JP3311315B2 - ストランド切断装置の刃先の隙間の調整方法 - Google Patents

ストランド切断装置の刃先の隙間の調整方法

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JP3311315B2 JP24166599A JP24166599A JP3311315B2 JP 3311315 B2 JP3311315 B2 JP 3311315B2 JP 24166599 A JP24166599 A JP 24166599A JP 24166599 A JP24166599 A JP 24166599A JP 3311315 B2 JP3311315 B2 JP 3311315B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックのぺ
レット製造装置に用いられるサイドカット方式のストラ
ンド切断方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ペレット製造装置に用いられる従来のス
トランド切断装置の一例について説明する。
【0003】図13は、一従来例によるストランドカッ
ト方式のぺレット製造装置の全体概要を示す説明図であ
る。このぺレット製造装置は、押出機101によりプラ
スチックを可塑化して押出ダイ102によりストランド
103を押し出し、押し出されたストランド103を冷
却水槽104に通して冷却固化させたのち、ガイドロー
ル108を介してストランド切断装置105に導入して
逐次ペレットに切断するように構成されている。
【0004】ストランド切断装置105は、ストランド
103を引き込んで固定刃体112上ヘ送り出すための
上下一対のロールからなる引き取りロール106と、ス
トランド103の進行方向に対して直交する刃先を有す
る固定刃体112と、固定刃体112上に送り出された
ストランド103を逐次切断するための円盤状の回転カ
ッタ110と、回転カッタ110の回転軸111を回転
させるためのモータ109等を備えている。
【0005】図14および図15に示すように、回転カ
ッタ110の回転軸111は、固定刃体112の刃先に
対して直交するとともに固定刃体112の一側方(サイ
ド)ヘ偏った状態で軸支されており、回転カッタ110
の固定刃体112の刃先と対向する前面には放射状に複
数の刃板113が配設されている。そして、前記固定刃
体112の刃先に対して刃板113の刃先がθなる角度
で交差して、ストランド103を逐次ペレットP0に切
断する。なお、固定カッタ110の前面には、切断され
たペレットP0を導くための複数の案内溝114が形成
されている。
【0006】刃板113は、回転カッタ110の前面に
設けられた刃板ガイド溝117に嵌挿されており、回転
カッタ110の後面側に設けられたねじ穴に螺合された
押し引きポルト115を正逆回転させることにより刃先
の突出量を調整したのち、締結ボルト116を締め付け
て回転カッタ110に固定できるように構成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
固定刃体の刃先と回転カッタにおける各刃板の刃先との
間に所定の隙間が生じるように、各刃板の刃先の回転カ
ッタの前面からの突出量を調整する際に、隙間ゲージを
用いた手作業により各刃板毎に固定刃体の刃先と刃板の
刃先との間の隙間の長さ(間隔)を計測していたので、
調整作業が煩雑で高度な熟練を必要とするとともに、手
指を傷つけるおそれがあるという安全上の問題点があっ
た。
【0008】また、回転カッタの回転軸等には熱膨張に
よって伸びが発生し、固定刃体の刃先と回転カッタに配
設された各刃板の刃先との間の隙間の長さを熱膨張に起
因する伸び量より長く設定しておかないと、両刃先が干
渉して刃先が破損する等の故障が発生するという問題点
があった。
【0009】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであって、固定刃体の刃先と回転
刃体における各刃板の刃先との間の隙間の調整作業を簡
易かつ安全に行なうことができるストランド切断装置を
実現することを目的とするものである。
【0010】また、固定刃体の刃先と回転刃体における
各刃板の刃先とが干渉して刃先が破損する等の事故の発
生を回避することができるストランド切断方法およびそ
