JP3305469B2 - 多層パイプ - Google Patents

多層パイプ

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JP3305469B2
JP3305469B2 JP34580193A JP34580193A JP3305469B2 JP 3305469 B2 JP3305469 B2 JP 3305469B2 JP 34580193 A JP34580193 A JP 34580193A JP 34580193 A JP34580193 A JP 34580193A JP 3305469 B2 JP3305469 B2 JP 3305469B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明はプラスチック多層パイ
プに関する。詳細には、本発明は、温水(熱水)循環法
によるセントラルヒーティング、集中フロアーヒーティ
ング等の設備、その他の温水や熱水の供給、循環、排出
設備などに使用するのに適するプラスチック多層パイプ
に関するものであり、本発明の多層パイプは施性およ
び耐久性に優れ、しかも酸素などの気体がパイプ壁を通
してパイプ内に侵入することがないため、本発明の多層
パイプを熱交換器、温水循環用ポンプなどの温水や熱水
などを扱う各種設備に取り付けて使用した場合にはそれ
らの設備で用いられている金属部分の腐食を防止するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】 フロアーヒーティングやセントラルヒ
ーティングなどの温水や熱水の循環用パイプとしては、
従来、鉄、銅などの金属パイプが主に用いられてきた。
これらの金属パイプは施時にコンクリート内に埋め込
まれたり、床下に設置される場合が多く、ほとんどの場
合に一度設置されるとその後の補修が困難である。しか
も、これらの設備には、例えば約30〜50年というよ
うな長期にわたっての耐久性が要求される。しかし、従
来の金属パイプは比較的高価であり、しかも溶接などが
必要なため施性に劣り、溶接部で漏水などを生じ易
く、また鉄製パイプの場合は腐食し易いという欠点があ
る。
【0003】上記の点から、金属パイプに代わり、安価
であり、しかも継ぎ目が少なくて溶接部での漏れの心配
のないプラスチックパイプが熱水や温水の循環用パイプ
として近年用いられるようになっており、例えば架橋ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオ
レフィン製パイプが使用されている。しかしながら、プ
ラスチックパイプを使用した場合には、金属パイプに比
べてパイプの溶接部などでの漏れは少なくなるものの、
予想外にもフロアーヒーティングなどの設備で使用する
熱交換器やポンプなどの装置における金属部分の腐食が
大きくなるという問題が新たに発生している。そしてそ
の後の研究で、この金属部分の腐食は、プラスチックパ
イプのパイプ壁を通して大気中の酸素ガスや炭酸ガスな
どがパイプ内に浸透し、これらのガスがパイプ内を流れ
る温水や熱水に溶解し、この溶存ガスが金属部分を腐食
するために生ずることが判明した。
【0004】 そこで、大気中の酸素ガスなどの気体が
パイプ壁を通して浸透するのを防止してプラスチックパ
イプにガスバリヤー性を付与することを目的として、ア
ルミニウム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、
ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアク
リロニトリルなどのガスリヤー性の材料、特に酸素バ
リヤー性の材料からなる層をプラスチックパイプの表面
に設けることや、ガスリヤー性の材料をパイプを構成
するプラスチック中に配合することが提案されている。
【0005】 しかしながら、アルミニウムの層をプラ
スチックパイプの外側に設けた場合は、施時に曲げ加
工などを行うとピンホールが発生して漏水が起こり易い
という欠点がある。また、ポリビニルアルコール、ポリ
塩化ビニリデンおよびポリアクリロニトリルなどのプラ
スチックは成形加工性が良好でないため、プラスチック
パイプの外側への施性に劣り殆ど実用化されていない
というのが現状である。
【0006】 また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物はポリビニルアルコールやポリ塩化ビニリデンな
どに比べて成形加工性が優れており、そのためプラスチ
ックパイプの最外層に設けることが既に提案されている
が(特開昭61−83035号公報、特開昭61−14
0691号公報)、それにより得られるパイプは弾性率
の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を最外層
に有していることにより、床などへの取り付け時に曲げ
加工しにくく施性に劣っている。また、場合によって
は曲げ加工を行った箇所でパイプの直径が局部的に狭く
なって隘路を形成し温水や熱水が流れにくくなったり、
ヒズミによるクラック等が発生し易いという欠点があ
る。そして、上記した従来のパイプのいずれもが、コン
クリート等の中に埋め込んだ後に上記のような異常が発
生した場合には簡単に取り替えることができないことか
ら、大きなトラブルの原因となる。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、
