JP3326770B2 - 自己免疫疾患モデル動物 - Google Patents

自己免疫疾患モデル動物

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JP3326770B2
JP3326770B2 JP2000607462A JP2000607462A JP3326770B2 JP 3326770 B2 JP3326770 B2 JP 3326770B2 JP 2000607462 A JP2000607462 A JP 2000607462A JP 2000607462 A JP2000607462 A JP 2000607462A JP 3326770 B2 JP3326770 B2 JP 3326770B2
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武二 西川
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、自己免疫疾患のモデル動物およびその作製
方法に関する。
背景技術 尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris; PV)は、時とし
て致命的となる皮膚及び粘膜の自己免疫水疱形成疾患で
あり、組織学的には表皮内の水疱形成により特徴付けら
れ、免疫病理学的にはケラチノサイトの細胞表面に対す
るIgG自己抗体により特徴付けられる(Stanley, J.R. P
emphigus. In Dermatology in General Medicine. I.M.
Freedberg, A. Z. Eisen, K. Wolff, K.F. Austen, L.
A. Goldsmith, S.I. Katz, and T.B. Fitzpatrick, ed
s. McGraw-Hill, New York, 654-666 (1998))。臨床的
には、尋常性天疱瘡患者は、広範な弛緩性の水疱及びび
らんを示す。これらは、あらゆる重層扁平上皮に生じう
る。適当な治療を行わなければ、広範囲の皮膚に生じた
病巣が体液の病出又は二次的な細菌感染を引き起こすた
め、尋常性天疱瘡は致命的となることもある。コルチコ
ステロイドの全身投与及び免疫抑制療法を用いることに
より、天疱瘡の予後は改善されているが、治療の合併症
による死亡のため、死亡率は依然としてかなり高い。
尋常性天疱瘡の標的抗原は、最初、ケラチノサイト抽
出物の免疫沈降により、130kD の糖タンパク質として同
定された(Stanley, J.R. et al., J. Clin. Invest. 7
0:281-288 (1982); Stanley, J.R. et al., J. Clin. I
nvest. 74:313-320 (1984))。その後、尋常性天疱瘡抗
原に特異的なアフィニティ精製自己抗体を用いてヒト・
ケラチノサイト発現ライブラリーを免疫スクリーニング
することにより、尋常性天疱瘡抗原のcDNAが単離された
(Amagai, M. et al., Cell 67:869-877 (1991))。塩
基配列の解析により、尋常性天疱瘡抗原は、細胞間接着
分子のカドヘリン・スーパー遺伝子ファミリーに属する
ことが示された。尋常性天疱瘡抗原は、デスモソームの
膜タンパク質であり(Karpati, S. et al., J. Cell Bi
ol. 122:409-415 (1993))、デスモグレイン3(desmog
lein3/Dsg3)と名付けられた(Amagai, M. Adv. Derma
tol. 11:319-352 (1996))。
Dsg3タンパク質に対するIgG自己抗体が尋常性天疱瘡
の病因的役割を示す証拠は多数存在する。第一に、経時
的な疾患の活性が、血中抗体力価と相関していること
が、間接蛍光抗体法(Sams Jr, W.M. & Jordon, R.E.,
Br. J. Dermatol. 84:7-13 (1971))又はELISA(Ishii,
K., et al., J. Immunol. 159:2010-2017 (1997); Ama
gai, M., et al., Br. J. Dermatol. 140:351-357 (199
9))により報告されている。第二に、尋常性天疱瘡を患
う母親の新生児は、胎盤を介して移行した母親由来のIg
Gのために一時的に疾患を有する(Merlob, P. et al.,
Pediatrics 78:1102-1105 (1986))。母親由来のIgGが
異化されるにつれ、症状は軽快する。第三に、尋常性天
疱瘡患者由来のIgGは、組織培養された皮膚において、
補体又は炎症細胞なしに水疱形成を誘導することができ
る(Schiltz, J.R., & Michel, B., J. Invest. Dermat
ol. 67:254-260 (1976); Hashimoto, K. et al., J. Ex
p. Med. 157:259-272 (1983))。第四に、患者の血清由
来のIgGを新生マウスに受動移入すると、典型的な組織
学的所見を伴う表皮内水疱形成が起こる(Anhalt, G.J.
