JP3300463B2 - 静電写真用液体現像剤 - Google Patents

静電写真用液体現像剤

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JP3300463B2 JP09830293A JP9830293A JP3300463B2 JP 3300463 B2 JP3300463 B2 JP 3300463B2 JP 09830293 A JP09830293 A JP 09830293A JP 9830293 A JP9830293 A JP 9830293A JP 3300463 B2 JP3300463 B2 JP 3300463B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気抵抗109Ωcm以
上、且つ誘電率3.5以下の担体液に少なくとも樹脂を
分散してなる静電写真用液体現像剤に関するものであ
り、特に再分散性、保存性、安定性、画像の再現性、定
着性の優れた液体現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】一般の電子写真用液体現像剤はカーボン
ブラック、ニグロシン、フタロシアニンブルー等の有機
又は無機の顔料あるいは染料とアルキッド樹脂、アクリ
ル樹脂、ロジン、合成ゴム等の天然又は合成樹脂を石油
系脂肪族炭化水素のような高絶縁性・低誘電率の液体中
に分散し、更に金属セッケン、レシチン、アマニ油、高
級脂肪酸、ビニルピロリドンを含有するポリマーなどの
極性制御剤を加えたものである。このような現像剤中で
は樹脂は不溶性ラテックス粒子として直径数nm〜数百
nmの粒子状に分散されているが、従来の液体現像剤に
おいては可溶性分散安定用樹脂や極性制御剤と不溶性ラ
テックス粒子との結合が不充分な為に可溶性分散安定用
樹脂及び極性制御剤が溶液中に拡散し易い状態にあっ
た。この為、長期間の保存や繰り返し使用によって可溶
性分散安定用樹脂が不溶性ラテックス粒子から脱離し、
粒子が沈降、凝集、堆積したり、極性が不明瞭になる、
という欠点があった。又、一度凝集、堆積した粒子は再
分散しにくいので現像機の随所に粒子が付着したままと
なり、画像部の汚れや送液ポンプの目づまり等の現像機
の故障にもつながっていた。
【0003】これらの欠点を改良する為に可溶性分散安
定用樹脂と不溶性ラテックス粒子を化学的に結合せしめ
る手段が考案され、米国特許第3,990,980号等
に開示されている。しかしながら、これらの液体現像剤
は、粒子の自然沈降に対する分散安定性はある程度良化
しているもののまだ充分でなく、実際の現像装置に入れ
て使用した場合に装置各部に付着したトナーは塗膜状に
固化し、再分散が困難であるとともに更には装置の故
障、複写画像の汚れ等の原因となるなど実用可能となる
再分散安定性には不充分であるという欠点があった。又
上記に記載された樹脂粒子の製造方法では、粒度分布が
狭い単分散の粒子を作製するためには、使用する分散安
定剤と、不溶化する単量体との組合せに著しい制約があ
り、概して粗大粒子を多量に含む粒度分布の広い粒子と
なったりあるいは平均粒径が2つ以上存在する多分散粒
子となった。又、粒度分布の狭い単分散の粒子で所望の
平均粒径を得ることが困難で、1μm以上の大粒子ある
いは0.1μm以下の非常に微細な粒子を形成した。更
には使用する分散安定剤は、煩雑且つ長時間を要する製
造工程を経て製造しなければならない等の問題があっ
た。
【0004】更に、上記の欠点を改良するために、不溶
化する単量体と、長鎖アルキル部分を含有した単量体あ
るいは極性成分を2個以上含有した単量体との共重合体
の不溶性分散樹脂粒子とすることで粒子の分散度、再分
散性、保存安定性を改良する方法が、特開昭60−17
9751号、同62−151868号等に開示されてい
る。また、二官能性モノマーを利用したポリマーもしく
は高分子反応を利用したポリマーの存在下に、不溶化す
る単量体と、長鎖アルキル部分を含有した単量体との共
重合体の不溶性分散樹脂粒子とすることで粒子の分散
度、再分散性、保存安定性を改良する方法が、特開昭6
2−166362号、同63−66567号等に開示さ
れている。更には、分散安定用ポリマーとして、従来の
ランダム共重合体を、溶媒和する重合体部と非溶媒和性
の重合体部とのブロック共重合体とすることで再分散
性、保存安定性を改良する方法が、特開平3−1266
6号、同3−71152号、同3−225353号、同
4−46353号に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年、電子写真
方式によるオフセット印刷用マスタープレートを用い
て、5000枚以上の多数枚を印刷する方法が試みら
れ、特にマスタープレートの改良が進められ、大版サイ
ズで1万枚以上印刷することが可能となってきた。又、
電子写真製版システムの操作時間の短縮化も進み、現像
−定着工程の迅速化の改良が行なわれている。前記特開
昭60−179751号、同62−151868号、同
62−166362号、同63−66567号、特開平
3−12666号、同3−71152号、同3−225
353号、同4−46353号に開示されている手段に
従って製造された分散樹脂粒子は、現像スピードが上昇
した場合、粒子の分散性、再分散性の点で、また定着時
間が短縮された場合もしくは大版サイズ(例えば、A−
3サイズ以上) のマスタープレートの場合、耐刷性の点
で各々いまだ必ずしも満足すべき性能ではなかった。
【0006】本発明は、以上のような従来の液体現像剤
の有する課題を解決するものである。本発明の目的は、
現像−定着工程が迅速化され且つ大版サイズのマスター
プレートを用いる電子写真製版システムにおいても、分
散の安定性、再分散性及び定着性に優れた液体現像剤を
提供することである。本発明の他の目的は、優れた印刷
インク感脂性と耐刷性を有するオフセット印刷用原版の
電子写真法による作成を可能にする液体現像剤を提供す
ることである。本発明の他の目的は、前記用途に加えて
各種静電写真用及び各種転写用として適切な液体現像剤
を提供することである。本発明の更に他の目的は、イン
クジェット記録、陰極線管記録及び圧力変化あるいは静
電変化等の各種変化工程の記録の様な液体現像剤が使用
できるあらゆる系において使用可能な液体現像剤を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、電気抵抗
109Ωcm以上、且つ誘電率3.5以下の担体液
に、少なくとも樹脂粒子を分散して成る静電写真用液体
現像剤において、該分散樹脂粒子が、 非水溶媒には
可溶であるが、重合することによって不溶化する一官能
性単量体(A)の少なくとも一種、 下記一般式
(I)で示される繰返し単位から成る重合体の主鎖の一
方の末端にのみ下記一般式(II)で示される重合性二重結
合基を結合して成る数平均分子量が2×104以下であ
る一官能性マクロモノマー(MA)の少なくとも1種、
及び ホスホノ基、カルボキシル基、スルホ基、ヒド
ロキシル基、ホルミル基、アミノ基、−P(=O)(O
H)R1基〔R1は−R2基または−OR2基を示し、R2
は炭化水素基を表す〕、−CONR34基、−SO2
34基〔R3およびR4は、各々独立に、水素原子又は
炭化水素基を表す〕、及び環状酸無水物含有基から選択
される少なくとも1種の極性基を含有する重合体成分及
び/又は該一官能性単量体(A)に相当する重合体成分
を少なくとも1種含有するブロックAと下記一般式(II
I)で示される重合体成分を少なくとも1種含有するブロ
ックBとから構成されるA−B型ブロック高分子鎖が少
なくとも3個有機分子に結合して成り、且つ各A−B型
ブロック高分子鎖は、ブロックAの重合体主鎖のブロッ
クBと結合する末端とは反対側の片末端で、該有機分子
に結合しており、且つその重量平均分子量が2×104
〜1×106である、スター型共重合体から成る分散安
定用樹脂〔P〕とを、各々少なくとも1種含有した混合
物を重合反応させることにより得られる重合体樹脂粒子
であることを特徴とする静電写真用液体現像剤によって
達成される。
【0008】
【化6】
【0009】式(I)中、V0は−COO−、−OCO
−、−(CH2)rCOO−、−(CH2)rOCO−、−O
−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCO
NH−、−COND11−、−SO2ND11−、又はフェ
ニレン基(以下、フェニレン基を−Ph−で表し、−P
h−は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基
及び1,4−フェニレン基を包含する)を表す。ここで
11は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を示
し、rは1〜4の整数を示す。a1及びa2は、互いに同
じでも異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子、
シアノ基、炭化水素基、−COO−D12、又は炭化水素
基を介した−COO−D12を表す(ここでD12は水素原
子又は置換されてもよい炭化水素基を示す)。D0は、
炭素数1〜22の炭化水素基、又は下記一般式(IV)で
示される置換基から選ばれる置換基を表す。
【0010】
【化7】
【0011】式(IV)中、D21は水素原子または炭素数
1〜22の炭化水素基を表す。B1及びB2は、互いに同
じでも異なってもよく、各々−O−、−CO−、−CO
2−、−OCO−、−SO2−、−N(D22)−、−CO
N(D22)−または−N(D22)CO−を表す(ここで
22は上記D21と同一の内容を示す)。A1及びA2は、
互いに同じでも異なってもよく、各々置換されてもよ
い、又は下記化8を主鎖の結合に介在させてもよい、炭
素数1〜18の炭化水素基を表す。
【0012】
【化8】
【0013】化8中、B3及びB4は、互いに同じでも異
なってもよく、上記B1、B2と同一の内容を示し、A4
は置換されてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示
し、D23は上記D21と同一の内容を示す。m、n及びp
は、互いに同じでも異なってもよく、各々0〜4の整数
を表す。但し、m、n及びpが同時に0となることはな
い。
【0014】
【化9】
【0015】式(II)中、V1は式(I)中のV0と同一
の内容を表す。b1及びb2は、互いに同じでも異なって
もよく、式(I)中のa1、a2と同一の内容を表す。
【0016】
【化10】
【0017】一般式(III)中、X1は−COO−、−O
CO−、−(CH2)xCOO−、−(CH2)xOCO−
〔ここでxは1〜3の整数を表す〕、又は−O−を表
す。Y1は炭素数8以上の脂肪族基を表す。d1及びd2
は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素原子、ハ
ロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−Z1
又は炭化水素基を介した−COO−Z1(ここでZ1は水
素原子又は置換されてもよい炭化水素基を表す)を表
す。
【0018】以下、本発明の液体現像剤について詳細に
説明する。本発明に用いる電気抵抗109Ωcm以上、
且つ誘電率3.5以下の担体液として好ましくは直鎖状
もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、又
は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用い
ることができる。例えばオクタン、イソオクタン、デカ
ン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソド
デカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイ
ソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL
(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール7
0、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社
の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(ア
ムスコ;スピリッツ社の商品名)等を単独あるいは混合
して用いる。
【0019】本発明における最も重要な構成成分である
非水系分散樹脂粒子(以下、ラテックス粒子と称するこ
ともある)は、非水溶媒において、本発明のスター型ブ
ロック共重合体である分散安定用樹脂〔P〕の存在下
に、一官能性単量体(A)の少なくとも一種、及び一官
能性マクロモノマー(MA)の少なくとも一種を重合する
こと(いわゆる、重合造粒法)によって製造したもので
ある。
【0020】ここで、非水溶媒としては、基本的には、