耐久性、耐腐食性、柔軟性、耐熱性などの特性に優れ、
酸素ガスやその他の気体を通さずガスリヤー性に優れ
ていてパイプが取り付けられる諸設備の金属部分での腐
食を抑制でき、しかも成形や加工や容易であって、パイ
プを曲げ加工してもその部分でクラックが発生したり隘
路が発生せず施性に優れているプラスチックパイプ、
特に温水や熱水の循環、供給、排出経路で用いるのに適
するプラスチックパイプを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成すべ
く本発明者らは種々研究を行ってきた。そして、水架橋
ポリオレフィン、放射線架橋ポリオレフィン、ポリブテ
ンなどから内層パイプを製造し、その外側に接着剤層を
介してエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を押出し
被覆して多層パイプを製造した。そして、そこで得られ
た多層パイプの酸素バリヤー性、耐久性、パイプの曲げ
加工時のクラックなどの異常の発生やパイプの断面積の
変化などについて調べた。その結果、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物からなる外層を設けた多層パイプ
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の外層を設
けていないパイプと比較すると、パイプの曲げ加工時に
大きな力が必要であること、しかも曲げ加工時に曲率を
小さくする(例えば曲率半径100mm以下に曲げる)
と、折れ曲がったり、パイプの断面積の縮小、外層にお
けるシワやスジの発生などを生じて、施性に劣ってい
ることが判明した。
【0009】 そして、上記のようなトラブルは外層を
構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の弾性
率が高いことに起因すると考え、エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物に対してエチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン
−アクリル酸共重合体、ポリアミド系エラストマー、ポ
リエステル系エラストマーまたはポリエーテル系エラス
トマーを10〜50重量%の割合で配合して重合体組成
物を調製し、それぞれの重合体組成物を外層用の材料と
して用いて、これを上記と同様にして水架橋ポリオレフ
ィンなどの内層パイプ上に押出し被覆して多層パイプを
製造した。そして、その結果得られたそれぞれの多層パ
イプについて曲げ加工試験を行ったところ、エチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物にエチレン−酢酸ビニル共
重合体を配合した重合体組成物から外層を形成した多層
パイプのみが、曲げ加工時の応力が小さくてすみ曲げ加
工性に優れていること、パイプの曲げ部分での白化が生
じず、しかもガスリヤー性の低下を抑制できることが
判明した。
【0010】 そこで、エチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物にエチレン−酢酸ビニル共重合体を配合した重
合体組成物よりなる外層を有する上記の多層パイプに9
5℃の熱水を通して、温水循環器などでパイプが実際に
使用されるのとほぼ同様の状況下で繰り返して使用して
そのガスリヤー性を調べたところ、ある程度の期間使
用するとそのガスリヤー性が大幅に低下していた。そ
して、かかるガスリヤー性の低下を防止する方法を求
めて更に種々検討を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル
共重合体ケン化物とエチレン−酢酸ビニル共重合体を外
層とする上記の多層パイプに外層側から放射線を照射す
ると、長期間熱水を通してもガスリヤー性の低下がな
いことを見出した。
【0011】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
とエチレン−酢酸ビニル共重合体との重合体組成物から
なる外層を有する上記の多層パイプにおいて、放射線照
射処を行わないとそのガスリヤー性が大幅に低下して
くるのに対して、放射線照射を行うとそのガスリヤー
性が長期にわたって良好に維持させる理由としては、確
実ではないが、次のようなことが考えられる。すなわ
ち、放射線照射をしていない多層パイプでは、パイプ中
に95℃の熱水を長期間にわたって流すと内層パイプと
外層パイプとの間の接着剤層が熱水によって軟化して内
層および外層を形成する樹脂や重合体組成物との接着力
が低下し、パイプの曲げ加工による応力が外層に多くか
かるためにその部分でクラックが発生してこのクラック
がガスリヤー性の低下を招くのに対して、外層側から
放射線を照射した多層パイプでは接着剤層が放射線照射
によって架橋するためにその融点が高くなっており、9
5℃の熱水を長期間にわたって流しても接着剤層の溶融
や軟化がなく、その結果接着剤層と内層および外層との
接着が良好に保たれてクラックの発生が抑制されてガス
リヤー性の低下が防止できるものと推定される。
【0012】 本発明は上記の発見に基づいてなされた
ものであり、従って、本発明は、(1) (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物お
よびエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する重合体組
成物よりなる外層または外側寄りの層;(B)ポリブテ
ン、水架橋ポリオレフィンおよび放射線架橋ポリオレフ
ィンのうちの少なくとも1つよりなる内層または内側寄
りの層;並びに(C)それらの層を結合する接着剤層を
有する多層パイプであって、且つ外層側から放射線照射
処理されていることを特徴とする多層パイプである。
して、本発明は、 (2)外層または外側寄りの層(A)を構成する重合体
組成物における、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物とエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合割合が、重量
比で50:50〜90:10である前記(1)の多層パ
イプ;および、 (3)多層パイプが、温水用又は熱水用の多層パイプで
ある前記(1)または(2)の多層パイプ;を好ましい態様
として包含する。
【0013】 さらに、本発明は(4) (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物お
よびエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する重合体組
成物よりなる外層または外側寄りの層;(B)ポリブテ
ン、水架橋ポリオレフィンおよび放射線架橋ポリオレフ
ィンのうちの少なくとも1つよりなる内層または内側寄
りの層;並びに(C)それらの層を結合する接着剤層を
有する多層パイプを製造した後、外層側から放射線を照
射することを特徴とする多層パイプの製造方法である
【0014】本発明の多層パイプでは、その外層または
外側寄りの層(A)[以下両者を総称して「外層
(A)」という]が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物(以下「EVOH」という)およびエチレン−酢
酸ビニル共重合体(以下「EVA」という)を含有する
重合体組成物[以下この重合体組成物を「重合体組成物
(a)」ということがある]から形成されていることが
必要である。外層(A)を構成する重合体組成物(a)
で用いるEVOHは、エチレンと酢酸ビニルとからなる
共重合体をケン化処理してその酢酸ビニル単位がビニル
アルコール単位に変換されている共重合体であり、EV
OHにおけるエチレン単位の割合(共重合割合)が20
〜60モル%であるのが好ましく、25〜45モル%で
あるのがより好ましい。また、EVOHのケン化度は9
5%以上であるのが好ましく、99%以上であるのがよ
り好ましい。
【0015】 EVOHにおけるエチレン単位の割合が
20モル%よりも少ないと、外層ガスリヤー性は優
れているものの、EVOHおよびEVAを含有する重合
体組成物(a)の成形加工性が低下する傾向があり、内
層の上に外層を形成する際の成形性および多層パイプの
曲げ加工性などが低下し易い。一方、EVOHにおける
エチレン単位の割合が60モル%を超えると酸素ガスな
どに対するガスリヤー性が低下する傾向がある。ま
た、EVOHのケン化度が95%未満であるとガス
ヤー性(特に酸素バリヤー性)および成形性、熱安定性
などが低下する傾向があり、目的とする効果を達成しに
くくなる。また、EVOHは、本発明の効果を阻害しな
い範囲で、プロピレンなどの炭素数3以上のオレフィン
類、(メタ)アクリル酸、ビニルシラン系化合物、ビニ
ルピロリドン系化合物などの他の共重合性モノマーから
誘導される共重合単位を分子中に必要に応じて少量有し
ていてもよい。
【0016】また、外層(A)を構成する重合体組成物
(a)で用いるEVAとしては、酢酸ビニル単位の割合
がEVAの重量の基づいて10〜50重量%(エチレン
単位の割合が90〜50重量%)であるものを使用する
のが好ましく、酢酸ビニル単位の割合が20〜40重量
%(エチレン単位の割合が80〜60重量%)のものを
使用するのがより好ましい。EVAにおける酢酸ビニル
単位の割合が10重量%未満の場合(エチレン単位の割
合が90重量%を超える場合)は、EVOHとEVAか
らなる重合体組成物(a)の熱安定性は優れるものの柔
軟性が不足して成形・加工性が低下し易く、一方酢酸ビ
ニル単位の割合が50重量%を超える(エチレン単位の
割合が50重量%未満である)と柔軟性は優れるものの
熱安定性が低下する傾向がある。そして、EVAも、本
発明の効果を阻害しない範囲で、プロピレンなどの炭素
数3以上のオレフィン類、(メタ)アクリル酸、ビニル
シラン系化合物、ビニルピロリドン系化合物などの他の
共重合性モノマーから誘導される共重合単位を必要に応
じて分子中に少量有していてもよい。
【0017】 外層(A)を構成する重合体組成物
(a)におけるEVOHおよびEVAの配合割合につい
ては、EVOH:EVAの重量比が50:50〜90:
10になるようにするのが好ましく、60:40〜8
0:20であるのがより好ましい。EVOHとEVAの
合計重量に基づいて、EVOHの割合が50重量%未満
である(EVAの割合が50重量%を超える)と外層
(A)のガスリヤー性が低下して使用に耐え得なくな
り易く、一方EVOHの割合が90重量%を超える(E
VAの割合が10重量%未満である)と多層パイプを曲
