JP3323120B2 - 端子カバー付き電磁接触器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、端子カバー付き
電磁接触器に関し、特にフィンガープロテクション機能
を有する端子カバーの構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１４は、電磁接触器の内部構造を示し
ている。電磁接触器はアークボックス１内に、複数の鉄
板からなる消弧装置２と、それぞれ接点を有する可動接
触子３と固定接触子４とからなる接点開閉装置５を内蔵
し、相間の絶縁性を保つとともに消弧装置２や接点開閉
装置５にて発生したアークガスを極力ボックス内部にと
どめ、アークボックス１によって外部との絶縁性を保っ
ている。アークボックス１の前面１ａにはアークガスの
吹き出し孔６が開口している。

【０００３】アークボックス１には、ボックス内部で固
定接触子４と導通接続され、ボックス側面（端子突出壁
面）１ｂよりボックス外部に突出し、電磁接触器への電
線の接続部として使用される平板端子８が設けられてい
る。平板端子８は各固定接触子４毎に所定間隔をおいて
配置され、各平板端子８には平板端子８に電線を導通接
続するための端子ねじ９が締結される。

【０００４】ボックス側面１ｂには、隣り合う平板端子
８の間隙を絶縁遮断し、アークボックス１の外部におい
て相間の絶縁性を保つ絶縁バリヤ１０が突出形成されて
いる。アークボックス１は電磁石装置を収納するベース
１１にねじ１２（図１５参照）によって固定接続されて
いる。

【０００５】図１５に示されているように、アークボッ
クス１の前面１ａには樹脂製の平板状の端子カバー（フ
ロントカバー）１３が放熱性のよい金属製の脚片１４と
ねじ１２によってボックス前面１ａより前方に浮かされ
た状態で取り付けられている。端子カバー１３は、ねじ
１２によってアークボックス１にねじ止めされ、電磁接
触器全体の外形寸法を十分上回る大きさを有して両側
（上下端）がそれぞれボックス側面１ｂより外方に延出
し、端子配置部の前方を覆うようになっている。

【０００６】従来の端子カバー付き電磁接触器は、上述
のように構成され、接点開閉装置５の開閉により可動接
触子３と固定接触子４の間に発生したアークを消弧装置
２の鉄板間で分断することで、接点間の電流を遮断す
る。その際にアークによる熱エネルギは消弧装置２を通
してアークボックス１に蓄えられ、このためアークボッ
クス１の表面温度はかなりの高温となる。

【０００７】このことに対処してアークボックス１は高
価な耐熱性の樹脂材料により構成される。アークボック
ス１の熱の流れを分断するため、端子カバー１３はアー
クボックス１の前面１ａから浮かし、放熱性のよい金属
製の脚片１４によりアークボックス１に固定されてい
る。

【０００８】また、従来の端子カバー付き電磁接触器で
は、ボックス前面１ａに開口しているアークガスの吹き
出し孔６より吹き出るアークガスが端子カバー１３の板
面に垂直に吹き付けられることになるから、端子カバー
１３はボックス前面１ａからの距離を十分にとって離さ
れている。

【０００９】図１６は端子カバー付き電磁接触器の他の
従来例を示している。この端子カバー付き電磁接触器
は、クランプボックス１５と、クランプボックス１５の
天井部にねじ係合した締め付けねじ１６と、クランプボ
ックス１５内において締め付けねじ１６の先端に取り付
けられてクランプボックス１５の底部との間に平板端子
８と電線を挟み込むクランプ片１７とによるボックス式
クランプ１８を有し、ボックス式クランプ１８によって
平板端子８と電線とを挟み込み式に導通接続するように
なっている。

【００１０】平板端子８に取り付けられたボックス式ク
ランプ１８は箱形のはめ込み式の端子カバー１９により
覆われる。この端子カバー付き電磁接触器では、アーク
ガスの吹き出し孔６は平板端子８の突出面であるボック
ス側面１ｂに開口しており、端子カバー１９は図１６に
おいて破線ａにより示される部位より下方に取り付けら
れる。

【００１１】端子カバー付き電磁接触器のその他の従来
例として、特開平５−３４７１１８号公報、特開平８−
１５３４３２号公報、特開平６−１２４６１８号公報に
示されたものがある。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】図１５に示されている
ような従来の端子カバー付き電磁接触器では、アークの
熱によって高温となるボックス前面１ａに端子カバー１
３が対向配置されるから、端子カバー１３に熱が伝わり
易く、端子カバー１３はボックス前面１ａから浮かし、
耐熱性に優れた樹脂を使用しなければならない。

【００１３】また、アークガスの吹き出し孔６が端子カ
バー１３と対向する位置にあるから、アークガスによる
端子カバー１３の熱損傷を防ぐためにも、高価な耐熱樹
脂材料を使用するか、もしくは端子カバー１３をボック
ス前面１ａから十分離して設置する必要が生じ、端子カ
バー１３がボックス前面１ａから離されるほど、端子カ
バー取付後の電磁接触器の奥行寸法を大きく取らなけれ
ばならないと云う問題点が生じる。

【００１４】端子カバー１３は電磁接触器へ電線を接続
した後、電磁接触器全体を覆うように取り付けられるか
ら、取付作業は配電盤上に限られ、また端子ねじ９の増
締め作業、接点の消耗確認等、設置後のメンテナンス作
業の度に端子カバー１３を工具を使用して取り外さなけ
ればならず、多くの電磁接触器が設置された配電盤で
は、かなり負担の大きい作業となる。

【００１５】また、この端子カバー付き電磁接触器で
は、端子カバー１３が透明板により構成されることによ
り、外側から目視点検することができるようになるが、
端子カバー１３の汚れ、変色などの経時変化により、外
側からの目視点検ができない場合も想定される。

【００１６】また、この端子カバー付き電磁接触器で
は、端子カバー１３が電磁接触器全体を覆うので、主回
路、制御回路などの個別回路ごとの保護を行うことがで
きない。これは、端子カバー１３が取り外された状態で
は、無防備を意味し、作業目的以外の回路で電源の切り
忘れがあった場合に危険である。

【００１７】また、電磁接触器は制御用補助接点ユニッ
トの追加など拡張性を求められる機器であるが、その際
には補助接点の配置位置は端子カバー１３の保護範囲外
にはみ出すことになる。拡張性まで考慮して端子カバー
１３の大きさを決めた場合、逆に通常の場合には不必要
に大きな端子カバー１３を取り付けることになり、取扱
性が極めて悪くなるという問題点がある。

【００１８】図１６に示されているような端子カバー付
き電磁接触器では、奥行寸法の問題点は解決されるが、
アークガスの吹き出し孔６がボックス側面１ｂに開口し
て端子カバー１９により覆われることがなく、端子カバ
ー１９の外側に位置して外部に露呈しているから、手前
からの感電防止は不充分であると考えられる。

【００１９】また、端子カバー１９はボックス式クラン
プ１８の入れ物としての意味が強く、接続する電線の先
端に装着された圧着端子まで含めて保護することができ
ないと云う問題点がある。

