JP3326759B2 - 液体核燃料を用いたプルトニウム消滅核反応炉 - Google Patents

液体核燃料を用いたプルトニウム消滅核反応炉

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Extraction Or Liquid Replacement (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体核燃料を用いたプル
トニウム消滅核反応炉に関する。
【0002】
【従来の技術】本願の発明者はかかる液体核燃料による
小型原子炉として既に特願昭60−272165号を発
明した。この、先に発明した小型溶融塩発電炉は、減速
材黒鉛の取替を要さず、連続化学処理の必要もない構
造,運転,保守の単純なものであり、その核燃料中のプ
ルトニウムが核分裂してエネルギーを発生すると共にそ
の際発生する中性子によりトリウムをウランに転換し、
反応を継続するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし現在、廃棄核弾
頭もしくは使用済核燃料より再処理で得られるプルトニ
ウムが大きな問題となっている。本発明は上記従来の液
体核燃料による小型原子炉の燃料サイクル形態を変更し
て、また必要に応じて炉内構造も少し変更して、かかる
プルトニウムを核燃料として有効に燃焼消滅させるもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、減速材を配置
した炉心の空隙内はウランの回収装置に連通すると共に
この空隙内にはトリウムTh及びプルトニウムPuより
なる液体核燃料を充填し、このトリウムThから生成し
たウラン 233Uは回収装置により随時分離され、代わり
にプルトニウムPuが追加されて燃焼を促進するように
したことを特徴とする液体核燃料を用いたプルトニウム
消滅核反応炉である。また上記ウランの回収装置はドレ
インタンク20と弗素化装置22とよりなるものであ
る。
【0005】
【作用】トリウムTh及びプルトニウムPu核燃料を含
有する塩は炉心の空隙内に流れ、その核燃料中のプルト
ニウムが核分裂してエネルギーを発生すると共にその際
発生する中性子によりトリウムをウラン 233Uに転換す
る。このトリウムThから生成したウラン 233Uは回収
装置により弗素化して随時分離され、代わりにプルトニ
ウムPuが追加しつつその燃焼を促進させる。
【0006】
【実施例】以下図面につき本発明の一実施例を詳細に説
明する。図示のものは15.5万kW発電炉の場合であ
る。図1示のようにコンクリートよりなる厚い壁遮蔽体
1,2の下方にはNi−Mo−Cr合金よりなる偏平
な、円筒状の原子炉容器3を配置する。各部分の寸法は
図1の目盛線2mに比較する通りである。この容器3の
下部には塩の入口4,4を,上部には塩の出口5,5を
設ける。この塩の組成は 7LiF−BeF2 −ThF4
239PuF3 で、 7LiFのmol%は71.7、Be
2 は16, ThF4 は12, 239PuF3 は0.3で
ある。この容器3の周辺には黒鉛反射体6を配置し、そ
の内部の炉心7の中心領域Iには黒鉛よりなる制御棒
8,8・・・を駆動機構9により上下動すべく挿入し、
図1,図2示のようにその周囲には長さ2mの固定の黒
鉛よりなる減速材10,10・・・を配置する。なおこ
の減速材10は長さ2m前後で上下端に支持部を有す
る。
【0007】上記中心領域Iにおける減速材10は図3
(イ)示の水平断面で示すような寸法の6枚の菱形で細
長い板11,11・・・を突起等によりその間に一定の
空隙12が形成されるように六角形状に結合したもの
で、空隙率は6〜8%好ましくは7%である。したがっ
て黒鉛の体積率は94〜92%好ましくは93%であ
る。 上記中心領域Iの外側の周辺領域IIにも黒鉛より
なる減速材13,13・・・を配置する。これらの減速
材13,13・・・は図2では白く示し、その水平断面
は図3(イ)と略同様であるが、その空隙率は8〜12
%好ましくは10%である。したがって黒鉛の体積率は
92〜88%,好ましくは90%である。上記周辺領域
IIの外側のブランケット領域III にも同様の黒鉛よりな
る減速材14,14・・・を厚さ30〜50cmに配置す
る。この減速材14は図3(ロ)示の水平断面で示すよ
うな寸法の9枚の菱形で細長い板15,15・・・を突
起等によりその間に一定の空隙16が形成されるように
六角形状に結合したもので空隙率は30〜34%好まし
くは32%である。したがって黒鉛の体積率は70〜6
6%好ましくは68%である。上記容器3内における黒
鉛反射体6,炉心7の中心領域I,周辺領域II,ブラン
ケット領域III の寸法は図4示の通りである。
【0008】上記容器3は黒鉛の減速材10,13,1
4を内部に充填した後、熔封してしまう。したがって可
動部は、中央の制御棒8の駆動機構9のみである。燃料
塩の総量は、炉心外を含めて12.1m3 であって、4
0.5 tonとなる。この内 2 39Puは530kg, Thは
1.75ton である。炉心7の中心はパイプ19を介し
て下方のドレインタンク20の下部に連通し、このドレ
インタンク20の下部は導管21を介して弗素化装置2
2に連通し、この弗素化装置22の下部にはヘリウムと
弗素ガスの供給パイプ23を連通し、その上部にはヘリ
ウムと弗素ガスとUF6 の出口24を設ける。
【0009】次いでこの装置の動作を説明する。化学的
に安定かつ常圧の溶融弗化物( 7LiF−BeF2 −T
hF4 239PuF3 )からなる塩は入口4,4・・・
より炉心7内に入り、各減速材10,13,14への空
隙12,12,16内を下から上に通って出口5より流
出する。而して駆動機構9により制御棒8を炉心7の中
