JP3321539B2 - 空気調和機 - Google Patents

空気調和機

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空気調和機に関し、
特に、室内空気の脱臭及び集塵を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の空気調和機における空気浄化方法
は、特開平1−234729号公報に開示されており、
以下これを説明する。
【0003】空気調和機は、臭気を含んだ室内空気を内
部に吸引し、吸引された空気は、熱交換器、紫外線ラン
プにより紫外線が照射される脱臭剤、送風機を通り再び
室内に吐出される。また、前記脱臭剤はアナタ−ゼ型の
二酸化チタン系の光触媒層を表面に形成したハニカム状
活性炭をスポンジ状緩衝材で包んだものから構成され
る。さらに、前記脱臭剤の表面に光触媒を形成し、この
光触媒層を励起させる光源より光を照射して励起させ、
吸着剤に吸着された臭気成分を分解することにより、脱
臭効果を長期間にわたり保持される。
【0004】なお、臭気成分のうち分解速度の速い成分
は紫外線ランプからの励起光(紫外線)により光触媒表面
に生じる例えばOHラジカルの酸化作用により、すみや
かに酸化分解される。また、分解速度の遅い臭気成分は
吸着剤に吸着されるが、吸着されることにより吸着剤表
面の臭気成分濃度が高くなるので励起光を繰返し照射す
ることにより除去される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の空気調和機では、吸着剤と光触媒とによる臭気
成分の吸着・分解による臭気脱臭を得るものであるが、
室内空気に含まれる微細な粉塵の問題や光触媒では分解
されない無機物質への対応がなされておらず、脱臭運転
を続けるうちに脱臭剤表面に微細な粉塵や無機物が蓄積
して、定期的に微細な粉塵や無機物を取り除かないと、
脱臭性能が低下するという欠点が生じていた。
【0006】本発明は、室内に循環する空気の脱臭、集
塵を同時に行う空気調和機を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、空気中の粉塵を帯電させる
イオン化線と、導電性担体に光触媒もしくは光触媒と吸
着剤とを担持して形成されるとともに前記イオン化線の
下流側に前記イオン化線と対向して配置される光触媒体
と、該光触媒体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備
、前記光触媒体と前記イオン化線との間に高電圧を印
加する空気調和機とする。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明の前記光触媒体と前記イオン化線との間に印加する高
電圧を、前記光触媒体を接地電位とするとともに前記イ
オン化線をプラス極性として印加するものである。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2に記載の空気調和機を、上記イオン化線と上記光触
媒体との間の空間に、前記イオン化線を挟んで対向する
とともに前記イオン化線と同極性に電圧が印加される対
向電極板を備えた構成とする。
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態につい
て、図1乃至図に従って説明する。
【0012】<第1の実施形態> 本発明の空気調和機の第1の実施形態を説明する。図1
に示すように、1は空気調和機に吸入された空気に含ま
れる臭気成分を帯電させるイオン化線、2はイオン化線
1の下流側に配設する光触媒フィルター(光触媒体)、3
は光触媒フィルター2を保持すると共に大きな塵を集塵
する除塵フィルターである。また、4は光触媒フィルタ
ー2の下流側で配設され光触媒フィルター2に紫外線を
照射する紫外線ランプ、5は紫外線ランプ4の下流側に
配設されて吸入した室内空気を熱交換する熱交換器、6
は室内空気を吸入するメインファン、7は熱交換器5で
熱交換された空気を室内に吐き出す送風口、8はサブフ
ァン、9は室内空気を吸入する風入口である。
【0013】また、光触媒フィルター2を、光触媒と吸
着剤とを担持したアルミコルゲートハニカム体から構成
して、除塵フィルター3に着脱自在に取り付ける。紫外
線ランプ4は20Wブラックライトを用い、イオン化線
1としてはタングステンワイヤー1を用い、イオン化線
1を光触媒フィルター2のグランドに短絡させ、イオン
化線1に3600Vの電圧を印加可能にする。
【0014】さに、光触媒として石原産業株式会社製
の酸化チタンST−01を用い、吸着剤として銅イオン
交換処理を施したハイシリカ合成ゼオライトH型ZSM
5を用い、バインダーとしてテルニック工業株式会社製
のコロイダルシリカ系バインダーベタックNo970を
用いた。また、光触媒と吸着剤に対するバインダーの固
形分比を50%になるように調整して、235(mm)×
55(mm)×厚さ10(mm)のアルミコルゲートハニカ
ム[200(セル/inch2)]に、300(g/L)に
