JP3325116B2 - 苦味低減化剤、その製造法、苦味低減化法、そして苦味低減化組成物 - Google Patents

苦味低減化剤、その製造法、苦味低減化法、そして苦味低減化組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、苦味を有する医薬品、
食品などの経口摂取物、更には歯磨きなどの口腔に用い
られる、苦味を有する化粧料などの苦味を低減するため
の苦味低減化剤及びその製造法、苦味低減化法、そして
苦味が低減化された組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品は、その多くが苦味を有するた
め、経口摂取の際の妨げとなる。このため従来から苦味
成分が苦味の知覚器官である舌に直接触れないように、
錠剤、カプセルなどの剤型を利用して苦味を和らげる、
あるいは感じにくくする工夫が採られている。また錠
剤、カプセルなどの固形製剤の場合には、幼児や高齢者
にとっては服用しにくいもので、このためシロップ剤な
どの液状の形態で利用されている場合も多い。しかしな
がらこのような液状の形態を採ると、一般に苦味を和ら
げる効果が充分でないとの問題がある。
【0003】また食品の場合においても、果汁、野菜汁
などのように本来的に苦味を有するものや蛋白質分解物
から得られるアミノ酸、ペプチドなどの苦味を有する物
質を原料として使用した食品など、苦味を有するものは
多い。このような苦味を有する食品は、その食品自体の
風味、品質の低下を招く他、一般に苦味を嫌う傾向の強
い子供などにおいては、その摂取が困難となる場合が多
い。しかし苦味を低減化する有効な方法がないのが現状
である。
【0004】従来から苦味を低減する方法が種々提案さ
れている。医薬品については、アスパルテームなどの甘
味剤や香料を添加する方法(特開昭2−56416号公
報)、包接化合物を添加する方法(特開平3−2363
16号公報)などがあり、その他に、マイクロカプセル
化及び胃溶性コーティング剤による粉末コーティング剤
を用いる方法なども提案されている。また食品について
は、吸着体を用いる方法(特開昭55−108254号
公報)、包接化合物を用いる方法(特開昭61−402
60号公報)、及び甘味剤を添加する方法(特開昭60
−9774号公報)などがある。しかし、これらの方法
では、苦味を充分に低減化できないばかりか、限られた
ものにしか利用できなかったり、あるいはまた食品の味
が変化してしまうなど問題も多く、更に改良の余地があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医薬品、食
品、更には化粧料などに対して、優れた苦味低減作用を
示し、安全で、また食品などに使用した場合にはその食
品の味を変えることなく使用可能な苦味低減化剤、その
製造法、苦味低減化法、そして苦味低減化組成物を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための課題】本発明は、リン脂質と水
溶性糖類との複合体からなる苦味低減化剤にある。
【0007】また本発明は、リン脂質、水溶性糖類、及
び水を混合、乳化し、得られた乳化物を乾燥することか
らなる、リン脂質と水溶性糖類との複合体からなる苦味
低減化剤の製造法にある。更に本発明は、リン脂質を有
機溶剤に溶解又は分散させた後、これに水溶性糖類を加
え、攪拌混合し、得られた混合物を乾燥することからな
る、リン脂質と水溶性糖類との複合体からなる苦味低減
化剤の製造法にある。
【0008】更にまた本発明は、苦味を有する物質に、
リン脂質と水溶性糖類との複合体からなる苦味低減化剤
を添加する苦味低減化法にある。
【0009】そして更には本発明は、苦味を有する物
、そしてリン脂質水溶性糖類との複合体からなる苦
味低減化組成物にある。
【0010】以下に、本発明の好ましい態様を記載す
る。 (1)酸性リン脂質が、ホスファチジン酸を70重量%
以上含む。 (2)水溶性糖類が、単糖類、二糖類、デキストリン、
糖アルコール、セルロース誘導体、及びα化デンプンか
らなる群より選ばれる少なくとも一種である。 (3)苦味低減化剤が水に分散された状態で0.1〜5
μm(特に0.3〜1μm)の平均粒子径(ペーストの
場合には平均油滴粒子径)を示す複合体である。
【0011】(4)複合体中のリン脂質と水溶性糖類と
の比率(重量比)が、10/1〜1/10(更に好まし
くは、5/1〜1/5)である。
【0012】(5)苦味を有する物質が、液状物の場合
には、苦味低減化剤を苦味を有する物質中での濃度が、
0.01〜50g/100ml(更に好ましくは、0.