【００２０】また、端子カバー１９の取付作業は電磁接
触器の配電盤への取付以前に行われ、配電盤上での取り
外しは困難となり、しかも手前よりの電線接続確認は電
磁接触器の斜め方向からとなる。

【００２１】また、この端子カバー付き電磁接触器で
は、目視点検という点では不利で、電線の接続について
も配電盤取付時の上下方向からしかできない。通常、電
磁接触器の上下には電線を通すダクトが設置されるの
で、作業スペースが狭く、この方向からの作業性は極め
て悪いという問題点がある。

【００２２】特開平５−３４７１１８号公報に開示され
ている電磁接触器の端子カバー（保護箱）は、端子ねじ
とねじ係合することにより端子部分に固定されて端子部
分を絶縁覆蓋するが、アークガスの吹き出しに対する保
護については考慮されていない。

【００２３】特開平８−１５３４３２号公報に開示され
た端子構造では、蓋体に薄肉ヒンジによって折曲げ可能
な端子カバーを一体に設け、端子カバーによって端子部
を開閉可能に覆蓋するが、開閉頻度が多くなると、この
薄肉ヒンジに部が破損する虞れがあり、これも電磁接触
器におけるアークガスの吹き出しに対する保護について
は考慮されていない。

【００２４】また、特開平８−１５３４３２号公報、特
開平６−１２４６１８号公報には、蓋体あるいは端子カ
バーを本体に対してスライドさせることにより端子部を
開閉する端子構造が示されているが、蓋体あるいは端子
カバーを移動させるスペースを周囲に設けなければなら
ず、これも電磁接触器におけるアークガスの吹き出しに
対する保護については考慮されていない。

【００２５】この発明は、上述の如き問題点を解消する
ためになされたもので、大きな空間を確保せずとも熱に
よる影響が少なく、アークガスの吹き出しに対する保護
や側面からの保護まで含めたフィンガープロテクション
を確実に行い、また電磁接触器への配線性、メンテナン
ス時の点検性、作業性に優れ、安全性を損なわない範囲
で可能な限り小形の端子カバーを得ることができ、また
同一面内の２段配置等、複雑に配置された端子部材を個
別に保護し、しかも配線性、メンテナンス時の点検性、
作業性に優れた端子カバーを有する電磁接触器を得るこ
とを目的とする。

【００２６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明による端子カバー付き電磁接触器は、複
数の鉄板からなる消弧装置を備え、それぞれ接点を有す
る可動接触子および固定接触子からなる接点開閉装置を
覆うように配置されたアークボックスと、前記固定接触
子と導通接続され前記アークボックスから外方へ突出し
た複数個の端子部材と、前記アークボックスに形成され
たアークガス吹き出し孔と、前記端子部材を覆う端子カ
バーとを有する端子カバー付き電磁接触器において、前
記端子部材が前記アークボックスから外方へ突出する端
子突出壁面に前記アークガス吹き出し孔が開口形成さ
れ、前記端子カバーは、前記端子部材の前方および両側
方を一括して覆う門形形状をなし、前記アークガス吹き
出し孔を門形形状の内側に位置させる形態で、前記アー
クボックスの端子突出壁面部に開閉可能に取り付けられ
ているとともに、前記アークボックスの端子突出壁面に
部分的に突当てられ、前記アークボックスとの突当て部
に断熱空隙が設けられているものである。

【００２７】

【００２８】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーが閉じ位置において前記端子部材
と対向する部分に端子ねじの締め付け工具を通すことが
できる大きさの開放孔が開口形成され、前記端子カバー
に前記開放孔を開閉するフロント扉が開閉可能に取り付
けられているものである。

【００２９】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記フロント扉が前記端子カバーに回動可能に取
り付けられているものである。

【００３０】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記フロント扉がスライド案内部に係合して前記
端子カバーにスライド可能に取り付けられているもので
ある。

【００３１】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記フロント扉が透明樹脂により構成されている
ものである。

【００３２】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーが、隣り合う端子部材の間隙を絶
縁遮断するために前記端子突出壁面に突出形成された絶
縁バリヤに形成されたスライド案内部にスライド可能に
係合し、抜き差し可能であるものである。

【００３３】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーが支持軸により前記アークボック
スの一つの外辺と平行な軸線周りに回動可能に取り付け
られているものである。

【００３４】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーが耳片状の係合片により前記支持
軸と係合し、前記係合片が前記アークボックスの外壁と
対向する面部に半球状突起が形成され、前記端子カバー
が閉じられた位置にて前記半球状突起が前記外壁に圧接
し、前記端子カバーが開かれた位置にて前記半球状突起
が前記外壁に圧接する範囲より離れ、前記アークボック
スの角部に当たって前記端子カバーを開位置に保持する
よう構成されているものである。

【００３５】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーがスライド案内部により前記アー
クボックスにスライド可能に係合しているものである。

【００３６】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子部材が前記アークボックスの両側に設け
られ、前記端子カバーは前記アークボックスの両側に個
別に設けられ、両端子カバーのスライド案内部が互い違
いに設けられているものである。

【００３７】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーにスライド方向に長いボルト通し
孔が形成され、前記ボルト通し孔に通されたねじにより
前記端子カバーが任意のスライド位置にて前記アークボ
ックスに固定されるよう構成されているものである。

【００３８】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、前記端子カバーがクリックストップ機構により段
階的位置にて前記アークボックスに係止されるものであ
る。

【００３９】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、端子部材が同一面内に前後２段に配置された端子
カバー付き電磁接触器において、最も外側に位置する前
後２段の端子部材に対して後段の端子部材より奥の位置
に前記端子部材と平行な支持軸を有し、前後２段の前記
端子部材の前方および側方を一括して覆う端子カバーが
前記支持軸に係合し、前記端子カバーが左右方向に回転
可能であるものである。

【００４０】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、端子部材が同一面内に前後２段に配置された端子
カバー付き電磁接触器において、最も外側に位置する前
後２段の端子部材に対して前段の端子部材より手前の位
置および後段の前記端子部材より奥の位置にそれぞれ端
子部材と直交する支持軸を有し、前後２段の前記端子部
材の前方および側方を一括して覆う端子カバーが前記支
持軸に係合し、前記端子カバーが左右方向に回転可能で
あるものである。

【００４１】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、端子部材が同一面内に前後２段に配置された端子
カバー付き電磁接触器において、最も外側に位置する前
後２段の端子部材に対して平行なスライド案内部が設け
られ、前後２段の前記端子部材の前方および側方を一括
して覆う端子カバーが前記スライド案内部に係合してス
ライド可能に設けられているものである。

【００４２】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器は、電磁接触器本体の側面部に制御用補助接点ユニッ
トが設けられ、当該制御用補助接点ユニットに専用の端
子カバーが開閉可能に設けられているものである。

