JP3322631B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

誘導加熱調理器

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JP3322631B2
JP3322631B2 JP8021798A JP8021798A JP3322631B2 JP 3322631 B2 JP3322631 B2 JP 3322631B2 JP 8021798 A JP8021798 A JP 8021798A JP 8021798 A JP8021798 A JP 8021798A JP 3322631 B2 JP3322631 B2 JP 3322631B2
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和文 牛嶋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘導加熱調理器に関
し、更に詳しくは、加熱制御のためのインバータ回路及
びその制御に関する。
【0002】
【従来の技術】誘導加熱調理器は、コイルにて発生した
交番磁束を導電体である鍋に通過させ、鍋に渦電流を発
生させて鍋自体を発熱させるようにしたものである。図
8は、従来の誘導加熱調理器の電気系概略構成図であ
る。電圧Vbの直流電源11には、鍋30を加熱する加
熱コイル12及びトランジスタ13が直列に接続されて
おり、加熱コイル12には共振用のコンデンサ15が並
列に、トランジスタ13には逆方向に導通するダイオー
ド14が並列に接続されており、これによりインバータ
回路10を構成している。トランジスタ13のベース端
子には、制御部20よりインバータ回路10の駆動信号
としてオン/オフ駆動信号が入力されている。
【0003】図9及び図10は、図8の構成のインバー
タ回路10の動作を説明するための波形図であって、図
9はインバータ回路10の入力電力(つまり加熱出力)
が相対的に大きい場合、図10は入力電力が相対的に小
さい場合の例である。まず、制御部20がトランジスタ
13をオン動作させると、直流電源11から加熱コイル
12に電流が流れ、図9(b)に示すように電流は増加
する。次に、トランジスタ13をオフ動作させると、加
熱コイル12とコンデンサ15との閉回路で共振が生じ
る。この共振周波数がインバータ回路10の発振周波数
よりも充分に高くなるようにコンデンサ15の値等を定
めておくと、トランジスタ13のコレクタ電圧Vcは、
図9(a)に示すように電圧Vbを中心として振動する
波形となる。コレクタ電圧Vcが負極性に反転してダイ
オード14が導通したB点から、或る一定時間遅延した
C点までの期間においてトランジスタ13をオンさせる
と、加熱コイル12に流れる電流は図9(c)に示す波
形のようになる。
【0004】インバータ回路10の入力電力は発振周期
に依存しており、図10に示した発振周期Tbのように
短くすると、加熱コイル12に流れる電流の振動振幅が
小さくなって(図10(b)参照)入力電力は減少す
る。制御部20はトランジスタ13のオン時間を制御す
ることにより上記発振周期を調節し、インバータ回路1
0の入力電力を制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成によるインバータ回路では、発振周期に対する
入力電力の特性が負荷である鍋30の材質によって大き
く異なる。図11は、オーステナイト系ステンレスであ
るSUS316、フェライト系ステンレスであるSUS
430、及び鉄を負荷としたときの、発振周期と入力電
力との関係を示すグラフである。例えば1kWの入力電
力を得るために、SUS430の負荷では発振周期が3
1μ秒であるのに対し、鉄の負荷では発振周期が42μ
秒と大きく相違している。また、このような入力電力特
性は、鍋の材質のみならず鍋30の形状や加熱コイル1
2との離間距離によっても大きく変化する。このため、
上記構成のインバータ回路を複数備える多口コンロ型の
誘導加熱調理器では、複数のコンロを同時に使用する
と、各インバータ回路の発振周波数のずれにより干渉音
が発生するという問題がある。
【0006】本発明はこのような課題を解決するために
成されたものであり、その主たる目的とするところは、
