JP3311526B2 - 軸流送風機 - Google Patents

軸流送風機

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JP3311526B2
JP3311526B2 JP29986794A JP29986794A JP3311526B2 JP 3311526 B2 JP3311526 B2 JP 3311526B2 JP 29986794 A JP29986794 A JP 29986794A JP 29986794 A JP29986794 A JP 29986794A JP 3311526 B2 JP3311526 B2 JP 3311526B2
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寛人 吉海
恭 高津
幸二 中川
真人 大久保
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軸流送風機に係り、通
風設備等に適用される軸流送風機の性能改善のための流
れ剥離防止手段に関するもので、各種産業に利用され
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、軸流送風機の吸込口や吐出口あ
るいはケーシング内部などで大きな曲面部があり、取扱
い流体の流れの向きを急に変えると、流れは曲がり切れ
ずに剥離状態になる。流れが剥離すると、大きな渦がで
きるなどの現象が起り、圧力損失が増える。特に、羽根
車の上流側で渦が出ると、羽根が渦を吸うので流体性能
が低下し騒音が発生する。また、羽根車の下流側で渦が
出ると流体損失が増えることになる。
【0003】そこで、軸流送風機の吸込口や吐出口にお
ける、流れの剥離による流体損失を小さくするために
は、吸込口をRの付いたベルマウス形状にしたり、吐出
口の内筒表面を羽根車回転軸方向に対して傾斜させるこ
とが多い。この種従来技術としては、例えば、特開平2
−301700号公報記載のものが知られている。この
Rを大きくすればするほど、また、テーパーを緩やかに
して内筒を長くすればするほど、吸込口や吐出口での流
れの剥離による流体損失は小さくなるが、軸流送風機の
大きさが大きくなり、製作費が高くなるという欠点があ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解決するためになされたもので、軸流送風
機の大きさを大きくせず、また、製作費を高くせずに、
流れの剥離による流体損失を防止し、高効率で低騒音の
軸流送風機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の軸流送風機に係る第一の発明の構成は、回
転する羽根車と、この羽根車の下流に設けた静翼もしく
は整流板と、前記羽根車の回転軸方向に対して傾斜した
方向に吸込口を有する吸込ケーシングと、前記静翼もし
くは整流板の下流に設けたディフューザと、このディフ
ューザの下流に設けた円筒状の吐出管と、後端に傾斜が
付いた円筒状のディフューザ内筒とを備えてなる軸流送
風機において、少なくとも、前記吸込ケーシング内の、
流れを回転軸方向と並行になるように転向させている面
の上流側であり、流れを転向させるために角度もしくは
Rが付いている部分の直前の面で、かつ前記吸込ケーシ
ングの入口から前記羽根車までの短い流路側の壁面に、
第一の流れ剥離防止手段を設け、前記静翼もしくは整流
板の位置する下流の外筒内面で、該外筒の内径が広がる
ディフューザ入口に近い流路面に、該流路面の全周にわ
たって第二の流れ剥離防止手段を設け、前記ディフュー
ザ内筒後端の傾斜部より上流の内筒表面に、該内筒表面
の全周にわたって第三の流れ剥離防止手段を設けたもの
である。
【0006】
【作用】上記技術的手段による働きは次のとおりであ
る。第一の発明では、吸込ケーシング内の、流れを回転
軸方向と並行になるように転向させている面の上流側で
あり、流れを転向させるために角度もしくはRが付いて
いる部分の直前の面で、かつ前記吸込ケーシングの入口
から前記羽根車までの短い流路側の壁面に、流れ方向に