et al., N. Engl. J. Med. 306:1189-1196 (1982))。
第五に、患者の血清を、細胞外ドメインからなる組換え
Dsg3タンパク質(rDsg3)を用いて免疫吸収除去する
と、血清の病原性が除去され、新生マウスにおける水疱
形成が阻害される(Amagai, M. et al., J. Clin. Inve
st. 94:59-67 (1994))。最後に、rDsg3でアフィニティ
精製された抗体は、病原性を有し、新生仔マウスにおい
て尋常性天疱瘡の組織学的所見を伴う水疱を形成させる
(Amagai, M. et al., J. Clin. Invest. 90:919-926
(1992); Amagai, M. et al., J. Clin. Invest. 102:77
5-782 (1998))。
これらの研究から、尋常性天疱瘡は、特に自己抗体生
成後の過程に関しては、最もよく特徴が決定された自己
免疫疾患の一つとなっている。従って、尋常性天疱瘡
は、現在では、自己抗体産生又は自己寛容の破壊の細胞
メカニズムを研究するため、また、疾患特異的な治療法
を開発するための、組織特異的自己免疫疾患の良い疾患
モデルである。これらの目標に達するための第一段階と
して、尋常性天疱瘡の活性疾患動物モデルの開発が必要
である。
実験的自己免疫疾患動物モデルの大部分は、様々なア
ジュバントを用いて自己抗原を繰り返し注射することに
より作製されている。しかし、重症筋無力症の場合のよ
うに、アセチルコリン・レセプター(T.カリフォルニカ
(T.californica))で免疫されたマウスに活性な疾患が
発生する頻度は系統により極めて異なるため、この方法
は、非常に経験に頼ったものである(Berman, P.W. et
al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 377:237-57 (1981))。
過去に、重症複合免疫不全(SCID)マウスを尋常性天
疱瘡患者由来のPBMCで再構築することにより、尋常性天
疱瘡のインビボ実験モデルが開発された(Juhasz, I. e
t al., J. Clin. Invest. 92:2401-7 (1993))。このモ
デルでは、患者由来のリンパ球が低力価の血中自己抗体
を産生したが、マウス皮膚にヒトIgG沈着を伴う自発的
な表皮内水疱が見られることは稀であった。ヒトの皮膚
をSCIDマウスに移植した場合には、移植された皮膚に尋
常性天疱瘡様の水疱が見られたが、このモデルにおける
水疱発生の原因は、ヒトのPBMC及び皮膚の組織不適合に
よる炎症反応である可能性も否定できていない。このよ
うに、確実な尋常性天疱瘡の活性疾患モデルは存在して
いなかった。
発明の開示 本発明は、自己免疫疾患のモデル動物およびその作製
方法を提供する。より詳しくは、自己免疫疾患の抗原タ
ンパク質に反応するT細胞やB細胞の活性化とそれに伴
う自己抗体の安定的な産生が誘導され、自己免疫疾患の
表現型を示す非ヒト哺乳動物およびその作製方法を提供
する。好ましい態様において、該モデル動物は、自己免
疫疾患の抗原タンパク質に対する抗体を産生するB細
胞、および/または抗原タンパク質に反応するT細胞を
含む免疫担当細胞の移植により作製される。
本発明者らは、上記課題を解決するために、まず、従
来一般的に用いられてきた反復注射法を採用して、マウ
ス内における自己抗体の産生を試みた。具体的には、3
系統のマウス、BALB/c(H-2d)、C3H/HeJ(H-2k)、及
びC57BL/6N(H-2b)をヒト又はマウスのDsg3タンパク質
で免疫した。初回免疫においては完全フロイント・アジ
ュバントを用い、その後は、不完全フロイント・アジュ
バントを用いて3又は7回追加免疫を行った。しかしな
がら、この方法では、いずれのマウスもマウスDsg3タン
パク質に反応することができる抗体を産生せず(表
1)、尋常性天疱瘡の表現型を全く発現しなかった。
この結果に基づき、本発明者らは、マウス体内におい
て病原性抗体が産生されないのは、Dsg3タンパク質に対
する自己寛容のためであるとの仮説をたてた。この仮説
に基づけば、遺伝子ターゲティング技術により作製した
Dsg3欠損マウスは発生段階で免疫系がDsg3タンパク質に
曝されず、Dsg3タンパク質に対する自己寛容を獲得して
いないと考えられる。
本発明者らは、この仮説を証明するために、Dsg3欠損
マウスに対してDsg3タンパク質を免疫して、Dsg3タンパ
ク質に対する抗体を産生するか否かの検討を行った。そ
の結果、Dsg3タンパク質の免疫により、DSG3遺伝子をホ
モで欠損しているDSG3-/-マウスでは、DSG3遺伝子をヘ
テロで欠損しているDSG3+/-マウスと比較して、はるか
に効率的な抗体の産生が検出された(図1A)。また、DS
G3-/-マウスにおいて産生された抗体は、ケラチノサイ
ト上のマウスDsg3タンパク質に結合することができた
が、DSG3+/-マウスの抗体は結合できなかった(図1
B)。即ち、DSG3-/-マウスにおいては、DSG3タンパク質
に対する自己寛容が成立しておらず、産生された抗体が
マウスDsg3タンパク質を抗原として認識することが判明
した。
そこで、本発明者らは、次に、Dsg3タンパク質で免疫
したDSG3-/-マウスから脾細胞(DSG3タンパク質に対す
る抗体の産生能を有する)を取り出し、これをRAG2-/-
免疫不全マウスに養子移入して、該マウス内でのDsg3タ
ンパク質に対する抗体の産生および尋常性天疱瘡の表現
型の発現を試みた。RAG2-/-マウスは、Dsg3タンパク質
を発現しているが、T細胞レセプター又は免疫グロブリ
ンの遺伝子を再編成することができないため、これらの
マウスには成熟T又はB細胞が存在しない(即ち、免疫
不全となっている)。
その結果、DSG3-/-マウスの脾細胞が移植されたRAG2-
/-マウスでは、脾細胞に含まれるDsg3タンパク質に特異
的なリンパ球が内因性のDsg3タンパク質に結合し、これ
によりDsg3タンパク質に対する抗体が永続的に産生され