【００４３】

【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照してこの発
明に係る端子カバー付き電磁接触器の実施の形態を詳細
に説明する。なお、以下に説明するこの発明の実施の形
態において上述の従来例と同一構成の部分は、上述の従
来例に付した符号と同一の符号を付してその説明を省略
する。

【００４４】実施の形態１．図１、図２はこの発明によ
る端子カバー付き電磁接触器の実施の形態１を示してい
る。アークガスの吹き出し孔６は、ボックス前面１ａに
代えて、平板端子８の突出壁面であるボックス側面１ｂ
に開口している。

【００４５】端子カバー２０は、電気絶縁性、耐熱性に
優れた樹脂製の成形品であり、平板端子８の配置部前方
と左右両側方とを覆う門形形状をなしており、カバー内
側を２個の内部隔壁２１によりアークボックス１の絶縁
バリヤ１０の仕切間隔と同等に仕切られている。内部隔
壁２１にはそれぞれ絶縁バリヤ１０の側面に平板端子８
の延出方向と同方向に延在形成されたスライド係合溝１
０ａとスライド可能に係合する係合突条２２が端子カバ
ー着脱方向（平板端子８の延出方向と同方向）に形成さ
れている。

【００４６】端子カバー２０は、各内部隔壁２１の係合
突条２２が絶縁バリヤ１０のスライド係合溝１０ａに抜
き差し可能に係合することにより、アークボックス１に
着脱可能に取り付けられ、カバー前面２０ａはボックス
前面１ａと同一面をなす。

【００４７】すなわち、端子カバー２０は平板端子配置
部の前方および左右両側方を覆い、アークボックス１の
前面１ａと同一の高さ（同一高さ面）となるように取付
けられる。このことと、アークガスの吹き出し孔６がボ
ックス側面１ｂに開口していることにより、吹き出し孔
６も端子カバー２０の内側（内部）に位置し、端子カバ
ー２０により覆われることになる。

【００４８】要約すれば、端子カバー２０は、平板端子
８の前方および両側方を一括して覆う門形形状をなし、
端子突出壁面部であるボックス側面１ｂにアークガス吹
き出し孔６をカバー内部に含む形態で、アークボックス
１に開閉可能に取り付けられる。

【００４９】端子カバー２０には係止突起２３が形成さ
れており、端子カバー２０の最差し込み位置、すなわち
閉じ位置（正規の端子カバー位置）にて係止突起２３が
絶縁バリヤ１０に形成された係合溝１０ｂにクリックス
トップ式に係合することにより、端子カバー２０が正規
の端子カバー位置に係止される。

【００５０】端子カバー２０がボックス側面１ｂと対向
する端面部には端面スペーサ２４が一体成形されてい
る。これにより、閉じ位置にて端子カバー２０のアーク
ボックス側の端面が全て直接は接触せず、端面スペーサ
２４の厚み分の断熱空隙が端子カバー２０とボックス側
面１ｂとの間に画定される。

【００５１】換言すれば、端子カバー２０はボックス側
面１ｂに端面スペーサ２４によって部分的に突当てら
れ、アークボックス１との突当て部に断熱空隙が設けら
れる。

【００５２】端子カバー２０の前面２０ａには、端子ね
じ９の頭部より大きく、端子ねじ９の締め付け工具を通
すことができる大きさの開放孔（アクセス孔）２５が各
平板端子８毎に開口している。また端子カバー２０の前
面２０ａには開放孔２５を開閉する透明プラスチックス
板製のフロント扉２６が設けられている。

【００５３】フロント扉２６は、フロント扉２６の両側
に突出形成された支持軸２７が端子カバー２０の前面２
０ａに突出形成された軸受ブラケット２８に係合するこ
とにより、回転扉をなし、開放孔２５を塞ぐ閉扉位置で
は、端子カバー２０の前面２０ａに係止されたロック爪
２９と着脱可能に逆止係合し、閉扉位置に固定される。

【００５４】上述のような端子カバー付き電磁接触器で
は、端子カバー２０は、係合溝１０ａに沿って絶縁バリ
ヤ１０に抜き差し式に取り付けられ、係止突起２３が絶
縁バリヤ１０の係合溝１０ｂにクリックストップ式に係
合することにより、正規の端子カバー位置に固定される
ので、端子カバー２０の着脱は工具を必要とすることな
く簡単に行われるようになる。

【００５５】係止突起２３が絶縁バリヤ１０の係合溝１
０ｂにクリックストップ式に係合することにより端子カ
バー２０は閉じ位置にロックされる。この閉じ位置で
は、端子カバー２０は端面スペーサ２４をもってアーク
ボックス１の壁面１ｂに突き当てられるから、端面スペ
ーサ２４の厚み分の断熱空隙が端子カバー２０とボック
ス側面１ｂとの間に画定され、アークボックス１の熱が
端子カバー２０に伝わり難くなり、端子カバー２０が熱
損傷を受け難くなる。

【００５６】また、端子カバー２０がアークボックス１
の壁面１ｂに対向する面が端子カバー２０の端面であ
り、これの面積が小さく、端子カバー２０の固定とも直
接関係がないことも、アークボックス１の熱が端子カバ
ー２０に伝わり難くすることに関して有利に働いてい
る。

【００５７】端子カバー２０はアークボックス１の前面
と同一の高さまで保護するので、端子突出面であるボッ
クス側面１ｂに開口しているアークガスの吹き出し孔６
が端子カバー２０の内側に取り込まれ、アークガスの吹
き出しに対する保護がなされる。吹き出し孔６より吹き
出るアークガスは端子カバー２０の板面に沿って流れる
ので、これが板面に垂直に吹き付けられる場合とは異な
り、端子カバー２０を部分的に傷めることがない。

【００５８】また、平板端子８に対し、前面からのフィ
ンガープロテクションだけでなく、端子カバー２０によ
り隣り合う平板端子８を一括して覆い、両側に位置する
平板端子８の側面までその範囲を広げているので、側面
からのフィンガープロテクションについても万全の機能
が得られる。

【００５９】また、端子カバー２０はボックス前面１ａ
と同一の平面内でスライド開閉（着脱）するから、配電
盤の奥行きに対して何らかの規制があり、手前に端子カ
バーを動かせないような場合に有効なものになる。

【００６０】また、端子カバー２０の前面２０ａに設け
られた開放孔２５からは端子ねじ９の状態が確認でき、
端子ねじ９の緩みなどが確認された場合にはドライバー
あるいはレンチによる増締め程度の作業は開放孔２５を
通して簡単に行うことができる。

【００６１】これらの作業時には、フロント扉２６をロ
ック爪２９から外し、支持軸２７を中心としてフロント
扉２６を回転させ、アークボックス１側に倒しておくこ
とができ、配線との絡みなど開閉の障害となる要素が全
くないから、作業性としては理想的な手順で行うことが
できるようになる。

【００６２】フロント扉２６が透明板により構成される
ことにより、閉めたままでも目視点検可能であるが、使
用環境によっては埃などによるフロント扉２のが汚れな
どで、見えにくくなる場合もあるので、回転による扉開
閉で、前面を開放できることは、可視性を求める機能と
しては最も確実なものになる。

