JP3323933B2 - 圧延油中の鉄分除去方法 - Google Patents
圧延油中の鉄分除去方法Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼板または
鋼帯(総称してステンレス鋼板という。)の冷間圧延に
おいて、鉱物油を水に懸濁したエマルジョン等を圧延油
として用い、表面光沢のよい製品を得るために当該圧延
油の鉄分夾雑物を除去する装置に関するものである。
鋼帯(総称してステンレス鋼板という。)の冷間圧延に
おいて、鉱物油を水に懸濁したエマルジョン等を圧延油
として用い、表面光沢のよい製品を得るために当該圧延
油の鉄分夾雑物を除去する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、表面光沢のよい製品
が要求されることから冷間圧延の際、圧延油として鉱物
油がそのまま圧延油として用いられるが、高圧下高速圧
延を行った場合には鋼板の表面にヒート・ストリークと
呼ばれる焼付き現象が生じ、また中間挿入紙の焼付きが
発生する等の問題がある。一方、鉱物油を水に懸濁した
エマルジョンを圧延油として用いることは、冷却性や潤
滑性に優れている反面、冷間圧延すると圧延油の汚れが
激しいことから表面光沢のよい製品が得られないため一
部オーステナイト系鋼や研磨仕上げ製品用材料の冷間圧
延に使用されるのみで、SUS430等のフェライト系
鋼種或いはSUS410等のマルテンサイト系鋼種に対
しては鉱物油を水に懸濁したエマルジョンを圧延油とし
て高圧下高速の冷間圧延を行うことは不可能であった。
が要求されることから冷間圧延の際、圧延油として鉱物
油がそのまま圧延油として用いられるが、高圧下高速圧
延を行った場合には鋼板の表面にヒート・ストリークと
呼ばれる焼付き現象が生じ、また中間挿入紙の焼付きが
発生する等の問題がある。一方、鉱物油を水に懸濁した
エマルジョンを圧延油として用いることは、冷却性や潤
滑性に優れている反面、冷間圧延すると圧延油の汚れが
激しいことから表面光沢のよい製品が得られないため一
部オーステナイト系鋼や研磨仕上げ製品用材料の冷間圧
延に使用されるのみで、SUS430等のフェライト系
鋼種或いはSUS410等のマルテンサイト系鋼種に対
しては鉱物油を水に懸濁したエマルジョンを圧延油とし
て高圧下高速の冷間圧延を行うことは不可能であった。
【0003】そこで、特開昭61−172604号公報
に開示されるように、Cr系ステンレス鋼板の冷間圧延
の際、鉱物油を基油とする圧延油エマルジョン中の鉄分
夾雑物の濃度を200ppm 以下に維持して圧延する方法
が提案されている。この方法は、使用された圧延油を回
収、収納するダーティータンク内でスカムおよび液面下
上層部の鉄分夾雑物濃度の高い圧延油を除去後、更にク
リーンタンク内にマグネットセパレーターを設けて、残
存鉄分夾雑物を除去し、かつ圧延油中の鉄分夾雑物の濃
度を200ppm 以下に維持するものである。このマグネ
ットセパレーターは、従来より普通鋼等の圧延分野に適
用されており、冷間圧延の際、圧延油中の鉄分夾雑物を
除去し、鉄分濃度を1000〜500ppm 以下にする目
的で使用されることは一般によく知られたことである
が、装着される磁石の磁束密度は1000〜1800ガ
ウスのものが主に用いられて来た。
に開示されるように、Cr系ステンレス鋼板の冷間圧延
の際、鉱物油を基油とする圧延油エマルジョン中の鉄分
夾雑物の濃度を200ppm 以下に維持して圧延する方法
が提案されている。この方法は、使用された圧延油を回
収、収納するダーティータンク内でスカムおよび液面下
上層部の鉄分夾雑物濃度の高い圧延油を除去後、更にク
リーンタンク内にマグネットセパレーターを設けて、残
存鉄分夾雑物を除去し、かつ圧延油中の鉄分夾雑物の濃
度を200ppm 以下に維持するものである。このマグネ
