JP3323437B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP3323437B2
JP3323437B2 JP08906198A JP8906198A JP3323437B2 JP 3323437 B2 JP3323437 B2 JP 3323437B2 JP 08906198 A JP08906198 A JP 08906198A JP 8906198 A JP8906198 A JP 8906198A JP 3323437 B2 JP3323437 B2 JP 3323437B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車のトランスミ
ッションなどとして用いられる動力伝達装置に関し、特
にエネルギ損失を少なくするため出力側の運動エネルギ
を回生する機能をもち、且つ出力側の速度や伝達トルク
を適正にコントロールすることのできる動力伝達装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動力伝達装置として多種多様なも
のが知られるが、その多くは駆動源の負荷に応じて出力
軸の回転速度や伝達トルクを変換できるようギヤ式変速
機を備えている。特に、ガソリンエンジンなどの内燃機
関を駆動源とする伝導装置の多くは、動力の伝達を断続
するべく駆動源と変速機の間にクラッチ機構を備えてい
る。然るに、この種の伝動装置は変速操作が煩わしいな
ど多くの欠点があった。このため、主として内燃機関を
駆動源としてもつ自動車などの車両ではクラッチ操作が
不要なトルクコンバータと遊星ギヤ式変速機を組み合わ
せた伝動装置が主流となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
伝動装置は出力側のもっている運動エネルギをブレーキ
ング操作などによる制動作用で摩擦熱として失うため再
利用することができない。このため使用時におけるエネ
ルギ損失が高く、再始動に際しては駆動源にかかる負荷
が大きくエネルギを余計に必要とするという欠点があっ
た。これに加え、トルクコンバータ式の伝動装置は、操
作性が良好であるなど多くの利点を有する反面、エンジ
ンなど駆動源の動力を作動流体を介して伝達するため伝
達効率が悪く、エネルギ消費率や加速性能に劣るという
欠点があった。
【0004】本発明は、そのような事情に鑑みて成され
たものでなり、その主たる目的は駆動源の動力を有効利
用し、エネルギ損失を可及的少なくして出力側の速度や
伝達トルクを適正にコントロールすることのできる動力
伝達装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達
成するため、駆動源の動力をフライホイール部に蓄えつ
つ出力軸に伝達するようにした動力伝達装置であって、
前記フライホイール部は駆動源の動力を得て所定方向に
回転するキャリヤと該キャリヤの軸線周りでその部位に
等間隔にして回転自在に支持される遊星車とにより構成
し、このフライホイール部の周囲に前記キャリヤの軸線
を中心として各遊星車が内接する外輪を回転自在にして
設けるとともに、この外輪に近接して該外輪を回転規制
する制動部を設け、更に前記出力軸の近隣にはその軸線
に沿って一対のドラムを回転自在にして並設し、その各
ドラムの軸線を中心にして各々その一端側に可変速モー
タの動力を得て互いに同方向に回転する駆動ギヤを設け
るとともに他端側には各々前記出力軸に結合して互いに
同方向に回転する従動ギヤを設け、更にそれら各ドラム
の外周に張力の作用を以て巻き付く互いに巻方向が逆向
きな螺旋状のトラクションコイルを装備し、その一端を
駆動ギヤに係止するとともに他端を従動ギヤに係止し、
このうち一方のドラムはその外周に装備したトラクショ
ンコイルの従動ギヤ側の一端を巻き取る方向に回転する
ようにして前記キャリヤの回転軸に結合し、また他方の
ドラムは前記外輪と相互に回転可能に結合して該ドラム
がその外周に設けられるトラクションコイルの巻き付き
