JP3300366B2 - 標的生体分子に対するリガンドを設計するための核磁気共鳴の使用 - Google Patents

標的生体分子に対するリガンドを設計するための核磁気共鳴の使用

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、標的生体分子に結合するリガンドを設計す
るための二次元15N/1H NMR相関分光分析の使用方法に関
する。
発明の背景 新規薬物リード物質を見出すための最も有効な手段の
1つは、ある特定の標的分子に結合する化合物を見出す
(すなわち、その標的のリガンドを同定する)ために、
合成化学物質および天然産物のデータベースをランダム
スクリーニングすることである。この方法を用いると、
リガンドが標的分子と物理的結合を形成しうること又は
リガンドが標的分子の機能を改変させうることにより、
リガンドを特定することが可能である。
物理的結合を得ようとする場合には、典型的には、標
的分子を、リガンドであると疑われる1以上の化合物に
さらし、そして標的分子とそれらの化合物の1以上との
複合体が形成されたか否かを確認するためにアッセイを
行なう。当該技術分野ではよく知られているとおり、そ
のようなアッセイでは、複合体の形成を示す標的分子の
全体的な変化(例えば、サイズ、電荷、移動度の変化)
を調べる。
機能的変化を測定する場合には、標的分子と関連した
生物学的または化学的事象(例えば、酵素触媒反応、受
容体により媒介される酵素活性化)の測定を可能にする
アッセイ条件を確立する。変化を確認するためには、試
験化合物にさらす前およびさらした後に、標的分子の機
能を測定する。
既存の物理的および機能的アッセイを使用することに
より、治療用化合物の設計に使用する新規薬物リード物
質の特定に成功している。しかしながら、それらのアッ
セイに固有の制限があり、そのため、アッセイの精度、
信頼性および効率性が損なわれている。
既存のアッセイの主な欠点は、「偽陽性」の問題に関
連したものである。典型的な機能的アッセイにおいて
は、「偽陽性」は、アッセイを誘発するにもかかわらず
所望の生理的応答を惹起するのに有効でない化合物であ
る。典型的な物理的アッセイにおいては、「偽陽性」
は、例えば、標的に結合するもののそれが非特異的(例
えば、非特異的結合)である化合物である。特に、より
高濃度の推定リガンドをスクリーニングする場合には、
多数の化合物がそのような濃度で非特異的作用を及ぼす
ため、偽陽性が一般的に生じて問題となる。
同様に、既存のアッセイは、「偽陽性」の問題に悩ま
されている。「偽陽性」は、ある化合物が実際には標的
のリガンドであるにもかかわらず、アッセイにおいて陰
性の応答を与える場合に生じる。偽陰性は、典型的に
は、標的に対する化合物の結合定数または解離定数と比
べて高すぎるか(毒性を引き起こす)または低すぎる濃
度の試験化合物を使用するアッセイで生じる。
既存のアッセイのもう1つの主な欠点は、アッセイ自
体から得られる情報量が限定されていることである。該
アッセイは、標的分子に結合するか又は標的分子からの
応答を惹起する化合物を正確に同定するかもしれない
が、それらのアッセイからは、典型的には、標的分子上
の特異的結合部位に関する情報や、試験化合物と標的分
子との間の構造活性相関に関する情報が全く得られな
い。そのような情報が得られないことは、スクリーニン
グアッセイによりリード物質を同定してさらなる研究を
行なう場合には特に問題となる。
最近、巨大分子上の有機溶媒の結合部位を特定するた
めにX線結晶学を利用できることが示唆された。しかし
ながら、この方法では、標的上の種々の部位における相
対結合親和性を測定することは不可能である。それは、
高濃度の有機溶媒の存在下で変性しない非常に安定な標
的タンパク質に適用可能であるにすぎない。さらに、こ
のアプローチは、化学的に多様な多数の化合物を迅速に
試験するためのスクリーニング法ではなく、個々の結晶
構造を決定するのに長時間を要するため、少数の有機溶
媒の結合部位を位置決定することのみに限定されてしま
