JP3312420B2 - 屈折率分布型ロッドレンズアレイの製造方法 - Google Patents

屈折率分布型ロッドレンズアレイの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファクシミリ、複写
機、プリンターなどの光学機械の等倍結合光学系のレン
ズに使用されている屈折率分布型レンズアレイを、特に
その線径の細いロッドレンズを用いたレンズアレイを、
製造するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】半径方向に屈折率分布を有するロッド状
ガラス(以下、ロッドレンズと記す)は、その両端面が
平面でも凸レンズと同等の作用を示す。この前記ロッド
レンズを、1段あるいは複数段並べると、複合レンズ
(以下、ロッドレンズアレイと記す)として作用する。
【0003】このロッドレンズアレイは、隣接する各レ
ンズによる像が重なり合って、物体と像とが等倍(1対
1、倍率1)の関係を保った帯状の連続した一つの合成
像を作るため、線状の像をイメージセンサあるいは感光
ドラム上に結合させることができる。このため、ファク
シミリ,複写機,プリンターなどの光学機械の等倍結合
光学系のレンズとして利用されている。
【0004】現在、ロッドレンズアレイに用いられる単
一のロッドレンズの線径は、1mm程度のものが一般に
使用されており、もっとも細いものでも約0.6mm前
後である。
【0005】かかるロッドレンズを製造する方法として
は、以下に示すような方法が知られている。(例えば、
赤沢 旭、遠山 実:セルフォックレンズアレーの開発
と企業化,日化協月報,1984年9月号,P23〜3
2)。
【0006】まず、ノズル付きの白金ルツボを用いて、
ガラスを紡糸成形する。この紡糸されたガラスロッド
を、このガラス成分中のイオンと交換可能なイオンを含
み、そのガラス転移点付近の温度に保持された溶融塩に
長時間浸漬させて、イオン交換処理を行う。
【0007】これにより、溶融塩中のイオンがガラスロ
ッドの外周面から中心に向けて、ガラス中のイオンと交
換されることにより、断面内で屈折率が中心から外周面
に向けて漸次変化する、例えば屈折率が中心で最大で外
周で最小となるような分布を持つロッドレンズが製造さ
れる。
【0008】上述した方法で得られた前記ロッド状レン
ズでは、その内部で組成が連続的に変化し、それに伴っ
てロッド状レンズ内部の屈折率も連続的に変化する。こ
の場合、その屈折率分布は、一般に次のような式 n(r)2=n0 2・{1−(gr)2+h4・(gr)4
6・(gr)6+h8・(gr)8+・・・} で表わされる。ここで、この式でのn(r)は、前記ロ
ッド状レンズの中心から距離rでの屈折率を、n0 は前
記ロッド状レンズの中心の屈折率を、無次元数grは距
離rでの屈折力をそれぞれ表わし、半径r0でのgr0
大きい程、そのレンズの屈折力は大きい。また、h4
6 およびh8は屈折率分布定数を表わし、これらの数
値により周辺部の屈折率分布が決まる。
【0009】例えば、Li2O 成分を含有するロッド状
ガラスを溶融状態の硝酸ナトリウムに浸漬させて、一価
陽イオンとしてLiイオンとNaイオンとをイオン交換
させる場合、ロッド状ガラスのLiがロッド表面から溶
融塩中に出て行くため、イオン交換後のロッド状ガラス
には、中心部から周辺部にかけて連続的にLi2O成分
が少なくなる。
【0010】この場合、Li2O成分はNa2O成分に比
べて、屈折率を高くする成分なので、その中心部の屈折
率が最も大きく、周辺部にいくにしたがい連続的に屈折
率が小さくなるような屈折率分布がつくようになる。
【0011】さらに、上記ロッドレンズを用いて、ロッ
ドレンズアレイを製造する場合には、以下に示すフレア
カット処理を施す。上記のようにしてイオン交換された
