JP3326420B2 - セラミック基材 - Google Patents

セラミック基材

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JP3326420B2
JP3326420B2 JP2000046610A JP2000046610A JP3326420B2 JP 3326420 B2 JP3326420 B2 JP 3326420B2 JP 2000046610 A JP2000046610 A JP 2000046610A JP 2000046610 A JP2000046610 A JP 2000046610A JP 3326420 B2 JP3326420 B2 JP 3326420B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホットプレートユ
ニットの構成部材として好適なセラミック基材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいて、例えば感
光性樹脂塗布工程を経たシリコンウェハを加熱乾燥させ
る場合、通常、ホットプレートユニットと呼ばれる加熱
装置が用いられる。
【0003】この種の装置はセラミック製のホットプレ
ートを主要な構成要素としており、特に近年ではその材
料として窒化物セラミック基材がよく用いられる。この
種のセラミック基材の片側面には、導体層としての抵抗
発熱体が所定パターン状に形成され、その抵抗発熱体の
一部には端子接続用パッド部が形成される。なお、この
ような導体層は、銀等の金属粒子を主成分として含む貴
金属ペーストを基材に印刷塗布した後、加熱して焼き付
けることにより形成可能である。また、パッド部には端
子ピンがはんだ付けされ、その端子ピンには配線を介し
て電源が接続される。
【0004】そして、ホットプレートの上面側に被加熱
物であるシリコンウェハを載置し、この状態で抵抗体に
通電することにより、シリコンウェハが150℃〜70
0℃に加熱されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来技術に
おいては、貴金属ペーストからなる導体層とセラミック
基材との間に高い密着力を確保することができなかっ
た。それゆえ、装置の加熱・冷却を繰り返すうちにセラ
ミック基材から導体層が剥離するおそれがあり、信頼性
の向上が要求されていた。
【0006】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、密着性に優れるため剥離しにくい
導体層を有するセラミック基材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、基材の表面に酸化物
ガラス及び貴金属からなる導体層を有するセラミック基
材において、前記導体層は、前記セラミック基材と接す
る側に、酸化物ガラスの量が相対的に多い領域を有する
ことを特徴とするセラミック基材をその要旨とする。
【0008】請求項2に記載の発明では、基材の表面に
酸化物ガラス及び貴金属からなる導体層を有するセラミ
ック基材において、前記導体層は少なくとも2層からな
り、前記基材に最も近い層の酸化物ガラスの量は、その
層に隣接する外側の層のそれよりも相対的に多いことを
特徴とするセラミック基材をその要旨とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2において、前記セラミック基材は窒化物セラミック基
材であるとした。請求項4に記載の発明では、請求項1
乃至3のいずれか1項において、前記貴金属は、銀、
金、白金及びパラジウムから選ばれる少なくともいずれ
か1種であるとした。
【0010】以下、本発明の「作用」について説明す
る。本発明者らが鋭意研究したところ、導体層(抵抗発
熱体)において酸化物ガラスの量を基材側の領域ほど多
くすることにより、セラミック基材との密着性がよくな
ることを知見し、上記請求項1〜4に記載の発明を完成
させるに至ったのである。
【0011】そして、請求項1,2に記載の発明では、
酸化物ガラスの量が相対的に少ない領域(または層)と
セラミック基材との間に、酸化物ガラスの量が相対的に
多い領域(または層)が、いわば下地(層)として介在