の装置を実現することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のストランド切断装置の刃先の隙間の調整方
法は、ストランドの進行方向に対して直交する刃先を有
する固定刃体が取り付けられている台座上に、回転刃体
に放射状に配設された刃板の刃先が全長にわたって接触
する高さを有する壁面と、壁面から寸法tの位置で壁面
に対して平行であり、固定刃体の刃先があたる面とを有
している刃先調整治具を載置し、該壁面に、順次、回転
刃体に放射状に配設された刃板を自重で当接させて、刃
板を締結ボルトで締め付けた後、刃先調整治具を撤去
し、固定刃体に回転刃体を接近させて、固定刃体の刃先
と刃板の刃先との間の隙間を調整することを特徴とす
る。
【0012】前記刃板を押し引きボルトで押し引きし
て、隙間を微調整することが好ましい。
【0013】
【0014】前記支持部材が、案内手段によって前記回
転軸の軸方向と同方向ヘ直線移動自在に案内されてお
り、前記支持部材とともに前記回転軸の先端に一体的に
設けられた前記回転刃体を前記回転軸の軸方向と同方向
ヘ直線移動させて、前記固定刃体の刃先と前記刃板の刃
先との間の隙間を調整することが好ましい。
【0015】前記回転刃体のガイド溝の傾斜面には、前
記刃板が傾斜面に沿って自重落下できるように長穴を介
して締結ボルトで取付けられていることが好ましい。さ
らに、前記刃板に、前記固定刃体の刃先と刃板の刃先と
の間の隙間を微調整する押し引きボルトが取付けられて
いることが好ましい。
【0016】前記軸受機構は、支持部材に対して回転軸
と一体に軸方向ヘ所定の距離だけ移動自在であり、かつ
弾性部材により常時固定刃体側に向けて付勢されている
ことが好ましい。
【0017】前記固定刃体は、回転刃体側ヘ突出する刃
先を有し、前記刃先の内径側の側部には傾斜面が面取り
されていることが好ましい。
【0018】前記刃板は、回転刃体の回転に伴なって各
刃板の刃先の内径側が固定刃体の刃先に最初に交差し、
かつ最初に交差した際の両刃先の角度が2゜〜15゜範
囲以内になるように配設することが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係るストランド切断装置
の実施の形態を図面に基づいて説明する。 (実施形態1)図1は、第1の実施の形態のストランド
切断装置の上部ケースを開いた状態を示す模式正面図、
図2は図1に示すストランド切断装置の主要部を軸方向
に沿った断面で示す模式部分断面図、図3は図2に示す
部分の模式上面図である。
【0020】本実施の形態によるストランド切断装置
は、ストランド(不図示)を引き込んで固定刃体2上に
送り出すための上下一対のロール18,19からなる引
き取りロールと、前記ストランドの進行方向に対して直
交する刃先2aを有する固定刃体2と、固定刃体2の片
側に対して間隔をおいて対向する支持部材14と、支持
部材14に軸受機構30を介して回転自在に支持された
固定刃体2の刃先2aに対して直交する回転軸13と、
回転軸13の先端に固着されているとともに固定刃体2
の刃先2aに対向する前面3aに複数の刃板15が放射
状に配設された回転刃体3と、固定刃体2と回転刃体3
とによって逐次切断されたぺレットを捕捉して機外ヘ排
出するためのカバー6(図5参照)を備えている。
【0021】なお、回転刃体3の前面3aには、切断さ
れたぺレットを径方向外方ヘ導くための複数の案内溝3
dが各刃板15の刃先15aの近傍から放射状に形成さ
れている。
【0022】回転刃体3には、前面3aおよび外周面3
bに開口する複数の刃板ガイド溝17が放射状に設けら
れており、各ガイド溝17には刃板15がその刃先15
aを前面3aから突出した状態で嵌挿されている。
【0023】各刃板ガイド溝17は、回転刃体3の前面
3a側から後面3c側ヘ向けて回転軸心に対して昇り勾
配の所定の傾斜角度で回転軸心に対して傾斜するととも
に、回転刃体3の回転に伴なって刃板15の刃先15a
の内径側が固定刃体2の刃先2aに最初に交差し、その
ときの両刃先15a,2a間の角度(以下、「侵入角度
θ」という。)が所定の値になるように配設されてい
る。つまり、回転刃体3の放射線に対して反回転方向ヘ
傾斜している(図4参照)。一方、刃板15は、回転刃
体3の後面3cから刃板ガイド溝17の底壁に貫通する
一対のねじ穴16a(図3参照)に螺合された押し引き
