JPH10130674A - 抽伸加工用潤滑油 - Google Patents

抽伸加工用潤滑油

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JPH10130674A
JPH10130674A JP28395796A JP28395796A JPH10130674A JP H10130674 A JPH10130674 A JP H10130674A JP 28395796 A JP28395796 A JP 28395796A JP 28395796 A JP28395796 A JP 28395796A JP H10130674 A JPH10130674 A JP H10130674A
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JP
Japan
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polybutene
molecular weight
lubricating oil
viscosity
oil
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Application number
JP28395796A
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English (en)
Inventor
Chikara Saeki
主税 佐伯
Akinori Tsuchiya
昭則 土屋
Masahiko Sato
匡彦 佐藤
Kozo Saeki
公三 佐伯
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼鈍炉内において長尺コイル金属管にパージ
等の特別な残油除去処理を施すことなく、低コストで管
内残油を低減することができ、これにより、金属管のろ
う付性を向上させ、好ましくは、抽伸時の潤滑性を高め
て抽伸時の焼付きを防止することができる抽伸加工用潤
滑油を提供する。 【解決手段】 抽伸加工用潤滑油は、数平均分子量が2
500以下であると共に、分子量が800未満であるも
のが10%以下であるポリブテンからなるものである。
また、このポリブテンに炭素数が6乃至13であるアル
コールを添加したものを抽伸加工用潤滑油とすることも
できる。この場合、40℃における潤滑油の粘度が15
0乃至5000cStであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエアコン及び冷蔵庫
の熱交換器等に使用される長尺焼鈍コイル銅管等の抽伸
用として好適である抽伸加工用潤滑油に関し、特に、焼
鈍後の管内残油及びその他の炭化物等の残渣物が少ない
と共に、管内面の潤滑性及び焼付き防止性を向上させる
ことができる抽伸加工用潤滑油に関する。
【0002】
【従来の技術】エアコン及び冷蔵庫の熱交換器等に使用
される長尺焼鈍コイル銅管、特に、1800乃至500
0mの超長尺の焼鈍コイル銅管は、通常、潤滑油を使用
する抽伸工程によって銅管に加工され、これをコイル状
に巻取りした後、還元雰囲気又は不活性雰囲気で500
℃以上の温度で加熱焼鈍が施される。
【0003】このような長尺焼鈍コイル銅管に内面抽伸
を施す場合には、従来、主としてポリブテンのような炭
化水素に脂肪酸エステル又は低級イソパラフィン等を添
加して、粘度を調整した潤滑油が使用されていた。これ
ら潤滑油の蒸発乾留温度は、通常450℃以下であるた
め、抽伸加工後の焼鈍において、銅管内で気化するか又
は熱分解することにより完全にガス化して、コイル端部
から管外に排出される。しかしながら、コイル長が極め
て長い場合又は管径が極めて小さい場合、ガス化された
潤滑油は完全に管外に排出されないので、冷却過程にお
いてガス成分の一部が凝縮し、管内に残油及び残渣を生
成してしまう。
【0004】近時、環境保全のためにフロン規制が実施
されており、エアコン及び冷蔵庫等の冷凍システムに
は、HFC(Hydrofluorocarbon)系のフロンガスが代
替冷媒として使用されるようになってきている。しか
し、このHFC系冷媒と炭化水素系の油とは相溶しない
