JP3302620B2 - ノイズ吸収装置 - Google Patents

ノイズ吸収装置

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JP3302620B2
JP3302620B2 JP17902297A JP17902297A JP3302620B2 JP 3302620 B2 JP3302620 B2 JP 3302620B2 JP 17902297 A JP17902297 A JP 17902297A JP 17902297 A JP17902297 A JP 17902297A JP 3302620 B2 JP3302620 B2 JP 3302620B2
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純一 井上
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タケチ工業ゴム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はケーブルに装着して
用いるノイズ吸収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】計測器などの電子機器においては、入出
力用のケーブルを介して侵入するノイズや、外部へ出る
ノイズを、電子機器等の入出力側で吸収して除去するた
めのノイズ吸収装置を設けている(たとえば、実公昭6
2−14770号公報参照)。かかるノイズ吸収装置
は、たとえばフェライトを筒形に成形した磁性部材で構
成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記フェライ
トからなる磁性部材では、100MHz〜数百MHz 程度の周波
数のノイズを吸収することができるものの、かかる周波
数よりも高い周波数のノイズは吸収できない。一方、フ
ェライトよりも透磁率の低い磁性ゴムを磁性部材として
用いたノイズ吸収装置では、800MHz〜数GHz 程度の周波
数のノイズを吸収することができるものの、それ以下の
低い周波数のノイズを吸収できない。そこで、2種類の
ノイズ吸収装置を各々ケーブルに装着することもなされ
ているが、ノイズ吸収装置の装着に手間がかかる。
【0004】したがって、本発明の目的は、広い周波数
の帯域にわたってノイズを吸収し得ると共に、装着の容
易なノイズ吸収装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本出願の第1発明は、筒状の第1磁性部材と、該第
1磁性部材よりも透磁率の低い筒状の第2磁性部材と
を、ケーブル挿通孔の軸方向に重ねると共に、これらの
磁性部材を互いに固定したことを特徴とする。
【0006】一方、第2発明は、筒状の第1磁性部材
と、該第1磁性部材よりも透磁率の低い筒状の第2磁性
部材とを、ケーブル挿通孔の径方向に重ねると共に、こ
れらの磁性部材を互いに固定したことを特徴とする。
【0007】これらの発明によれば、互いに透磁率の異
なる筒状の第1および第2磁性部材を設けており、各磁
性部材は、別々の吸収帯域を有しているから、吸収帯域
が拡がる。一方、2つの磁性部材を互いに固定したの
で、1回の装着作業でノイズ吸収装置をケーブルに装着
することができる。
【0008】本発明において、透磁率の高い第1磁性部
材としては、たとえばフェライトを用いることができ、
一方、透磁率の低い第2磁性部材としては、ゴムにフェ
ライトの粉末を添加したものや合成樹脂に導電性繊維体
を添加したものなどを用いることができる。
【0009】本発明において「筒状」とは、円筒形の他
に角筒形などの筒形を含み、更に、これらの形状のもの
を径方向に分割した2つ割れのものも含む。なお、「径
方向に分割」とは、軸線を含む面または当該面に平行な
面に、分割面が設定されていることをいう。また、ケー
ブル挿通孔は、円形断面である必要はなく、矩形断面等
であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態および本
発明に含まれない例を図面にしたがって説明する。図1
本発明に含まれない例を示す。イズ吸収装置は、た
とえば2つの第1磁性部材1と、1つの第2磁性部材2
とで構成されている。各磁性部材1,2は、磁性体を筒
状に形成してケーブル3を挿通するためのケーブル挿通
孔4を有している。第1磁性部材1はたとえばフェライ
トで構成されており、一方、第2磁性部材2は、第1磁