【００６３】実施の形態２．図３、図４はこの発明によ
る端子カバー付き電磁接触器の実施の形態２を示してい
る。なお、図３、図４において、図１、図２に示されて
いるものと同等あるいは同一の構成要件には、図１、図
２に付けた符号と同一の符号を付けてその説明を省略す
る。

【００６４】実施の形態２が実施の形態１と異なってい
るところは、フロント扉２６が回転開閉式からスライド
開閉式に変更されている点である。

【００６５】端子カバー２０の前面２０ａの両側にはそ
れぞれ平板端子８の延出方向と同方向に延在するサイド
スライドガイド３０が形成されている。両側のサイドス
ライドガイド３０にはフロント扉２６の両側端がスライ
ド可能に係合している。フロント扉２６の裏面には開放
孔２５に係合してフロント扉２６のスライド範囲を規制
するストッパ突起３１が設けられている。

【００６６】上述のような構成による端子カバー付き電
磁接触器でも、上述した実施の形態１のものと同等の作
用、効果が得られる。

【００６７】この実施の形態のものでも、開放孔２５か
らは端子ねじ９の状態を確認することができ、端子ねじ
９の増締め程度の作業は開放孔２５を通して簡単に行う
ことができる。

【００６８】これらの作業時には、フロント扉２６をス
ライドさせて開放孔２５を開いた状態で行うことがで
き、フロント扉２６をスライド移動に際し、配線とのか
らみなど開閉の障害となる要素が全くない。このように
スライド移動による開閉でカバー前面を開放できる点は
可視性を求める機能としては最も確実なものになる。

【００６９】実施の形態３．図５は、この発明による端
子カバー付き電磁接触器の実施の形態３を示している。
なお、図５において、図１に示されているものと同等あ
るいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同一の
符号を付けてその説明を省略する。

【００７０】端子カバー４０は、電気絶縁性に優れた樹
脂製成形品により構成されており、平板端子８の配置部
前方と左右両側方とを覆う門形断面形状をなしている。
端子カバー４０の両側にはそれぞれ金属製の耳片状の取
付片４１が取り付けられており、取付片４１の軸孔４２
に、アークボックス１の両側に形成された支持軸１ｃが
係合することにより、端子カバー４０が、支持軸１ｃの
水平な中心軸線周りに、跳ね上げ式に回動可能に取り付
けられる。この取り付けにより、端子カバー４０は、ア
ークボックス１の一つの外辺（左右方向の水平辺）と平
行な軸線周りに回動可能となる。

【００７１】端子カバー４０は、これのアークボックス
１側の端面がボックス側面１ｂに当接する閉じ位置で
は、カバー前面４０ａがボックス前面１ａと面一（同一
の高さ）になり、ボックス側面１ｂに開口しているアー
クガスの吹き出し孔６を含んで端子配置部を覆蓋する。

【００７２】この閉じ位置では、取付片４１に設けられ
た半球状突起４３がアークボックス１の側面に押し付け
られることにより、端子カバー４０の閉じ位置でのロッ
クがなされる。また、端子カバー４０が跳ね上げられた
開き位置にある状態では、半球状突起４３がアークボッ
クス１の角部に当たって引っかかり式に端子カバー４０
を開き位置に保持する。

【００７３】上述のような構成による端子カバー付き電
磁接触器では、アークボックス１の支持軸１ｃを中心に
端子カバー４０全体が跳ね上げ回転し、平板端子８の配
置部の前方および左右両側方が全て開放される。

【００７４】この開き位置では、半球状突起４３がアー
クボックス１の角部に当たって引っかかり式に端子カバ
ー４０が開き位置に保持されるから、両手を自由に使う
ことが可能になり、作業性が改善され、しかも開き位置
では平板端子８の配置部の前方および左右両側方が全て
開放されるから、端子カバーを取り外した場合と同様の
作業性となる。

【００７５】端子カバー４０が閉じられると、端子カバ
ー４０はボックス側面１ｂに開口しているアークガスの
吹き出し孔６を含んで端子配置部を覆蓋するから、アー
クガスの吹き出しに対する保護がなされる。この場合
も、吹き出し孔６より吹き出るアークガスは端子カバー
４０の板面に沿って流れるので、これが板面に垂直に吹
き付けられる場合とは異なり、端子カバー４０を部分的
に傷めることがない。

【００７６】実施の形態４．図６はこの発明による端子
カバー付き電磁接触器の実施の形態４を示している。な
お、図６においても、図１に示されているものと同等あ
るいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同一の
符号を付けてその説明を省略する。

【００７７】この実施の形態では、端子カバー５０は、
アークボックス１の両側にある端子配置部（電源側端子
配置部Ａと負荷側端子配置部Ｂ）の前方および左右両側
方を一括して覆蓋する構造になっている。端子カバー５
０は、上述の実施の形態のものと同様に、電気絶縁性に
優れた樹脂製成形品により構成されており、平板端子８
の配置部前方と左右両側方とを覆う門形断面形状をなし
ている。

【００７８】端子カバー５０には金属製の取付金具５１
が２個互いに隔置して取り付けられており、隔取付金具
５１の軸孔５２に、アークボックス１の電源側端子配置
部Ａ側と負荷側端子配置部Ｂ側に形成された支持軸１ｄ
が係合することにより、端子カバー５０が支持軸１ｄの
垂直な中心軸線周りに回動可能に取り付けられる。この
取り付けにより、端子カバー５０は、アークボックス１
の一つの外辺（左側垂直辺）と平行な軸線周りに回動可
能となる。

【００７９】端子カバー５０は、閉じ位置では、カバー
前面５０ａがボックス前面１ａと面一（同一の高さ）に
なり、ボックス側面１ｂに開口しているアークガスの吹
き出し孔６を含んで電源側端子配置部Ａと負荷側端子配
置部Ｂを覆蓋する。端子カバー５０が閉じ位置において
ボックス側面１ｂに重なる部分には放熱用の開口５３が
明けられている。

【００８０】上述のような構成による端子カバー付き電
磁接触器では、アークボックス１の支持軸１ｄを中心に
端子カバー５０全体が回転し、平板端子８の電源側端子
配置部Ａと負荷側端子配置部Ｂのそれぞれの前方および
左右両側方が全て開放され、端子カバーを取り外した場
合と同様の作業性となる。

【００８１】この実施の形態でも、端子カバー５０が閉
じられると、端子カバー５０はボックス側面１ｂに開口
しているアークガスの吹き出し孔６を含んで端子配置部
を覆蓋するから、アークガスの吹き出しに対する保護が
なされる。この場合も、吹き出し孔６より吹き出るアー
クガスは端子カバー５０の板面に沿って流れるので、こ
れが板面に垂直に吹き付けられる場合とは異なり、端子
カバー５０を部分的に傷めることがない。

