〜1.5gを精秤し、これに
キシレン20mlを加えた後、加熱溶解する。溶解後ジ
オキサン20mlを加え、液が濁りまたはカスミを生じ
ない間にN/10苛性カリ標準メタノール溶液で1%フ
ェノールフタレインを指示薬としてできるだけ早く滴定
する。同時に空試験を行う。
【0053】・計算式
【0054】
【数3】 ただし、A:本試験に要したN/10苛性カリ標準メタ
ノール溶液のml数 B:空試験に要したN/10苛性カリ標準メタノール溶
液のml数 f:N/10苛性カリ標準メタノール溶液のfacte
r S:試料(g)
【0055】また、本発明のトナー組成物は、実質的に
THF不溶分を含まない方が好ましい。具体的には、樹
脂組成物基準で5重量%以下、好ましくは3重量%以下
である。
【0056】本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の
樹脂組成物中のTHF溶媒に対して不溶性となったポリ
マー成分(実質的に架橋ポリマー)の重量割合を示し、
架橋成分を含む樹脂組成物の架橋の程度を示すパラメー
ターとして使うことができる。THF不溶分とは、以下
のように測定された値をもって定義する。
【0057】即ち、トナーサンプル0.5〜1.0gを
秤量し(w1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.
86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒とし
てTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、溶
媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、
100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を
秤量する(w2g)。トナー中の磁性体あるいは顔料の
如き樹脂成分以外の成分の重量を(w3g)とする。T
HF不溶分は、下記式から求められる。
【0058】THF不溶分(%)=〔{w1−(w3+w
2)}/(w1−w3)〕×100
【0059】THF不溶分を5重量%を超えて含有する
と、定着性を悪化させるだけでなく、本発明の実施例で
用いられる加熱定着装置とのマッチングの点で好ましく
ない。
【0060】本発明のトナー組成物中の重合体成分のT
HF可溶分により測定されるGPCのクロマトグラムが
少なくとも分子量3×103〜3×104(より好ましく
は、5×103〜2×104)の領域にメインピークを有
し、且つ、分子量1×105〜3×106(より好ましく
は、5×105〜1×106)の領域にサブピークもしく
はショルダーを有することが好ましい。
【0061】また、上記GPCのクロマトグラムにおい
て分子量100万以上を示す重合体成分の面積比が1〜
20%(より好ましくは3〜10%)を示すことが好ま
しい。分子量が100万以上でTHFに可溶な成分が1
〜20%存在することで、低温定着を阻害することなく
耐オフセット性を向上させると同時に、現像剤の高温放
置下での保存安定性をも高めることが出来る。
【0062】本発明において、トナーの樹脂組成物の重
合体成分の分子量分布は、GPC(ゲルパーミェーショ
ンクロマトグラフィ)によって次の条件で測定される。
【0063】〈樹脂組成物及び重合体のGPC測定条
件〉 装置 :GPC−150C(ウォーターズ社製) カラム:KF801〜7(ショウデックス社製)の7連 温度 :40℃ 溶媒 :THF(テトラヒドロフラン) 流速 :1.0ml/min. 試料 :濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1m
l注入
【0064】また、本発明に使用される重合体成分は、
1mgKOH/g以上の酸価を有することが好ましい。
【0065】酸価を有する重合体成分と酸価を有するワ
ックスとを組み合わせることで、重合体成分中のワック
スの分散が良好となり、低温定着性、耐オフセット性、
さらには現像性向上に最も効果的である。
【0066】また、本発明の該重合体成分の低分子量重
合体(GPCクロマトグラムにおいて分子量5×104
未満の領域)の酸価(AVL)と高分子量重合体(GPC
クロマトグラムにおいて分子量5×104以上の領域)
の酸価(AVH)とが下記条件 AVL>AVH を満足していることが好ましい。
【0067】これは、低分子量重合体成分の酸価より高
分子量重合体成分の酸価を低く(より好ましくは10m
gKOH/g以上)設定することにより、低分子量重合
体成分と高分子量重合体成分及び本発明の離型剤成分の
分子鎖のからみ合いをある程度抑制し、このため、低温
側での低粘度化、高温側での弾性特性維持、更には、離
型剤成分がある程度のドメイン径をもってトナー中に存
在するため、十分な離型効果が得られるものと考えられ
る。またこのことは、高速機における低温定着化,現像
特性の向上につながるものである。
【0068】また、本発明に使用される重合体成分は、
低分子量重合体成分(GPCクロマトグラムにおいて分
子量5×104未満の領域)の酸価(AVL)が21〜3
5mgKOH/gであり、且つ高分子量重合体成分(G
PCクロマトグラムにおいて分子量5×104以上の領
域)の酸価(AVH)が0.5〜11mgKOH/gであ
り、且つその差の関係が 10≦(AVL−AVH)≦27 であることが好ましい。
【0069】その酸価の差が27mgKOH/gを超え