前記静電写真用液体現像剤の担体液に混和するものであ
れば使用可能である。即ち、分散樹脂粒子を製造するに
際して用いる溶媒としては、前記担体液に混和するもの
であればよく、好ましくは直鎖状もしくは分枝状の脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素及びこれ
らのハロゲン置換体等が挙げられる。例えばヘキサン、
オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリ
ン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、アイソパーE、
アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、シェルゾ
ール70、シェルゾール71、アムスコOMS、アムス
コ460溶剤等を単独あるいは混合して用いる。
【0021】これらの有機溶媒とともに、混合して使用
できる溶媒としては、アルコール類(例えば、メチルア
ルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブ
チルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(例
えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸
メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(例え
ば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素類
(例えば、メチレンジクロリド、クロロホルム、四塩化
炭素、ジクロロエタン、メチルクロロホルム等)等が挙
げられる。これらの混合して使用する非水溶媒は、重合
造粒後、加熱、あるいは減圧下で留去することが望まし
いが、ラテックス粒子分散物として、液体現像剤に持ち
こまれても、現像液の液抵抗が109Ωcm以上という
条件を満足できる範囲であれば問題とならない。通常、
樹脂分散物製造の段階で担体液と同様の溶媒を用いる方
が好ましく、前述の如く、直鎖状もしくは分岐状の脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素などが挙げられる。
【0022】本発明における一官能性単量体(A)は、
非水溶媒には可溶であるが重合することによって不溶化
する一官能性単量体であればいずれでもよい。具体的に
は、例えば下記一般式(V)で表わされる単量体が挙げ
られる。
【0023】
【化11】
【0024】一般式(V)中、T1は−COO−、−O
CO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、
−CONHCOO−、−CONHOCO−、−SO
2−、−CON(W1)−、−SO2N(W1)−、またはフ
ェニレン基〔−Ph−〕を表す。W1は水素原子又は炭
素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロ
ロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル
基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベン
ジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェ
ネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル
基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メ
トキシプロピル基等)を表す。
【0025】D1は水素原子又は炭素数1〜6の置換さ
れてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジ
クロロエチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−グリシジルエチル基、2−ヒド
ロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2,3−
ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロ
プロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル
基、2−ニトロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メタンスルホニルエチル基、2−エトキシエチル基、
N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジエチルア
ミノエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、3−ブ
ロモプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−フルフ
リルエチル基、2−チエニルエチル基、2−ピリジルエ
チル基、2−モルホリノエチル基、2−カルボキシエチ
ル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチ
ル基、2−ホスホエチル基、3−スルホプロピル基、4
−スルホブチル基、2−カルボキシアミドエチル基、3
−スルホアミドプロピル基、2−N−メチルカルボキシ
アミドエチル基、シクロペンチル基、クロロシクロヘキ
シル基、ジクロロヘキシル基等)を表す。
【0026】e1及びe2は、互いに同じでも異なっても
よく、各々前記一般式(I)におけるa1またはa2と同
一の内容を表す。
【0027】具体的な一官能性単量体(A)としては、
例えば、炭素数1〜6の脂肪族カルボン酸(酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、モノクロロ酢酸、トリフロロプロピオ
ン酸等)のビニルエステル類あるいはアリルエステル
類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸の炭素数1〜4の
置換されてもよいアルキルエステル類又はアミド類(ア
ルキル基として例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル
基、2−フロロエチル基、トリフロロエチル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−ニトロエ
チル基、2−メトキシエチル基、2−メタンスルホニル
エチル基、2−ベンゼンスルホニルエチル基、2−
(N,N−ジメチルアミノ)エチル基、2−(N,N−
ジエチルアミノ)エチル基、2−カルボキシエチル基、
2−ホスホエチル基、4−カルボキシブチル基、3−ス
ロホプロピル基、4−スルホブチル基、3−クロロプロ
ピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、2−
フルフリルエチル基、2−ピリジニルエチル基、2−チ
エニルエチル基、トリメトキシシリルプロピル基、2−
カルボキシアミドエチル基等);スチレン誘導体(例え
ば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
ビニルナフタレン、クロロスチレン、ジクロロスチレ
ン、ブロモスチレン、ビニルベンゼンカルボン酸、ビニ
ルベンゼンスルホン酸、クロロメチルスチレン、ヒドロ
キシメチルスチレン、メトキシメチルスチレン、N,N
−ジメチルアミノメチルスチレン、ビニルベンゼンカル
ボキシアミド、ビニルベンゼンスルホアミド等);アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタ
コン酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸、イタコン酸
の環状酸無水物;アクリロニトリル;メタクリロニトリ
ル;重合性二重結合基含有のヘテロ環化合物(具体的に
は、例えば、高分子学会編「高分子データハンドブック
−基礎編−」、p175〜184、培風舘(1986年
刊)に記載の化合物、例えば、N−ビニルピリジン、N
−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、ビニル
チオフェン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルオキサ
ゾリン、ビニルチアゾール、N−ビニルモルホリン等)
等が挙げられる。単量体(A)は二種以上を併用しても
よい。
【0028】次に、本発明に用いられる一官能性マクロ
モノマー(MA)について更に説明する。一官能性マクロ
モノマー(MA)は、下記一般式(I)で示される繰返し
単位から成る重合体の主鎖の一方の末端にのみ下記一般
式(II)で示される重合性二重結合基を結合して成る数
平均分子量が2×104以下のマクロモノマーである。
【0029】
【化12】
【0030】式(I)中、V0は−COO−、−OCO
−、−(CH2)rCOO−、−(CH2)rOCO−、−O
−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCO
NH−、−COND11−、−SO2ND11−、又はフェ
ニレン基(−Ph−)を表わす(ここでD11は水素原子
又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、rは1〜4の
整数を示す)。a1及びa2は、互いに同じでも異なって
もよく、各々水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭化
水素基、−COO−D12、又は炭化水素基を介した−C
OO−D12を表わす(ここでD12は水素原子又は置換さ
れてもよい炭化水素基を示す)。D0は、炭素数1〜2
2の炭化水素基、又は下記一般式(IV)で示される置換
基から選ばれる置換基を表わす。
【0031】
【化13】
【0032】式(IV)中、D21は水素原子または炭素数
1〜22の炭化水素基を表わす。B1及びB2は、互いに
同じでも異なってもよく、各々−O−、−CO−、−C
2−、−OCO−、−SO2−、−N(D22)−、−C
ON(D22)−または−N(D22)CO−を表す(ここ
でD22は上記D21と同一の内容を示す)。A1及びA
2は、互いに同じでも異なってもよく、各々置換されて
もよい、又は下記化14を主鎖の結合に介在させてもよ
い炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
【0033】
【化14】
【0034】化14中、B3及びB4は、互いに同じでも
異なってもよく、上記B1、B2と同一の内容を示し、A
4は置換されてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示
し、D23は上記D21と同一の内容を示す。m、n及びp
は、互いに同じでも異なってもよく、各々0〜4の整数
を表す。但し、m、n及びpが同時に0となることはな
い。
【0035】
【化15】
【0036】式(II)中、V1は式(I)中のV0と同一
の内容を表わす。b1及びb2は、互いに同じでも異なっ
てもよく、式(I)中のa1、a2と同一の内容を表わ
す。
【0037】一般式(I)及び(II)においてa1
2、V0、D0、b1、b2およびV1に含まれる炭化水素
基は各々示された炭素数(未置換の炭化水素基として
の)を有するが、これら炭化水素基は置換されていても
よい。
【0038】一般式(I)において、V0で示される置
換基中のD11は水素原子のほか、好ましい炭化水素基と
しては、炭素数1〜22の置換されてもよいアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、
デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル
基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル
基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエ
チル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニル
エチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル
基、等)、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニ
ル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブ
テニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテ
ニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘ
キセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル
基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル
基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭素数7〜1
2の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチル
メチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、
ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル
基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメト
キシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい
脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2−シクロヘキ
シルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、等)、又
は炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例え
ば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、
プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェ
ニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシ
フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、
ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニ
ル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボ
ニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセ
トアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、ドデ
シロイルアミドフェニル基、等)が挙げられる。
【0039】V0がフェニレン基(−Ph−)を表わす
場合、ベンゼン環は、置換基を有してもよい。置換基と
しては、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子
等)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、クロロメチル基、メトキシメチル基、
等)等が挙げられる。
【0040】a1及びa2は、互いに同じでも異なってい
てもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3
のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基等)、−COO−D13又は−CH2COO−D13(D
13は水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アルケ
ニル基、アラルキル基、脂環式基又はアリール基を表わ
し、これらは置換されていてもよく、具体的には、上記
11について説明したものと同様の内容を表わす)を表
わす。
【0041】D0が炭素数1〜22の炭化水素基を表わ
す場合、具体的には、上記したD11について説明したも
のと同様の内容を表わす。
【0042】D0が前記一般式(IV)で示される置換基
を表す場合について詳しく説明する。A1及びA2は、互
いに同じでも異なってもよく、各々置換されてもよい、
又は前記化14を主鎖の結合に介在させてもよい、炭素
数1〜18の炭化水素基(炭化水素基としては、アルキ
ル基、アルケニル基、アラルキル基、脂環式基が挙げら
れ、具体例としてはD11において挙げた具体例と同様の
内容が挙げられる) を表す。A1およびA2についてさら
に具体的に例を挙げると、これらは、−C(D31)(D
32)−〔D31、D32は水素原子、アルキル基、ハロゲン
原子等を表す〕、−(CH=CH)−、フェニレン基
(−Ph−)、シクロヘキシレン基〔以下、シクロヘキ
シレン基を「−C610−」で表し、「−C610−」は
1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレ
ン基、1,4−シクロヘキシレン基を包含する〕、前記
化14、等の原子団の任意の組み合わせで構成されるも
のである。
【0043】又、一般式(I)中の結合基: −V0−(A1−B1)m−(A2−B2)n−D21 において、V0からD21(即ち、V0、A1、B1、A2
2、D21)で構成される連結主鎖は原子数の総和が8
以上から構成されるものが好ましい。ここで、A1、A1
が前記化14を主鎖の結合に介在させる炭化水素基の場
合における、−B3−(A4−B4)p−D23も前記連結主
鎖に含まれる。連結主鎖の原子数としては、例えば、V
0が−COO−や−CONH−を表わす場合、オキソ基
(=O基)や水素原子はその原子数として含まれず、連
結主鎖を構成する炭素原子、エーテル型酸素原子、窒素
原子はその原子数として含まれる。従って、−COO−
や−CONH−は原子数2として数えられる。同様に、
21が−C919を表す場合、水素原子はその原子数と
して含まれず、炭素原子は含まれる。従って、この場合
は原子数9として数えられる。
【0044】以上の如き一般式(I)で示される繰り返
し単位において、D0が前記一般式(IV)で示される置
換基を表す場合、即ち、繰り返し単位成分として分子内
に少なくとも2つ以上の特定の極性基を含有する場合、
より具体的には、下記の繰り返し単位を例として挙げる
ことができる。以下において、aは−H又は−CH
3を;RはC1〜C18のアルキル基を;R′は水素原子又
はC1〜C18のアルキル基を;k1、k2は各々1〜12
の整数を;m1は1〜100の整数を示す。
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】本発明に供されるマクロモノマー(MA)
は、上述の如き、一般式(I)で示される繰返し単位か
ら成る重合体主鎖の一方の末端にのみ、一般式(II)で
示される重合性二重結合基が、直接結合するか、あるい
は、任意の連結基を介して結合された化学構造を有する
ものである。
【0050】式(II)において、V1は、式(I)中の
0と同義であり、b1及びb2は、互いに同じでも異な
ってもよく、上記式(I)中のa1又はa2と同義であ
る。V1、b1及びb2の好ましい範囲は、各々、上記し
たV0、a1及びa2について説明したものと同様の内容
である。式(II)のb1及びb2のいずれか一方が水素原
子であることがより好ましい。
【0051】式(I)成分と式(II)成分を連結する基
としては、炭素−炭素結合(一重結合あるいは二重結
合)、炭素−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例え
ば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子
等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合の原子団の任意の組
合せで構成されるものである。本発明のマクロモノマー
(MA)のうち好ましいものは下記一般式(VI)で示され
る如きものである。
【0052】
【化20】
【0053】一般式(VI)中、Z以外は、式(I)及び
式(II)中の各記号と同一の内容を表す。Zは、単なる
結合または、−C(D41)(D42)−〔D41、D42は、各
々独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル
基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基等)等を示す〕、−(CH=CH)−、−C610
−(シクロヘキシレン基)、−Ph−(フェニレン
基)、−O−、−S−、−CO−、−N(D43)−、−
COO−、−SO2−、−CON(D43)−、−SO2
(D43)−、−NHCOO−、−NHCONH−、−S
i(D43)(D44)−〔D43、D44は、各々独立に、水素
原子、前記D11と同様の内容を表す炭化水素基を示
す〕、下記の化21に示す連結基、等の原子団から選ば
れた単独の連結基もしくは任意の組合せで構成された連
結基を表わす。
【0054】
【化21】
【0055】式(VI)において、a1、a2、b1、b2
0及びV1の各々について、特に好ましい例を次に示
す。V0としては、−COO−、−OCO−、−O−、
−CH2COO−または−CH2OCO−が、V1として
は前記のものがすべて(但し、D11は水素原子である)
が、a1、a2、b1、b2としては水素原子またはメチル
基が挙げられる。以下に、一般式(VI)中における下記
一般式(II′)で示される部分の具体的な例を示す。し
かし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化22】
【0057】以下において、bは−Hまたは−CH
3を;m1は1〜12の整数を;n1は2〜12の整数を
示す。
【0058】
【化23】
【0059】
【化24】
【0060】
【化25】
【0061】
【化26】
【0062】
【化27】
【0063】
【化28】
【0064】又、本発明に供されるマクロモノマー(M
A)において、一般式(I)で示される繰返し単位ととも
に、他の繰返し単位を共重合成分として含有してもよ
い。他の共重合成分としては、一般式(I)の繰返し単
位に相当する単量体と共重合可能な単量体であればいず
れの化合物でもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、ビニル酢
酸、4−ペンテン酸等の不飽和カルボン酸及びこれら不
飽和カルボン酸のエステル類又はアミド類、炭素数1〜
22の脂肪酸ビニルエステル類あるいはアリルエステル
類、ビニルエーテル類、スチレン及びスチレン誘導体、
不飽和結合基含有のヘテロ環化合物等が挙げられる。具
体的には、例えば前記した単量体(A)で例示した化合
物等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0065】マクロモノマー(MA)の繰返し単位の総和
において、一般式(I)で示される繰返し単位成分は、
全体の40重量%以上含有されていることが好ましく、
より好ましくは60〜100重量%である。一般式
(I)で示される成分が全体の40重量%未満になる
と、分散樹脂粒子で形成された画像部の機械的強度の保
持が充分でなく、従ってオフセット原版として用いた時
の耐刷性向上の効果が見られなくなってしまう。本発明
のマクロモノマー(MA)は、数平均分子量が1×103
〜2×104のものが好ましく、2×103〜1×104
がより好ましい。マクロモノマー(MA)の数平均分子量
の上限が2×104を超えると耐刷性が低下する。他
方、分子量が小さすぎると汚れが発生する傾向があり、
1×103以上であることが好ましい。
【0066】本発明のマクロモノマー(MA)は、従来公
知の合成方法によって製造することができる。例えば、
アニオン重合あるいはカチオン重合によって得られる
リビングポリマーの末端に種々の試薬を反応させて、マ
クロマーにする、イオン重合法による方法、分子中
に、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の反応
性基を含有した重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を用い
て、ラジカル重合して得られる末端反応性基結合のオリ
ゴマーと種々の試薬を反応させて、マクロマーにするラ
ジカル重合法による方法、重付加あるいは重縮合反応
により得られたオリゴマーに上記ラジカル重合方法と同
様にして、重合性二重結合基を導入する重付加縮合法に
よる方法等が挙げられる。具体的には、P.Dreyf
uss & R.P.Quirk,Encycl.Po
lym.Sci.Eng.,,551(1987)、
P.F.Rempp & E.Franta,Adv.
Polym.Sci.,58,1(1984)、V.P
ercec,Appl.Polym.Sci.,28
,95(1984)、R.Asami & M.Ta
kaRi,Makvamol.Chem.Suppl
n.12,163(1985)、P.Rempp.et
al,Makvamol.Chem.Suppln.