ットセパレーターは、従来より普通鋼等の圧延分野に適
用されており、冷間圧延の際、圧延油中の鉄分夾雑物を
除去し、鉄分濃度を1000〜500ppm 以下にする目
的で使用されることは一般によく知られたことである
が、装着される磁石の磁束密度は1000〜1800ガ
ウスのものが主に用いられて来た。
【0004】この技術をそのままステンレス鋼板の圧延
に適用した場合には、鉄分夾雑物は普通鋼圧延油と同様
に強磁性体を含むが、普通鋼の鉄分夾雑物に比較して磁
性が低いため、磁束密度が1000〜1800ガウスの
磁石では吸着に長い浸漬時間(ほぼ1週間)と大きな接
液表面積が必要になりセパレーター長さが過大になると
共にタンク容量も大きくしなければならないという欠点
に加えて吸着鉄分夾雑物からの有効圧延油分の絞り出し
能力が低いために有効圧延油分を過剰に持ち出すという
欠点があった。そのため、この有効圧延油分を回収し、
再生するために実開昭57−141813号に開示され
るような圧延機と併設されたクーラントスカムの油分循
環回収装置の設置が必須であった。
に適用した場合には、鉄分夾雑物は普通鋼圧延油と同様
に強磁性体を含むが、普通鋼の鉄分夾雑物に比較して磁
性が低いため、磁束密度が1000〜1800ガウスの
磁石では吸着に長い浸漬時間(ほぼ1週間)と大きな接
液表面積が必要になりセパレーター長さが過大になると
共にタンク容量も大きくしなければならないという欠点
に加えて吸着鉄分夾雑物からの有効圧延油分の絞り出し
能力が低いために有効圧延油分を過剰に持ち出すという
欠点があった。そのため、この有効圧延油分を回収し、
再生するために実開昭57−141813号に開示され
るような圧延機と併設されたクーラントスカムの油分循
環回収装置の設置が必須であった。
【0005】このように、ステンレス鋼板の冷間圧延に
おいて、何ら追加的設備を必要とすることなく効果的に
圧延油の鉄分夾雑物を除去する装置の開発が望まれてい
た。
おいて、何ら追加的設備を必要とすることなく効果的に
圧延油の鉄分夾雑物を除去する装置の開発が望まれてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要望を
充足し、良好な表面光沢を有する製品を得るために、ス
テンレス鋼板の冷間圧延系に設け循環使用する圧延油を
貯蔵する圧延油タンクに、圧延で使用された圧延油排油
を回収し、再利用するにあたって圧延油中に、より高い
磁束密度の磁石を所望の時間浸漬し、効果的に圧延油の
鉄分夾雑物の濃度を200ppm 以下に除去し濃度管理可
能なレベルに維持する装置を提供することを目的とする
ものである。
充足し、良好な表面光沢を有する製品を得るために、ス
テンレス鋼板の冷間圧延系に設け循環使用する圧延油を
貯蔵する圧延油タンクに、圧延で使用された圧延油排油
を回収し、再利用するにあたって圧延油中に、より高い
磁束密度の磁石を所望の時間浸漬し、効果的に圧延油の
鉄分夾雑物の濃度を200ppm 以下に除去し濃度管理可
能なレベルに維持する装置を提供することを目的とする
ものである。
【0007】また、上記鉄分夾雑物の排出に伴う有効圧
延油分の排出を圧延油濃度管理可能なレベルに抑制する
ことを第二の目的とするものである。
延油分の排出を圧延油濃度管理可能なレベルに抑制する
ことを第二の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、 (1)圧延設備から排出される圧延油を回収して貯蔵し
かつ圧延設備に供給する圧延油タンクに、磁束密度20
00ガウス以上の磁石板を装着したチェーンコンベアを
設けると共に、該チェーンコンベアを液面に対して30
〜90°の傾斜角に配設し、前記圧延油タンク外部にお
いて磁石板と接し、磁石板に吸着した鉄分夾雑物を掻き