を以て一方のドラムと同方向に回転するとき前記制動部
による外輪の回転規制が解除されて該外輪がキャリヤと
逆向き回転されるようにして成る動力伝達装置を提供す
るものである。
【0006】特に、請求項2に係る発明では、ドラムと
トラクションコイルとのトラクション係数を上げて出力
軸に動力を効率よく伝達できるようにするため、各ドラ
ムの従動ギヤ側を小径部として該小径部に隣接する大径
部の部位にその全周に亙って突起部を所定の間隔で設
け、前記従動ギヤには小径部に回転自在に嵌合する伝動
スリーブを連設するとともに該伝動スリーブにスリット
を周方向で所定の間隔に形成して、その各スリットに前
記小径部とトラクションコイルとに接触する転動ピンを
収容している。
【0007】また、請求項3に係る発明は、本装置を搭
載する車両などの走行体がフライホイール部のジャイロ
モーメントで運動性能を阻害されぬようにするため、キ
ャリヤの回転軸を一方のドラムの回転軸と直交状態にし
て結合している。
【0008】更に、請求項4に係る発明では、使用中の
騒音を低減することなどを目的として、遊星車の外周に
摩擦リングを鍔状にして固定し、外輪の内周面に前記摩
擦リングが転がり接触する環状のガイド溝を形成してい
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一例を図面
に基づいて詳細に説明する。先ず、図1に本発明に係る
動力伝達装置の全体像を示す。1は例えばガソリンエン
ジンなど内燃機関で成る駆動源、2は駆動源から得た動
力を蓄積するフライホイール部、3はフライホイール部
の動力を出力軸4に断続して伝達することのできるクラ
ッチ兼変速機の機能をもつ伝導部である。なお、出力軸
4は例えばデファレンシャルギヤを介して自動車の車軸
に結合される。
【0010】フライホイール部2は、ケーシング5に軸
受6を介して回転自在に支持した回転軸7と、その回転
軸に相対して固定した円盤状のキャリヤ8と、回転軸7
の軸線周りでキャリヤ8の周縁部に等間隔にして取り付
けた複数の遊星車9とから構成される。このうち、回転
軸7は駆動源1にベベルギヤ10,11を介して結合
し、これに固定されるキャリヤ8が駆動源1の動力を得
て所定方向に回転するようにしてある。また、遊星車9
はキャリヤ8の相互間に軸受12を介して回転自在に支
持されるとともに、電磁ブレーキなど公知のブレーキ装
置から成る制動部13にて回転規制される外輪14に内
接している。従って、制動部13による外輪14の固定
時に、遊星車9は図2に示すように各々その支軸15を
中心にしてキャリヤ8と逆向きに回転(自転)しつつ、
キャリヤ8に追従してその回転軸7の周りを同方向に旋
回(公転)することになる。特に、遊星車9は各々その
外周に固定される鍔状の摩擦リング16を有して、外輪
14との間で滑りを生ずることなく円滑に回転するよう
にしてある。
【0011】その外輪14は、図1に示すようにフライ
ホイール部2と同一のケーシング5に収容された状態に
あって、その中心が軸受17を介してキャリヤ8の回転
軸7に取り付けられており、上述の制動部13による回
転規制の解除時にはその回転軸7を中心にして正逆に回
転することができる。特に、この外輪14の内周面には
遊星車9の摩擦リング16が転がり接触する環状のガイ
ド溝18が一連に形成される。
【0012】ここで、ガイド溝18はV字状の断面をも
ち、図3に示すように鍔付きのベース19にリング20
を装着することにより形成される。リング20はベース
19の開口縁と同径にして、圧縮バネ21を介してベー
ス19の開口縁にボルト22で結合されており、そのボ
ルト22の締結力により圧縮バネ21の復元力を調整し
て遊星車9の摩擦リング16を適圧で保持することがで
きる。
【0013】また、図1に示すように、外輪14の外周
面には後述するドラムと結合する歯車部23と、制動部
13に対応する鍔部24とが形成されている。なお、制
動部13は外輪14に近接してケーシング5の部位に装
置されており、平時は外輪14の鍔部24をクランプし