げ加工する際に応力が高くなり過ぎて曲げ加工が困難に
なったり、クラックの発生などのトラブルが生じ易くな
る。
【0018】外層(A)を構成する重合体組成物(a)
は、上記したEVOHおよびEVAの他に、必要に応じ
て酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、可塑剤、充填
剤、他の熱可塑性重合体などを含有していてもよく、特
に酸化防止剤、例えばヒンダートフェノール系やヒンダ
ートアミン系の酸化防止剤を少量(例えば重合体組成物
の重量に対して0.05〜1重量%)添加しておくと、
多層パイプの使用期間を一層長くすることができる。
【0019】外層(A)を構成する重合体組成物(a)
は、熱可塑性重合体組成物を調製するための従来公知の
方法により得ることができ、例えばバンバリーミキサ
ー、一軸押出機、二軸押出機などを使用してEVOH、
EVAおよび必要に応じて他の成分を溶融混練すること
により得られる。
【0020】そして本発明の多層パイプでは、その内層
または内側寄りの層(B)[以下両者を総称して「内層
(B)」という]がポリブテン、水架橋ポリオレフィン
および放射線架橋ポリオレフィンのうちの少なくとも1
つよりなっていることが必要である[以下これらのポリ
オレフィンより構成する内層の素材を「内層用ポリオレ
フィン(b)」ということがある]。その場合のポリブ
テンとしては、ポリブテン−1のホモポリマー、ブテン
−1を主成分とし他のビニルモノマーを少量成分として
その主鎖中に共重合させた共重合体、およびポリブテン
−1に他のビニルモノマーをグラフト重合させたグラフ
ト重合体のうちの1種または2種以上を用いることがで
きる。ブテン−1の共重合体またはグラフト重合体で用
いることのできる他のビニルモノマーとしてはエチレ
ン、プロピレン、ジオレフィン、無水マレイン酸などの
不飽和カルボン酸無水物などを挙げることができる。ま
た、内層(B)をポリブテンから形成する場合は、本発
明の目的を阻害しない範囲内で、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
プロピレン共重合体エラストマーやポリイソブチレンゴ
ムなどの熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性重合体を
ポリブテン中に配合してあってもよい。
【0021】また、本発明で使用する水架橋ポリオレフ
ィンは、加水分解可能な有機基を持ったシリル基を有す
るビニルモノマーを、オレフィンと共重合したりまたは
ポリオレフィンにグラフト重合して得られる水架橋性ポ
リオレフィンをシラノール縮合触媒の存在下に水、熱
水、水蒸気などを使用して架橋して得られるポリオレフ
ィンである。本発明の多層パイプで内層(B)をこの水
架橋ポリオレフィンから構成する場合は、架橋する前の
水架橋性ポリオレフィンを使用して内層パイプを製造す
るかまたは内層(B)、接着剤層(C)および外層
(A)が一体になった多層パイプを製造し、その後に内
層(B)の内側に水、熱水、水蒸気などを通して内層
(B)を構成する水架橋性ポリオレフィンを架橋させる
ようにするのがよい。多層パイプの内層(B)を水架橋
ポリオレフィンから構成する場合には、その水架橋ポリ
オレフィン内層における架橋度を55%以上としておく
のが好ましい。なお、ここでいう水架橋ポリオレフィン
の架橋度とは、所定重量の水架橋ポリオレフィンを熱キ
シレン(135℃)に溶解し、その未溶解部分の重量を
測定して、式:(未溶解部分の重量/水架橋ポリオレフ
ィンの重量)×100により求めた値である。
【0022】 限定されるものではないが、水架橋ポリ
オレフィンを製造するのに用いられる上記した加水分解
可能な有機基を持つシリル基含有ビニルモノマーとして
は、例えば下記の一般式;
【0023】
【化1】R−Si−(OR')3 [式中、RはCH2=CH−またはCH=C(CH3)−C
OO−(CH2)n−(n=1〜5の整数)、R'はメチル
基、エチル基、CH3−O−CH2−CH2−などを示
す]で表されるビニルモノマーなどを挙げることがで
き、かかるビニルモノマーをオレフィンと共重合させた
り、またはポリオレフィンにグラフト重合させることに
より水架橋性ポリオレフィンが得られる。
【0024】内層(B)を上記の水架橋ポリオレフィン
から構成する場合は、本発明の目的を阻害しない範囲内
の量で未変性のポリオレフィンを配合しておいてもよ
く、その場合にもその最終的な架橋度が55%以上にな
るようにするのが好ましい。
【0025】また、本発明の多層パイプの内層(B)を
放射線架橋ポリオレフィンより構成する場合は、放射線
架橋ポリオレフィンとして、ポリエチレン;ポリプロピ
レン;エチレンおよび/またはプロピレンを主成分とし
これにブテンなどの他のオレフィン類、ジオレフィン、
無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物の1種ま
たは2種以上を共重合した共重合体;並びにエチレンお
よび/またはプロピレンからなる幹重合体にブテンなど
の他のオレフィン類、ジオレフィン、無水マレイン酸な
どの不飽和カルボン酸無水物の1種または2種以上をグ
ラフト重合したグラフト共重合体の1種または2種以上
からなるポリオレフィン、或いはこれらのポリオレフィ
ンに必要に応じて他の熱可塑性重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−プロピレンエラストマー、