した状態となっている。その結果、従来に比べてセラミ
ック基材に対する導体層の密着性が改善され、導体層が
剥離しにくくなる。
【0012】請求項3に記載の発明によると、基材材料
として窒化物セラミックを選択することにより、耐熱性
及び熱伝導性に優れたセラミック基材とすることができ
る。請求項4に記載の発明によると、これらの金属は高
温に晒されても比較的酸化しにくく、しかも充分大きな
抵抗値を示すため、例えば発熱のための抵抗発熱体とし
て好適な導体層を容易に得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミック基材を
具体化した一実施形態のホットプレートユニット1を図
1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0014】図1に示されるホットプレートユニット1
は、ケーシング2及びホットプレート3を主要な構成要
素として備えている。本実施形態のケーシング2は有底
状の金属製部材であって、断面円形状の開口部4をその
上部側に備えている。当該開口部4には環状のシールリ
ング14を介してホットプレート3が取り付けられる。
ケーシング2の底部2aの中心部における3箇所には、
図示しないリフトピンが挿通されるピン挿通スリーブ5
が設けられている。これらのリフトピンは、シリコンウ
ェハW1を3点で支持した状態で同シリコンウェハW1
を昇降させる。底部2aの外周部には電流供給用のリー
ド線6を挿通するためのリード線引出用孔7が形成さ
れ、各リード線6はそこからケーシング2の外部に引き
出されている。
【0015】本実施形態のホットプレート3は、感光性
樹脂が塗布されたシリコンウェハW1を150〜800
℃にて加熱させるためのホットプレート3であって、セ
ラミック基材9からなる。
【0016】前記セラミック基材9としては、耐熱性に
優れかつ熱伝導率が高いという性質を有する窒化物セラ
ミック基材を選択することがよく、具体的には窒化アル
ミニウム基材、窒化珪素基材、窒化ホウ素基材、窒化チ
タン基材等を選択することがよい。これらの中でも、特
に窒化アルミニウム基材を選択することが望ましく、次
いで窒化珪素基材を選択することが望ましい。その理由
は、これらのものは熱伝導率が高い部類に属するからで
ある。
【0017】図1に示されるように、このセラミック基
材9は、円盤状をした厚さ約1mm〜25mm程度の板
状物であって、ケーシング2の外形寸法より若干小径と
なるように設計されている。セラミック基材9の中心部
には、各リフトピンに対応した3箇所にそれぞれピン挿
通孔11が透設されている。
【0018】セラミック基材9の下面側には、発熱用の
導体層としての抵抗発熱体10が同心円状ないし渦巻き
状に形成されている。抵抗発熱体10の端部には、同じ
く導体層としてのパッド10aが形成されている。これ
らのパッド10aには、導電性材料からなる端子ピン1
2の基端部がはんだ付けされている。その結果、各端子
ピン12と抵抗発熱体10との電気的な導通が図られて
いる。各端子ピン12の先端部には、リード線6の先端
部にあるソケット6aが嵌着されている。従って、リー
ド線6及び端子ピン12を介して抵抗発熱体10に電流
を供給すると、抵抗発熱体10の温度が上昇し、ホット
プレート3全体が加熱される。
【0019】図2(d)に示されるように、導体層であ
る抵抗発熱体10及びパッド10aは、本実施形態にお
いては第1層L1及び第2層L2からなる2層構造とな
っている。
【0020】第1層L1はセラミック基材9上に形成さ
れ、第2層L2は第1層L1上に形成されている。従っ
て、第1層L1は第2層L2の下地層であると把握する
こともできる。
【0021】第1層L1及び第2層L2は、絶縁体であ
る酸化物ガラスと、導電体である貴金属とによって構成
されている。より具体的にいうと、基材9に近い側の層
である第1層L1は、酸化物ガラスの量が相対的に多
く、逆に基材9から遠い側の層である第2層L2は、酸
化物ガラスの量が相対的に少なくなっている。なお、前
記酸化物ガラスは、貴金属ペーストP1中に分散されて
いたガラスフリット(ガラス粉)G1に由来するもので
ある。
【0022】酸化物ガラスの相対量は、基材9側からそ
の反対側へ向けて除々に少なく(逆にいえば基材9側ほ