て外輪14が遊星車9との接触圧によりキャリヤ8と同
方向に回転するのを規制している。
【0014】一方、伝導部3は図1に示すように,一対
のドラム30A,30Bを有して成る。それら各ドラム
30A,30Bはフライホイール部2と区分したケーシ
ング31中にあって、該ケーシング31に軸受32を介
して回転自在に取り付けた出力軸4の軸線に沿ってそれ
ぞれ回転自在に並設されている。特に、それら各ドラム
30A,30Bはそれぞれケーシング31に軸受33を
介して支持した回転軸34A,34Bに固定されてお
り、このうち一方のドラム30Aはその回転軸34Aを
フライホイール部の回転軸7とベベルギヤ11,35を
介して直交状態に結合し、フライホイール部2の回転中
にその動力を得て所定方向に常時回転するようにしてあ
る。また、他方のドラム30Bはその回転軸34Bを外
輪14の歯車部23と噛合する歯車36の回転軸37に
ベベルギヤ38,39を介して結合し、後述の如く出力
軸4の逆転時や制動時以外は回転しないようにしてあ
る。
【0015】更に、それら各ドラム30A,30Bの回
転軸(軸線)34A,34Bを中心にして、各々その一
端側に駆動ギヤ404,40Bを回転自在に設けている
とともに、他端側には駆動ギヤ40A,40Bに対向し
て従動ギヤ41A,41Bを回転自在に設けている。そ
して、各ドラム30A,30Bの外周には駆動ギヤ40
A,40Bと従動ギヤ41A,41Bとの間で互いに巻
方向が逆向きのトラクションコイル42A,42Bを装
備し、その一端をそれぞれ駆動ギヤ40A,40Bに係
止するとともに他端を従動ギヤ41A,41Bに係止し
ている。
【0016】このうち、トラクションコイル42A,4
2Bは円筒材料を切削するなどして得られる矩形状の断
面をもつ螺旋状の巻線であり、その内径はドラム30
A,30Bの外径より数mm程度大きく、平時はドラム
30A,30Bと非接触状態を保つが、その一端に駆動
ギヤ40A,40Bや従動ギヤ41A,41Bによる張
力が作用したときには半径方向に縮小してドラム30
A,30Bに巻き付くことができる。
【0017】また、駆動ギヤ40A,40Bは図4に示
すように可変速モータ43の駆動軸に直結した歯車44
に噛合して互いに同方向に回転するとともに、従動ギヤ
41A,41Bは出力軸4に固定した歯車45に噛合し
て互いに同方向に回転するようにしてある。なお、図4
は伝導部3の正面概略図であり、そのB−B線断面が図
1に示される。
【0018】ここで、可変速モータ43はDCサーボモ
ータやステッピングモータなど速度制御を的確に行う得
る逆転動作も可能な制御用モータであり、この作動を以
て駆動ギヤ40A,40Bを同方向に回転させることが
できる。そして、その可変速モータ43で駆動ギヤ40
A,40Bを一方のドラム30Aと同方向に回転させた
とき、そのドラム30Aの外周に装備したトラクション
コイル42Aが駆動ギヤ40Aによる張力で該ドラム3
0Aの外周に巻き付いて従動ギヤ41Aを同方向に回転
させ、他方のドラム30Bはその外周に装備されたトラ
クションコイル42Bが従動ギヤ41Bによる張力と駆
動ギヤ40Bによる押込力で空転することにより静止状
態を保つようになっている。
【0019】つまり、一方のドラム30Aはその外周に
装備されるトラクションコイル42Aの従動ギヤ41A
側の一端を巻き取る方向に回転するようにして上述の如
くフライホイール部の回転軸7に結合されるのである。
特に、他方のドラム30Bはその外周に装備されるトラ
クションコイル42Bの巻き付きを以て一方のドラム3
0Aと同方向に回転するとき、外輪14をフライホイー
ル部のキャリヤ8と逆向きに回転させるよう外輪14と
上述の如く相互回転可能に結合して該外輪14とともに
出力軸4の動力を回生するための動力回生部を構成して
いる。
【0020】ここで、図5に基づいてドラムの構造をよ
り詳細に説明する。なお、一対のドラム30A,30B
はその外周に装備されるトラクションコイル42A,4
2Bの巻方向が逆であるほかは基本的に同一構造である
ため図5では一方のドラム30Aのみを示して説明す