発振周波数を同一に維持してインバータ回路の入力電力
つまり負荷に対する加熱出力を制御することができる誘
導加熱調理器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】上
記課題を解決するために成された本発明は、直流電源と
誘導加熱用の加熱コイルと第1スイッチング素子とを直
列に接続し、加熱コイル又は第1スイッチング素子と並
列に共振用のコンデンサを接続するとともに、第1スイ
ッチング素子と並列に逆方向に導通する第1ダイオード
を接続したインバータ回路を有する誘導加熱調理器にお
いて、a)前記加熱コイルの両端に並列接続し、第2ダイ
オードと第2スイッチング素子とを直列接続して構成し
た、前記加熱コイルに流れる電流の還流用の直列回路
と、b)第1及び第2スイッチング素子のオン/オフ動作
を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、第1
スイッチング素子のオフのタイミングを第2スイッチン
グ素子のオフのタイミングに対して調整することにより
加熱コイルに流れる電流を調整することを特徴としてい
る。
【0008】また上記構成では、制御手段が第1スイッ
チング素子をオンすると、直流電源から加熱コイルに電
流が流れる。このとき、第1スイッチング素子の両端電
圧はほぼ零に維持されるので、第2ダイオードには逆方
向電圧が加わり、第2スイッチング素子のオン又はオフ
に拘らず該還流用の直列回路は存在しないものと看做せ
る。所定時間経過後に第1スイッチング素子をオフする
と、加熱コイルとコンデンサの閉回路で共振が生じ、第
1スイッチング素子の両端電圧は直流電源の電源電圧を
中心として振動する。これにより、加熱コイルと第1ス
イッチング素子との接続端の電圧は零付近から上昇する
が、電源電圧を越えると第2ダイオードに順方向の電圧
がかかり、それまでコンデンサに流れていた電流は第2
スイッチング素子側に転流し、共振が一時的に停止す
る。このため、第1スイッチング素子の両端電圧の上昇
は停止して電源電圧付近に維持される。その後、第2ス
イッチング素子をオフすると再び共振が始まり、第1ス
イッチング素子の両端電圧は振動する。第1スイッチン
グ素子のオン時間を第2スイッチング素子のオン時間に
比べて短くするほど、共振による振動振幅は小さくな
り、加熱コイルに流れる電流も少なくなる。従って、第
2スイッチング素子のオフのタイミングをインバータ回
路の動作周波数により決めるようにしておけば、該動作
周波数を一定に維持したまま第1スイッチング素子のオ
ン時間を変えることにより加熱出力を調整することがで
きる。
【0009】第2スイッチング素子のオンのタイミング
は、第1スイッチング素子のオンのタイミング以降、第
2ダイオードが導通するまでの期間で適宜に設定するこ
とができるが、第2ダイオードが導通するタイミングは
変化するので、確実なタイミングとしては第1スイッチ
ング素子のオンのタイミングに揃えるとよい。
【0010】また、上述のような制御を行なうために、
前記制御手段は、第1スイッチング素子の両端電圧によ
り第1及び第2スイッチング素子のオンのタイミングを
検知するオンタイミング検知手段と、インバータ回路の
動作周波数の信号を発生する発振手段と、前記オンタイ
ミング検知手段の出力信号により第1スイッチング素子
のオンタイミングを決定するとともに、インバータ回路
の入力電力に応じてそのオフタイミングを決定する第1
のオン時間設定手段と、前記オンタイミング検知手段の
出力信号により第2スイッチング素子のオンタイミング
を決定するとともに、前記発振手段の出力信号によりそ
のオフタイミングを決定する第2のオン時間設定手段
と、を含む構成とすることができる。
【0011】また、前記発振手段は発振周波数可変の発
振手段であって、第1スイッチング素子のオフタイミン
グと第2スイッチング素子のオフタイミングとの時間差
に応じてその発振周波数を変更する構成とすることが好
ましい。この構成によれば、例えば第1及び第2スイッ
チング素子のオフタイミングが略一致したとき、発振周
波数を低減させることにより一段と入力電力を増加させ
ることが可能となる。
【0012】更に、前記インバータ回路を複数備えた誘
導加熱調理器では、各インバータ回路に対応して前記制
御手段をそれぞれ有し、且つ該複数の制御手段に含まれ