,3(1984)、川上雄資,化学工業,38, 56
(1987)、山下雄也,高分子,31,988(19
82)、小林四郎,高分子,30,625(198
1)、東村敏延,日本接着協会誌, 18,536(19
82)、伊藤浩一,高分子加工,35,262(198
6)、東貴四郎,津田隆,機能材料,1987,No.
10,5等の総説及びそれに引例の文献・特許等に記載
の方法に従って合成することができる。
【0067】上記した分子中に特定の反応性基を含有し
た重合開始剤としては、例えば、4,4′−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、4,4′−アゾビス(4−シア
ノ吉草酸クロライド)、2,2′−アゾビス(2−シア
ノプロパノール)、2,2′−アゾビス(2−シアノペ
ンタノール)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−
(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド〕、2,
2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒ
ドロキシメチル) エチル〕プロピオアミド}、2,2′
−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロ
キシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミ
ド}、2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イ
ミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビ
ス〔2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,
3−ジアゼピン−2−イル)プロパン〕、2,2′−ア
ゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジ
ン−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス〔2−
(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラピリミジン
−2−イル)プロパン〕、2,2′−アゾビス{2−
〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−
2−イル〕プロパン}、2,2′−アゾビス〔N−(2
−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジ
ン〕、2,2′−アゾビス〔N−(4−アミノフェニ
ル)−2−メチルプロピオンアミジン〕等のアゾビス系
化合物が挙げられる。
【0068】又、分子中に特定の反応性基を含有した連
鎖移動剤として、例えば該反応性基あるいは該反応性基
に誘導しうる置換基を含有するメルカプト化合物(例え
ばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、
2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオ
ン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロ
ピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−
〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピ
オン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕
プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)ア
ラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカ
プトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホ
ン酸、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−
1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロ
パノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプ
トフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メル
カプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノー
ル等)、あるいは上記反応性基又は置換基を含有するヨ
ード化アルキル化合物(例えばヨード酢酸、ヨードプロ
ピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンス
ルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等)が挙げら
れる。好ましくはメルカプト化合物が挙げられる。
【0069】これらの連鎖移動剤あるいは重合開始剤
は、各々一般式(I)の繰返し単位に相当する単量体1
00重量部に対して0.5〜20重量部を用いる事が好
ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
【0070】本発明の分散樹脂は、単量体(A)及び一
官能性マクロモノマー(MA)の各々少なくとも1種以上
から成り、重要な事は、これら単量体及び一官能性マク
ロモノマーから合成された樹脂が該非水溶媒に不溶であ
れば、所望の分散樹脂を得ることができる。より具体的
には、不溶化する単量体(A)に対して、一官能性マク
ロモノマー(MA)を0.1〜20重量%使用することが
好ましく、さらに好ましくは0.3〜8重量%である。
又、本発明の分散樹脂の分子量は好ましくは1×103
〜1×106であり、より好ましくは1×104〜1×1
6である。
【0071】非水溶媒中で、単量体(A)および一官能
性マクロモノマー(MA)を重合して生成した該溶媒不溶
の重合体を安定な樹脂分散物とするために用いられる本
発明の分散安定用樹脂〔P〕について、次に説明する。
分散安定用樹脂〔P〕は、A−B型ブロック共重合体成
分の高分子鎖が有機分子中に少なくとも3個結合して成
る、重量平均分子量2×104〜1×106のスター型共
重合体である。該有機分子に結合する1つのブロック
(ブロックA)は、ホスホノ基、カルボキシル基、スル
ホ基、ヒドロキシル基、ホルミル基、アミノ基、−P
(=O)(OH)R1基〔R1は−R2基または−OR2基を
示し、R2は炭化水素基を表す〕、−CONR34基、
−SO2NR34基〔R3およびR4は、各々独立に、水
素原子又は炭化水素基を表す〕、及び環状酸無水物含有
基から選択される少なくとも1種の極性基を含有する重
合体成分及び/又は前記一官能性単量体(A)に相当す
る重合体成分を少なくとも1種含有することで構成され
る。他の1つのブロック(ブロックB)は、前記一般式
(III)で示される繰り返し単位から成る重合体成分を少
なくとも1種含有することから成る。ここで、ブロック
AとブロックBの高分子鎖中における配列の順序は、ブ
ロックAの重合体主鎖のブロックBと結合する末端とは
反対側の片末端で、有機分子に結合して成るもので、樹
脂〔P〕を模式的に示すと下記化29の如くになる。
【0072】
【化29】
【0073】化29において、Xは有機分子を表し、
(A)はブロックAを、(B)はブロックBを表し、
(A)−(B)は高分子鎖を表す。また、かかるA−B
型ブロック高分子鎖は、有機分子中に含まれる上限は多
くて15個、通常10個程度である。
【0074】該スター型共重合体におけるブロックAと
ブロックBの存在割合は、1〜50/99〜50(重量
比)であり、好ましくは5〜40/95〜60(重量
比)である。ブロックAにおいて含有される、特定の極
性基含有の重合体成分は、好ましくは該分散安定用樹脂
〔P〕100重量部中1〜30重量部で、より好ましく
は1〜15重量部である。又、ブロックAにおいて特定
の極性基含有の重合体成分が存在しない場合、該一官能
性単量体(A)に相当する重合体成分は、好ましくは該
樹脂〔P〕100重量部中5〜50重量部であり、より
好ましくは10〜40重量部である。ブロックBにおい
て含有される、一般式(III)で示される重合体成分は、
好ましくは該分散安定用樹脂〔P〕100重量部中50
〜99重量部であり、より好ましくは60〜95重量部
である。該分散安定用樹脂〔P〕において、前記した所
定の存在割合(即ち、前記したブロックAとブロックB
の存在割合や、ブロックAに含有される特定の極性基含
有の重合体成分の存在割合や、ブロックBに含有される
一般式(III)で示される重合体成分の存在割合)より少
ないと、一官能性単量体(A)及び一官能性マクロモノ
マー(MA)を重合して得られた分散樹脂粒子の再分散安
定性が低下してしまう。他方、所定の存在割合より多く
なると、一官能性単量体(A)及び一官能性マクロモノ
マー(MA)の重合反応で得られた分散樹脂粒子の平均粒
径の粗大化、粒子の粒子分布の単分散性低下を生じてし
まう。
【0075】本発明に用いられる分散安定用樹脂〔P〕
は、有機溶媒に可溶性であり、具体的には、トルエン溶
媒100重量部に対して、温度25℃において、分散安
定用樹脂が少なくとも5重量部以上溶解するものであれ
ばよい。本発明の分散安定用樹脂〔P〕の重量平均分子
量(Mw)は、2×104〜1×106であり、好ましく
は2.5×104〜5×105である。
【0076】次に、分散安定用樹脂〔P〕のブロックA
を構成する重合体成分について詳細に説明する。ブロッ
クAは、一官能性単量体(A)に相当する重合体成分及
び/又は前記した特定の極性基含有の重合体成分で構成
される。一官能性単量体(A)に相当する重合体成分と
しては、不溶化する単量体(A)で前記したと同様の内
容のものが挙げられる。好ましくは、分散樹脂粒子とな
る一官能性単量体(A)と同一の単量体で構成される。
【0077】特定の極性基中、−P(=O)(OH)R
1基において、R1は−R2基または−OR2基を示し、R
2は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2の炭化水素
基として好ましくは、炭素数1〜8の置換されてもよい
脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、ブテニル基、ペンテ
ニル基、ヘキセニル基、2−クロロエチル基、2−シア
ノエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベ
ンジル基、フェネチル基、クロロベンジル基、ブロモベ
ンジル基等)、および置換されてもよい芳香族基(例え
ばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ク
ロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル
基、シアノフェニル基等)が挙げられる。
【0078】また、特定の極性基中、−CONR34
及び−SO2NR34基において、R3及びR4は、各々
独立に、水素原子又は炭化水素基(炭素数1〜10、好
ましくは炭素数1〜8の置換されてもよい炭化水素基)