性部材1よりも透磁率が低い磁性ゴムなどで構成されて
いる。前記3つの磁性部材1,2,1は、各磁性部材
1,2の間が接着剤で接着されて、ケーブル3の軸線方
向Sに積層されている。
【0011】図2(a)は、実施形態を示す。図2
(a)のノイズ吸収装置は、第2磁性部材2の内径D2
が第1磁性部材1の内径D1よりも小さく設定されてい
る。つまり、第2磁性部材2のケーブル挿通孔4は、第
1磁性部材1のケーブル挿通孔4よりも径小である。そ
のため、ケーブル3と第1磁性部材1のケーブル挿通孔
4との間には、隙間ができるから、硬い第1磁性部材1
によってケーブル3が傷付くおそれがない。
【0012】図2(b)のノイズ吸収装置は、一対の第
2磁性部材2を設けると共に、該2つの第2磁性部材2
の間に第1磁性部材1を配設している。ここで、ゴムや
樹脂にフェライトの粉末を添加した第2磁性部材2は、
第1磁性部材1に比べて脆くなく、そのため、硬い第1
磁性部材1が両端の軟らかい第2磁性部材2によって保
護されるから、第1磁性部材1が欠けたり割れたりする
おそれがない。
【0013】なお、磁性部材1,2の数は、3個に限ら
ず、図2(c),(d)のように、2個または3個以上
であってもよい。また、第1磁性部材1および第2磁性
部材2とは異なる透磁率の磁性体からなる第3磁性部材
を設け、吸収帯域を更に広げてもよい。
【0014】なお、各磁性部材1,2同士は必ずしも接
着する必要はなく、たとえば、図2(e)に示すよう
に、3つの磁性部材1,2,1を軸線方向Sに配設した
状態で、熱収縮樹脂チューブ5によって3つの磁性部材
1,2,1を囲撓して一体に固定してもよい。
【0015】図3の例においては、各磁性部材1,2が
ケーブル挿通孔4の径方向に2つに分割されていると共
に、半割れの分割体1a,2aが、それぞれ、収容ケー
ス6に収容されている。該収容ケース6は、樹脂製で、
径方向に分割された一対の分割ケース6a,6bが樹脂
ヒンジ6cで連結されていると共に、ケース閉止用の係
合部6d,6eを備えている。前記各磁性部材1,2
は、図3(b)に示す突起部10が、収容ケース6の係
合凹所60に係合して、収容ケース6に固定されている
ことで、各磁性部材1,2同士が互いに固定されてい
る。なお、図3(c)のように、収容ケース6は、筒状
に閉じた後、樹脂バンド7によって締め付けられ、図3
(a)の各分割体1a,2aの分割面が圧接するように
なっている。
【0016】ここで、フェライトまたは磁性ゴムからな
る1つの磁性部材のみを分割ケース6a,6bに収容し
たものでは、フェライトまたは磁性ゴムごとに分割ケー
ス6a,6bが必要になる。つまり、複数個の収容ケー
ス6が必要になる。したがって、コストアップの原因と
なる。これに対し、本ノイズ吸収装置では、収容ケース
6が1つでよいから、コストダウンを図ることもでき
る。
【0017】なお、各磁性部材1,2は、収容ケース6
に収容されていることで互いに固定されるので、各磁性
部材1,2同士を必ずしも接着する必要はない。なお、
各磁性部材1,2の分割体1a,2aは、該分割体1
a,2aに係合凹部を形成し、一方、各分割ケース6
a,6bに係合突起を形成して、各分割ケースから脱落
しないように分割ケース6a,6bに固定してもよい。
【0018】以上のは、第1磁性部材1と第2磁性部
材2とをケーブル挿通孔4の軸方向に重ねたが、図4〜
図6の実施形態では、第1磁性部材1と第2磁性部材2
とをケーブル挿通孔4の径方向に重ねると共に、これら
の磁性部材1,2を互いに固定している。
【0019】4(a),(b)に示すように、第2磁
性部材2は第1磁性部材1に一体に成形されて固着され
ていると共に第1磁性部材1の内周側に配設されてい
る。また、第2磁性部材2のケーブル挿通孔4は、図4
(b)に示すように、テーパー状に形成されて、径小部
4aを有しており、矢印A方向から挿通したケーブルが
抜けにくい構造となっており、ケーブルに対するノイズ
吸収装置の位置がズレにくいので、ノイズの吸収特性が
変動しにくいという利点を持つ。また、本実施形態で
は、素材が柔らかな第2磁性部材2を第1磁性部材1の
内周側に設けたので、ノイズ吸収装置に挿通したケーブ
ルが傷付きにくいという利点もある。
【0020】なお、ケーブル挿通孔4の形状は、図4
(c),(d)のような形状であってもよい。
【0021】図5は変形例を示す。図5(a)のノイズ
吸収装置は、第2磁性部材2を第1磁性部材1の外周側
に配設したものである。この場合、ゴムにフェライト粉
末を添加した磁性ゴムなどで第2磁性部材2を構成する
