JP3304463B2 - 画像形成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、パルス幅変調とパワー
変調により選択的に多値で記録を行う画像形成装置に関
し、特にファクシミリ装置や電子ファイルの記録部、レ
ーザプリンタに好適な画像形成装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近では、プリンタ技術の進歩により２
値のみならず３値以上の数レベルの多値で画像を出力す
ることが可能である。特に電子写真技術を用いたレーザ
プリンタでは、ビームの点灯時間を１画素内で制御する
ことにより１画素を多値で記録するパルス幅変調と、１
画素当たりのビームエネルギを制御することにより画素
を多階調で記録するパワー変調の２種類の変調方式が知
られている。したがって、このような多値の記録装置を
用いてファクシミリの受信画像や電子ファイルの蓄積画
像のような２値画像を出力する場合、２値画像を多値画
像に変換して出力することにより画質を大幅に向上する
ことができる。

【０００３】ところで、文字部のように画像濃度の変化
が急な領域では解像度の良さが要求され、他方、写真部
分のように画像濃度の変化が緩やかな領域では階調性の
良さが要求される。また、画像全体に平滑化フィルタを
用いて多値画像に変換すると特に文字のエッジ部分がぼ
やけるので、エッジ部分を保存する平滑化フィルタが知
られている。

【０００４】従来、この種の画像形成装置としては例え
ば特開平３−２５４２７６号公報に示すように、文字部
のエッジがつぶれることを防止するとともにハーフトー
ン画像の階調性を良好に再現するために、画像を文字画
像とハーフトーン画像に分離して文字画像の斜線ストロ
ークのエッジ部分のみにスムージング処理を施すように
構成されている。

【０００５】また、他の装置としては例えば特開平２−
１６５７７５号公報に示すように、疑似階調の部分と２
値画像の部分を識別してそれぞれに応じた開口サイズで
多値推定することにより、モアレを防止するとともに繊
細な画像成分と２値画像を正確に再生するようにしたも
のが知られている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、２値処理された文字画像についてスムージン
グ処理を行って斜線ストロークのエッジ部分を滑らかに
する処理と、疑似中間調処理された写真画像について平
滑化フィルタを用いて階調性が良い画像に変換する処理
を両立させることは困難であるという問題点がある。

【０００７】本発明は上記従来の問題点に鑑み、２値処
理された文字画像と疑似中間調処理された写真画像が混
在した画像の再現性を向上することができる画像形成装
置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】第１の手段は上記目的を
達成するために、パルス幅変調またはパワー変調により
選択的に多値で記録を行う記録手段と、２値の文字画像
の斜線ストロークのエッジの画素を分割する文字領域処
理手段と、疑似中間調処理された２値画像を多値データ
に変換する写真領域処理手段と、２値の入力画像が文字
画像部か写真画像部かを判定し、文字画像部の場合に前
記写真領域処理手段により分割されたデータに基づいて
前記記録手段がパルス幅変調で記録し、写真画像部の場
合に前記写真領域処理手段により変換された多値データ
に基づいて前記記録手段がパワー変調で記録するように
制御する判定手段とを備えたことを特徴とする。

【０００９】第２の手段は、第１の手段において前記記
録手段がパルス幅変調またはパワー変調により多値で記
録を行うか、２値の入力画像をそのまま記録するかを選
択するためのスイッチを設けたことを特徴とする。

【００１０】第３の手段は、第１または第２の手段にお
いて前記写真領域処理手段が２値画像を多値データに変
換するための複数種類の多値化フィルタを備え、前記多
値化フィルタを選択するためのスイッチを設けたことを
特徴とする。

【００１１】

【作用】第１の手段では、文字画像の斜線ストロークの
エッジの画素が分割されてパルス幅変調により記録さ
れ、他方、写真画像がパワー変調で記録される。

【００１２】第２の手段では、パルス幅変調またはパワ
ー変調により多値で記録を行うか、２値の入力画像をそ
のまま記録するかの選択が可能となる。

【００１３】第３の手段では、複数種類の多値化フィル
タを選択することが可能となる。

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図１は本発明に係る画像形成装置の一実施例を示
すブロック図、図２は２値画像と疑似中間調画像の入力
例を示す説明図、図３は文字領域のスムージング処理を
示す説明図である。

【００１５】図１において、文字画像と疑似中間調処理
された写真画像が混在した２値の画像データは、入力系
１から入力され、写真領域処理部２と文字領域処理部３
によりそれぞれ処理されるとともに領域判定部４により
写真画像かまたは文字画像かが判定される。そして、写
真領域処理部２と文字領域処理部３によりそれぞれ処理
された画像データが領域判定部４の判定結果に基づいて
選択部５により選択され、この選択された画像データが
記録系６を介して記録紙に記録される。

【００１６】また、記録系６は１画素をパワー変調によ
り複数（ｎ）階調の濃度で記録することができるととも
にパルス幅変調により１画素を主走査方向に２分割して
記録することができ、領域判定部４の判定結果が写真領
域の場合にパワー変調により記録を行い、他方、文字領
域の場合にパルス幅変調により斜線ストロークのエッジ
部分の記録を行う。

【００１７】まず、領域判定部４の写真部と文字部の領
域判定アルゴリズムについて説明する。ここで、最近で
は多値画像をスキャナにより読み込んで２値化する場
合、写真部と文字部を分離して写真部については誤差拡
散法やディザ処理法等を用いた疑似中間調処理により２
値画像に変換され、他方、文字部についてはエッジ強調
処理を施した後に２値画像に変換される。

【００１８】図２（ａ），（ｂ）はそれぞれ黒画素の数
が同一であって文字画像と疑似中間調画像の画素例を示
し、文字画像ではストロークが上下左右に交差するので
画素が上下左右に連結（４連結）する場合が多く、疑似
中間調処理された写真部分では画素が斜めに連結する場
合が多い。

