JP3321284B2 - 特殊加工糸の製造方法 - Google Patents
特殊加工糸の製造方法Info
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- JP3321284B2 JP3321284B2 JP04788394A JP4788394A JP3321284B2 JP 3321284 B2 JP3321284 B2 JP 3321284B2 JP 04788394 A JP04788394 A JP 04788394A JP 4788394 A JP4788394 A JP 4788394A JP 3321284 B2 JP3321284 B2 JP 3321284B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,マルチフィラメント糸
の長手方向において,自発伸長する部分と収縮する部分
が交互に存在する特殊加工糸の製造方法に関するもので
ある。
の長手方向において,自発伸長する部分と収縮する部分
が交互に存在する特殊加工糸の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】マルチフィラメント糸の長手方向全体に
自発伸長性を示す繊維とその製造方法については数多く
提案されている。これらの自発伸長糸と熱収縮性繊維と
の混繊糸を製編織して得られる布帛は,染色加工時の熱
処理により自発伸長糸が布帛の表面に浮き上がり,嵩高
で優れた風合を呈するものとなる。
自発伸長性を示す繊維とその製造方法については数多く
提案されている。これらの自発伸長糸と熱収縮性繊維と
の混繊糸を製編織して得られる布帛は,染色加工時の熱
処理により自発伸長糸が布帛の表面に浮き上がり,嵩高
で優れた風合を呈するものとなる。
【0003】しかしながら,近年の消費者ニーズの多様
化により,布帛に自然な斑感が要求されることも多々あ
り,この点からみると,長手方向全体が自発伸長性を示
すマルチフィラメント糸では,布帛は均一に嵩高となる
ので,要求に応えることはできない。
化により,布帛に自然な斑感が要求されることも多々あ
り,この点からみると,長手方向全体が自発伸長性を示
すマルチフィラメント糸では,布帛は均一に嵩高となる
ので,要求に応えることはできない。
【0004】一方,マルチフィラメント糸の長手方向に
斑を付与する方法として,例えば,特公平4-53969号公
報等には,高配向ポリエステル未延伸糸を1.1倍以上に
延伸しつつ,水又は水性液体を間歇的に付与して熱処理
し,次いで弛緩熱処理を施し,引き続き仮撚加工する方
法が開示されている。しかしながら,この方法では,後
述するように弛緩熱処理工程で高い弛緩率を設定するこ
とができず,このため,たとえ緩熱処理に引き続いて行
う仮撚工程を省略したとしても,本発明の目的とする自
発伸長する部分と収縮する部分が交互に存在する加工糸
を得ることはできなかった。
斑を付与する方法として,例えば,特公平4-53969号公
報等には,高配向ポリエステル未延伸糸を1.1倍以上に
延伸しつつ,水又は水性液体を間歇的に付与して熱処理
し,次いで弛緩熱処理を施し,引き続き仮撚加工する方
法が開示されている。しかしながら,この方法では,後
述するように弛緩熱処理工程で高い弛緩率を設定するこ
とができず,このため,たとえ緩熱処理に引き続いて行
う仮撚工程を省略したとしても,本発明の目的とする自
発伸長する部分と収縮する部分が交互に存在する加工糸
を得ることはできなかった。
【0005】また,特公平2-52013号公報,特開昭62−
177242号公報等には,高配向未延伸糸に水又は水性液体
を間歇的に付与し,弛緩熱処理した後,延伸仮撚加工し
て捲縮差や染着差を有する加工糸を製造する方法が開示
されている。しかしながら,これらの方法では,高配向
未延伸糸に直接水又は水性液体を付与し,弛緩熱処理す