なるように塗布し、380℃で1時間焼付けを行って光
触媒フィルター2のサンプルを作製した。
【0015】この光触媒フィルター2のサンプル2枚を
除塵フィルター3に取り付けた空気調和機を、1(m3)
の密閉されたボックスに内に設置し、乾燥した清浄空気
をパージしてボックス内を清浄にした後、ボックス内で
マイルドセブン5本を同時に燃焼させ、風量10(m3
min)で30分間、図1に示す空気調和機によりボッ
クス内空気の集塵脱臭を行い、30分後にガス検知管に
よりアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、スチレン及
びピリジンの除去率を測定した。このガス検知管による
除去率の測定結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1に示すように、アンモニアは検出限界
以下、即ち除去率100%になり、他の成分についても
除去率70%以上となり、多種の臭い成分について脱臭
が可能である。また同時に、散乱式粉塵計により30分
間の粉塵濃度の変化を測定した。図1に示す空気調和機
は、図2に示すような集塵性能を示し、集塵開始から
1.5分で目視による煙が消え、5.5分後には一般室
内レベルまで集塵された。
【0018】このような構成では、臭気成分及び粉塵を
含んだ空気が光触媒フィルター2を通過すると、空気中
の臭気成分は光触媒フィルター2に担持された光触媒及
び吸着剤により吸着される。一方、粉塵はイオン化線1
に高電圧を印加することにより帯電し、帯電した粉塵は
光触媒フィルター2に吸着され電気集塵される。
【0019】また、光触媒フィルター2に紫外線を照射
することにより、光触媒が励起されて強力な酸化力を示
し、有機性臭気成分及び有機性粉塵は、二酸化炭素や水
分子等に分解され脱離する。これにより、光触媒フィル
ター2に吸着された粉塵の蓄積が防止され、脱臭性能及
び集塵性能の劣化を防ぎ、光触媒フィルター2の頻繁な
交換が不要となる。また、光触媒フィルター2が取り外
し可能なため、分解不可能な無機性の挨等のメンテナン
スも簡素化できる。さらに、上記構成では、紫外線ラン
プ4が照射する紫外線が熱交換器5にも照射されるた
め、熱交換器5の表面に汚れが付着し難くなる。
【0020】<第2の実施形態> 本発明の空気調和機の第2の実施形態を説明する。な
お、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し
その説明は省略する。
【0021】光触媒フィルター2を光触媒と吸着剤を担
持したアルミコルゲートハニカムから構成し、図3に示
すように、この光触媒フィルター2を、空気調和機の側
面風入口9a及び上面風入口9bの全域にわたって対向
するように配設すると共に、空気調和機本体に対して着
脱可能とする。また、光触媒フィルター2の下流側、且
つ、熱交換器5の上流側の空間に、20Wブラックライ
トを用いた紫外線ランプ4を配設する。側面風入口9a
と、側面風入口9aに対向する光触媒フィルター2との
間の空間の上部にはイオン化線1aを、当該空間の下部
にはイオン化線1bを配設する。また、上面風入口9b
と、上面風入口9bに対向する光触媒フィルター2との
間の空間にはイオン化線1cを配設する。そして、イオ
ン化線1a,1b,1cによって、風入口9から吸入し
た室内空気中の粉塵を均一にイオン化することができ
る。
【0022】さらに、光触媒フィルター2下部と熱交換
器5との間のスペースの狭い部分には、小型冷陰極管を
用いた紫外線ランプ10を配設して、光触媒フィルター
2下部にも十分紫外線が照射されるように構成する。イ
オン化線1a,1b,1cを光触媒フィルター2のグラ
ンドに短絡させに、イオン化線1a,1b,1cにそれ
ぞれ3600Vの電圧を印加可能にした。なお、イオン
化線1a,1b,1cへの印加電圧がプラス極性であれ
ば人体に有害なオゾンが発生しにくい。
【0023】この構成により、風入口9から入った空気
全部に対して脱臭及び集塵ができる。1サイクルでの脱
臭及び集塵性能が向上し、短時間で多量の臭気成分の脱
臭及び集塵ができる。また、構造上空間が狭い部分でも
小型の冷陰極管紫外線ランプ10を用いることにより細
部まで光触媒に紫外線が照射され、吸着された有機性臭
気成分及び有機性粉塵は分解される。これにより、脱臭
および集塵性能の低下が起こらない。
【0024】<第3の実施形態> 本発明の空気調和機の第3の実施形態を説明する。な
お、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し
その説明は省略する。
【0025】本発明の空気調和機の第3の実施形態は、
図4に示すように、光触媒フィルター2の上流側(吸込
側)の表面に、絶縁性繊維で編んだ通気性のよい静電フ
ィルター11を配設する。静電フィルター11を備えた
光触媒フィルター2を取り外し可能な除塵フィルター3
に取り付けた。
【0026】この構成により、静電フィルター11によ
り集塵、光触媒フィルター2により脱臭が行われる。こ
れにより、空気中の粉塵に高電圧を印加せずに静電フィ