う。
標的生体分子の機能を改変する新規薬物の設計に利用
可能なリード物質を同定するために、化合物のスクリー
ニングが行われている。それらの新規薬物は、同定され
たリード物質の構造類似体であったり、あるいはそのよ
うな1以上のリード化合物の複合体である場合がある。
既存のスクリーニング法に固有の問題のため、それらの
方法は、新規薬物の設計にほとんど有用でない場合が多
い。
ある特定の標的と特異的に結合するリガンドを同定し
設計するために、迅速で効率的で正確で信頼しうる、化
合物の新規スクリーニング手段を提供することが、依然
として必要とされている。
発明の概要 本発明は、その第1の態様において、ある与えられた
標的生体分子に結合する化合物を設計し特定するための
方法を提供する。その方法は、a)二次元15N/1H NMR相
関分光法を用いて、該標的分子に対する第1リガンドを
特定し、b)二次元15N/1H NMR相関分光法を用いて、該
標的分子に対する第2リガンドを特定し、c)第1リガ
ンドおよび第2リガンドを該標的分子に結合させること
により、三成分複合体を形成させ、d)該三成分複合体
の三次元構造を決定し、それにより該標的分子上の第1
リガンドおよび第2リガンドの空間的配位を決定し、
e)工程(d)の空間的配位を維持したまま第1リガン
ドと第2リガンドとを連結させて、薬物を得る工程を含
む。
本発明のこの態様では、標的分子に結合する第1リガ
ンドおよび後続のリガンドを特定するために、後記の15
N/1H NMR相関分光スクリーニング法を用いる。標的分子
と2以上のリガンドとの複合体を形成させ、好ましくは
NMR分光法またはX線結晶学を用いて、その複合体の三
次元構造を決定する。その三次元構造を用いて、リガン
ド相互間の空間的配位および標的分子に対するリガンド
の空間的配位を決定する。
空間的配位に基づき、それらのリガンドを互いに連結
させて薬物を得る。有機化学の分野でよく知られている
結合角および結合長の情報の原理に基づき、リガンド相
互間の空間的配位および標的分子に対するリガンドの空
間的配位を維持することにより、適当な連結基の選択を
行なう。
したがって、本発明の分子設計の態様は、二次元15N/
1H NMR相関分光法を用いて該標的分子に対する第1リガ
ンド部分を特定し、二次元15N/1H NMR相関分光法を用い
て該標的分子に対する後続のリガンド部分を特定し、該
標的分子に対する第1リガンド部分および後続のリガン
ド部分の複合体を形成させ、該複合体の三次元構造を決
定し、それにより該標的分子上の第1リガンド部分およ
び後続のリガンド部分の空間的配位を決定し、そして該
リガンド部分の空間的配位を維持するように第1リガン
ド部分と後続のリガンド部分とを連結させて薬物を得る
ことを含む。
後続のリガンド部分の特定は、第1リガンドの不存在
下または存在下で行なうことができる(例えば、標的分
子は、第2リガンドの特定用の試験化合物にさらされる
前に第1リガンドに結合することができる)。
さらに本発明は、本発明の設計方法により設計された
薬物を含む。
ある与えられた標的生体分子に対する結合に関する化
合物のスクリーニングは、以下の工程を含む方法により
行なうことができる:a)まず、15Nで標識された標的分
子の第1二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成し、
b)該標識標的分子を化合物の1つまたは混合物にさら
し、c)つぎに、工程(b)において化合物の1つまた
は混合物にさらされた標識標的分子の第2二次元15N/1H
NMR相関スペクトルを作成し、そしてd)前記の第1二
次元15N/1H NMR相関スペクトルと第2二次元15N/1H NMR
相関スペクトルとを比較して、前記の第1スペクトルと
第2スペクトルとの相違のうち、該標的分子に結合して
いるリガンドである1以上の化合物の存在を示す相違を
確認する。
そのような方法が、工程(b)において2以上の化合
物(すなわち、化合物の混合物)をスクリーニングする