ロッドレンズを、フッ酸とフッ化アンモニウムと水との
混合溶液(以下、フレアカット液と記す)中に数分間浸
漬させて、前記ロッドレンズの側面に細かい凹凸を化学
的につけて粗し、フレア光(レンズ中を通過する光の中
で結像に寄与せず、像のコントラストを低下させる余分
な光)を散乱させた後、そのロッドレンズの側面に黒色
塗料を塗り、フレア光を吸収させる、いわゆるフレアカ
ット処理を行う。
【0012】さらに、上述のフレアカットされた複数の
ロッドレンズを、2枚のFRP(ガラス繊維入りのエポ
キシ樹脂)側板の間に、1段あるいは複数段に手作業で
並べて組み立てる。つづいて、ロッドレンズの間隙に熱
硬化性の黒色のシリコン樹脂を充填加熱して固めて、ロ
ッドレンズの並んだ方向と直角の方向に一定長に切断し
て、その両切断面を光学研磨することで等倍結合光学系
のレンズとしている。
【0013】さて、ファクシミリや複写機などの光学機
械は、小型化すなわち原稿と像間距離を短くする要求が
あるため、その内部の等倍結合光学系レンズについて
も、前記距離を短くする必要がでてくる。
【0014】そのため、その等倍結合光学系レンズにロ
ッドレンズアレイを用いる場合、同じピッチにしようと
すれば、必然的にロッドレンズの線径を細くする必要が
ある。光学機械の小型化を実現するために、ロッドレン
ズの線径は0.5mm以下が求められ、さらに十分な小
型化に対応するためには、0.2mm前後の線径を持っ
たロッドレンズによって作られたロッドレンズアレイが
必要であることが要求されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の方法で
は、0.5mm以下の線径を有したロッドレンズを用い
てロッドレンズアレイを作製する場合、ロッド状ガラス
紡糸成形工程,イオン交換工程およびロッドレンズアレ
イの組み立て工程で、以下に述べるような問題点を生じ
ていた。
【0016】まず、紡糸成形工程での問題点について述
べる。従来のロッド状ガラス紡糸成形装置では、1.0
mm程度の線径のロッド状ガラスを紡糸するが、その時
の線径のばらつき範囲は4〜5μmであり、線径中心値
に対して±0.2〜0.25%のばらつきに抑えられて
いる。また、その時の紡糸速度は約15m/分である。
【0017】紡糸されたガラスの線径を細くするために
は、紡糸速度を上げることが考えられる。紡糸速度を上
げるためには、溶融ガラスの温度を上げて紡糸すること
になる。この場合、溶融ガラスをノズル部において、紡
糸成形に適したガラス温度まで冷却することができなく
なり、ポット部に溜った溶融ガラスがノズル部から流出
する危険が生じてくる。このため、一般的に紡糸速度に
は、自ずから限界が存在することになる。
【0018】さらに、紡糸速度を上げると線径のばらつ
きも大きくなり、上述の範囲を越えるため、実用上ロッ
ドレンズとして使用できなくなってしまう。したがっ
て、上述したような紡糸装置で線径0.5mm以下のロ
ッド状ガラスを、紡糸速度を上げることによって紡糸成
形することは困難となってくる。
【0019】したがって、線径の細い、特に線径0.2
mm程度のロッド状ガラスを、線径のばらつきを抑えて
紡糸することは、現在の技術ではきわめて実現が困難で
ある。
【0020】つぎに、上述のイオン交換にて、屈折率分
布をつける場合の問題点について述べる。線径が1mm
程度のロッド状ガラスをイオン交換処理する場合、その
イオン交換時間は数百時間である。例えば、Li2O を
含み線径が約1mmのロッド状ガラスを、その該ガラス
転移点付近の温度に保持した硝酸ナトリウム中でイオン
交換する場合の、イオン交換時間は約200時間であ
る。
【0021】一般に、イオン交換時間は線径の二乗に比
例するため、線径が0.5mm程度のロッド状ガラスの
場合は、そのイオン交換時間は約50時間程度となる。