るので,たとえ延伸仮撚加工を省略したとしても,後述
するように本発明の目的とする加工糸を得ることはでき
なかった。
177242号公報等には,高配向未延伸糸に水又は水性液体
を間歇的に付与し,弛緩熱処理した後,延伸仮撚加工し
て捲縮差や染着差を有する加工糸を製造する方法が開示
されている。しかしながら,これらの方法では,高配向
未延伸糸に直接水又は水性液体を付与し,弛緩熱処理す
るので,たとえ延伸仮撚加工を省略したとしても,後述
するように本発明の目的とする加工糸を得ることはでき
なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みてなされたもので,他の熱収縮性繊維と混繊
して布帛にすれば,従来の自発伸長糸からなる布帛の優
れた風合を生かしつつ,自然な嵩高斑を付与することが
可能な特殊加工糸の製造方法を提供することを技術的な
課題とするものである。
現状に鑑みてなされたもので,他の熱収縮性繊維と混繊
して布帛にすれば,従来の自発伸長糸からなる布帛の優
れた風合を生かしつつ,自然な嵩高斑を付与することが
可能な特殊加工糸の製造方法を提供することを技術的な
課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は次の構成を有するものである。
題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は次の構成を有するものである。
【0008】(1) マルチフィラメントよりなる高配向未
延伸糸を十分に配向又は結晶化させることなく延伸した
後,引き続き連続して水又は水性液体を間歇的に付与し
ながら弛緩熱処理を施すに際し,弛緩熱処理温度におけ
る水又は水性液体を間歇付与されたマルチフィラメント
糸の最大収縮率の50%以上の弛緩率で弛緩熱処理するこ
とを特徴とする特殊加工糸の製造方法。
延伸糸を十分に配向又は結晶化させることなく延伸した
後,引き続き連続して水又は水性液体を間歇的に付与し
ながら弛緩熱処理を施すに際し,弛緩熱処理温度におけ
る水又は水性液体を間歇付与されたマルチフィラメント
糸の最大収縮率の50%以上の弛緩率で弛緩熱処理するこ
とを特徴とする特殊加工糸の製造方法。
【0009】以下,本発明について詳細に説明する。
【0010】まず,本発明で得られる特殊加工糸を構成
するマルチフィラメント糸の素材は,自発伸長性を付与
し得るポリマーであれば特に限定されるものではない
が,通常はポリエチレンテレフタレート(PET)に代
表されるポリエステルや第三成分を含む共重合ポリエス
テル,ポリ−ε−カプロラクタム(ナイロン6),ポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)に代表される
ポリアミド及び共重合ポリアミド等のポリマーが好適に
用いられる。また,各単フィラメントの成分が,例え
ば,サイドバイサイド型断面や芯鞘型断面を有する複数
のポリマーで構成されたものでもよく,さらに,フィラ
メント数やフィラメントの断面形状等も,特に限定され
るものではない。
するマルチフィラメント糸の素材は,自発伸長性を付与
し得るポリマーであれば特に限定されるものではない
が,通常はポリエチレンテレフタレート(PET)に代
表されるポリエステルや第三成分を含む共重合ポリエス
テル,ポリ−ε−カプロラクタム(ナイロン6),ポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)に代表される
ポリアミド及び共重合ポリアミド等のポリマーが好適に
用いられる。また,各単フィラメントの成分が,例え
ば,サイドバイサイド型断面や芯鞘型断面を有する複数
のポリマーで構成されたものでもよく,さらに,フィラ
メント数やフィラメントの断面形状等も,特に限定され
るものではない。
【0011】本発明で得られる特殊加工糸は,マルチフ
ィラメント糸の長手方向に,熱処理により自発伸長する