対して傾きをもって特定間隔で設けられている第一の流
れ剥離防止手段に係る台形の板状部材の突起が、壁面流
れを減速させるので、壁面流れの急カーブ時の剥離を生
じにくくしている。
【0007】また、静翼もしくは整流板の位置する下流
の外筒内面で、該外筒の内径が広がるディフューザ入口
に近い流路面では、流れ方向に対して傾きをもって、流
路面の全周にわたって特定間隔で設けられている第二の
流れ剥離防止手段に係る台形の板状部材の突起が、壁面
流れを減速させるので、ディフューザの内径の広がりに
よる壁面流れの急カーブ時の剥離を生じにくくしてい
る。
【0008】さらに、ディフューザ内筒後端の傾斜部よ
り上流の内筒表面では、流れ方向に対して傾きをもっ
て、内筒表面の全周にわたって特定間隔で設けられてい
る第三の流れ剥離防止手段に係る台形の板状部材の突起
が、壁面流れを減速させるので、ディフューザ内筒後端
の傾斜による壁面流れの急カーブ時の剥離を生じにくく
している。
【0009】
【実施例】以下本発明の各実施例を図1ないし図7を参
照して説明する。図1は、第一の発明の一実施例に係る
軸流送風機の略示縦断面図、図2は、第二の発明の一実
施例に係る軸流送風機の略示縦断面図、図3は、図1,
2のA−A矢視断面図、図4は、図1,2のB−B矢視
断面図、図5は、図4のD−D矢視断面図、図6は、図
1のC−C矢視断面図、図7は、図6のE−E矢視断面
図である。
【0010】〔実施例 1〕 第一の発明の実施例を図1および図3ないし図7を参照
して説明する。図1において、1は回転軸、Oはその軸
心、2は、回転軸1に嵌着された羽根車、3は、羽根車
2の下流に設けた静翼もしくは整流板、4は、羽根車2
の両側に設けた軸受、5は、羽根車2の回転軸方向(軸
心O)に対して傾斜した方向に吸込口を有する吸込ケー
シング、6は、吸込ケーシング5から流れを転向させる
Rの付いた後のケーシングである円筒状の外筒、7は、
静翼もしくは整流板3の下流側で外筒の内径が広がって
ゆくディフューザ、8は、ディフューザ7に接続する吐
出管、9は、回転軸1を覆う円筒状のディフューザ内
筒、9aは、ディフューザ内筒後端の傾斜部である。前
記外筒6は、羽根車2を収容し、静翼もしくは整流板3
は、前記外筒6とディフューザ内筒9との間に固定され
ている。ディフューザ内筒9の後部は吐出管8の内部ま
で延びている。
【0011】すなわち、図1に示す軸流送風機は、ケー
シング外に設置されたモータ(図示せず)等駆動手段に
連結する回転軸1により回転する羽根車2と、この羽根
車2の下流に設けた静翼もしくは整流板3と、前記羽根
車2の回転軸方向に対して傾斜した方向に吸込口を有す
る吸込ケーシング5と、前記静翼もしくは整流板3の下
流に設けたディフューザ7と、このディフューザの下流
に設けた円筒状の吐出管8と、この吐出管8の内部まで
延びている、後端に傾斜部9aを有する円筒状のディフ
ューザ内筒9とを備えてなるものである。
【0012】このような軸流送風機においては、モータ
の通電により羽根車2が回転し、吸込ケーシング5から
吸気された流体(空気)は羽根車2の翼列で昇圧し、静
翼もしくは整流板3で旋回流が除去され流れが矯正され
てのち、ディフューザ6に入り低速,高圧の流れとなっ
て吐出管8から吐出される。このとき、吸込ケーシング
5から外筒6に至る急カーブ部、静翼もしくは整流板3
の下流側で外筒の内径が広がってゆくディフューザ7入
口部分、ディフューザ内筒9の後端の傾斜部9aでは、
流れの急転向により剥離現象を生じる。
【0013】そこで、図1に示す軸流送風機では、吸込
ケーシング5内の、流れを回転軸1方向と並行になるよ
うに転向させている面の上流側であり、流れを転向させ
るためにRが付いている部分の直前の面で、かつ前記吸
込ケーシング5の入口5bから前記羽根車2までの短い
流路側の壁面5aに、第一の流れ剥離防止手段に係る2
個一組の突起10aが複数組設けられている。
【0014】前記2個一組の突起10aは、図1に示す
ように、壁面5a側(取付面側)を下辺とし流れの主流
側側面を上辺として見れば、下辺と上辺とが並行、かつ
