JP3304194B2 - テーパー形状の孔明け方法 - Google Patents

テーパー形状の孔明け方法

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  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばインクジェット
ヘッドのノズル孔などテーパー形状の孔を孔明け加工す
るためのテーパー形状の孔明け方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェトヘッドのノズル部分の形状
は液漏の体積、射出速度等に大きな影響を与えるため、
ノズル形状は射出方向に向ってその断面積が小さくなる
テーパー形状にすることが望ましいとされている。この
ようなテーパー形状の孔を明けるための従来技術とし
て、つぎのような方法が採用されている。すなわち、図
3(a)に示すように、初めにポリイミド等の樹脂板か
らなるワーク31の板面に、エキシマレーザー光32の
レーザーサイズを所定の径に絞り、垂直方向からこれを
照射して垂直孔33を明ける。次に、図3(b)に示す
ように、先に明けた垂直孔33の上端部にレーザーの照
射位置を合わせ、所定角度だけ傾けた位置から第1の傾
斜孔34を明ける。同様にして、第1の傾斜孔34と対
称的な位置から傾斜孔34に対称的な第2の傾斜孔35
を明ける。この結果、樹脂板31の上面に円形の上部開
口部と樹脂板の下面に3つの円が部分的に重なってなる
長円形に形成された下部開口部36を有するテーパー形
状の孔が図3(c)に示すように明けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来技術にお
いては、初めに垂直孔を明けてから、同じ上部開口部か
らレーザー光を傾斜した状態で照射することによって傾
斜孔を明けているため、垂直孔の内面がレーザー光の照
射面となり、照射面に対する照射角度が極めて小さくな
っている。このために照射エネルギーの密度が小さくな
り、加工性が低下する原因になっている。また、照射角
度が小さくなっているために、照射面での反射や屈折の
影響を受け易くなり、所望のテーパ形状の孔が得られ
ない問題がある。そこで本発明の目的は、レーザー光の
照射順序を変えることによって高精度かつ所望のテーパ
ー形状の孔を明けることができるようにすることにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のテーパー形状の孔明け方法は、初めに明
けるべき孔のテーパー角度に対応した角度でレーザー光
を照射して第1の傾斜孔を形成し、次に上記レーザー光
の照射光をこの第1の傾斜孔と対称的な方向に設定して
上記レーザー光を照射して第2の傾斜孔を形成した後
に、板材の板面に対して垂直方向から孔の中心位置にレ
ーザー光を照射し、孔の中央部に残された残留部を除去
するようにした。
【0005】
【作用】初めに傾斜孔を明け、最後に中央部の残留部
(量は少ない。)を除去するようにレーザー光を照射す
るものであるため、傾斜孔を明けるときに板材の板面が
照射面となり、レーザー光の照射角度が垂直孔の内径面
を照射面とするときよりも大きくなり、照射エネルギー
の密度が高くなる。
【0006】
【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照し
て説明する。孔明けの対象となるワークは、小さな面
積に多数のテーパー形状のノズル孔を配設したインクジ
ェットヘッドのノズルプレートである。ワーク1の素材
としては厚さ50μmのポリイミド樹脂フィルム(板)
材を採用し、この板材に噴射口側が約30μmの孔径と
し、テーパー角が30°で入口側の形状が長円形に形成
されたテーパー形状の孔を明けるものである。
【0007】孔明け装置としては、波長が248nm,
パルスエネルギーが250mJのKrFエキシマレーザ
ー装置を採用している。このKrFエキシマレーザーで
200shotの照射によって上記した板材に孔明け可
能である。まずエキシマレーザーから発せられるレーザ
ー光2の径を30μmに調整し、図1(a)に示すよう
に、レーザーの照射角をテーパー角度に対応した角度、
すなわちワーク1の板面に対して75°に設定して、エ
キシマレーザー光2を前述の条件で照射して第1の傾斜
孔3を形成する。
【0008】次に、エキシマレーザー光2の照射角を先
に明けた第1の傾斜孔3と対称的な方向、すなわちワー
ク1の板面に対して105°に設定して同様にエキシマ
レーザー光2を照射して図1(b)に示すような第2の
傾斜孔4を形成する。傾斜孔3,4を明けるためのエキ
シマレーザー光2の照射角は75°及び105°と、板
面に対して大きな角度になっているためエネルギー密度
が高く、反射による影響も生じにくいので、精度の高い
傾斜孔が形成される。2つの傾斜孔を明けると、ワーク
1の照射面の反対側には、孔の中央部両側に少ないなが
らも残留部5,5が生じている(図2参照)。
【0009】次に図1(c)に示すように、ワーク1の
板面に対して垂直方向から、孔の中心位置にエキシマレ
ーザー光2を照射することにより垂直孔6を明け、第1
及び第2の傾斜孔の形成によって残されていた残留部
5,5を除去する。以上600shotのエキシマレー
ザー光2の照射によって、上端部(噴出口側)がほぼ円
形の孔と下端部(入口側)が3つの孔の連結によってで
きた長円形とが傾斜上に連続したテーパー形状のノズル
孔7が形成される。
【0010】このほか入口側の形状を滑らかなものとし
たい場合には、エキシマレーザー光の照射角を徐々に大
きくなる方向に変化させて照射すればよい。また、入口
側の形状を円形とする円錐状のテーパー形状を欲する場
合には、エキシマレーザー光の照射角を孔の中心に対し
て水平方向に小刻みに円を描くように移動させて、多数
回に分けて傾斜孔を明け、最後に垂直方向からエキシマ
レーザー光を照射して残留部を除去するようにすればよ
い。
【0011】本実施例ではKrFエキシマレーザーを採
用しているが、これに限定する趣旨ではなく、ArFレ
ーザーやXeCIエキシマレーザーを採用してもよい。
また、ワークもインクッジェットヘッドのノズルプレー
トのノズル孔を明ける場合に限らず、その他のテーパー
形状の孔明けにも適用可能である。なお、板材となる樹
脂材も本実施例で適用したポリイミドの他、ポリサルフ
ォン、アクリル等でも同様の効果を得ることが可能であ
る。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では第1、
第2の傾斜孔を明けた後に板面に対して垂直な方向か
ーザー光を照射し、残留部を除去することによりテー
パー形状の孔を形成するものであるので、傾斜孔を明け
る時のレーザー光の照射角が大きくなるため、エネルギ
ー密度が高くなるので加工性が向上する。また、レーザ
ー光の照射面での反射や屈折の影響も少なくなるので、
高精度のテーパー形状の孔を形成することが可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における穴明けの順序を示す断面図であ
る。
【図2】本発明によって板材の下面に形成された孔の形
状の拡大図である。
【図3】従来技術における穴明けの順序を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1 板材 2 ーザー光 3,4 傾斜孔 5 残留部 6 垂直孔 7 孔
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 26/00 B41J 2/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂材等の板材に異なる角度からレーザ
    ー光を複数回照射することによってテーパー形状の孔を
    形成するテーパー形状の孔明け方法において、 上記孔に形成されるテーパー角度に対応した角度で上
    ーザー光を照射して第1の傾斜孔を形成し、次に上記
    レーザー光の照射角をこの第1の傾斜孔と対称的な方向
    に設定して上記レーザーを照射して第2の傾斜孔を形成
    した後に、上記板材の板面に対して垂直方向から上記孔
    の中心位置に上記レーザー光を照射して上記孔の中央部
    に残された残留部を除去することを特徴とするテーパー
    形状の孔明け方法。
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