る発振手段のみを共通に使用する構成とすることが好ま
しい。この構成では、複数の加熱部つまりインバータ回
路を同時に使用する場合でも、各インバータ回路は共通
の発振手段から与えられる同一周波数の信号により動作
するので、干渉音が発生しない。
【0013】またこの構成では、前記複数のインバータ
回路の中の1台のみを動作させる際に、該インバータ回
路に対応した制御手段は、第1及び第2スイッチング素
子のオフタイミングを常に略一致させた状態に維持し、
前記発振手段の発振周波数を変更することによりインバ
ータ回路の入力電力を調整することが好ましい。すなわ
ち、このような使用条件では干渉音の発生の恐れがない
ので、スイッチング損失が少なく最も効率的な方法でも
ってインバータ回路を駆動することができる。
【0014】更に、前記発振手段は、動作している複数
の制御手段のいずれかにおいて第1スイッチング素子の
オフタイミングと第2スイッチング素子のオフタイミン
グとの時間差がなくなったときには発振周波数を低減
し、動作している複数の制御手段の全てにおいて該時間
差があるときには発振周波数を増加する構成とすること
ができる。この構成によれば、いずれかのインバータ回
路において入力電力の不足の可能性がある場合でも速や
かにその不足が解消され、適切な加熱を行なうことがで
きる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の誘導加熱調理器の一実施例を
図1〜図6を参照して説明する。図1は本実施例の誘導
加熱調理器の回路図、図2は図1中の制御部20の詳細
を示すブロック構成図である。
【0016】本実施例の誘導加熱調理器におけるインバ
ータ回路10では、従来のインバータ回路の構成要素に
加えて、共振用のコンデンサ15と並列に、第2トラン
ジスタ16と第2ダイオード17との直列回路が接続さ
れている。この第2トランジスタ16と第2ダイオード
17とはその位置を入れ替えてもよい。第2トランジス
タ16のベース端子には、制御部20より第2のオン/
オフ駆動信号φ2が入力されている。(以下、従来備え
られていたトランジスタ13及びダイオード14を第1
トランジスタ13及び第1ダイオード14と言い換える
こととし、また第1トランジスタ13のベース端子に入
力されている信号を第1のオン/オフ駆動信号φ1と言
うこととする。)
【0017】次に、制御部20の構成を図2により説明
する。入力設定部21は使用者の操作によりインバータ
回路10の入力電力を設定するもので、一方、入力検出
部22は実際に得られている入力電力を検出するもので
ある。例えばインバータ回路10の直流電源11が商用
交流電源を直流に変換する構成である場合、入力検出部
22は商用交流電源の電流を検出する構成とすることが
できる。オン時間設定部23は、入力設定部21に設定
された設定電力値と入力検出部22により検出された検
出電力値とを比較し、両者が一致するように第1トラン
ジスタ13のオン時間を決定する。第1駆動部24は、
オン時間設定部23の出力に応じて第1トランジスタ1
3に第1のオン/オフ駆動信号φ1を与える。
【0018】オンタイミング検知部25は、第1トラン
ジスタ13の両端電圧(第1トランジスタ13のエミッ
タが接地されている場合には第1トランジスタ13のコ
レクタ電圧であるので、以下単に「コレクタ電圧」とい
う)Vc及び直流電源11の電源電圧Vbに基づいて第1
トランジスタ13のオンのタイミングを検知し、検知信
号をオン時間設定部23及び拘束時間設定部26に与え
る。オン時間設定部23は、そのオン検知のタイミング
により出力を高レベルに立ち上げ、上述のように決めら
れたオン時間が経過した後に出力を立ち下げる。また、
可変周波数発振器28の出力が低レベルから高レベルに
転じた時点で、もし出力が高レベルであったならばそれ
をリセットする。
【0019】拘束時間設定部26は、上記オン検知のタ
イミングにより出力を高レベルに立ち上げ、可変周波数
発振器28の出力が低レベルから高レベルに転じたとき
に出力を低レベルにリセットする。第2駆動部27は、
拘束時間設定部26の出力に応じて第2トランジスタ1
6に第2のオン/オフ駆動信号φ2を与える。周波数増
減指示部29は、拘束時間設定部26の出力とオン時間
設定部23の出力との立下り点の時間差を計測し、その
時間差に応じて周波数の増減指令を可変周波数発振器2