る。
【0021】この図で明らかにするように、ドラム30
Aの外周は鋼帯などで成るジャケット46で補強されて
おり、取り分け従動ギヤ41A側の外周はジャケット4
6の肉厚を薄くした小径部47aとして形成される。そ
して、そのドラム30Aの一端外周に軸受48を介して
駆動ギヤ40Aを取り付け、従動ギヤ41Aはドラム3
0Aの他端側でその同軸34A上に軸受49を介して取
り付けている。ここで、その従動ギヤ41Aにはドラム
の小径部47aに回転自在にして嵌合する伝動スリーブ
50を連設して固定し、その伝動スリーブ50で転動ピ
ン51を回転自在に支持している。
【0022】伝動スリーブ50は、図6に示すように従
動ギヤに固定する鍔状の取付部52とドラムの小径部に
嵌合する円筒部53を有し、円筒部53にはその周方向
にスリット54が所定の間隔で形成されている。図7に
示すように、その各スリット54には転動ピン51が回
転自在にして収容され、それら各転動ピン51がドラム
30Aを取り巻くようにしてある。
【0023】ここで、図8にその一部を拡大して示す。
この図で明らかにするように、伝動スリーブの円筒部5
3はその内径がドラムの小径部47より大きく且つその
外径がドラムの大径部47bと同径か又はそれより小さ
くされており、しかも転動ピン51はその直径をスリー
ブの円筒部53の肉厚より大きくしてトラクションコイ
ル42Aが半径方向に縮小してドラム30Aに巻き付く
とき、その外周面がトラクションコイル42Aの内周面
とドラムの小径部47とに接触するようにしてある。従
って、トラクションコイル42Aがドラム30Aに巻き
付くとき、転動ピン51はドラム30Aとの接触圧でそ
の回転方向に移動され、スリット54の隔壁を同方向に
押し込むことになる。その結果、従動ギヤ41Aにはト
ラクションコイル42Aと転動ピン51による働きで動
力が効率的に伝達される。なお、トラクションコイル4
2Aは復元時にあっても転動ピン51に近接して各転動
ピン51がスリット54から離脱するのを防止する。ま
た、図7で明らかなように、トラクションコイル42A
はドラム30Aの外周に4つ装備されており、各々その
一端がロックピン55を通じて従動ギヤ41Aに係止さ
れている。
【0024】一方、図5に示すように、ドラム30Aの
外周には小径部47aに隣接する大径部47bの部位に
小径部47a側からピン56を圧入して突起部57を形
成している。図9で明らかにするように、そのピン56
は大径部47bの全周に亙って等間隔に設けられてお
り、特にそれら各ピン56は図10に示すようにその外
周面がドラム30Aの外周面から部分的に突出して上述
の突起部57を成している。その突出量は数百μm程度
であり、トラクションコイル42Aがドラム30Aに巻
き付きとき、その内周面が各突起部57に圧着するよう
にしてある。従って、トラクションコイル42Aは非常
に高いトラクション係数を以てドラム30Aに殆ど滑り
を生ずることなく巻き付いて従動ギヤ41Aに動力を円
滑に伝達することができる。なお、図9から明らかなよ
うに、トラクションコイル42Aは駆動ギヤ40A側で
各々その一端がロックピン58を通じて駆動ギヤ40A
に係止されている。
【0025】ここで、ドラム30Aの回転軸34Aには
図示せぬオイルポンプに接続する潤滑油の流路を形成し
ているとともに、その流路をドラム30Aの外周面まで
連通してドラム30Aとトラクションコイル42Aとの
間に絶えず潤滑油を供給できるようにしてある。なお、
潤滑油としては高圧下で粘性が急激に高まるトラクショ
ンオイルが用いられる。
【0026】次に、上述のように構成れる本願動力伝達
装置の作用を説明する。図11は各デバイスの作動状態
を示した概略図であり、このうち制動部13は初期時に
外輪14を固定してその回転を規制している。その状態
で駆動源1をさせると、その動力はフライホイール部2
に伝達されて蓄積される。つまりフライホイール部2の
キャリヤ8は大きな慣性モーメントをもって所定方向に
回転するのであり、このとき各遊星車9は回転軸7の周