ると、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分の混合
性及び離型剤成分の分散に不具合が生じ耐久オフセット
性,現像性が低下する。
【0070】更には、低分子量重合体成分の酸価が21
mgKOH/g以上の場合に、帯電の立ち上がり性が良
好となる。
【0071】一方、低分子量重合体成分の酸価が35m
gKOH/gを超えると、環境特性、特に高湿下の現像
性が損われる。
【0072】また、高分子量重合体成分の酸価が0.5
mgKOH/g未満の場合では、低分子量重合体成分
(酸価21〜35mgKOH/g)及び本発明の離型剤
成分との混合性が不具合となり、耐オフセット性、現像
性、特にカブリ抑制が悪化する。
【0073】また、重合体成分は、酸価/全酸価の比の
値が、0.7以下(より好ましくは、0.4〜0.6)
であることがより好ましい。酸価/全酸価の値が0.7
を超えると、トナーの帯電のバランス、すなわち、帯電
・放電のバランスが、帯電傾向となり、トナー帯電安定
性が低下しやすい。
【0074】また、重合体成分は、重合体成分のTHF
可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量3×10
4以上1×105未満の領域に極小値(Min)を有する
ことが好ましい。低温定着性と耐高温オフセット性を両
立するために、低分子量重合体成分及び高分子量重合体
成分それぞれ独立した分子量分布を形成していることが
好ましい。
【0075】また、本発明のトナー樹脂組成物の重合体
成分は、低分子量重合体成分と高分子量重合体成分との
関係において、その混合割合に関して、 WL:WH=50:50〜90:10 を満足することが好ましい。その理由は、低分子量重合
体成分と高分子量重合体成分の割合が、この範囲内であ
ると、定着性及び耐オフセット性が向上するからであ
る。すなわち、低分子量成分は50重量%未満であると
定着性が低下し、一方、高分子量成分が10重量%未満
となると耐高温オフセット性が低下する。
【0076】更に、これらの混合量と酸価との関係にお
いては、
【0077】
【数4】
【0078】更に本発明においては、該ポリプロピレン
系ワックスの酸価が低分子量重合体成分の酸価に対し
て、 0.5×AVL>AVWAX>0.05×AVL を満足することが好ましい。
【0079】酸変性ポリプロピレン系ワックスの酸価が
上記の条件を満たすことにより、より良好なトナー流動
性,帯電安定性が得られる。AVWAXが0.5×AVL以上
だと、ワックス同士の凝集性が強くなり、トナーの流動
性や現像性に問題が発生する。AVWAXが0.05×AVL
以下だと、トナー中のワックスの分散径が小さくなり、
十分な離型性,低温定着性が得られない。
【0080】本発明においてトナー重合体成分の低分子
重合体成分及び高分子重合体成分の酸価(JIS酸価)
は以下の方法により求める。
【0081】〈各成分の分取〉 [装置構成] LC−908(日本分析工業株式会社製) JRS−86(同社;リピートインジェクタ) JAR−2(同社;オートサンプラー) FC−201(ギルソン社;フラクッションコレクタ)
【0082】[カラム構成] JAIGEL−1H〜5H(20φ×600mm:分取
カラム)
【0083】[測定条件] 温度:40℃ 溶媒:THF 流量:5ml/min. 検出器:RI
【0084】試料は、予め重合体成分以外の添加剤を分
離しておく。分取方法としては、分子量が5×104
なる溶出時間を予め測定し、その前後で低分子重合体成
分及び高分子重合体成分を分取する。分取したサンプル
から溶剤を除去し酸価測定用試料とする。
【0085】〈酸価(JIS酸価)の測定〉 1)試料の粉砕品0.1〜0.2gを精秤し、その重さ
をW(g)とする。
【0086】2)20cc三角フラスコに試料を入れ、
トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液10ccを
加え溶解する。
【0087】3)指示薬としてフェノールフタレインの
アルコール溶液数滴を加える。
【0088】4)0.1規定のKOHのアルコール溶液
を用いてフラスコ内の溶液をビュレットを用いて滴定す
る。この時のKOH溶液の量をS(ml)とする。同時
にブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB
(ml)とする。
【0089】5)次式により酸価を計算する。
【0090】
【数5】
【0091】本発明における全酸価の測定は、下記の通
り行う。
【0092】〈全酸価の測定〉 1)試料は予め重合体成分以外の添加物を除去し使用す
る。試料の粉砕品約2gを精秤し、その重さをw′
(g)とする。
【0093】2)200cc三角フラスコに試料を入
れ、1,4−ジオキサン30cc、ピリジン10cc、
4−ジメチルアミノピリジン20mgを加え1時間溶解
する。
【0094】3)イオン交換水3.5ccを加え4時間
還流する。その後冷却する。
【0095】4)指示薬としてフェノールフタレインの
アルコール溶液数滴を加える。
【0096】5)0.1規定のKOHのTHF溶液を用
いてフラスコ内の溶液をビュレットを用いて滴定する。
この時のKOH溶液の量をS′(ml)とする。同時に
ブランクテストをし、この時のKOH溶液量をB′(m
l)とする。
【0097】6)次式により全酸価を測定する。
【0098】
【数6】
【0099】KOHのTHF溶液としては、KOH6.