ボルト16を正・逆回転させることにより刃板15のス
リット15bの長さの範囲内で前面3aからの突出量を
変化させることができるとともに、後面3c側からスリ
ット15bを貫通して締結板23に螺合された締結ボル
ト20を締め付けて固定できるように構成されている。
【0024】本発明において、上述した両刃先15a,
2a間の侵入角度θは2゜〜15゜の範囲以内に設定し
ておくと、固定刃体2の刃先2a上に一列に並んだ複数
のストランドが刃板15の刃先15aの径方向内側のも
のから逐次一本ずつ切断されて行き、切断時にストラン
ドが折曲することもなくほぼ直角に切断される。その結
果、回転刃体3の刃板15にかかる負荷が低減し、発生
する騒音も小さくなるる。
【0025】侵入角度θを2゜よりも小さくすると、固
定刃体2の刃先2a上に一列に並んだストランドが回転
刃体3の刃板15の刃先15aで複数本同時に切断され
ることになり、発生する騒音が大きくなる。逆に、侵入
角度θを15゜よりも大きくすると、固定刃体2の刃先
2a上に一列に並んだストランドが回転刃体3の刃板1
5の刃先15aによって切断される前に径方向外側ヘ大
きくずれて屈曲してしまい、ストランドが直角に切断さ
れず、ペレットの形状が菱形になってしまう。
【0026】回転軸13は、先端側の回転刃体3の近傍
部位が筐体1の上壁1a上に回転軸13の軸方向と同方
向の位置を調節できる支持部材14に回転自在に軸支さ
れており、後端側に配設された公知の軸方向の移動を許
容できる回転駆動手段(不図示)によって強制回転され
る。
【0027】支持部材14は、両側面の下方に両側ヘ突
出するフランジ部40を有し、両フランジ部40が筐体
1の上壁1a上に回転軸13と平行に配設された一対の
ガイドプレート39間に摺動自在に嵌め込まれており、
上壁1aと一体に設けられた支持部38に回転自在に配
設されている調整ボルト37を正・逆回転させて、一対
のガイドプレート39に案内されて回転軸13の軸方向
と同方向の所定位置に移動させたのち、両フランジ部4
0の図示しない貫通孔に嵌挿された止めボルト41を締
め付けて固定できるようになっている。つまり支持部材
14が、案内手段である一対のガイドプレート39によ
って回転軸13の軸方向と同方向ヘ直線移動自在に案内
されており、支持部材14とともに回転軸13の先端に
一体的に設けられた回転刃体3を回転軸13の軸方向と
同方向ヘ直線移動させて所定の位置に固定できる。
【0028】回転軸13は組み合わせアンギュラー玉軸
受30を介して支持部材14に軸支されている。組み合
わせアンギュラー玉軸受30は、その一対のインナーレ
ース31が回転軸13に固着されており、一対のアウタ
ーレース32は支持部材14の軸受孔14aに軸方向ヘ
摺動自在に嵌挿されている。そして、後方のアウターレ
ース32に隣接してカラー部材34が軸方向ヘ摺動自在
に嵌挿されており、カラー部材34とふた35間に弾性
部材である圧縮バネ36を介在させることによって、カ
ラー部材34とふた35の先端との間に間隙Hが生じる
ように固定刃体側に向かって(白抜き矢印方向)常時付
勢されている。
【0029】なお、間隙Hの長さは、少なくとも熱膨張
に起因する回転刃体3および回転軸13等の伸び量に相
当する長さに設定するとよい。また、圧縮バネ36の弾
発力は、ペレットの切断時に不用意に回転軸13が後退
せず、固定刃体2の刃先2aや各刃板15の刃先15a
が破損するような予期しない過大な負荷がかかった際に
回転軸13が後退するような大きさに設定しておくとよ
い。
【0030】カバー6は、上面に開放部を有する略漏斗
状の形状の下部ケース4と、下部ケース4の前記開放部
に対してヒンジ部7を介して開閉自在に配設された上部
ケース5から構成されている。
【0031】下部ケース4は、上面の開放部近傍の円弧
状部に続いて、筐体1の一方の側壁1bの下方部ヘ向け
て傾斜する底壁4aおよび底壁4aに対向する略垂直な
側壁4bを備え、底壁4aの下端部を筐体1の外に開口
する排出口4cに連通することにより、切断されたぺレ
ットを筐体1の外ヘ排出できるように構成されている。
【0032】上部ケース5は、回転刃体3の上半部を覆
う半円筒状のものであって、その反固定刃体側(図示右
側)には、ヒンジ部7を構成する外方ヘ向けて突設され
た回動アーム7aの略中間部位が筐体1の上壁1a上に
立設された突出部材7cに枢軸7bを介して枢着されて
いる。そして、回動アーム7aの先端部位が筐体1の一
側壁1bに固着された流体圧シリンダ9のロッド9aの
先端部にピン8を介して連結されており、流体圧シリン
ダ9を起動してロッド9aを伸縮させると枢軸7bを回
動中心とし回動して下部ケース4の開放部に対して開開
することができる。一方、上部ケース5の固定刃体側
(図示左側)の外面には回転ハンドル形式のクランプ1
2が設けられており、上部ケース5を閉じた際にクラン
プ12のフック12aを下部ケース4に設けられた係合
部4dに係合すると不用意に開かないようになってい
る。
【0033】また、半円筒状の上部ケース5は、図5に
示すように、その中心O1が回転刃体3の回転軸心O2
対して固定刃体側ヘ偏心した状態で配設されており、下
部ケース4に対して閉じた際に回転刃体3の刃板15の
径方向先端部が描く仮想外周円と上部ケース5の内周面
の間の間隙が、回転刃体3の回転方向と同方向ヘ漸増し
て固定刃体2の側傍において最大になるように構成され
ている。また、回転軸13の中心に設けられた中空部1
3aから各刃板15の刃先15aに向けて冷却水用の冷
却水孔13bが形成されている。これにより、回転刃体
3の回転に伴なって、矢印方向の空気流が発生して切断
されたぺレットが下部ケース4ヘ向かって方向づけら
れ、ペレットが堆積することもなく下部ケース4の傾斜
した底壁4aに沿って流下して排出口4cより機外ヘ排
出される。
【0034】なお、本実施の形態に示した流体圧シリン
ダ9により上部ケース5を回動させる動力式のものに限
らず、手動により上部ケース5を回動させるように変更
できることはいうまでもない。
【0035】引き取りロールにおける下方のロール19
は、台座11の上面に設けられた凹所11a内に回転自
在に配設されており、図1中の右側ヘ突出する回転軸1
9aの先端部に一体的に設けられたプーリ19bと図示
しない駆動モータの出力軸のプーリとの間にべルトをか
け回わすことにより強制回転される。これに対し、上方
のロール18は、上部ケース5に固着された一対の流体
圧シリンダ24のロッド(不図示)の下端部に自由回転
自在に軸支されている。
【0036】引き取りロールは上述のとおり構成されて
いるため、上部ケース5を下部ケース4に対して閉じた
際に、一対の流体圧シリンダ24を起動してロッドを伸
縮させることによって、上方のロール18を下方のロー
ル19に対して進退させることができ、上方のロール1
8と下方のロール19間で所定の押圧力を与えた状態で
ストランドを引き取って固定刃体2上ヘ安定して送り出
すことができる。
【0037】なお、上部ケース5に一体的に設けられた
ロールカバー10は、上部ケース5を下部ケース4に対
して閉じた際に、上方のロール18のみならず台座11
が露出しないように覆うことができる略庇状の形状のも
のであって、その前面壁10aの下端部にはストランド
導入口となる切欠部21が設けられている。
【0038】本実施の形態において、固定刃体2の刃先
2aと回転刃体3の刃板15の刃先15aとの間の隙間
の長さ(離間距離)の調整作業を、次に説明するような
簡易な方法で迅速かつ安全に行なうことができる。
【0039】 止めボルト41をゆるめて支持部材1
4が一対のガイドプレート39に案内されて移動できる
状態にしておき、調整ボルト37を正または逆回転させ
て支持部材14とともに回転軸13を軸方向ヘ移動させ
て、固定刃体2の刃先2aと回転刃体3の前面3aとの
間の間隙が所定の初期離間距離になる位置に位置決め
し、止めボルト41を締め付けて固定する。
【0040】本工程において、前記初期離間距離は、上
述した熱膨張に起因する回転軸や回転刃体等の伸び量よ
りも長めにすることが肝要である。
【0041】 上記ののち、回転刃体3における一
つの刃板15を選択して締結ボルト20をゆるめ、押し
引きボルト16を回転させて該刃板15の内径側の刃先
15aを固定刃体2の刃先2aに当接させ、ついで回転
刃体3を手廻ししつつ押し引きボルト16を回転させて
該刃板15の外径側の刃先15aを固定刃体2の刃先2
aに当接させたのち、締結ボルト20を締め付けて該刃
板15を回転刃体3に固着する。
【0042】 上記ののち、回転刃体3の残りの刃
板15について、回転刃体3を手廻しして逐次上記の
工程と同様の操作を行なって、全ての刃板15の刃先1
5aを固定刃体2の刃先2aに当接させる。
