JP3315256B2 - 粘着剤層を有する偏光板及びその製造方法 - Google Patents

粘着剤層を有する偏光板及びその製造方法

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JP3315256B2 JP18090294A JP18090294A JP3315256B2 JP 3315256 B2 JP3315256 B2 JP 3315256B2 JP 18090294 A JP18090294 A JP 18090294A JP 18090294 A JP18090294 A JP 18090294A JP 3315256 B2 JP3315256 B2 JP 3315256B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性が改善された粘着
剤層を有する偏光板に関し、更に詳しくは高温、高湿環
境下で長時間放置してもその光学特性が低下しない粘着
剤層を有する偏光板に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来より、偏光フィルム、例えば偏光性が
付与されたポリビニルアルコール系フィルム等の両面が
セルロース系フィルム、例えば三酢酸セルロースフィル
ムの保護層で被覆された偏光板を液晶セル面に適用して
液晶表示板とすることが行われており、この液晶セル面
への適用は、偏光板表面に設けた粘着剤層を該セル面に
当接し、押し付けることにより行われるのが通常であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記粘着剤としては、
その優れた接着性、透明性等のためにアクリル系樹脂か
らなるものが多用されているが、長時間の比較的湿度の
高い環境下での使用においては、偏光板を構成するセル
ロース系フィルムが分解劣化したり、又、高温、高湿環
境下での使用において粘着剤層の発泡や剥離等の外観欠
点が発生する等の問題が生じる。
【0004】かかる問題点を解決するために、アクリル
系樹脂粘着剤に種々の化合物、例えば、流動パラフィン
(特開平5−45517号公報)やシラン化合物(特開
平4−223403号公報)等を配合して粘着物性を高
め、偏光板等に用いたときの発泡、剥離を抑えようとし
ている。しかし、上記公報開示技術では、種々化合物の
配合についての記載はあるものの、粘着剤の塗工条件や
乾燥条件については検討されておらず、本出願人が詳細
に検討した結果、粘着剤塗工時あるいは塗工後の乾燥条
件により粘着物性が大きく左右することが判明した。
又、最近では、偏光板用途の多様化に伴って、一般のラ
ベル用等の粘着剤に比べてより高度な粘着性能を示し、
かつ、光学特性についても優れた粘着剤層を有する偏光
板の出現が望まれているのが実状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかるに、本発明者等は
かかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、偏光フ
ィルムと保護層からなる積層体の少なくとも一方の外側
10〜500ppmの溶剤を含有したアクリル系樹脂
粘着剤層を設けた偏光板が上記の性能を満足することを
見いだし本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明では、粘着剤層としてアクリ
ル系樹脂に溶剤を10〜500ppm、更に好ましくは
25〜500ppm残留させて用いることが最大の特徴
である。
【0007】更に、本発明においては、10000pp
m以上の有機溶剤を含有したアクリル系樹脂粘着剤を偏
光フィルムと保護層からなる積層体(該積層体を本発明
では特に断りなく単に偏光板と称することがある。)あ
るいは離型フィルムに塗工後、50〜200℃、好まし
くは50〜150℃、更に好ましくは60〜130℃の
温度にて乾燥させて溶剤含有量を上記範囲にコントロー
ルした時、特に優れた耐久性及び光学特性を示すもので
ある。かかる乾燥においては、粘着剤を塗工した偏光板
あるいは離型フィルムを縦、横それぞれ任意のサイズに
切断し、その縦、横を各々3等分、合計9等分した各切
断片をサンプルとし、各サンプルの溶剤含有量を測定し
たときに、各サンプルでの溶剤含有量がその平均値から
±25%以内の範囲となるように制御することが好まし
い。尚、本発明でいうアクリル系樹脂粘着剤層の溶剤含
有量とは、上記の如き9サンプルでの溶剤含有量の平均
値のことである。以下、本発明について具体的に説明す
る。
【0008】本発明のアクリル系樹脂の構成成分として
は、ガラス転移温度の低く柔らかいモノマー成分やガラ
ス転移温度の高く硬いコモノマー成分、更に必要に応じ
て少量の官能基含有モノマー成分が挙げられる。
【0009】前記の主モノマー成分としては、アクリル
酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリ
ル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル等
のアルキル基の炭素数2〜12程度のアクリル酸アルキ
ルエステルやメタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イ
ソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シ
クロヘキシル等のアルキル基の炭素数4〜12程度のメ
タクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、前記のコモ
ノマー成分としては、アクリル酸メチルやメタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等
のアルキル基の炭素数1〜3のメタクリル酸アルキルエ
ステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、スチレン等が挙げられる。又、アルキル基が芳
香環基、複素環基、ハロゲン原子等で置換されているア
クリル酸アルキルエステルやメタクリル酸アルキルエス
テル等、一般にアクリル系樹脂の合成に用いられるモノ
マーを、本発明の粘着剤アクリル系樹脂の合成にも用い
ることもできる。
【0010】前記以外に、官能基含有モノマー成分とし
ては、例えばカルボキシル基含有モノマーとして、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン
酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、グルタコ
ン酸、イタコン酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無
水物等があり、ヒドロキシル基含有モノマーとして、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート等やN−メチロールアクリルア
ミド、アリルアルコール等がある。
【0011】3級アミノ基含有モノマーとしては、ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミド等があり、アミド基、N−置
換アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルア
ミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)
アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−オクチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等があ
る。ニトリル基含有モノマーとしては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、フマロニ
トリル等がある。
【0012】かかる官能基含有モノマー成分のうちで、
特にカルボキシル基含有モノマーの使用が好ましい。か
かる主モノマー成分の含有量は、他に含有させるコモノ
マー成分や官能基含有モノマー成分の種類や含有量によ
り一概には規定できないが、一般的には上記主モノマー
を50重量%以上含有させることが好ましい。本発明の
アクリル系樹脂は主モノマー、コモノマー、更に必要に
応じて官能基含有モノマーを有機溶剤中でラジカル共重
合させる如き、当業者周知の方法によって容易に製造さ
れる。
【0013】前記重合に用いられる有機溶剤としては、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコー
ル、iso−プロピルアルコール等の脂肪族アルコール
類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。前記ラジ
カル重合に使用する重合触媒としては、通常のラジカル
重合触媒であるアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド等が具体例として挙げられ
る。
【0014】本発明において、かかるアクリル系樹脂粘
着剤は単独でも勿論使用可能であるが、必要に応じて
0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量
%程度の硬化剤が併用される。硬化剤の代表的なものは
イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アルデヒ
ド系化合物、アミン系化合物、金属塩、金属アルコキシ
ド、金属キレート化合物、アンモニウム塩及びヒドラジ
ン化合物等が例示される。
【0015】硬化剤のうちイソシアネート系化合物とし
ては、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイ
ソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイ
ソシアネートアダクト、トリメチロールプロパンのキシ
リレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタ
ン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
等、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノー
ルブロック物等が挙げられる。
【0016】エポキシ系化合物としては、ビスフェノー
ルA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリ
シジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、
N,N,N′,N′−テトラグリシジルm−キシレンジ
アミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノ
メチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0017】アルデヒド系化合物としては、グリオキザ
ール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マ
レインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムア
ルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙
げられる。アミン化合物としては、ヘキサメチレンジア
ミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキ
サメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チルテトラミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、
メラミン樹脂等が挙げられる。
【0018】金属塩としては、アルミニウム、鉄、銅、
亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシ
ウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属
の塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩、例
えば塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化
第二スズ、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化マグネシウ
ム、硫酸アルミニウム、酢酸銅、酢酸クロム等が挙げら
れる。金属アルコキシドとしては、テトラエチルチタネ
ート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプ
ロピオネート等が挙げられる。
【0019】金属キレート化合物としては、アルミニウ
ム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモ
ン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム
等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル
配位化合物等が挙げられる。アンモニウム塩としては、
塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウ
ム、プロピオン酸アンモニウム等が挙げられる。ヒドラ
ジン化合物としては、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラー
ト、及びそれらの塩基塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩
類、ギ酸、シュウ酸等の有機酸塩類が挙げられる。
【0020】本発明の粘着剤層を有する偏光板は、主と
してポリビニルアルコール系偏光フィルムと保護層から
なる積層体の少なくとも一方の外側に、粘着剤層及び離
型フィルムを付加することにより得られる。該積層体の
層構成としては、特に限定されないが、主に偏光フィル
ム/保護層、又は保護層/偏光フィルム/保護層のいず
れかが有効であり、一方、粘着剤層及び離型フィルムを
付加する方法としては、離型フィルムの上に粘着剤層を
設け、その上に偏光板を貼り合わせる方法、あるいは逆
に偏光板の上に粘着剤層を設け、その上に離型フィルム
を貼り合わせる方法が通常取られる。
【0021】本発明においては、上記粘着剤層にトルエ
ン、酢酸エチル等の前記溶剤を10〜500ppm、更
に好ましくは25〜500ppm含有させなければなら
ない。粘着剤層中の溶剤含有量が上記範囲内であれば良
く、偏光板あるいは離型フィルムに塗工する前にあらか
じめ溶剤含有量を調整しておいたアクリル系樹脂粘着剤
を用いても良いが、好ましくは上記アクリル系樹脂粘着
剤をトルエン、酢酸エチル等の前記溶剤で10000p
pm以上、好ましくは100000以上に希釈し、偏光
板あるいは離型フィルムに塗工した後、50〜200
℃、好ましくは50〜150℃、更に好ましくは60〜
130℃で0.5〜10分間、好ましくは1〜5分間乾
燥することにより、溶剤含有量をコントロールすること
が望ましい。
【0022】かかる乾燥においては、粘着剤を塗工した
偏光板あるいは離型フィルムを縦、横それぞれ任意のサ
イズに切断し、その縦、横を各々3等分、合計9等分し
た各切断片をサンプルとし、各サンプルの溶剤含有量を
測定したときに、各サンプルでの溶剤含有量がその平均
値から±25%以内の範囲となるように精密に制御する
ことが好ましく、本発明の効果を顕著に発揮する。詳細
には、溶剤含有量を上記範囲にコントロールするために
粘着剤の希釈の均一性を高め、又乾燥機中の温度分布、
風量分布、吸排気、温風循環等の均一性を高める必要が
ある。粘着剤層中の該溶剤含有量が10ppm未満では
耐久時の浮きといった粘着特性の低下や端部の色かわり
といった光学性能の低下等が起こり、又、500ppm
を越えると耐久時の発泡といった粘着特性の低下が起こ
り、本発明の効果を発揮しない。かかる溶剤含有量が上
記範囲に限り、本発明の優れた耐久性及び光学特性が発
現されるのである。
【0023】尚、上記アクリル系樹脂粘着剤を偏光板あ
るいは離型フィルムに塗工し、乾燥した後の溶剤含有量
は、例えばヘッドスペースガスクロマトグラフィー(日
立製作所社製)により測定される。具体的にはアクリル
系樹脂粘着剤層を設けた偏光板あるいは離型フィルムを
縦、横各々3等分し、合計9等分した各切断片をサンプ
ルとし(サンプルの大きさは最大3cm×3cm程度ま
でが好ましい)、それぞれのサンプルに真空状態で10
0〜150℃の熱をかけてその揮発分を測定し、この9
サンプルの平均値として求められる。尚、該切断片が大
きい場合は、3cm×3cm程度になる様に縁部を切除
して中心部に相似形サンプルを作製し測定を行えば良
い。
【0024】このようにして得られた粘着剤層を有する
偏光板は使用時に適当に切断され、離型フィルムを剥が
し、相手基材であるガラスあるいは他の基材と貼り合わ
せ、防眩用あるいはサングラスとして用いられる。又、
前記粘着剤層を有する偏光板中に反射板及び/又は半透
明層を設けることにより、反射型あるいは半透過型の液
晶表示板に使用される。この反射板としては通常アルミ