8に送出する。
【0020】上記構成を有する本実施例の誘導加熱調理
器の動作を図3により詳細に説明する。図3は、インバ
ータ回路10が定常状態にあるときの各部の動作を示す
波形図である。時刻t1の直前で第1、第2トランジス
タ13、16はともにオフしており、加熱コイル12と
コンデンサ15との閉回路で共振している。このとき、
コレクタ電圧Vcは、図3(a)に示すように低下して
ゆく過程にある。時刻t1において該コレクタ電圧Vc
が電源電圧Vbを下回ると、図3(b)に示すようにオ
ンタイミング検知部25の出力は立ち上がる。これを受
けて図3(c)、(e)に示すように、オン時間設定部
23と拘束時間設定部26の出力も立ち上がる。これに
より、第1、第2駆動部24、27の出力信号φ1、φ
2も同様に変化し、その結果、第1、第2トランジスタ
13、16はオンする。第1トランジスタ13がオンし
ていると、コレクタ電圧Vcは第1トランジスタ13の
コレクタ・エミッタ間飽和電圧(ほぼ0に近い)に維持
される。
【0021】第1トランジスタ13のオン時間、つまり
第1駆動部24の出力が高レベルを維持している時間
は、オン時間設定部23によりインバータ回路10の入
力電力(つまり検出入力電力)が設定入力電力に一致す
るように制御され、例えば時刻t2で立ち下がる。これ
により第1トランジスタ13がオフすると、加熱コイル
12とコンデンサ15とのループで共振が生じ、コレク
タ電圧Vcは急峻に上昇する。なお、コレクタ電圧Vcが
電源電圧Vbよりも低いときには、第2ダイオード17
には逆方向電圧が加わっているので、第2トランジスタ
16はオンしているものの第2トランジスタ16側に電
流は流れず共振が維持される。図3(a)に示すよう
に、共振によりコレクタ電圧Vcが急峻に増加し電源電
圧Vbを越えると、第2ダイオード17には順方向電圧
が加わって導通し、コンデンサ15に流れていた電流は
転流して第2トランジスタ16側に流れる。従って、共
振の閉回路が切れ、コレクタ電圧Vcはその時点での値
を保つ。
【0022】図3(d)に示すように時刻t3で可変周
波数発振器28の出力が立ち上がると、拘束時間設定部
26の出力は立ち下がり、第2駆動部27の出力信号φ
2も低レベルに転じる。これにより第2トランジスタ1
6がオフすると、加熱コイル12とコンデンサ15との
閉回路で再び共振が生じ、コレクタ電圧Vcは図3
(a)に示すようにほぼ電源電圧Vbを中心にした振動
波形となる。而して、加熱コイル12に流れる電流は、
図3(g)に示すように、第1トランジスタ13がオン
された後に正方向に上昇し、第1トランジスタ13がオ
フされると頭打ちになり、第2トランジスタ16がオフ
されるまでの間は、加熱コイル12及び鍋30の合成抵
抗成分等の影響により緩やかに減少する。そして、第2
トランジスタ16がオフされた後は上記共振に追従す
る。
【0023】第1トランジスタ13のオン時間が第2ト
ランジスタ16のオン時間よりも短いときには、周波数
増減指示部29の出力は、図3(f)に示すように、そ
の時間差である時刻t2〜時刻t3の期間において高レベ
ルとなる。検出入力電力が設定入力電力よりも小さい場
合、オン時間設定部23により第1トランジスタ13の
オン時間は順次延長され、これにより時刻t2が時刻t3
に近付く。そして更に第1トランジスタ13のオン時間
が延長されると、ついには時刻t2が時刻t3と一致す
る。上述のように、オン時間設定部23の出力は可変周
波数発振器28の出力の立上りによってリセットされる
から、第1トランジスタ13の最長のオン時間は第2ト
ランジスタ16のオン時間に等しい。両者が同一である
場合には、周波数増減指示部29の出力は高レベルにな
らず低レベルに維持される。
【0024】このように第1、第2トランジスタ13、
16のオン時間が一致するのは、その時点での可変周波
数発振器28の発振周波数ではインバータ回路10の入
力電力が設定入力電力に不足していることを意味してい
るから、可変周波数発振器28は周波数増減指示部29
の高レベルの出力が欠損した場合には、発振周波数を下
げるように動作する。可変周波数発振器28としては、
周知の電圧制御型発振器を用いることができる。
【0025】図4は、第1トランジスタ13のオン時間
を制御したときの各部の動作を示す波形図である。ここ
では、可変周波数発振器28の発振周波数を20kHz