1〜20g/100ml)となるように添加する。 (6)苦味を有する物質が、ペースト又は固形物の場合
には、最終組成物中の苦味低減化剤の含有量が、0.0
1重量%以上(更に好ましくは、0.01〜20重量
%)となるように添加する。
【0013】以下に、本発明について説明する。本発明
の苦味低減化剤は、リン脂質と水溶性糖類との複合体か
らなるものである。本発明において使用できるリン脂質
は、大豆、卵黄、小麦胚芽をはじめとして、動物臓器お
よび植物各組織等から抽出、分離したもので、ホスファ
チジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルエタノールアミン、及びホスファチ
ジルイノシトールとこれらのリゾ体、ホスファチジルグ
リセロール、そしてカルジオリピンなどの成分から構成
されている。また抽出、分離、あるいは精製したリン脂
質類縁体を化学修飾及び酵素処理して改質を行ったもの
や化学的に合成されたものも使用できる。通常リン脂質
は、上記の成分のうちホスファチジルセリン、ホスファ
チジン酸、ホスファチジルイノシトールとこれらのリゾ
体、ホスファチジルグリセロール、及びカルジオリピン
から選ばれる酸性リン脂質を5重量%以上含むものであ
るが、本発明においては、このような酸性リン脂質を少
なくとも20重量%(さらに好ましくは50重量%以
上)含んでいることが好ましい。また酸性リン脂質が、
ホスファチジン酸を50重量%以上(更に好ましくは7
0重量%以上)含んでいることが好ましい。なお、上記
酸性リン脂質を5重量%以上、好ましくは20重量%以
上、更に好ましくは50重量%以上を含む脂質を用いる
こともできる。上記脂質としては、例えば、糖脂質、ス
テロール脂質、ポリオール脂肪酸エステル、そして脂肪
酸を挙げることができる。
【0014】本発明で使用する上記酸性リン脂質を得る
方法は特に限定されない。例えば、大豆レシチンに代表
される天然レシチンを原料としてホスホリパーゼD、ホ
スホリパーゼA2 を触媒としホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミンを選択的に分解してこれ
らの含有量を減少させ、ホスファチジン酸等の酸性リン
脂質の含有量を増加させる方法が利用できる。また天然
レシチンを原料としてホスホリパーゼDを触媒としたト
ランスホスファチジレーションにより上記ホスファチジ
ルコリン等の含有量を減少させ、ホスファチジン酸等の
酸性リン脂質の含有量を増加させる方法を利用しても良
い。
【0015】またホスファチジン酸を高純度で含むリン
脂質を得るには、例えば、原料レシチンを活性剤(例え
ば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖エステル)
の存在下で酵素(例えば、ホスホリパーゼD)処理する
方法(特開平4−145088号公報)や粒子径を10
0μm以下に抑えた粉末レシチンに酵素処理を施す方法
(特開平4−267882号公報)を利用することもで
きる。
【0016】本発明に用いる水溶性糖類は、例えば、ブ
ドウ糖、果糖、等の単糖類;ショ糖、乳糖、マルトース
等の二糖類;水あめ等のデキストリン;D−ソルビトー
ル、D−マンニトール、キシリトール等の糖アルコール
類;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースナトリム等のセルロー
ス誘導体;及びα化デンプンを挙げることができる。こ
れらは、それぞれ単独で用いても良いし、二種以上を併
用しても良い。これらの中では、D−マンニトール等の
糖アルコール類、あるいは乳糖、ショ糖等の二糖類が好
ましい。
【0017】本発明の苦味低減化剤は、上記のようなリ