た(図2A)。また、免疫されたDSG3-/-脾細胞をもつRAG
2-/-マウスは、DSG3-/-マウスとほぼ同一の表現型を示
すことが見出された(Koch, P.J., et al., J. Cell Sc
i. 111:2529-2537 (1998); Koch, P.J., et al., J. Ce
ll Biol. 137:1091-1102 (1997))。いずれのマウス
も、粘膜のびらん性損傷、皮膚の基底上棘融解、休止期
毛の消失を示した(図3)。DSG3-/-脾細胞の養子移入
によりRAG2-/-受容マウスにおいてほぼ同一の表現型が
再現したことは、産生された抗体が特異的かつ病原性で
あることを証明するものである。
この抗体の特異性は、Dsg2タンパク質を発現している
他の単層上皮(Schafer, S. et al., Exp. Cell Res. 2
11:391-9 (1994))、又はDsg1タンパク質を発現してい
る表皮の上部(図3G)(Amagai, M. et al., J. Inves
t. Dermatol. 106:351-355 (1996))には、インビボの
沈着が見られないことからも裏付けられる。
このように、本発明は、天疱瘡の最初の疾患マウスモ
デルおよびその作製方法を提供するものである。本発明
の方法は、その性質上、自己抗体の標的が同定されてい
る他の自己免疫疾患のモデル動物の作製に広く応用する
ことが可能である。
従って、本発明は、自己免疫疾患のモデル動物および
その作製方法に関し、より具体的には、 (1) 自己免疫疾患の抗原タンパク質に反応する抗体
の産生またはT細胞の活性化により、自己免疫疾患の表
現型を示す非ヒト哺乳動物、 (2) 自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損している非ヒ
ト哺乳動物の免疫担当細胞が移植されている、(1)に
記載の非ヒト哺乳動物、 (3) 自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損している非ヒ
ト哺乳動物を抗原タンパク質で免疫し、その免疫担当細
胞が移植されている、(1)に記載の非ヒト哺乳動物、 (4) 免疫担当細胞の移植が、免疫不全非ヒト哺乳動
物に対して行われている、(2)または(3)に記載の
非ヒト哺乳動物、 (5) 免疫不全非ヒト哺乳動物が、RAG2遺伝子を欠損
している非ヒト哺乳動物である、(4)に記載の非ヒト
哺乳動物、 (6) 免疫担当細胞が脾細胞である、(2)から
(5)のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物、 (7) 自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である、(1)か
ら(6)のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物、 (8) 抗原タンパク質がデスモグレイン3タンパク質
である、(7)に記載の非ヒト哺乳動物、 (9) げっ歯類である、(1)から(8)のいずれか
に記載の非ヒト哺乳動物、 (10) マウスである、(9)に記載の非ヒト哺乳動
物、 (11) 自己免疫疾患の抗原タンパク質に反応する抗
体の産生またはT細胞の活性化により、自己免疫疾患の
表現型を示す非ヒト哺乳動物の作製方法であって、 (a)自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損している非ヒト
哺乳動物を自己免疫疾患の抗原タンパク質で免疫する工
程、 (b)該非ヒト哺乳動物から免疫担当細胞を調製する工
程、および (c)該免疫担当細胞を抗原タンパク質を有する非ヒト
哺乳動物に移植する工程、を含む方法、 (12) 免疫担当細胞の移植が、免疫不全非ヒト哺乳
動物に対して行われている、(11)に記載の方法、 (13) 免疫不全非ヒト哺乳動物が、RAG2遺伝子を欠
損している非ヒト哺乳動物である、(12)に記載の方
法、 (14) 免疫担当細胞が脾細胞である、(11)から
(13)のいずれかに記載の方法、 (15) 自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である、(1
1)から(14)のいずれかに記載の方法、 (16) 抗原タンパク質がデスモグレイン3タンパク
質である、(15)に記載の方法、 (17) 非ヒト哺乳動物がげっ歯類である、(11)
から(16)のいずれかに記載の方法、 (18) げっ歯類がマウスである、(17)に記載の
方法、に関する。
本発明のモデル動物は、自己免疫疾患の抗原タンパク
質に反応する抗体の安定的な産生、またはT細胞の持続
的な活性化により、自己免疫疾患の表現型を示すことが
できる。
本発明においてモデル動物の作製を行うための対象疾
患としては、自己免疫疾患であれば特に制限はない。自
己免疫疾患としては、例えば、尋常性天疱瘡、重症筋無
力症、自己免疫性溶血性貧血、バセドー病、橋本病、グ
ットパスチャー症候群、自己免疫性糖尿病、多発性硬化
症などが挙げられるが、これらに制限されない。
モデル動物の作製に用いられる動物は、好ましくは非
ヒト哺乳動物である。非ヒト哺乳動物としては、遺伝子
欠損動物を作製しうるものであれば制限はない。好適な
動物としては、げっ歯類、例えば、マウスが挙げられ
る。
本発明のモデル動物は、抗原遺伝子を欠損している非
ヒト哺乳動物を自己免疫疾患の抗原タンパク質で免疫
し、その免疫担当細胞を摘出し、これを該抗原タンパク
質を有する他の非ヒト哺乳動物に移植することにより作
製することができる。
抗原遺伝子を欠損した動物の作製は、当業者に公知の
方法で行うことができる。欠損させる抗原遺伝子として
は、例えば、自己免疫疾患が尋常性天疱瘡であればDSG3
遺伝子、重症筋無力症であればアセチルコリン受容体遺
伝子、バセドー病や橋本病であればTSH受容体遺伝子、
グットパスチャー症候群であればIV型コラーゲン遺伝
子、多発性硬化症であればミエリン塩基性蛋白質遺伝子