ポリイソブチレンゴムなどの熱可塑性エラストマーを本
発明の目的が阻害されない範囲内の量で配合したもの
を、放射線で架橋したポリオレフィンが好ましく用いら
れる。
【0026】内層(B)として放射線架橋ポリオレフィ
ンを用いる場合は、架橋する前の上記したポリオレフィ
ン類またはその組成物を使用して内層パイプを製造する
かまたは内層(B)、接着剤層(C)および外層(A)
が一体になった多層パイプを製造し、その後に内層
(B)の内側から放射線を照射して架橋するのがよい。
その場合の放射線としては、γ線、β線、電子線、X線
などの電離性放射線を使用するのが好ましく、放射線の
線量は約5〜20Mrad程度とするのがよい。
【0027】また、内層(B)を構成するポリブテン、
水架橋ポリオレフィンおよび/または放射線架橋ポリオ
レフィン中には必要に応じて滑剤、帯電防止剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、架橋助剤、金属キレート
剤、無機粉末、着色剤などの添加剤を含有させておいて
もよい。
【0028】そして、本発明の多層パイプにおいて外層
(A)と内層(B)を結合する接着剤層(C)として
は、外層(A)と内層(B)を強固に接着できる接着剤
であればいずれも使用可能であるが、不飽和カルボン酸
またはその誘導体(以下両者を含めて「不飽和カルボン
酸類」という)で変性されたポリオレフィンを用いるの
が好ましい。不飽和カルボン酸類で変性されたポリオレ
フィンとしては、エチレン、プロピレン、その他の炭素
数4〜12のα−オレフィンの1種または2種以上と不
飽和カルボン酸類を、必要に応じて他の共重合性ビニル
単量体[例えば酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル
類、アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステ
ル類など]と共に共重合して得られる不飽和カルボン酸
類変性ポリオレフィン類;エチレン、プロピレン、その
他の炭素数4〜12のα−オレフィンの1種または2種
以上を重合して得られるポリオレフィン、またはこれら
のオレフィンと前記したのと同様の他の共重合性ビニル
単量体を共重合体して得られるオレフィン共重合体に、
不飽和カルボン酸類をグラフト重合させて得られるグラ
フト共重合体などを挙げることができる。
【0029】上記においてポリオレフィンの変性に用い
る不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、メチルメタクリル酸などの一塩基性不飽和カルボ
ン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸などの二塩基性不飽和カルボン酸、またはそれらの
無水物を挙げることができ、これらの不飽和カルボン酸
類は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。その
うちでも特に無水マレイン酸で変性されたポリオレフィ
ンを用いるのが好ましい。
【0030】また、不飽和カルボン酸類で変性されたポ
リオレフィンでは、変性後のポリオレフィンの全重量に
基づいて、不飽和カルボン酸類による変性割合(不飽和
カルボン酸類が化学的に結合した量)が0.005〜5
重量%であるのが好ましく、変性割合が0.01〜2重
量%であるのがより好ましい。接着剤層(C)を不飽和
カルボン酸類で変性されたポリオレフィンより構成する
場合に、該変性ポリオレフィン中に接着力の低下などを
招かない範囲内の量で未変性のポリオレフィンなど配合
した重合体組成物を用いてもよい。そしてそのような重
合体組成物を使用する場合にも、不飽和カルボン酸類に
よる変性割合を、接着剤層を構成する重合体組成物の全
重量に基づいて、0.005〜5重量%とするのが好ま
しく、0.01〜2重量%がより好ましい。また、接着
剤層(C)中にも必要に応じて酸化防止剤[例えば3,
5−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、チバガイギ
ー社製(イルガノックス1010)、チバガイギー社製
(イルガノックス1076)など]などを配合しておい
てもよい。
【0031】そして、本発明の多層パイプの典型的な層
構造としては、{EVOHとEVAを含有する重合体組
成物(a)からなる外層(A)}/{接着剤層(C)}
/{ポリブテン、水架橋ポリオレフィンおよび放射線架
橋ポリオレフィンのうちの少なくとも1つ[すなわち内
層用ポリオレフィン(b)]よりなる内層(B)}とか
らなる構造を挙げることができるが、本発明の多層パイ
プの層構造はそれに限定されず、重合体組成物(a)か
らなる層が最外層または外側寄りの層を構成し、内層用
ポリオレフィン(b)よりなる層が最内層または内側寄
りの層を構成し、それらの層が接着剤によって結合され
ている多層パイプはいずれも本発明の範囲に含まれる。
【0032】本発明の多層パイプの例としては、、 重合体組成物(a)層/接着剤層/内層用ポリオレフ
ィン(b)層よりなる多層パイプ; 重合体組成物(a)層/接着剤層/重合体組成物
(a)層/接着剤層/内層用ポリオレフィン(b)層よ
りなる多層パイプ; 重合体組成物(a)層/接着剤層/内層用ポリオレフ
ィン(b)層/接着剤層/重合体組成物(a)層/接着