さらに、線径が0.2mmまで細くなると、そのイオン
交換時間は約8時間程度となってしまい、イオン交換処
理をばらつきが大きくなる。
【0022】つまり、レンズ性能を決める屈折率分布の
制御ができないということになる。このため、レンズの
性能が大きくばらつき、工業的なレンズ生産が行えない
という問題点があった。
【0023】さらに、上述のフレアカット処理では、ロ
ッドレンズの線径が細くなってくると、その線径に対し
て、フレアカットのために粗にした部分の占める割合が
多くなり、このためレンズの有効径が小さくなるという
問題点があった。
【0024】最後に、組み立て工程での問題点について
述べる。上述のロッドレンズアレイの組み立てでは、イ
オン交換された複数のロッドレンズを、2枚のFRP板
の間に1段あるいは複数段に手作業で並べている。例え
ば、A4サイズ(210mm幅)の原稿を扱うファクシ
ミリあるいは複写機などの光学機械用のロッドレンズア
レイの場合、1段のそれでは、約210本のロッドレン
ズ(線径1mm)を規則正しく並べなければならない。
【0025】しかし、手作業であるために、隣接するロ
ッドレンズが必ずしも平行に並ばず、若干相互に傾く箇
所ができる、いわゆる配列乱れができる場合がある。こ
の場合、配列乱れの箇所は、隣接するロッドレンズによ
ってできる像が正確に重ならず、得られた合成像がぼけ
てしまう。したがって、配列乱れのあるロッドレンズア
レイは等倍結合光学系のレンズとして、もはや使用でき
なってしまう。
【0026】さらに、ロッドレンズの線径が細くなるほ
ど、ロッドレンズのハンドリングが難しくなることや、
例えば、線径0.2mmのロッドレンズを用いると、A
4サイズ用のロッドレンズアレイの場合では、その数約
1050本を並べることが必要となるなど、その本数が
飛躍的に多くなることから、配列乱れの起こる確率もだ
んだん高くなるという問題点があった。
【0027】本発明の目的は、その線径0.5mm以下
で屈折率がよく制御された屈折率分布型ロッドレンズを
作製し、さらにこれを規則正しく配列されたロッドレン
ズアレイを製造する方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明では、 (イ)線径の太いロッド状ガラスをイオン交換処理する
ことによって、半径方向に屈折率分布を有するロッド状
ガラスを作る工程。 (ロ)前記ロッド状ガラスを母材として、これを加熱延
伸して線径の細いファイバ状の屈折率分布型ロッドレン
ズを作る工程。 (ハ)前記ロッドレンズの表面に、光吸収性樹脂を連続
的にコーティングする工程。 (ニ)前記コーティングしたロッドレンズを平行に並ぶ
ようにドラムに巻き取る工程。 (ホ)巻き取られて筒状となった前記ロッドレンズの隣
接するレンズを、接着用樹脂で仮止めする工程。 (ヘ)前記ロッドレンズの筒を、ロッドレンズと直角方
向に、1箇所あるいは複数箇所で切断する工程。 (ト)切断した前記ロッドレンズを、平坦なシート状に
展開する工程。 (チ)少なくとも1組のシート状の前記ロッドレンズ
を、2枚の側板に挟んでその隙間に接着剤を充填し固め
て、ロッドレンズアレイ板とする工程。 (リ)前記アレイ板を前記ロッドレンズと直角方向に切
断して、その両切断面を光学研磨して屈折率分布型ロッ
ドレンズアレイとする工程。 以上の工程からなる屈折率分布型ロッドレンズアレイを
製造した。
【0029】
【実施例】以下に、本発明を図面に示した実施例に基づ
いて、詳細に説明する。図1は、本発明方法で使用する
ロッドレンズアレイを製造する装置の概略構成断面図で
ある。
【0030】まず、ロッドレンズ加熱延伸炉11は、予
熱ヒータ部12Aとこれに続く成形ヒータ部12Bを持
つ構造をしている。予めイオン交換処理された母材ロッ
ドレンズ20は、図1のように保持され、まず予熱ヒー