ので、管内に残油が存在したまま銅管コイルを加工し
て、エアコン又は冷蔵庫等の熱交換器を製造した場合
に、管内の残油が冷凍システムの運転に支障をきたした
り、コンタミ(汚染)によるキャピラリーの目詰まり等
の問題を引き起こすことがある。
【0005】また、長尺焼鈍コイル銅管の管内残油は、
エアコン及び冷蔵庫等の熱交換器の組立作業時のろう付
作業において、ろう付け不良を引き起こす原因ともなっ
ている。更に、脂肪酸エステルを粘度調整剤として使用
して抽伸し、これを焼鈍した場合、管内に残油が存在す
ると、焼鈍コイルに異臭が発生することがある。
【0006】このような種々の欠点を解決するために、
超長尺コイル銅管の管内残油の低減が強く要望されてき
ている。
【0007】そこで、このような長尺焼鈍コイル銅管内
の残油低減方法としては、加熱焼鈍時に排気ポンプを使
用するか、又は真空室において管内ガスを吸引除去する
方法がある。また、加熱焼鈍時に窒素又は不活性ガスで
管内ガスをパージする方法も提案されている(特開平6
−279860号公報、特開平7−197283号公
報)。更に、両者を組み合わせることにより管内面の潤
滑油残存を低減することができることも公知である(特
開平6−228649号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銅管内
の残存ガスを加熱焼鈍時に吸引除去するか又は不活性ガ
ス等でパージする方法を使用する場合、そのための設備
改造が必要になると共に、生産性が低下し、これによ
り、内面清浄な長尺コイル銅管の製造コストが上昇して
しまうという問題点がある。また、潤滑油の粘度又は粘
度を調整するための溶剤が適切に選択されていない場
合、銅管抽伸時において潤滑性が低下することがあり、
これにより焼付きが発生したり、作業性が悪くなるとい
う問題点もある。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、焼鈍炉内において長尺コイル銅管にパージ
等の特別な残油除去処理を施すことなく、低コストで管
内残油を低減することができ、これにより、銅管のろう
付性を向上させ、好ましくは、抽伸時の潤滑性を高めて
抽伸時の焼付きを防止することができる抽伸加工用潤滑
油を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る抽伸加工用
潤滑油は、数平均分子量が2500以下であると共に、
分子量が800未満であるものが10%以下であるポリ
ブテンからなることを特徴とする。
【0011】本発明に係る他の抽伸加工用潤滑油は、数
平均分子量が2500以下であると共に、分子量が80
0未満であるものが10%以下であるポリブテンに、炭
素数が6乃至13であるアルコールが添加されたもので
あることを特徴とする。
【0012】この抽伸加工用潤滑油は、40℃における
粘度が150乃至5000cStであることが好まし
い。また、アルコールはオクチルアルコール及びノニル
アルコールのいずれか一方又は両方を混合して使用する
ことが好ましい。
【0013】なお、本発明において、ポリブテンの分子
量分布は、溶剤としてテトラヒドロフラン、カラムとし
て昭和電工製KFG、KF802.5及びKF801を
使用し、溶離液としてテトラヒドロフランを1.0(m
l/分)の流量で流し、分子量の校正はポリスチレンを
標準物質として、40℃のカラム温度で、昭和電工製S
E−61の示差屈折率計によって測定することにより得
られる値とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、長尺コイル銅管
の管内残油を低減すると共に、抽伸時における潤滑性が
優れた抽伸加工用潤滑油を開発すべく種々研究を行っ
た。その結果、分子量が調整されたポリブテン又はこれ
を適当な溶剤で粘度調整したものを抽伸加工用潤滑油と
することにより、焼鈍後における管内残油が著しく低減
された長尺コイル銅管を得ることができ、潤滑油の粘度
を所定の範囲に選択することにより、抽伸加工時の潤滑
性を高め、焼付きを防止することができることを見出し
た。
【0015】図1は縦軸に油残量をとり、横軸に温度を
とって、窒素気流中における抽伸加工用潤滑油の加熱時