りをキャリヤ8と同方向に旋回(公転)しつつ支軸を中
心にしてキャリヤ8と逆向きに回転(自転)する。一
方、その動力は回転軸7を通じて一方のドラム30Aに
伝達し、このドラム30Aを所定方向に回転させる。そ
の状態で可変速モータ43を図の矢印方向に回転させる
と、これに結合する駆動ギヤ40A,40Bは互いに同
方向に回転するようになる。
【0027】すると、回転中のドラム30A側でトラク
ションコイル42Aの一端に駆動ギヤ40Aによる張力
が作用する。その結果、トラクションコイル42Aはド
ラム30Aに巻き付き従動ギヤ41Aに回転トルクを発
生する。従って、従動ギヤ41Aはドラム30Aと同方
向に回転して出力軸4を駆動させることになる。
【0028】ここで、トラクションコイル42Aから従
動ギヤ41Aに作用する力Fは、駆動ギヤ40Aによる
張力をfとして、F=f×e2πμnで与えられる(e;
自然対数、μ;トラクションコイルとドラムとの摩擦係
数、n;トラクションコイルの巻数)。なお、駆動ギヤ
40A,40Bはドラム30Aより低速で回転されるの
であり、このためトラクションコイル42Aはドラム3
0Aに対して凝着動作と解除動作を繰り返して出力軸4
に動力をパルス状に伝達することになる。従って、出力
軸4は可変速モータ43の速度に比例してその回転速度
を調整することができる。
【0029】ところで、出力軸4の動作中、他方のドラ
ム30Bはその外周に装備されるトラクションコイル4
2Bが駆動ギヤ40Bと従動ギヤ41Bからその両端に
同方向の力を受けて該ドラム30Bに巻き付かないため
静止状態を維持するが、可変速モータ43の減速時には
従動ギヤ41A,41Bの回転数が駆動ギヤ40A,4
0Bの回転数を上回り、一方のドラム30Aから従動ギ
ヤ41Aへの動力伝達がなくなる一方、他方のドラム3
0Bはトラクションコイル42Bが従動ギヤ41Bによ
る張力でその外周に巻き付きようになることから一方の
ドラム30Aと同方向に回転し始めるようになる。そし
て、このとき制動部13による外輪14の回転規制を解
除するのであり、このため外輪14はドラム30Bの動
力を得てフライホイール部のキャリヤ8と逆向きに回転
し、そのキャリヤ8を各遊星車9を介して増速させるよ
う作用する。
【0030】つまり、可変速モータ43の減速時には動
力回生部を構成するドラム30Bと外輪14にて出力軸
4の動力がフライホイール部2に回生され、このときの
反力が出力軸4の制動力として作用することになる。そ
して、可変速モータ43への電力供給を断つの同時に制
動部13で外輪14を固定することにより、出力軸4を
停止させることができる。一方、出力軸4を逆転させる
には可変速モータ43を逆転させるとともに、制動部1
3による外輪14の回転規制を解除させる。すると、遊
星車9の自転運動が外輪14の回転運動に転換し、その
外輪14がキャリヤ8と同方向に回転しつつドラム30
Bを一方のドラム30Aと逆向きに回転させることにな
る。そして、このときドラム30Bには駆動ギヤ40B
による張力の作用を以てトラクションコイル42Bが巻
き付き、その結果として出力軸4が逆転することにな
る。このように、本願に係る動力伝達装置によれば、可
変速モータ43の動作制御を以て出力軸4の速度や伝達
トルク並びに回転方向などを適正にコントロールするこ
とができ、しかも制動時にはその駆動力をフライホイー
ル部2に回生して、その動力を出力軸4への伝達動力し
て再利用することができる。
【0031】ここで、本願動力伝達装置を自動車に搭載
して使用するには、フライホイール部2のキャリヤ8の
回転軸7を鉛直状にして駆動源1としてのエンジンのク
ランク軸に結合し、本装置のケーシング5,31を例え
ばジンバルを介して車体に取り付ける。これにより、ジ
ャイロモーメントが自動車の走行性能に悪影響を及ぼす
ことを防止できる。また、可変速モータ43は自動車の
アクセルやブレーキの操作量に応答して加減速するよう
にし、制動部13は可変速モータ43やドラム30Bの
状態に応じて開閉動作を繰り返すよう制御回路を構成す