部分と収縮する部分が交互に存在しているものであり,
これにより,製編織すれば,従来の自発伸長糸からなる
布帛の優れた風合を生かしつつ,従来にない自然な嵩高
斑を有する布帛に仕上げることが可能となる。
ィラメント糸の長手方向に,熱処理により自発伸長する
部分と収縮する部分が交互に存在しているものであり,
これにより,製編織すれば,従来の自発伸長糸からなる
布帛の優れた風合を生かしつつ,従来にない自然な嵩高
斑を有する布帛に仕上げることが可能となる。
【0012】熱処理により自発伸長する部分と収縮する
部分が存在するとは,熱水中または100℃以上の高温雰
囲気中にマルチフィラメント糸をフリーの状態で5〜30
分間静置した場合に,伸長する部分と収縮する部分が存
在することを意味する。
部分が存在するとは,熱水中または100℃以上の高温雰
囲気中にマルチフィラメント糸をフリーの状態で5〜30
分間静置した場合に,伸長する部分と収縮する部分が存
在することを意味する。
【0013】自発伸長する部分と収縮する部分は交互に
存在する必要があるが,糸条における各自発伸長性部分
と各収縮性部分はランダムな長さであることが好まし
い。両者の長さは,目的に応じた長さであればよいが,
通常はそれぞれ数ミリメートル〜数メートルの範囲内で
あることが好ましく,自発伸長性部分の平均の長さと収
縮性部分の平均の長さの比は,およそ40:60〜95:5の
範囲が好ましい。
存在する必要があるが,糸条における各自発伸長性部分
と各収縮性部分はランダムな長さであることが好まし
い。両者の長さは,目的に応じた長さであればよいが,
通常はそれぞれ数ミリメートル〜数メートルの範囲内で
あることが好ましく,自発伸長性部分の平均の長さと収
縮性部分の平均の長さの比は,およそ40:60〜95:5の
範囲が好ましい。
【0014】次に,特殊加工糸の製造方法を図面を用い
て説明する。
て説明する。
【0015】図1は本発明の一実施態様を示す概略工程
図である。図1において,供給糸である高配向未延伸糸
1はフィードローラ2によって延伸域に引き出され,フ
ィードローラ2と第1デリベリローラ4との間で,第1
ヒータ3により加熱されながら十分に配向又は結晶化す
ることなく延伸される。次いで,液体噴射ノズル5によ
り間歇的に,好ましくはランダムな周期で水又は水性液
体が付与され,第1デリベリローラ4と第2デリベリロ
ーラ7との間で第2ヒータ6により弛緩熱処理されて目
的とする特殊加工糸となった後,捲取装置8でパッケー
ジ9に捲取られる。
図である。図1において,供給糸である高配向未延伸糸
1はフィードローラ2によって延伸域に引き出され,フ
ィードローラ2と第1デリベリローラ4との間で,第1
ヒータ3により加熱されながら十分に配向又は結晶化す
ることなく延伸される。次いで,液体噴射ノズル5によ
り間歇的に,好ましくはランダムな周期で水又は水性液
体が付与され,第1デリベリローラ4と第2デリベリロ
ーラ7との間で第2ヒータ6により弛緩熱処理されて目
的とする特殊加工糸となった後,捲取装置8でパッケー
ジ9に捲取られる。
【0016】本発明では,供給糸として,前記したポリ
エステルやポリアミド等のポリマーで構成された高配向
未延伸糸を用いる必要がある。高配向未延伸糸は,常法
の高速紡糸によって得ることができるが,その複屈折率
は,例えば,PETでは15×10-3〜80×10-3,ナイロン
6では35×10-3〜55×10-3程度のものが好ましい。
エステルやポリアミド等のポリマーで構成された高配向
未延伸糸を用いる必要がある。高配向未延伸糸は,常法
の高速紡糸によって得ることができるが,その複屈折率
は,例えば,PETでは15×10-3〜80×10-3,ナイロン
6では35×10-3〜55×10-3程度のものが好ましい。
【0017】また,高配向未延伸糸を十分に配向又は結
晶化させることなく延伸するとは,延伸後における糸条