下辺が上辺より長さが長く形成されたものであり、流れ
に対して前縁となる辺と後縁となる辺とが並行、かつ後
縁辺は前縁辺より長さが長く形成されており、前縁辺と
後縁辺とが前記下辺に対して必ず垂直となる台形の板状
部材となっている。そして、この2個一組の突起10a
が、図3に示すように、流れの方向に対して傾きをもっ
て配置され、例えば逆ハの字状のものが複数組、特定間
隔で設けられている。
【0015】2個一組の突起10aは、壁面5aに沿う
流れを減速させるので、壁面流れの急カーブ時の流れの
剥離を抑制することができる。したがって、羽根車2の
回転時に、流れの剥離による渦を羽根が吸うことがな
く、流体性能の低下および騒音の発生を防止することが
できる。
【0016】また、図1に示す軸流送風機では、静翼も
しくは整流板3の位置する下流の外筒6内面で、該外筒
6の内径が広がるディフューザ7入口に近い流路面6a
に、該流路面6aの全周にわたって第二の流れ剥離防止
手段に係る2個一組の突起10bを設けている。図4
は、図1のB−B断面を示しており、2個一組の突起1
0bは流路面6aの全周にわたって特定間隔で複数組設
けられている。
【0017】前記2個一組の突起10bは、図1に示す
ように、外筒6の流路面(壁面)6a側(取付面側)を
下辺とし流れの主流側側面を上辺として見れば、下辺と
上辺とが並行、かつ下辺が上辺より長さが長く形成され
たものであり、流れに対して前縁となる辺と後縁となる
辺とが並行、かつ後縁辺は前縁辺より長さが長く形成さ
れており、前縁辺と後縁辺とが前記下辺に対して必ず垂
直となる台形の板状部材となっている。そして、この2
個一組の突起10bが、図5に示すように、流れ方向に
対して傾きをもって配置され、例えば逆ハの字状のもの
が複数組特定間隔で設けられている。
【0018】2個一組の突起10bは、流路面6aに沿
う流れを減速させるので、壁面流れの急カーブ時の流れ
の剥離を抑制することができる。したがって、羽根車2
の下流側で流れの剥離による渦が出ることがなく、流体
損失の増えることが抑制される。
【0019】さらに、図1に示す軸流送風機では、ディ
フューザ内筒9後端の傾斜部9a直前の上流の内筒8表
面に、該内筒9表面の全周にわたって第三の流れ剥離防
止手段に係る2個一組の突起10cを設けている。図6
は、図1のC−C断面を示しており、2個一組の突起1
0cは内筒9表面の全周にわたって特定間隔で設けられ
ている。
【0020】前記2個一組の突起10cは、図1に示す
ように、ディフューザ内筒9表面側(取付面側)を下辺
とし流れの主流側側面を上辺として見れば、下辺と上辺
とが並行、かつ下辺が上辺より長さが長く形成されたも
のであり、流れに対して前縁となる辺と後縁となる辺と
が並行、かつ後縁辺は前縁辺より長さが長く形成されて
おり、前縁辺と後縁辺とが前記下辺に対して必ず垂直と
なる台形の板状部材となっている。そして、この2個一
組の突起10cが、図7に示すように、流れ方向に対し
て傾きをもって配置され、例えば逆ハの字状のものが複
数組、特定間隔で設けられている。
【0021】2個一組の突起10cは、内筒9表面に沿
う流れを減速させるので、傾斜部9aにおける流れの剥
離を抑制することができる。したがって、羽根車2の下
流側で流れの剥離による渦が出ることがなく、流体損失
の増えることが抑制される。
【0022】〔実施例 2〕 次に、第二の発明の実施例を図2ないし図5を参照して
説明する。図2において、図1と同一符号のものは第一
の発明の実施例と同等部であるから、その説明を省略す
る。図2に示す軸流送風機が、先の図1に示したものと
相違するところは、ディフューザ内筒9Bの後端に傾斜
部を有しないもので、内筒9Bに第三の流れ剥離防止手
段を設けていないものである。流れを整えるためには内
筒後端に傾斜部を設けて第三の流れ剥離防止手段を設け
ることが好ましいが、軸流送風機の用途と製作費低減の
面で図2の構成のものも採用される。
【0023】図2に示す軸流送風機では、吸込ケーシン
グ5内の、流れを回転軸1方向と並行になるように転向
させている面の上流側であり、流れを転向させるために