6gをイオン交換水20ccに加え溶解し、次でTHF
720cc、イオン交換水100ccを加え、その後撹
拌しながらメタノールを透明になるまで加えたものを用
いる。
【0100】本発明の重合体成分の酸価を調整するモノ
マーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α
−エチルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸及び
そのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイ
ン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びその
モノエステル誘導体又は無水マレイン酸などがあり、こ
のようなモノマーを単独或いは混合して、他のモノマー
と共重合させることにより所望の重合体を作ることがで
きる。この中でも、特に不飽和ジカルボン酸のモノエス
テル誘導体を用いることが酸価/全酸価値をコントロー
ルする上で好ましい。
【0101】より具体的には、例えば、マレイン酸モノ
メチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチ
ル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノアリル、
マレイン酸モノフェニル、フマル酸モノメチル、フマル
酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノフェ
ニルなどのようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエ
ステル類;n−ブテニルコハク酸モノブチル、n−オク
テニルコハク酸モノメチル、n−ブテニルマロン酸モノ
エチル、n−ドデセニルグルタル酸モノメチル、n−ブ
テニルアジピン酸モノブチルなどのようなアルケニルジ
カルボン酸のモノエステル類;フタル酸モノメチルエス
テル、フタル酸モノエチルエステル、フタル酸モノブチ
ルエステルなどのような芳香族ジカルボン酸のモノエス
テル類;などが挙げられる。
【0102】以上のようなカルボキシル基含有モノマー
は、結着樹脂の高分子側を構成している全モノマーに対
し1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%添加すれ
ばよい。
【0103】上記のようなジカルボン酸のモノエステル
モノマーが選択される理由としては、該懸濁重合では水
系の懸濁液に対して、溶解度の高い酸モノマーの形で使
用するのは適切でなく、溶解度の低いエステルの形で用
いるのが好ましいからである。
【0104】本発明において、上記のような方法で得ら
れた共重合体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル
部位はアルカリ処理を行い、ケン化させることもでき
る。即ち、アルカリのカチオン成分と反応させて、カル
ボン酸基或いはカルボン酸エステル部位を極性官能基に
変化させることで制御することが可能である。
【0105】このアルカリ処理は、バインダー樹脂製造
後、重合時に使用した溶媒中に水溶液として投入し、撹
拌しながら行なえばよい。本発明に用いることのできる
アルカリとしては、Na,K,Ca,Li,Mg,Ba
などのアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物;
Zn,Ag,Pb,Niなどの遷移金属の水酸化物;ア
ンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ピリジウム塩
などの4級アンモニウム塩の水酸化物などがあり、特に
好ましい例として、NaOHやKOHが挙げられる。
【0106】本発明において上記ケン化反応は、共重合
体中のカルボン酸基及びカルボン酸エステル部位の全て
に渡って行われる必要はなく、部分的にケン化反応が進
行し、極性官能基に変わっていればよい。
【0107】また、ケン化反応に用いるアルカリの量
は、バインダー樹脂中の極性基の種類、分散方法、構成
モノマーの種類などにより一概に決定し難いのである
が、バインダー樹脂の酸価の0.02〜5倍当量であれ
ばよい。0.02倍当量より少ない場合はケン化反応が
十分でなく、反応によって生じる極性官能基の数が少な
くなり、結果として後の架橋反応が不十分となる。逆に
5倍当量を超える場合は、カルボン酸エステル部位など
の官能基に対し、エステルの加水分解、ケン化反応によ
る塩の生成などによって官能基に悪影響を及ぼす。
【0108】尚、酸価の0.02〜5倍当量のアルカリ
処理を施した時は、処理後の残存カチオン濃度が5〜1
000ppmの間に含まれ、アルカリの量を規定するの
に好ましく用いることができる。
【0109】本発明に係る樹脂組成物は、保存性の観点
から、ガラス転移温度(Tg)が50〜70℃、好まし
くは55〜65℃であり、Tgが50℃より低いと高温
雰囲気下でのトナーの劣化や定着時でのオフセットの原
因となる。また、Tgが70℃を超えると、定着性が低
下する傾向にある。
【0110】本発明に係る樹脂組成物の低分子量重合体
成分のTgLと高分子量重合体成分のTgHの関係は、 TgL≧TgH−5(℃) の範囲にあることが好ましく、TgLがTgH−5未満で
ある場合、現像性が低下する傾向がある。より好ましく
はTgL≧TgHがよい。
【0111】本発明に係る結着樹脂組成物を製造する方
法として、溶液重合法により高分子量重合体と低分子量
重合体を別々に合成した後にこれらを溶液状態で混合
し、次いで脱溶剤する溶液ブレンド法、また、押出機等
により溶融混練するドライブレンド法、さらに溶液重合
法等により得られた低分子量重合体を溶解した高分子量
重合体を構成するモノマーに溶解し、懸濁重合を行い、
水洗・乾燥し、樹脂組成物を得る2段階重合法等が挙げ
られる。しかし、ドライブレンド法では、均一な分散、
相溶の点で問題があり、また、2段階重合法だと均一な
分散性等に利点が多いものの、低分子量重合体成分を高
分子量重合体成分以上に増量することが困難であり、低
分子量重合体成分の存在下では、分子量の大きい高分子
量重合体成分の合成が困難であるだけでなく、不必要な
低分子量重合体成分が副生成する等の欠点が有ることか
ら、本発明に適用するには、該溶液ブレンド法が最も好
適である。また、低分子量重合体成分に所定の酸価を導
入する方法としては、水系の重合法に比べ酸価の設定が
容易である溶液重合が好ましい。
【0112】本発明に係る樹脂組成物の高分子量成分の
合成方法として本発明に用いることの出来る重合法とし
て、溶液重合法、乳化重合法や懸濁重合法が挙げられ
る。
【0113】このうち、乳化重合法は、水にほとんど不
溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水
相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行
う方法である。この方法では反応熱の調節が容易であ
り、重合の行われる相(重合体と単量体からなる油相)
と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、その結
果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。更