【００８２】また、この実施の形態では、端子カバー５
０の回転方向が盤取付時の左右方向（垂直軸線周り）で
あることにより、一旦開いた端子カバー５０が自重で戻
ることはなく、端子カバー５０が不用意に閉じることに
より作業に支障をきたすことはない。また、電源側端子
と負荷側端子を一括して保護するようにしたので、同一
の回路が一度に点検可能となる。

【００８３】実施の形態５．図７はこの発明による端子
カバー付き電磁接触器の実施の形態５を示している。な
お、図７においても、図１に示されているものと同等あ
るいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同一の
符号を付けてその説明を省略する。

【００８４】実施の形態５は実施の形態３のものと類似
しており、端子カバー６０は、電気絶縁性に優れた樹脂
製成形品により構成されており、平板端子８の配置部前
方と左右両側方とを覆う門形断面形状をなしている。

【００８５】端子カバー６０がアークボックス１の一つ
の稜線に対向する位置には金属製のヨーク形状の取付金
具６１が取り付けられており、取付金具６１の軸孔５２
に、アークボックス１の角部に形成された支持軸１ｅが
係合することにより、端子カバー６０が支持軸１ｅの中
心軸線周りにボックス前面１ａと同一平面上を回動可能
に取り付けられる。この取り付けにより、端子カバー６
０は、アークボックス１の一つの外辺（奥行き方向の水
平辺）と平行な軸線周りに回動可能となる。

【００８６】端子カバー４０は、これのアークボックス
１側の端面がボックス側面１ｂに当接する閉じ位置で
は、カバー前面６０ａがボックス前面１ａと面一（同一
の高さ）になり、ボックス側面１ｂに開口しているアー
クガスの吹き出し孔６を含んで端子配置部を覆蓋する。

【００８７】上述のような構成による端子カバー付き電
磁接触器では、アークボックス１の支持軸１ｅを中心に
端子カバー６０全体がボックス前面１ａと同一平面上を
回転し、平板端子８の配置部の前方および左右両側方が
全て開放される。この開き位置では、平板端子８の配置
部の前方および左右両側方が全て開放されるから、端子
カバーを取り外した場合と同様の作業性となる。

【００８８】端子カバー６０が閉じられると、端子カバ
ー６０はボックス側面１ｂに開口しているアークガスの
吹き出し孔６を含んで端子配置部を覆蓋するから、アー
クガスの吹き出しに対する保護がなされる。この場合
も、吹き出し孔６より吹き出るアークガスは端子カバー
６０の板面に沿って流れるので、これが板面に垂直に吹
き付けられる場合とは異なり、端子カバー６０を部分的
に傷めることがない。

【００８９】この実施の形態では、端子カバー６０が回
転するために電磁接触器のまわりに回転スペースが必要
となるが、その反面、端子カバー６０はボックス前面１
ａと同一の平面内で回転するから、配電盤の奥行きに対
して何らかの規制があり、手前に端子カバーを動かせな
いような場合に、特に有効なものになる。

【００９０】実施の形態６．図８はこの発明による端子
カバー付き電磁接触器の実施の形態６を示している。な
お、図８においても、図１に示されているものと同等あ
るいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同一の
符号を付けてその説明を省略する。

【００９１】この実施の形態では、電気絶縁樹脂製の左
右の端子カバー７０は、それぞれ、平板端子８の配置部
前方と左右両側方とを覆い、アークボックス１の前面１
ａと両側面を跨って配置されるよう、アークボックス１
より一回り大きい門形をなしている。

【００９２】端子カバー７０にはカバー両側よりアーク
ボックス１の側に延出したスライド支持片７１を含んで
案内突条７２が形成され、アークボックス１の両側面に
は案内突条７２がスライド可能に係合するスライド案内
溝１ｆが形成されている。この係合により、端子カバー
７０はアークボックス１に対して平板端子８の配置部を
開閉する方向にスライド可能になっている。

【００９３】スライド支持片７１、案内突条７２、スラ
イド案内溝１ｆは、両側（電源側と負荷側）の端子カバ
ー７０のもので、互い違いになっている。これにより、
カバースライド方向寸法が同一のアークボックス１にお
いて、各端子カバー７０のスライド可能長が長くなる。
端子カバー７０にはスライド方向に長いボルト通し孔７
３が形成され、ボルト通し孔７３にはアークボックス１
にねじ止めされるねじ７４が係合している。

【００９４】これにより、端子カバー７０のスライド範
囲はボルト通し孔７３の長さにより規制され、ねじ７４
の締結によって端子カバー７０はスライド範囲内の任意
の位置で固定される。

【００９５】端子カバー７０は、アークボックス１より
端子配置部に出されることにより、端子配置部を覆蓋
し、アークボックス１側に引き込まれ、アークボックス
１にかぶさることにより、端子配置部の前方および左右
両側方を開放する。

【００９６】この実施の形態でも、端子カバー７０が閉
じられると、端子カバー７０はボックス側面１ｂに開口
しているアークガスの吹き出し孔６を含んで端子配置部
を覆蓋するから、アークガスの吹き出しに対する保護が
なされる。

【００９７】端子カバー７０はアークボックス１にかぶ
さることにより、端子配置部の前方および左右両側方を
開放するから、端子カバー７０によって製品外形寸法が
変化しない。これにより、電磁接触器のまわりに余分な
スペースを確保する必要性は生じない。

【００９８】また、スライド支持片７１、案内突条７
２、スライド案内溝１ｆが電源側の端子カバー７０と負
荷側の端子カバー７０のもので、互い違いになっていて
重ならないようになっているから、端子カバー７０のス
ライド可能範囲が広がり、その分、大きな端子カバー７
０の設置が可能となり、電線の先端に装着する圧着端子
もかなり大きなものまで保護できるようになる。

【００９９】また、端子カバー７０の固定はねじ７４に
より行われ、これのボルト通し孔７３が長孔であること
により、端子カバー７０はスライド範囲内の任意の位置
で固定することができるから、小さな圧着端子の場合に
も対応でき、圧着端子のサイズにより、端子カバー７０
による端子配置部の保護範囲を変えて外形寸法を最小に
保つことができる。

【０１００】実施の形態７．図９はこの発明による端子
カバー付き電磁接触器の実施の形態７を示している。な
お、図９においても、図１に示されているものと同等あ
るいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同一の
符号を付けてその説明を省略する。

【０１０１】この実施の形態では、電気絶縁樹脂製の端
子カバー８０は、実施の形態７のものと同様に、アーク
ボックス１の前面１ａと両側面を跨って配置されるよ
う、アークボックス１より一回り大きい門形をしたスラ
イド型カバーであり、アークボックス１の両側にある端
子配置部（電源側端子配置部Ａと負荷側端子配置部Ｂ）
の前方および左右両側方を一括して覆蓋する構造になっ
ている。

