JPH0234647B2 - Jikibunrisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、主に油脂類及びエマルジヨンタイプ
の潤滑油を大量かつ連続的に浄化する、すなわち
潤滑油内の磁性粒子を効果的に除去可能な磁気分
離装置に関するものである。

（従来の技術） 一般に、金属薄板を冷間で圧延する場合、圧延
ロールと被圧延材との摩擦による圧延荷重の増加
の防止と潤滑不良による被圧延材の表面損傷の防
止のために大量の冷間圧延油が使用される。一方
潤滑条件の厳しさは圧延する材料、圧延速度、圧
下率により影響を受け、また圧延後の被圧延材の
表面性状（特に光沢性）は圧延油の種類の影響を
受けるため、こうした条件を圧延油のコストを考
慮して圧延機毎に圧延油種、使用条件が決定され
る。

冷間圧延油の使用方法としては循環使用される
のが一般的である。すなわち一度冷間圧延機に供
給された圧延油は、磁気ドラム式濾過機（マグネ
ツトセパレータ）及び濾布式濾過機（ハイドロメ
ーシヨンフイルター、ホフマンフイルター等）に
より浄化され再び圧延機に供給されるシステムと
なつている。しかし、これら浄化装置の能力が不
十分な場合、圧延油中の異物（特に摩耗粉）が増
加し、著しく鋼板の表面清浄度を悪化させ、成品
として価値を下げる原因となる。

例えば、亜鉛メツキ鋼板の製造を例にとると、
冷間圧延後の鋼板表面の鉄粉付着量が多くなる
と、メツキライン内の小径ロールに鉄粉が展着、
堆積され再び鋼板に付着すると、その部分で亜鉛
のぬれ性が阻害され不メツキ（メツキが不完全）
を生ずる場合がある。

また一般の冷延鋼板製造は冷間圧延後、表面に
付着した鉄粉及び油分を除去する目的で電解脱脂
工程を経てから焼鈍工程へ送られる。しかし、近
年省資源、省エネルギー、省力を目的として前記
電解脱脂工程を省いて表面が美麗な鋼板の製造技
術を確立するための研究が行なわれている。この
ように電解脱脂工程を省略するためには、冷間圧
延後の鋼板の付着油分量、付着鉄粉量を減らす必
要がある。

冷間圧延後の鋼板付着鉄粉量を減らす一つの方
法として圧延油の潤滑性を向上し発生する摩耗鉄
粉量を減らすことが考えられるが、一般に潤滑性
を上げるためには、圧延油として分子量の多いも
のを選定する、各種の極圧添加剤を添加する、エ
マルジヨンをルーズにしてプレートアウト性を良
くする、等の方策がとられるが、鋼板への付着油
分量を増加し、かつ焼鈍工程で揮散しにくい油を
用いることであり、結果的に鋼板の清浄度を悪化
させてしまう。

いま一つの方法として、圧延油中の鉄粉量を出
来る限り減少する方法があり、現在、クーラント
タンク（エマルジヨンを一時蒸留するタンク）上
層に浮いた鉄粉のかき出し、及び前記磁気ドラム
式濾過機及び濾布式濾過機が単独もしくは並用さ
れているのが一般的である。

本発明者らは詳細な研究の結果、これら浄化装
置により、系外に排除される鉄粉は新たに系内に
入る及び新生される鉄粉量の30％程度であり、残
りの70％が鋼板に付着して系外に持出されるもの
及びタンクの底にたまる沈澱物（スラツジと呼
ぶ）であることを突き止め、現有設備では浄化能
力が不足していることが判明した。しかし前記設
備の能力を増強して洗化能力を上げて、有効なレ
ベルまで圧延油中鉄粉量を減らすには、莫大な設
備費を必要とする。

すなわち、本発明は、大容量型の高効率圧延油
浄化を行ないながら圧延油を供給するものであ
り、安価な設備費用で圧延油中の磁性粒子を効果
的に除去し、鋼板付着鉄粉量を減少することが可
能となる。