場合、および標的分子のみから作成した第1スペクトル
と、該混合物の存在下で標的分子から作成したスペクト
ルとの相違が認められる場合には、該混合物中に含有さ
れているどの特異的化合物が標的分子に結合しているの
かを特定するための追加的な工程を行なう。それらの追
加的な工程は、e)15Nで標識された標的分子を1個ず
つ該混合物の各化合物にさらし、f)各化合物に1個ず
つさらされた標識標的分子の二次元15N/1H NMR相関スペ
クトルを作成し、そしてg)工程f)で作成した各スペ
クトルと標的分子のみから作成した第1スペクトルとを
比較して、比較したそれらのスペクトルのいずれかにお
ける相違のうち、標的分子に結合しているリガンドであ
る化合物の存在を示す相違を確認する工程を含む。
二次元相関スペクトルにおける個々の15N/1Hシグナル
の化学シフト値は、標的分子中の原子団の公知の特異的
な位置(例えば、ポリペプチド中の或る特定のアミノ酸
残基のアミドまたはペプチド結合のN−H原子)に対応
するため、そのようなスクリーニング法により、ある特
定の標的分子に結合する化合物の同定が可能となるばか
りでなく、標的分子上の個々のリガンド結合部位の決定
も可能となる。
この方法により、所望により、ある与えられたリガン
ドおよびその標的分子についての解離定数KDを決定する
ことができ、これは、a)15Nで標識された標的分子の
第1二次元15N/1H NMR相関スペクトルを得、b)該標識
標的分子を種々の濃度のリガンドにさらし、c)工程
(b)における各濃度のリガンドの二次元15N/1H NMR相
関スペクトルを作成し、d)工程(c)からの各スペク
トルと工程(a)からの第1スペクトルとを比較し、そ
してe)それらの相違から式: により、標的分子とリガンドとの間の解離定数を計算す
る工程を実施することにより行なう。
該スクリーニング方法の有利な点の1つとして、標的
分子の1リガンドの解離定数を、該リガンドに既に結合
している第2分子の存在下で決定することが可能なこと
が挙げられる。これは、標的分子基質に対するリガンド
の結合を測定する「湿式化学(wet chemical)」分析方
法を用いる従来技術では一般には不可能である。
リガンドの解離定数を決定する方法は、第2結合リガ
ンドの存在下で実施することができる。したがって、15
Nで標識された標的分子をその第2リガンドに結合させ
た後で、その標的を試験化合物にさらす。
該スクリーニング方法は、1つのリガンドと標的分子
との結合の存在だけでなく、第2結合リガンドの存在下
における結合の個々の部位を決定しうるため、それらの
リガンドよりなる2以上の結合部分を含む薬物の設計が
可能となる。
本発明の好ましい実施態様においては、該分子設計方
法で使用する標的分子はポリペプチドである。ポリペプ
チド標的は、好ましくは、該ポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターで形質転換さ
れた宿主細胞から組換え形態で調製し、この調製は、組
換え的に産生されるポリペプチドが15Nで標識されるよ
うに、15Nの同化源を含有する培地中で該形質転換宿主
細胞を培養することにより行なう。
図面の簡単な説明 明細書の一部を構成する図面を以下に説明する。
図1は、均一に15Nで標識されたヒトパピローマウイ
ルスE2のDNA結合ドメインの15N/1H NMR相関スペクトル
を示す。該スペクトル(80コンプレックスポイント(co
mplex point)、4スキャン/fid)は、20mMリン酸塩(p
H6.5)、10mMジチオトレイトール(DTT)および10%重
水(D2O)中のE2の0.5mMサンプル上で得た。
図2は、最終試験化合物の添加の前(細い複数の輪郭
線)および後(太い1本の輪郭線)の均一に15Nで標識
されたヒトパピローマウイルスE2のDNA結合ドメインの
15N/1H NMR相関スペクトルを示す。化合物の最終濃度
は、1.0mMであった。他のすべての条件は、図1に記載
されているものと同じである。結合に際して有意な変化
を示す選択された残基が示されている。