などが挙げられるが、これら例示したものに制限されな
い。
また、免疫担当細胞の摘出は、胸腺、リンパ節、脾
臓、肝臓、腸管上皮、抹消血などから行なうことができ
るが、これらに制限されない。成熟した免疫担当細胞が
多く含まれる脾臓は、免疫担当細胞を摘出するための好
適な臓器である。
免疫担当細胞を調製するための動物(ドナー)と免疫担
当細胞の移植を受ける動物(レシピエント)は、移入さ
れる免疫担当細胞由来のリンパ球がレシピエントの組織
を破壊するGVHDが発症しないようにするために、同種で
あり、遺伝子背景が同じであることが好ましい。
また、レシピエントは、移入された免疫担当細胞由来
のリンパ球を拒絶しないようにするために、免疫不全で
あることが好ましい。免疫不全動物としては、RAG2遺伝
子が欠損した動物以外に、例えば、SCIDマウス、ヌード
マウスを用いることも考えられる。また、MHCノックア
ウトマウスや共通γ鎖ノックアウトマウスなどを用いる
ことも考えられるが、これらに制限されない。
ドナーの抗原タンパク質での免疫、ドナーからの免疫
担当細胞の調製、およびレシピエントへの免疫担当細胞
の移植は、例えば、実施例に記載の方法により行うこと
ができる。
調製された本発明のモデル動物は、自己免疫疾患の抗
原タンパク質に反応する抗体の安定的な産生、またはT
細胞の持続的な活性化により、自己免疫疾患の表現型を
示すことができる。尋常性天疱瘡のモデル動物において
は、主要な表現型として体重減少及び可逆的な脱毛など
を示す。また、尋常性天疱瘡以外の自己免疫疾患では、
重症筋無力症では筋力低下、自己免疫性溶血性貧血では
貧血、バセドー病では甲状腺機能亢進、橋本病では甲状
腺機能低下、グットパスチャー症候群では腎障害や肺障
害、自己免疫性糖尿病では糖尿、多発性硬化症では神経
麻痺などの表現型を示すと考えられる。
これらのモデル動物は、自己免疫疾患の治療効果を検
討したい所望の化合物を投与し、その表現型を観察する
ことにより、該疾患に対する治療薬や治療法の開発に用
いることができる。特に、本実施例において作製された
尋常性天疱瘡のモデルマウスは、その主要な表現型が体
重減少及び可逆的な脱毛であり、また表現型が6か月以
上に亘って持続するため、該マウスを屠殺することなく
観察してそれぞれの治療薬や治療法の有効性を容易かつ
客観的に評価することが可能である。また、これらのモ
デルマウスは、抗原タンパク質に対する抗体産生の細胞
メカニズムを解明する上でも非常に有用である。
図面の簡単な説明 図1は、DSG3-/-マウスにおける、インビボで結合で
きる抗Dsg3 IgGの産生を示す図(A)および写真(B)で
ある。(A(DSG3-/-マウス及びその+/-同腹マウスをマ
ウスrDsg3で免疫し、抗Dsg3 IgGの力価を経時的にELISA
で測定した。矢印は、完全フロイント・アジュバントを
用いたマウスrDsg3による最初の免疫を示し、矢尻は不
完全フロイント・アジュバント用いたマウスrDsg3によ
る追加免疫を示す。DSG3-/-マウスは、+/-同腹マウスよ
りもはるかに効率よく抗Dsg3 IgGを産生した。(B)免
疫されたDSG3-/-マウス(a)由来の血清により、培養ケ
ラチノサイトの細胞間接触部位が染色されたが、+/-同
腹マウス(b)由来の血清では染色されなかった。バー
は50μm を表す。
図2は、免疫されたDSG3-/-脾細胞の移入後、受容RAG
2-/-マウスにおいて抗Dsg3 IgGが産生されたことを示す
図である。(A)免疫されたDSG3-/-マウスの脾細胞を受
容したRAG2-/-マウス[RAG2-/-(DSG3-/-)]又はDSG3+/-
マウスの脾細胞を受容したRAG2-/-マウス[RAG2-/-(DSG
3+/-)]で、マウスrDsg3に対するELISAスコアを得た。D
SG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マウスは、持続的な抗Dsg3
IgG産生を示した。矢印は、脱毛表現型が出現した日を
示す。対照的に、DSG3+/-脾細胞をもつRAG2-/-マウスに
関するELISAは、いずれの時点においても陰性のままで
あった。(B)受容RAG2-/-マウスの体重変化を経時的に
プロットした。DSG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マウスで
は、10〜14日目に、DSG3+/-脾細胞もつマウスと比較し
て体重増加が遅れ始め、その後体重が減少し続けた。数
匹は死亡し(†)、数匹は生き残り、その後体重を増や
した。
図3は、免疫されたDSG3-/-脾細胞を移入されたRAG2-
/-マウスは、尋常性天疱瘡の表現が見られたことを示す
写真である。脾細胞の移入の7〜14日後付近に、DSG3-/
-脾細胞をもつRAG2-/-マウス(A、下)では、DSG3+/-脾
細胞をもつマウス(A、上)と比較して体重減少が認め
られた。数匹は、マウスが掻破する鼻及び頬の周辺に、
痂皮のあるびらんを発症した(B)。DSG3-/-脾細胞をも
つRAG2-/-マウスの組織診により、粘膜上皮の基底層直
上に表皮内水疱形成が明らかになった(C、硬口蓋;D、
食道上部)。びらん病巣の下には炎症性浸潤物が認めら
れた(E、食道上部)。直接蛍光抗体法により、粘膜上
皮(F、硬口蓋)及び皮膚(G、鼻周辺)に、ケラチノサ
イト細胞表面上のインビボのIgG沈着が認められた(図
の白い部分)。バーは50μm を示す。
図4は、免疫されたDSG3-/-脾細胞を移入されたRAG2-
/-マウスは、DSG3-/-マウスに見られるのと同様な、脱
毛表現型が見られたことを示す写真である。移入の15〜
25日後付近に、DSG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マウスは部
分的な脱毛を示した(A、B)。粘着テープによるヘア・
プル・テストで、DSG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マウスで
は毛の集塊がテープに付着したが(C、左)、DSG3+/-脾