に固定し、第1トランジスタ13のオン時間を10μ秒
〜35μ秒の範囲で変化させている。なお、このとき
の、加熱コイル12の等価インピーダンスは、インダク
タンス成分L=40μH、抵抗成分R=0.85Ωであ
る。第1トランジスタ13のオン時間が35μ秒のとき
に、第1トランジスタ13のオン時間と第2トランジス
タ16のオン時間はほぼ一致しており、図4(b)に示
すように、加熱コイル12に流れる電流の振幅は最大に
なる。すなわち、上記発振周波数の下では、このとき入
力電力が最大となる。
【0026】第1トランジスタ13のオン時間が短くな
ると、図4(a)に示したようにコレクタ電圧Vcが電
源電圧Vb近傍に維持される時間が長くなり、加熱コイ
ル12に流れる電流はより低いレベルで頭打ちになる。
すなわち、オン時間を短くするほど入力電力は減少す
る。このように、第1トランジスタ13のオン時間を調
整することにより、入力電力の制御が達成される。
【0027】図5は、インダクタンスの相違する2つの
負荷(鍋)条件における、第1トランジスタ13のオン
時間と入力電力との関係を示すグラフである。可変周波
数発振器28の発振周波数は20kHzに固定してお
り、加熱コイル12の等価インピーダンスの抵抗成分R
は0.85Ωである。図5より明らかなように、例えば
インダクタンス成分L=40μHの負荷では、第1トラ
ンジスタ13のオン時間を10〜35μ秒の範囲で変化
させることにより、300〜1350Wもの幅広い範囲
で入力電力の調節が行なえることがわかる。つまり、発
振周波数を一定に保ったままで、充分な入力電力の制御
が可能である。
【0028】また、図6は、上記2つの負荷条件におけ
る、可変周波数発振器28の発振周波数(図では発振周
期)と入力電力との関係を示すグラフである。図中、
(i)は第1トランジスタ13のオン時間と第2トランジ
スタ16のオン時間とが同一の場合であり、(ii)は第1
トランジスタ13のオン時間が第2トランジスタ16の
オン時間よりも常に9μ秒短くなるように設定した場合
である。(i)の場合の曲線は、発振周波数を変えること
により入力電力を調整することを意味しているので、図
8に示した従来のインバータ回路の制御に相当する。
【0029】図5、図6に示すように、第1トランジス
タ13のオン時間や発振周波数に拘らず、インダクタン
スL=45μHの負荷条件の曲線は、インダクタンスL
=40μHの負荷条件の曲線よりも常に下方に位置して
いる。このことは、第1トランジスタ13のオン時間を
適切に調整することにより、発振周波数を同一に保った
ままで、インダクタンスL=40μHの鍋における入力
電力特性を、インダクタンスL=45μHの鍋における
入力電力特性に一致させることができることを意味して
いる。つまり、鍋の条件が相違しても同じような入力電
力を得ることができる。
【0030】このように、本実施例の誘導加熱調理器で
は、発振周波数を一定に保ったまま第1トランジスタ1
3のオン時間を制御することにより入力電力の調節を行
なうことができるのみならず、必要に応じて、従来と同
様に、発振周波数を変動させることにより入力電力の調
節を行なうようにすることもできる。
【0031】なお、上記実施例では、コンデンサ15を
加熱コイル12に並列に接続していたが、交流動作とし
ては直流電源11は短絡しているものと看做せるので、
コンデンサ15を第1トランジスタ13と並列に接続し
ても上記と同様の効果が得られる。
【0032】次いで、上記構成のインバータ回路を複数
設ける多口型コンロの誘導加熱調理器の構成及び動作を
説明する。図7は二口型コンロの場合の概略構成図であ
る。すなわち、図1及び図2に示したインバータ回路
(第1、第2インバータ回路10a、10b)及び制御
部(第1、第2制御部20a、20b)を二台用意す
る。ここで、第1、第2制御部20a、20bの可変周
波数発振器28のみは共通に用い、同一発振周波数の出
力信号を第1、第2制御部20a、20bのオン時間設
定部及び拘束時間設定部にそれぞれ与える。また、可変
周波数発振器28は第1、第2制御部20a、20bの
それぞれの周波数増減指示部からの出力を受け、その両
者の出力の組み合わせにより発振周波数を変更する。
【0033】具体的には、いずれかの周波数増減指示部
からの高レベルの出力がなくなったときには、入力電力