における重量減少特性を示すグラフ図である。図1に示
すように、銅管抽伸加工に使用される潤滑油は、通常、
雰囲気ガス流通下において、450℃までには揮散して
消失してしまう。この潤滑油の消失は、可逆的に生じる
蒸発と、不可逆的に生じる熱分解による低分子量化とに
よって揮散することによる。
【0016】しかしながら、長尺コイル銅管は、コイル
長が数百mから5000mと、極めて長いと共に管径が
極めて小さいので、その焼鈍時には、実質的には半密閉
状態で加熱しているのと同様の状態になる。即ち、半密
閉状態において、可逆的な蒸発により揮散する潤滑油中
の成分は、加熱により気化・膨張し、少しずつ管外に排
出されるが、管内に滞留した成分は冷却時に再凝縮して
残油を形成する。
【0017】一方、不可逆的な熱分解により揮散する成
分は、低分子量化によってガス化する場合に著しく体積
が増加するので、単に蒸発した成分よりも管外に排出さ
れやすい。また、熱分解による低分子量化に伴って、潤
滑油の沸点が著しく低下するので、冷却後においても、
再凝縮して残油を形成する虞は少なくなる。これらのこ
とから、長尺コイル銅管の管内残油を低減するための抽
伸加工用潤滑油としては、熱分解性が優れたものである
ことが望ましい。
【0018】一般的に、潤滑油として使用されている炭
化水素系の有機化合物は、熱力学的には高温になるほど
不安定となって熱分解するが、この熱分解は平衡論的に
は低級パラフィンになるほど発生しにくく、高級パラフ
ィンになるほど発生しやすいという傾向がある。また、
速度論的には、高温であるほど熱分解反応の速度が大き
くなるので、より一層短時間で分解させることができ
る。本発明においては、抽伸加工用潤滑油としてポリブ
テンを選択しているが、このポリブテンは、熱分解性が
優れ、加熱後にカーボン残渣を生じない油として多くの
加工油に使用されており、その熱分解の特性について
も、上述の炭化水素系の有機化合物の分解の傾向に従う
ものである。
【0019】前述の如く、長尺焼鈍コイル銅管は、ポリ
ブテン等の炭化水素油をベースとする潤滑油を使用して
抽伸加工された後、コイル状に巻き取られ、還元性雰囲
気又は不活性雰囲気中で加熱・焼鈍することにより製造
される。このとき、焼鈍温度を十分高温にするか又は十
分長い時間で加熱処理することができるのであれば、管
内に付着している潤滑油を完全に熱分解させることが可
能である。
【0020】しかしながら、実際には、焼鈍炉の材質特
性及び処理コスト等を考慮すると、潤滑油を完全に熱分
解することができない温度及び時間で熱処理することに
なる。このような油の蒸発気化及び熱分解の挙動は、油
自体の分子量の範囲及び熱処理の温度と時間に大きく依
存する。
【0021】例えば、エアコン及び冷蔵庫の熱交換器等
に使用される長尺焼鈍コイル銅管は、通常、500℃以
上の温度で数分から数時間程度の焼鈍処理が施される
が、このような条件下において、熱分解させるために最
も有利なポリブテンは、その分子量分布の範囲で限定す
ることができる。
【0022】図2は縦軸に分子数をとり、横軸に分子量
をとって、焼鈍処理後に管内に残存するポリブテンの分
子量分布を示すグラフ図である。即ち、図2は、広い分
子量分布を有するポリブテンを使用して銅管を抽伸加工
した後、焼鈍処理を施し、その後、管内に残存した油成
分の分子量分布を測定した結果である。但し、この分子
量分布は、溶剤としてテトラヒドロフラン、カラムとし
て昭和電工製KFG、KF804L、KF802.5及
びKF801を使用し、溶離液としてテトラヒドロフラ
ンを1.0(ml/分)の流量で流し、カラム温度を4
0℃として示差屈折率計によって測定したものである。
また、焼鈍条件は、雰囲気ガス温度を600℃に設定
し、加熱焼鈍時間を28分間とした。
【0023】図2に示すように、エアコン及び冷蔵庫の
熱交換器等に使用される長尺の銅管については、管内に
残存する油成分の分子量分布の範囲は、200乃至10
00に集中する。分子量が200未満であるポリブテン
分子は、焼鈍されたコイルが冷却されても、十分に高い
蒸気圧を有するので再凝縮せず、管内に残存しにくくな
る。一方、分子量が1000を超えるポリブテン分子
は、この焼鈍条件下において熱分解し、焼鈍後に冷却さ
れても凝縮することがない低分子量成分に転化するの