取るスクレーパーを設けたことを特徴とする圧延油中の
鉄分除去装置。
め、本発明では、 (1)圧延設備から排出される圧延油を回収して貯蔵し
かつ圧延設備に供給する圧延油タンクに、磁束密度20
00ガウス以上の磁石板を装着したチェーンコンベアを
設けると共に、該チェーンコンベアを液面に対して30
〜90°の傾斜角に配設し、前記圧延油タンク外部にお
いて磁石板と接し、磁石板に吸着した鉄分夾雑物を掻き
取るスクレーパーを設けたことを特徴とする圧延油中の
鉄分除去装置。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。一般に圧
延油はフィルターを通して循環使用しているが、圧延油
のエマルジョンの油滴の粒径は通常5μm程度であるか
ら、フィルターはこれよりも目の粗いものが用いられて
いる。クロム系ステンレス鋼を冷間圧延した場合、回収
した圧延油中に含有する鉄分夾雑物は、殆どが粒径1μ
m以下の微細なものであるから、フィルターで除去する
ことはできないとされている。また、鉄分夾雑物の濃度
は、新油の状態から1500トン程度圧延すると200
ppm を超えるが、圧延量と濃度上昇との関係は必ずしも
一定でなく、また新油入替えの頻度を増すことはコスト
的に好ましくない。従って、鉄分夾雑物の濃度を200
ppm 以下に維持するためには、一般にはダーティータン
ク内でスカム(鉄分夾雑物、グリース、ベアリング油、
老廃油等の不純物を含む。)および液面下上層部の鉄分
夾雑物濃度の高い圧延油を除去し、鉄分夾雑物濃度を3
50ppm 程度まで低下した後、更にクリーンタンク内に
マグネットセパレーターを設けて残存鉄分夾雑物を除去
し、鉄分夾雑物の濃度を200ppm 以下に低下させるこ
とが好ましい。
延油はフィルターを通して循環使用しているが、圧延油
のエマルジョンの油滴の粒径は通常5μm程度であるか
ら、フィルターはこれよりも目の粗いものが用いられて
いる。クロム系ステンレス鋼を冷間圧延した場合、回収
した圧延油中に含有する鉄分夾雑物は、殆どが粒径1μ
m以下の微細なものであるから、フィルターで除去する
ことはできないとされている。また、鉄分夾雑物の濃度
は、新油の状態から1500トン程度圧延すると200
ppm を超えるが、圧延量と濃度上昇との関係は必ずしも
一定でなく、また新油入替えの頻度を増すことはコスト
的に好ましくない。従って、鉄分夾雑物の濃度を200
ppm 以下に維持するためには、一般にはダーティータン
ク内でスカム(鉄分夾雑物、グリース、ベアリング油、
老廃油等の不純物を含む。)および液面下上層部の鉄分
夾雑物濃度の高い圧延油を除去し、鉄分夾雑物濃度を3
50ppm 程度まで低下した後、更にクリーンタンク内に
マグネットセパレーターを設けて残存鉄分夾雑物を除去
し、鉄分夾雑物の濃度を200ppm 以下に低下させるこ
とが好ましい。
【0010】油中の鉄分夾雑物を除去するにはクリーン
タンク内に磁石板を所定時間浸漬、移動させるのがよ
く、本発明では従来の低磁束密度の磁石に替え、200
0ガウス以上の高磁束密度の磁石を採用することで吸着
能力を向上させ、鉄分夾雑物濃度を200ppm 以下に低
下させている。図1は油中における鉄分含有量と磁石の
磁束密度との関係を調査したものであって、図から明ら
かのように、従来から使用されていた1000〜180
0ガウスの磁束密度を有する磁石では圧延油中の鉄分夾
雑物濃度を管理限界200ppm 或いはそれ以下を達成す
ることが不可能である。従って、本発明では2000ガ
ウス以上の高磁束密度の磁石を使用することが必須とな
る。
タンク内に磁石板を所定時間浸漬、移動させるのがよ
く、本発明では従来の低磁束密度の磁石に替え、200
0ガウス以上の高磁束密度の磁石を採用することで吸着
能力を向上させ、鉄分夾雑物濃度を200ppm 以下に低