に、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重合生
成物が微細粒子であるために、トナーの製造において、
着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容易で
あること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の製造
方法として有利な点がある。
【0114】しかし、添加した乳化剤のため生成重合体
が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操
作が必要で、この不便を避けるためには懸濁重合が好都
合である。
【0115】懸濁重合においては、水系溶媒100重量
部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは1
0〜90重量部)で行うのが良い。使用可能な分散剤と
しては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール
部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、一般に
水系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用
いられる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使
用する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択す
べきである。
【0116】本発明に用いられる樹脂組成物の高分子量
重合体成分は、本発明の目的を達成する為に以下に例示
する様な多官能性重合開始剤単独あるいは単官能性重合
開始剤を併用する。
【0117】多官能構造を有する多官能性重合開始剤の
具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス
−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、
2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)
ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3、トリス−(t−ブチルパ
ーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキ
シブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリッ
クアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパー
オキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチル
パーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリ
メチルアジペート、2,2−ビス−(4,4−ジ−t−
ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−
t−ブチルパーオキシオクタン及び各種ポリマーオキサ
イド等の1分子内に2つ以上のパーオキサイド基などの
重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始
剤、及びジアリルパーオキシジカーボネート、t−ブチ
ルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリル
カーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフ
マレート等の1分子内に、パーオキサイド基などの重合
開始機能を有する官能基と重合性不飽和基の両方を有す
る多官能性重合開始剤から選択される。
【0118】これらの内、より好ましいものは、1,1
−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシ
クロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイド
ロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレー
ト及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオ
キシアリルカーボネートである。
【0119】これらの多官能性重合開始剤は、トナー用
バインダーとして要求される種々の性能を満足する為に
は、単官能性重合開始剤と併用されることが好ましい。
特に該多官能性重合開始剤の半減期10時間を得る為の
分解温度よりも低いそれを有する重合開始剤と併用する
ことが好ましい。
【0120】具体的には、ベンゾイルパーオキシド、
1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t
−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシ
ド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロ
ピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t
−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソ
ブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾお
よびジアゾ化合物等が利用出来る。
【0121】これらの単官能性重合開始剤は、前記多官
能性重合開始剤と同時にモノマー中に添加しても良い
が、該多官能性重合開始剤の開始剤効率を適正に保つ為
には、任意の重合条件下で、重合時間が該多官能性重合
開始剤の示す半減期を経過した後に添加するのが好まし
い。
【0122】これらの開始剤は、効率の点からモノマー
100重量部に対し0.05〜2重量部で用いるのが好
ましい。
【0123】本発明に用いられる樹脂組成物の高分子量
重合体成分は、本発明の目的を達成する為に以下に例示
する様な架橋性モノマーで架橋されていることが好まし
い。
【0124】架橋性モノマーとしては主として2個以上
の重合可能な二重結合を有するモノマーが用いられ、具
体例としては、芳香族ジビニル化合物、例えば、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレン等;アルキル鎖で結ば
れたジアクリレート化合物類、例えば、エチレングリコ
ールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジア
クリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートを
メタクリレートに代えたもの;エーテル結合を含むアル
キル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、例えば、ジ
エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリレート、テトラエチレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリ
レート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレー
ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上
の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたも
の;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジア
クリレート化合物類、例えば、ポリオキシエチレン
(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリ
レート、及び、以上の化合物のアクリレートをメタクリ
レートに代えたもの;更には、ポリエステル型ジアクリ
レート化合物類、例えば、商品名MANDA(日本化
薬)が挙げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエ
リスリトールアクリレート、トリメチロールエタントリ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステ
ルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメ
タアクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
【0125】これらの架橋剤は、他のモノマー成分10
0重量部に対して、1重量部以下、好ましくは0.00
1〜0.05重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0126】これらの架橋性モノマーのうち、トナーの
定着性,耐オフセット性の点から好適に用いられるもの
として、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼ
ン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジ
アクリレート化合物類が挙げられる。
【0127】一方、本発明に係る結着樹脂の低分子量成
分の合成方法としては、公知の方法を用いることが出来
る。しかし、塊状重合法では、高温で重合させて停止反
応速度を速めることで、低分子量の重合体を得ることが
できるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。
その点、溶液重合法では、溶媒によるラジカルの連鎖移
動の差を利用して、また、開始剤量や反応温度を調整す
ることで低分子量重合体を温和な条件で容易に得ること
ができ、本発明で用いる樹脂組成物中の低分子量体を得
るには好ましい。特に、開始剤使用量を最小限に抑え、
開始剤残渣の影響を極力抑えるという点で、加圧条件下
での溶液重合法も好ましい。
【0128】高分子量重合体成分を得る為のモノマー及
び、低分子量重合体成分を得る為のモノマーとしては、
次のようなものが挙げられる。
【0129】例えばスチレン;o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシ
スチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレ
ン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチ
レン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチ
レン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチ
レン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノ
オレフィン類;ブタジエン等の不飽和ポリエン類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニルなど
のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸
ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメ
チルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル
などのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、
アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アク
リル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのア
クリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエ
チルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニル
エーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケト
ン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン
類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−
ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリ
ル酸もしくはメタクリル酸誘導体;のビニル系モノマー
が単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0130】これらの中でもスチレン系共重合体、スチ
レン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み
合わせが好ましい。
【0131】また、低分子量及び高分子量重合体成分の
双方が、少なくともスチレン系重合体成分又は共重合体
成分を65重量部以上含有することが混合性の点で好ま
しい。
【0132】本発明において、酸価を有するワックスの
他に、酸価を持たない離型剤を併用することも可能であ
る。
【0133】離型剤の添加量は、バインダー重合体成分
100重量部に対して約1〜20重量部が好ましい。
【0134】ワックスは、トナー製造に際し、予めバイ
ンダー重合体成分中に添加、混合しても良い。特に、重
合体成分の調整時に、ワックスと高分子量重合体とを溶
剤に予備溶解した後、低分子量重合体溶液とを混合する
方法でも良い。
【0135】本発明の静電荷像現像用トナーは、重合体
成分、離型剤及び着色剤としての顔料、染料又は磁性
体、帯電制御剤、その他の添加剤等をボールミルの如き
混合機により充分混合してから加熱ロール、ニーダー、
エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及
び練肉し、冷却固化後粉砕及び厳密な分級をおこなうこ
とにより生成することができる。
【0136】また、本発明の静電荷像現像用トナーを得
るための他の方法として、重合法によってトナーを製造
することが可能である。この重合法トナーは重合性単量
体、離型剤及び帯電制御剤、顔料又は染料、磁性酸化
鉄、重合開始剤(更に必要に応じて架橋剤及びその他の
添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物