で、同様に管内に残存しにくい。
【0024】従って、本発明においては、管内残油を形
成しやすい分子量範囲のポリブテンをができるだけ低減
されるように、その分子量分布を調整し、このようなポ
リブテンを抽伸加工用潤滑油とするので、焼鈍中に特別
な残油除去処理を施すことなく、管内の残油が少ない長
尺焼鈍コイル銅管を得ることができ、これにより、銅管
のろう付性を向上させることができる。
【0025】また、本発明においては、所望の分子量分
布を有するポリブテンを抽伸加工用の潤滑油とするが、
このように分子量分布が調整されていても、40℃にお
ける粘度が、例えば、5000cSt以上という高粘度
である場合、抽伸加工用潤滑油として管内面に使用する
ためには、粘度を調整することが好ましい。
【0026】ポリブテンは無極性のため、他の溶剤類へ
の溶解性が低い。従来、ポリブテンの粘度調整剤として
は、脂肪酸エステル又はイソパラフィンを使用していた
が、これらを単体で熱分解評価した場合、通常の焼鈍条
件においては、十分に熱分解することはできない。ま
た、これらの成分は、単体では蒸気圧が不足するので、
焼鈍後の管内で凝縮し、残油として残存してしまう。粘
度調整剤として低粘度のパラフィン、イソパラフィン又
はオレフィン類の使用を試みたが、これらはいずれも熱
分解性が低いので、管内残油の原因となるものであっ
た。従って、石油系の溶剤を粘度調整剤として使用する
ことは困難である。
【0027】そこで、本願発明者等は適切な粘度調整剤
の選択を検討した結果、炭素数が多いアルコール類をポ
リブテンに添加すると、これらは高分子量のポリブテン
と混合し、静置した場合においても分離することがない
ことを見い出した。ポリブテン単体を抽伸加工用潤滑油
として使用する場合は、粘度が大きくなるほど潤滑性が
低下するが、アルコールを添加することによって粘度を
低下させた潤滑油を使用すると、潤滑性が向上する。こ
れは、ポリブテンが高分子量になるほど、管内面に対す
るポリブテンの付着性が低下するためであり、アルコー
ルの添加は、この管内面へのポリブテンの付着性を改善
する効果を有する。
【0028】また、ポリブテンにアルコールを添加した
ものは、ポリブテン単体と比較して熱分解温度が低下す
る。これは、ポリブテンよりも蒸発温度が低いアルコー
ルがポリブテンの蒸発を促進するためである。これによ
れば、アルコールの添加によって、例えば、長尺銅管内
でガスの流動性を高め、焼鈍において最も加熱が遅れる
コイル中央部の熱分解を促進することができる。また、
使用するアルコールの分子量を適切に選択することによ
り、十分に高い蒸気圧を得ることができ、粘度調整剤に
由来する管内残油の発生を抑制することができる。
【0029】従って、本発明においては、潤滑油の粘度
を調整するために、所定の分子量分布を有するポリブテ
ンにアルコールを添加して、これを抽伸加工用潤滑油と
することもできる。
【0030】このように、本発明に係る抽伸加工用潤滑
油は、熱分解性が優れており、分解したガスが、常温で
気体であるか又は管内残油を発生しないような低分子量
成分にまで分解されるので、この潤滑油を使用して抽伸
加工すると、焼鈍後において管内に凝縮による残油が存
在しないと共に、炭化物等の固形残留分も生成せず、い
ずれの部位においてもクリーンな管内面を形成すること
ができる。
【0031】なお、ポリブテンとアルコールとの混合方
法としては、例えば、高粘度のポリブテンを50乃至6
0℃に加熱して流動性を高めた後、アルコールを添加
し、撹拌することによって両者を混合させることができ
る。
【0032】以下、本発明における抽伸加工用潤滑油に
ついて、更に説明する。先ず、ポリブテンの分子量の規
定理由について説明する。
【0033】分子量が800未満であるポリブテン:1
0%以下 前述の如く、エアコン及び冷蔵庫の熱交換器等に使用さ
れる長尺の銅管は、通常、不活性ガス雰囲気又は還元ガ
ス雰囲気中において、500℃以上の雰囲気ガス温度で
数分から数時間程度の焼鈍処理が施される。このような
処理が施された銅管中の残油の分子量分布は、図2に示
すように、200乃至1000付近に集中する。この結
果は、分子量が1000を超えるポリブテン分子は、こ
の焼鈍条件下において熱分解し、焼鈍後に冷却されても