タ部12Aで予熱され、さらに、これに続く成形ヒータ
部12Bで、ガラス軟化点以上に加熱される。そして、
母材の送り出し速度と引張り速度をうまく調整すること
によって、所望の線径に延伸する。
【0031】こうして、ロッドレンズ21に加熱延伸さ
れた後、ポット13中を通過する際に、そのポット内に
供給された液状の紫外線硬化性樹脂(カーボンブラック
を含む)が塗布される。さらに、ポットの出口に備えら
れたダイスによって、その線径が整えられる。
【0032】その後、紫外線照射ランプハウス14によ
って、ロッドレンズ12表面の樹脂を硬化させて、一対
の引張りロール15AおよびBを通過した後、巻き取り
ドラム16に隙間なく正確に巻き取られる。
【0033】なお、ロッドレンズ12の線径の制御は、
ロッドレンズ加熱延伸炉11の直下にあるレーザー測定
機17で線径を測定して、設定値からの測定値のずれを
少なくする方向に引張りロール15AおよびBの回転数
を変化させて行った。
【0034】図2は、本発明の方法において、加熱延伸
されたロッドレンズ21を巻き取ったドラム16の斜視
図である。加熱延伸速度と連動した巻き取りを行うこと
で、正確で整ったロッドレンズ配列とすることができ
る。この巻き取られ筒状となったロッドレンズ22を、
カーボンブラックを含むエポキシ樹脂やシリコン樹脂な
どの接着剤で、隣接するロッドレンズを仮接着して、そ
の配列が乱れないようにする。
【0035】なお図2では、円筒状のドラムを示してい
るが、その隅に曲率を持った多角柱でもよい。この場合
には、その隅の位置で切断を行うと、展開したロッドレ
ンズの直線性が良好となる効果がある。
【0036】さらに、この筒状のロッドレンズ22をロ
ッドレンズと直角方向の線23で切断する。これを平坦
な面に押しつけるなどして展開して、シート状のロッド
レンズアレイ24とする。
【0037】このシート状ロッドレンズ24を、図3に
示すように、2枚のFRP(ガラス繊維入りのエポキシ
樹脂)側板33Aおよび33Bの間にはさんで、黒色シ
リコン樹脂34を隙間に充填接着して、ロッドレンズア
レイ板25を作製する。
【0038】このロッドレンズアレイ板25を、ロッド
レンズに直角の方向に、所望のレンズ長(後述の研磨代
を含む)に切断する。切断したロッドレンズアレイ25
A、25B、25C・・・の両切断面を光学研磨して、
図4に示すロッドレンズアレイ31を作製する。
【0039】この場合、シート状ロッドレンズ24を1
枚はさめば、1段のロッドレンズアレイ31となり、シ
ート状ロッドレンズ24を2枚はさめば、2段のロッド
レンズアレイ32となる。なお、2段のロッドレンズア
レイのロッドレンズは千鳥状に並べるとよい(図4参
照)。また、ロッドレンズ巻き取りの際に、2段に巻き
取ったものを用いても同様である。
【0040】以上、述べてきた方法によって、線径の細
い各ロッドレンズが、規則正しく配列された屈折率分布
型ロッドレンズアレイを作製することができる。
【0041】(具体例)以下に、本発明の具体的数値例
について説明する。
【0042】(具体例1)まず、SiO2:56%,M
gO:10%,Li2O:14.6%,Na2O:10.
4%,TiO2:7%,ZrO2:2%のガラス組成(m
ol%で)を持ち、その寸法が線径11.6mmで長さ
130mmのロッド状ガラスを作製した。
【0043】上記ロッド状ガラスを、530℃に保った
硝酸ナトリウムの溶融塩中に、約300時間保持してイ
オン交換を行った。イオン交換後のロッド状ガラス(母
材ロッドレンズ)は別の電気炉中で約530℃から室温
まで、約1日かけて徐冷されて、熱割れを防いだ。
【0044】まずここで、上述の母材ロッドレンズ20
を用い、線径0.6mmのロッドレンズを加熱延伸成形
し、その屈折率分布を測定した。その理由は、線径0.