の熱水収縮率が供給糸である高配向未延伸糸の熱水収縮
率に比べて著しく低下しない条件で延伸することを意味
する。およその目安としては,高配向未延伸糸の熱水収
縮率が延伸前のそれの40%未満に低下しないような条件
で延伸することが好ましいが,ポリマーの種類,加工速
度,延伸温度,ヒータの仕様等の条件により異なるの
で,必ずしも限定されるものではない。
晶化させることなく延伸するとは,延伸後における糸条
の熱水収縮率が供給糸である高配向未延伸糸の熱水収縮
率に比べて著しく低下しない条件で延伸することを意味
する。およその目安としては,高配向未延伸糸の熱水収
縮率が延伸前のそれの40%未満に低下しないような条件
で延伸することが好ましいが,ポリマーの種類,加工速
度,延伸温度,ヒータの仕様等の条件により異なるの
で,必ずしも限定されるものではない。
【0018】具体的な延伸条件としては,例えば,前記
したポリエステルやポリアミドの高配向未延伸糸を,接
触式ヒータを用いて加工速度 100〜200m/分で熱延伸す
る場合,延伸倍率をおよそ1.3倍以下,特に1.1倍以下
とし,延伸温度を糸条のガラス転移温度(Tg)〜Tg+30℃
とするのが好ましいが,加工速度を速くする場合や非接
触式ヒータを用いる場合には,延伸温度をさらに高くす
ることも可能である。また,延伸温度をTg未満,特に室
温とする場合には延伸倍率をさらに高くすることも可能
である。
したポリエステルやポリアミドの高配向未延伸糸を,接
触式ヒータを用いて加工速度 100〜200m/分で熱延伸す
る場合,延伸倍率をおよそ1.3倍以下,特に1.1倍以下
とし,延伸温度を糸条のガラス転移温度(Tg)〜Tg+30℃
とするのが好ましいが,加工速度を速くする場合や非接
触式ヒータを用いる場合には,延伸温度をさらに高くす
ることも可能である。また,延伸温度をTg未満,特に室
温とする場合には延伸倍率をさらに高くすることも可能
である。
【0019】本発明では,上記のような条件で延伸した
マルチフィラメント糸に水又は水性液体を間歇的に付与
しながら,弛緩熱処理温度における水又は水性液体を間
歇的に付与されたマルチフィラメント糸の最大収縮率の
50%以上,好ましくは70%以上の弛緩率で弛緩熱処理す
ることが必要である。
マルチフィラメント糸に水又は水性液体を間歇的に付与
しながら,弛緩熱処理温度における水又は水性液体を間
歇的に付与されたマルチフィラメント糸の最大収縮率の
50%以上,好ましくは70%以上の弛緩率で弛緩熱処理す
ることが必要である。
【0020】マルチフィラメント糸の長手方向におい
て,水又は水性液体が付与されたフィラメント部分(水
付部分)は第2ヒータ6による熱を受け難いため,弛緩
熱処理時の収縮率が低くなり,自発伸長糸を製造するの
に不可欠な高弛緩率下での収縮処理を受けないので,熱
収縮性を有する部分となる。一方,水又は水性液体が付
与されなかったフィラメント部分(非水付部分)は第2
ヒータ6からの熱により収縮し,第1デリベリローラ4
と第2デリベリローラ7との間の弛緩率によっては自発
伸長性を示す部分となる。
て,水又は水性液体が付与されたフィラメント部分(水
付部分)は第2ヒータ6による熱を受け難いため,弛緩
熱処理時の収縮率が低くなり,自発伸長糸を製造するの
に不可欠な高弛緩率下での収縮処理を受けないので,熱
収縮性を有する部分となる。一方,水又は水性液体が付
与されなかったフィラメント部分(非水付部分)は第2
ヒータ6からの熱により収縮し,第1デリベリローラ4
と第2デリベリローラ7との間の弛緩率によっては自発
伸長性を示す部分となる。
【0021】非水付部分が自発伸長性を示すためには,
弛緩熱処理温度におけるマルチフィラメントの最大収縮
率の50%以上,好ましくは70%以上の弛緩率を採用する
必要がある。ここでいう最大収縮率とは,水付部分と非
水付部分を有するマルチフィラメント糸を,弛緩熱処理
温度において加工可能な範囲で最大限に熱収縮させたと