【0043】 上記ののち、固定刃体2側に軸方向
の距離を測定できるようにダイヤルゲージ22をセット
するとともに、止めボルト41をゆるめて支持部材14
が一対のガイドプレート39に案内されて移動できる状
態にしておき、調整ボルト37を回転させて支持部材1
4とともに回転軸13を固定刃体2から離間させて前記
ダイヤルゲージ22によって計測された固定刃体2の刃
先2aと回転刃体3の前面3aとの間の離間距離が所定
の設定値になる位置に位置決めし、止めボルト41を締
め付けて固定する。
【0044】本工程において、支持部材14は、一対の
ガイドプレート39間に案内されて固定刃体2の刃先2
aに垂直な回転軸3の軸方向に移動するため、固定刃体
2の刃先2aと回転刃体3の前面3aとの間の離間距離
をダイヤルゲージ22によって計測することで、固定刃
体2の刃先2aと回転刃体3の刃板15の刃先15aと
の間の隙間の長さを高精度に所定の設定値に設定するこ
とができる。
【0045】次に、固定刃体の変形例について説明す
る。
【0046】本変形例の固定刃体2は、図6に示すよう
に、回転刃体3側ヘ向かって突出する刃先2aの内径側
の側端部に、面取り角度αの傾斜面2bが面取りされて
いる。そして、固定刃体2および回転刃体3の刃板15
は超硬合金等の耐摩耗性に勝れた材料から構成されてい
る。
【0047】本変形例によれば、図6に示すように、熱
膨張による回転軸13や回転刃体3等の伸びに起因して
固定刃体2の刃先2aに刃板15の刃先15aがオーバ
ーラップ長さδだけオーバーラップしでしまうような場
合であっても、刃板15の刃先15aの内径部が固定刃
体2の刃先2aに当接した際に、支持部材14に対して
回転軸13が、圧縮バネ36(図2参照)の白抜き矢印
方向の弾発力に坑してオーバーラップ長さδに相当する
距離だけ傾斜面2bにより滑らかに後退し、刃板15の
刃先15aと固定刃体2の刃先2aとが干渉することが
自動的に防止される。その結果、固定刃体2の刃先2a
と回転刃体3の刃板15の刃先15aとの間に隙間のな
い両刃先15a,2aが常に接触した状態でのストラン
ドの切断ができるため、柔らかいゴム質のプラスチック
からなるストランドの切断に用いることができる。
【0048】上述した実施の形態の刃先間の隙間調整方
法では、締結ボルト20を緩め、内径側の押し引きボル
ト16で、刃板15の刃先15aを、固定刃体2の刃先
2aに軽く接触させ、次に回転刃体3を手動で、刃板1
5の外径側の刃先15aが固定刃体2に接触するところ
まで回転させ、上記と同様に外径側の押し引きボルト1
6で調整した後、刃板15を回転刃体3に締結ボルト2
0で固定する。このように各刃板15を一枚一枚調整し
た後、ダイヤルゲージ22の目盛を0に設定して、回転
刃体3が支持されている支持部材14を、調整ボルト3
7で固定刃体2から遠ざかる方向へ移動して、固定刃体
2の刃先2aと刃板15の刃先15aに移動量と同じ量
の隙間を得るようにしている。この方法では、刃板15
は固定刃体2に対しθなる角度で傾斜しているので、刃
板15の刃先15aは、回転方向に沿って、固定刃体2
の刃先2aと点接触の状態を保ちながら調整が行われ
る。そのため、接触状態に強弱が生じて、刃板15の内
径側と外径側とでは、隙間に若干の誤差が生じ、再度調
整が必要となる。このように、点接触を2点で調整する
には、高度の技術が要求され作業に時間がかかる。ま
た、回転刃体3は、安全面から、刃板15の調整、取付
けを裏側で操作する構造とされているので、構造が複雑
で製造コスト高となっている。
【0049】次に述べる第2の実施の形態は、このよう
な問題点を解決するためになされたものである。 (実施形態2) 図7は、第2の実施の形態のストランド切断装置の上部
ケースを開いた状態を示す模式正面図であり、図8は図
7に示すストランド切断装置の主要部を軸方向に沿った
断面で示す模式部分断面図であり、図9は図8の要部拡
大図である。図7〜図9に示すように、本実施の形態で
は、回転刃体3と刃板15を第1の実施の形態のそれと
は異なった構成とし、固定刃体2の刃先2aと刃板15
の刃先15aの隙間を調整するために刃先調整治具45
を用いている。その他の構成は、第1の実施の形態とほ
ぼ同一であるので、その説明は省略する。
【0050】図9、図10および図11に示すように、
回転刃体3は、その一方の面に、V字形のガイド溝46