ニウム等の箔、板が使用される。又、半透明層としては
反射型及び透過型の両方に使用可能となるべく反射率と
透過率が選ばれ、適宜材料は選択される。
【0025】又、液晶用としては液晶保護のために紫外
線吸収性のシートを貼り合わせる場合もある。これらの
各種の素材を偏光フィルムに接着するためには、ポリエ
ステル−イソシアネート系の接着剤が適当である。
【0026】本発明において偏光板を構成する偏光フィ
ルムとしては、主としてポリビニルアルコール系樹脂フ
ィルムが用いられるが、ポリビニルアルコール系樹脂と
しては通常酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン
化して製造されるが、少量の不飽和カルボン酸(塩、エ
ステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、
ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニル
と共重合可能な成分を含有していても良い。又ポリビニ
ルアルコールを酸の存在下でアルデヒド類と反応させ
た、例えばポリブチラール樹脂、ポリビニルホルマール
樹脂等のいわゆるポリビニルアセタール樹脂及びポリビ
ニルアルコール誘導体が挙げられる。平均重合度は15
00〜5000、好ましくは2600〜5000、更に
好ましくは3000〜5000、ケン化度は85〜10
0モル%、好ましくは98〜100モル%のものである
ことが望ましく、該樹脂水溶液はキャスト法、押出法等
の公知の方法に従ってシート又はフィルム状に製膜さ
れ、製膜された原反フィルム又はシートは40〜130
℃で一軸方向に2.0〜10倍、好ましくは2.5〜
7.0倍、更に好ましくは3.0〜6.0倍程度延伸さ
れ、ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液あるいは二色性染料に
より染色され、濃度0.5〜2モル/l程度のホウ素化
合物水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で50〜70℃
程度、5〜20分程度の耐水化処理を施されたものが用
いられる。
【0027】保護膜としては従来から知られているセル
ロースアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、ポ
リエステル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィ
ルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルエー
テルケトン系フィルム、ポリスルホン系フィルムが挙げ
られるが、好適には三酢酸セルロースフィルム等のセル
ロースアセテート系フィルムが用いられる。
【0028】又、偏光フィルムと保護膜との貼合に際し
て用いられる接着剤としては、特に制限されることなく
ポリビニルアルコール系樹脂接着剤、ポリエステル系接
着剤、ポリアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シア
ノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、スピ
ラン系接着剤等が採用され得るが、特に好ましいのはポ
リビニルアルコール系樹脂接着剤である。
【0029】更に、本発明においては、アクリル系樹脂
粘着剤層の外側に離型フィルムを設けることが望まれ
る。かかる離型フィルムとしては高分子フィルム、金属
フィルム、セルロース系フィルムにポリジメチルシロキ
サン等のシリコン系あるいはフッ素系の離型剤で処理し
たものが挙げられるが、特に好ましいのはポリエチレン
テレフタレートフィルムを離型処理したものである。
【0030】
【作用】本発明の粘着剤層を有する偏光板は、アクリル
系樹脂粘着剤層の溶剤含有量を特定の範囲にコントロー
ルした粘着剤層を設けているため、粘着剤層の発泡や剥
離を起こさないといった耐久性に優れるばかりでなく、
高温、高湿環境下で長時間放置してもその光学特性が低
下しないという効果も奏する。かかる特性を利用して液
晶表示体の用途に用いられ、特に車両用途、各種工業計
器類、家庭用電化製品の表示等に有用である。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に
断りのない限り重量基準である。 実施例1 アクリル系樹脂粘着剤(A)(樹脂成分;アクリル酸n
−ブチル:アクリル酸=100:5、コロネートL(日
本ポリウレタン社製);5%)をトルエンで希釈し20
00000ppmとした後、該溶液を、予め離型剤(ポ
リジメチルシロキサン)を塗工したポリエチレンテレフ
タレートフィルム(膜圧38μm)に塗工し、熱風循環
乾燥機により90℃で3分間乾燥して、溶剤含有量10
0ppm(9cm×9cmの粘着剤層付きフィルムを
縦、横に各々3等分、合計9等分し、その各切断片をサ
ンプルとしてその溶剤含有量を測定したところ、81p
pm、92ppm、105ppm、109ppm、12
0ppm、103ppm、95ppm、98ppm、9
4ppmであり、その平均値が100ppm(各測定値
は平均値から25%以内)であった。)の粘着剤層(粘
着剤層の厚み25μm)を得た。
【0032】これを、膜厚25μmのポリビニルアルコ
ール偏光フィルム(平均重合度1700、平均ケン化度
99モル%、4倍延伸)の両面を厚さ80μmの三酢酸
セルロースフィルムで積層した偏光板の片面に積層し、
ローラーで押圧して離型フィルム積層偏光板を得た。該
離型フィルム積層偏光板は200mm×200mmに切
断され、離型フィルムが剥がされ、厚さ1.1mmのガ
ラス板上に転写された後、そのガラス積層偏光板の耐久
性及び光学特性を評価した。
【0033】尚、耐久性、光学特性の評価方法は以下の