きの弛緩率である。弛緩率が最大収縮率の50%未満の場
合であっても,自発伸長性を示すこともあるが,通常は
熱収縮性を示すものとなり,本発明の目的を達成するこ
とができない。
弛緩熱処理温度におけるマルチフィラメントの最大収縮
率の50%以上,好ましくは70%以上の弛緩率を採用する
必要がある。ここでいう最大収縮率とは,水付部分と非
水付部分を有するマルチフィラメント糸を,弛緩熱処理
温度において加工可能な範囲で最大限に熱収縮させたと
きの弛緩率である。弛緩率が最大収縮率の50%未満の場
合であっても,自発伸長性を示すこともあるが,通常は
熱収縮性を示すものとなり,本発明の目的を達成するこ
とができない。
【0022】弛緩熱処理温度は,マルチフィラメント糸
の構成ポリマーや加工速度等によっても影響されるが,
ガラス転移点以上の温度か,又は供給糸を熱延伸した場
合には延伸温度よりも高い温度を採用するのが好まし
く,場合によっては500 〜 600℃又はそれ以上の温度で
さえも採用することができる。
の構成ポリマーや加工速度等によっても影響されるが,
ガラス転移点以上の温度か,又は供給糸を熱延伸した場
合には延伸温度よりも高い温度を採用するのが好まし
く,場合によっては500 〜 600℃又はそれ以上の温度で
さえも採用することができる。
【0023】マルチフィラメントに水又は水性液体を間
歇的に付与する方法として,図1では液体噴射ノズル
(コンピュータで噴射時間を制御する)による方法を示
したが,この方法に特に限定されるものではなく,例え
ば,特開昭57−199826号公報等に記載された電磁ソレノ
イドを利用した方法等を使用してもよい。また,水を間
歇的に付与する際の周期はランダムにするのが好まし
く,マルチフィラメント糸の水付部分又は非水付部分の
長さは目的に応じて自由に設定することができるが,通
常はそれぞれ数ミリメートルから数メートルの範囲内に
設定すればよい。
歇的に付与する方法として,図1では液体噴射ノズル
(コンピュータで噴射時間を制御する)による方法を示
したが,この方法に特に限定されるものではなく,例え
ば,特開昭57−199826号公報等に記載された電磁ソレノ
イドを利用した方法等を使用してもよい。また,水を間
歇的に付与する際の周期はランダムにするのが好まし
く,マルチフィラメント糸の水付部分又は非水付部分の
長さは目的に応じて自由に設定することができるが,通
常はそれぞれ数ミリメートルから数メートルの範囲内に
設定すればよい。
【0024】本発明に適用できる水性液体は,マルチフ
ィラメント糸に対してヒータからの熱を遮断する効果を
低下させるものでなければ特に限定されるものではな
く,界面活性剤,染料,染色助剤等を水に添加したもの
を使用することができる。
ィラメント糸に対してヒータからの熱を遮断する効果を
低下させるものでなければ特に限定されるものではな
く,界面活性剤,染料,染色助剤等を水に添加したもの
を使用することができる。
【0025】
【作用】本発明の製造方法は,マルチフィラメントの長
手方向に,熱処理により自発伸張する部分と熱収縮する
部分が交互に存在する加工糸を得ることを目的としてい
る。このため,マルチフィラメントに対する間歇的な水
付処理を延伸工程ではなく,弛緩熱処理工程で行うこと
が必要である。
手方向に,熱処理により自発伸張する部分と熱収縮する
部分が交互に存在する加工糸を得ることを目的としてい
る。このため,マルチフィラメントに対する間歇的な水
付処理を延伸工程ではなく,弛緩熱処理工程で行うこと
が必要である。
【0026】ここで,前記特公平4-53969号公報に記載
されたように,高配向未延伸糸の延伸時に間歇的な水付
処理を施すと,水付部分はヒータからの熱が及ばないた
め,非水付部分が選択的に延伸される。このため,延伸
倍率をたとえ1.1倍に設定していても,非水付部分の実
質的延伸倍率は1.1倍を大きく超え,配向・結晶化が十