図3は、第2試験化合物の添加の前(細い複数の輪郭
線)および後(太い1本の輪郭線)の均一に15Nで標識
されたヒトパピローマウイルスE2のDNA結合ドメインの
15N/1H NMR相関スペクトルを示す。化合物の最終濃度
は、1.0mMであった。他のすべての条件は、図1に記載
されているものと同じである。結合に際して有意な変化
を示す選択された残基が示されている。
図4は、試験化合物の添加の前(細い複数の輪郭線)
および後(太い1本の輪郭線)の均一に15Nで標識され
たストロメライシンの触媒ドメインの15N/1H NMR相関ス
ペクトルを示す。化合物の最終濃度は、1.0mMであっ
た。該スペクトル(80コンプレックスポイント、8スキ
ャン/fid)は、20mM TRIS(pH7.0)、20mM CaCl2および
10%D2O中のSCDの0.3mMサンプル上で得た。結合に際し
て有意な変化を示す選択された残基が示されている。
図5は、試験化合物の添加の前(細い複数の輪郭線)
および後(太い1本の輪郭線)の均一に15Nで標識され
たRAFペプチド(残基55〜132)のRas結合ドメインの15N
/1H NMR相関スペクトルを示す。化合物の最終濃度は、
1.0mMであった。該スペクトル(80コンプレックスポイ
ント、8スキャン/fid)は、20mMリン酸塩(pH7.0)、1
0mM DTTおよび10%D2O中のRAF断片の0.3mMサンプル上で
得た。結合に際して有意な変化を示す選択された残基が
示されている。
図6は、試験化合物の添加の前(細い複数の輪郭線)
および後(太い1本の輪郭線)の均一に15Nで標識され
たFKBPの15N/1H NMR相関スペクトルを示す。化合物の最
終濃度は、1.0mMであった。該スペクトル(80コンプレ
ックスポイント、4スキャン/fid)は、50mMリン酸塩
(pH6.5)、100mM NaClおよび10%D2O中のFKBPの0.3mM
サンプル上で得た。結合に際して有意な変化を示す選択
された残基が示されている。
図7は、E2のDNA結合ドメインのNMR由来の構造の第1
図示である。該対称二量体の2つの単量体は、上−下の
形態で配位しており、各単量体のN末端およびC末端が
示されている(一方の単位体についてはNおよびC、他
方の単量体についてはN*およびC*)。第1試験化合
物に対する結合に際して有意な化学シフトの変化(Δδ
1H)>0.04ppm;Δδ(15N)>0.1ppm)を示す残基
が、リボンで示されている。これらの残基はE2のDNA認
識ヘリックスに対応する。視覚化の助けとなるよう、選
択された残基に番号が付されている。
図8は、E2のDNA結合ドメインのNMR由来の構造の第2
図示である。該対称二量体の2つの単量体は、上−下の
形態で配位しており、各単量体のN末端およびC末端が
示されている(一方の単量体についてはNおよびC、他
方の単量体についてはN*およびC*)。第2試験化合
物に対する結合に際して有意な化学シフトの変化(Δδ
1H)>0.04ppm;Δδ(15N)>0.1ppm)を示す残基
が、リボンで示されている。これらの残基は、主に該二
量体の境界領域に位置する。視覚化の助けとなるよう、
選択された残基に番号が付されている。
図9は、ストロメライシンの触媒ドメインのNMR由来
の構造を図示する。N末端およびC末端が示されてい
る。試験化合物に対する結合に際して有意な化学シフト
の変化(Δδ(1H)>0.04ppm;Δδ(15N)>0.1ppm)
を示す残基が、リボンで示されている。これらは、S1′
結合部位の一部を形成しているか、あるいはこの部位に
空間的に接近している。視覚化の助けとなるよう、選択
された残基に番号が付されている。
図10は、ストロメライシンの触媒ドメインに結合した
第1リガンドおよび第2リガンドの三成分複合体のリボ
ンプロット(ribbon plot)を示す。
図11は、NMR結合データと、FKBPのNMR由来の三次元構
造の外観との相関性を示す。
図12は、FKBP、アスコマイシン(ascomycin)の断片