2mmのロッドレンズでは、その線径が細すぎるため
に、従来の測定装置ではその測定が不可能であったため
である。
【0045】図5に示した寸法形状の構造を持つロッド
レンズ加熱延伸炉11中に、母材ロッドレンズ20が鉛
直になるようにセットし、加熱延伸後の線径が0.6m
mのロッドレンズ21になるように、約0.6m/分の
速度で加熱延伸成形した。このときの予熱ヒータ部の温
度は440℃、成形ヒータ部の温度は600℃に設定し
た。
【0046】測定の結果、加熱延伸前のロッドレンズg
0 値は、0.183であり、加熱延伸後の0.6mm
のロッドレンズのgr0 値は、0.182であった。こ
のLi2O を含むガラス組成を持つロッドレンズの場合
は、上述した場合と異なり、加熱延伸前後でのgr0
変化が、ほとんどないことがわかった。つまり、この場
合加熱延伸後のロッドレンズのgr0 は、加熱延伸前の
母材ロッドレンズのgr0で決まることになる。
【0047】レンズの光学特性を決定するためには、こ
のgr0のほか、h4,h6およびh8等の高次の屈折率分
布定数を求める必要がある。しかしながら、上述のガラ
ス組成のロッドレンズの場合は、これらの高次の屈折率
分布定数を正確に求めることができない。
【0048】これらの高次の屈折率分布定数は、レンズ
の周辺部の屈折率分布を決めているので、この線径0.
6mmのレンズで、格子縞パターンを観察して、レンズ
周辺部の像の歪の有無を肉眼で確認した。この線径0.
6mmのレンズでは、線径1.0mmのレンズと比較し
ても、同じ程度の歪のない像が得られることがわかっ
た。
【0049】この結果、この線径0.6mmのレンズ
は、線径1.0mmのレンズと同じ程度の光学性能を有
していると考えることができる。
【0050】つぎに、上述の母材ロッドレンズ20を用
いて、加熱延伸速度を約5m/分とした以外は、線径
0.6mmの場合と同じ条件で、線径が0.2mmのロ
ッドレンズ21になるように加熱延伸成形した。
【0051】上述したように、線径0.2mmのロッド
レンズ屈折率分布の測定は、不可能である。しかし、加
熱延伸時の温度条件は同じであり、さらにその温度に曝
されている時間は、線径0.2mmの場合、線径0.6
mmのときより短かくなることから、加熱延伸時の加熱
によるイオンの拡散の影響は、線径0.6mmのときよ
りさらに少なくなるものと考えられる。
【0052】したがって、線径0.2mmのロッドレン
ズのgr0 は、線径0.6mmのロッドレンズのgr0
とほぼ同程度と推定することができる。
【0053】さらに、上述と同様に、格子縞パターンを
観察して、レンズ周辺部の像の歪の有無を肉眼で確認し
た。この線径0.2mmのレンズでも、線径1.0mm
のレンズと比較しても、同じ程度の歪のない像が得られ
ることがわかった。
【0054】以上より、この線径0.2mmのレンズ
は、母材である線径1.0mmのレンズと同じ程度の光
学性能を有していることが推定される。
【0055】最終的にできるロッドレンズアレイの光学
性能は、アレイを構成する個々(単一)のロッドレンズ
の性能で決まる。したがって、母材である線径11.6
mmのロッド状ガラスの屈折率分布を、イオン交換処理
の条件を変えることにより制御できるので、線径の細い
(例えば線径0.2mm)ロッドレンズアレイの光学性
能も制御することができる。
【0056】つぎに、加熱延伸されたロッドレンズ21
は、日本合成ゴム(株)製のデソライト(登録商標)9
50Y132にカーボンブラックを含んだ紫外線硬化性
樹脂を満たしたポット13中を通過させて、その表面に
前記液状樹脂を塗布する。さらに、その出口の径340
μmのダイスによって、その線径が整えられる。
【0057】その後、前記ポットの直下にある紫外線照
射ランプ(出力0.6KW)ハウス14中を通過させて
前記液状樹脂を硬化させて、ロッドレンズ表面のコーテ
ィングを行った。その時のロッドレンズの線径は、0.