分に進んでしまい,その結果,後の弛緩熱処理工程では
熱収縮し難くなる。また,水付部分は延伸熱処理後も水
分が残っているため,弛緩熱処理時においてもヒータか
らの熱を受け難くて収縮量が小さくなる。したがって,
この方法では自発伸張性を付与し得るほどの大きな弛緩
率での熱処理を行うことができない。
されたように,高配向未延伸糸の延伸時に間歇的な水付
処理を施すと,水付部分はヒータからの熱が及ばないた
め,非水付部分が選択的に延伸される。このため,延伸
倍率をたとえ1.1倍に設定していても,非水付部分の実
質的延伸倍率は1.1倍を大きく超え,配向・結晶化が十
分に進んでしまい,その結果,後の弛緩熱処理工程では
熱収縮し難くなる。また,水付部分は延伸熱処理後も水
分が残っているため,弛緩熱処理時においてもヒータか
らの熱を受け難くて収縮量が小さくなる。したがって,
この方法では自発伸張性を付与し得るほどの大きな弛緩
率での熱処理を行うことができない。
【0027】また,特公平2-52013号公報や特開昭62−
177242号公報に記載されたように,高配向未延伸糸を予
め延伸することなく水又は水性液体を間歇的に付与し,
弛緩熱処理を行うと,本発明者らの試験によれば,自発
伸張する部分と熱収縮する部分が交互に存在する本発明
の特殊加工糸は得られない。この理由は不明であるが,
高配向未延伸糸を予め延伸しないと,弛緩熱処理を施し
ても自発伸張性を示すに適した内部構造に変化し難いの
ではないかと考えられる。
177242号公報に記載されたように,高配向未延伸糸を予
め延伸することなく水又は水性液体を間歇的に付与し,
弛緩熱処理を行うと,本発明者らの試験によれば,自発
伸張する部分と熱収縮する部分が交互に存在する本発明
の特殊加工糸は得られない。この理由は不明であるが,
高配向未延伸糸を予め延伸しないと,弛緩熱処理を施し
ても自発伸張性を示すに適した内部構造に変化し難いの
ではないかと考えられる。
【0028】本発明の方法においては,まず,高配向未
延伸糸を配向又は結晶化を十分に促進させることなく延
伸するので,マルチフィラメント糸全体が収縮性を示す
とともに,自発伸張性を示すに適した内部構造に変化し
やすい状態をつくりだすことができる。この状態で水又
は水性液体を間歇的に付与し,最大収縮率の50%以上の
弛緩率で弛緩熱処理すると,収縮するのは非水付部分の
みなので,非水付部分の実質的収縮率は設定した弛緩率
よりも大幅に高くなり,自発伸張性が付与されることに
なる。一方,水付部分は弛緩熱処理時の収縮率が低いた
め,熱収縮性を示す部分となる。このため,本発明の方
法によってはじめて自発伸張する部分と熱収縮する部分
が交互に存在する特殊加工糸を得ることが可能となる。
延伸糸を配向又は結晶化を十分に促進させることなく延
伸するので,マルチフィラメント糸全体が収縮性を示す
とともに,自発伸張性を示すに適した内部構造に変化し
やすい状態をつくりだすことができる。この状態で水又
は水性液体を間歇的に付与し,最大収縮率の50%以上の
弛緩率で弛緩熱処理すると,収縮するのは非水付部分の
みなので,非水付部分の実質的収縮率は設定した弛緩率
よりも大幅に高くなり,自発伸張性が付与されることに
なる。一方,水付部分は弛緩熱処理時の収縮率が低いた
め,熱収縮性を示す部分となる。このため,本発明の方
法によってはじめて自発伸張する部分と熱収縮する部分
が交互に存在する特殊加工糸を得ることが可能となる。
【0029】本発明において,マルチフィラメント糸の
長手方向における,自発伸長する部分の自発伸長率と収
縮する部分の熱収縮率,最大収縮率及び弛緩熱処理時の
弛緩率は,次の方法で測定するものである。 (1) 自発伸長率と熱収縮率 特殊加工糸に2/1000(g/d) の荷重下,予め1cm間隔で印
を付けてから糸条をフリーの状態で5分間沸水処理し,
次いで,処理後における印の間隔を2/1000(g/d)の荷重下
で測定する。印の間隔が1cmより長くなったもの50個の