ど多く)なっていてもよい。即ち、前記導体層は、いわ
ゆる濃度勾配のある構成であってもよい。また、前記導
体層は、酸化物ガラス量が異なる層が2層以上存在し、
基材9側の酸化物ガラスの量が、それと隣接するより外
側の層の酸化物ガラスの量よりも相対的に多い構成であ
ってもよい。酸化物ガラスの量が異なる層が例えば3層
存在する場合、基材9側に一番近い層(第1層)がその
外側の層(第2層)に比べて相対的に酸化物ガラス量が
多くなっていて、最外層(第3層)の酸化物ガラスの量
が第1層及び第2層の中間の量になっていてもよい。
【0023】つまり、基材9と接する領域の酸化物ガラ
スの量がそれよりも遠い領域の酸化物ガラスの量より相
対的に多ければよく、最外層の酸化物ガラスの相対量は
本実施形態では特に問題とはならない。
【0024】導体層(抵抗発熱体)における酸化物ガラ
スの相対量は、最も多い箇所の量Mと最も少ない箇所の
量mとの比率M/mが、1000/1000を越えかつ
1000/1以下であることが望ましく、特には500
/500を越えかつ500/1以下であることが望まし
い。濃度差が小さすぎるとセラミック基材9との密着性
を図ることができず、逆に濃度差が大きすぎると、導体
層(抵抗発熱体)の焼結性が低下して、導体層が剥がれ
やすくなるからである。なお、前記比率は、蛍光X線測
定で酸化物ガラスを構成する元素のピーク強度比を求め
ることによって特定される。
【0025】導体層において酸化物ガラスの相対量が異
なる層が2層存在する場合、図2(d)にて概略的に示
されるように、第1層L1は第2層L2よりもいくぶん
薄く形成されていることがよい。具体的にいうと、第1
層L1の厚さは第2層L2の厚さの1/3〜1/10の
範囲内であることが好ましく、さらには1/4〜1/6
の範囲内であることがより好ましい。
【0026】この比率が1/3よりも大きくなると、第
2層L2の割合が減少する結果、抵抗発熱体10やパッ
ド10a中において電気が流れる部分の断面積が減少す
る。ゆえに、ホットプレート3の抵抗体に必要とされる
好適な導電性が損なわれるおそれがある。逆に、この比
率が1/10よりも小さくなると、第1層L1の割合が
減少する結果、下地層として必要な程度の厚さを確保で
きなくなり、抵抗発熱体10やパッド10aの密着性を
充分に向上できなくなるおそれがある。以上の点に鑑み
て、本実施形態では当該比率を約1/5に設定してい
る。また、導体層である抵抗発熱体10やパッド10a
は、5μm〜100μm程度の厚さ、好ましくは7μm〜
20μm程度の厚さに形成されることがよい。
【0027】貴金属ペーストP1としては、貴金属粒
子、金属酸化物、樹脂、溶剤などを含むものが一般的に
使用される。貴金属ペーストP1に使用される貴金属粒
子としては、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金
(Pt)及びパラジウム(Pd)から選ばれる少なくと
もいずれか1種を選択することがよい。これらの貴金属
は高温に晒されても比較的酸化しにくく、通電により発
熱させるにあたって充分大きな抵抗値を示すからであ
る。勿論、これらの金属は、単独で用いられてもよいほ
か、2種、3種または4種を下記のごとく組み合わせて
用いてもよい。即ち、Ag−Au,Ag−Pt,Ag−
Pd,Au−Pt,Au−Pd,Pt−Pd,Ag−A
u−Pt,Ag−Au−Pd,Au−Pt−Pd,Ag
−Au−Pt−Pd、の組み合わせにして用いてもよ
い。
【0028】なお、上記の組み合わせのうち、例えばA
g−Pdの組み合わせ等が好ましい。その理由は、この
組み合わせにすれば、抵抗値が充分大きな抵抗発熱体1
0を得ることができるからである。
【0029】貴金属ペーストP1に使用される好適な金
属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化珪
素(シリカ)、酸化ホウ素、酸化アルミニウム(アルミ
ナ)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン
(チタニア)等が挙げられる。
【0030】次に、セラミック基材9からなるホットプ
レート3を製造する手順の一例を簡単に説明する。窒化
物セラミック粉末に、必要に応じてイットリアなどの焼