を表わす。R3、R4で表される炭化水素基として具体的
には、前記R2で表される炭化水素基と同様の内容のも
のが挙げられる。
【0079】また、環状酸無水物含有基とは、少なくと
も1つの環状酸無水物を含有する基であり、含有される
環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボン酸無水物、芳
香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族ジカルボ
ン酸無水物の例としては、コハク酸無水物、グルタコン
酸無水物、マレイン酸無水物、シクロペンタン−1,2
−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカ
ルボン酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン
酸無水物、2,3−ビシクロ〔2,2,2〕オクタンジ
カルボン酸無水物等が挙げられ、これらの脂肪族ジカル
ボン酸無水物は、例えば、塩素原子、臭素原子等のハロ
ゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基
等のアルキル基等で置換されていてもよい。又、芳香族
ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸無水物、ナ
フタレン−ジカルボン酸無水物、ピリジン−ジカルボン
酸無水物、チオフェン−ジカルボン酸無水物等が挙げら
れ、これらの芳香族ジカルボン酸無水物は、例えば、塩
素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、等のアルキル基、ヒドロキ
シル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基
(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基等)等で置換されていてもよい。
【0080】更に、特定の極性基中、アミノ基は、−N
2、−NHR5又は−NR56を表す。R5、R6は、炭
素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基を
表す。更に好ましくは炭素数1〜7の炭化水素基を表わ
し、具体的には、前記R2で表される炭化水素基と同様
の内容のものが挙げられる。
【0081】R2、R3、R4、R5及びR6の炭化水素基
は、更により好ましくは、炭素数1〜4の置換されても
よいアルキル基、置換されてもよいベンジル基、又は置
換されてもよいフェニル基が挙げられる。
【0082】以上の特定の極性基を含有する重合体成分
に相当する単量体としては、特定の極性基を少なくとも
1種含有した一官能性単量体であればいずれでもよい。
例えば、高分子学会編「高分子データハンドブック〔基
礎編〕」培風舘(1986年刊)等に記載されている。具体
的には、アクリル酸、α−及び/又はβ−置換アクリル
酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシメチル
体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ体、α−
ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリル体、α
−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α−クロロ
−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、メタクリ
ル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、イタコン
酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカルボン酸
類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−ヘキセン
酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセン酸、4
−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、マレイン
酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニルベンゼ
ンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、ビニルホスホ酸、ジカルボン酸類のビニル基又
はアリル基の半エステル誘導体、及びこれらのカルボン
酸又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導体の置
換基中に該極性基を含有する化合物等が挙げられる。
【0083】これらの化合物の具体例として以下のもの
を挙げることができる。但し、以下の各例において、e
は−H、−CH3、−Cl、−Br、−CN、−CH2
OOCH3又は−CH2COOHを示し、fは−H又は−
CH3を示し、nは2〜10の整数を示し、mは1〜1
0の整数を示し、pは1〜4の整数を示す。X1は−C
OOH、−O−P(=O)(OH)2、−SO3H、−O
H、−NRab、−CHO又は−O−P(=O)(OH)
aを示す。ここで、Ra、Rbは炭素数1〜4のアルキ
ル基を示す。X2は−COOH又は−OHを示す。
【0084】
【化30】
【0085】
【化31】
【0086】
【化32】
【0087】次に、分散安定用樹脂〔P〕のブロックB
を構成する一般式(III)で示される繰り返し単位につい
て詳しく説明する。一般式(III)において、X1は好ま
しくは−COO−、−OCO−又は−O−を表わす。Y
1は好ましくは炭素数10以上のアルキル基又はアルケ
ニル基を表わし、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。
具体的には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイ
コサニル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル
基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニ
ル基、リノレル基等が挙げられる。
【0088】d1及びd2は、互いに同じでも異なってい
てもよく、好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3
のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基等)、−COO−Z1または−CH2COO−Z1〔Z1
は、水素原子又は置換されていてもよい炭素数22以下
の炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、ア
ラルキル基、脂環式基、アリール基等)を表わす〕を表
わす。
【0089】Z1は、具体的には、水素原子のほか、好
ましい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換され
てもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル
基、エイコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル
基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メ
トキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3
−ブロモプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されて
もよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペ
ニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチ
ル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセ
ニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニ
ル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘ
キサデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、
炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基等)、及び炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族
基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシ
リル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オク
チルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニ
ル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシ
ルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェ
ニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチ
ルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキ
シカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル
基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル
基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられる。
【0090】又、本発明に供される分散安定用樹脂のブ
ロックBにおいて一般式(III)で示される繰り返し単位
とともに、他の繰り返し単位を共重合成分として含有し
てもよい。他の共重合成分としては、一般式(III)の繰
り返し単位に相当する単量体と共重合可能な単量体より
なるものであればいずれの化合物でもよい。しかし、好
ましくは、他の成分は含有しない方が好ましく、多くて
もブロックB中の20重量部を超えない範囲で用いられ
る。20重量部を超えると分散樹脂粒子の分散安定性が
劣化してしまう。ブロックBにおいて、一般式(III)で
示される繰り返し単位は二種以上を併用してもよい。
【0091】一方、本発明に従う、高分子鎖を少なくと
も3個以上結合してなる有機分子としては、該分子の分
子量が1000以下のものであれば特に限定されるもの
ではない。例を挙げれば、下記化33に記載の3価の炭
化水素残基が挙げられる。
【0092】
【化33】
【0093】〔ここで、r1〜r6は各々水素原子又は炭
化水素基を表す。但し、r1とr2の少なくとも1つは高
分子鎖に連結し、又、r3〜r6のうちの少なくとも1つ
は高分子鎖に連結する。〕 これらの有機残基は、単独又はこれらの任意の組合せの
構成からなり、組合せの場合は、−O−、−S−、−N