凝縮することがない低分子量成分に転化するので、管内
に残存しにくいことを示している。
【0034】このことより、長尺焼鈍コイル銅管用の抽
伸油としては、分子量が1000以下の成分を含まない
ことが好ましいが、分子量が800未満であるポリブテ
ンが少量含有されている場合においても、その含有量が
10%以下であれば、焼鈍後の管内に残存する油を低減
させることができる。これは、焼鈍時において、分子量
が1000を超える高分子量のポリブテンが熱分解する
際にガスを発生するので、これにより、分子量が100
0以下のポリブテン分子を十分に管内から押し出して、
管外に排出させることができる。従って、潤滑油中に存
在する分子量が800未満であるポリブテンは10%以
下とする。
【0035】なお、この分子量は、溶剤としてテトラヒ
ドロフランを使用し、カラムとして昭和電工製KFG、
KF804L、KF802.5及びKF801を使用し
て、溶離液としてテトラヒドロフランを1.0(ml/
分)の流量で流し、40℃のカラム温度で示差屈折率計
によって測定された分子量分布から算出される値であ
る。
【0036】数平均分子量:2500以下 抽伸加工用潤滑油のベース油として使用するポリブテン
の数平均分子量が2500を超えると、ポリブテン単体
での粘度が高くなりすぎて、抽伸油として使用すること
が困難になる。また、ポリブテンの数平均分子量が25
00を超えると、粘度調整に使用する他の添加剤との相
溶性も極端に低下するので、実用が困難になる。従っ
て、潤滑油となるポリブテンの数平均分子量は2500
以下とする。
【0037】次に、粘度調整剤として使用するアルコー
ルの炭素数限定理由について説明する。
【0038】アルコールの炭素数:6乃至13 ポリブテンの粘度調整剤として使用するアルコールの炭
素数が6未満であると、これを高分子量のポリブテンと
混合したときに分離してしまうので、粘度を調整するこ
とができない。また、引火点も低くなるので、これを粘
度調整剤として使用すると、抽伸加工時に危険である。
一方、アルコールの炭素数が13を超えると、低温度で
固形化しやすくなり、焼鈍後の銅管内でワックス状の残
渣となりやすいので、粘度調整剤としては不適である。
従って、ポリブテンに溶剤を添加して粘度を調整する場
合、その溶剤は炭素数が6乃至13のアルコールとす
る。
【0039】なお、このようなアルコールの中で、炭素
数が8であるオクチルアルコール及び炭素数が9である
ノニルアルコールは、毒性が少ないので粘度調整剤とし
て好適である。また、これらは両者とも独特の臭気を有
するが、ポリブテンに混合することにより、その臭気は
緩和されるので、実用上の問題はない。
【0040】次いで、アルコールが添加された潤滑油の
粘度の規定理由について、更に説明する。
【0041】潤滑油の粘度:150乃至5000cSt 一般に、太径の銅管の抽伸においては、管内面全周に潤
滑油が付着する必要があるため、その粘度は3000c
St前後のものが使用されている。そして、抽伸加工が
進行し、管径が小さくなるにつれて粘度が下げられ、最
終抽伸時においては、潤滑油の管内面への付着量を低減
するために、200cSt前後のものが使用される。ま
た、内面溝付加工管用の抽伸用潤滑油として使用する場
合は、抽伸負荷が小さいために、より一層低粘度とする
必要があり、150cSt程度の粘度で使用される。潤
滑油の粘度が150未満であると、抽伸スタート時に油
がこぼれやすくなり、実用に不適となる。一方、粘度が
5000cStを超えると、粘度が高くなりすぎて潤滑
性が低下し、抽伸加工用潤滑油として不適となる。従っ
て、ポリブテンにアルコールを添加する場合、その粘度
が150乃至5000cStとなるように潤滑油の粘度
を調整する。
【0042】
【実施例】以下、本発明に係る抽伸加工用潤滑油の実施
例についてその比較例と比較して具体的に説明する。
【0043】先ず、種々の潤滑油を使用して銅管を複数
回抽伸し、外径が9.52mm、肉厚が0.41mm、
長さが3400mの平滑銅管を作製すると共に、抽伸時
の潤滑性を評価した。
【0044】その後、この銅管を巻き取って銅管コイル
とし、管内の残留ガスを窒素ガスによってパージした
後、この銅管コイルをDXガス雰囲気の焼鈍炉内に挿入