通りである。 (耐久性)上記の如くガラス板上に転写された偏光板
を、60℃×90%RHで48時間放置した後、更に6
0℃で48時間乾燥するのを1サイクルとして10サイ
クル行った後の偏光板の剥離の度合いを、端部からの長
さ(mm)で評価した。 (光学特性)上記の如くガラス板上に転写された偏光板
において、その端部より10mmの部分の単体透過率
と、60℃×90%RHで48時間放置した後に60℃
で48時間乾燥するのを1サイクルとして10サイクル
行った後のその単体透過率との差により評価した。
【0034】実施例2 実施例1において、アクリル系樹脂粘着剤(B)(樹脂
成分;アクリル酸n−ブチル:アクリル酸:メタクリル
酸ヒドロキシエチル=100:5:1、コロネートL
(日本ポリウレタン社製);3%)を用い、粘着剤層の
溶剤含有量を403ppm(95℃、2分間の乾燥、9
サンプルの溶剤含有量は430ppm、410ppm、
390ppm、380ppm、385ppm、390p
pm、412ppm、420ppm、413ppm(各
測定値は平均値から25%以内)であった。)にした以
外は同様に行い、ガラス積層偏光板の耐久性及び光学特
性を評価した。
【0035】実施例3 実施例1において、アクリル系樹脂粘着剤(C)(樹脂
成分;アクリル酸n−ブチル:アクリル酸:メタクリル
酸ヒドロキシエチル:メタクリル酸n−ブチル:アクリ
ル酸メチル=100:3:1:20:5、コロネートL
(日本ポリウレタン社製);1%)を用い、粘着剤層の
溶剤含有量を50ppm(100℃、3分間の乾燥、9
点の溶剤含有量は50ppm、48ppm、51pp
m、53ppm、50ppm、49ppm、48pp
m、47ppm、53ppm(各測定値は平均値から2
5%以内)であった。)にした以外は同様に行い、ガラ
ス積層偏光板の耐久性及び光学特性を評価した。
【0036】
【0037】実施例 実施例1において、粘着剤層の溶剤含有量を39ppm
(220℃、1分間の乾燥、9点の溶剤含有量は38p
pm、36ppm、37ppm、39ppm、40pp
m、39ppm、43ppm、41ppm、42ppm
(各測定値は平均値から25%以内)であった。)にし
た以外は同様に行い、ガラス積層偏光板の耐久性及び光
学特性を評価した。
【0038】比較例1 実施例1において、粘着剤層の溶剤含有量を2ppm
(150℃、3分間の乾燥)にした以外は同様に行い、
ガラス積層偏光板の耐久性及び光学特性を評価した。
【0039】比較例2 実施例1において、粘着剤層の溶剤含有量を7000p
pm(55℃、3分間の乾燥)にした以外は同様に行
い、ガラス積層偏光板の耐久性及び光学特性を評価し
た。尚、実施例1〜、比較例1〜2のそれぞれの評価
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】 耐久性 光学特性 剥離の度合い 耐久試験前の 耐久試験後の (mm) 単体透過率(%) 単体透過率(%) 実施例1 5 42 44 2 3 43 45 3 2 44 46 4 6 42 45 比較例1 10 42 48 2 0(発泡有り) 42 47
【0041】
【発明の効果】本発明の偏光板は、アクリル系樹脂粘着
剤層の溶剤含有量を特定の範囲にコントロールした粘着
剤層を設けているため、粘着剤層の発泡や剥離を起こさ
ないといった耐久性に優れるばかりでなく、高温、高湿
環境下で長時間放置してもその光学特性が低下しないと
いう効果も奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/30

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光フィルムと保護層からなる積層体の
    少なくとも一方の外側に10〜500ppmの溶剤を含
    有したアクリル系樹脂粘着剤層を設けたことを特徴とす
    る粘着剤層を有する偏光板。
  2. 【請求項2】 積層体が偏光フィルム/保護層、又は保
    護層/偏光フィルム/保護層のいずれかであることを特
    徴とする請求項1記載の粘着剤層を有する偏光板。
  3. 【請求項3】 保護層が酢酸セルロース系フィルムであ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着剤層を有
    する偏光板。
  4. 【請求項4】 偏光フィルムがポリビニルアルコール系
    フィルムであることを特徴とする請求項1〜いずれか
    記載の粘着剤層を有する偏光板。
  5. 【請求項5】 アクリル系樹脂粘着剤層の更に外側に離
    型フィルムを設けたことを特徴とする請求項1〜4いず
    れか記載の粘着剤層を有する偏光板。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4いずれか記載の粘着剤層を
    有する偏光板を製造するにあたり、10000ppm以
    上の有機溶剤を含有したアクリル系樹脂粘着剤を偏光フ
    ィルムと保護層からなる積層体に塗工し、50〜200
    ℃の温度にて乾燥してなることを特徴とする粘着剤層を
    有する偏光板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の粘着剤層を有する偏光板
    を製造するにあたり、10000ppm以上の有機溶剤
    を含有したアクリル系樹脂粘着剤を偏光フィルムと保護
    層からなる積層体あるいは離型フィルムのいずれか一方
    に塗工し、50〜200℃の温度にて乾燥した後、偏光
    フィルムと保護層からなる積層体あるいは離型フィルム
    の残りの一方に設けることを特徴とする粘着剤層を有す
    る偏光板の製造方法。
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