剤層/内層用ポリオレフィン(b)層よりなる多層パイ
プ; などを挙げることができ、上記およびの多層パイプ
においては、そこで用いられている複数の重合体組成物
(a)層同士、または複数の内層用ポリオレフィン
(b)層同士はその内容が同じであってもまたは異なっ
ていてもよい。
【0033】また場合によっては、上記した〜のよ
うな多層パイプにおいて、その最外層を構成する重合体
組成物(a)層の表面を接着剤層を介してまたは介さず
に表面保護層で更に被覆してもよく、その場合の表面保
護層の素材としては、ポリブテン、水架橋ポリオレフィ
ン、放射線架橋ポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビ
ニル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド
などの耐久性のある重合体が好ましく用いられる。表面
保護層の厚みは5〜200μ程度にしておくとよい。
【0034】本発明の多層パイプの外径、内径、肉
(壁)厚などは各々の用途に応じて適宜選択することが
でき特に制限されない。例えば、外径を5〜50mm、
内径を3〜40mmおよび肉(壁)厚を1〜5mmの多
層パイプの場合には、重合体組成物(a)から構成され
る層[外層(A)]の厚みを約15〜300μ、好まし
くは50〜150μ、接着剤層(C)の厚みを2〜10
μ、好ましくは4〜6μ、内層用ポリオレフィン(b)
から構成させる層[内層(B)]の厚みを1000〜4
500μ、好ましくは、1500〜3500μとしてお
くのがよい。
【0035】 そして、本発明の多層パイプは上記した
外層(A)、接着剤層(C)および内層(B)を有する
多層パイプを製造した後に、外層(A)側から放射線を
照射してあることが必要である。また外層(A)の表面
に表面保護層が更に設けられている場合はその表面保護
層の外側から放射線を照射するか、または放射線照射し
てから表面保護層を設ける。その場合の放射線の線量は
2〜50Mradであるのが好ましく、5〜30Mra
dがより好ましい。放射線の線量が50Mradを超え
ると外層(A)を構成するEVOH分子の鎖が切断され
てガスリヤー性の低下を招き易く、一方2Mrad未
満であると接着剤層(C)を構成する重合体が熱水や温
水によって柔らかくなって外層(A)および内層(B)
との接着力が低下し、パイプの曲げ加工時などにクラッ
クが発生し易くなる。これは、前記したように、放射線
の線量が少なすぎると接着剤層(C)の架橋が十分に行
われず、接着剤層(C)の軟化点や融点が高くならない
ことによるものと推定される。また、外層(A)側から
照射する放射線としては、γ線、β線、電子線、X線な
どの電離性放射線が好ましく用いられる。
【0036】本発明の多層パイプの製造方法としては、
外層(A)、接着剤層(C)および内層(B)を有する
多層パイプを外層(A)側から放射線照射すること以外
は特に制限されず、任意の方法を採用することができ
る。限定されるものではないが、本発明の多層パイプの
製造法の例としては、 (i) 内層用ポリオレフィン(b)を用いて内層パイ
プを溶融押出成形し、この内層パイプが水架橋性ポリオ
レフィンまたは放射線架橋性ポリオレフィンより形成さ
れている場合は水架橋または放射線架橋を行った後、そ
の外側表面に接着剤層を溶融押出し被覆し、更にその上
に重合体組成物(a)を溶融押出し被覆して多層パイプ
を製造した後に外側から放射線を照射する方法; (ii) 内層用ポリオレフィン(b)を用いて内層パイ
プを溶融押出成形し、その外側表面に接着剤層を溶融押
出し被覆し、更にその上に重合体組成物(a)を溶融押
出し被覆した後に、外側から放射線を照射し、そして内
層パイプが水架橋性ポリオレフィンまたは放射線架橋性
ポリオレフィンより形成されている場合は内層パイプの
水架橋または放射線架橋を外層側からの放射線照射と同
時にまたは放射線照射後に行う方法; (iii) 重合体組成物(a)、接着剤および内層用ポ
リオレフィン(b)を用いて同時に共押出して多層パイ
プを製造した後、多層パイプの外側から放射線を照射す
る方法(この場合に内層が水架橋性ポリオレフィンまた
は放射線架橋性ポリオレフィンより形成されている場合
は内層の水または放射線による架橋は外側からの放射線
照射と同時、外側からの放射線照射の前または後に行う
ことができる); などを挙げることができる。
【0037】また、重合体組成物(a)からなる外層の
表面が更に表面保護層で被覆されている場合は、外層側
から放射線を照射する前または照射した後に表面保護層
を形成することができ、その場合の表面保護層の形成
は、押出被覆による方法、多層パイプの外層(A)、接
着剤層(C)および内層(B)との共押出しによる方
法、表面保護層の材料を溶かした溶液を多層パイプの表
面に塗布する方法などの任意の方法を採用することがで
きる。
【0038】 本発明の多層パイプは、施性および耐
久性に優れ、しかも酸素ガスなどの気体に対するバリア
ー性および耐熱性に優れているので、温水や熱水などの
供給、循環、排出用のパイプとして特に適しており、フ
ロアーヒーティングやセントラルヒーティングなどにお
ける温水や熱水の循環用のパイプとして好ましく用いら
れる。しかしそれに限定されず、その優れたガスリヤ
ー性、耐熱性、施性、加工性などを活かして各種の液
体やガス用のパイプとして有効に使用することができ
