JP3325649B2 - 熱交換器用耐食性銅管 - Google Patents
熱交換器用耐食性銅管Info
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- JP3325649B2 JP3325649B2 JP11066193A JP11066193A JP3325649B2 JP 3325649 B2 JP3325649 B2 JP 3325649B2 JP 11066193 A JP11066193 A JP 11066193A JP 11066193 A JP11066193 A JP 11066193A JP 3325649 B2 JP3325649 B2 JP 3325649B2
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- Japan
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- heat exchanger
- corrosion
- copper tube
- oil
- copper
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は空調機等の熱交換器に使
用される熱交換器用耐食性銅管に関する。
用される熱交換器用耐食性銅管に関する。
【０００２】
【従来の技術】熱交換器を組み立てる際は、アルミニウ
ム板のプレス加工工程及び銅管の曲げ加工工程等におい
て多量の潤滑油が使用されている。そして、組立が終了
した後には、これらの潤滑油を除去するために、有機溶
剤及びフロン等を使用して洗浄が行われている。しか
し、近年、環境保護の観点から、有機溶剤及びフロン等
の使用が規制される傾向にあり、潤滑油の洗浄を省略す
るために、潤滑油自体が揮発性を有する揮発性潤滑油が
使用されるようになった。
ム板のプレス加工工程及び銅管の曲げ加工工程等におい
て多量の潤滑油が使用されている。そして、組立が終了
した後には、これらの潤滑油を除去するために、有機溶
剤及びフロン等を使用して洗浄が行われている。しか
し、近年、環境保護の観点から、有機溶剤及びフロン等
の使用が規制される傾向にあり、潤滑油の洗浄を省略す
るために、潤滑油自体が揮発性を有する揮発性潤滑油が
使用されるようになった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱交換
器の組立時に使用される揮発性潤滑油には、完全に揮発
する前の残留油に熱が加えられると、前記残留油が分解
して、蟻の巣状腐食の腐食媒体とされるカルボン酸（有
機酸）が生成されるものがある。蟻の巣状腐食は、カル
ボン酸（有機酸）を腐食媒体として、銅管の半径方向に
断面形状があたかも蟻の巣のような不規則な形で進行す
る腐食であり、この蟻の巣状腐食により熱交換器の組立
から２〜３ヵ月でリークが発生することもある。
器の組立時に使用される揮発性潤滑油には、完全に揮発
する前の残留油に熱が加えられると、前記残留油が分解
して、蟻の巣状腐食の腐食媒体とされるカルボン酸（有
機酸）が生成されるものがある。蟻の巣状腐食は、カル
ボン酸（有機酸）を腐食媒体として、銅管の半径方向に
断面形状があたかも蟻の巣のような不規則な形で進行す
る腐食であり、この蟻の巣状腐食により熱交換器の組立
から２〜３ヵ月でリークが発生することもある。
【０００４】蟻の巣状腐食を抑制するためには、銅管に
高熱を加える工程（即ち、ろう付け工程）よりも前に揮
発性潤滑油を十分に揮発させる必要がある。しかし、近
年、熱交換器の組立工程におけるリードタイムを短縮す
るために、乾燥時間を短縮する傾向がある。揮発速度が
速い潤滑油を使用することも考えられるが、そうする
と、潤滑油の潤滑性が低下するため、アルミニウム板の
プレス加工工程及び銅管の曲げ加工工程等の工程におい
て焼き付き等の不都合が発生する虞れがある。即ち、十
分な潤滑性を維持するためには、揮発性潤滑油の揮発速
度はある程度遅くなる傾向にある。
高熱を加える工程（即ち、ろう付け工程）よりも前に揮
発性潤滑油を十分に揮発させる必要がある。しかし、近
