JP3305609B2 - 車両用スペアタイヤの支持構造 - Google Patents

車両用スペアタイヤの支持構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車体パネル外面に
スペアタイヤを搭載するようにした車両用スペアタイヤ
の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ワゴン型自動車では、車体の後
端開口を開閉するバックドアにスペアタイヤを搭載する
場合がある。この場合、スペアタイヤを露出させた状態
で搭載すると、該スペアタイヤからの雨垂れが車体パネ
ルやバンパ等を汚し易く、外観が悪化するという問題が
生じる。
【0003】このような雨垂れによる外観の悪化を防止
するために、従来、例えば実開平6−78174号公報
には、車体パネルとスペアタイヤとの間に配設された前
部カバーと、該前部カバーにヒンジ結合された後部カバ
ーとでスペアタイヤ全体を覆うようにしたものが提案さ
れている。しかしながら、上記スペアタイヤ全体をカバ
ー部材で覆う構造では、カバー部材が大がかりとなり、
コストが上昇するという問題がある。
【0004】そこで、本件出願人は、簡単な構造で雨垂
れを防止できるスペアタイヤの支持構造を提案した(特
願平8−255921号参照)。これは、図6に示すよ
うに、車体パネル50とスペアタイヤ51との間に該ス
ペアタイヤ51の車体パネル側の下部を覆うカバー部材
52を配置するとともに車体パネル50にボルト締め固
定し、該カバー部材52の外端縁52aをバンパ53よ
り外方に突出させたものである。
【0005】これによれば、スペアタイヤ51からの雨
垂れはカバー部材52の外端縁52aから排出されるの
で、車体パネル50やバンパ53に付着するのを防止で
きる。また上記カバー部材52はスペアタイヤ51の下
側部分のみを覆うという簡単な構造で済み、全体を覆う
構造に比べてコストを低減できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記車体パ
ネルとスペアタイヤとの間にカバー部材を配設する構造
では、車体やスペアタイヤの振動に伴ってカバー部材に
図6に矢印で示すようなばたつきが生じる場合があり、
車体パネルが傷ついたり,異音が発生したりするという
懸念がある。
【0007】また上記ばたつきによってカバー部材の車
体取付け部に大きな応力が発生し易くなることから、該
取付け部の強度を高める必要が生じ、場合によっては重
量が増加したり,コストが上昇したするという問題が生
じる。
【0008】本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされ
たもので、カバー部材のばたつきによる傷つき,異音の
発生を防止できるとともに、取付け部の応力を低減して
取付け強度をそれほど高める必要のない車両用スペアタ
イヤの支持構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、車体パネルに
固定されたキャリアにスペアタイヤを着脱可能に搭載
し、該スペアタイヤと上記車体パネルとの間に上記スペ
アタイヤの少なくとも車体パネル側下部を覆うカバー部
材を配設してなる車両用スペアタイヤの支持構造におい
て、上記カバー部材に弾性部材を装着し、該弾性部材
を、上記カバー部材から車体前側に突出して車体パネル
に当接する車体側当接部と、車体後側に突出して上記ス
ペアタイヤに当接するタイヤ側当接部とを有するものと
し、上記スペアタイヤをキャリアに搭載したとき該スペ
アタイヤと車体パネルとで上記弾性部材を介してカバー
部材を挟持したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1ないし図5は、本発明の
一実施形態による車両用スペアタイヤの支持構造を説明
するための図であり、図1〜図4は側面図,背面図,断
面図,斜視図、図5はスペアタイヤが搭載されたワゴン
型自動車の斜視図である。
【0011】図5において、1はワゴン型自動車の車体
であり、該車体1の後端面には幅広のドア開口1aが形
成されており、該開口1aはバックドア2により開閉さ
れる。また上記ドア開口1aの下縁部には車幅方向に延
びるリヤバンパ3が配設されており、該リヤバンパ3は
車体1に取付け固定されている。
【0012】上記バックドア2はアウタパネル2aと不