とした後、この単量体組成物あるいは、この単量体組成
物をあらかじめ重合したものを分散安定剤を含有する連
続相(例えば水)中に適当な攪拌機を用いて分散し、同
時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子
としたものである。なお、重合法では磁性酸化鉄を使用
する場合、あらかじめ疎水化処理することが好ましい。
【0137】さらに図2を参照しながら、本発明が使用
される画像形成方法の一例を説明する。
【0138】一次帯電器742で感光ドラム(静電荷像
保持体)1表面を負極性に帯電し、レーザ光による露光
705によりイメージスキャニングによりデジタル潜像
を形成し、磁性ブレード711および磁石を内包してい
る現像スリーブ704を具備する現像器709の一成分
系磁性トナー710で該潜像を反転現像する。現像部に
おいて感光ドラム1の導電性基体は接地され、現像スリ
ーブ704にはバイアス印加手段712により交互バイ
アス、パルスバイアス及び/又は直流バイアスが印加さ
れている。転写紙Pが搬送されて、転写部にくるとロー
ラ転写手段2により転写紙Pの背面(感光ドラム側と反
対面)から電圧印加手段8で帯電をすることにより、感
光ドラム表面上の現像画像(トナー像)が接触転写手段
2によって転写紙P上へ転写される。感光ドラム1から
分離された転写紙Pは、加熱加圧ローラ定着器707に
より転写紙P上のトナー画像を定着するために定着処理
される。
【0139】転写工程後の感光ドラムに残留する一成分
系磁性トナーは、クリーニングブレードを有するクリー
ニング器708で除去される。クリーニング後の感光ド
ラム1は、イレース露光706により徐電され、再度、
一次帯電器742による帯電工程から始まる工程が繰り
返される。
【0140】感光ドラムは感光層及び導電性基体を有
し、矢印方向に動く。トナー担持体である非磁性円筒の
現像スリーブ704は、現像部において静電像保持体表
面と同方向に進むように回転する。非磁性円筒スリーブ
704の内部には、磁界発生手段である多極永久磁石
(マグネットロール)が回転しないように配されてい
る。現像器709内の一成分系絶縁性磁性トナー710
は非磁性円筒面上に塗布され、かつ現像スリーブ704
の表面と磁性トナー粒子との摩擦によって、磁性トナー
粒子は、例えばマイナスのトリボ電荷が与えられる。さ
らに弾性ドクターブレード711を円筒表面を押圧する
ように設け、磁性トナー層の厚さを薄く(30μm〜3
00μm)且つ均一に規制して、現像部における感光ド
ラム1と現像スリーブ704の間隙よりも薄い磁性トナ
ー層を形成する。この現像スリーブ704の回転速度を
調整することにより、スリーブ表面速度が感光ドラム表
面の速度と実質的に当速、もしくはそれに近い速度とな
るようにする。現像部において現像スリーブ704に交
流バイアスまたはパルスバイアスをバイアス手段712
により印加しても良い。この交流バイアスはfが200
〜4,000Hz、Vppが500〜3,000Vであ
れば良い。
【0141】現像部における磁性トナー粒子の移転に際
し、静電像保持面の静電的力及び交流バイアスまたはパ
ルスバイアスの作用によってトナー粒子は静電像側に移
転する。
【0142】弾性ブレード711のかわりに、鉄の如き
磁性ドクターブレードでも良い。
【0143】
【実施例】以下、具体的実施例によって本発明を説明す
るが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0144】[樹脂組成物の製造例1]低分子量重合体(L−1)の合成 4つ口フラスコ内にキシレン300重量部を投入し、撹
拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して
還流させる。
【0145】この還流下で、スチレン75重量部、アク
リル酸−n−ブチル18重量部、マレイン酸モノブチル
7重量部及びジ−tert−ブチルパーオキサイド2重
量部の混合液を4時間かけて滴下した後、2時間保持し
重合を完了し、低分子量重合体(L−1)溶液を得た。
【0146】この重合体溶液の一部をサンプリングし、
減圧下で乾燥させ、得られた低分子量重合体(L−1)
のGPC、及びガラス転移点(Tg)の測定を行ったと
ころ、重量平均分子量(Mw)=9,600、数平均分
子量(Mn)=6,000、ピーク分子量(PMw)=
8,500、Tg=62℃、酸価25であった。
【0147】また、この時の重合体転化率は97%であ
った。
【0148】高分子量重合体(H−1)の合成 4つ口フラスコ内に脱気水180重量部とポリビニルア
ルコールの2重量%水溶液20重量部を投入した後、ス
チレン70重量部、アクリル酸−n−ブチル25重量
部、マレイン酸モノブチル5重量部、ジビニルベンゼン
0.005重量部、及び2,2−ビス(4,4−ジ−t
ert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン
(半減期10時間温度;92℃)0.1重量部の混合液
を加え、撹拌し懸濁液とした。
【0149】フラスコ内を十分に窒素で置換した後、8
5℃まで昇温して、重合を開始した。同温度に24時間
保持した後、ベンゾイルパーオキサイド(半減期10時
間温度;72℃)0.1重量部を追加添加した。さら
に、12時間保持して重合を完了し、高分子量重合体
(H−1)を得た。
【0150】該高分子量重合体(H−1)を濾別し、水
洗、乾燥した後、分析したところ、Mw=180万、P
Mw=120万、Tg=62℃、酸価6であった。
【0151】樹脂組成物の製造 4つ口フラスコ内に、キシレン100重量部と上記高分
子量重合体(H−1)25重量部を投入し、昇温して還
流下で撹拌し、予備溶解を行う。この状態で12時間保
持した後、高分子重合体(H−1)の均一な予備溶解液
(Y−1)を得た。
【0152】一方、別容器に上記低分子量重合体(L−
1)の均一溶液300重量部を投入し、還流させる。
【0153】上記予備溶解液(Y−1)と低分子量重合
体(L−1)溶液を還流下で混合した後、有機溶剤を留
去し、得られた樹脂を冷却、固化後粉砕してトナー用樹
脂組成物Iを得た。
【0154】該樹脂組成物Iを分析したところ、PMw
=110万、分子量100万以上の樹脂組成物のGPC
の分子量分布における面積比は9.2%、Tg=62.
5℃、THF不溶分は2.0重量%であった。
【0155】[樹脂組成物の製造例2〜7]樹脂組成物
の製造例1と同様に、マレイン酸モノブチル、スチレ
ン、アクリル酸n−ブチル量及び開始剤量を調整し、低
分子量重合体L−2〜L−5及び高分子量重合体H−2
〜H−4を得、それぞれ所定量ブレンドして樹脂組成物
II〜VIIを得た。その分子量分布等の結果を表1に
示す。
【0156】
【表1】
【0157】[ワックスの製造例1]高分子量プロピレ
ン−エチレン共重合体(エチレン成分含有量5重量%)
を、スタティックミキサーを組み込んだ管に連続的に通
しながら、400℃で2時間熱分解を行った。得られた
プロピレン−エチレン共重合体100重量部と無水マレ
イン酸1.0重量部を、窒素導入管,温度計,冷却管及
び撹拌棒を備えた1リットルの4ツ口コルベンに仕込
み、コルベン内に窒素を通しながらマントルヒーターで
加熱、昇温、撹拌しながら200℃で12時間反応させ
た。反応後、温度を200℃に保持した状態で系内を減
圧して脱気処理した後冷却し、酸価が3.5mgKOH
/g、エチレン成分含有量が5重量%、DSCの吸熱ピ