ン脂質と水溶性糖類とを用いて、例えば、以下の方法で
製造することができる。まずリン脂質と水溶性糖類、そ
して所望により乳化剤、崩壊剤及び安定化剤などの任意
成分からなる混合物を水に分散させた後、該分散物をホ
モジナイザーなどの機械的手段及び/又は超音波処理で
乳化して乳化物を調製し、その後該乳化物を脱水乾燥す
ることにより、本発明の苦味低減化剤を得ることができ
る。なお、上記乳化物の調製は、リン脂質、水溶性糖類
及び水とを同時に混合したのち行っても良い。
【0018】複合体作成のための、リン脂質と水溶性糖
類との混合率(重量比)は、10/1〜1/10が好
ましく、更に好ましくは、5/1〜1/5である。リン
脂質と水溶性糖類との混合比率(重量比)が、10/1
未満では、得られる苦味低減化剤は、水分散性が悪くな
る。また、リン脂質水溶性糖類の複合体と、水との混
合比率(重量比)は、1/99〜99/1が好ましく、
更に好ましくは、10/90〜50/50である。
【0019】上記機械的手段等で調製される乳化物の乳
化形態は、特に限定されず、例えば、水中油型(0/W
型)、油中水型(W/O型)、及び油中水中油型(O/
W/O型)などの乳化型を挙げることができる。得られ
る乳化物の粒子径は、100μm以下が好ましく、さら
に好ましくは、30μm以下、特に、0.05μm〜1
0μmである。
【0020】得られた乳化物の脱水乾燥は、噴霧乾燥、
凍結乾燥、流動乾燥、あるいは気流乾燥などの公知の方
法が利用できる。但し、乾燥は、リン脂質の酸化、褐
変、あるいは得られる苦味低減化剤の風味低下が生じな
いように、80℃を越えない温度条件で行うことが好ま
しい。なお乾燥後、必要に応じて粉砕、分級、造粒等を
行っても良い。
【0021】本発明の苦味低減化剤は、上記のような製
造法の他に、リン脂質を有機溶剤に溶解又は懸濁させ、
これに更に水溶性糖類、そして所望により乳化剤等の任
意成分を溶解又は懸濁させた後、次いで攪拌混合し、前
記と同様に乾燥させる方法を利用して製造することもで
きる。
【0022】上記の製造法において、有機溶剤はリン脂
質を溶解又は懸濁させ得るものであれば良い。作業性、
安全性等の理由から有機溶剤はヘキサンが好ましい。ま
たリン脂質と有機溶剤の使用比率も水溶性糖類等の混合
攪拌が速やかに行えれば、特に制限はない。尚、上記有
機溶剤を用いる製造方法を実施する際のリン脂質と水溶
性糖類の配合比率は、前述の乳化物とする製造法での配
合比率と同様な配合比率とすることができ、また乾燥方
法、乾燥条件なども前述の方法が利用できる。
【0023】以上のようにして製造されるリン脂質と水
溶性糖類との複合体からなる本発明の苦味低減化剤は、
粉末状、顆粒状などの固体の形状で得ることができる
が、リン脂質の水溶性糖類に対する混合比率が多くなる
とペースト状になり易くなる。本発明の製造法により得
られた苦味低減化剤(複合体)は、水に分散された状態
で0.05〜10μm(好ましくは、0.1〜5μm、
特に0.3〜1μm)の体積平均粒子径(ペーストの場
合には体積平均油滴粒子径)を有していることが好まし
い。
【0024】本発明の苦味低減化剤は、種々の苦味を有
する物質に適用することができる。苦味を有する物質と
しては、例えば、ストリキニーネ硝酸塩、キニーネ塩酸
塩、パパベリン塩酸塩、テオフィリン、カフェイン等の
医薬品原料、L−ロイシン等の苦味性のアミノ酸類、ロ
イシル−ロイシン等の苦味性ペプチド類、リモニン等の
テルペン類、生薬や植物から抽出されるポリフェノール
類、フラボン誘導体、乳化剤、及び香料等を挙げること
ができる。またこれらの苦味を有する物質の形態は、水
解物、懸濁物、乳化物、ペーストあるいは固形物の何れ