25mm(±3μm)となった。
【0058】つづいて、上述のように表面をコーティン
グされたロッドレンズ21は、表面をシリコンラバーゴ
ムで覆った引張りロール15A,Bの間を通過した後、
外径122mmの塩化ビニル製の円筒状ドラム16に、
ロッドレンズ同士に隙間なく正確に巻き取られた。この
場合、母材の体積の関係で、一重巻きとなった。
【0059】つぎに、上述のようにドラムに巻き取られ
筒状になったロッドレンズ22を、カーボンブラックを
含ませた2液混合型エポキシ樹脂である、昭和高分子
(株)製アラルダイト(登録商標)スタンダード(長時
間硬化型)接着剤を、ロッドレンズの表面に塗布して、
ロッドレンズの配列を乱さないように、仮接着した。
【0060】その後、接着剤がやや硬化したときに、ロ
ッドレンズと直角方向の線23で切断した。さらに、切
断したロッドレンズを、平面に押しつけ平坦なシート状
ロッドレンズ24を作製した。そのシート状ロッドレン
ズ24を、黒色シリコン樹脂である信越化学(株)製の
信越シリコーン接着剤KE42Bを用いて、2枚のFR
P側板33A,Bの隙間に充填接着して固め、1段のロ
ッドレンズアレイ板25を作製した。
【0061】このロッドレンズアレイ板25を、ロッド
レンズ21と直角の方向に、切断してその両切断面を光
学研磨して、レンズ長2.49mm、アレイ幅約100
mmの1段のロッドレンズアレイ31を作製した。
【0062】つぎに、上述のように作製したロッドレン
ズアレイ31のMTF(ModulationTransfer Functio
n)光学性能を測定した。このMTFは、ロッドレンズ
アレイによって結像した矩形波格子パターンの像をCC
Dイメージセンサで受光し、その光量レベルからロッド
レンズアレイのレスポンス関数MTFを次式にて算出し
たものである。
【0063】MTF(W)={(i(W)maxーi(W)min)/(i
(W)max+i(W)min)}×100(%) ここで、i(W)max,i(W)minは、空間周波数W(lp/mm)にお
ける矩形波応答の極大値、極小値である。
【0064】すなわち、MTFが100%に近いほど原
画に忠実な像が形成されていることになる。ここでの測
定は、光源はハロゲン光源、テストチャートの空間周波
数は6(lp/mm)の条件で行った。
【0065】測定の結果、MTF値は51%となり、従
来ファクシミリ、プリンターなどの光学機械用の等倍結
合光学系の線径0.9mmの1段ロッドレンズアレイ
(商品名:SLA−20B,日本板硝子(株)製)のM
TF値約50%とほぼ同じ値が得られ、同等の光学性能
を持っていることがわかった。
【0066】したがって、今回作製した線径0.2mm
の1段ロッドレンズアレイは従来の1段ロッドレンズア
レイが用いられている用途に十分使用可能であり、従来
のロッドレンズアレイが対応できない光学機械の小型化
に、十分対応することができる。
【0067】(具体例2)具体例1と同様な方法で作製
した2枚のシート状ロッドレンズアレイを、やはり具体
例1と同じく黒色シリコン樹脂である信越化学(株)製
の信越シリコーン接着剤KE42Bを用いて、2枚のF
RP側板の間にはさんで接着し2段のロッドレンズアレ
イシートを作製した。この場合、2枚のロッドレンズシ
ートは、2段のロッドレンズが最密になるように配列し
(各ロッドレンズが千鳥状に並ぶ)、接着した(図4
(b)参照)。
【0068】そのロッドレンズアレイ板をロッドレンズ
と直角の方向に、切断してその両切断面を光学研磨し
て、レンズ長2.59mm,アレイ幅約100mmの2
段のロッドレンズアレイ32を作製した。
【0069】つぎに、作製したロッドレンズアレイ32
のMTF光学性能を測定した。ここでの測定条件は、具
体例1と同じとした。
【0070】測定の結果、MTF値は53%となり、従
来ファクシミリ,プリンターなどに用いられている、等
倍結合光学系の線径0.9mmの2段ロッドレンズアレ
イ(商品名:SLA−20B)のMTF値約50%とほ
ぼ同じ値が得られ、同等の光学性能を持っていた。
【0071】したがって、今回作製した線径0.2mm
の2段ロッドレンズアレイ32は、従来の2段ロッドレ
ンズアレイが用いられている用途に十分使用可能であ
り、従来のロッドレンズアレイが対応できない光学機械
の小型化に十分対応することができる。
【0072】今回作製した具体例1および2のロッドレ