ークが127℃のワックス1を得た。結果を表2に示
す。
【0158】[ワックスの製造例2]無水マレイン酸を
1.2重量部にした以外はワックスの製造例1と同様に
してワックス2を得た。結果を表2に示す。
【0159】[ワックスの製造例3]無水マレイン酸を
2.0重量部にした以外はワックスの製造例1と同様に
してワックス3を得た。結果を表2に示す。
【0160】[ワックスの製造例4]高分子量プロピレ
ン−エチレン共重合体(エチレン成分含有量6重量%)
を用い、熱分解時間を1時間にし、無水マレイン酸を
3.7重量部にした以外はワックスの製造例1と同様に
してワックス4を得た。結果を表2に示す。
【0161】[ワックスの製造例5]高分子量プロピレ
ン−エチレン共重合体(エチレン成分含有量23重量
%)を用い、熱分解時間を3時間にし、無水マレイン酸
を3.2重量部にした以外はワックスの製造例1と同様
にしてワックス5を得た。結果を表2に示す。
【0162】[ワックスの製造例6]高分子量プロピレ
ン−エチレン共重合体(エチレン成分含有量15重量
%)を用い、熱分解時間を2.5時間にし、無水マレイ
ン酸を2.7重量部にした以外はワックスの製造例1と
同様にしてワックス6を得た。結果を表2に示す。
【0163】[ワックスの製造例7]熱分解温度を38
0℃にした以外はワックスの製造例1と同様にしてワッ
クス7を得た。結果を表2に示す。
【0164】[ワックスの製造例8]無水マレイン酸を
5.0重量部にした以外はワックスの製造例1と同様に
してワックス8を得た。結果を表2に示す。
【0165】[ワックスの製造例9]高分子量ポリエチ
レンワックスを用い、酸変性を行わなかった以外はワッ
クスの製造例1と同様にしてワックス9を得た。結果を
表2に示す。
【0166】[ワックスの製造例10]高分子量プロピ
レン−エチレン共重合体(エチレン成分含有量2重量
%)を用い、熱分解時間を0.5時間にした以外はワッ
クスの製造例1と同様にしてワックス10を得た。結果
を表2に示す。
【0167】[ワックスの製造例11]ライスワックス
を製造例1と同様に熱分解してワックス11を得た。結
果を表2に示す。
【0168】 <実施例1> 樹脂組成物I 100重量部 磁性酸化鉄 100重量部 ワックスNo.1 4重量部 帯電制御剤 2重量部
【0169】上記混合物を、140℃に加熱された二軸
エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマ
ーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕
し、得られた微粉砕粉を固定壁型風力分級機で分級して
分級粉を生成した。さらに、得られた分級粉をコアンダ
効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジ
ェット分級機)で超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除
去して重量平均粒径(D4)6.6μm(粒径12.7
μm以上の磁性トナー粒子の含有量0.3%)の磁性ト
ナーを得た。得られたトナーの物性を表2及び表3に、
GPCクロマトグラムのチャートを図1に示す。
【0170】この磁性トナー100重量部と、ジメチル
ジクロロシラン処理した後、ヘキサメチルジシラザン処
理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎
水性シリカ微粉体(BET300m2/g)1.2重量
部と、ソープフリー重合により得られたスチレン−アク
リル系微粒子(平均粒径0.05μm)0.08重量部
とをヘンシェルミキサーで混合して磁性現像剤を調製し
た(トナーNo.A)。
【0171】<実施例2〜10>樹脂組成物Iの代わり
に樹脂組成物II〜Vを使用し、さらにワックスを種類
及び酸価の異なるものに代える以外は、実施例1と同様
にして磁性トナーを得た(トナーNo.B〜J)。得ら
れたトナーの物性を表2及び表3に示す。
【0172】<比較例1〜4>実施例1の樹脂組成物I
の代わりにIVを使用し、さらにワックスを種類及び酸
価の異なるものに代える以外は、実施例1と同様にして
磁性トナーを得た(トナーNo.a〜d)。得られたト
ナーの物性を表2及び表3に示す。
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】画出し試験 上記磁性トナーをプロセスカートリッジに入れ、キヤノ
ン製レーザービームプリンターLBP−930をA4横
送りで24枚/分から32枚/分に改造し、さらに定着
器の加熱ローラーと加圧ローラー間の総圧を25kg、
ニップを7mmに設定した。このときのプロセススピー
ドは、145mm/secであった。
【0176】以上の設定条件で、高温高湿環境下(3
2.5℃,85%RH)及び低温低湿環境下(15℃,
10%RH)において画出し試験を行い、得られた画像
を下記の項目について評価した。プリントモードは2枚
/20secとした。
【0177】1)画像濃度 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に12,000
枚プリントアウト終了時の画像濃度維持により評価し
た。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス
社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリ
ントアウト画像に対する相対濃度を測定した。
【0178】2)カブリ リフレクトメーター(東京電色(株)製)により測定し
た転写紙の白色度と、ベタ白をプリント後の転写紙の白
色度との比較からカブリを算出した。尚、環境は、低温
低湿下(15℃,10%RH)とし、プリントモードは
2枚/20secとした。
【0179】定着性,耐オフセット性試験 上述磁性トナーをプロセスカートリッジに入れ、キヤノ
ン製レーザービームプリンターLBP−930を24枚
/分から32枚/分に改造し、加熱加圧ローラー定着器
の加熱ローラーの表面温度を140〜230℃まで外部
から変更できるように改造する以外は上述の画出し試験
機と同様の条件を設定し、設定温度を5℃刻みに変更さ
せながら常温常湿環境下(25℃,60%RH)にて画
像サンプルのプリントアウトを行った。
【0180】1)定着性 定着性は、50g/cm2の荷重をかけ、柔和な薄紙に
より定着画像を摺擦し。摺擦前後での画像濃度の低下率
(%)が、10%以下である最低の温度を最低定着温度
として評価を行った。表4に、最低定着温度を示す。
尚、試験紙として定着性に厳しい複写機用普通紙(90
g/m2)紙を使用した。
【0181】2)耐オフセット性 耐オフセット性は、画像面積率約5%のサンプル画像を
プリントアウトし、画像上の汚れの程度により評価し
た。画像上の汚れの発生しない最高温度を表4に示す。
尚、試験紙としてオフセットの発生しやすい複写機用普
通紙(60g/m2)紙を使用した。
【0182】評価の結果を表4に示す。
【0183】
【表4】
【0184】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はトナー中
の離型剤成分の組成、酸価並びにDSCの吸熱ピークを
調整することにより、従来よりも低温定着性、耐オフセ
ット性に優れたトナーを得ることができる。さらに装置
の高速化に適用しても環境によらず長期にわたって高品