【０１０２】端子カバー８０の両側には案内突条８１が
形成され、アークボックス１の両側面には案内突条８１
がスライド可能に係合するスライド案内溝１ｇが形成さ
れ、この係合により、端子カバー８０はアークボックス
１に対して平板端子８の配置部を開閉する方向にスライ
ド可能になっている。

【０１０３】端子カバー８０は、中央位置において電源
側端子配置部Ａと負荷側端子配置部Ｂとを一括して覆蓋
し、電源側位置において負荷側端子配置部Ｂを開放し、
負荷側位置において電源側端子配置部Ａを開放する。

【０１０４】端子カバー８０には、ばね性を有するクリ
ックストップ片８２が、アークボックス１には、端子カ
バー８０の中央位置、電源側位置、負荷側位置の各位置
に対応するクリックストップ溝１ｈ、１ｉ、１ｊが形成
されている。

【０１０５】この実施の形態でも、端子カバー８０が閉
じられると、端子カバー８０はボックス側面ｂａに開口
しているアークガスの吹き出し孔６を含んで端子配置部
を覆蓋するから、アークガスの吹き出しに対する保護が
なされる。

【０１０６】上述のような端子カバー付き電磁接触器で
は、アークボックス１のスライド案内溝１ｇに沿って端
子カバー８０全体がスライド移動し、中央位置において
は電源側端子配置部Ａと負荷側端子配置部Ｂとを一括し
て覆蓋し、電源側位置においては負荷側端子配置部Ｂを
開放し、負荷側位置においては電源側端子配置部Ａを開
放し、この各位置が、クリックストップ片８２のクリッ
クストップ溝１ｈ、１ｉあるいは１ｊとの係合により、
安定維持される。

【０１０７】実施の形態８．図１０はこの発明による端
子カバー付き電磁接触器の実施の形態８を示している。
アークボックス１の外側位置には制御回路用の電線接続
部として使用される端子片９０が同一面内に前後２段に
配置されており、各端子片９０には端子ねじ９が螺合し
ている。端子片９０の配置部の側部には絶縁バリヤ９３
が形成されている。

【０１０８】端子片９０のための端子カバー９４は、端
子片９０の前方および左右両側方を覆い、前後２段の端
子９０に接続される電線をさけて前後を繋ぐように電気
絶縁樹脂により成形されている。この端子カバー９４
は、端子片９０とは垂直の向きに形成された係合片９５
に形成されている係合孔９６に、絶縁バリヤ９３と同一
面内で後段の端子片９０よりさらに奥に設置された端子
片９０と平行な支持軸９７が係合することにより、支持
軸９７の中心軸線周りに回動可能で、この回動により開
閉される。

【０１０９】上述のような端子カバー付き電磁接触器で
は、アークボックス１の外側に位置する制御回路用の端
子片９０を主回路用端子とは別の端子カバー９４によっ
て覆い、主回路用端子とは個別に保護している。

【０１１０】端子片９０に接続される電線は上下に伸
び、通常の手前に外すものでは下段の端子片９０に対し
て、上段の保護が下段の保護を兼ねる構造しかとれない
が、この端子カバー付き電磁接触器では、支持軸９７を
中心とした回転により、端子カバー９４を左右に動かす
ようにしたので、電線に妨げられずに下段の端子片９０
の保護まで確実に行うことができる。

【０１１１】実施の形態９．図１１はこの発明による端
子カバー付き電磁接触器の実施の形態９を示している。
なお、図１１において、図１０に示されているものと同
等あるいは同一の構成要件には、図１に付けた符号と同
一の符号を付けてその説明を省略する。

【０１１２】この実施の形態では、端子片９０のための
端子カバー９４は、前後２段に配置されている端子片９
０の配置部に対して左右方向に抜き差し可能に設けられ
ている。この抜き差しのために、アークボックス１には
スライド溝９８が、端子カバー９４にはスライド溝に係
合する案内突条９９が形成されている。

【０１１３】上述のような端子カバー付き電磁接触器で
は、スライド溝９８に沿って端子カバー９４を左右に動
かすようにしたので、電線に妨げられずに端子カバー９
４の開閉を行うことができる。

【０１１４】実施の形態１０．図１２はこの発明による
端子カバー付き電磁接触器の実施の形態１０を示してい
る。なお、図１２においても、図１０に示されているも
のと同等あるいは同一の構成要件には、図１に付けた符
号と同一の符号を付けてその説明を省略する。

【０１１５】この実施の形態では、端子片９０のための
端子カバーが上側のものと下側のものとで、分離され、
二つの端子カバー１００、１０１は両開き式に開閉す
る。

【０１１６】端子カバー１００、１０１には、それぞ
れ、支持軸１０２、１０３と、係合孔１０４、１０５と
が設けられ、アークボックス１には支持軸１０２、１０
３が係合する係合孔１０６、１０７と、係合孔１０４、
１０５が係合する支持軸１０８、１０９が設けられ、端
子カバー１００、１０１はそれぞれ２点支持状態で両開
き式に開閉する。支持軸１０８、１０９は前段の端子片
９０より手前の位置におり、支持軸１０２、１０３は後
段の端子片９０より奥の位置にあり、それぞれ端子片９
０と直交する方向に設けられている。

【０１１７】端子カバー１００、１０１は、それぞれ、
端子片９０の前方および左右両側方を覆い、前後２段の
端子片９０に接続される電線をさけて前後を繋ぐよう
に、電気絶縁樹脂により成形されている。

【０１１８】この端子カバー付き電磁接触器では、端子
カバー１００は支持軸１０２、１０８を中心として、端
子カバー１０１は支持軸１０３、１０９を中心としてそ
れぞれ左右に動かすようにしたので、電線に妨げられず
に端子カバー１００、１０１の開閉を行うことができ
る。

【０１１９】実施の形態１１． 図１３はこの発明による端子カバー付き電磁接触器の実
施の形態１１を示している。

【０１２０】ベース（電磁接触器本体）１１の側面部に
は制御回路接続用の追加ユニット（制御用補助接点ユニ
ット）１１０がはめ込み式に取り付けられる。追加ユニ
ット１１０には同一面内に前後２段に配置された制御回
路用電線の接続部として使用される端子片１１１が取り
付けられ、端子片１１１には端子ねじ１１２が螺合して
いる。追加ユニット１１０には支持軸１１３により端子
カバー１１４が開閉可能に設けられている。

【０１２１】上述のような端子カバー付き電磁接触器で
は、ベース（電磁接触器本体）１１に追加ユニット１１
０が外付けされる。追加ユニット１１０の端子カバー１
１４は、追加ユニット１１０自体に取付けられて追加ユ
ニット専用の端子カバーであり、追加ユニット１１０が
保有する端子片１１１を覆っているので、最も近くで確
実に端子片１１１を保護することができる。また、支持
軸１１３を中心とした回転により端子カバー１１４を左
右に動かすようにしたので、電線に妨げられずに端子カ
バー１１４の開閉を行うことができる。