した。そして、銅管コイルの最低温度部位が少なくとも
450℃以上で、10分間保持されるように、例えば、
雰囲気ガス温度を600℃に設定して約25分間加熱焼
鈍した後、冷却した。次いで、冷却された銅管コイルの
管内残留ガスをドライエアで置換した後、解体して管内
の種々の部位における残油重量を測定すると共に、固形
分の有無を評価し、これらの結果から、総合的に実用性
を評価した。
【0045】但し、本実施例において、潤滑性は、銅管
の抽伸加工時における抽伸力を測定することによって評
価した。この抽伸力は、直径が16.0mmで厚さが
0.65mmの銅管から、直径が14.0mmで厚さが
0.525mmの銅管への抽伸時(加工率29%)にお
ける荷重をロードセルにより測定記録し、定常状態にな
ったときの値を示している。即ち、抽伸力が大きいもの
ほど潤滑性が低く、抽伸力が小さくなるにつれて潤滑性
が向上していることを示す。
【0046】図3は長尺焼鈍コイル銅管の残油重量の測
定位置を示す模式図である。図3に示すように、コイル
1は長尺の銅管2が巻回されたものであり、コイル1の
中心部の近傍から外側に向かって5分割すると共に、コ
イル1の軸方向に3分割した合計15の領域3におい
て、各領域から約10mの銅管をサンプリングした。次
に、各銅管の管内を油分測定グレードの四塩化炭素で十
分に洗浄し、その液を約70℃に加熱して、四塩化炭素
を蒸発させた。そして、残分の重量を測定し、この重量
を管長で除して得られた値を残油重量とした。固形分に
ついては、銅管内の流動性により評価した。
【0047】図4は縦軸に分子数をとり、横軸に分子量
をとって、本実施例において使用した種々のポリブテン
の分子量分布を示すグラフ図である。図4に示すよう
に、実施例No.1は分子量が800未満であるポリブ
テンが10%以下であると共に、数平均分子量が250
0以下のポリブテン単体である。一方、比較例No.4
〜6は分子量が800未満であるポリブテンが10%を
超えて存在するものであり、比較例No.7は分子量が
800未満であるポリブテンは10%以下であるが、こ
のポリブテンの数平均分子量が2500を超えるもので
ある。
【0048】また、実施例No.2及び3は、実施例N
o.1のポリブテンに粘度調整剤として、夫々、オクチ
ルアルコール、ノニルアルコールを添加したものであ
り、比較例No.8及び9は実施例No.1のポリブテ
ンに炭素数が6〜13の範囲外のアルコールを添加した
ものである。
【0049】各実施例及び比較例について使用したポリ
ブテンの特性(分子量が800未満であるポリブテン存
在比及び数平均分子量)、粘度調整剤の種類並びに潤滑
油の粘度を下記表1に示し、評価結果を下記表2に示
す。なお、実用性の評価は、抽伸力が700(kgf)以下
であること、残油重量の最大値が0.5(mg/m)以下であ
ること、残油中に常温で固形分を含まないこと、取扱い
が容易である粘度であること(加熱してもよい)、及び
粘度調整剤が分離しないことの全ての基準を満足してい
るものを○(良好)とし、1つでも満足していないもの
を×(不良)とした。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】上記表1に示すように、実施例No.1
は、常温では粘度が高いので加熱して使用する必要があ
るが、潤滑油として使用したポリブテンの分子量が適切
に規制されているので、残油重量が低いものとなった。
また、実施例No.2及び3は粘度調整剤を使用してお
り、この粘度調整剤も適切に選択されているので、潤滑
性が優れており、抽伸時の焼き付きを防止することがで
きた。また、残油重量も0.5(mg/m)未満となり、これ
を使用して抽伸加工された銅管はろう付性が優れたもの
となった。
【0053】一方、比較例No.4〜6は分子量が80
0未満であるポリブテン存在比が10%を超えているの
で、残油重量が多いものとなった。比較例No.7は数
平均分子量が本発明の範囲から外れているので、ポリブ
テン単体の粘度が高くなりすぎて、加熱しても銅管加工
部に潤滑油を供給することが困難であった。従って、比
較例No.8は粘度調整剤として使用したアルコールの
炭素数が本発明範囲の下限未満であるので、ポリブテン
と分離した。従って、この潤滑油を実際に使用すること