結助剤やバインダー等を添加してなる混合物を作製し、
これを3本ロール等により均一に混練する。この混練物
を材料として、厚さ1mm〜150mm程度の板状生成
形体をプレス成形用型を用いて作製する。
【0031】作製された生成形体に対してパンチングま
たはドリリングによる穴あけを行い、ピン挿通孔11を
形成する。次いで、穴あけ工程を経た生成形体を乾燥、
脱脂及び焼成して完全に焼結させることにより、セラミ
ック基材9を作製する(図2(a)参照)。焼成工程はホ
ットプレス装置によって行われることがよく、その温度
は1500℃〜2000℃程度に設定されることがよ
い。この後、セラミック基材9を所定径(本実施形態で
は230mmφ)にかつ円形状に切り出し、これをバフ研
磨装置等を用いて表面研削加工する。
【0032】上記工程を経た後、あらかじめ調製してお
いた貴金属ペーストP1を、セラミック基材9の下面側
にスクリーン印刷等により均一に塗布する(図2(b)参
照)。
【0033】ここで使用される貴金属ペーストP1は、
上述の貴金属粒子のほか、ガラスフリットG1、樹脂バ
インダ、溶剤を含んでいる。貴金属ペーストP1中にお
いては、貴金属粒子が主成分として含まれるとともに、
ガラスフリットG1がそれについで多い成分として含ま
れている。なお、前記貴金属ペーストP1には、少量の
樹脂バインダ及び溶剤も含まれている。樹脂バインダの
例としては、例えばエチルセルロース等のセルロース類
などがある。溶剤は印刷性や分散性の向上を目的として
添加される成分であって、その具体例としてはアセテー
ト類、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカル
ビトール等のカルビトール類などが挙げられる。
【0034】ガラスフリットG1としては、例えばほう
珪酸亜鉛(SiO2:B2O3:ZnO2)またはほう珪酸鉛
(SiO2:B2O3:PbO)をベースとし、それに対し
少量の金属酸化物を添加したものが用いられている。金
属酸化物の具体例としては、酸化アルミニウム(Al2O
3)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イットリウム
(Y2O3)等が挙げられる。
【0035】前記貴金属ペーストP1の塗布後、パッド
10aにははんだS1を介して端子ピン12を接合し
(図2(d)参照)、ホットプレート3を完成させる。さ
らにこれをケーシング2の開口部4に取り付ければ、図
1に示す所望のホットプレートユニット1が完成する。
【0036】次に、本実施形態の実施例を以下に紹介す
る。 [実施例1]実施例1では、窒化アルミニウム粉末(平
均粒径0.6μm)85重量部に、Y23(平均粒径
0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井
化学社製、商品名:SA−545,酸価1.0)11重
量部を添加して混合した。このようにして得た混合物を
均一に混練してなる混練物をアルコールと混合して、ス
プレードライ法によりこの混合物を顆粒状にし、この顆
粒をプレス成形用型に入れてプレスすることにより、板
状生成形体を作製した。
【0037】次いで、穴あけ加工及び乾燥を行った後、
成形体を窒素雰囲気中で350℃、4時間の脱脂を行
い、バインダを熱分解させた。さらに、脱脂された成形
体を1600℃、3時間の条件でホットプレス焼成し、
窒化アルミニウム基材を得た(図2(a)参照)。なお、
ホットプレスの圧力は150kg/cm2に設定した。
【0038】この後、基材切り出し及び表面研削加工を
行った後、ペースト印刷工程を行った。同工程では、下
記のごとき組成の銀ペースト(株式会社徳力化学研究所
製、商品名:シルベスト)を貴金属ペーストP1として
用い、かつ塗布厚を25μm程度に設定した。
【0039】 ・貴金属粒子としての銀粒子: 70重量部、 ・酸化物ガラスとしてのガラスフリット:5重量部(但
しほう珪酸亜鉛を80重量%、RuO2を20重量%含
む)、 ・樹脂バインダ: 約5重量% ・溶剤としてのブチルカルビトール: 約15重量%。
【0040】そして、貴金属ペーストP1を印刷した窒
化アルミニウム基材を、印刷面を上に向けて約750℃
の温度で所定時間加熱して、貴金属ペーストP1中の溶
剤を揮発させた。この加熱により、基材9に抵抗発熱体