細胞をもつRAG2-/-マウスでは毛が付着しないことが示
された(C、右)。その後、無毛領域に新たな毛がモザ
イク状に再生した(D、矢印)。組織診により、毛球部
の細胞と、外毛根鞘上皮の基底層との間の棘融解(E、
矢印)、及び空の膨張した休止期毛包(F、矢印)が示
された。直接蛍光抗体法、毛根部のケラチノサイトの細
胞表面にはインビボのIgG沈着が見られた(G、H)(図
の白い部分)。バーは50μm を示す。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] 組換えマウスDsg3タンパク質の製造 マウスDsg3の全細胞外ドメインをコードするcDNA(Ge
nbank U86016)を、適当なプライマー(5'-CCGAGATCTCC
TATAAATATGACCTGCCTCTTCCCTAGA-3'/配列番号:1、5'-
CGGGTCGACCCTCCAGGATGACTCCCCATA-3'/配列番号:2)
を用いて、マウスDsg3 cDNAを含むファージクローン(D
r. Jouni Uittoより譲り受けた)を鋳型としてPCR増幅
し、増幅断片をpEVmod-Dsg3-Hisベクター(Ishii, K.,
et al., J. Immunol. 159:2010-2017 (1997))中のヒト
Dsg3 cDNAと入れかえることによりサブクローニングし
た(pEVmod-mDsg3-His)。組換えバキュロタンパク質、
マウスrDsg3は、以前の記載のようにして調製した(Ama
gai, M. et al., J. Clin. Invest. 94:59-67 (1994);
Amagai, M. et al., J. Invest. Dermatol. 104:895-90
1 (1995))。
[実施例2] DSG3+/+野生型マウスにおけるマウスDsg3
タンパク質の免疫 まず、ヒト又はマウスのrDsg3の免疫により、様々な
野生型マウス系統においてDsg3タンパク質に対する抗体
を産生させようと試みた(表1)。
マウスを、完全フロイント・アジュバント(CFA)を
用いて、5μgのマウス又はヒトの精製rDsg3を腹腔内注
射することにより感作し、その後毎週、3回または7
回、不完全フロイント・アジュバント(IFA)を用いて、
マウス又はヒトのrDsg3で追加免疫した。抗体産生は、
それぞれの追加免疫の3日後にELISAにより試験した。
マウスにおけるマウスDsg3タンパク質(mDsg3)または
ヒトDsg3タンパク質(hDsg3)に対する血中IgGのELISAに
よる測定は、マウスまたはヒトrDsg3をコーティング用
抗原として用いた。具体的に説明すると、マイクロタイ
ター96穴プレートを、4℃で一晩、100μlの5μg/mlの精
製マウスまたはヒトrDsg3でコーティングした。全ての
血清試料を50から5,000倍に希釈し、室温で1時間、96
穴ELISAプレート上でインキュベートした。ペルオキシ
ダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG抗体(MBL, Nagoya, Japa
n)と共に室温で1時間インキュベートした後、1mMのテ
トラメチルベンジジンをペルオキシダーゼの基質として
用い、発色させた(Ishii K et al.,J Immunol 159: 20
10-2017, 1997、Amagai M et al., Br J Dermatol 140:
351-357, 1999)。各試料をデュブリケートで分析し
た。マウスrDsg3で免疫されたDSG3-/-マウスから得られ
た単一の血清試料を陽性対照として用い、免疫されてい
ないマウス由来の血清を陰性対照として用いた。ELISA
スコアは、[(試料のOD−陰性対照のOD)/(陽性対照
のOD−陰性対照のOD)×100]で計算される指数として得
た(表1)。
さらに、Dsg3タンパク質に対する抗体産生を、培養ケ
ラチノサイトの免疫蛍光染色により試験した。マウス・
ケラチノサイト細胞株PAM212(Yuspa, S.H. et al., Ca
ncer Res. 40:4694-4703 (1980))又はヒト・ケラチノ
サイト細胞株KU8(Tsukamoto, T., Keio J. Med. 38:27
7-293 (1989))を、37℃で、5%CO2を含む加湿空気中
で、30分間、10%FCSを含むDMEMで20倍に希釈したマウ
ス血清試料と共にインキュベートした。次に、PBS(-)で
洗浄した後、−20℃で20分間、細胞を100%メタノール
で固定化し、フルオレセイン・イソチオシアネート(FI
TC)結合ヤギ抗マウスIgG抗体(DAKO, Copenhagen, Den
mark)と共に室温で30分間インキュベートした。染色
は、蛍光顕微鏡(Nikon,Eclipse E800)で観察した。
C57BL/6Nマウス又はBALB/cマウスを、完全フロイント
・アジュバント、次に不完全フロイント・アジュバント
を用いてヒトrDsg3で免疫した場合、これらのマウス
は、ヒトrDsg3とのみ反応し、マウスrDsg3とは反応しな
いIgGを産生することが、ELISA及び免疫蛍光染色により
決定された。C3H/HeJマウスのみがELISAでマウスrDsg3
に対する弱い交叉反応性を示すIgGを産生した。これら
の3系統のマウスをマウスrDsg3で免疫した場合には、
いずれのマウスも、用いた3つの方法(ELISA、間接蛍
光抗体法、生ケラチノサイト染色(living keratinocyte
staining))いずれによっても、マウス又はヒトのrDsg
3を認識するIgGを産生しなかった。これらの知見から、
DSG3+/+野生型マウスはDsg3に対する免疫寛容を有して
おり、DSG3+/+野生型マウスにマウスDsg3に対する抗体
を産生させるのは困難であることが示唆された。
表1中、抗原の欄には、組換えヒトDsg3を用いた場合
は「hDsg3」、組換えマウスDsg3を用いた場合は「mDsg