る。
【0039】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが本発明はそれにより限定されない。以下の実施
例および比較例において、各々の例で製造された多層パ
イプの曲げ加工性(曲げ加工に必要な応力、曲げ部にお
ける偏平化度および曲げ部の外観)および酸素バリヤー
性は次のようにして測定または評価した。
【0040】曲げ加工性: (1)曲げ加工時の応力:各例で得られた多層パイプを長
さ25cmに切断し、これを曲げ応力測定装置(島津製
作所製;オートグラフ)を使用して曲率半径100mm
で曲げて、その時に要した応力を測定した。 (2)曲げ部での偏平化度:上記(1)の曲げ加工を施し
たときにその曲げ部における最大直径(外径)(Rma
x)と最小直径(外径)(Rmin)をノギスを用いて測定
し、その最小直径と最大直径との比=(Rmin/Rmax)
を求めて偏平化度を評価した。(Rmin/Rmax)の値が
1.00に近いほど曲げ部における偏平化が少なく、曲
げ加工性が良好であることを示す。 (3)曲げ部の外観:曲げ部の色調を目視により観察し
て、曲げ部に白化などの変色が生じていない場合を良好
(○)とし、白化していて場合を不良(×)として評価
した。
【0041】多層パイプの酸素バリヤー性: (1)熱水を通す前:室温25℃、湿度65%RHに調整
した測定室中で、約3cmの長さの多層パイプの一端を
シリコンゴム栓および接着剤を用いて密閉し、もう一方
の端を酸素透過量測定装置(モダンコントロール社製:
OX−TRAN)に接続して酸素透過量を測定して酸素
バリヤー性を調べた。 (2)熱水(95℃)を通した後:熱水を通した後の多層
パイプを約1時間冷却した後、熱水を通す前と同様の操
作で酸素透過量を測定して酸素バリヤー性を調べた。
【0042】《実施例 1》 (1) エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物[エチ
レン単位の割合32モル%;ケン化度99.6%;MI
(メルトインデックス)(190℃/荷重2160g)
1.3g/10分]70重量部とエチレン−酢酸ビニル
共重合体[酢酸ビニル単位の割合28重量%;MI(1
90℃/荷重2160g)1.1g/10分]30重量
部を溶融混合して外層(A)用の重合体組成物(a)を
調製した。 (2) 内層(B)用の水架橋性ポリエチレン(住友ベ
ークライト社製「モルデークスS−141」;架橋度7
0%)、接着剤層用の無水マレイン酸変性ポリエチレン
(三井石油化学社製「アドーNF500」)および上
記(1)で調製した重合体組成物(a)を多層パイプ製
造用の共押出成形機に供給して、同時に溶融押出積層し
て行って(ダイ温度220℃)、重合体組成物(a)の
外層/接着剤層/水架橋性ポリエチレンの内層からなる
外径20mmの多層パイプを製造した。
【0043】(3) 上記(2)で得た多層パイプの内
側に水蒸気(温度150℃;圧力4kg/cm2)を2
分間通して内層を水架橋した後、外層側から放射線(γ
線)を10Mradの線量で照射した。得られた多層パ
イプにおける外層/接着剤層/内層の厚みは100μ/
50μ/1850μであった。 (4) 上記(3)で得られた放射線照射後の多層パイ
プの曲げ加工性および酸素バリヤー性を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表1に示すとおりで
あった。
【0044】《実施例 2》内層(B)用の水架橋性ポ
リエチレンをポリブテン(ウイトコケミカル社製「WI
TRON 4101」)に代えた以外は実施例1と同様
にして多層パイプを製造し、その曲げ加工性および酸素
バリヤー性を上記した方法で測定または評価したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0045】《比較例 1》外層側からの放射線照射を
行わなかった以外は実施例1と同様にして多層パイプを
製造し、その曲げ加工性および酸素バリヤー性を上記し
た方法で測定または評価したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0046】《比較例 2》外層側からの放射線照射を
行わなかった以外は実施例2と同様にして多層パイプを
製造し、その曲げ加工性および酸素バリヤー性を上記し
た方法で測定または評価したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0047】《実施例 3》外層(A)用として用いた
重合体組成物(a)におけるエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物とエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合割
合を60重量部:40重量部に変えた以外は実施例2と
同様にして多層パイプを製造し、その曲げ加工性および
酸素バリヤー性を上記した方法で測定または評価したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。
【0048】《実施例 4》外層(A)用として用いた
重合体組成物(a)におけるエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物とエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合割