年、熱交換器の組立工程におけるリードタイムを短縮す
るために、乾燥時間を短縮する傾向がある。揮発速度が
速い潤滑油を使用することも考えられるが、そうする
と、潤滑油の潤滑性が低下するため、アルミニウム板の
プレス加工工程及び銅管の曲げ加工工程等の工程におい
て焼き付き等の不都合が発生する虞れがある。即ち、十
分な潤滑性を維持するためには、揮発性潤滑油の揮発速
度はある程度遅くなる傾向にある。
【０００５】このため、揮発性潤滑油が残留した状態で
高温を加えても蟻の巣状腐食が発生しにくい熱交換器用
銅管が要望されている。
高温を加えても蟻の巣状腐食が発生しにくい熱交換器用
銅管が要望されている。
【０００６】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、揮発性潤滑油が残留した状態で高温を加え
ても蟻の巣状腐食が発生しにくい熱交換器用耐食性銅管
を提供することを目的とする。
のであって、揮発性潤滑油が残留した状態で高温を加え
ても蟻の巣状腐食が発生しにくい熱交換器用耐食性銅管
を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
耐食性銅管は、エステル系添加剤を含有し且つ脂肪酸添
加剤を含まない油膜がその表面に付着しており、前記油
膜の熱交換器組立時における平均残油量が０．０１乃至
２０．０ｍｇ／ｍ2 であることを特徴とする。
耐食性銅管は、エステル系添加剤を含有し且つ脂肪酸添
加剤を含まない油膜がその表面に付着しており、前記油
膜の熱交換器組立時における平均残油量が０．０１乃至
２０．０ｍｇ／ｍ2 であることを特徴とする。
【０００８】なお、本願において銅管とは、純銅又は銅
合金からなる管をいう。
合金からなる管をいう。
【０００９】
【作用】本発明に係る熱交換器用耐食性銅管は、その表
面にエステル系添加剤を含有し且つ脂肪酸添加剤を含有
しない油膜が付着している。
面にエステル系添加剤を含有し且つ脂肪酸添加剤を含有
しない油膜が付着している。
【００１０】脂肪酸添加剤が含有されている潤滑油は、
銅管表面の銅と反応して銅石鹸を生成し、銅管表面の油
膜に対する吸着力を高めることにより潤滑性を向上させ
ている。このため、脂肪酸添加剤が含有されている潤滑
油は潤滑性が優れ、従来、高加工率及び高速加工用の潤
滑油として広く使用されている。
銅管表面の銅と反応して銅石鹸を生成し、銅管表面の油
膜に対する吸着力を高めることにより潤滑性を向上させ
ている。このため、脂肪酸添加剤が含有されている潤滑
油は潤滑性が優れ、従来、高加工率及び高速加工用の潤
滑油として広く使用されている。
【００１１】しかし、この種の潤滑油は、加工時に発生
する熱並びに銅管の焼鈍時及び熱交換器組立工程時のろ
う付け工程等において加えられる熱により、銅石鹸の状
態で管表面から離脱してしまう。このため、脂肪酸添加
剤を含有する潤滑油を管表面に付着させておいても、腐
食環境に暴露された場合に、潤滑油が離脱した部分が腐
食媒体に曝されて、蟻の巣状腐食が発生する。従って、
管表面に付着させておく油膜には、脂肪酸添加剤を含ま
ないことが必要である。
する熱並びに銅管の焼鈍時及び熱交換器組立工程時のろ
う付け工程等において加えられる熱により、銅石鹸の状
態で管表面から離脱してしまう。このため、脂肪酸添加
剤を含有する潤滑油を管表面に付着させておいても、腐
食環境に暴露された場合に、潤滑油が離脱した部分が腐
食媒体に曝されて、蟻の巣状腐食が発生する。従って、
管表面に付着させておく油膜には、脂肪酸添加剤を含ま
ないことが必要である。
【００１２】一方、エステル系添加剤を含有する潤滑油
は、脂肪酸添加剤を含有する潤滑油と比較して、銅管表
面での油膜に対する吸着力は若干劣るものの、脂肪酸添
加剤を含有する潤滑油のように銅石鹸を生成しない。こ
のため、エステル系添加剤を含有する潤滑油を銅管の表
面に付着させておくと、熱が加えられても管表面に緻密
な油膜を保持することができて、この油膜により、腐食
媒体が管表面に接触することを抑制することができる。
は、脂肪酸添加剤を含有する潤滑油と比較して、銅管表
面での油膜に対する吸着力は若干劣るものの、脂肪酸添