10及びパッド10aを焼き付けた。このとき、溶融し
たガラスフリットG1が基材9に近づく方向に移動し
て、窒化アルミニウムとの界面に第1層L1を形成して
いた。これは、重力の影響によるものと考えられる。逆
に、銀は窒化アルミニウム基材から離れる方向に移動し
て、第1層L1上に第2層L2を形成していた(図2
(c)参照)。詳細な理由は不明であるが、このような
移動現象ないし偏在化現象は、貴金属ペーストP1中に
含まれるRuO2の存在下で特に促進されると推測され
ている。 [実施例2]実施例2では、窒化珪素粉末(平均粒径
1.1μm)45重量部に、Y2O3(平均粒径0.4μ
m)20重量部、Al2O3(平均粒径0.5μm)15重
量部、SiO2(平均粒径0.5μm)20重量部、アク
リル系樹脂バインダ(三井化学社製、商品名:SA−5
45,酸値1.0)8重量部を混合した。
【0041】このようにして得た混合物を均一に混練し
てなる混練物をプレス成形用型に入れてプレスすること
により、板状生成形体を作製した。次いで、穴あけ加工
及び乾燥を行った後、成形体を窒素雰囲気中で350
℃、4時間の脱脂を行い、バインダを熱分解させた。さ
らに、脱脂された成形体を1600℃、3時間の条件で
ホットプレス焼成し、窒化珪素基材を得た。なお、ホッ
トプレスの圧力は150kg/cm2に設定した。
【0042】この後、基材切り出し及び表面研削加工を
行った後、ペースト印刷工程を行った。同工程では、下
記のごとき組成の銀/パラジウムペースト(株式会社徳
力化学研究所製、商品名:シルベスト)を貴金属ペース
トP1として用い、塗布時の厚さを25μm程度に設定
した。
【0043】 ・貴金属粒子: 銀粒子が56.6重量%、パラジウム
粒子が10.3重量%、 ・酸化物ガラス成分: SiO2が1.0重量%、B2O3
が2.5重量%、ZnOが5.6重量%、PbOが0.
6重量%、RuO2を2.1重量%、 ・樹脂バインダ: 3.4重量% ・溶剤としてのブチルカルビトール: 17.9重量
%。
【0044】そして、貴金属ペーストP1を印刷した窒
化珪素基材を、印刷面を上に向けて約750℃の温度で
所定時間加熱して、2層構造からなる抵抗発熱体10及
びパッド10aを焼き付けた。 [評価試験]ここで実施例1について、ホットプレート
3を厚さ方向に沿って切断し、抵抗発熱体10の断面を
×2000でSEM観察することにより、抵抗発熱体1
0における膨れや剥がれの有無を調査した。その結果、
膨れや剥がれは特に確認されなかった(図3の写真参
照)。実施例2についても同様の結果であった。
【0045】また、蛍光X線SEM−XMA(日立 S
−3200N−kevex Sigmaレベル2)を用
いて抵抗発熱体10中におけるZn(即ち酸化物ガラス
における一成分)のマッピング映像を調べることによ
り、Znの偏在状況について調査した。その結果、図4
のマッピング映像に示されるように、抵抗発熱体10
は、Znの量が相対的に多い層と、Znの量が相対的に
少ない層とに分れていることがわかった。具体的には、
Znの量が相対的に多い層には、Znの量が相対的に少
ない層の10倍程度多いZnが含まれていた。また、Z
nの量が相対的に多い層のほうが、基材9側に位置して
いることも同様にわかった(図4(a)参照)。
【0046】即ち、実施例1,2の抵抗発熱体10は、
酸化物ガラス量が相対的に多くて基材9に近い側に位置
する第1層L1と、酸化物ガラス量が相対的に少なくて
基材9から遠い側に位置する第2層L2とからなること
が確認された。
【0047】また、実施例1の貴金属ペーストP1を印
刷したセラミック基材9を、印刷面を「下側」にして7
50℃で加熱することにより、比較例を作製した。この
比較例では、実施例1,2とは異なり、抵抗発熱体10
の酸化物ガラスの相対量が、セラミック基材9の側ほど
少なくなっていた。
【0048】さらに、従来公知の手法に従って抵抗発熱
体10に対する引っ張り強度試験を行った。その結果、
実施例1の測定値は11.5kgf/2mm□、実施例
2の測定値は15.1kg/2mm□であり、ともに極
めて良好であった。これに対して、比較例の測定値は
4.2kg/2mm□であった。
【0049】そして、上記実施例によれば以下のような
効果を得ることができる。 (1)前記実施例のホットプレート3の構成材料である