【０１２２】

【発明の効果】以上の説明から理解される如く、この発
明による端子カバー付き電磁接触器によれば、端子カバ
ーが端子部材の前方および両側方を一括して覆う門形形
状をなし、しかもこの端子カバーはアークガス吹き出し
孔を門形形状の内側に位置させる形態で前記アークボッ
クスの端子突出壁面部に開閉可能に取り付けられている
から、端子カバーがアークボックスからの熱の影響を受
け難く、端子部分の前方だけでなく、端子部材の側方、
ガス吹き出しに関しても確実なフィンガープロテクショ
ン機能が得られ、また電磁接触器の端子カバー取付時の
外形寸法を取付前と大差がない寸法にすることができる
という効果が得られる。しかも、前記アークボックスの
端子突出壁面に部分的に突当てられ、前記アークボック
スとの突当て部に断熱空隙が設けられているものである
から、端子カバーがアークボックスからの熱の影響を受
け難く、端子カバーが熱損傷を受けることがなくなり、
端子カバーの耐熱対策を簡素化できると云う効果が得ら
れる。

【０１２３】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーがアークボックスの端子突出壁
面に部分的に突当てられ、アークボックスとの突当て部
に断熱空隙が設けられているから、端子カバーがアーク
ボックスからの熱の影響を受け難く、端子カバーが熱損
傷を受けることがなくなり、端子カバーの耐熱対策を簡
素化できると云う効果が得られる。

【０１２４】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが閉じ位置において端子部材と
対向する部分に端子ねじの締め付け工具を通すことがで
きる大きさの開放孔が開口形成され、端子カバーに開放
孔を開閉するフロント扉が開閉可能に取り付けられてい
るから、フロント扉を開けるだけで端子接続部の目視点
検ができ、また端子ねじの増締め等、端子部分のメンテ
ナンス作業が端子カバーを開閉することなく簡単にでき
るようになると云う効果が得られる。

【０１２５】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、フロント扉が端子カバーに回動可能に取り
付けられているから、フロント扉の回動により簡便に開
放孔を開閉できると云う効果が得られる。

【０１２６】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、フロント扉がスライド案内部に係合して端
子カバーにスライド可能に取り付けられているから、フ
ロント扉のスライドにより簡便に開放孔を開閉できると
云う効果が得られる。

【０１２７】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、フロント扉が透明樹脂により構成されてい
るから、フロント扉が汚損されていなければ、フロント
扉を閉じた状態でも端子接続部の目視点検ができと云う
効果が得られる。

【０１２８】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが絶縁バリヤに形成されたスラ
イド案内部にスライド可能に係合して抜き差し可能であ
るから、電磁接触器を取り付けられる配電盤の奥行きに
対して何らかの規制があり、手前に端子カバーを動かせ
ないような場合に有効なものになる。

【０１２９】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが支持軸によりアークボックス
の一つの外辺と平行な軸線周りに回動可能に取り付けら
れているから、端子カバーをアークボックスより取り外
すことなく端子カバーの開閉が簡便に行われ、端子カバ
ーを取り外さずとも配線、点検作業を支障なくできると
云う効果が得られる。

【０１３０】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが開かれた位置では、半球状突
起がアークボックスの角部に当たって端子カバーを開位
置に保持するから、端子カバーを開いた状態での配線、
点検の作業性が改善されると云う効果が得られる。

【０１３１】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーがスライド案内部によりアーク
ボックスにスライド可能に係合しているから、端子カバ
ーをアークボックスより取り外すことなく端子カバーの
開閉が簡便に行われ、端子カバーを取り外さずとも配
線、点検作業を支障なくできると云う効果が得られる。

【０１３２】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、アークボックスの両側に設けられた端子カ
バーのスライド案内部が互い違いに設けられているか
ら、アークボックスの寸法を大きくすることなく端子カ
バースライド範囲が広がり、より広い範囲のフィンガー
プロテクションが可能になると云う効果が得られる。

【０１３３】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、ボルト通し孔に通されたねじにより端子カ
バーが任意のスライド位置にてアークボックスに固定さ
れるから、フィンガープロテクションの範囲を端子部材
に接続する圧着端子の大きさ等に合わせて可変調整で
き、端子カバーを含む電磁接触器の寸法を最小必要限度
に小型化できると云う効果が得られる。

【０１３４】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーがクリックストップ機構により
段階的位置にてアークボックスに係止されるから、端子
カバーを閉位置、開位置のそれぞれに安定維持でき、フ
ィンガープロテクション機能が確実に得られると共に、
配線、点検の作業性が改善されると云う効果が得られ
る。

【０１３５】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが前後２段の端子部材の前方お
よび側方を一括して覆うから、前後２段の端子部材のフ
ィンガープロテクションが行われ、しかも端子カバーは
端子部材と平行な支持軸に係合して左右方向に回転可能
であるから、接続した電線に拘わらず端子カバーを移動
でき、端子カバーを取り外さずに配線、点検の作業を行
えると云う効果が得られる。

【０１３６】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが前後２段の端子部材の前方お
よび側方を一括して覆うから、前後２段の端子部材のフ
ィンガープロテクションが行われ、しかも端子カバーが
端子部材と直交する支持軸に係合して左右方向に回転可
能であるから、接続した電線に拘わらず端子カバーを移
動でき、端子カバーを取り外さずに配線、点検の作業を
行えると云う効果が得られる。

【０１３７】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、端子カバーが前後２段の端子部材の前方お
よび側方を一括して覆うから、前後２段の端子部材のフ
ィンガープロテクションが行われ、しかも端子カバーは
スライド式に着脱されるから、端子カバーの開閉、着脱
が工具を必要とすることなく容易に行われると云う効果
が得られる。

【０１３８】つぎの発明による端子カバー付き電磁接触
器によれば、電磁接触器本体の側面部に設けられる制御
用補助接点ユニットに専用の端子カバーが開閉可能に設
けられているから、制御用補助接点ユニットの端子部材
のフィンガープロテクションが確実に行われると云う効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態１を示す分解斜視図である。

【図２】 （ａ）、（ｂ）は実施の形態１における端子
カバーを示す斜視図である。

【図３】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態２を示す分解斜視図である。

【図４】 実施の形態２における端子カバーを示す斜視
図である。

【図５】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態３を示す分解斜視図である。

【図６】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態４を示す分解斜視図である。

【図７】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態５を示す分解斜視図である。

【図８】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態６を示す分解斜視図である。

【図９】 この発明による端子カバー付き電磁接触器の
実施の形態７を示す分解斜視図である。

【図１０】 この発明による端子カバー付き電磁接触器
の実施の形態８を示す分解斜視図である。

【図１１】 この発明による端子カバー付き電磁接触器
の実施の形態９を示す分解斜視図である。

【図１２】 この発明による端子カバー付き電磁接触器
の実施の形態１０を示す分解斜視図である。

【図１３】 この発明による端子カバー付き電磁接触器
の実施の形態１１を示す分解斜視図である。

【図１４】 端子カバー付き電磁接触器の従来例を示す
断面図である。

【図１５】 端子カバー付き電磁接触器の従来例を示す
分解斜視図である。

【図１６】 端子カバー付き電磁接触器の他の従来例を
示す分解斜視図である。

【符号の説明】

１ アークボックス，６ アークガスの吹き出し孔，８
平板端子，９ 端子ねじ，１０ 絶縁バリヤ，２０
端子カバー，２５ 開放孔，２６ フロント扉，４０
端子カバー，４１ 取付片，４３ 半球状突起，５０，
６０，７０ 端子カバー，７３ ボルト通し孔，７４
ねじ，８０ 端子カバー，８２ クリックストップ片，
９０ 端子片，９４，１００，１０１ 端子カバー，１
１０ 追加ユニット，１１１ 端子片，１１４ 端子カ
バー。