(r7)−、−COO−、−CON(r7)−、−SO
2−、−SO2N(r7)−{ここでr7は水素原子又は炭
化水素基を表す}、−NHCOO−、−NHCONH
−、酸素原子、イオウ原子、窒素原子等のヘテロ原子含
有の複素環(例えばチオフェン環、ピリジン環、ピラン
環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、フラン
環、ピペリジン環、ピラジン環、ピロール環、ピペラジ
ン環等)等の結合単位の組合せを含んでいてもよい。
【0094】他の該高分子鎖を結合する有機分子の例と
しては、下記化34と上記結合単位との組合せから構成
されるものが挙げられる。しかしながら、本発明に従う
有機分子の具体例としては、これらに限定されるもので
はない。
【0095】
【化34】
【0096】本発明のスター型共重合体〔P〕は、従来
公知の極性基含有で且つ重合性二重結合基をもつ単量体
のスター型ポリマーの合成法を利用して合成することが
できる。例えばその一つとしてカルバニオンを開始剤と
する重合反応が挙げられる。具体的には、M. Morton,
T. E. Helminiak et al“J. Polym. Sci.”57, 471 (19
62)、B. Gordon III, M, Blumenthal, J. E. Loftus et
al“Polym. Bull.”11,349 (1984)、R. B. Bates, W.
A. Beavers et al“J. Org. Chem. ”44, 3800 (1979)
に記載の方法に従って合成できる。但し、本反応を用い
る際には、本発明の「特定の極性基」は、保護した官能
基として用いて重合させた後、保護基の脱離を行う。こ
れらの、本発明の特定の極性基の保護基による保護及び
その保護基の脱離(脱保護反応)については、従来公知
の知見を利用して容易に行なうことができる。例えば前
記引用文献にも種々記載されており、更には、岩倉義
男、栗田恵輔「反応性高分子」(株)講談社刊(1977
年)、T. W. Greene“Protective Groups in Organic S
ynthesis”(JohnWiley & Sons, 1981年)、J. F. W. Mc
Omic “Protective Groups in Organic Chemistry”(Pl
enum Press,1973年)等の総説に詳細に記載されている
方法を適宜選択して行なうことができる。
【0097】他の方法としては、本発明の特定の極性基
を保護しないままの単量体を用い、ジシオカーバメント
基を含有する化合物及び/又はザンテート基を含有する
化合物を開始剤として、光照射下に重合反応を行なって
合成することもできる。例えば、大津隆行「高分子」3
7, 248 (1988)、檜森俊一, 大津隆一“Polym. Rep. Ja
p.”37, 3508 (1988) 、特開昭64−111号、特開昭
64−26619号、東信行等“Polymer Preprints, J
apan”36 (6), 1511 (1987) 、M. Niwa, N. Higashi et
al “J. Macromol. Sci. Chem. ”A24 (5), 567 (198
7) 等に記載の合成方法に従って合成することができ
る。
【0098】本発明で用いられる分散樹脂粒子を製造す
るには、一般に、前述の様な分散安定用樹脂〔P〕、単
量体(A)及び一官能性マクロモノマー(MA)とを非水
溶媒中で過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ブチルリチウム等の重合開始剤の存在下に加熱重合
させればよい。具体的には、分散安定用樹脂〔P〕、
単量体(A)及びマクロモノマー(MA)の混合溶液中に
重合開始剤を添加する方法、分散安定用樹脂〔P〕を
溶解した溶液中に単量体(A)及びマクロモノマー(M
A)を重合開始剤とともに滴下してゆく方法、あるいは、
分散安定用樹脂〔P〕全量と単量体(A)及びマクロ
モノマー(MA)の一部を含む混合溶液中に、重合開始剤
とともに残りの単量体(A)及びマクロモノマー(MA)
を任意に添加する方法、更には、非水溶媒中に、分散
安定用樹脂〔P〕、単量体(A)及びマクロモノマー
(MA)の混合溶液を、重合開始剤とともに任意に添加す
る方法等があり、いずれの方法を用いても製造すること
ができる。
【0099】単量体(A)及びマクロモノマー(MA)の
総量は、非水溶媒100重量部に対して5〜50重量部
程度であり、好ましくは10〜30重量部である。分散
安定用樹脂〔P〕は、上記で用いられる全単量体〔マク
ロモノマー(MA)を含む〕100重量部に対して1〜5
0重量部であり、好ましくは5〜30重量部である。重
合開始剤の量は全単量体量の0.1〜5重量%が適切で
ある。又、重合温度は50〜180℃程度であり、好ま
しくは60〜120℃である。反応時間は1〜15時間
が好ましい。
【0100】反応に用いた非水溶媒中に、前記したアル
コール類、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性
溶媒を併用した場合あるいは、重合造粒化される単量体
(A)の未反応物が残存する場合、該溶媒あるいは単量
体の沸点以上に加温して留去するかあるいは、減圧留去
することによって除くことが好ましい。
【0101】以上の如くして本発明により製造された非
水系分散樹脂粒子は、微細でかつ粒度分布が均一な粒子
として存在すると同時に、非常に安定な分散性を示し、
特に現像装置内において長く繰り返し使用をしても分散
性が良くかつ現像スピードが向上しても再分散も容易で
あり装置の各部に付着汚れを生ずることが全く認められ
ない。また、加熱等により定着した場合、強固な被膜が
形成され、優れた定着性を示した。更に、本発明の液体
現像剤は、現像−定着工程が迅速化され且つ大版サイズ
のマスタープレートを用いた場合でも、分散安定性、再
分散性及び定着性に優れている。
【0102】以上の如く、本発明のラテックス粒子の高
再分散性は、不溶化する単量体(A)とともに共重合す
る一官能性マクロモノマー(MA)、及び重合時に用いる
特定のブロックから成るスター型共重合体に依存するも
のである。即ち、本発明の分散安定用樹脂〔P〕は、該
非水溶媒に対し親和性の大きな長鎖脂肪族基含有の重合
体成分から構成されるブロックBと、該非水溶媒に対し
親和性が小さく、不溶化する単量体(A)に対して親和
性を有する重合体成分から構成されるブロックAとが結
合したA−B型ブロックの高分子鎖を有機分子中に少な
くとも3個以上結合した、スター型共重合体であること
を特徴とする。これにより、分散樹脂粒子に対し、ブロ
ックA部分が重合造粒時に物理化学的な相互作用で充分
に吸着され、且つ非水系分散媒に対して親和性が大きい
ブロックB部分が該溶媒に対して充分に溶媒和し且つ立
体的な反発効果も充分に作用する(所謂、テール状吸着
となる)高分子鎖が少なくとも3個以上存在する事か
ら、吸着効果および立体反発効果が充分に効率よく発現
することで本発明の効果が達成されたと推定される。
【0103】これに対し、従来公知のブロックAで用い
られる重合体成分とブロックBで用いられる重合体成分
とのランダム共重合体では、吸着部分となる成分が溶媒
和する成分で構成される高分子鎖中にランダムに結合し
ているため、分散樹脂粒子への吸着が充分でなく、更
に、その吸着のパターンがループ状となるために立体反
発効果も疎外されてしまい、分散安定性が充分でなかっ
た。更には、ブロックAとブロックBとで構成されるA
−B型ブロック共重合体が開発され、前記のランダム共
重合体に比べ、分散安定性の向上効果は認められた。し
かし、近年の、製版機の現像スピードの迅速化等に対し
ては、分散安定性の効果は未だ不充分であった。
【0104】又、オフセットマスター原版として印刷し
た時のトナー画像部の劣化を生じない高耐刷性は、不溶
化する単量体(A)とともに共重合した一官能性マクロ
モノマー(MA)と、それに吸着した分散ポリマーが、お
互いの相溶性が良好で、温和な定着条件でも十分に相溶
化し、均一で強固な皮膜を形成することで達成されるも
のと推定される。
【0105】本発明の液体現像剤において所望により着
色剤を使用しても良い。その着色剤は特に限定されるも
のではなく従来公知の各種顔料又は染料を使用すること
ができる。分散樹脂自体を着色する場合には、例えば着
色の方法の1つとしては、顔料又は染料を用いて分散樹
脂に物理的に分散する方法があり、使用する顔料又は染
料は非常に多く知られている。例えば、磁性酸化鉄粉
末、粉末ヨウ化鉛、カーボンブラック、ニグロシン、ア
ルカリブルー、ハンザイエロー、キナクリドンレッド、
フタロシアニンブルーなどが挙げられる。着色の方法の
他の1つとしては、特開昭57−48738号などに記
載されている如く、分散樹脂を、好ましい染料で染色す
る方法がある。あるいは、他の方法として、特開昭53
−54029号に開示されている如く、分散樹脂と染料
を化学的に結合させる方法があり、あるいは、特公昭4
4−22955号等に記載されている如く、重合造粒法
で製造する際に、予め色素を含有した単量体を用い、色
素含有の共重合体とする方法がある。
【0106】本発明の液体現像剤には、荷電特性の強化
あるいは画像特性の改良等のために、所望により種々の
添加剤を加えても良く、例えば原崎勇次「電子写真」第
16巻、第2号、44頁に具体的に記載されているもの
が用いられる。例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホ
コハク酸金属塩、ナフテン酸金属塩、高級脂肪酸金属
塩、レシチン、ポリ(ビニルピロリドン)、半マレイン
酸アミド成分を含む共重合体、炭素数8以上の高級アル
コール類、ポリエーテル類、シリコンオイル等の化合物
が挙げられる。
【0107】本発明の液体現像剤の主要な各組成分の量
について説明すれば下記の通りである。樹脂(及び所望
により用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒
子は、担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜
50重量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像
濃度が不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブ
リを生じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可
溶性樹脂も所望により使用され、担体液体1000重量
部に対して0.5重量部〜100重量部程度を加えるこ
とができる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体100
0重量部に対して0.001〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109 Ωcmより低くなると良質の連
続階調像が得られ難くなるので、各添加物の添加量を、
この限度内でコントロールすることが必要である。
【0108】
【実施例】以下に本発明のマクロモノマーの製造例、分
散安定用樹脂の製造例、ラテックス粒子の製造例および
実施例を示し、本発明の効果を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】マクロモノマー(MA)の製造例1:マクロ
モノマーMA−1 メチルメタクリレート100g、3−メルカプトプロピ