が不足する可能性があるので、可変周波数発振器28は
発振周波数を漸減させる。一方、両方の周波数増減指示
部から共に高レベルの出力が得られているときには、共
に入力電力が設定値に一致しているので、いずれかの周
波数増減指示部からの高レベル出力が無くなるまで発振
周波数を増加させることができる。そこで、可変周波数
発振器28は発振周波数を漸増させる。このように発振
周波数自体は上下するが、第1、第2インバータ回路1
0a、10bは同一の周波数で動作しているため、周波
数の差によるうなり音が発生する恐れはない。
【0034】また、第1又は第2インバータ回路10
a、10bの一方のみを運転する場合には、第1又は第
2制御部20a、20bでは、第1トランジスタ13の
オン時間と第2トランジスタ16のオン時間とを強制的
に一致させ、可変周波数発振器28の発振周波数を変化
させることにより入力電力の調節を行なうように制御を
切り替えるとよい。その理由は次の通りである。
【0035】この種のインバータ回路に一般に用いられ
る高耐圧のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジス
タ)素子では、特に、そのターンオン及びターンオフ特
性が良好でない。そのため、図4(c)、(d)に示す
ようにトランジスタのコレクタ電流の急峻な立上り及び
立下りのタイミングにおいて、いわゆるスイッチング損
失による電力損失が生じる。このため、このような電力
損失をできる限り抑えるという点では、単位時間当たり
のトランジスタの急峻なオン/オフ回数が少ないほうが
望ましい。上述のように、第1トランジスタ13のオン
時間の調整により電力制御を行なう場合には、1周期中
で3回(第1トランジスタ13が1回、第2トランジス
タ16が2回)の電流の急峻な立上り及び立下りが生じ
る。これに対し、第1トランジスタ13のオン/オフと
第2トランジスタ16のオン/オフとを一致させると、
図4(d)に示すように第2トランジスタ16には電流
が流れないので、1周期中でのトランジスタの電流の急
峻な立上り及び立下りは1回のみとなる。従って、発振
周波数を2倍にしてもトランジスタ電流の急峻な変化の
回数は少なくなり、電力損失を抑制した効率的な加熱が
行なえる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る誘導
加熱調理器では、直流電源及び加熱コイルと直列に接続
された第1スイッチング素子のオフのタイミングを、共
振用のコンデンサに第2ダイオードとともに並列に接続
された第2スイッチング素子のオフのタイミングに対し
て調整することにより、インバータ回路の入力電力を調
整している。このため、第2スイッチング素子のオフの
タイミングをインバータ回路の動作周波数で決めておく
ことにより、該インバータ回路の発振周波数を一定に保
ったままで加熱調節を行なうことができる。従って、多
口型コンロにおいて複数のインバータ回路を搭載する場
合でも、同一発振周波数の信号を用いて該複数のインバ
ータ回路を同時に動作させることができ、発振周波数の
ずれによる干渉音の発生を防止することができる。
【0037】また、発振周波数を一定に維持する必要が
ない場合に、第1及び第2スイッチング素子を略同一タ
イミングでオフさせ、動作周波数の制御により入力電力
の調節を行なう構成によれば、第2スイッチング素子に
は転流による電流が流れないので、スイッチング素子の
ターンオン及びターンオフ時に発生するスイッチング損
失を抑えることができ、より効率的な加熱を行なうこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の誘導加熱調理器の一実施例の概略回
路図。
【図2】 図1中の制御部の詳細を示すブロック構成
図。
【図3】 本実施例のインバータ回路が定常状態にある
ときの各部の動作を示す波形図。
【図4】 図1中の第1トランジスタのオン時間を制御
したときの各部の動作を示す波形図。
【図5】 第1トランジスタのオン時間と入力電力との
関係を示すグラフ。
【図6】 可変周波数発振器の発振周期と入力電力との
関係を示すグラフ。
【図7】 本発明の誘導加熱調理器を二口型コンロに適
用した場合の概略構成図。
【図8】 従来の誘導加熱調理器の電気系概略構成図。
【図9】 従来のインバータ回路の動作を説明するため