加剤を含有する潤滑油のように銅石鹸を生成しない。こ
のため、エステル系添加剤を含有する潤滑油を銅管の表
面に付着させておくと、熱が加えられても管表面に緻密
な油膜を保持することができて、この油膜により、腐食
媒体が管表面に接触することを抑制することができる。
【００１３】ところで、熱交換器組立時における前記油
膜の平均残油量が０．０１ｍｇ／ｍ2 未満の場合は、油
膜により腐食を防止する効果を十分に得ることができな
い。一方、熱交換器組立時における油膜の平均残油量が
２０．０ｍｇ／ｍ2 を超えると、ろう付け時の熱によっ
て油膜が炭化され、ろう材の広がりが阻害されるので、
ろう付け不良が発生しやすくなる。このため、熱交換器
組立時における油膜の平均残油量は０．０１乃至２０．
０ｍｇ／ｍ2 であることが必要である。
膜の平均残油量が０．０１ｍｇ／ｍ2 未満の場合は、油
膜により腐食を防止する効果を十分に得ることができな
い。一方、熱交換器組立時における油膜の平均残油量が
２０．０ｍｇ／ｍ2 を超えると、ろう付け時の熱によっ
て油膜が炭化され、ろう材の広がりが阻害されるので、
ろう付け不良が発生しやすくなる。このため、熱交換器
組立時における油膜の平均残油量は０．０１乃至２０．
０ｍｇ／ｍ2 であることが必要である。
【００１４】
【実施例】次に、本発明の実施例について、その比較例
と比較して説明する。
と比較して説明する。
【００１５】先ず、りん脱酸銅管（JIS H3300 C1220 ）
の表面に、下記表１に示す組成の潤滑油の油膜を付着さ
せた。そして、これらの銅管を、Ｏ2 濃度が５００ｐｐ
ｍ、Ｈ2 濃度が５体積％であり、残部がＮ2 からなる雰
囲気中において熱処理した。その後、ジクロロエタンに
より管表面の油分を抽出し、重量を測定することによ
り、管表面の残油量を調べた。その結果を表１に併せて
示す。
の表面に、下記表１に示す組成の潤滑油の油膜を付着さ
せた。そして、これらの銅管を、Ｏ2 濃度が５００ｐｐ
ｍ、Ｈ2 濃度が５体積％であり、残部がＮ2 からなる雰
囲気中において熱処理した。その後、ジクロロエタンに
より管表面の油分を抽出し、重量を測定することによ
り、管表面の残油量を調べた。その結果を表１に併せて
示す。
【００１６】
【表１】
【００１７】蟻の巣状腐食に対する耐食性を調べるため
に、これらの実施例及び比較例の各銅管を、ギ酸濃度が
１％の雰囲気及び酢酸濃度が１％の雰囲気に２０日間曝
露した。その後、各銅管の断面を観察し、最大腐食深さ
を測定して耐食性を評価した。なお、上述したギ酸雰囲
気及び酢酸雰囲気により、蟻の巣状腐食を容易に再現す
ることができる。
に、これらの実施例及び比較例の各銅管を、ギ酸濃度が
１％の雰囲気及び酢酸濃度が１％の雰囲気に２０日間曝
露した。その後、各銅管の断面を観察し、最大腐食深さ
を測定して耐食性を評価した。なお、上述したギ酸雰囲
気及び酢酸雰囲気により、蟻の巣状腐食を容易に再現す
ることができる。
【００１８】また、実施例及び比較例の各銅管につい
て、ろう付け性を調べた。即ち、実施例及び比較例の各
銅管を使用してフィンズコイルを組み立て、リターンベ
ンド部をろう付けした。このときのろう付け条件は、ろ
う材がＢＣｕＰ−２、ろう付け温度が８５０℃、ろう付
け時間が３０秒間である。ろう付け後の各銅管に対し、
２．９４ＭＰａの空気圧力で気密試験を実施して、ろう
付け部におけるリークの有無を調べた。これらの結果
を、下記表２にまとめて示す。但し、ろう付け性は、上
述の気密試験によりリークが発生した場合を×、リーク
がない場合を○で示した。
て、ろう付け性を調べた。即ち、実施例及び比較例の各
銅管を使用してフィンズコイルを組み立て、リターンベ
ンド部をろう付けした。このときのろう付け条件は、ろ
う材がＢＣｕＰ−２、ろう付け温度が８５０℃、ろう付
け時間が３０秒間である。ろう付け後の各銅管に対し、
２．９４ＭＰａの空気圧力で気密試験を実施して、ろう
付け部におけるリークの有無を調べた。これらの結果
を、下記表２にまとめて示す。但し、ろう付け性は、上
述の気密試験によりリークが発生した場合を×、リーク
がない場合を○で示した。
【００１９】
【表２】
【００２０】この表２から明らかなように、実施例１〜