ことにより、脆い第1磁性部材1に衝撃力が付加される
のを防止でき、第1磁性部材1を保護して第1磁性部材
1の割れや欠けを防止することができる。
【0022】なお、図5(b)のように、第1磁性部材
1の外周面だけでなく第1磁性部材1の端面1bも第2
磁性部材2で被うようにしてもよい。
【0023】図5(c)のノイズ吸収装置は、第1磁性
部材1の内周面、外周面および端面1bを第2磁性部材
2で被ったものである。本ノイズ吸収装置によれば、第
1磁性部材1およびケーブル3の双方を保護することが
できる。
【0024】なお、前記図4および図5(a)〜(c)
の実施形態においても、ノイズ吸収装置を図5(d)の
ように分割型とし、収容ケース6内に第1磁性部材1お
よび第2磁性部材2を収容してもよい。
【0025】図6は実施形態を示す。この実施形態で
は、第1磁性部材1がケーブル挿通孔4の径方向に2つ
に分割されている。一方、第2磁性部材2は第1磁性部
材1を収容する収容ケース6を構成している。すなわ
ち、該収容ケース6は、磁性体を添加したゴムまたは樹
脂からなり、一対の分割ケース6a,6bが樹脂ヒンジ
6cで連結されていると共に、ケース閉止用の係合部6
d,6eを備えている。
【0026】図6(b)に示すように、前記第1磁性部
材1の突起部10と、第2磁性部材2の係合凹所20
は、互いに係合しており、第1磁性部材1と第2磁性部
材2とが互いに固定されて、第1磁性部材1が第2磁性
部材2から脱落しないようになっている。なお、図6
(c)に示すように、収容ケース6は筒状に閉じた後、
樹脂バンド7によって締め付けられる。なお、図6
(c)の状態においては、第1磁性部材1と第2磁性部
材2とが固定されるので、前記図6(a)の突起部10
や係合凹所20は必ずしも必要ではない。
【0027】本実施形態によれば、従来の分割ケース付
のノイズ吸収装置のケースの素材に磁性体を添加するだ
けで、ノイズの吸収帯域を広げることができる。
【0028】なお、前記各実施形態では、ケーブル挿通
孔にケーブルを1本だけ通したが、ケーブル挿通孔にケ
ーブルを複数本通してもよいし、ケーブルを巻回して複
数回通してもよい。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
互いに透磁率の異なる筒状の第1および第2磁性部材を
設けており、各磁性部材は別々の吸収帯域を有している
から、ノイズの吸収帯域が広がる。一方、2つの磁性部
材を互いに固定したので、1回の装着作業でノイズ吸収
装置をケーブルに装着することができる。
【0030】また、軸方向に磁性部材を重ねた第1発明
においては、第2磁性部材のケーブル挿通孔を第1磁性
部材のケーブル挿通孔よりも径小にすれば、硬い材質の
第1磁性部材のケーブル挿通孔でケーブルの外表面が傷
付きにくくなる。
【0031】また、2つの第2磁性部材の間に第1磁性
部材を設ければ、軟らかい材質の第2磁性部材によっ
て、脆い材質の第1磁性部材を衝撃力から保護すること
ができる。
【0032】また、分割型のタイプでは、複数種類の磁
性部材を1つの収容ケースで収容できるから、製造コス
トも安価になる。
【0033】一方、ケーブル挿通孔の径方向に磁性部材
を重ねた第2発明においては、軟質の第2磁性部材を硬
質の第1磁性部材の内周側に配設すれば、ケーブル挿通
孔が軟質の第2磁性部材で形成されるから、ケーブルが
傷付くおそれもない。特に、ケーブル挿通孔をテーパー
状にして、径小部を設ければ、該径小部によって、ケー
ブルに対してノイズ吸収装置を固定できるから、ノイズ
の吸収特性が変動しにくいという利点がある一方で、ケ
ーブルが傷付くのを防止できる。
【0034】逆に、軟質の第2磁性部材を脆い第1磁性
部材の外周側に配設すれば、脆い第1磁性部材を第2磁
性部材によって保護できるから、第1磁性部材が欠けた
り、割れたりするおそれがない。
【0035】また、軟らかい第2磁性部材によって第1
磁性部材の内周面および外周面の双方を被えば、第1磁
性部材およびケーブルの双方を保護することができる。
【0036】また、分割型のタイプでは、第2磁性部材
によって第1磁性部材の収容ケースを形成すれば、収容
ケースの素材を変えるだけで、ノイズの吸収帯域を広げ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に含まれない例を示すノイズ吸収装置の
断面図および斜視図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態を示すノイズ吸収装