磁気フイルターとしては、特開昭54−47173、
特開昭54−78569他多数の出願例があるが、大量
の流体を連続処理するためには、フイルター内の
磁性体に付着した磁性粒子をいかに速やかにか
つ、流体処理を中断することなく洗浄するかが最
大の課題となる。上記出願例は、多数の出願例の
中で逆洗方法の記述のある数少ない例であるが、
フイルター逆洗時には流体処理を中断せざるを得
ず、大量連続処理は不可能である。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は圧延油を連続的にしかも大量に浄化処
理することが可能であり、かつ磁気フイルターに
捕獲された鉄分、油分の逆洗も可能である磁気分
離装置を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 第１図は強磁性体を使用した磁気フイルターを
用い、鉱物油を基油とした圧延油のエマルジヨン
（濃度３％）を循環処理した場合の循環時間と圧
延油中鉄粉濃度及び鉄粉除去効率を調査した実験
の一例であり、循環時間が60分でフイルターに付
着した鉄粉の脱落現象を生じ、大量の圧延油を連
続処理するためには、定期的に逆洗する必要があ
る。但し、逆洗する周期は磁気フイルターの鉄粉
捕獲能力、処理液流量、処理液中の磁性粒子量に
より決定される。しかしながら磁気フイルターの
鉄粉捕獲能力は、磁性体の種類、磁気特性、形
状、充填密度、磁力の強さ、磁気勾配等の条件に
よつて変化するので、磁気フイルターの逆洗周期
は、それらの条件を考慮した上で決定する必要が
ある。

また、フイルターによつて圧延油を濾過した場
合、エマルジヨン中に混入した新生（活性化され
た）鉄粉には、極性基をもつた脂肪酸が吸着し、
油滴中に混入した状態になつているか又は、脂肪
酸とのイオン結合により鉄石鹸を生成しているか
しており、特に鉄石鹸は粘着性が高く、フイルタ
ーに捕獲された鉄粉は非常に逆洗しにくい状態で
存在する。

従つて、圧延油のように大量に循環使用される
油脂及び油脂のエマルジヨンの浄化装置として磁
気フイルターを用いる場合、その逆洗技術が最大
の課題となる。

第２図は前記の濾過実験を行なつた後のフイル
ターについて、先細ノズルより蒸気をフイルター
に向けて噴射させ、逆洗を行なつた時の時間に対
するフイルター内の残存捕獲物量の変化を示した
ものである。この時の使用蒸気は圧力５Kgｆ／cm²
の飽和蒸気で、1.1×10^-2Kgｆ／secの割合で噴射
した。

この実験結果により、前記に示す様なノズルか
らの蒸気高速噴射により、逆洗時間２分という短
時間内で、フイルターに付着した鉄粉及び油分を
極めて効率良く逆洗可能ならしめることが判明し
た。

すなわち前記に示した磁気フイルターによる圧
延油の高効率大容量濾過の課題であるフイルター
の逆洗方法については、先細ノズルからの蒸気の
高速噴射によるものが極めて有効である。

次に第３図により本発明を詳細に説明する。

圧延機１に供給された圧延油は、クーラントタ
ンク２に戻り、再び圧延機１に供給される循環使
用システムにおいて、クーラントタンク２により
ポンプにより配管Ａを通つて磁気フイルター部３
に圧延油が供給され、処理（磁性体粒子すなわち
摩耗鉄粉が除去）された後、再び配管A′を通つ
てクーラントタンク２に戻される。又、フイルタ
ー逆洗用の工場蒸気が配管Ｂにより供給され、逆
洗後の汚水は配管B′を通つて貯蔵タンク４へ送
られる。

