JP3888724B2 - 管用テーパーねじ転造用ヘッド - Google Patents

管用テーパーねじ転造用ヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は管用テーパーねじ転造用ヘッドに関する。詳しくは、被加工管にねじ転造終了後、被加工管の取り出しが可能となるように自動的にねじ転造用ローラが退避するテーパーねじ転造用ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道配管用の鋼管を管継手を用いて接続する場合には、図6に示すように鋼管1の端部に管用テーパーねじ2を加工し、継手3を用いて接続している。この場合のテーパーねじの加工には切削形成する方法と、塑性加工する方法とがある。本発明は後者の場合のねじ転造用ヘッドに関するものである。
【0003】
テーパーねじを塑性加工するには、図7に示すようなテーパーねじ転造用ヘッドを用いる。このテーパーねじ転造用ヘッド4は同図に示すように、所望のテーパー勾配に等しいテーパー周面部分を有し、かつ所望のねじの有効径リード角とほぼ等しいリード角θの転造成形ねじ部5a(例えばローラ軸線Xに対し1°47′の角度を有するテーパー周面)と、上記転造成形ねじ部5aに隣接して上記テーパー勾配より大きな勾配のテーパー周面部分(例えば8°)を有する絞り成形ねじ部5bとからなる転造ローラ5(絞り成形ねじ部5bのねじ山の形状は転造成形ねじ部5aのねじ山と異なる形状でも同一形状でも良い。)の複数個が、円筒状のハウジング6の円周上に被加工管7の軸線に対してそれぞれ平行に配設されている。
【0004】
そして、ヘッド4を固定しておき、そのねじ転造用ローラ5間に被加工管7を回転させながら押し込むことにより、被加工管7はねじ転造用ローラ5のリード角により矢印A方向に引き込まれ、その外周にテーパーねじが転造形成されるようになっている。なお、被加工管7を回転させず、ヘッド4の方を回転させても転造可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなねじ転造用ヘッドでは、ねじ転造加工終了時に、加工時に形成されたねじと転造ローラの溝とが噛合っているため転造加工が修了した後被加工管をヘッドより取り出すには被加工管を逆転させて取り出さなければならない。このため作業が煩雑になり、作業効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、ねじ転造加工後の被加工管の取り出しを極めて容易とした管用テーパねじ転造用ヘッドを実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、表蓋11と裏蓋12とよりなるハウジング10内に所望のテーパー勾配に等しいテーパー周面を持つ複数個のねじ転造用ローラ16が円周状に配置され、被加工管を回転させながら上記ねじ転造用ローラ間に押し込むことにより該被加工管の外周にテーパーねじを転造する管用テーパーねじ転造用ヘッドにおいて、前記表蓋11および裏蓋12にはそれぞれねじ転造用ローラ16の軸22を案内する複数の長孔23が放射状に形成され、前記ハウジング10の内側には表蓋11および裏蓋12に摺動可能に接し、且つばね29にて回転方向に付勢されたロータ14が設けられ、該ロータ14には回動することにより前記ねじ転造用ローラ16の軸22をハウジング10の中心から半径方向に移動させる複数の長孔28が円周の接線に対して斜めに形成され、前記裏蓋12には被加工管により押圧移動される移動部材13と、該移動部材13により押圧されて回動し、且つ先端に前記ロータ14に設けられた溝32に係合して該ロータ14の回転を係止するピン44が設けられたねじ切上レバー17が設けられてなり、被加工管の加工終了時に該被加工管の端部により移動部材13が押圧され、それによりねじ切上レバー17が回動されて先端のピン44がロータの溝32から離脱し、それによりロータ14がばね29の付勢力により回動し、斜めの長孔28がねじ転造用ローラ16の軸22をハウジング10の中心から遠ざかる方向に移動させることを特徴とする。
【0008】
この構成により、ねじ加工が終了するとねじ転造用ローラ16が自動的に退避し、被加工材の取り出しを極めて容易とした管用テーパねじ転造用ヘッドが得られる。
【0009】
請求項2の発明は、前記ピン44は偏心軸41に偏心して設けられ、該偏心軸41を回動してピン44の位置を変えることによりねじ転造用ローラ16の初期位置を調整可能としたことを特徴とする。この構成により被加工材に形成するねじのねじ径を変更することができる。
【0010】
請求項3の発明は、前記移動部材13とねじ切上レバー17との間には長さを調整可能なねじ切上調整ねじ13aが設けられ、該ねじ切上調整ねじ13aによりねじ切上レバー17の初期位置を調整することによりねじ切上時期を調整可能としたことを特徴とする。この構成により、ロータの溝32とねじ切上調整ねじ(13a)との係合深さを変え、ねじ切上時期を変更することができる。
【0011】
また請求項4の発明は、前記ロータ14には、該ロータ14を手動にて回動できる把手30が設けられていることを特徴とする。この構成によりロータ14をばね29に抗して回動でき、ロータ14をセット位置にもっていくことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4は本発明の実施の形態を示す図で、図1は正面図、図2は図1のII−II線における断面図、図3は後面図、図4は要部分解斜視図である。各図において、10はハウジング、11,12はハウジングを構成する表蓋及び裏蓋、13は移動部材、14はローター、15はねじ径変更ユニット、16はねじ転造用ローラ、17はねじ切上げレバーである。
【0013】
そして、ハウジング10の表蓋11及び裏蓋12はそれぞれ円板部と円筒部とよりなる底付き円筒形をなし、外周に複数のボス18が設けられ、該ボス18を介してねじ19により結合される。また、該表蓋11の円板部の中央には被加工管の挿通される孔20が形成され、裏蓋12の円板部の中央には移動部材13を挿通する孔21が形成されている。また、表蓋11と裏蓋12の円板部にはねじ転造用ローラ16の軸22を案内する複数の長孔23が円周上に所定の間隔で放射状に設けられている。なお、符号10a,10bはねじ切り装置への取付けアームである。
【0014】
また前記ローター14は、円板部と円筒部が一体に形成された第1ロータ部材24と円板状の第2ロータ部材25とがねじ26により結合されており、それぞれの円板部はそれぞれ表蓋11及び裏蓋12に摺動可能に接している。そして、この第1ロータ部材24と第2ロータ部材25の円板部にはねじ転造用ローラ16の軸22を軸受ブッシュ27を介して支持し、且つ該軸22をハウジング10の中心から半径方向に移動させる複数の長孔28が円周の接線に対して傾斜して設けられている。
【0015】
また、第1ロータ部材24と表蓋11の接する面には、ねじ転造用ローラ16の位置が広がる方向に回転するようにローター14を付勢しているばね29が設けられている。更に該ロータ14には、該ロータを手動で回動できる把手30が設けられ、ハウジング10には該把手30の移動を妨げないようにスリット31が形成されている。また該ロータ14には側面に後述するねじ径変更ユニットの偏心ピンが係合する溝32が形成されている。
【0016】
また、ねじ転造用ローラ16は、所望のねじの断面に対応した複数の環状溝を有し、且つ所望のテーパー勾配に等しいテーパー周面を持っており、その複数個がハウジングの中心軸線に対して所望のねじの有効径リード角に対応する傾斜角度で傾斜し、且つその軸方向位置を所定ピッチづつずらして前記ロータ14および表蓋,裏蓋11,12により支持されるようになっている。また、移動部材13は裏蓋12の孔21に摺動可能に支持されており、その後部中央にねじ切上調整ねじ13aが固定されている。
【0017】
また、裏蓋12の外側の一端には支点33が設けられ、該支点33にはハウジング10の直径にほぼ等しい長さのねじ切上げレバー17が揺動自在に支持され、且つトルクばね34によりハウジング10に近寄る方向(図において反時計方向)に付勢されている。そして、該ねじ切上げレバー17のほぼ中央には左右にピン35が植設された長孔36が形成され、該長孔36に前記移動部材13に連結したねじ切上げ調整ねじ13aに螺合したナット体37が挿入され、該ナット体に形成されている溝37aに前記ピン35が係合している。
【0018】
なお38はナット体37を固定するロックナットである。また該レバー17の他端にはフォーク部39が形成され、該フォーク部39の左右には長孔39aが穿設され、該フォーク部39にはねじ径変更ユニット15が設けられている。
【0019】
ねじ径変更ユニット15は、ねじ切上げレバー17のフォーク部の長孔39aに係合するピン40aを有し、且つ中央に軸受孔42を有するブロック40と、該軸受孔42に遊嵌した偏心軸41とよりなり、該偏心軸41は裏蓋12に設けられた軸受孔42に遊嵌する軸部43を有し、該軸部43の端部には偏心ピン44が設けられている。また該偏心軸41の他端にはつまみ45がねじ46により固定されている。なお、偏心軸41はブロック40との間に適度な回転抵抗を有するようにばね座金47等が挿入されている。
【0020】
そして、偏心ピン44はロータ14に設けられた溝32に係合している。この場合、溝32は転造ローラ16がハウジング10の中心に近寄り、ねじ転造が可能となる位置にあるときに偏心ピン44と係合するように設けられている。
【0021】
このように構成された本実施の形態の作用を図2,図4及び図5により説明する。先ず、本実施の形態をねじ切り機の移動台に固定しておき、図4の如く把手30を図示なきばね29に抗して反時計方向(矢印A方向)に回動し、ロータ14の溝32をねじ径変更ユニット15の偏心ピン44に係合させ図2の状態にする。
【0022】
この状態では図5(a)の如く、ねじ転造用ローラ16の軸22は表蓋11に放射状に設けられた長孔23と、ロータ14に傾斜して設けられた長孔28とに案内されてハウジング10の中心方向に移動し、ねじ加工の可能な状態となっている。この状態で図2において左側より表蓋11の孔20から、ねじ切り機のチャックに咬えられた被加工管(図示省略)を回転させながら押し込むと、該被加工管はねじ転造用ローラ16によりねじが転造されながら右方(矢印B方向)へ進行する。
【0023】
そして加工の終点に近づくと被加工管はその先端で移動部材13を押圧し該移動部材13を右方に移動させる。移動部材13が右方に移動するとねじ切上げ調整ねじ13aを介してねじ切上げレバー17が時計方向(矢印C方向)に回動する。その結果ねじ切上げレバー17の先端のねじ径変更ユニット15の偏心ピン44はロータ14の溝32から離脱し、ロータ14の係止を解放する。これによりロータ14は、ばね29により図4において反時計方向(矢印Aと反対方向)に回動する。
【0024】
そして表蓋11および裏蓋12に設けられた長孔23により放射方向にのみ移動が拘束されている転造ローラ16の軸22は図5(b)に示すようにローター14に傾斜して設けられた長孔28の斜面により押し上げられてハウジング10の中心から遠ざかる方向に移動する。このようにしてねじ転造用ローラ16の位置が放射方向に広がることにより被加工管との接触がなくなり、被加工管は回転させずに本転造用ヘッドから引き抜くことができる。
【0025】
次に、ねじ径変更ユニット32の作用について図4により説明する。図4において、つまみ45を回動して偏心ピン44の位置を変更することにより加工するねじ径を調節することができる。即ち、図示の状態から、つまみ45を回動して偏心ピン44を右方に位置させれば、ロータ14は時計方向に回動するため、ロータ14の長孔28の傾斜によりロータ14の中心より離れる方向に移動する。従って各転造ローラは放射状に広がり、加工するねじの径を大とすることができる。逆に偏心ピン44を左方に位置させれば、加工するねじの径を小さくすることができる。
【0026】
次に、ねじ切上げ時期の調整ついて図2により説明する。図2において、ナット体37をロックナット38を緩めて左に回転させれば移動部材13とナット体37との間隔は広がりねじ切上レバー17を時計方向(矢印C方向)に回動させ、ねじ径変更ユニット15を右方に移動させる。これによりロータ14の溝32に対する偏心ピン44の係合は浅くなる。従って被加工管により移動部材13が押圧された時、早くロータの溝32と偏心ピン44との係合がはずれ、ねじの切上げの時期は早くなる。このようにしてねじの切上げ時期を調整することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の管用テーパーねじ転造用ヘッドに依れば、被加工管の端部で押圧される移動部材及びねじ切上レバーを介してねじ転造用ローラを半径方向に拡大移動させる自動ねじ切上機構を設けたことによりねじ加工終了後の被加工管の取出しを容易とすることができ、ねじ加工効率の向上に寄与することができる。またねじ切上機構ににねじ径変更ユニットを設けたことにより被加工管のねじ径を自由に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す後面図である。