類似体およびベンズアニリド化合物を含む三成分複合体
のリボンプロットを示す。
発明の詳細な説明 本発明は、治療標的分子に結合するリガンドを設計す
るための迅速かつ効率的な方法を提供する。
リガンドの特定は、データベース中のリガンド化合物
の添加の際の標的分子の化学シフトの変化を核磁気共鳴
(NMR)分光法で追跡することにより、標的分子(例え
ば、タンパク質、核酸など)に対する分子の結合を調べ
ることにより行なう。
標的分子の化学シフト変化をリガンド濃度の関数とし
て分析することにより、生体分子に対するリガンドの結
合親和性も決定する。
各リガンドに対する結合部位の位置は、リガンドの添
加の際に変化する生体分子の化学シフトの分析、および
リガンドと生体分子と間の核オーバーハウザー効果(NO
E)から決定する。
ついで、そのような方法により特定したリガンド間の
構造/活性相関に関する情報を用いて、標的分子に対す
るリガンドとして機能する新規薬物を設計することがで
きる。例えば、ある与えられた標的分子に対する2以上
のリガンドを特定する場合は、それらのリガンドと標的
分子との複合体を形成させる。リガンド相互間の空間的
配位および標的分子に対するリガンドの空間的配位を、
三次元構造から導き出す。その空間的配位は、その2つ
のリガンドの結合部位間の距離およびそれらの部位に対
する各リガンドの配位を定める。
その空間的配位のデータを用いて、それらの2以上の
リガンドを互いに連結させて新たなリガンドを形成させ
る。連結は、リガンド相互間の空間的配位および標的分
子に対するリガンドの空間的配位を維持するように行な
う。
本発明のNMRに基づく知見方法および設計方法には多
数の利点がある。まず第1に、本発明の方法は、標的分
子に対する結合を直接測定することによりリガンドを特
定するため、偽陽性の問題が有意に減少する。本発明
は、標的分子に対する特異的結合部分を特定するため、
高濃度の標的分子に対する化合物の非特異的結合から生
じる偽陽性の問題がなくなる。
第2に、本発明方法は、広範な解離定数を有する標的
分子に特異的に結合する化合物を特定することができる
ため、偽陰性の問題が有意に減少する。化合物の解離定
数および結合定数が、本発明方法で実際に測定可能であ
る。
また、該知見方法および設計方法から各リガンドにつ
いて得られる多種多様で詳細なデータから、本発明の他
の利点が得られる。
結合リガンドの位置は、リガンドの添加に際して変化
する標的分子の化学シフトの分析、およびリガンドと生
体分子との間の核オーバーハウザー効果(NOE)から決
定することができるため、第2リガンドの結合は、標的
に既に結合している第1リガンドの存在下で測定するこ
とができる。種々のリガンドの結合部位を同時に特定で
きるため、1)リガンド間の負および正の協同的結合を
定め、そして2)リガンド相互間およびそれらの結合部
位に対するリガンドの適切な配位を維持しながら2以上
のリガンドを連結させて単一の化合物とすることにより
新規薬物を設計することが、当業者において可能とな
る。
さらに、複数の結合部位が存在する場合には、標的分
子の化学シフトの変化をリガンドの添加濃度の関数とし
て分析することにより、種々の結合部位に対する個々の
結合部分の相対親和性を測定することができる。ある与
えられた化合物の多数の構造類似体を同時にスクリーニ
ングすることにより、リガンドに関する詳細な構造/活
性相関が得られる。
本発明は、その一部において、特異的標的分子に結合
するリガンドを特定するための、化合物のスクリーニン
グ方法を提供する。その方法は、a)15Nで標識された
標的分子の第1二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成
し、b)該標識標的分子を1以上の化合物にさらし、
c)工程(b)の化合物にさらされた標識標的分子の第
2二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成し、そして
d)前記の第1スペクトルと第2スペクトルとを比較し