の形態であっても良い。
【0025】本発明の苦味低減化法は、上記の苦味を有
する物質に苦味低減化剤を添加することにより実施する
ことができる。苦味を有する物質が、水解物、懸濁物、
乳化物等の液状物の場合には、苦味低減化剤を、苦味を
有する物質中での濃度が、0.01〜50g/100m
l(更に好ましくは、0.1〜20g/100ml)と
なるように添加することが好ましい。また苦味を有する
物質が、ペースト又は固形物の場合には、最終組成物中
での苦味低減化剤の含有量が、0.01重量%以上(更
に好ましくは、0.01〜20重量%)となるように添
加することが好ましい。
【0026】上記のようにして苦味を有する物質に苦味
低減化剤が添加されてなる苦味の低減化された組成物
は、医薬品、食品、あるいは化粧料などの利用分野に応
じて種々の形態とすることができる。例えば、医薬品の
場合には、得られた組成物を常法に従って種々の剤型に
調製することができる。剤型としては、例えば、錠剤、
顆粒剤、細粒剤、発剤、カプセル剤、ドライシロップ
剤、液剤、シロップ剤、及び乳剤などを挙げることがで
きる。
【0027】なお、本発明の苦味低減化剤を用いる方法
として、苦味を有する物質を経口摂取する前及び/又は
同時に、苦味低減化剤を口に含ませる方法を利用するこ
ともできる。この方法では、舌の苦味知覚器官は苦味低
減化剤によりマスキングされるため、苦味を殆ど感じる
ことなく、経口摂取物の摂取が可能となる。この場合用
いる苦味低減化剤の形態も特に限定されず、例えば、前
述した種々の剤型をとることができるが、利用し易さか
ら液剤が好ましい。なお、苦味低減化剤は、苦味低減化
剤を含むトローチ、飴、チューインガム等の形態で利用
することもできる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。なお、以下に記載の「部」
は、「重量部」である。
【0029】[実施例1] (ホスファチジン酸の製造)大豆をワーリングブレンダ
ーにて粉砕し、攪拌装置を備えた300mlの四つ口フ
ラスコに得られた破砕物20gを取り、これに0.1M
酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液120ml(pH6.0)
を加え、常温下攪拌後、遠心分離で残渣を除き、酵素抽
出液を得た。別に攪拌装置を備えた300mlの四つ口
フラスコに市販ペーストレシチン(ツルーレシチン工業
(株)製)30gを取り、上記で得た酵素抽出液(pH
6.0)120mlとショ糖エステル(O−1570、
HLB16、花王(株)製)1.85gとを加え30℃
に保ちながら24時間攪拌を続けた。反応後、リン脂質
を18g得た。得られたリン脂質18g中のホスファチ
ジン酸の含有率をHPLC(UV検出)で測定した。そ
の結果、リン脂質中のホスファチジン酸の含有率は、9
6.5重量%であった。
【0030】上記で得たリン脂質(ホスファチジン酸9
6.5重量%含有)1部に、D−マンニトール2部を加
え、これに脱イオン水7部を加え、ホモジナイザーにて
乳化した。この乳化物を常法により噴霧乾燥して粉末状
の本発明に従う苦味低減化剤を得た(試料1)。
【0031】[実施例2]上記実施例1で用いたリン脂
質(ホスファチジン酸96.5重量%含有)1部を、n
−ヘキサン5部に溶解し、これにD−マンニトール2部
を加え、均一になるまで攪拌混合した。これを乾燥温度
50℃で常法により減圧乾燥し、乾燥物を得た。得られ
た乾燥物を粉砕し、20メッシュの篩いで篩過して粉末
状の本発明に従う苦味低減化剤を得た(試料2)。
【0032】[苦味低減化剤としての評価]上記で得た
試料を用い、これらを苦味を有する物質の水溶液(0.