下させている。図1は油中における鉄分含有量と磁石の
磁束密度との関係を調査したものであって、図から明ら
かのように、従来から使用されていた1000〜180
0ガウスの磁束密度を有する磁石では圧延油中の鉄分夾
雑物濃度を管理限界200ppm 或いはそれ以下を達成す
ることが不可能である。従って、本発明では2000ガ
ウス以上の高磁束密度の磁石を使用することが必須とな
る。
【0011】一方、本発明において鉄分夾雑物濃度を管
理限界である200ppm 以下により安定して達成するた
めには、さらに次の条件を具備させることが好ましい。
まず、高磁束密度磁石の油中浸漬時間と、接液表面積が
所定の範囲になるようにすること、すなわち、磁石の接
液表面積率(接液表面積/圧延油(m2 /l))を3×
10-5m2 /l以上に調整することも重要な要件である
ことが判った。
理限界である200ppm 以下により安定して達成するた
めには、さらに次の条件を具備させることが好ましい。
まず、高磁束密度磁石の油中浸漬時間と、接液表面積が
所定の範囲になるようにすること、すなわち、磁石の接
液表面積率(接液表面積/圧延油(m2 /l))を3×
10-5m2 /l以上に調整することも重要な要件である
ことが判った。
【0012】図2に磁石の接液表面積率と圧延油中の鉄
分濃度との関係を示した通り、この率が3×10-5m2
/l未満では圧延油がマグネットセパレーター(磁石)
に接触する量が少くなり、鉄分吸着性能はあっても残留
する鉄分が多くなる。従って残留鉄分を200ppm 以下
とするには3×10-5m2 /l以上とする。
分濃度との関係を示した通り、この率が3×10-5m2
/l未満では圧延油がマグネットセパレーター(磁石)
に接触する量が少くなり、鉄分吸着性能はあっても残留
する鉄分が多くなる。従って残留鉄分を200ppm 以下
とするには3×10-5m2 /l以上とする。
【0013】また、磁石の浸漬(接油)時間の管理も必
要である。図3に磁石の鉄分吸着能力と油中浸漬時間と
の関係を示す。すなわち、圧延油中の鉄分は、鉄石けん
等の状態で存在し、親水性を示している。この状態で2
000ガウス以上の磁力によって引き寄せられる時に
は、多量の水分を伴っている(2000ガウス以下では
この状態で引き寄せる力が大きく落ちる)。つまり磁石
面に圧延油が堆積して吸着力が低下する。これが2分を
経過すると、鉄分のみが磁石面に引き寄せられることに
より水分が絞り出され、圧延油の堆積が解消される。こ
のため、鉄分吸着効率は急に上昇するが約5分でピーク
となる。以降は、濃い鉄分の吸着物が磁石表面に堆積す
ることにより、少しずつ接液面の磁力が低下して行く。
その傾きはゆるやかであるが、堆積物により表面磁力が
2000ガウス以下になると急激に吸着能力が低下す
る。10分の浸漬(2000ガウス)で効率がピークの
75%に低下する。このため、定期的な鉄分の除去が必
要となる。2分ではピークの90%に達する。他方吸着
される鉄分は、油分と共に磁石に付着する。
要である。図3に磁石の鉄分吸着能力と油中浸漬時間と
の関係を示す。すなわち、圧延油中の鉄分は、鉄石けん
等の状態で存在し、親水性を示している。この状態で2
000ガウス以上の磁力によって引き寄せられる時に
は、多量の水分を伴っている(2000ガウス以下では
この状態で引き寄せる力が大きく落ちる)。つまり磁石
面に圧延油が堆積して吸着力が低下する。これが2分を
経過すると、鉄分のみが磁石面に引き寄せられることに
より水分が絞り出され、圧延油の堆積が解消される。こ
のため、鉄分吸着効率は急に上昇するが約5分でピーク
となる。以降は、濃い鉄分の吸着物が磁石表面に堆積す
ることにより、少しずつ接液面の磁力が低下して行く。
その傾きはゆるやかであるが、堆積物により表面磁力が
2000ガウス以下になると急激に吸着能力が低下す