心領域I内に挿入すると中性子の吸収が少なくなり、中
性子の密度が高まって従来の原子炉とは逆に反応が促進
される。この反応はプルトニウム 239Puが核分裂して
エネルギーを発生すると共に中性子を発生し、その中性
子の一部がトリウム 232Thに吸収されてそれをウラニ
ウム 233Uを転換する。その転換率は約90%である。
この運転中、核分裂生成物の稀ガス元素(Kr,Xe)
は、塩に溶解しないので、カバーガスより約99%が炉
外に分離される。
【0010】燃料は 7LiF− 239PuF3 塩を、上記
塩のダンプタンクに随時添加することにより補給する。
またその際、汚れた燃料塩を少し取り去り、容量を一定
に保つ。
【0011】一方、炉から出た高温燃料塩は、二本の塩
ループ配管を流れて第1の熱交換器で二次系溶融塩〔N
aBF4 −NaF(92−8モル%)〕に伝熱し、次に
第2の熱交換器で水に伝熱し、水蒸気を発生させ、ター
ビン発電を行う。効率は超臨界条件により約43%を確
保できる。発生した中性子の一部がThに吸収されて生
成した 233Uは1年もしくは2年程度毎に下部のドレイ
ンタンク20及び弗素化装置22で弗素化処理を行っ
て、燃料塩より分離回収し、他の一般溶融塩発電炉の燃
料として使用する。処理された燃料は、元の炉に戻さ
れ、Puなどを追加して再稼動し、Pu消滅、 233U生
産に供される。233U分離作業の機会に、一部の核分裂
・反応生成物の一部を、上記弗素化法のほか、蒸溜法、
酸化沈澱法、液体金属接触抽出法などで分離し、中性子
利用効率向上、腐食防止などに利用することができる。
その分離度合は、全体系の経済性が決定する。
【0012】(実施例1)15.5万kW(熱35万kW)
出力の小型溶融塩発電炉(特願昭60−272165号
の実施例参照)において、燃料塩に 7LiF−BeF2
−ThF4 239PuF3 (71.7−16−12−
0.3 mol%)が使用された。なお、この炉は出力密度
は平均約10kW th/liter と高い。239Puの初期装荷
量は約530kgである。これに146kg/年のThと約
26kg/年のPuが添加されつつ、2年間に約250kg
のPuが燃焼焼却された。2年後に、燃焼塩を処理タン
クに移して弗素とヘリウム混合ガスが吹き込まれ、約1
70kgの 233UがUF6 ガスとして分離された。再び塩
は炉に戻され、Puを約220kg添加して再稼動され
た。約20年間に、約2.3ton のPuを消滅でき、約
1.5ton の 233Uを生産入手できた。
【0013】(実施例2)軽水炉の使用済燃料からのP
u( 239Pu: 240Pu: 241Pu: 242Pu=56.
5:25.3:13.2:5.0)を消滅させるため
に、10万kW (熱25万kW)出力の小型溶融塩発電炉に
おいて、燃料塩に 7LiF−BeF2 −ThF4 −Pu
3 (71.81−16−12−0.19 mol%)が使
用された。この炉の出力密度は平均約4kW th/liter で
ある。Puの初期装荷量は約390kgであり、さらに約
320kgのPuと、220kgのThを1000日間にわ
たり添加しつつ運転し、約240kgのPuを燃焼させ
た。1000日後に燃料塩を処理タンクに移し、弗素化
を行い、約190kgの 233Uを、UF6 として分離し
た。その後、塩は再び炉に戻され、Puを約280kg添
加して再稼動された。この炉では、20年間に軽水炉か
らのPuを約1.7ton 消滅でき、約1.4ton の 233
Uを生産できた。
【0014】
【発明の効果】発明の効果を摘記すると以下の通りであ
る。 (1)Puをより多く燃焼させることができる。Thか
ら生成した 233Uは随時分離され、Puに比べ平均約1
0%以下に保持されるので、Puの燃焼率は核分裂され
る物質全体の約85%以上95%程度にもなる。 (2)Pu燃焼のみでなく、核分裂で発生する中性子の
有効利用のため、Thから 233Uを生産するが、余り炉
内に置かない為に、燃焼する 233Uは少なく、大部分は
回収されて別の炉に利用できる。この炉は転換率が約
0.8以上と高いので、消費されたPuがほぼ同量(7
0〜90%)の 233Uに転換されたこととなる。 (3)しかも、その際、発電が行われる。分離作業は1
年以上、場合により3〜5年毎とすることもできるの
で、発電機能もそれ程阻害されない。また、炉を運転し
つつ、バイパス回路で連続的に分離することもできる。 (4)運転中に消費した核分裂性物質の大部分は 233
として再生されるので、余り反応度の変化は著しくな
い。即ち運転・保守作業は容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】(イ)(ロ)は炉心の2つの領域における減速
材の平面図である。
【図4】その炉心の各領域の寸法を示す説明図である。
【符号の説明】
I 中心領域 II 周辺領域 III ブランケット領域 7 炉心 10,13,14 減速材 12,12,16 空隙

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減速材を配置した炉心の空隙内はウラン
    の回収装置に連通すると共にこの空隙内にはトリウムT
    h及びプルトニウムPuよりなる液体核燃料を充填し、
    このトリウムThから生成したウラン 233Uは回収装置
    により随時分離され、代わりにプルトニウムPuが追加
    されて燃焼を促進するようにしたことを特徴とする液体
    核燃料を用いたプルトニウム消滅核反応炉。
  2. 【請求項2】 上記ウランの回収装置はドレインタンク
    20と弗素化装置22とよりなる請求項1に記載の液体
    核燃料を用いたプルトニウム消滅核反応炉。
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