オン酸5gおよびトルエン200gの混合溶液を、窒素
気流下攪拌しながら、温度75℃に加温した。2,2′
−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.
N.)を1.0g加え4時間反応し、更にA.I.B.
N.を0.5g加え3時間、更にA.I.B.N.を
0.3g加え3時間反応した。次にこの反応溶液にグリ
シジルメタクリレート8g、N,N−ジメチルドデシル
アミン1.0g及びt−ブチルハイドロキノン0.5g
を加え、温度100℃にて、12時間攪拌した。冷却後
この反応溶液をメタノール2リットル中に再沈し、白色
粉末を82g得た。重合体の数平均分子量は6,500
であった。
【0110】
【化35】
【0111】マクロモノマー(MA)の製造例2〜39:マ
クロモノマーMA−2〜MA−39 マクロモノマー(MA)の製造例1において、メチルメタ
クリレートのみを下記表−Aに相当する化合物に代えた
他は、製造例1と同様に反応してマクロモノマーMA−
2〜MA−39を合成した。得られた各マクロモノマーの
数平均分子量は5000〜7000の範囲であった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】マクロモノマー(MA)の製造例40:マクロ
モノマーMA−40 2,3−ジプロピオキシプロピルメタクリレート96
g、チオエタノール4g及びトルエン200gの混合溶
液を窒素気流下攪拌しながら、温度70℃に加温した。
A.I.B.N.を1.0g加え4時間反応した。更に
A.I.B.N.を0.5g加え3時間、その後更に
A.I.B.N.を0.3g加え3時間反応した。この
反応溶液を室温に冷却し、2−カルボキシエチルメタク
リレート16.2gを加え、これにジシクロヘキシルカ
ルボジイミド(略称D.C.C.)を12.7g及び塩
化メチレン60gの混合溶液を1時間で滴下した。t−
ブチルハイドロキノン1.0gを加え、そのまま4時間
攪拌した。析出した結晶を濾別して得た濾液を、メタノ
ール2リットル中に再沈した。沈澱した油状物をデカン
テーションで捕集し、これを塩化メチレン150mlに
溶解し、メタノール1リットル中に再度再沈した。油状
物を捕集し、減圧乾燥して、収量54gで、数平均分子
量6.30×103の重合体を得た。
【0117】
【化36】
【0118】マクロモノマー(MA)の製造例41〜46:マ
クロモノマーMA−41〜MA−46 マクロモノマーMA−40の製造例において、メタクリレ
ートモノマー(2,3−ジプロピオキシプロピルメタク
リレートに相当)及び不飽和カルボン酸(2−カルボキ
シエチルメタクリレートに相当)を各々代えて、MA−4
0の製造例と同様にして、下記表−Bのマクロモノマー
を各々製造した。収量は96gで、得られた各マクロモ
ノマーの数平均分子量は5×103〜8×103の範囲で
あった。
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】マクロモノマー(MA)の製造例47:マクロ
モノマーMA−47 2,3−ジアセトキシプロピルメタクリレート100
g、テトラヒドロフラン150gおよびイソプロピルア
ルコール50gの混合溶液を窒素気流下に、温度75℃
に加温した。4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)
(略称:A.C.V.)を4.0g加え5時間反応し、
更にA.C.V.を1.0g加えて4時間反応した。冷
却後、反応溶液をメタノール1.5リットル中に再沈
し、油状物をデカンテーションで捕集し、減圧乾燥し
た。収量は85gであった。この油状物50g、グリシ
ジルメタアクリレート15g、N,N−ジメチルドデシ
ルアミン1.0g及び2,2′−メチレンビス(6−t
−ブチル−p−クレゾール)1.0gを加え、温度10
0℃で15時間攪拌した。冷却後、この反応液を石油エ
ーテル1リットル中に再沈し、白色の粉末63gを得
た。数平均分子量は6,200であった。
【0122】
【化37】
【0123】 分散安定用樹脂〔P〕の合成例1:樹脂〔P−1〕 メチルメタクリレート50g、メチルアクリレート50
g、下記構造の開始剤〔I−1〕7.8g及びテトラヒ
ドロフラン100gの混合物を窒素気流下に温度50℃
に加温した。この溶液に400Wの高圧水銀灯で10c
mの距離からガラスフィルターを通して8時間光照射し
光重合した。この重合物をメタノール1リットル中に再
沈し、沈殿物を捕集し、乾燥した。次に、上記重合物3
0g、ステアリルメタクリレート70g及びテトラヒド
ロフラン100gの混合溶液を、再び窒素気流下に温度
50℃に加温した。次に、上記と同様にして、光照射を
16時間行った後、得られた反応物をメタノール1.5
リットル中に再沈し、沈殿物を捕集し、乾燥して、収量
80gで重量平均分子量〔Mw:Mwはポリスチレン換算
によるGPC法(GPC:サイズ排除クロマトグラフィ
ー)による値〕は6×104の重合体を得た。
【0124】
【化38】
【0125】
【化39】
【0126】分散安定用樹脂〔P〕の合成例2〜14:樹
脂〔P−2〕〜〔P−14〕 分散安定用樹脂の合成例1において、開始剤〔I−1〕
の代わりに下記表−Cに記載の開始剤0.011モルを
用いた他は、合成例1と同様にして重合体を合成した。
得られた各重合体のMwは4×104〜6×104の範囲
であった。
【0127】
【表7】
【0128】
【表8】
【0129】
【表9】
【0130】
【表10】
【0131】分散安定用樹脂〔P〕の合成例15〜28:樹
脂〔P−15〕〜〔P−28〕 下記表−Dに示されるブロックAの重合体成分に相当す
る各単量体、用いた全単量体に対して0.01モルの開
始剤〔I−7〕及びテトラヒドロフラン100gの混合
物を窒素気流下に温度50℃に加温した。この溶液に、
合成例1と同様にして、光照射を12時間行い重合反応
を行った。次に、得られた各重合物を表−Dに示される
所定量(x:固形分量として)及び下記表−Dに示され
るブロックBの重合体成分に相当する各単量体を表−D
に示される所定量(y:固形分量として)用い、全化合
物の濃度が60重量%となるようにテトラヒドロフラン
を加えた混合溶液を、再び窒素気流下に温度55℃に加
温した。次に、上記と同様にして、光照射を16時間行
った後、得られた反応物をメタノール1.5リットル中
に再沈し、沈殿物を捕集し、乾燥した。収量60〜80
gでMw3×104〜6×104の各重合体を得た。
【0132】
【表11】
【0133】
【表12】
【0134】
【表13】
【0135】
【表14】
【0136】 ラテックス粒子の製造例1:ラテックス粒子D−1 分散安定用樹脂〔P−1〕を12gとアイソパーHを1
77gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度60℃
に加温した。メチルメタクリレート50g、メチルアク
リレート50g、マクロモノマーMA−9を4g、重合
開始剤として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(略称A.I.V.N.)1.0g及びアイソパー
Hを200gの混合溶液を2時間で滴下し、そのまま2
時間攪拌した。更にA.I.V.N.を0.5g加えて
3時間攪拌した。冷却後200メッシュのナイロン布を
通し、得られた白色分散物は重合率98%で平均粒径
0.20μmのラテックスであった。粒径はCAPA−
500(堀場製作所(株)製)で測定した。
【0137】ラテックス粒子の製造例2〜22:ラテッ
クス粒子D−2〜D−22 ラテックス粒子の製造例1において、分散安定用樹脂
〔P−1〕及びマクロモノマーMA−9の代わりに下記
表−Eに記載の分散安定用樹脂及びマクロモノマーを用
いた他は、上記製造例1と全く同様に操作して本発明の
ラテックス粒子D−2〜D−22を製造した。得られた
各ラテックス粒子の重合率は90〜95%で、平均粒径
は0.15〜0.20μmの範囲内で且つ単分散性が良
好であった。
【0138】
【表15】
【0139】
【表16】
【0140】ラテックス粒子の製造例23:ラテックス
粒子D−23の製造 分散安定用樹脂〔P−17〕を12g、酢酸ビニル10
0g、マクロモノマーMA−1を2g及びアイソパーH
を384gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度7
0℃に加温した。重合開始剤としてA.I.V.N.を
1.2g加え、3時間反応した。開始剤を添加して20
分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。更
に、開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、温度を
100℃に上げ2時間攪拌し未反応の酢酸ビニルを留去
した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得ら
れた白色分散物は重合率88%で平均粒径0.22μm
のラテックスであった。
【0141】ラテックス粒子の製造例24〜40:ラテ
ックス粒子D−24〜D−40 ラテックス粒子の製造例1において用いた、単量体
(A)(即ち、メチルメタクリレートとメチルアクリレ
ート)、分散安定用樹脂〔P−1〕およびマクロモノマ
ーMA−9の代わりに、下記表−Fに記載の化合物をそ
れぞれ用いた他は、上記製造例1と同様にしてラテック
ス粒子を製造した。得られた各ラテックス粒子の重合率
は85〜98%で、平均粒径は0.15〜0.25μm
の範囲内で且つ単分散性も良好であった。
【0142】
【表17】
【0143】
【表18】
【0144】 ラテックス粒子の製造例41:(比較例A) ラテックス粒子の製造例1において、分散安定用樹脂
〔P−1〕14gの代わりに下記構造の樹脂〔RP−
1〕30gを用いた他は、ラテックス粒子の製造例1と
全く同様にして、重合率98%で平均粒径0.40μm
のラテックス粒子である白色分散物を得た。
【0145】
【化40】
【0146】 ラテックス粒子の製造例42:(比較例B) ラテックス粒子の製造例1において、分散安定用樹脂
〔P−1〕14gの代わりに下記構造の樹脂〔RP−
2〕20gを用いた他は、ラテックス粒子の製造例1と
全く同様にして、重合率90%で平均粒径0.30μm
のラテックス粒子である白色分散物を得た。(特開平4
−46353号に相当)
【0147】
【化41】
【0148】 ラテックス粒子の製造例43:(比較例C) ラテックス粒子の製造例1において、分散安定用樹脂
〔P−1〕14gの代わりに下記構造の樹脂〔RP−
3〕20gを用いた他は、ラテックス粒子の製造例1と
全く同様にして、重合率92%で平均粒径0.35μm
のラテックス粒子である白色分散物を得た。(特開平3
−71152号に相当)
【0149】
【化42】
【0150】実施例1 ドデシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合
比;95/5重量比)を10g、ニグロシン10g及び
シェルゾール71の30gをガラスビーズと共にペイン
トシェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間分散
し、ニグロシンの微小な分散物を得た。ラテックス粒子
の製造例23の樹脂粒子6g(固形分量として)、上記
ニグロシン分散物を2.5g、FOC−1400(日産
化学(株)製、テトラデシルアルコール)15g、及び
オクタデセン−半マレイン酸オクタデシルアミド共重合