平均値より自発伸長率を,1cmより短くなったもの50個
の平均値より熱収縮率を百分率(%)で算出する。
長手方向における,自発伸長する部分の自発伸長率と収
縮する部分の熱収縮率,最大収縮率及び弛緩熱処理時の
弛緩率は,次の方法で測定するものである。 (1) 自発伸長率と熱収縮率 特殊加工糸に2/1000(g/d) の荷重下,予め1cm間隔で印
を付けてから糸条をフリーの状態で5分間沸水処理し,
次いで,処理後における印の間隔を2/1000(g/d)の荷重下
で測定する。印の間隔が1cmより長くなったもの50個の
平均値より自発伸長率を,1cmより短くなったもの50個
の平均値より熱収縮率を百分率(%)で算出する。
【0030】(2) 最大収縮率 図1において,高配向未延伸糸に水又は水性液体を間歇
的に付与し,弛緩熱処理する際に,第1デリベリローラ
4を一定速度とし,第2デリベリローラ7を第1デリベ
リローラ4と同速度から徐々に速度を落として弛緩率を
徐々に上げ,走行糸条がローラやガイド等に巻き付くこ
となく操業できる最大の弛緩率を求める。この操作を3
回繰り返し,最大の弛緩率の平均値を最大収縮率とす
る。
的に付与し,弛緩熱処理する際に,第1デリベリローラ
4を一定速度とし,第2デリベリローラ7を第1デリベ
リローラ4と同速度から徐々に速度を落として弛緩率を
徐々に上げ,走行糸条がローラやガイド等に巻き付くこ
となく操業できる最大の弛緩率を求める。この操作を3
回繰り返し,最大の弛緩率の平均値を最大収縮率とす
る。
【0031】(3) 弛緩熱処理時の弛緩率 図1において,第1デリベリローラ4の速度をP,第2
デリベリローラ7の速度をQとすると,(P−Q)× 1
00/P で定義する。
デリベリローラ7の速度をQとすると,(P−Q)× 1
00/P で定義する。
【0032】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。
る。
【0033】実施例1,2及び比較例1〜3 図1に示した工程に従い,常法によって得られた複屈折
率が56×10-3で熱水収縮率が46%のPET高配向未延伸
糸110d/36fを用い,表1に示した条件で加工した。な
お,第1ヒータは接触式,第2ヒータは非接触式のもの
を用いた。得られた加工糸の熱処理により自発伸長する
部分の自発伸張率と,収縮する部分の熱収縮率を併せて
表1に示す。
率が56×10-3で熱水収縮率が46%のPET高配向未延伸
糸110d/36fを用い,表1に示した条件で加工した。な
お,第1ヒータは接触式,第2ヒータは非接触式のもの
を用いた。得られた加工糸の熱処理により自発伸長する
部分の自発伸張率と,収縮する部分の熱収縮率を併せて
表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例1,2で得られた加工糸は,熱処理
により自発伸長する部分と収縮する部分を交互に有する
ものであった。実施例1,2で得られた本発明の特殊加
工糸を,75d/36fのPET延伸糸と混繊交絡した混繊糸を
経糸及び緯糸に用いて平組織に製織した後,常法で染色
仕上加工を施して経糸密度 115本/2.54cm,緯糸密度78本
/2.54cm の織物を得,評価したところ,全体的には嵩高
性に富みながら自然な嵩高斑が見られ,ナチュラル感,
ウォーム感,手触り感等に優れていた。
により自発伸長する部分と収縮する部分を交互に有する
ものであった。実施例1,2で得られた本発明の特殊加
工糸を,75d/36fのPET延伸糸と混繊交絡した混繊糸を
経糸及び緯糸に用いて平組織に製織した後,常法で染色
仕上加工を施して経糸密度 115本/2.54cm,緯糸密度78本
/2.54cm の織物を得,評価したところ,全体的には嵩高
性に富みながら自然な嵩高斑が見られ,ナチュラル感,
ウォーム感,手触り感等に優れていた。
【0036】一方,弛緩熱処理時の弛緩率が小さい比較