セラミック基材9は窒化アルミニウム基材(または窒化
珪素基材)であり、上記のごとく2層構造の導体層(抵
抗発熱体10及びパッド10a)を備えている。導体層
を構成する第1層L1は、セラミック基材9の表面に接
するように形成されている。従って、基材9と第2層L
2との間には、窒化アルミニウムや窒化珪素との密着性
に優れた第1層L1が、いわば下地層として介在された
状態となっている、この結果、窒化アルミニウムまたは
窒化珪素に対する導体層の密着性が従来のものに比べて
改善される。よって、剥離しにくい導体層を備えるセラ
ミック基材9とすることができ、ホットプレートユニッ
ト1の信頼性向上を図ることができる。
【0050】また、窒化アルミニウムや窒化珪素という
耐熱性、高熱伝導性のセラミック材料を使用しているた
め、耐熱性及び熱伝導性に優れたホットプレート3を確
実に実現することができる。即ち、加熱面の温度均一性
を確保することができる。
【0051】なお、ガラスを主成分として含む第1層L
1により密着性が改善される理由としては、あくまで推
測であるが、次のことが予想される。即ち、第1層L1
中のガラスは、窒化アルミニウムの焼結体表層に存在す
る酸化層(アルミナ層)や、焼結助剤として添加した酸
化イットリウム等のガラス相成分との親和性が高く、こ
のことが密着性の改善に寄与している、というものであ
る。
【0052】(2)実施例1,2によると、第1層L1
の第2層L2に対する厚さの比率を上記好適範囲内に設
定しているため、抵抗発熱体10等に必要とされる性質
を保有しつつ、確実にその密着性の向上を図ることがで
きる。
【0053】(3)そして、実施例1,2の製造方法に
よれば、上記の移動現象が促進される結果、第1層L1
及び第2層L2の2層からなる好適な導体層を備えるセ
ラミック基材9を、簡単にかつ確実に製造することがで
きる。
【0054】(4)なお、実施例1,2のホットプレー
ト3は、抵抗発熱体10の印刷面の反対側面を加熱面と
して使用するものである。従って、シリコンウエハW1
等の被加熱物を直接加熱面に載置して加熱する方法か、
あるいは印刷面との間に50μm〜200μm程度の隙
間を持たせて被加熱物を保持し、非接触でそれを加熱す
る方法のいずれかを選択的に採用することができる。
【0055】また、セラミック基材9に抵抗発熱体10
を印刷した印刷面の反対側面を加熱面として使用するこ
とにより、抵抗発熱体パターンに沿った温度分布の発生
を防止することができる。さらに、加熱面の温度均一性
に優れる加熱面と抵抗発熱体パターンとの距離が大きい
方が、加熱面の温度均一性に優れたものとなる。従っ
て、セラミック基材9の抵抗発熱体10の印刷面の反対
側面を加熱面として使用する本実施例の構造は、加熱面
と抵抗発熱体パターンとの間に大きな距離を確保するこ
とができる点で有利である。この場合、抵抗発熱体10
がセラミック基材9から露出することになるため、抵抗
発熱体10には高い密着性が要求されることとなる。本
実施例はまさにこのような要求を満たすものであり、加
熱面の温度分布の均一化にも貢献している。
【0056】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ セラミック基材9の製造は、プレス成形法のみに限
定されることはなく、例えばドクターブレード装置を利
用したシート成形法を経て行われてもよい。シート成形
法を採用した場合、例えば積層されたシート間に抵抗発
熱体10を配設することができるので、高温用のホット
プレート3を比較的容易に実現することができる。
【0057】・ 導体層は実施形態において例示した抵
抗発熱体10等のような発熱用のもののみに限定される
ことはなく、それ以外のものであってもよい。 ・ 貴金属ペーストP1を塗布する方法として、スクリ
ーン印刷法のみならず、例えば転写法などその他の手法
を採用してもよい。
【0058】・ 実施形態において例示した窒化物セラ
ミックのほかに、例えば炭化珪素、炭化ジルコニウム、
炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等のよう
な炭化物セラミックを基材材料として選択してもよい。
【0059】・ 導体層は2層構造に限定されることは