る。10分の浸漬(2000ガウス)で効率がピークの
75%に低下する。このため、定期的な鉄分の除去が必
要となる。2分ではピークの90%に達する。他方吸着
される鉄分は、油分と共に磁石に付着する。
【0014】図4は本発明で使用する2000ガウスの
高磁束密度の磁石を用いて、鉄分選択吸着能力として吸
着全量/吸着鉄分の比と磁石浸漬時間との関係を示した
ものであり、これから明らかのように、圧延油に最適な
濃度の限界値は吸着鉄分に対する吸着全量の比が400
倍が限界値であることから磁石浸漬時間は2分以上とす
ることが鉄分選択吸着能力が著しく向上していくことが
判る。尚、吸着鉄分に対する吸着全量の比で400倍を
管理基準とするのは、これを超えると圧延油に必要な油
濃度低下が起こり圧延特性を阻害する原因となるためで
ある。
高磁束密度の磁石を用いて、鉄分選択吸着能力として吸
着全量/吸着鉄分の比と磁石浸漬時間との関係を示した
ものであり、これから明らかのように、圧延油に最適な
濃度の限界値は吸着鉄分に対する吸着全量の比が400
倍が限界値であることから磁石浸漬時間は2分以上とす
ることが鉄分選択吸着能力が著しく向上していくことが
判る。尚、吸着鉄分に対する吸着全量の比で400倍を
管理基準とするのは、これを超えると圧延油に必要な油
濃度低下が起こり圧延特性を阻害する原因となるためで
ある。
【0015】本発明に使用する磁石は、永久磁石または
電磁石等の何れでもよいが、これを板状に形成するのが
好ましく、マグネットセパレーターとして例えばチェー
ンコンベア表面に装填され、圧延油タンク内に浸漬され
た状態で移動させることにより鉄分夾雑物を前記磁石表
面に吸着させる方法を採るのがよい。特に、コンベアを
液面に対し傾斜させ、すなわち30°以上、90°以下
の傾斜角度を維持することにより、磁石板の油中浸漬時
間を調整でき、油中鉄分夾雑物濃度を容易に200ppm
以下に低下させることが可能となる。更に、磁石板の接
液(油)表面積(m2 )を圧延油(l:リットル)当り
3×10-5m2 /l以上とすることにより油中鉄分夾雑
物を目標値により達成しやすくなる。
電磁石等の何れでもよいが、これを板状に形成するのが
好ましく、マグネットセパレーターとして例えばチェー
ンコンベア表面に装填され、圧延油タンク内に浸漬され
た状態で移動させることにより鉄分夾雑物を前記磁石表
面に吸着させる方法を採るのがよい。特に、コンベアを
液面に対し傾斜させ、すなわち30°以上、90°以下
の傾斜角度を維持することにより、磁石板の油中浸漬時
間を調整でき、油中鉄分夾雑物濃度を容易に200ppm
以下に低下させることが可能となる。更に、磁石板の接
液(油)表面積(m2 )を圧延油(l:リットル)当り
3×10-5m2 /l以上とすることにより油中鉄分夾雑
物を目標値により達成しやすくなる。
【0016】図5に本発明の油中鉄分除去装置の一例を
示す。すなわちダーティータンク(図示せず)からフィ
ルターを通して送られて来た圧延油は、圧延油タンク1
内の深部に導入され、マグネットプレート(磁石板)2
を装着したチェーンコンベア3の一部を油中に導入し、
モーターMの回動により減速機rを介して該チェーンコ
ンベア3を矢印aまたはb方向に作動する。このチェー
ンコンベア3は、液面を通過し、かつ液面に対し30°
以上、90°以下の傾斜角度で回動し、マグネットプレ
ート2を移動するよう設置される。チェーンコンベア3
に装着された複数のマグネットプレート2は、チェーン
コンベア3の動きと共に圧延油4に所定時間(2分以
上)浸漬され、液内を移動しつつ鉄分夾雑物を吸着し、
夾雑物を包む有効圧延油分を磁力の作用で絞り分離す
る。次いで、鉄分夾雑物を吸着したマグネットプレート
2はチェーンコンベア3の作動でタンク1外に移動し、
タンク1の近傍に、マグネットプレート2と接触する位