例1,水を間歇的に付与しながら熱延伸した後,弛緩熱
処理した比較例2及び延伸することなく弛緩熱処理を施
した比較例3で得られた加工糸には,いずれも熱処理に
より自発伸長する部分が形成されなかった。
例1,水を間歇的に付与しながら熱延伸した後,弛緩熱
処理した比較例2及び延伸することなく弛緩熱処理を施
した比較例3で得られた加工糸には,いずれも熱処理に
より自発伸長する部分が形成されなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明で得られる特殊加工糸は,マルチ
フィラメント糸の長手方向において,熱処理によって自
発伸長する部分と収縮する部分が交互に存在するので,
この加工糸を他の熱収縮性繊維と混繊して製編織すれ
ば,従来の自発伸長糸からなる布帛の優れた風合を生か
しつつ自然な嵩高斑を有する布帛を得ることができる。
また,このような特殊加工糸を工業的に極めて容易に,
かつ,安価に製造することが可能となる。
フィラメント糸の長手方向において,熱処理によって自
発伸長する部分と収縮する部分が交互に存在するので,
この加工糸を他の熱収縮性繊維と混繊して製編織すれ
ば,従来の自発伸長糸からなる布帛の優れた風合を生か
しつつ自然な嵩高斑を有する布帛を得ることができる。
また,このような特殊加工糸を工業的に極めて容易に,
かつ,安価に製造することが可能となる。
【図1】本発明の特殊加工糸の製造方法の一実施態様を
示す概略工程図である。
示す概略工程図である。
1 高配向未延伸糸 3 第1ヒータ 5 液体噴射ノズル 6 第2ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02J 1/22
Claims (1)
- 【請求項1】 マルチフィラメントよりなる高配向未延
伸糸を十分に配向又は結晶化させることなく延伸した
後,引き続き連続して水又は水性液体を間歇的に付与し
ながら弛緩熱処理を施すに際し,弛緩熱処理温度におけ
る水又は水性液体を間歇付与されたマルチフィラメント
糸の最大収縮率の50%以上の弛緩率で弛緩熱処理するこ
とを特徴とする特殊加工糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04788394A JP3321284B2 (ja) | 1994-02-21 | 1994-02-21 | 特殊加工糸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04788394A JP3321284B2 (ja) | 1994-02-21 | 1994-02-21 | 特殊加工糸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07238432A JPH07238432A (ja) | 1995-09-12 |
JP3321284B2 true JP3321284B2 (ja) | 2002-09-03 |
Family
ID=12787796
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04788394A Expired - Fee Related JP3321284B2 (ja) | 1994-02-21 | 1994-02-21 | 特殊加工糸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3321284B2 (ja) |
-
1994
- 1994-02-21 JP JP04788394A patent/JP3321284B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07238432A (ja) | 1995-09-12 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |