JP3313189B2 - レトルトパウチ包装材のシール不良検出装置 - Google Patents

レトルトパウチ包装材のシール不良検出装置

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JP3313189B2
JP3313189B2 JP14180293A JP14180293A JP3313189B2 JP 3313189 B2 JP3313189 B2 JP 3313189B2 JP 14180293 A JP14180293 A JP 14180293A JP 14180293 A JP14180293 A JP 14180293A JP 3313189 B2 JP3313189 B2 JP 3313189B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レトルトパウチ包装
材において、内容物の充填後に熱溶着された熱溶着部に
おけるシール不良を検出する方法及びそのための装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】流動性を有する食品等を密封包装するレ
トルトパウチにおいては、3方が密閉(シール)された
レトルトパウチ包装材内に所要の充填物を充填した後
に、充填口を熱溶着によって密閉(シール)している。
この密閉工程においては、充填時の充填物の液はねによ
る熱溶着面(シール面)の汚損や、充填物の蒸気による
水滴の付着などにより、シール不良が生じる場合ある。
こうしたシール不良は、充填内容物の腐敗あるいは周辺
の汚損を引き起こすため、充填工程後にシール不良の有
無を確実に判別する必要がある。従来、この種の判別
は、作業員による目視検査によって行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来で
は、レトルトパウチにおけるシール不良の有無の検出
は、人による目視に頼っているため、生産工程の能率の
低下を招いており、更には、人件費により生産コストが
上昇するなどの問題があり、こうした点の改善が望まれ
ている。
【0004】本発明は、充填後のレトルトパウチにおい
て、熱溶着部のシール不良の有無を能率良く検出すると
ともに、さらには、そのための検査工程の自動化に寄与
するシール不良検出装置を提供することを目的とする。
尚、本発明で示す包装材料のシート部材は、フィルムま
たはシート状のものであり、厚さとしては約0.4mm
以下のものを言う。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の構成を
採用した。 (1)各導電性層の外側面を樹脂シート部材でコーティ
ングし、内側面を熱溶着用シート部材でコーティング
し、一辺のみを残して袋状に貼り合わせ、内部に内容物
を充填した後に、残りの一辺を加熱して熱溶着したレト
ルトパウチ包装材のシール不良検出装置であって、前記
レトルトパウチ包装材の熱溶着部を入れるための略コ字
状の溝が形成され、この溝の底部に導通用接触部材を配
し、前記レトルトパウチ包装材の各導電性層に前記導通
用接触部材に接触して導通接続するセンサ部と、前記溝
を挟んで配される一組のプローブと、前記導通用接触部
材- プローブ間の各コンデンサの静電容量を電圧に変換
する一組の静電容量- 電圧変換回路と、変換された各電
圧が入力され、導電性層間の厚みに応じた出力電圧を送
出する厚み算出部と、前記レトルトパウチ包装材の熱溶
着部の端部を前記導通用接触部材に接触させながら、所
定の速さで溝内を相対的に通過させた時の出力電圧の変
化が、しきい値を越えるか設定した変化値を越える場合
には、シール不良であると判別するシール不良判別部と
を備える。 (2)各導電性層の外側面を樹脂シート部材でコーティ
ングし、内側面を熱溶着用シート部材でコーティング
し、一辺のみを残して袋状に貼り合わせ、内部に内容物
を充填した後に、残りの一辺を加熱して熱溶着したレト
ルトパウチ包装材のシール不良検出装置であって、略コ
字状の溝を形成したセンサ部と、前記溝を挟んで配され
る一組のプローブと、前記レトルトパウチ包装材の熱溶
着部を両側から把持する、一つまたは複数の把持部材
と、各把持部材に設けられ、前記レトルトパウチ包装材
の前記樹脂シート部材を貫いて前記導電性層と電気接触
する、一つまたは複数の導通用針と、前記導通用針- プ
ローブ間の各コンデンサの静電容量を電圧に変換する一
組の静電容量- 電圧変換回路と、変換された各電圧が入
力され、導電性層間の厚みに応じた出力電圧を送出する
厚み算出部と、前記レトルトパウチ包装材の熱溶着部を
溝内に入れた状態で、前記センサ部を所定の速さで相対
的に移動させた時の出力電圧の変化が、しきい値を越え
るか設定した変化値を越える場合には、シール不良であ
ると判別するシール不良判別部とを備える。 (3)上記(1)または(2)の構成を有し、前記溝を
挟んで配される一組のプローブに代えて、前記センサ部
の軸方向に、前記溝を挟んで複数組のプローブを設け
た。
【0006】
【0007】
【作用および発明の効果】(請求項1について)溝内にレトルトパウチ包装材の熱溶着部を入れ、レトル
トパウチ包装材の各導電性層と導通用接触部材とが導通
接続する状態にすると、熱溶着部は一組のプローブ間に
配されることになり、レトルトパウチ包装材の各導電性
層と各プローブ間との間にそれぞれ静電容量が現れる。
ここで、レトルトパウチ包装材の樹脂シート部材の導電
性層の面積に対して、プローブの面積が著しく小さくな
っていれば、導電性層の内、プローブの面積に対応する
部分についての静電容量が測定できるため、検出される
静電容量は、導電性層とプローブとの距離に反比例した
ものとなる。
【0008】一方、レトルトパウチ包装材において熱溶
着される熱溶着部では、例えば、ヒートバーなどの治具
により、包装材の外側から挟みまれて熱が加えられた
とき、内側の対向する熱溶着用の樹脂シート部材のみが
それぞれ溶融して互いに接着するため、熱溶着が正常に
行われた部分では、2枚の熱溶着用の樹脂シート部材の
熱溶着後の総厚みは、熱溶着前の総厚みに比べて小さく
薄くなり、逆に、熱溶着に異常があると、厚みが大きく
なり、これは、熱溶着用の樹脂シートの外側にそれぞれ
配された導電性層間の距離が、熱溶着用樹脂シート部材
の熱溶着が正常な部分では小さく、熱溶着が異常な部分
では大きくなることを意味する。
【0009】すなわち、各導電性層は、各導電性層の内
側の熱溶着用の樹脂シートの熱溶着が正常であれば、
プローブから各導電性層までの各距離の合計が大きくな
る方へ変位し、熱溶着が異常であれば、各プローブから
各導電性層までの各距離の合計が小さくなる方へ変位す
ることになる。この結果、各プローブと各導電性層間の
静電容量から、各プローブと各導電性層間の距離を求め
ることができる。
【0010】さらに、各プローブ間の距離は固定である
ため、このプローブ間距離から各検出用電極に対する
トルトパウチ包装材の各導電性層までの各距離を差し引
くことによって導電性層の内側に位置する熱溶着部を含
導電性層間の厚みを算出することができる。この厚み
は、正常に熱溶着されていれば小さく、熱溶着に異常が
あれば大きくなるため、これに基づいて熱溶着部のシー
ル不良を検出することができる。
【0011】レトルトパウチ包装材の導電性層を、導電
用接触部材と導通接続して、溝の両側のプローブと導電
性層との間の静電容量に基づいて導電性層間の熱溶着部
の厚みを算出し、その厚みからシール不良を検出するた
め、ある程度の幅を有する熱溶着部に対して、熱溶着部
の幅全体に対するシール不良の検出を容易に行うことが
できる。 また、レトルトパウチ包装材の熱溶着部の外側
の凹凸を検出するのではなく、熱溶着用の樹脂シート部
材の厚みそのものを直接測定することによってシール不
良を検出するため、熱溶着面への異物の噛み込みのみで
なく、熱溶着における加熱不良などによるシール不良お
よびはがれなどの場合にも、それを検出することができ
る。 また、熱溶着部の厚み自体について測定をするた
め、レトルトパウチ包装材の表面のしわ、はがれ、凹凸
等の形状や表面の色の影響を受けることがない。 (請求項2について)溝内にレトルトパウチ包装材の熱溶着部を入れ、レトル
トパウチ包装材の各導電性層と導通用針とが電気接触す
る状態にする。 レトルトパウチ包装材の導電性層を、導
通用針と導通接続して、溝の両側のプローブと導電性層
との間の静電容量に基づいて導電性層間の熱溶着部の厚
みを算出し、その厚みからシール不良を検出するため、
ある程度の幅を有する熱溶着部に対して、熱溶着部の幅
全体に対するシール不良の検出を容易に行うことができ
る。 また、レトルトパウチ包装材の熱溶着部の外側の凹
凸を検出するのではなく、熱溶着用の樹脂シート部材の
厚みそのものを直接測定することによってシール不良を