3」で示した(a)。「CFA」は、完全フロイント・アジュ
バント(CFA)を用いた精製マウスまたはヒト組換えDsg3
の免疫回数を、また、「IFA」は、その後毎週行った、
不完全フロイント・アジュバント(IFA)を用いた追加免
疫(ブースト)の回数(3回または7回)を表す。
(b)。ELISAスコアはヒト組換えDsg3(hDsg3)またはマウ
ス組換えDsg3(mDsg3)に対して算出した(c)。20.0より
大きければ陽性と判断される。表中の「IIF」は、マウ
ス血清を用いて、正常マウス皮膚(NMS)または正常ヒト
皮膚(NHS)の間接蛍光抗体染色(IIF)を行った結果を示
す(d)。また、表中の「生細胞染色」は、マウス血清を
用いて、培養マウス・ケラチノサイト細胞株(Pam)また
はヒト・ケラチノサイト細胞株(KU8)の生細胞染色を
行った結果を示す(e)。「-」は陰性を、「+」は陽性を
表す。「ND」は試験していないことを示す。
[実施例3] DSG3-/-マウスおよびDSG3+/-マウスにおけ
るマウスDsg3タンパク質の免疫 DSG3-/-マウスは、雄DSG3-/-マウスと雌DSG3+/-マウ
スの交配により得た(Koch, P.J., et al., J. Cell Bi
ol. 137:1091-1102 (1997))。また、B6.SJL-ptprcに10
世代にわたり戻し交配させたRAG2-/-マウスは、タコニ
ック社(Taconic)(German Town, NY)より入手した
(Schulz, R.-J. et al., J. Immunol. 157:4379-4389
(1996))。
DSG3-/-マウスにはDsg3タンパク質に対する免疫寛容
がないことを確認するため、DSG3-/-マウスをマウスrDs
g3で免疫し、マウスrDsg3に対するELISAスコアを測定し
た。
DSG3-/-マウス及びDSG3+/-マウスを、完全フロイント
・アジュバントを用いて、5μgの精製マウスrDsg3で感
作し(0日目)、その後、8、15、22、および28日目
に、不完全フロイント・アジュバントを用いて、マウス
rDsg3で追加免疫した。抗体産生は、マウスrDsg3をコー
ティング用抗原として用いて、実施例2と同様のELISA
により測定した。
DSG3-/-マウス(n=4)では、早くも11日目に抗Dsg3
IgGの産生が観察され、その後その力価は増加し続けた
(図1A)。DSG3+/-マウスを繰り返し免疫すると、最終
的にはELISA力価が増加したが、その力価は32日目のDSG
3-/-マウスの力価より有意に低かった(p<0.0001)。
これらのマウスで産生された抗Dsg3 IgGが、インビボ
でケラチノサイト上のDsg3タンパク質に結合することが
できるか否かを決定するため、マウス・ケラチノサイト
細胞株Pam212を用いて実施例2と同様に生体染色を行っ
た。DSG3-/-マウス由来の血清を培養培地に添加する
と、それらの血清は培養ケラチノサイトの細胞間接着部
位に結合したが、DSG3+/-マウス由来の血清は細胞表面
の染色を全く示さなかった(図1B)。免疫されたDSG3+/
-マウスの表皮にはインビボのIgG沈着は見られなかっ
た。従って、DSG3+/-マウスで産生された抗体は、精製
マウスrDsg3中の微量混入成分、マウスrDsg3のC末端の
タグ、又はインビボの条件では到達できないマスキング
されたDsg3エピトープに対して産生されたものである可
能性が極めて高い。
これらの結果から、DSG3-/-マウスにはDsg3に対する
免疫寛容がなく、マウスrDsg3でDSG3-/-マウスを免疫す
ることにより、Dsg3の接着機能を阻害する病原性IgGが
産生されることが示唆された。
[実施例4] 受容RAG2-/-マウスにおける病原性抗Dsg3
IgGの永続的な産生 DSG3-/-マウスは標的抗原を欠損しているため、DSG3-
/-マウスでは抗Dsg3 IgGにより表現型が変化しないと予
想された。そこで、免疫されたDSG3-/-マウス又はDSG3+
/-マウスの脾細胞をRAG2-/-免疫不全マウスに移入する
実験を行った。RAG2-/-マウスは、Dsg3タンパク質を発
現しているが、T細胞レセプター又は免疫グロブリンの
遺伝子を再編成することができないため、これらのマウ
スには成熟T又はB細胞が存在しない。そのため、移入
した脾細胞が拒絶されず、受容マウスで抗Dsg3 IgGが産
生されると考えられる。
DSG3-/-マウス及びDSG3+/-マウスを、完全フロイント
・アジュバントを用いて、5μgの精製マウスrDsg3で感
作し(0日目)、その後、7日目及び14日目に、不完全フ
ロイント・アジュバントを用いて、マウスrDsg3で追加
免疫した。抗体産生は、18日目に実施例2と同様のELIS
Aにより確認した。最後に、アジュバントを用いずにマ
ウスrDsg3で追加免疫し、追加免疫の数日後に、免疫担
当細胞として脾細胞を調製するためマウスを屠殺した。
脾細胞の養子移入にあたっては、単核細胞を、DSG3-/
-マウス又はDSG3+/-マウスの脾臓から単離し、10%ウシ
胎児血清、0.21%重炭酸ナトリウム溶液(w/v)、2mM L
−グルタミン(GIBCO)、及び抗生物質を含む完全培地R
PMI1640(Nissui Pharmaceuticals,Tokyo)に再懸濁さ
せた。約1×107個の脾細胞をPBSに懸濁させ、尾静脈へ
の静脈注射によりRAG2-/-マウスに移入した。抗体産生
は、マウスrDsg3をコーティング用抗原として用いて、
実施例2と同様のELISAにより測定した。
DSG3-/-脾細胞を移入してから早くも4日目には受容R
AG2-/-マウスの血中に抗Dsg3 IgGが検出された。抗体産
生は迅速に増加し、21日目付近でプラトーに達し、その
後永続的に持続した(n=13)(図2A)。持続的な抗体
産生は、6ヶ月以上にわたり、マウスが生存している限
り観察された。対照的に、DSG3+/-マウス脾細胞を移入
されたRAG2-/-マウスの血中には、いずれの時点におい
ても抗Dsg3 IgGが検出されなかった(n=5)(図2A)。