図示のインナパネルとを接合した概略構造のものであ
り、該バックドア2の上半部にはウインドガラス4が配
設されている。また上記バックドア2はドア開口1aの
側縁に上,下ヒンジ5,5を介して開閉自在に支持され
ており、該バックドア2のヒンジ5の反対側にはドアハ
ンドル6が配設されている。
【0013】上記バックドア2には板金製のキャリア7
が配設されており、該キャリア7にスペアタイヤ8が着
脱可能に支持されている。このキャリア7は、左, 右縦
壁部7b,7bの後端間に載置部7cを一体形成すると
ともに、前端にフランジ部7a,7aを屈曲形成した平
面視大略コ字状のものであり、この左, 右フランジ部7
aがボルト9により上記アウタパネル2aに締結固定さ
れている。
【0014】上記載置部7cには3本のボルト10が溶
接により後方に突出するよう植設されており、各ボルト
10にはハブナット11が螺着されている。上記載置部
7c上にスペアタイヤ8のホイールハブ部8aを当接さ
せ、上記ボルト10にハブナット11を締め付けること
によりスペアタイヤ8が固定されている。また上記載置
部7cの各ボルト10の周辺部,及び縦壁部7bにはそ
れぞれ補強ビード12が形成されている。
【0015】上記バックドア2とスペアタイヤ8との間
にはカバー部材としてのトレイ15が配設されている。
このトレイ15は樹脂製のもので、大略扇状のトレイ本
体部15aの下縁に樋状の受け部15bを一体形成し、
上記本体部15aの中心寄りの基部に左,右一対の取付
け片16,16をインサート成形により固定して構成さ
れている。この各取付け片16の上,下固定部16aが
上記キャリア7の左,右縦壁部7bにボルト17により
締結固定されている。なお、15cは補強リブである。
【0016】上記トレイ15はスペアタイヤ8の車体パ
ネル側の略下側半分を覆っており、かつ受け部15bの
後端縁15dはリヤバンパ3の後端より後方に少し突出
している。上記スペアタイヤ8からの雨垂れはトレイ1
5内に一旦集められ、受け部15bの後端縁15dから
下方に排出される。これによりバックドア2やリヤバン
パ3に雨垂れが付着するのを防止でき、汚れによる外観
の悪化を防止できる。ちなみに、スペアタイヤ8には劣
化防止剤等が塗布されており、これらが水滴とともに車
体パネルに付着すると洗い流し難くなる。
【0017】そして上記本体部15aの周方向両端部に
は穴15eが形成されており、該穴15eにはゴム製の
弾性部材20が装着されている。この弾性部材20は大
略円筒状のもので、これの軸方向中央部には周方向に延
びる係合溝21が形成されており、該弾性部材20は、
係合溝21内に上記穴15eの周縁を嵌合させることに
より軸方向に移動しないように本体部15aに取り付け
られている。
【0018】上記弾性部材20を、トレイ15から車体
前側に突出して上記バックドア2に当接する車体側当接
部20aと、車体後側に突出して上記スペアタイヤ8に
当接するタイヤ側当接部20bとを有するものとし、こ
の車体側,タイヤ側当接部20a,20bの突出量は該
弾性部材20が圧縮変形したときに上記トレイ15がバ
ックドア2及びスペアタイヤ8の何れとも接触しないよ
うに設定されている。これによりキャリア7にスペアタ
イヤ8を搭載したときに該スペアタイヤ8とバックドア
2とで弾性部材20を介して上記トレイ15が挟持され
る。
【0019】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態によれば、上記弾性部材20を、トレイ
15から車体前側に突出して上記バックドア2に当接す
る車体側当接部20aと、車体後側に突出して上記スペ
アタイヤ8に当接するタイヤ側当接部20bとを有する
ものとし、スペアタイヤ8とバックドア2とで弾性部材
20を介してトレイ15を狭持するようにしたので、該
トレイ15はスペアタイヤ8とバックドア2とによって
押圧固定されることとなり、車体振動によるばたつきを
抑えることができる。その結果、バックドア2を傷つけ
たり,異音の発生を防止できる。
【0020】また上記トレイ15のばたつきを抑制でき
ることから、取付け片16のキャリア7取付け部分に大
きな応力が発生するのを回避でき、ひいては上記取付け
片16の強度をそれほど大きくする必要がなく、重量の
増加及びコストの上昇を抑制できる。
【0021】さらに上記トレイ15とスペアタイヤ8及