が半径方向に等間隔にカットされ、そのガイド溝46の
一方の傾斜面47には、刃板15を取付けるネジ穴48
が設けられている。
【0051】前記刃板15は、前記回転刃体2の傾斜面
47に複数の締結ボルト20によって表側から座金50
を介して締付けられる。なお、前記刃板15には、その
長手方向に各締結ボルト20用の長穴51が刃先方向に
向けて形成されている。
【0052】図9、図11および図12に示すように、
刃先調整治具45は、回転軸心に平行な台座11の座面
aに載置され、その底面bに固定刃体2を上方より覆う
長方形状の溝52が形成され、その溝52の先端は、固
定刃体2の刃先2aが当る面とされている。すなわち、
前記治具45は、刃先間の隙間を調整する際、固定刃体
2の刃先2aと台座11の座面aに当てて使用される。
また、前記治具45の前面は平坦な壁面cとされ、硬
化、研磨仕上げされて平面精度が保たれている。この平
坦な壁面cと前記固定刃体2の刃先2aが当る面は平行
で、その厚さtは、正確な寸法精度とされている。さら
に、その平坦な壁面cと前記底面bは、直角に仕上げら
れている。前記治具45の高さは、図11に示すよう
に、刃板15の刃先15aが固定刃体2の刃先2aに対
してθなる進入角度の時、刃板15の刃先全長が平坦な
壁面cでおさまる高さとされている。
【0053】次に、固定刃体と刃板の刃先間の隙間調整
方法について説明する。
【0054】図9において、刃板15の締結ボルト20
を緩めると、刃板15は刃先方向の長穴51により自重
で回転刃体3の傾斜面47に沿ってずり落ち、刃先調整
治具45の平坦な壁面cに刃先全長が軽く接触する。こ
の時点で締結ボルト20を締めつけ、刃板15を回転刃
体3に固定する。各刃板15につき、順次この作業を終
える。このように、回転刃体3の傾斜面45に沿って刃
板15を自重落下させ、刃板15の刃先全体を刃先調整
治具45の壁面cに接触させて刃板15を複数の締結ボ
ルト20で締め付けるので、刃先全長は一定の接触状態
となる。確認のため回転刃体3を手動で左右の回転を与
えて、接触状態を手加減で感じることができる。次に、
図8に示すように、刃先調整治具45を撤去し、ダイヤ
ルゲージ22を設置し、回転刃体3の一端との関係位置
を0点とする。予め計測されている刃先調整治具45の
t寸法が、固定刃体2の刃先2aと刃板15の刃先15
aの隙間に相当することから、熱膨張等による隙間寸法
変化量を見込んで、ダイヤルゲージ22を見ながら調整
ボルト37で回転刃体3を固定刃体2に接近させる。目
標値に隙間を設定したら、支持部材14を上壁1aに固
定し、ダイヤルゲージ22を撤去することにより、刃板
15と固定刃体2の調整が終了する。
【0055】本実施の形態では、以上のような特殊な刃
先調整治具45を用いることで、素人でも容易に微少な
刃先間の隙間調整ができる。また、刃板15を、直接素
手でふれることなく、6角レンチ一本で取付けができる
ので安全である。また、固定刃体2や刃板15も構造が
シンプルとなって製造コストにも効果がある。 (実施形態3)本実施の形態は、第1の実施の形態のス
トランド切断装置に、第2の実施の形態の刃先調整治具
を用いるものである。
【0056】この場合、図2に示す締結ボルト20を緩
めて、刃板15を自重で回転刃体3の傾斜面47に沿っ
てずり落し、刃先調整治具45の平坦な壁面cに刃先全
長が軽く接触するようにするため、図3に示す押し引き
ボルト16を刃板15にルーズに取付ける必要がある。
なお、押し引きボルト16は、刃板15にルーズに取付
けられているが、刃板15を押し引きして固定刃体2の
刃先2aとの隙間を調整できるので、刃先調整治具45
で調整した隙間を、押し引きボルト16で微調整するこ
とができる利点がある。
【0057】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、固定刃体の刃先と回転刃体の各刃板の刃先との間
の隙間の調整作業を簡易かつ安全に行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のストランド切断装置をカバ
ーを開いた状態で示す模式正面図である。
【図2】図1に示すストランド切断装置の主要部を軸方
向に治った断面で示す模式部分断面図である。
【図3】図2に示す部分の模式上面図である。
【図4】固定刃体の刃先と回転刃体の刃板の刃先との関
係を示す説明図である。