抗Dsg3 IgG産生B細胞の局在を調べるため、以下のよ
うにしてELISPOTアッセイを行った。PVDF底96穴マイク
ロタイター・プレート(Millipore-Amicon,Beverly,M
A)を、30μg/mlのマウスrDsg3でコーティングした。再
構築されたRAG2-/-マウスの末梢血、脾臓、骨髄、及び
リンパ節から調製された単核細胞を、37℃で、5%CO2
含む加湿空気中で、4時間、プレート上でインキュベー
トした。アルカリホスファターゼ結合抗マウスIgG抗体
(Zymed Laboratories Inc,San Francisco,CA)を用い
て、メンブレンに結合したIgGをスポットとして可視化
した。スポットの数を実体顕微鏡下で計数し、抗mDsg3
IgG産生B細胞の頻度を、単核細胞105個当たりの数とし
て決定した。全ての実験はトリプリケートで行った。ア
ッセイの結果検出された、抗Dsg3 IgG産生B細胞の数を
表2に示す。
抗Dsg3 IgG産生B細胞は、養子移入の初期(22日目)
にも後期(117日目)にも受容RAG2-/-マウスの脾臓及び
リンパ節に主に局在していることが判明した(表2)。
表中、免疫されたDSG3-/-マウスの脾細胞を移入されたR
AG2-/-マウスは「+」で、移入されていないマウスは
「-」で表した(a)。また、「日数」は移入から屠殺まで
の日数を表す(b)。また、抗mDsg3 IgG産生B細胞の数
は、単核細胞105個当たりの数として示されている(c)。
脾臓における抗Dsg3 IgG産生B細胞の頻度は、単核細胞1
05個当たり20から100個の範囲であった。
[実施例5] 免疫されたDSG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マ
ウスは尋常性天疱瘡の表現型を発現した 免疫されたDSG3-/-脾細胞をもつ受容RAG2-/-マウスに
おいて最初に認められた症状として、養子移入の7〜14
日後付近で、DSG3+/-脾細胞をもつマウス(n=5)と比
較して体重減少が認められた(n=13)(図2B及び3
A)。その後、これらのマウスでは体重が減少し続け、
数匹は実際に死亡した。これらのマウスのうち生き残っ
たものは、後に体重を増やし始めた(図2B)。体重減少
の表現型は、調べたRAG2受容-/-マウス全てに観察され
た(n=13)。受容RAG2-/-マウスのうちの数匹(n=5)
は、掻破を通常行う部位である鼻周辺の皮膚に痂皮のあ
るびらんを発症した(図3B)。
表皮(図3G、鼻周辺)、口腔粘膜(図3F、硬口蓋)、
及び食道粘膜を含め、受容RAG2-/-マウスの重層扁平上
皮のケラチノサイト細胞表面には、インビボのIgG沈着
が見られた。数層のケラチノサイトが見られる表皮で
は、IgG沈着は下方の層に限定されていたが(図3G)、
口腔及び食道の上皮では上皮全層にIgGが見られた(図3
F)。これらのマウスにおいて、心臓、肺、肝臓、腎
臓、胃、小腸、及び大腸を含む他の組織にはIgG沈着が
見られなかった。免疫されたDSG3-/-脾細胞をもつRAG2-
/-マウスにおける組織診により、頬粘膜、硬口蓋(図3
C)、口腔咽頭領域、及び食道上部(図3D)に、基底層
直上の上皮内分裂、即ち、典型的な尋常性天疱瘡所見で
ある基底層直上の棘融解が示された。水疱形成の初期病
巣には、有意な炎症細胞浸潤物は本質的に見られなかっ
た(図3C)。炎症性浸潤物は、古いびらん病巣に主に認
められた(図3E)。そこでは、上皮の障壁機能の消失に
より食物による刺激及び急性炎症が二次的に引き起こさ
れていた。これらの損傷が、おそらく、これらのマウス
の成長阻害をもたらす程に食物摂取を減少させたものと
考えられる。
対照的に、免疫されたDSG3+/-脾細胞をもつRAG2-/-マ
ウスには、表現型の変化または病理学的な変化は認めら
れなかった。これらの知見から、免疫されたDSG3-/-脾
細胞をもつRAG2-/-マウスは、尋常性天疱瘡の表現型を
発現することが示された。
[実施例6] 免疫されたDSG3-/-脾細胞をもつRAG2-/-マ
ウスは、脱毛表現型を示した 養子移入の15〜25日後付近に、13匹のRAG2-/-マウス
のうち11匹において、部分的な脱毛が認められた(図2
A、矢印参照、図4A、B)。典型的には、脱毛は小さなス
ポットとして発生し、次の2から3週間で次第に周囲へ
と拡大した。受容RAG2-/-マウスが12週齢以下のとき、
額で脱毛が開始し、後方へと進展した。数匹のマウスに
おいては、脱毛斑に新たな毛がモザイク状に再生した
が、脱毛斑が同一スポットとして1ケ月以上残存したマ
ウスや、明確な脱毛斑を形成せずに脱毛が広がったマウ
スもいた(図4D)。脱毛斑の隣接領域に粘着テープを貼
付し、それを剥離すると(ヘア・プル・テスト(hair p
ull test))(Koch, P.J., et al., J. Cell Sci. 11
1:2529-2537 (1998))、毛が塊となりテープに付着した
(図4C)。これらの表現型は、6ケ月以上にわたり、血
中抗Dsg3 IgGが存在する限り持続した。
RAG2-/-受容マウスの皮膚の生検により、毛球部(hai
r club)周辺のケラチノサイトの細胞表面に強いIgG沈
着が示された(図4G、H)。毛包のIgG結合の強度は、表
皮よりもはるかに大きかった(図4G)。皮膚の組織診に
より、休止期の毛球部周辺の細胞と外毛根鞘の基底層と
の間の棘融解が示された(図4E、H、矢印)。脱毛斑に
は、休止期毛の消失と一致して、空の膨張した休止期毛
包が存在した(図4F)。損傷のない表層の表皮には明白
な棘融解はなかった。棘融解を起こした毛包の周辺に、
明らかな炎症細胞浸潤は認められなかった(図4E、
F)。
対照的に、DSG3+/-脾細胞を移入されたRAG2-/-マウス
は、いずれの時点においても、脱毛斑を示さなかった。
産業上の利用の可能性 このモデルの開発により、組織特異的な自己免疫疾患
(標的抗原と傷害を起こす抗体あるいはT細胞の関係が
明快になっている自己免疫疾患)に関する研究の新たな