5mMキニーネ塩酸塩水溶液(標準液))に添加、分散
して官能評価を行った。官能評価は、20〜40才代の
男女15名により行い、等価濃度試験法にて定量化し
た。すなわち、苦味強度の異なる何種類かの基準溶液
(硫酸キニーネ)を調製し、これらの基準溶液と試験溶
液との苦味強度を比較し、苦味強度の等しい基準溶液の
濃度を求め、得られた濃度を上記標準液の苦味の強さを
1.00に換算し、苦味抑制の度合いを相対値の平均値
により求めた。
【0033】なお、比較対照例として、標準液100部
に対し、リン脂質(ホフファチジン酸96.5重量%含
有)のみを0.5部添加したもの、また標準液100部
に対し、リン脂質(ホスファチジン酸96.5重量%含
有)を0.5部添加し、更にD−マンニトール1.0部
を添加したものについても評価を行った。また、試験試
料の水への分散性を評価するために、上記官能評価に用
いた溶液の粒度分布(体積平均)をレーザー回折式粒度
分布測定装置(SALD−1100型、島津製作所
(株)製)により測定した。結果を下記の表1に示す。
【0034】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 標準液100部 苦味の官能評価 平均分散粒子 に対する添加量 径(μm) ──────────────────────────────────── 0.5mMキニーネ塩 −−− 1.00 −−− 酸塩水溶液(標準液) ──────────────────────────────────── 試料1(実施例1) 1.5部 0.04±0.02 0.5 ──────────────────────────────────── 試料2(実施例2) 1.5部 0.05±0.02 0.6 ──────────────────────────────────── ホスファチジン酸 0.5部 0.11±0.02 80.0 ──────────────────────────────────── ホスファチジン酸 0.5部 0.11±0.02 80.0 D−マンニトール 1.0部 ────────────────────────────────────
【0035】上記表1に示される結果から、リン脂質
(ホフファチジン酸96.5重量%含有)とD−マンニ
トールとの複合体からなる本発明に従う苦味低減剤(試
料1及び2)を添加すると、該リン脂質を単独に添加し
た場合や該リン脂質とD−マンニトールとを別々に添加
した場合に比べ、苦味が顕著に低減していることがわか
る。
【0036】[実施例3]キニーネ塩酸塩1部に、上記
実施例1で得た苦味低減化剤(試料1)を50部添加
し、常法により造粒して、苦味の低減されたキニーネ塩
酸塩顆粒を得た。得られたキニーネ塩酸塩の顆粒は、殆
ど苦味を感じなかった。
【0037】[実施例4]上記実施例1で得た苦味低減
化剤(試料1)10部を水90部に分散させ、これを口
に含み、うがいをした。その後、0.5mMキニーネ塩
酸塩水溶液を口に含んだところ、殆ど苦味を感じなかっ
た。
【0038】[実施例5]上記実施例1で得たリン脂質
(ホスファチジン酸96.5重量%含有)2部に、D−
マンニトール4部を加え、これに更にキニーネ塩酸塩1
部、脱イオン水7部を加え、ホモジナイザーにて乳化し
た。この乳化物を常法により噴霧乾燥して粉末状の本発
明に従う苦味が低減化された組成物を得た。得られた苦
味低減化組成物を口に含んだところ、殆ど苦味を感じな
かった。
【0039】
【発明の効果】本発明の苦味低減化剤を用いることによ
り、医薬品、食品、更には化粧料などの持つ苦味を効果
的に低減させることができる。また本発明の苦味低減化
剤は、安全に使用でき、更に食品に使用しても食品の本
来の味を変えることがなく、また比較的安価に提供でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/24 A61K 47/10 A61K 47/26 A61K 47/36

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン脂質と水溶性糖類との複合体からな
    る苦味低減化剤。
  2. 【請求項2】 リン脂質が、酸性リン脂質を20重量%
    以上含む請求項1に記載の苦味低減化剤。
  3. 【請求項3】 酸性リン脂質が、ホスファチジン酸を5
    0重量%以上含む請求項2に記載の苦味低減化剤。
  4. 【請求項4】 水に分散された状態で0.05〜10μ
    mの平均粒子径を示す複合体である請求項1に記載の苦
    味低減化剤。
  5. 【請求項5】 リン脂質、水溶性糖類及び水を混合、乳
    化し、得られた乳化物を乾燥することからなる、リン脂
    質と水溶性糖類との複合体からなる苦味低減化剤の製造
    法。
  6. 【請求項6】 リン脂質を有機溶剤に溶解又は分散させ
    た後、これに水溶性糖類を加え、攪拌混合し、得られた
    混合物を乾燥することからなる、リン脂質と水溶性糖類
    との複合体からなる苦味低減化剤の製造法。
  7. 【請求項7】 苦味を有する物質に、請求項1〜3の何
    れか1項に記載の苦味低減化剤を添加する苦味低減化
    法。
  8. 【請求項8】 苦味を有する物質、そしてリン脂質
    溶性糖類との複合体からなる苦味低減化組成物。
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