置に設置されたスクレーパ5にてマグネットプレート2
表面に吸着され、タンク1外に搬送された鉄分夾雑物を
掻き取りスカムガイド6を介してスカムタンク7に回収
する。
示す。すなわちダーティータンク(図示せず)からフィ
ルターを通して送られて来た圧延油は、圧延油タンク1
内の深部に導入され、マグネットプレート(磁石板)2
を装着したチェーンコンベア3の一部を油中に導入し、
モーターMの回動により減速機rを介して該チェーンコ
ンベア3を矢印aまたはb方向に作動する。このチェー
ンコンベア3は、液面を通過し、かつ液面に対し30°
以上、90°以下の傾斜角度で回動し、マグネットプレ
ート2を移動するよう設置される。チェーンコンベア3
に装着された複数のマグネットプレート2は、チェーン
コンベア3の動きと共に圧延油4に所定時間(2分以
上)浸漬され、液内を移動しつつ鉄分夾雑物を吸着し、
夾雑物を包む有効圧延油分を磁力の作用で絞り分離す
る。次いで、鉄分夾雑物を吸着したマグネットプレート
2はチェーンコンベア3の作動でタンク1外に移動し、
タンク1の近傍に、マグネットプレート2と接触する位
置に設置されたスクレーパ5にてマグネットプレート2
表面に吸着され、タンク1外に搬送された鉄分夾雑物を
掻き取りスカムガイド6を介してスカムタンク7に回収
する。
【0017】鉄分夾雑物除去効果を向上させるため、タ
ンク1内に貯蔵された圧延油4を何らかの手段で撹拌し
たり、タンク1に浸漬したチェーンコンベア3を揺動さ
せてもよい。また、減速機rは、鉄分夾雑物回収速度と
或いは、更に有効圧延油分絞り出し(分離)効率のため
の最適経済速度への微調整のための変速手段としても作
用する。
ンク1内に貯蔵された圧延油4を何らかの手段で撹拌し
たり、タンク1に浸漬したチェーンコンベア3を揺動さ
せてもよい。また、減速機rは、鉄分夾雑物回収速度と
或いは、更に有効圧延油分絞り出し(分離)効率のため
の最適経済速度への微調整のための変速手段としても作
用する。
【0018】
【実施例】20段ゼンジミア圧延機により、鉱物油を水
に懸濁したエマルジョンを圧延油として、SUS430
フェライト系ステンレス鋼を板厚3.8mmから0.6mm
まで冷間圧延した際の冷延板の反射率の推移を表1に示
す。圧延油の浄化方法は図5に示す装置により、本発明
装置は磁束密度2500ガウスのマグネットプレートを
用い、油中浸漬部分のコンベア1周期を2分として、圧
延油に浸漬した。一方従来法では低磁束密度(1500
〜1800ガウス)のマグネットプレートを装着したチ
ェーンコンベアをタンク内油中に浸漬したままの状態で
設置したものである。
に懸濁したエマルジョンを圧延油として、SUS430
フェライト系ステンレス鋼を板厚3.8mmから0.6mm
まで冷間圧延した際の冷延板の反射率の推移を表1に示
す。圧延油の浄化方法は図5に示す装置により、本発明
装置は磁束密度2500ガウスのマグネットプレートを
用い、油中浸漬部分のコンベア1周期を2分として、圧
延油に浸漬した。一方従来法では低磁束密度(1500
〜1800ガウス)のマグネットプレートを装着したチ
ェーンコンベアをタンク内油中に浸漬したままの状態で
設置したものである。
【0019】
【表1】
【0020】上記結果から判るように、従来装置では累
計圧延量が2000トンで鉄分夾雑物濃度が200ppm
を超え、冷延板の光沢を表す反射率(JIS Z 87
41の方法4で測定)が劣化してフェライト系或いはマ
ルテンサイト系の2B仕上げ製品の採用が不可であった
のに対して、本発明装置を採用することで鉄分夾雑物濃
度を200ppm 以下に抑制可能であり、冷延板反射率
は、16000トン圧延後で依然として低下することな
く光沢を維持しており2B仕上げ製品が確保できた。
計圧延量が2000トンで鉄分夾雑物濃度が200ppm
を超え、冷延板の光沢を表す反射率(JIS Z 87