【００１９】そこで、領域判定部４は図２の破線で示す
５×５画素の領域において４連結している画素の個数を
計数し、この計数値が所定値以上の場合に中央の注目画
素が文字領域の画素と判別し、所定値未満の場合に注目
画素が写真領域の画素と判別する。

【００２０】図１に戻り、写真領域処理部２では入力画
像が多値化フィルタ７により５×５マトリクスのフィル
タとコンボリューションすることにより多値画像に変換
され、この多値画像が処理部８により記録系６の能力に
応じたｎ値の画像データ（濃度情報）に変換されて選択
部５に出力される。

【００２１】また、文字領域処理部３ではパターンマッ
チング部９が入力画像の注目画素とその周辺５×５画素
を参照して、予め設定されたパターンとマッチングし、
図３に示すように斜線の文字ストロークのエッジが最適
になるように画素を２分割する。そして、処理部１０で
はこの分割情報に基づいてパルス幅変調におけるパルス
幅が決定され、パルス幅情報が選択部５に出力される。

【００２２】したがって、領域判定部４の判定結果が写
真領域の場合には、写真領域処理部２からの濃度情報が
選択部５により選択されて記録系６によりこの濃度情報
に基づいてパワー変調により記録が行われ、他方、文字
領域の場合には、文字領域処理部３からのパルス幅情報
が選択部５により選択されて記録系６によりこのパルス
幅情報に基づいてパルス幅変調により斜線ストロークの
エッジの記録が行われる。

【００２３】すなわち、上記実施例によれば、写真領域
の画素がパワー変調により記録されるので階調性の良好
なより自然な画像として再現することができ、疑似中間
調処理特有のテクスチャが目立つことを防止することが
できる。また、文字領域の画素がパルス幅変調により記
録されるので文字の斜線ストロークのエッジ部分を滑ら
かにして視認性を向上することができる。したがって、
文字画像と疑似中間調処理された写真画像が混在した画
像の再現性を向上することができる。

【００２４】つぎに図４を参照して第２の実施例を説明
する。この実施例では図４に示すように、外部から設定
されるスイッチ１１、１２を第１の実施例に追加し、ス
イッチ１１により入力画像の写真領域をパワー変調によ
り記録するかまたは２値画像そのままで記録するか、ま
た、スイッチ１２により入力画像の文字画像をスムージ
ング処理してパルス幅変調により記録するかまたは２値
画像そのままで記録するかを選択可能に構成されてい
る。

【００２５】したがって、この第２の実施例によれば、
ユーザがスイッチ１１、１２により多値出力と２値出力
を選択することができるので、入力画像の画質に応じて
最適な画像処理を選択することができる。

【００２６】つぎに図５を参照して第３の実施例を説明
する。図５（ａ）〜（ｃ）は図１および図４の多値化フ
ィルタ７の他の例を示し、パラメータが異なる３種類の
フィルタ７ａ〜７ｃが外部から選択可能に構成されてい
る。このフィルタ７ａ〜７ｃのパラメータはそれぞれ画
質をソフト、標準またはハードに変換するように構成さ
れ、したがって、この実施例によればユーザが写真領域
の画質を選択して出力することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明によれば、文字画像の斜線ストロークのエッジの画素
が分割されてパルス幅変調により記録され、他方、写真
画像がパワー変調で記録されるので、文字画像と疑似中
間調処理された写真画像が混在した画像の再現性の向上
を図ることができる。

【００２８】請求項２記載の発明によれば、パルス幅変
調またはパワー変調により多値で記録を行うか、２値の
入力画像をそのまま記録するかを選択できるので、ユー
ザが最適な画像処理を選択することができる。

【００２９】請求項３記載の発明によれば、複数種類の
多値化フィルタを選択することができるので、写真画像
に対してユーザが最適な画像処理を選択することができ
る。

【００３０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示すブ
ロック図である。

【図２】２値画像と疑似中間調画像の入力例を示す説明
図である。

【図３】文字領域のスムージング処理を示す説明図であ
る。

【図４】第２の実施例を示すブロック図である。

【図５】第２の実施例における多値化フィルタを示す説
明図である。

【符号の説明】

２ 写真領域処理部 ３ 文字領域処理部 ４ 領域判定部 ５ 選択部 ６ 記録系 ７，７ａ，７ｂ，７ｃ 多値化フィルタ １１，１２ スイッチ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パルス幅変調またはパワー変調により選
   択的に多値で記録を行う記録手段と、 ２値の文字画像の斜線ストロークのエッジの画素を分割
   する文字領域処理手段と、 疑似中間調処理された２値画像を多値データに変換する
   写真領域処理手段と、 ２値の入力画像が文字画像部か写真画像部かを判定し、
   文字画像部の場合に前記写真領域処理手段により分割さ
   れたデータに基づいて前記記録手段がパルス幅変調で記
   録し、写真画像部の場合に前記写真領域処理手段により
   変換された多値データに基づいて前記記録手段がパワー
   変調で記録するように制御する判定手段と、 を備えた画像形成装置。
2. 【請求項２】 前記記録手段がパルス幅変調またはパワ
   ー変調により多値で記録を行うか、２値の入力画像をそ
   のまま記録するかを選択するためのスイッチを設けたこ
   とを特徴とする請求項１記載の画像形成装置。
3. 【請求項３】 前記写真領域処理手段が２値画像を多値
   データに変換するための複数種類の多値化フィルタを備
   え、前記多値化フィルタを選択するためのスイッチを設
   けたことを特徴とする請求項１または２記載の画像形成
   装置。