第４図に、第３図中に示した磁気フイルター３
を示す。クーラントタンクより、ポンプで配管Ａ
により供給された圧延油は磁気フイルターの濾過
部５に供給され、濾過後配管A′を通つてクーラ
ントタンクに戻される。濾過部５の上方には整流
板６が設けられ、圧延油を均等に下のフイルター
に落下させる。その下部には、板状の永久磁石７
が一定間隔で並べられ、金網もしくはそれに類す
るもので作られ、更にその中に強磁性体を充填し
た細長矩形断面の強磁性体格納ケース８を永久磁
石７の間に配し、整流板６を通過し、落下してき
た圧延油は、格納ケース８を通過する際、圧延油
中の磁性粒子が強磁性体に捕獲され、浄化され
る。浄化された圧延油は配管A′を通つて再びク
ーラントタンクに戻される。

逆洗部９には逆洗用ノズル１０が設けられ、配
管Ｂにより蒸気が供給される。フイルターの磁性
粒子捕獲量が飽和状態となつたとき、エアシリン
ダ１１により逆洗部にゆつくりと引出され、かつ
そのとき逆洗用ノズル１０から音速もしくは亜音
速で蒸気を噴射し、強磁性体に付着した鉄粉・油
分の逆洗が行なわれる。逆洗後の汚水は、配管
B′により別の貯蔵タンク１２に送られる。

逆洗後の格納ケース８はエアシリンダ１１によ
つて濾過部５に戻され、再び圧延油の濾過を行な
う。格納ケース８は多段（本実施例では３段）に
配置することにより、上記フイルター逆洗中にも
圧延油の濾過を中断することなく、すなわち連続
的に大容量濾過を行なうことが可能である。

また逆洗用ノズル１０には、昇降用のエアシリ
ンダ１３が接続され、フイルター各段（本実施例
では上段・中段・下段）の逆洗時において、ノズ
ル口とフイルターとの距離を一定に保つ機構とな
つている。これはフイルターの逆洗性を高めるの
に有効である。

（発明の効果） 本発明の磁気分離装置を用いることにより、大
量に循環使用される圧延油中の磁性粒子（鉄粉）
を安価な設備で高効率にかつ連続的に除去するこ
とが可能であり、冷延後の鋼板表面清浄度を向上
することができ、極めて有利なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は磁性体として鉄のアモルフアスを使用
した磁気フイルターを用いて実圧延機で使用して
いる圧延油を処理したときの循環時間と処理液中
の鉄粉濃度及び鉄粉の除去効率の関係を示したも
のであり、第２図は鉄粉、油分等の付着した濾過
使用後のフイルターを、先細ノズルより高速で蒸
気を吹き付け逆洗したときの逆洗時間とフイルタ
ー付着物重量との関係、第３図は本発明の適用
例、第４図は本発明の詳細構造を示す図である。 １…圧延機、２…クーラントタンク、３…磁気
フイルター、４…汚水貯蔵タンク、５…濾過部、
６…整流板、７…永久磁石、８…強磁性体格納ケ
ース、９…逆洗部、１０…逆洗用ノズル、１１…
ケース引出用エアシリンダ、１２…汚水貯蔵タン
ク、１３…ノズル昇降用シリンダ、Ａ…クーラン
ト供給配管、A′…クーラント戻り配管、Ｂ…逆
洗用蒸気供給配管、B′…汚水移送配管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 磁気フイルターを有する容器内に磁性粒子を
   含有する流体を流入させて、前記磁性粒子を磁気
   分離する装置において、永久磁石と強磁性体格納
   ケースを交互かつ多段に配置し、上流側に整流板
   を設けた濾過部と、前記格納ケースを濾過部の外
   に引出す引出装置と、フイルターの逆洗を行なう
   逆洗部を設け、該逆洗部には蒸気を音速又は亜音
   速で噴射する装置を設け、逆洗時には自動的に前
   記引出装置により引出しながら逆洗を行なうこと
   によつて連続的に濾過可能なことを特徴とする磁
   気分離装置。