置の断面図、(b)〜(e)は他の例を示す断面図であ
る。
【図3】径方向に分割したノイズ吸収装置の斜視図およ
び断面図である。
【図4】本発明の実施形態を示すノイズ吸収装置の斜視
図および断面図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例を示すノイズ吸収装
置の断面図である。
【図6】本発明の実施形態を示すノイズ吸収装置の斜視
図および横断面図である。
【符号の説明】
1:第1磁性部材 2:第2磁性部材 4:ケーブル挿通孔 6:収容ケース 6a,6b:分割ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−29152(JP,A) 特開 平7−58482(JP,A) 特開 平5−121244(JP,A) 実開 昭61−55327(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 17/06 H04B 15/00 H05K 9/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体を筒状に形成してケーブル挿通孔
    を設けた筒状の磁性部材を備えたノイズ吸収装置におい
    て、 筒状の硬い第1磁性部材と、該第1磁性部材よりも透磁
    率の低い筒状の軟らかい第2磁性部材とを、ケーブル挿
    通孔の軸方向に重ねると共に、これらの磁性部材を互い
    に固定し、 前記第2磁性部材のケーブル挿通孔を、前記第1磁性部
    材のケーブル挿通孔よりも径小とし たことを特徴とする
    ノイズ吸収装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記各磁性部材が径方向に分割されていると共に、これ
    らの分割された磁性部材が一対の半割れの分割ケース内
    に収容されているノイズ吸収装置。
  3. 【請求項3】 磁性体を筒状に形成してケーブル挿通孔
    を設けた筒状の磁性部材を備えたノイズ吸収装置におい
    て、 筒状の硬質の第1磁性部材と、該第1磁性部材よりも透
    磁率の低い筒状の軟らかい材質の第2磁性部材とを、ケ
    ーブル挿通孔の径方向に重ねると共に、これらの磁性部
    材を互いに固定し、前記軟らかい材質の第2磁性部材を脆い第1磁性部材の
    内周側に配設した ノイズ吸収装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記軟らかい材質の第2磁性部材のケーブル挿通孔をテ
    ーパー状に形成して、ケーブルが抜けにくいようにする
    ための 径小部を設けたノイズ吸収装置。
  5. 【請求項5】 磁性体を筒状に形成してケーブル挿通孔
    を設けた筒状の磁性部材を備えたノイズ吸収装置におい
    て、 筒状の脆い第1磁性部材と、該第1磁性部材よりも透磁
    率の低い筒状の軟らかい材質の第2磁性部材とを、ケー
    ブル挿通孔の径方向に重ねると共に、これらの磁性部材
    を互いに固定し、前記軟らかい材質の第2磁性部材を脆い第1磁性部材の
    外周側に配設した ノイズ吸収装置。
  6. 【請求項6】 磁性体を筒状に形成してケーブル挿通孔
    を設けた筒状の磁性部材を備えたノイズ吸収装置におい
    て、 筒状の脆い第1磁性部材と、該第1磁性部材よりも透磁
    率の低い筒状の軟らかい材質の第2磁性部材とを、ケー
    ブル挿通孔の径方向に重ねると共に、これらの磁性部材
    を互いに固定し、前記軟らかい材質の第2磁性部材によって前記脆い第1
    磁性部材の内周面および外周面が覆われている ノイズ吸
    収装置。
  7. 【請求項7】 請求項3,4,5もしくは6において、 前記第1および第2磁性部材がそれぞれ径方向に分割さ
    れていると共に、前記第2磁性部材が第1磁性部材を収
    容するケースを構成しているノイズ吸収装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
    て、 前記第1磁性部材がフェライトで構成され、 一方、前記第2磁性部材が合成樹脂に導電性繊維体を添
    加したもの、あるいは、ゴムまたは樹脂にフェライトの
    粉末を添加したものからなる、ノイズ吸収装置。
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