検出するため、熱溶着面への異物の噛み込みのみでな
く、熱溶着における加熱不良などによるシール不良およ
びはがれなどの場合にも、それを検出することができ
る。 また、熱溶着部の厚み自体について測定をするた
め、レトルトパウチ包装材の表面のしわ、はがれ、凹凸
等の形状や表面の色の影響を受けることがない。 (請求項3について)溝を挟んで配される一組のプローブに代えて、センサ部
の軸方向に、溝を挟んで複数組のプローブを設ける。
して、これらのプローブを、レトルトパウチ包装材に対
して相対的に移動させる。 こうすれば、相対移動距離を
短くすることができるため、シール不良の判別のための
処理時間を短くすることができ、処理能力を高めること
ができる。
【0012】
【0013】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。図
1は、シール不良があるか否かが判別されるレトルトパ
ウチ包装材100の外観の一例を示す。このレトルトパ
ウチ包装材100は、3層のシート部材が積層されて、
図1(a)に示すとおり、あらかじめ一方のみを残して
気密に貼り合わせられた既成の袋状のものに、内容物を
充填した後、残りの一方を、ヒートバー等によって加熱
処理が施されて、図1(b)に示すように熱溶着される
もので、この熱溶着部100aについてのシール不良が
判別される。
【0014】レトルトパウチ包装材100の構造は、図
2(a)に示すとおり、導電層101としてのアルミ箔
の両側をPET102、熱溶着シート部材としてのポリ
プロピレン層103の各樹脂によってそれぞれコーティ
ングした3層のシート部材が積層されたもので、ポリプ
ロピレン層103の面を内側に重ねて熱溶着が行われる
と、図2(a)において厚みt1であったポリプロピレ
ン層103の総厚みtが、図2(b)に示すように小さ
くなり、ポリプロピレン層103の総厚みtが厚みt2
となる。
【0015】図3は、本発明の実施例のシール不良検出
装置1の概略を示す。シール不良検出装置1は、静電容
量式変位計10とその測定信号に基づいてシール不良を
検出する演算処理部20とからなる。この静電容量変位
計10のセンサ部11には、図4に示すように、レトル
トパウチ包装材100の熱溶着部100aを通過させる
ための溝12が形成されており、センサ部11の溝12
を挟む両側の壁部には、レトルトパウチ包装材100に
対して静電容量を測定するためのプローブ13、14
が、溝12を挟む両側の各壁部をそれぞれ貫通するよう
に形成された穴内に、その検出部を溝12に面して配さ
れている。また、溝12の底部には、レトルトパウチ包
装材100の導電層101に対して導通接続するための
接地電極として、導通用接触部材15が備えられてい
る。
【0016】プローブ13、14は、センサユニット1
1の溝12内にレトルトパウチ包装材100を配したと
き、レトルトパウチ包装材100の導電層101に対し
て溝12内の空気およびレトルトパウチ包装材100の
PET102を誘電体とするコンデンサを形成し、その
静電容量を検出するための検出用電極を有するもので、
プローブ13、14は、形成されるコンデンサにおける
静電容量に応じた電圧を発生する静電容量−電圧変換回
路16、17に接続されている。
【0017】静電容量−電圧変換回路16、17は、図
5に示すとおり、周波数約20kHzの正弦波を発生す
る発振器OSCと、オペアンプOPによる増幅回路から
なる公知のもので、オペアンプOPの出力電圧eは、プ
ローブ13、14とレトルトパウチ包装材100の導電
性層101との間の静電容量Ciとフィードバック用の
コンデンサCfとにより e=−(Ci/Cf)・ei 数式1 で表され、これは、近似的に静電容量Ciに比例するこ
とになる、従って、 e=K・ΔC 数式2 となり、静電容量Ciの変化分ΔCに比例した出力電圧
が得られる。なお、ここで、Kは、等価回路の感度を表
す。数式2で、ΔCをプローブ13、14の電極をレト
ルトパウチ包装材100から十分離した時の静電容量に
対するレトルトパウチ包装材100に対向したときの静
電容量の増加分と見なすと、 e=K・(ε0・εs・S/L) 数式3 となり、距離L(変位)に対応した出力電圧が得られ
る。ここで、ε0は真空の誘電率、εsは誘電体の比誘
電率、Sはプローブの検出電極の対向面積である。出力
電圧eの値から、各プローブ13、14とレトルトパウ
チ包装材100における導電層101との距離L1、L