体0.08gをアイソパーGの1リットルに希釈するこ
とにより静電写真用液体現像剤を作製した。
【0151】(比較用現像剤A〜Cの作製)上記液体現
像剤の製造において樹脂粒子を以下の樹脂粒子に代えて
比較用の液体現像剤A、B及びCの3種を作製した。 比較用液体現像剤A:ラテックス粒子の製造例41で得
た樹脂粒子。 比較用液体現像剤B:ラテックス粒子の製造例42で得
た樹脂粒子。 比較用液体現像剤C:ラテックス粒子の製造例43で得
た樹脂粒子。
【0152】これらの液体現像剤を全自動製版機ELP
404V(富士写真フイルム(株)製)の現像剤として
用い、電子写真感光材料であるELPマスターIIタイプ
(富士写真フイルム(株)製)を露光、現像処理した。
製版スピードは4版/分で行なった。更に、ELPマス
ターIIタイプを2500枚処理した後の現像装置へのト
ナー付着汚れの有無を観察した。複写画像の黒化率(画
像面積)は、30%の原稿を用いて行なった。その結果
を表−Gに示した。
【0153】
【表19】
【0154】前記した製版条件で各現像剤を用いて製版
した所、現像装置の汚れを生じず、また2500枚目の
製版プレートの画像が鮮明な現像剤は、本発明の場合の
みであった。一方、各現像剤より製版して得られたオフ
セット印刷用マスタープレート(ELPマスター)を常
法により印刷し、印刷物の画像に文字の欠落、ベタ部の
カスレ等の発生するまでの印刷枚数を比較した所、本発
明の現像剤を用いて得られたマスタープレートは100
00枚以上でも発生せず、比較例Aを用いたマスタープ
レートでは3000枚で発生した。又比較例Bの場合は
7000枚で、比較例Cの場合は6000枚で各々発生
した。以上の結果の如く、本発明の樹脂粒子を使って現
像剤としたもののみが、現像装置の汚れを全く生じない
と同時に、マスタープレートの印刷枚数も著しく向上し
たものであった。又、比較例B及び比較例Cの場合は、
製版条件が過酷な条件(従来は2〜3枚/分の製版スピ
ードで複写画像の黒化率は8〜10%程度である)で用
いられると、現像装置(特に背面電極板上)の汚れが生
じる様になり、2500枚後位には、プレート上の複写
画像の画質に影響(Dmaxの低下、細線のカスレ等)
がでてくる様になった。また、マスタープレートの印刷
枚数は、比較例Aで著しく低下した。これらの結果は、
本発明の樹脂粒子が明らかに優れていることを示すもの
である。
【0155】実施例2 ラテックス粒子の製造例33で得られた白色分散物10
0g及びスミカロンブラック1.5gの混合物を温度1
00℃に加温し、4時間加熱攪拌した。室温に冷却後2
00メッシュのナイロン布を通し、残存した染料を除去
することで、平均粒径0.24μmの黒色の樹脂分散物
を得た。上記黒色樹脂分散物32g、〔オクタデシルビ
ニルエーテル/半マレイン酸デシルアミド〕共重合体
0.03g、FOC−1600(日産化学(株)製、ヘ
キサデシルアルコール)20gをシェルゾール71の1
リットルに希釈することにより液体現像剤を作製した。
これを実施例1と同様の装置により現像した所、250
0枚現像後でも装置に対するトナー付着汚れは全く発生
しなかった。又、得られたオフセット印刷用マスタープ
レートの画質は鮮明であり、1万枚印刷後の印刷物の画
質も非常に鮮明であった。
【0156】実施例3 ラテックス粒子の製造例16で得られた白色分散物10
0g及びビクトリアブルーBを3gの混合物を、温度7
0℃〜80℃に加温し6時間攪拌した。室温に冷却後、
200メッシュのナイロン布を通し、残存した染料を除
去して平均粒径0.23μmの青色の樹脂分散物を得
た。上記青色樹脂分散物32g及びナフテン酸ジルコニ
ウム0.05gをアイソパーHの1リットルに希釈する
ことにより液体現像剤を作製した。これを、実施例1と
同様の装置により現像した所、2500枚現像後でも装
置に対するトナー付着汚れは全く見られなかった。又、
得られたオフセット印刷用マスタープレートの画質は鮮
明であり、1万枚印刷後の印刷物の画質も非常に鮮明で
あった。
【0157】実施例4 ラテックス粒子の製造例24で得た白色樹脂分散物32
g、実施例1で得たニグロシン分散物2.5g、FOC
−1400(日産化学(株)製、テトラデシルアルコー
ル)20g及びジイソブチレンと無水マレイン酸の共重
合体の半ドコサニルアミド化物0.02gをアイソパー
Gの1リットルに希釈することにより、液体現像剤を作
製した。これを実施例1と同様の装置により現像した
所、2500枚現像後でも装置に対するトナー付着汚れ
は全く見られなかった。又、得られたオフセット印刷用
マスタープレートの画質及び1万枚印刷後の印刷物の画
質とも鮮明であった。更にこの現像剤を3カ月放置した
後、上記と全く同様の処理を行なったが、経時前と全く
変わらなかった。
【0158】実施例5 ポリ(デシルメタクリレート)10g、アイソパーHを
30g及びアルカリブルー8gを、ガラスビーズと共に
ペイントシェーカーに入れ、2時間分散を行ないアルカ
リブルーの微小な分散物を得た。ラテックス粒子の製造
例25で得られた白色樹脂分散物D−25を30g、上
記のアルカリブルー分散物4.2g、イソステアリルア
ルコール15g及びジイソブチレンと無水マレイン酸の
共重合体の半ドコサニルアミド化物0.06gをアイソ
パーGの1リットルに希釈することにより液体現像剤を
作製した。これを実施例1と同様の装置により現像した
所、2500枚現像後でも装置に対するトナー付着汚れ
は全く見られなかった。又、得られたオフセット印刷用
マスタープレートの画質及び1万枚印刷後の印刷物の画
質ともに非常に鮮明であった。
【0159】実施例6〜35 実施例5において、ラテックス粒子D−25に代えて下
記表−Hの各ラテックスを用いた他は、実施例5と同様
にして液体現像剤を作製した。
【0160】
【表20】
【0161】得られた各液体現像剤を、実施例1と同様
にして電子写真式製版システムに用いて、その性能を調
べた。各液体現像剤とも実施例1と同様な性能を示し、
再分散性、耐刷性ともに良好であった。
【0162】
【発明の効果】本発明により、再分散性、保存性及び安
定性に優れ、且つ画像の再現性及び定着性に優れた液体
現像剤が得られた。特に、電子写真式製版システム用の
現像−定着工程が迅速化された場合でも粒子の再分散性
及び安定性が優れ、また大版サイズのマスタープレート
を用いた場合でも耐刷性に優れた液体現像剤が得られ
た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気抵抗109Ωcm以上、且つ誘電率
    3.5以下の担体液中に、少なくとも樹脂粒子を分散し
    て成る静電写真用液体現像剤において、該分散樹脂粒子
    が、 非水溶媒には可溶であるが、重合することによって
    不溶化する一官能性単量体(A)の少なくとも一種、 下記一般式(I)で示される繰返し単位から成る重
    合体の主鎖の一方の末端にのみ下記一般式(II)で示され
    る重合性二重結合基を結合して成る数平均分子量が2×
    104以下である一官能性マクロモノマー(MA)の少
    なくとも1種、及び ホスホノ基、カルボキシル基、
    スルホ基、ヒドロキシル基、ホルミル基、アミノ基、−
    P(=O)(OH)R1基〔R1は−R2基または−OR2
    基を示し、R2は炭化水素基を表す〕、−CONR34
    基、−SO2NR34基〔R3およびR4は、各々独立
    に、水素原子又は炭化水素基を表す〕、及び環状酸無水
    物含有基から選択される少なくとも1種の極性基を含有
    する重合体成分及び/又は該一官能性単量体(A)に相
    当する重合体成分を少なくとも1種含有するブロックA
    と下記一般式(III)で示される重合体成分を少なくとも
    1種含有するブロックBとから構成されるA−B型ブロ
    ック高分子鎖が少なくとも3個有機分子に結合して成
    り、且つ各A−B型ブロック高分子鎖は、ブロックAの
    重合体主鎖のブロックBと結合する末端とは反対側の片
    末端で、該有機分子に結合しており、且つその重量平均
    分子量が2×104〜1×106である、スター型共重合
    体から成る分散安定用樹脂〔P〕とを、 各々少なくとも1種含有した混合物を重合反応させるこ
    とにより得られる重合体樹脂粒子であることを特徴とす
    る静電写真用液体現像剤。 【化1】 式(I)中、V0は−COO−、−OCO−、−(C
    2)rCOO−、−(CH2)rOCO−、−O−、−SO
    2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−
    COND11−、−SO2ND11−、又はフェニレン基を
    表す(ここでD11は水素原子又は炭素数1〜22の炭化
    水素基を示し、rは1〜4の整数を示す)。a1及びa2
    は、互いに同じでも異なってもよく、各々水素原子、ハ
    ロゲン原子、シアノ基、炭化水素基、−COO−D12
    又は炭化水素基を介した−COO−D12を表す(ここで
    12は水素原子又は置換されてもよい炭化水素基を示
    す)。D0は、炭素数1〜22の炭化水素基、又は下記
    一般式(IV)で示される置換基から選ばれる置換基を表
    す。 【化2】 式(IV)中、D21は水素原子または炭素数1〜22の炭化
    水素基を表す。 B1及びB2は、互いに同じでも異なっ
    てもよく、各々−O−、−CO−、−CO2−、−OC
    O−、−SO2−、−N(D22)−、−CON(D22
    −または−N(D22)CO−を表す(ここでD22は上記
    21と同一の内容を示す)。A1及びA2は、互いに同じ
    でも異なってもよく、各々置換されてもよい、又は下記
    化3を主鎖の結合に介在させてもよい、炭素数1〜18
    の炭化水素基を表す。 【化3】 化3中、B3及びB4は、互いに同じでも異なってもよ
    く、上記B1、B2と同一の内容を示し、A4は置換され
    てもよい炭素数1〜18の炭化水素基を示し、D23は上
    記D21と同一の内容を示す。m、n及びpは、互いに同
    じでも異なってもよく、各々0〜4の整数を表す。但
    し、m、n及びpが同時に0となることはない。 【化4】 式(II)中、V1は式(I)中のV0と同一の内容を表す。
    1及びb2は、互いに同じでも異なってもよく、式
    (I)中のa1、a2と同一の内容を表す。 【化5】 一般式(III)中、X1は−COO−、−OCO−、−(C
    2)xCOO−、−(CH2)xOCO−〔ここでxは1〜
    3の整数を表す〕、又は−O−を表す。Y1は炭素数8
    以上の脂肪族基を表す。d1及びd2は、互いに同じでも
    異なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子、シアノ
    基、炭化水素基、−COO−Z1、又は炭化水素基を介
    した−COO−Z1(ここでZ1は水素原子又は置換され
    てもよい炭化水素基を表す)を表す。
  2. 【請求項2】 該分散安定用樹脂〔P〕において、各高
    分子鎖を構成するA−B型ブロック共重合体成分の各ブ
    ロックの構成は、ブロックA/ブロックB比が1〜50
    /99〜50(重量比)であることを特徴とする請求項
    1記載の静電写真用液体現像剤。
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