41の方法4で測定)が劣化してフェライト系或いはマ
ルテンサイト系の2B仕上げ製品の採用が不可であった
のに対して、本発明装置を採用することで鉄分夾雑物濃
度を200ppm 以下に抑制可能であり、冷延板反射率
は、16000トン圧延後で依然として低下することな
く光沢を維持しており2B仕上げ製品が確保できた。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明により、ステ
ンレス鋼の冷間圧延に用いられる圧延油を循環使用する
際に圧延油内の鉄分夾雑物濃度を200ppm 以下に確実
に低下させることにより、光沢のよいステンレス鋼製品
が得られる。
ンレス鋼の冷間圧延に用いられる圧延油を循環使用する
際に圧延油内の鉄分夾雑物濃度を200ppm 以下に確実
に低下させることにより、光沢のよいステンレス鋼製品
が得られる。
【図1】圧延油中の鉄分除去限界を鉄分含有量と吸着マ
グネットプレートの磁束密度との関係で示す図。
グネットプレートの磁束密度との関係で示す図。
【図2】マグネットの接触面積率と圧延油中の鉄分濃度
との関係を示す図。
との関係を示す図。
【図3】マグネットの油中浸漬時間と鉄分吸着能力との
関係を示す図。
関係を示す図。
【図4】鉄分選択吸着能力を吸着全量/吸着鉄分の比と
浸漬時間との関係で示す図。
浸漬時間との関係で示す図。
【図5】圧延油を浄化する装置の例を示す図。
1 圧延油タンク 2 マグネットプレート 3 チェーンコンベア 4 圧延油 5 スクレーパ 6 スカムガイド a,b 移動方向 r 減速機 M モーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−219109(JP,A) 特開 昭62−273019(JP,A) 特開 昭52−154260(JP,A) 実開 昭57−177548(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 1/00 - 1/32
Claims (1)
- 【請求項1】 圧延設備から排出される圧延油を回収し
て貯蔵しかつ圧延設備に供給する圧延油タンクに、磁束
密度2000ガウス以上の磁石板を装着したチェーンコ
ンベアを設けると共に、該チェーンコンベアを液面に対
して30〜90°の傾斜角に配設し、前記圧延油タンク
外部において磁石板と接し、磁石板に吸着した鉄分夾雑
物を掻き取るスクレーパーを設けたことを特徴とする圧
延油中の鉄分除去装置。
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---|---|---|---|
JP13966493A JP3323933B2 (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 圧延油中の鉄分除去方法 |
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ID=15250549
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JP13966493A Expired - Fee Related JP3323933B2 (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 圧延油中の鉄分除去方法 |
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KR101358338B1 (ko) | 2013-08-19 | 2014-02-11 | 제이에스이엔지(주) | 액체에 혼합된 철분 분리장치 |
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