質な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る樹脂のGPCクロマトグラムの
チャート図である。
【図2】本発明が使用される画像形成方法の一例を示す
概略図である。
【符号の説明】
1 潜像担持体(感光体) 2 転写ローラー 3 定電圧電源 704 現像スリーブ 742 帯電ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−129863(JP,A) 特開 平3−168652(JP,A) 特開 平4−299357(JP,A) 特開 平9−236943(JP,A) 特開 平8−220805(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/097 G03G 9/087

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも重合体成分を有する樹脂組成
    物及び離型剤を含有しているトナー粒子を有する静電荷
    像現像用トナーにおいて、 該離型剤が1〜15mgKOH/gの酸価を有する酸変
    性ポリプロピレン系ワックスを有しており、且つ該離型
    剤の示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピークが13
    0℃以下であり、該離型剤は、エチレン成分を3重量%
    以上含有していることを特徴とする静電荷像現像用トナ
    ー。
  2. 【請求項2】 該離型剤は、エチレン成分を3〜20重
    量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の静
    電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 該離型剤は、エチレン成分を3〜10重
    量%含有していることを特徴とする請求項1に記載の静
    電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 該離型剤がマレイン酸、マレイン酸ハー
    フエステル、無水マレイン酸のうち少なくとも1種類以
    上から選択される酸モノマーにより変性されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷
    像現像用トナー。
  5. 【請求項5】 (a)該樹脂組成物は、実質的にTHF
    不溶分を含まず、 (b)該トナー粒子のTHF可溶分は、GPCクロマト
    グラムにおいて、少なくとも分子量3×103〜3×1
    4の領域にメインピークを有し、且つ分子量1×105
    〜3×106の領域にサブピーク又はショルダーを有
    し、 (c)1mgKOH/g以上の酸価を有することを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像
    用トナー。
  6. 【請求項6】 該樹脂組成物において、GPCクロマト
    グラムにおいて分子量5×104未満の領域の低分子量
    重合体の酸価(AVL)とGPCクロマトグラムにおいて
    分子量5×104以上の領域の高分子量重合体の酸価
    (AVH)とが下記条件 AVL>AVH を満足していることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 【請求項7】 該樹脂組成物において、低分子量重合体
    の酸価(AVL)が12〜35mgKOH/gであり、且
    つ高分子量重合体の酸価(AVH)が0.5〜11mgK
    OH/gであり、且つその差の関係が 10≦(AVL−AVH)≦27 であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記
    載の静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 該樹脂組成物の酸価/全酸価の値が0.
    7以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    かに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 【請求項9】 該トナーのTHF可溶分のGPCクロマ
    トグラムにおいて、分子量3×104以上1×105未満
    の領域に極小値を有することを特徴とする請求項1乃至
    8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  10. 【請求項10】 該樹脂組成物のガラス転移点(Tg)
    が50〜70℃であり、かつ該組成物の低分子量重合体
    のTgLと高分子量重合体のTgHの関係がTgL≧TgH
    −5の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至9のい
    ずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  11. 【請求項11】 該樹脂組成物のTgが55〜65℃で
    あり、かつ該組成物の低分子量重合体成分のTgLと高
    分子量重合体成分のTgHの関係が TgL≧TgH の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至10のいず
    れかに記載の静電荷像現像用トナー。
  12. 【請求項12】 該トナーのTHF可溶分のGPCクロ
    マトグラムにおいて分子量100万以上を示す重合体成
    分の面積比が1〜20%であることを特徴とする請求項
    1乃至11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  13. 【請求項13】 該樹脂組成物の重合体成分が下記の式
    を満足することを特徴とする請求項1乃至12のいずれ
    かに記載の静電荷像現像用トナー。 【数1】
  14. 【請求項14】 該樹脂組成物の低分子量重合体成分及
    び高分子量重合体成分の双方が、少なくともスチレン系
    単量体成分ユニットを65重量%以上含有していること
    を特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の静電
    荷像現像用トナー。
  15. 【請求項15】 該樹脂組成物の高分子量重合体成分
    が、多官能性重合開始剤で重合された重合体を有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の静
    電荷像現像用トナー。
  16. 【請求項16】 該樹脂組成物の高分子量重合体成分
    が、多官能性重合開始剤と単官能性重合開始剤を少なく
    とも併用して重合された重合体を有することを特徴とす
    る請求項1乃至15のいずれかに記載の静電荷像現像用
    トナー。
  17. 【請求項17】 該ポリプロピレン系ワックスの酸価
    (AVWAX)が低分子量重合体成分の酸価(AVL)に対
    し、下記条件 0.5×AVL>AVWAX>0.05×AVL を満足することを特徴とする請求項1乃至16のいずれ
    かに記載の静電荷像現像用トナー。
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