は困難である。比較例No.9はアルコールの炭素数が
本発明範囲の上限を超えているので、残油重量が多いと
共に、焼鈍後の銅管内にワックス状の固形物を生じた。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
分子量が適切に調整されたポリブテン又はこれに所定の
粘度調整剤を添加したものを抽伸加工用潤滑油とするの
で、焼鈍炉内において長尺コイル銅管に特別な残油除去
処理を施すことなく、低コストで管内残油を低減するこ
とができ、これにより銅管のろう付性を向上させること
ができる。また、潤滑剤の粘度を適切に調整すると、潤
滑性が向上し、これにより、焼付き防止性を高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸に油残量をとり、横軸に温度をとって、窒
素気流中における抽伸加工用潤滑油の加熱時における重
量減少特性を示すグラフ図である。
【図2】縦軸に分子数をとり、横軸に分子量をとって、
焼鈍処理後に管内に残存するポリブテンの分子量分布を
示すグラフ図である。
【図3】長尺焼鈍コイル銅管の残油重量の測定位置を示
す模式図である。
【図4】横軸に分子量をとって、本実施例において使用
した種々のポリブテンの分子量分布を示すグラフ図であ
る。
【符号の説明】
1;コイル 2;銅管 3;領域
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10N 20:02 20:04 30:08 40:24 40:32 (72)発明者 佐伯 公三 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が2500以下であると共
    に、分子量が800未満であるものが10%以下である
    ポリブテンからなることを特徴とする抽伸加工用潤滑
    油。
  2. 【請求項2】 数平均分子量が2500以下であると共
    に、分子量が800未満であるものが10%以下である
    ポリブテンに、炭素数が6乃至13であるアルコールが
    添加されたものであることを特徴とする抽伸加工用潤滑
    油。
  3. 【請求項3】 40℃における粘度が150乃至500
    0cStであることを特徴とする請求項2に記載の抽伸
    加工用潤滑油。
  4. 【請求項4】 前記アルコールはオクチルアルコール及
    びノニルアルコールからなる群から選択された少なくと
    も1種のアルコールであることを特徴とする請求項2又
    は3に記載の抽伸加工用潤滑油。
JP28395796A 1996-10-25 1996-10-25 抽伸加工用潤滑油 Pending JPH10130674A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1171591A (ja) * 1997-08-29 1999-03-16 Nippon Oil Co Ltd Hfc冷媒を用いた冷凍システム用配管加工用潤滑油
JP2007154053A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 銅管加工用潤滑油及びそれを用いた銅管の製造方法
JP2007154054A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 銅管加工用潤滑油及びそれを用いた銅管の製造方法
JP2007154055A (ja) * 2005-12-06 2007-06-21 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 銅管加工用潤滑油及びそれを用いた銅管の製造方法
JP2008001825A (ja) * 2006-06-23 2008-01-10 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウムろう付け用フラックス入りワイヤー用の伸線加工潤滑油、及びそれを用いたアルミニウムろう付け用フラックス入りワイヤーの伸線加工方法

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