５の銅管は、いずれもギ酸及び酢酸等のカルボン酸に対
する耐食性が良好であると共に、ろう付け性も良好であ
る。一方、油膜の残油量が少ない比較例１及び脂肪酸を
含有する油膜が設けられた比較例３〜５は、いずれもギ
酸及び酢酸に対する耐食性が不十分である。また、残油
量が多い比較例２は、ろう付け不良が発生した。
５の銅管は、いずれもギ酸及び酢酸等のカルボン酸に対
する耐食性が良好であると共に、ろう付け性も良好であ
る。一方、油膜の残油量が少ない比較例１及び脂肪酸を
含有する油膜が設けられた比較例３〜５は、いずれもギ
酸及び酢酸に対する耐食性が不十分である。また、残油
量が多い比較例２は、ろう付け不良が発生した。
【００２１】なお、本発明に係る耐食性銅管において
は、銅管表面の油膜が熱処理等によりカーボンに変質
し、油膜中にカーボンが混在することもあるが、耐食性
に対する効果は変わらない。
は、銅管表面の油膜が熱処理等によりカーボンに変質
し、油膜中にカーボンが混在することもあるが、耐食性
に対する効果は変わらない。
【００２２】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る熱交換
器用耐食性銅管は、エステル系添加剤を含み且つ脂肪酸
添加剤を含まない油膜が付着しているから、ギ酸及び酢
酸等のカルボン酸を含む雰囲気においても蟻の巣状腐食
の発生を抑制することができる。
器用耐食性銅管は、エステル系添加剤を含み且つ脂肪酸
添加剤を含まない油膜が付着しているから、ギ酸及び酢
酸等のカルボン酸を含む雰囲気においても蟻の巣状腐食
の発生を抑制することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F28F 19/00
Claims (1)
- 【請求項１】 エステル系添加剤を含有し且つ脂肪酸添
加剤を含まない油膜がその表面に付着しており、前記油
膜の熱交換器組立時における平均残油量が０．０１乃至
２０．０ｍｇ／ｍ2 であることを特徴とする熱交換器用
耐食性銅管。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11066193A JP3325649B2 (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | 熱交換器用耐食性銅管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11066193A JP3325649B2 (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | 熱交換器用耐食性銅管 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06323780A JPH06323780A (ja) | 1994-11-25 |
| JP3325649B2 true JP3325649B2 (ja) | 2002-09-17 |
Family
ID=14541283
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11066193A Expired - Lifetime JP3325649B2 (ja) | 1993-05-12 | 1993-05-12 | 熱交換器用耐食性銅管 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3325649B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-12 JP JP11066193A patent/JP3325649B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06323780A (ja) | 1994-11-25 |
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Legal Events
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