る。そして、駆動源1としてのエンジンの始動時、その
動力はフライホイール部2に蓄えられ、このフライホイ
ール部2を経て一方のドラム30Aが空転する。発進時
にはアクセルを踏み込むと、可変速モータ43が所定方
向に回転し、アクセルの操作量に比例した速度まで加速
する。これにより、一方のドラム30Aにトラクション
コイル42Aが巻き付き、その回転トルクが可変速モー
タ43の加速動作に比例した速度で出力軸4へと伝達さ
れる。その結果、出力軸4に結合される車軸を通じて自
動車の駆動輪が駆動し、自動車は所定速度まで加速す
る。
【0032】走行中、ブレーキペダルを踏み込めば、制
動部13による外輪14の回転規制が解除されつつ可変
速モータ43がその操作量に比例した速度まで減速され
る。すると、従動ギヤ41A,41Bが駆動ギヤ40
A,40Bの回転速度を上回るため、ドラム30A側か
ら出力軸4への動力伝達がトラクションコイル42Aの
解除動作を以て断たれるようになる一方、他方のドラム
30Bはトラクションコイル42Bが従動ギヤ41Bに
よる張力を以て巻き付くことから一方のドラム30Aと
同方向に回転され、外輪14をフライホイール部のキャ
リヤ8と逆向きに回転させることになる。その結果、キ
ャリヤ8が増速して出力軸4側の動力がフライホイール
部2に回生されることになる。そして、その外輪14を
回転させる力が出力軸4の制動力となり、このため出力
軸4は減速し、制動部13による外輪14の回転規制を
以て完全に停止される。なお、自動車のシフトレバーの
操作で可変速モータ43が逆転するよう制御回路を構成
することにより、バック走行も可能となる。
【0033】以上、本発明に係る動力伝達装置について
説明したが、遊星車と外輪はフリクションローラ式にす
るほか、それらを歯車によるかみ合い接触式にすること
もできる。また、一対のドラム30A,30Bに加え、
同一作用を及ぼすもう一対のドラムを装備するなどして
多数対のドラム構造としてもよく、これにより出力側へ
の伝導効率を一層向上させることができる。なお、多数
対のドラム構造とはドラム30A,30Bをそれぞれ複
数ずつ設けるものであり、それらの両側には駆動ギヤと
従動ギヤがそれぞれ個別に装備されることになる。
【0034】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば駆動源の動力をフライホイール部に蓄えつつ伝動
部(一対のドラムを有する構造部)を通じて出力軸に伝
達するようにしているため、駆動源を可及的小型にして
最も効率の良い運転域で使用可能となり、伝導部ではフ
ライホイール部により回転される一方のドラムにトラク
ションコイルを巻き付けてその動力を出力側に伝達する
ようにしてため伝達効率が良く、このためエネルギ消費
率が上がり大きな加速性能も得られる。しかも、そのト
ラクションコイルの巻き付け操作を可変速モータで行う
ようにしていることから、その可変速モータの制御を以
て出力側の速度や伝達トルクを容易且つ円滑に変化させ
ることができる。更に、制動時には出力軸で他方のドラ
ムを回転させ、そのドラムで外輪を回転させてフライホ
イール部に出力側の動力を回生するようにしていること
からエネルギ損失が少なく、回生した動力を出力軸への
伝達動力として再利用できるから駆動源の負荷を軽減す
ることができる。
【0035】また、各ドラムの外周に突起部を形成して
いることからドラムとトラクションコイルとのトラクシ
ョン係数が上がり、しかも従動ギヤにドラムとトラクシ
ョンコイルの間に介在される転動ピンを支持するための
伝導スリーブを設けているため出力側への伝動率を大幅
に向上できる。
【0036】更に、フライホイール部のキャリヤの回転
軸とドラムの回転軸とを直交させているため、車両など
の走行体に用いる場合、走行体がフライホイール部のジ
ャイロ効果を受けないようキャリヤの回転軸を鉛直方向
に向けて搭載するなどして走行体の運動性能を維持でき
る。
【0037】また、フライホイール部を構成する遊星車
をフリクション構造にして外輪に内接していることか