Rが付いている部分の直前の面で、かつ前記吸込ケーシ
ング5の入口5bから前記羽根車2までの短い流路側の
壁面5aに、第一の流れ剥離防止手段に係る2個一組の
突起10aが設けられている。また、静翼もしくは整流
板3の位置する下流の外筒6内面で、該外筒6の内径が
広がるディフューザ7入口に近い流路面6aに、該流路
面6aの全周にわたって第二の流れ剥離防止手段に係る
2個一組の突起10bを設けている。これら2個一組の
突起10a,10bは、第一の発明の実施例で説明した
ものと全く同一であり、その効果も全く同様である。
【0024】なお、上記各実施例では、流れ剥離防止手
段は逆ハの字状に配置した2個一組の突起を複数組、特
定間隔で設けた例を説明したが、本発明はこれに限るも
のではなく、台形の板状部材が、流体の流れ方向に対し
て傾きをもって(ある角度をもって)配置されていれば
よい。
【0025】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、軸流送風機の大きさを大きくせず、また、製作費
を高くせずに、流れの剥離による流体損失を防止し、高
効率で低騒音の軸流送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明の一実施例に係る軸流送風機の略示
縦断面図である。
【図2】第二の発明の一実施例に係る軸流送風機の略示
縦断面図である。
【図3】図1,2のA−A矢視断面図である。
【図4】図1,2のB−B矢視断面図である。
【図5】図4のD−D矢視断面図である。
【図6】図1のC−C矢視断面図である。
【図7】図6のE−E矢視断面図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…羽根車、3…静翼もしくは整流板、5
…吸込ケーシング、5a…壁面、6…外筒、6a…流路
面、7…ディフューザ、9,9B…ディフューザ内筒、
9a…傾斜部、10a,10b,10c…突起。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 幸二 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所機械研究所内 (72)発明者 大久保 真人 茨城県土浦市神立町603番地 日立土浦 エンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−312192(JP,A) 実開 昭54−165805(JP,U) 実開 昭61−74700(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 29/54 F04D 29/56

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転する羽根車と、この羽根車の下流に
    設けた静翼もしくは整流板と、前記羽根車の回転軸方向
    に対して傾斜した方向に吸込口を有する吸込ケーシング
    と、前記静翼もしくは整流板の下流に設けたディフュー
    ザと、このディフューザの下流に設けた円筒状の吐出管
    と、後端に傾斜が付いた円筒状のディフューザ内筒とを
    備えてなる軸流送風機において、 少なくとも、前記吸込ケーシング内の、流れを回転軸方
    向と並行になるように転向させている面の上流側であ
    り、流れを転向させるために角度もしくはRが付いてい
    る部分の直前の面で、かつ前記吸込ケーシングの入口か
    ら前記羽根車までの短い流路側の壁面に、第一の流れ剥
    離防止手段を設け、前記静翼もしくは整流板の位置する
    下流の外筒内面で、該外筒の内径が広がるディフューザ
    入口に近い流路面に、該流路面の全周にわたって第二の
    流れ剥離防止手段を設け、前記ディフューザ内筒後端の
    傾斜部より上流の内筒表面に、該内筒表面の全周にわた
    って第三の流れ剥離防止手段を設けたことを特徴とする
    軸流送風機。
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