【図4】本発明の実施の形態の要部を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の作用を説明するための図である。
【図6】従来の鋼管を継手を用いて接続する接続方法を示す図である。
【図7】従来のテーパーねじ転造ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
10…ハウジング
11…表蓋
12…裏蓋
13…移動部材
13a…ねじ切上調整ねじ
14…ロータ
15…ねじ径変更ユニット
16…ねじ転造用ローラ
17…ねじ切上レバー
18…ボス
19,26,46…ねじ
20,21…孔
22…軸
23,28,36…長孔
24…第1ロータ部材
25…第2ロータ部材
27…軸受ブッシュ
29…ばね
30…把手
31…スリット
32…溝
33…支点
34…トルクばね
35,40a…ピン
37…ナット体
38…ロックナット
39…フォーク部
40…ブロック
41…偏心軸
42…軸受孔
43…軸部
44…偏心ピン
45…つまみ

Claims (4)

  1. 表蓋(11)と裏蓋(12)とよりなるハウジング(10)内に所望のテーパー勾配に等しいテーパー周面を持つ複数個のねじ転造用ローラ(16)が円周状に配置され、被加工管を回転させながら上記ねじ転造用ローラ間に押し込むことにより該被加工管の外周にテーパーねじを転造する管用テーパーねじ転造用ヘッドにおいて、
    前記表蓋(11)および裏蓋(12)にはそれぞれねじ転造用ローラ(16)の軸(22)を案内する複数の長孔(23)が放射状に形成され、
    前記ハウジング(10)の内側には表蓋(11)および裏蓋(12)に摺動可能に接し、且つばね(29)にて回転方向に付勢されたロータ(14)が設けられ、該ロータ(14)には回動することにより前記ねじ転造用ローラ(16)の軸(22)をハウジング(10)の中心から半径方向に移動させる複数の長孔(28)が円周の接線に対して斜めに形成され、
    前記裏蓋(12)には被加工管により押圧移動される移動部材(13)と、該移動部材(13)により押圧されて回動し、且つ先端に前記ロータ(14)に設けられた溝(32)に係合して該ロータ(14)の回転を係止するピン(44)が設けられたねじ切上レバー(17)が設けられてなり、
    被加工管の加工終了時に該被加工管の端部により移動部材(13)が押圧され、それによりねじ切上げレバー(17)が回動されて先端のピン(44)が前記ロータの溝(32)から離脱し、それによりロータ(14)がばね(29)の付勢力により回動し、斜めの長孔(28)がねじ転造用ローラ(16)の軸(22)をハウジング(10)の中心から遠ざかる方向に移動させることを特徴とする管用テーパーねじ転造用ヘッド。
  2. 前記ピン(44)は偏心軸(41)に偏心して設けられ、該偏心軸(41)を回動してピン(44)の位置を変えることによりねじ転造用ローラ(16)の初期位置を調整可能としたことを特徴とする請求項1の管用テーパーねじ転造用ヘッド。
  3. 前記移動部材(13)とねじ切上レバー(17)との間には長さを調整可能なねじ切上調整ねじ(13a)が設けられ、該ねじ切上調整ねじ(13a)によりねじ切上レバー(17)の初期位置を調整することによりねじ切上時期を調整可能としたことを特徴とする請求項1の管用テーパーねじ転造用ヘッド。
  4. 前記ロータ(14)には、該ロータ(14)を手動にて回動できる把手(30)が設けられていることを特徴とする請求項1の管用テーパーねじ転造用ヘッド。
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