ら、その回転運動が損なわれにくく、且つ騒音の発生も
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力伝達装置を示した構造図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【図3】外輪の部分拡大断面図
【図4】伝導部の正面概略図
【図5】一方のドラムを示した部分断面図
【図6】伝導スリーブを部分的に破断して示した斜視図
【図7】図5におけるC−C線断面図
【図8】図7における部分拡大図
【図9】図5におけるD−D線断面図
【図10】図9における部分拡大図
【図11】本願に係る動力伝達装置の動力伝達系統を示
した概略図
【符号の説明】
1 駆動源 2 フライホイール部 3 伝導部 4 出力軸 7 回転軸 8 キャリヤ 9 遊星車 13 制動部 14 外輪 16 摩擦リング 18 ガイド溝 30A,30B ドラム 40A,40B 駆動ギヤ 41A,41B 従動ギヤ 42A,42B トラクションコイル 43 可変速モータ 47a 小径部 50 伝導スリーブ 51 転動ピン 54 スリット 56 ピン 57 突起部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源の動力をフライホイール部に蓄え
    つつ出力軸に伝達するようにした動力伝達装置であっ
    て、前記フライホイール部は駆動源の動力を得て所定方
    向に回転するキャリヤと該キャリヤの軸線周りでその部
    位に等間隔にして回転自在に支持される遊星車とにより
    構成し、このフライホイール部の周囲に前記キャリヤの
    軸線を中心として各遊星車が内接する外輪を回転自在に
    して設けるとともに、この外輪に近接して該外輪を回転
    規制する制動部を設け、更に前記出力軸の近隣にはその
    軸線に沿って一対のドラムを回転自在にして並設し、そ
    の各ドラムの軸線を中心にして各々その一端側に可変速
    モータの動力を得て互いに同方向に回転する駆動ギヤを
    設けるとともに他端側には各々前記出力軸に結合して互
    いに同方向に回転する従動ギヤを設け、更にそれら各ド
    ラムの外周に張力の作用を以て巻き付く互いに巻方向が
    逆向きな螺旋状のトラクションコイルを装備し、その一
    端を駆動ギヤに係止するとともに他端を従動ギヤに係止
    し、このうち一方のドラムはその外周に装備したトラク
    ションコイルの従動ギヤ側の一端を巻き取る方向に回転
    するようにして前記キャリヤの回転軸に結合し、また他
    方のドラムは前記外輪と相互に回転可能に結合して該ド
    ラムがその外周に設けられるトラクションコイルの巻き
    付きを以て一方のドラムと同方向に回転するとき前記制
    動部による外輪の回転規制が解除されて該外輪がキャリ
    ヤと逆向き回転されるようにして成る動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 各ドラムの従動ギヤ側を小径部として該
    小径部に隣接する大径部の部位にその全周に亙って突起
    部を所定の間隔で設け、前記従動ギヤには小径部に回転
    自在に嵌合する伝動スリーブを連設するとともに該伝動
    スリーブにスリットを周方向で所定の間隔に形成して、
    その各スリットに前記小径部とトラクションコイルとに
    接触する転動ピンを収容した請求項1記載の動力伝達装
    置。
  3. 【請求項3】 キャリヤの回転軸を一方のドラムの回転
    軸と直交状態にして結合した請求項1記載の動力伝達装
    置。
  4. 【請求項4】 遊星車の外周に摩擦リングを鍔状にして
    固定し、外輪の内周面に前記摩擦リングが転がり接触す
    る環状のガイド溝を形成した請求項1記載の動力伝達装
    置。
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