2が算出できる。なお、上記の静電容量−電圧変換回路
16、17において、発振器OSCの信号は図示しない
増幅用オペアンプを介して与えられ、また、オペアンプ
OPの出力電圧eは、図示しないリニアライザ回路およ
び増幅用オペアンプを介して演算処理部20へ伝送され
る。
【0018】静電容量変位計10の後段に設けられる演
算処理部20は、各静電容量−電圧変換回路16、17
の各出力電圧から、熱溶着されたレトルトパウチ包装材
100における各導電性層101の間のポリプロピレン
103を含む総厚みtを算出する厚み算出部21と、算
出された総厚みtから熱溶着部100aのシール不良が
あるか否かを判別するシール不良判別部とからなる。
【0019】厚み算出部21は、総厚みtを、上記の距
離L1、L2に相当する各出力電圧により、 t=p−(L1+L2) 数式4 の演算式に基づいて電圧信号を処理する演算回路により
求める。但し、pはセンサ部11におけるプローブ1
3、14の各検出部間の幅を示す固定値であって、溝1
2の幅とほぼ同じ幅(例えば、1mm)の値に設定され
ている。
【0020】シール不良判別部は、厚み算出部21の出
力信号をデジタル信号に変換するAD変換モジュール2
2と、AD変換モジュール22のデジタル信号に基づい
てシール不良の判別を行うためのパソコン(パーソナル
コンピュータ)23からなる。パソコン23は、AD変
換モジュール22の出力信号を、あらかじめ設定された
しきい値に基づいて判別し、しきい値より大きい場合
を、ポリプロピレン101の総厚みtが大きくなったシ
ール不良状態として判別して、シール不良報知ブザー、
シール不良報知ランプ、対象のレトルトパウチ包装材1
00を、検査ラインから外すなど、シール不良を示す旨
の出力処理を行う。
【0021】以上の構成からなる本実施例のシール不良
検出装置1によるレトルトパウチ包装材100のシール
不良検出では、熱溶着処理が終わったレトルトパウチ包
装材100の熱溶着部100aの端部をセンサ部11の
溝12の導通用接触部材15に接触させながら、熱溶着
部100aを所定の速さで通過させた場合、レトルトパ
ウチ包装材100における導電層101が導通用接触部
材15に接触するため、両側の導電層101は、静電容
量式変位計10において、各プローブ13、14に対す
る接地電極となり、静電容量−電圧変換回路16、17
には、各導電層101とその外側の各プローブ13、1
4との間の距離L1、L2に応じた出力電圧が現れ、厚
み算出部21では、これらの出力電圧に基づいて導電層
101間の総厚みtを算出する。
【0022】熱溶着部100aが、図6(a)に示すと
おり、正常に熱溶着されている場合には、厚み算出部2
1の出力電圧は、図7の実線aに示すとおり、レトルト
パウチ包装材100の熱溶着部100aがプローブ1
3、14間を通過する間だけ、一定電圧の信号が現れる
が、図6(b)、図6(c)にそれぞれ示すように、熱
溶着の異常部分100b、100cがあると、その部分
がプローブ13、14間を通過するときに、図7の破線
b、一点鎖線cにそれぞれ示すように、総厚みtが厚い
状態であることを示す信号が現れる。この総厚みtを示
す信号を、パソコン23に設定された所定のしきい値に
基づいて判別し、厚み算出部21の総厚みtを示す出力
信号がそのしきい値または設定した変化値を越えた場合
をシール不良が検出された状態として判別することがで
きる。
【0023】なお、パソコン23におけるシール不良の
判別動作は、固定されたセンサ部11に対して、レトル
トパウチ包装材100の熱溶着部100aを移動用器具
によって移動させることによって行うことができるが、
その際に、レトルトパウチ包装材100をセンサ部11
の溝12に通す移動用器具の動作と、パソコン23の判
別動作とを所定の時間差を与えて同期させておくことに
よって、シール不良判別の自動化を図ることができる。
図8にこの実施例の変形例を示す。シール不良の判別に
おいては、レトルトパウチ包装材100とセンサ部11
とが相対的に移動すればよいため、例えば、図8に示す
とおり、レトルトパウチ包装材100を固定しておき、
静電容量式変位計10のセンサ部11をモータ等を利用
した駆動装置によってレトルトパウチ包装材100に対
して移動させるようにしてもよい。
【0024】図9に本発明の第2実施例を示す。上記の
実施例では、レトルトパウチ包装材100の導電層10
1と静電容量変位計10の接地電極との導通接続を、セ