ルター11により粉塵を吸着することができ、脱臭と集
塵が可能となり、構造上の簡素化および安全性の向上に
つながる。
【0027】<第4の実施形態> 本発明の空気調和機の第4の実施形態を説明する。な
お、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し
その説明は省略する。
【0028】本発明の空気調和機の第4の実施形態は、
図5に示すように、イオン化線1と導電性ハニカム体か
らなる光触媒フィルター2と間の空間に、導電性材から
なる一対の対向電極板12を、イオン化線1を挟むよう
に配設し、イオン化線1と対向電極板12とを同極性に
して、イオン化線1と光触媒フィルター2との間に高電
圧を印加する。
【0029】この構成により、イオン化線1からのコロ
ナ放電により、帯電された粉塵は対向電極板12からク
ーロン力を受けてイオン風が発生する。このことによ
り、微風量または無風においても、クーロン力により粉
塵が光触媒フィルター2に引き寄せられ集塵性能が向上
する。
【0030】<第5の実施形態> 本発明の空気調和機の第5の実施形態を説明する。な
お、第5の実施形態は、第1乃至第4の実施形態と光触
媒フィルター2の構成が異なるのみなので、図示は省略
する。
【0031】第5の実施形態では、第1乃至第4の実施
形態で用いた導電性ハニカム体からなる光触媒フィルタ
ー2に代えて、導電性炭素繊維で編んだ通気性に優れた
不繊布製光触媒フィルターを用いる。該不繊布光触媒フ
ィルターには、光触媒及び吸着剤を担持し、その下流側
に紫外線ランプ、上流側にイオン化線を配設し、イオン
化線と不繊布光触媒フィルターと間に高電圧を印加す
る。
【0032】この構成により、臭気成分及び粉塵を含ん
だ空気が不繊布製光触媒フィルターを通過すると、空気
中の臭気成分は、不繊布製光触媒フィルターに担持され
た光触媒及び吸着剤により吸着される。また、粉塵はイ
オン化線に高電圧を印加することにより、不繊布製光触
媒フィルターに電気集塵される。不繊布製光触媒フィル
ターに担持された光触媒に紫外線を照射すると、光触媒
が励起され、強力な酸化力を示し、有機性臭気成分及び
有機性粉塵は酸化炭素や水分子等に分解され脱離する。
これにより、脱臭および集塵性能の低下が起こらない。
また、不繊布を用いることにより、柔軟で衝撃に強く、
取り扱いが簡単になる。
【0033】
【発明の効果】本発明の空気調和機は上記のように構成
するため、請求項1に記載の発明によれば、光触媒体に
よって臭気成分の脱臭だけでなく、粉塵の電気集塵も可
能となる。
【0034】請求項2に記載の発明によれば、人体に有
害なオゾンが発生しにくい
【0035】請求項3に記載の発明によれば、対向電極
板によって、帯電された粉塵はクーロン力を受け、イオ
ン風が発生して、光触媒体に吸引されるため、極風量ま
たは無風状態においても集塵することが可能となる。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和機の第1の実施形態を示す断
面図である。
【図2】図1の空気調和機による集塵性能を示す説明図
である。
【図3】本発明の空気調和機の第2の実施形態を示す断
面図である。
【図4】本発明の空気調和機の第3の実施形態を示す断
面図である。
【図5】本発明の空気調和機の第4の実施形態を示す断
面図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−256140(JP,A) 特開 平5−237381(JP,A) 特開 昭56−102950(JP,A) 特開 昭59−193159(JP,A) 実開 平3−47040(JP,U) 登録実用新案3007375(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 1/00 B01D 53/86 B01J 35/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気中の粉塵を帯電させるイオン化線
    と、 導電性担体に光触媒もしくは光触媒と吸着剤とを担持し
    て形成されるとともに前記イオン化線の下流側に前記イ
    オン化線と対向して配置される光触媒体と、 該光触媒体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、 前記光触媒体と前記イオン化線との間に高電圧を印加す
    ることを特徴とする空気調和機
  2. 【請求項2】 前記高電圧は、前記光触媒体を接地電位
    とするとともに前記イオン化線をプラス極性として印加
    るものであることを特徴とする請求項1記載の空気調
    和機
  3. 【請求項3】 前記イオン化線と光触媒体との間に、前
    記イオン化線を挟んで対向するとともに前記イオン化線
    と同極性に電圧が印加される対向電極板を備えたことを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機
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