ンズアレイは、いずれもLi2Oを含むガラスを使用し
ているために、色収差が小さく、カラー化への対応も可
能である。なお、上述のSLA−20Bでは、Tl2
を含むガラスを使用しているために、色収差が大きく単
波長光での使用のみに限定されている。
【0073】
【発明の効果】本発明の方法により、線径が0.5mm
以下のロッドレンズの屈折率分布を制御することが可能
になり、ひいては線径が0.5mm以下の屈折率分布型
レンズアレイの光学性能を制御することが可能になっ
た。
【0074】加えて、細い線径のロッドレンズからな
る、屈折率分布型レンズアレイの低コスト化が図れる。
【0075】さらに、本発明で得られた屈折率分布型レ
ンズアレイを用いることによって、光学機械の小型化に
対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロッドレンズアレイを製造する装
置の概略図
【図2】本発明の方法でロッドレンズを巻き取ったドラ
ムの模式図
【図3】シート状のロッドレンズを2枚の側板にはさん
だ状態を示す説明図
【図4】本発明の方法で作製したロッドレンズアレイの
レンズ面
【図5】一実施例である加熱延伸炉の詳細図
【符号の説明】
11 ロッドレンズ加熱延伸炉 12A 予熱ヒータ部 12B 成形ヒータ部 13 ダイスを備えたポット 14 紫外線照射ランプハウス 15A,B 引っ張りロール 16 巻き取りドラム 17 ロッドレンズの線径レーザー測定機 20 母材ロッドレンズ 21 (加熱延伸)ロッドレンズ 22 筒状に巻き取られたロッドレンズ 23 ロッドレンズの切断位置を表す線 24 シート状ロッドレンズアレイ 25 (切断前の)ロッドレンズアレイ板 31 1段ロッドレンズアレイ 32 2段ロッドレンズアレイ 33A,B FRP側板 34 合成樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−223401(JP,A) 特開 平1−280702(JP,A) 特開 平3−213806(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)線径の太いロッド状ガラスをイオ
    ン交換処理することによって、半径方向に屈折率分布を
    有するロッド状ガラスを作る工程。 (ロ)前記ロッド状ガラスを母材として、これを加熱延
    伸して線径の細いファイバ状の屈折率分布型ロッドレン
    ズを作る工程。 (ハ)前記ロッドレンズの表面に、光吸収性樹脂を連続
    的にコーティングする工程。 (ニ)前記コーティングしたロッドレンズを平行に並ぶ
    ようにドラムに巻き取る工程。 (ホ)巻き取られて筒状となった前記ロッドレンズの隣
    接するレンズを、接着用樹脂で仮止めする工程。 (ヘ)前記ロッドレンズの筒を、ロッドレンズと直角方
    向に、1箇所あるいは複数箇所で切断する工程。 (ト)切断した前記ロッドレンズを、平坦なシート状に
    展開する工程。 (チ)少なくとも1組のシート状の前記ロッドレンズ
    を、2枚の側板に挟んでその隙間に接着剤を充填し固め
    て、ロッドレンズアレイ板とする工程。 (リ)前記アレイ板を前記ロッドレンズと直角方向に切
    断して、その両切断面を光学研磨して屈折率分布型ロッ
    ドレンズアレイとする工程。 以上の工程からなることを特徴とする、屈折率分布型ロ
    ッドレンズアレイの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、加熱延伸して得られ
    る屈折率分布型ロッドレンズの線径が、0.5mm以下
    である屈折率分布型ロッドレンズアレイの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、ガラスは以下に示す
    組成(mol%)を有する屈折率分布型ロッドレンズア
    レイの製造方法。 SiO2:25〜68% TiO2:2〜16% B23:0〜25% Al23:0〜10% ただし、SiO2+TiO2+B23+Al23=58〜
    77% MgO:4〜22% PbO:0〜13% ただし、MgO+PbO=4〜22% Li2O:2〜18% Na2O:3〜22%
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