方向性が開かれた。本発明のモデルは、特に養子移入の
前にリンパ球を操作することにより、自己免疫疾患の抗
原タンパク質に対する抗体産生や細胞障害性T細胞の誘
導などの細胞メカニズムを解明するために有用である。
また、このモデルは、新規な疾患特異的な治療法の開発
のための貴重な道具ともなる。本発明の尋常性天疱瘡モ
デル動物においては、主要な表現型が体重減少及び可逆
的な脱毛であるため、屠殺することなくマウスを観察す
ることにより、疾患の活性をモニターすることができ
る。血中抗Dsg3抗体のELISA力価も、疾患の活性の客観
的な指標である。さらに、表現型は、6ケ月以上にわた
り持続する。従って、それぞれの治療法の有効性を容易
に、客観的に評価することができる。さらに重要なこと
には、本発明の方法は、標的抗原が同定されている、他
の組織特異的自己免疫疾患の活性疾患マウスモデルを開
発するために応用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小安 重夫 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医 学部内 (56)参考文献 大野雄弘ら,「医学のあゆみ」,Ma r.別冊,pp.282−284(1995) Koch,P.J.et al.,J ournal of Cell Bio logy,vol.137(5),pp. 1091−1102(1997) Juhasz,I.et al.,J ournal of Clinical Investigation,vo l.92(5),pp.2401−2407 (1993) Amagai M.et al.,J ournal of Investig ative Dermatology, vol.110(4),p.482(1998) Amagai M.et al.,J ournal of Clinical Investigation,vo l.105,pp.625−631(2000) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 67/027 C12N 15/09 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損してい
    る非ヒト哺乳動物の免疫担当細胞が移植されている非ヒ
    ト哺乳動物であって、自己免疫疾患の抗原タンパク質に
    反応する抗体の産生またはT細胞の活性化により、自己
    免疫疾患の表現型を示す非ヒト哺乳動物。
  2. 【請求項2】 自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損してい
    る非ヒト哺乳動物を抗原タンパク質で免疫し、その免疫
    担当細胞が移植されている非ヒト哺乳動物であって、自
    己免疫疾患の抗原タンパク質に反応する抗体の産生また
    はT細胞の活性化により、自己免疫疾患の表現型を示す
    非ヒト哺乳動物。
  3. 【請求項3】 免疫担当細胞の移植が、免疫不全非ヒト
    哺乳動物に対して行われている、請求項1または2に記
    載の非ヒト哺乳動物。
  4. 【請求項4】 免疫不全非ヒト哺乳動物が、RAG2遺伝子
    を欠損している非ヒト哺乳動物である、請求項3に記載
    の非ヒト哺乳動物。
  5. 【請求項5】 免疫担当細胞が脾細胞である、請求項1
    から4のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  6. 【請求項6】 自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である、請
    求項1から5のいずれかに記載の非ヒト哺乳動物。
  7. 【請求項7】 抗原タンパク質がデスモグレイン3タン
    パク質である、請求項6に記載の非ヒト哺乳動物。
  8. 【請求項8】 げっ歯類である、請求項1から7のいず
    れかに記載の非ヒト哺乳動物。
  9. 【請求項9】 マウスである、請求項8に記載の非ヒト
    哺乳動物。
  10. 【請求項10】 自己免疫疾患の抗原タンパク質に反応
    する抗体の産生またはT細胞の活性化により、自己免疫
    疾患の表現型を示す非ヒト哺乳動物の作製方法であっ
    て、 (a)自己免疫疾患の抗原遺伝子を欠損している非ヒト
    哺乳動物を自己免疫疾患の抗原タンパク質で免疫する工
    程、 (b)該非ヒト哺乳動物から免疫担当細胞を調製する工
    程、および (c)該免疫担当細胞を抗原タンパク質を有する非ヒト
    哺乳動物に移植する工程、を含む方法。
  11. 【請求項11】 免疫担当細胞の移植が、免疫不全非ヒ
    ト哺乳動物に対して行われている、請求項10に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 免疫不全非ヒト哺乳動物が、RAG2遺伝
    子を欠損している非ヒト哺乳動物である、請求項11に
    記載の方法。
  13. 【請求項13】 免疫担当細胞が脾細胞である、請求項
    10から12のいずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 自己免疫疾患が尋常性天疱瘡である、
    請求項10から13のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 抗原タンパク質がデスモグレイン3タ
    ンパク質である、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 非ヒト哺乳動物がげっ歯類である、請
    求項10から15のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 げっ歯類がマウスである、請求項16
    に記載の方法。
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