ンサ部11の溝12の底部に設けた導通用接触部材15
によって行ったが、導通用接触部材15に代えて、図9
に示すように、レトルトパウチ包装材100を把持する
ための把持部材30に、導通用針31を備えて、レトル
トパウチ包装材100を把持する際に、この針31をP
ET102を貫いて導電層101に接触させるようにし
てもよい。これにより、レトルトパウチ包装材100を
センサ部11の溝12に通す際に、より安定した導通接
続を行うことができる。この場合、複数の把持部材30
にそれぞれ導通用針31を設けたり、単一の把持部材3
0に複数の導通用針31を設けるなど、導通用針31を
複数個設けることにより、導電層101と静電容量変位
計10との導通接続をさらに安定させることができる。
【0025】以上の実施例では、静電容量式変位計10
のセンサ部11とレトルトパウチ包装材100とを相対
的に移動させる際に、一つのセンサ部11がレトルトパ
ウチ包装材100の熱溶着部100aの全体に対して相
対的に移動させるものを示したが、図10に示すよう
に、センサ部11に複数のプローブ13〜13c、14
〜14cを設けてこれらを一つのレトルトパウチ包装材
100に対して相対的に移動させるようにしてもよい。
この場合、相対移動距離を短くすることができるため、
シール不良の判別のための処理時間を短くすることがで
き、処理能力を高めることができる。
【0026】図11に、静電容量−電圧変換回路16、
17の他の実施例を示す。上記各実施例では、オペアン
プを用いたものを示したが、この実施例では、交流発振
器、ダイオードおよびコンデンサを組み合わせた公知の
回路構成を用いている。図中、C1はプローブ13の検
出用電極とレトルトパウチ包装材100との間に形成さ
れる静電容量で、プローブ13の検出用電極とレトルト
パウチ包装材100の導電層101との間の距離Lに対
してΔCを発生するものである。C2はC1に対して回
路の平衡をとるための静電容量で、ダイオードD1〜D
4の特性が等しく、C1=C2、C3=C4かつΔC=
0のとき出力電圧eが定常状態で0〔V〕になるように
設定する。これにより、ダイオードの抵抗値は小さく無
視できるので、C1=C2、C3=C4とすれば、出力
電圧eはフィルタを通して平滑されるので、近似的に e=K・ΔC 数式11 で表され、C1の変化分(静電容量ΔC)に比例した出
力電圧eが得られ、出力電圧eの値から、各プローブ1
3、14とレトルトパウチ包装材100における導電層
101との距離L1、L2が算出できる。
【0027】以上のとおり、本発明によれば、レトルト
パウチ包装材において、熱溶着が不良の部分の厚みを静
電容量変位計によって測定し、その測定結果に基づい
て、熱溶着のシール不良を検出するため、シール不良を
正確に検出することができる。また、熱溶着部の厚みを
静電容量を用いて検出するため、ある程度の幅を有する
熱溶着部に対して、正確にシール不良があるか否かを判
別することができる。また、熱溶着部の厚み自体につい
て測定をするため、レトルトパウチ包装材の表面の凹凸
や、導電層でアルミ箔の外側のPETのしわや、はがれ
の影響を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるレトルトパウチ包装材の外
観図である。
【図2】本発明が適用されるレトルトパウチ包装材の構
造を示す部分断面図である。
【図3】本発明を示すシール不良検出装置の構成を示す
ブロック図である。
【図4】本発明の実施例におけるシール不良検出装置の
センサ部の一例を示す外観図である。
【図5】本発明の実施例のシール不良検出装置における
静電容量−電圧変換回路を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例におけるシール不良の検出動作
が適用されるレトルトパウチ包装材におけるシール不良
の説明のための図である。
【図7】本発明の実施例のシール不良検出装置におい
て、図6のレトルトパウチ包装材についてシール不良の
検出を行った場合の厚み算出部の出力電圧を示す電圧波
形図である。
【図8】本発明の実施例におけるシール不良の検出動作
のための装置の変形例を示す外観図である。
【図9】本発明の実施例におけるシール不良検出装置の
センサ部の他の例を示す外観図である。
【図10】本発明の実施例におけるシール不良検出装置
のセンサ部のさらに他の例を示す平面図である。