びバックドア2との間には弾性部材20を介して隙間が
形成されることから、上記トレイ15が振動しても該ト
レイ15がスペアタイヤ8やバックドア2に接触するこ
とはなく、この点からもバックドアの傷や異音の発生を
防止できる。
【0022】本実施形態では、スペアタイヤ8とバック
ドア2との間に弾性部材20を介在させたので、該スペ
アタイヤ8を強固に支持でき、スペアタイヤ8自体の振
動やぐらつきを防止できる。これによりキャリア7及び
バックドア2のキャリア取付け部の強度条件を緩和で
き、軽量化及びコスト低減が可能となる。
【0023】なお、上記実施形態では、弾性部材20の
バックドア2に当接する車体側当接部20aとスペアタ
イヤ8に当接するタイヤ側当接部20bとを一体とした
が、これらは、別個に形成し、それぞれをトレイに装着
してもよい。また弾性部材20の配置個数についても2
個に限られるものではなく、1個,又は3個以上配置し
てもよい。
【0024】また本実施形態では、スペアタイヤ8の下
側部分のみ覆うトレイ15を配設した場合を説明した
が、本発明は、スペアタイヤ全体を覆うカバー部材を配
設した場合にも適用でき、この場合も上記カバー部材に
周方向に間隔あけて弾性部材を配置することにより上記
実施形態と同様の効果が得られる。
【0025】さらに上記実施形態では、ワゴン型自動車
のバックドアにスペアタイヤを搭載した場合を説明した
が、本発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、
スペアタイヤをフロントパネル等の他の車体パネルに搭
載する場合にも勿論適用できる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明に係る車両用スペア
タイヤの支持構造では、スペアタイヤと車体パネルとの
間に配設されたカバー部材に弾性部材を装着し、該弾性
部材をカバー部材から車体側に突出する車体側当接部と
車体後側に突出するタイヤ側当接部を有するものとし、
該カバー部材を弾性部材を介してスペアタイヤと車体パ
ネルとで狭持したので、車体等の振動によるカバー部材
のばたつきを抑制でき、車体パネルへの傷つき,異音の
発生を防止できる効果があり、またカバー部材の取付け
強度が小さくて済み、重量増加,コスト上昇を抑制でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるスペアタイヤの支持
構造を説明するための側面図である。
【図2】上記スペアタイヤに配設されたトレイの背面図
である。
【図3】上記トレイの断面図である(図2のIII −III
線断面図) 。
【図4】上記トレイの斜視図である。
【図5】上記スペアタイヤが搭載されたワゴン型自動車
の斜視図である。
【図6】本発明の成立過程を説明するための支持構造を
示す側面図である。
【符号の説明】
2 バックドア(車体パネル) 7 キャリア 8 スペアタイヤ 15 トレイ(カバー部材) 20 弾性部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 43/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体パネルに固定されたキャリアにスペ
    アタイヤを着脱可能に搭載し、該スペアタイヤと上記車
    体パネルとの間に上記スペアタイヤの少なくとも車体パ
    ネル側下部を覆うカバー部材を配設してなる車両用スペ
    アタイヤの支持構造において、上記カバー部材に弾性部
    材を装着し、該弾性部材を、上記カバー部材から車体前
    側に突出して車体パネルに当接する車体側当接部と、車
    体後側に突出して上記スペアタイヤに当接するタイヤ側
    当接部とを有するものとし、上記スペアタイヤをキャリ
    アに搭載したとき該スペアタイヤと車体パネルとで上記
    弾性部材を介してカバー部材を挟持したことを特徴とす
    る車両用スペアタイヤの支持構造。
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JP3653631B2 (ja) * 2001-08-30 2005-06-02 テイ・エス テック株式会社 スペアタイヤカバー
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