の波形図。
【図10】 従来のインバータ回路の動作を説明するた
めの波形図。
【図11】 従来のインバータ回路における発振周期と
入力電力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10、10a、10b…インバータ回路 11…直流電源 12…加熱コイル 13…第1トランジスタ 14…第1ダイオー
ド 15…コンデンサ 16…第2トランジ
スタ 17…第2ダイオード 20、20a、20b…制御部 21…入力設定部 22…入力検出部 23…オン時間設定部 24…第1駆動部 25…オンタイミング検知部 26…拘束時間設定
部 27…第2駆動部 28…可変周波数発
振器 29…周波数増減指示部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 6/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源と誘導加熱用の加熱コイルと第
    1スイッチング素子とを直列に接続し、加熱コイル又は
    第1スイッチング素子と並列に共振用のコンデンサを接
    続するとともに、第1スイッチング素子と並列に逆方向
    に導通する第1ダイオードを接続したインバータ回路を
    有する誘導加熱調理器において、 a)前記加熱コイルの両端に並列接続し、第2ダイオード
    と第2スイッチング素子とを直列接続して構成した、前
    記加熱コイルに流れる電流の還流用の直列回路と、 b)第1及び第2スイッチング素子のオン/オフ動作を制
    御する制御手段と、を備え、 前記制御手段は、前記第1及び第2スイッチング素子を
    略同時にオンさせ、前記第1スイッチング素子のオフの
    タイミングを第2スイッチング素子のオフのタイミング
    に対して調整することにより加熱コイルに流れる電流を
    調整するものであって、 第1スイッチング素子の両端電圧により第1及び第2ス
    イッチング素子のオンのタイミングを検知するオンタイ
    ミング検知手段と、インバータ回路の動作周波数の信号を発生する発振手段
    と、 前記オンタイミング検知手段の出力信号により第1スイ
    ッチング素子のオンタイミングを決定するとともに、イ
    ンバータ回路の入力電力に応じてそのオフタイミングを
    決定する第1のオン時間設定手段と、 前記オンタイミング検知手段の出力信号により第2スイ
    ッチング素子のオンタイミングを決定するとともに、前
    記発振手段の出力信号によりそのオフタイミングを決定
    する第2のオン時間設定手段と、 を含み、 さらに、前記発振手段は発振周波数可変の発振手段であ
    って、第1スイッチング素子のオフタイミングと第2ス
    イッチング素子のオフタイミングとの時間差に応じてそ
    の発振周波数を変更 することを特徴とする誘導加熱調理
    器。
  2. 【請求項2】 前記インバータ回路を複数備えた誘導加
    熱調理器であって、各インバータ回路に対応して前記制
    御手段をそれぞれ有し、且つ該複数の制御手段に含まれ
    る発振手段のみを共通に使用することを特徴とする請求
    項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 【請求項3】 前記複数のインバータ回路の中の1台の
    みを動作させる際に、該インバータ回路に対応した制御
    手段は、第1及び第2スイッチング素子のオフタイミン
    グを常に略一致させた状態に維持し、前記発振手段の発
    振周波数を変更することによりインバータ回路の入力電
    力を調整することを特徴とする請求項2に記載の誘導加
    熱調理器。
  4. 【請求項4】 前記発振手段は、動作している複数の制
    御手段のいずれかにおいて第1スイッチング素子のオフ
    タイミングと第2スイッチング素子のオフタイミングと
    の時間差がなくなったときには発振周波数を低減し、動
    作している複数の制御手段の全てにおいて該時間差があ
    るときには発振周波数を増加することを特徴とする請求
    項2に記載の誘導加熱調理器。
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