【図11】本発明の実施例のシール不良検出装置におけ
る静電容量−電圧変換回路の他の実施例を示す回路図で
ある。
【符号の説明】
1 シール不良検出装置(レトルトパウチ包装材のシー
ル不良検出装置) 11 センサ部 12 溝 13、14 プローブ(2つの検出電極) 15 導通用接触部材(接地電極)16、17 静電容量−電圧変換回路 21 厚み算出部 23 パソコン(シール不良判別部) 30 把持部材 31 導通用針 100 レトルトパウチ包装材 100a 熱溶着部 101 導電層(導電性層)102 樹脂シート部材 103 ポリプロピレン(熱溶着用シート部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船戸 二郎 愛知県半田市亀州町2丁目119番 レイ ンボー第4半田401号 (72)発明者 伊藤 千里 愛知県知多郡武豊町豊成2丁目105番 (56)参考文献 特開 昭64−45278(JP,A) 実開 昭60−10706(JP,U) 実開 昭60−145304(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65B 57/00 - 57/20 G01B 7/02 - 7/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各導電性層の外側面を樹脂シート部材で
    コーティングし、内側面を熱溶着用シート部材でコーテ
    ィングし、一辺のみを残して袋状に貼り合わせ、内部に
    内容物を充填した後に、残りの一辺を加熱して熱溶着し
    たレトルトパウチ包装材のシール不良検出装置であっ
    て、 前記レトルトパウチ包装材の熱溶着部を入れるための略
    コ字状の溝が形成され、この溝の底部に導通用接触部材
    を配し、前記レトルトパウチ包装材の各導電性層に前記
    導通用接触部材に接触して導通接続するセンサ部と、 前記溝を挟んで配される一組のプローブと、 前記導通用接触部材- プローブ間の各コンデンサの静電
    容量を電圧に変換する一組の静電容量- 電圧変換回路
    と、 変換された各電圧が入力され、導電性層間の厚みに応じ
    た出力電圧を送出する厚み算出部と、 前記レトルトパウチ包装材の熱溶着部の端部を前記導通
    用接触部材に接触させながら、所定の速さで溝内を相対
    的に通過させた時の出力電圧の変化が、しきい値を越え
    るか設定した変化値を越える場合には、シール不良であ
    ると判別するシール不良判別部とを備えるレトルトパウ
    チ包装材のシール不良検出装置。
  2. 【請求項2】 各導電性層の外側面を樹脂シート部材で
    コーティングし、内側面を熱溶着用シート部材でコーテ
    ィングし、一辺のみを残して袋状に貼り合わせ、内部に
    内容物を充填した後に、残りの一辺を加熱して熱溶着し
    たレトルトパウチ包装材のシール不良検出装置であっ
    て、 略コ字状の溝を形成したセンサ部と、 前記溝を挟んで配される一組のプローブと、 前記レトルトパウチ包装材の熱溶着部を両側から把持す
    る、一つまたは複数の把持部材と、 各把持部材に設けられ、前記レトルトパウチ包装材の前
    記樹脂シート部材を貫いて前記導電性層と電気接触す
    る、一つまたは複数の導通用針と、 前記導通用針- プローブ間の各コンデンサの静電容量を
    電圧に変換する一組の静電容量- 電圧変換回路と、 変換された各電圧が入力され、導電性層間の厚みに応じ
    た出力電圧を送出する厚み算出部と、 前記レトルトパウチ包装材の熱溶着部を溝内に入れた状
    態で、前記センサ部を所定の速さで相対的に移動させた
    時の出力電圧の変化が、しきい値を越えるか設定した変
    化値を越える場合には、シール不良であると判別するシ
    ール不良判別部とを備えるレトルトパウチ包装材のシー
    ル不良検出装置。
  3. 【請求項3】 前記溝を挟んで配される一組のプローブ
    に代えて、 前記センサ部の軸方向に、前記溝を挟んで複数組のプロ
    ーブを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のレトルトパウチ包装材のシール不良検出装置。
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