なく、例えば下層、中層及び上層からなる3層構造であ
ってもよい。この場合、基材9に最も近い側に位置する
下層の酸化物ガラスの量は、中層の酸化物ガラスの量よ
りも相対的に多くなるように設定される。一方、基材9
から最も遠い側に位置する上層の酸化物ガラスの量は、
中層の酸化物ガラスの量よりも相対的に少なくなるよう
に設定される。なお、上記のような3層構造のみなら
ず、4層以上の構造にすることも可能である。
【0060】・ 本発明のセラミック基材9は、セラミ
ック製ホットプレート3用の材料として具体化されるの
みならず、それ以外のセラミック製品用材料として具体
化されても勿論よい。
【0061】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 基材の表面に形成されかつガラスを主成分とし
て含む第1層と、その第1層上に形成されかつ銀を主成分
として含む第2層とからなる導体層を備えることを特徴
とする窒化アルミニウム基材。
【0062】(2) 前記第1層の厚さは前記第2層の
厚さの1/3〜1/10(好ましくは1/4〜1/6)
であることを特徴とする技術的思想1に記載の窒化アル
ミニウム基材。
【0063】(3) 前記窒化アルミニウム基材はセラ
ミック製ホットプレート用であり、前記導体層はその発
熱抵抗体であることを特徴とする技術的思想1または2
に記載の窒化アルミニウム基材。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1,2に記
載の発明によれば、密着性に優れるため剥離しにくい導
体層を有するセラミック基材を提供することができる。
【0065】請求項3に記載の発明によれば、耐熱性及
び熱伝導性に優れたセラミック基材とすることができ
る。請求項4に記載の発明によれば、例えば発熱用のも
のとして好適な導体層を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のホットプレートユニットを示す概略
断面図。
【図2】(a)〜(d)は導体層の形成手順を説明する
ためのホットプレートの部分拡大断面図。
【図3】導体層のSEM写真。
【図4】(a)は前記SEM写真におけるZnの蛍光X
線マッピング映像、(b)は前記SEM写真におけるA
gの蛍光X線マッピング映像。
【符号の説明】
9…セラミック基材、10…導体層としての抵抗発熱
体、10a…導体層としてのパッド、L1…基材に近い
側の層(第1層)、L2…基材から遠い側の層(第2
層)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−40330(JP,A) 特開 平11−282291(JP,A) 特開 昭64−35889(JP,A) 実公 平6−34341(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/12 H05B 3/14 H05B 3/16 H05B 3/20 H05B 3/74

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の表面に酸化物ガラス及び貴金属から
    なる導体層を有するセラミック基材において、前記導体
    層は、前記セラミック基材と接する側に、酸化物ガラス
    の量が相対的に多い領域を有することを特徴とするセラ
    ミック基材。
  2. 【請求項2】基材の表面に酸化物ガラス及び貴金属から
    なる導体層を有するセラミック基材において、前記導体
    層は少なくとも2層からなり、前記基材に最も近い層の
    酸化物ガラスの量は、その層に隣接する外側の層のそれ
    よりも相対的に多いことを特徴とするセラミック基材。
  3. 【請求項3】前記セラミック基材は窒化物セラミック基
    材であることを特徴とする請求項1または2に記載のセ
    ラミック基材。
  4. 【請求項4】前記貴金属は、銀、金、白金及びパラジウ
    ムから選ばれる少なくともいずれか1種であることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミ
    ック基材。
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