【図5】図1に示すストランド切断装置における回転刃
体とカバーの位置関係を示す説明図である。
【図6】変形例の固定刃体の刃先と回転刃体の刃板の刃
先との関係を示す説明図である。
【図7】第2の実施の形態のストランド切断装置の上部
ケースを開いた状態を示す模式正面図である。
【図8】図7に示すストランド切断装置の主要部を軸方
向に沿った断面で示す模式部分断面図である。
【図9】図8の要部拡大図である。
【図10】回転刃体の斜視図である。
【図11】回転刃体、固定刃体および刃先調整治具の関
係を示す説明図である。
【図12】刃先調整治具の斜視図である。
【図13】従来例によるストランド切断装置全体概要を
示す説明図である。
【図14】図13に示すストランド切断装置における主
要部を軸方向に沿った断面で示す模式部分断面図であ
る。
【図15】図13に示すストランド切断装置における回
転刃体の模式正面図である。
【符号の説明】
1 筐体 1a 上壁 2 固定刃体 2a,15a 刃先 3 回転刃体 3a 前面 3b 外周面 3c 後面 3d 案内溝 4 下部ケース 5 上部ケース 6 カバー 7 ヒンジ部 7a 回動アーム 7b 枢軸 7c 突出部材 8 ピン 9,24 流体圧シリンダ 10 ロールカバー 11 台座 11a 凹所 12 クランプ 13 回転軸 13a 中空部 13b 冷却水孔 14 支持部材 15 刃板 16 押し引きボルト 17 刃板ガイド溝(ガイド溝) 18 上方のロール 19 下方のロール 20 締結ボルト 21 切欠部 22 ダイヤルゲージ 23 締結板 24 流体圧シリンダ 30 組み合わせアンギュラー玉軸受(軸受機構) 31 インナーレース 32 アウターレース 34 カラー部材 35 ふた 36 圧縮バネ 37 調整ボルト 38 支持部 39 ガイドプレート(案内手段) 40 フランジ部 41 止めボルト 45 刃先調整治具 46 ガイド溝 47 傾斜面 48 ネジ穴 50 座金 51 長穴 52 溝 a 座面 b 底面 c 壁面
フロントページの続き (72)発明者 堀江 邦弘 広島県広島市安芸区船越南1丁目6番1 号 株式会社日本製鋼所内 (56)参考文献 特開2000−334733(JP,A) 特開 平11−58373(JP,A) 特開 平10−323827(JP,A) 特開 平10−180754(JP,A) 特開 平8−323744(JP,A) 特開 平8−142049(JP,A) 特開 平6−218729(JP,A) 特開 平5−277995(JP,A) 特開 平1−225511(JP,A) 実開 昭60−106706(JP,U) 実開 昭59−146112(JP,U) 実開 平7−27816(JP,U) 実公 昭49−32378(JP,Y1) 特許2978927(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29B 9/00 - 9/ B26D 1/00 - 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストランドの進行方向に対して直交する
    刃先(2a)を有する固定刃体(2)が取り付けられて
    いる台座(11)上に、回転刃体(3)に放射状に配設
    された刃板(15)の刃先が全長にわたって接触する高
    さを有する壁面(c)と、前記壁面(c)から寸法tの
    位置で前記壁面(c)に対して平行であり、前記固定刃
    体(2)の刃先(2a)があたる面とを有している刃先
    調整治具(45)を載置し、該壁面(c)に、順次、回
    転刃体(3)に放射状に配設された刃板(15)を自重
    で当接させて、前記刃板(15)を締結ボルト(20)
    で締め付けた後、刃先調整治具(45)を撤去し、固定
    刃体(2)に回転刃体(3)を接近させて、固定刃体
    (2)の刃先(2a)と刃板(15)の刃先(15a)
    との間の隙間を調整することを特徴とするストランド切
    断装置の刃先の隙間の調整方法。
  2. 【請求項2】 前記刃板(15)を押し引きボルト(1
    6)で押し引きして、隙間を微調整することを特徴とす
    る請求項1記載のストランド切断装置の刃先の隙間の調
    整方法。
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