合を60重量部:40重量部に変えた以外は実施例1と
同様にして多層パイプを製造し、その曲げ加工性および
酸素バリヤー性を上記した方法で測定または評価したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。
【0049】《実施例 5》外層(A)用を形成する重
合体組成物(a)におけるエチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物として、エチレン単位44モル%、ケン化度
99.5%、MI4.0g/10分のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物を用いた以外は実施例1と同様に
して多層パイプを製造し、その曲げ加工性および酸素バ
リヤー性を上記した方法で測定または評価したところ、
下記の表1に示すとおりであった。
【0050】《比較例 3》外層側からの放射線照射を
行わなかった以外は実施例3と同様にして多層パイプを
製造し、その曲げ加工性および酸素バリヤー性を上記し
た方法で測定または評価したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0051】《比較例 4》外層側からの放射線照射を
行わなかった以外は実施例5と同様にして多層パイプを
製造し、その曲げ加工性および酸素バリヤー性を上記し
た方法で測定または評価したところ、下記の表1に示す
とおりであった。
【0052】
【表1】
【0053】上記表1の結果から、実施例1〜実施例5
の本発明の多層パイプは、曲げ加工性に優れていて曲げ
加工時の応力が小さくてすみ、曲げ部における偏平化の
度合いが小さく且つ白化も生じず、しかも長期間にわた
って95℃の熱水をパイプ内に通しても酸素バリヤー性
の低下が全くなく、最初の良好な酸素バリヤー性をその
まま保持できることがわかる。一方、比較例1〜比較例
4の多層パイプの場合は、最初は良好な酸素バリヤー性
を有しているものの、95℃の熱水を長期にわたって通
すとその酸素バリヤー性が著しく低下し、使用に耐え得
なくなることがわかる。
【0054】
【発明の効果】 本発明の多層パイプは、耐久性、耐腐
食性、柔軟性、耐熱性などの特性に優れ、酸素ガスやそ
の他の気体を通さずガスリヤー性に優れており、長期
間にわたって温水や熱水などを通してもそれらの性能が
低下しない。そして、その優れたガスリヤー性によっ
てパイプ外の酸素ガスのなどの気体が多層パイプの壁部
を通してパイプ内を流れる温水や熱水などに溶存するこ
とがないので、多層パイプが取り付けられる例えば熱交
換器、温水循環用ポンプなどの各種設備における金属部
分の腐食を抑制できる。更に、本発明の多層パイプは成
形や加工が容易であって、例えば各種設備に設置する際
にパイプを曲げ加工してもその部分でクラック、隘路、
白化などを発生しないので、施性に優れ、その良好な
性能を長期にわたって維持することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16L 9/12 F16L 9/12 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16L 9/00 - 9/22 F16L 11/00 - 11/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
    ン化物およびエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する
    重合体組成物よりなる外層または外側寄りの層;(B)
    ポリブテン、水架橋ポリオレフィンおよび放射線架橋ポ
    リオレフィンのうちの少なくとも1つよりなる内層また
    は内側寄りの層;並びに(C)それらの層を結合する接
    着剤層を有する多層パイプであって、且つ外層側から放
    射線照射処理されていることを特徴とする多層パイプ。
  2. 【請求項2】 外層または外側寄りの層(A)を構成す
    る重合体組成物における、エチレン−酢酸ビニル共重合
    体ケン化物とエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合割合
    が、重量比で50:50〜90:10である請求項1記
    載の多層パイプ。
  3. 【請求項3】 多層パイプが、温水用または熱水用の多
    層パイプである請求項1または2記載の多層パイプ。
  4. 【請求項4】 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
    ン化物およびエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する
    重合体組成物よりなる外層または外側寄りの層;(B)
    ポリブテン、水架橋ポリオレフィンおよび放射線架橋ポ
    リオレフィンのうちの少なくとも1つよりなる内層また
    は内側寄りの層;並びに(C)それらの層を結合する接
    着剤層を有する多層パイプを製造した後、外層側から放
    射線を照射することを特徴とする多層パイプの製造方
    法。
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