Claims (16)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の鉄板からなる消弧装置を備え、そ
   れぞれ接点を有する可動接触子および固定接触子からな
   る接点開閉装置を覆うように配置されたアークボックス
   と、前記固定接触子と導通接続され前記アークボックス
   から外方へ突出した複数個の端子部材と、前記アークボ
   ックスに形成されたアークガス吹き出し孔と、前記端子
   部材を覆う端子カバーとを有する端子カバー付き電磁接
   触器において、 前記端子部材が前記アークボックスから外方へ突出する
   端子突出壁面に前記アークガス吹き出し孔が開口形成さ
   れ、 前記端子カバーは、前記端子部材の前方および両側方を
   一括して覆う門形形状をなし、前記アークガス吹き出し
   孔を門形形状の内側に位置させる形態で、前記アークボ
   ックスの端子突出壁面部に開閉可能に取り付けられてい
   るとともに、前記アークボックスの端子突出壁面に部分
   的に突当てられ、前記アークボックスとの突当て部に断
   熱空隙が設けられていることを特徴とする端子カバー付
   き電磁接触器。
2. 【請求項２】 前記端子カバーが閉じ位置において前記
   端子部材と対向する部分に端子ねじの締め付け工具を通
   すことができる大きさの開放孔が開口形成され、前記端
   子カバーに前記開放孔を開閉するフロント扉が開閉可能
   に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載
   の端子カバー付き電磁接触器。
3. 【請求項３】 前記フロント扉は前記端子カバーに回動
   可能に取り付けられていることを特徴とする請求項２に
   記載の端子カバー付き電磁接触器。
4. 【請求項４】 前記フロント扉はスライド案内部に係合
   して前記端子カバーにスライド可能に取り付けられてい
   ることを特徴とする請求項２に記載の端子カバー付き電
   磁接触器。
5. 【請求項５】 前記フロント扉は透明樹脂により構成さ
   れていることを特徴とする請求項２〜４のいずれか一つ
   に記載の端子カバー付き電磁接触器。
6. 【請求項６】 前記端子カバーは、隣り合う端子部材の
   間隙を絶縁遮断するために前記端子突出壁面に突出形成
   された絶縁バリヤに形成されたスライド案内部にスライ
   ド可能に係合し、抜き差し可能であることを特徴とする
   請求項１〜５ のいずれか一つに記載の端子カバー付き電
   磁接触器。
7. 【請求項７】 前記端子カバーは支持軸により前記アー
   クボックスの一つの外辺と平行な軸線周りに回動可能に
   取り付けられていることを特徴とする請求項１〜５のい
   ずれか一つに記載の端子カバー付き電磁接触器。
8. 【請求項８】 前記端子カバーは耳片状の係合片により
   前記支持軸と係合し、前記係合片が前記アークボックス
   の外壁と対向する面部に半球状突起が形成され、前記端
   子カバーが閉じられた位置にて前記半球状突起が前記外
   壁に圧接し、前記端子カバーが開かれた位置にて前記半
   球状突起が前記外壁に圧接する範囲より離れ、前記アー
   クボックスの角部に当たって前記端子カバーを開位置に
   保持するよう構成されていることを特徴とする請求項７
   に記載の端子カバー付き電磁接触器。
9. 【請求項９】 前記端子カバーはスライド案内部により
   前記アークボックスにスライド可能に係合していること
   を特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載の端子
   カバー付き電磁接触器。
10. 【請求項１０】 前記端子部材は前記アークボックスの
    両側に設けられ、前記端子カバーは前記アークボックス
    の両側に個別に設けられ、両端子カバーのスライド案内
    部が互い違いに設けられていることを特徴とする請求項
    ９に記載の端子カバー付き電磁接触器。
11. 【請求項１１】 前記端子カバーにスライド方向に長い
    ボルト通し孔が形成され、前記ボルト通し孔に通された
    ねじにより前記端子カバーが任意のスライド位置にて前
    記アークボックスに固定されるよう構成されていること
    を特徴とする請求項９または１０に記載の端子カバー付
    き電磁接触器。
12. 【請求項１２】 前記端子カバーはクリックストップ機
    構により段階的位置にて前記アークボックスに係止され
    ることを特徴とする請求項９または１０に記載の端子カ
    バー付き電磁接触器。
13. 【請求項１３】 前記アークボックスの外側に位置する
    制御回路用端子部材が同一面内に前後２段に配置され、 最も外側に位置する前後２段の端子部材に対して後段の
    端子部材より奥の位置に前記端子部材と平行な支持軸を
    有し、前後２段の前記端子部材の前方および側 方を一括
    して覆う端子カバーが前記支持軸に係合し、前記端子カ
    バーが左右方向に回転可能であることを特徴とする請求
    項１〜１２のいずれか一つに記載の端子カバー付き電磁
    接触器。
14. 【請求項１４】 前記アークボックスの外側に位置する
    制御回路用端子部材が同一面内に前後２段に配置され、 最も外側に位置する前後２段の端子部材に対して前段の
    端子部材より手前の位置および後段の前記端子部材より
    奥の位置にそれぞれ端子部材と直交する支持軸を有し、
    前後２段の前記端子部材の前方および側方を一括して覆
    う端子カバーが前記支持軸に係合し、前記端子カバーが
    左右方向に回転可能であることを特徴とする請求項１〜
    １２のいずれか一つに記載の端子カバー付き電磁接触
    器。
15. 【請求項１５】 前記アークボックスの外側に位置する
    制御回路用端子部材が同一面内に前後２段に配置され、 最も外側に位置する前後２段の端子部材に対して平行な
    スライド案内部が設けられ、前後２段の前記端子部材の
    前方および側方を一括して覆う端子カバーが前記スライ
    ド案内部に係合してスライド可能に設けられていること
    を特徴とする請求項１〜１２のいずれか一つに記載の端
    子カバー付き電磁接触器。
16. 【請求項１６】 前記アークボックスに接続される電磁
    接触器本体の側面部に制御用補助接点ユニットが設けら
    れ、当該制御用補助接点ユニットに専用の端子カバーが
    開閉可能に設けられていることを特徴とする請求項１〜
    １５のいずれか一つに記載の端子カバー付き電磁接触
    器。