て、それらの2つのスペクトルの相違のうち、該標的分
子に結合している1以上のリガンドの存在を示す相違が
存在するか否かを判定する工程を含む。
本発明の方法が、工程(b)において2以上の化合物
をスクリーニングする場合、およびスペクトル間の相違
が認められる場合には、どの特異的化合物が標的分子に
結合しているのかを特定するために追加的な工程を実施
する。それらの追加的な工程は、それぞれの個々の化合
物の二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成し、そして
各スペクトルと第1スペクトルとを比較して、比較した
それらのスペクトルのいずれかにおける相違のうち、該
標的分子に結合しているリガンドの存在を示す相違が存
在するか否かを判定する工程を含む。
本発明の方法においては、15Nで標識された任意の標
的分子を使用することができる。医化学におけるタンパ
ク質の重要性の観点から、好ましい標的分子はポリペプ
チドである。標的分子を15Nで標識することは、当該技
術分野でよく知られている任意の手段を用いて行なうこ
とができる。好ましい実施態様においては、形質転換宿
主細胞を使用して、標的分子を組換え形態で調製する。
特に好ましい実施態様においては、標的分子はポリペプ
チドである。高分解能NMRスペクトルを与え部分的また
は均一に15Nで標識可能な任意のポリペプチドを使用す
ることができる。均一に15Nで標識された代表的なポリ
ペプチド標的分子の調製については、後記の実施例で説
明する。
均一に15Nで標識された適量のポリペプチドを調製す
るための好ましい手段は、そのポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを含有する発現ベクターで宿主細胞
を形質転換し、15Nの同化源を含有する培地中で該形質
転換細胞を培養することである。15Nの同化源は、当該
技術分野でよく知られている。好ましいそのような起源
は、15NH4Clである。
特異的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを
含有する発現ベクターを調製するための手段は、当該技
術分野でよく知られている。同様に、それらのベクター
で宿主細胞を形質転換するための手段、およびポリペプ
チドを発現させるためにそれらの形質転換細胞を培養す
るための手段も、当該技術分野でよく知られている。
該スクリーニング方法は、標識された標的分子の二次
15N/1H NMR相関スペクトルを作成または取得すること
から始まる。二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成す
るための手段は、当該技術分野においてよく知られてい
る[例えば、D.A.Eganら,Biochemistry,32:8,p.1920−1
927(1993);Bax,A.,Grzesiek,S.,Acc.Chem.Res.,26:4,
p.131−138(1993)を参照されたい]。
本発明のスクリーニング方法において典型的に記録さ
れるNMRスペクトルは、二次元15N/1H異種核単量子相関
(heteronuclear single quantum correlation)(HSQ
C)スペクトルである。タンパク質のバックボーンのア
ミドに対応する15N/1Hシグナルは通常は十分に分解され
るため、個々のアミドについての化学シフトの変化は、
容易にモニターされる。
そのようなスペクトルの作成においては、勾配を損な
うことにより、大きな水のシグナルを抑制する。多数の
化合物(例えば、合成的または天然に存在する小さな有
機化合物のデータベース)のNMRデータの取得を容易に
するために、サンプル変換器を使用する。サンプル変換
器を使用することにより、合計60個のサンプルを無人で
試験することができる。したがって、典型的な取得(ac
quisition)パラメーター(4スキャン/自由誘導減衰
(fid))を用いて、100〜120個のHSQCスペクトルを24
時間以内に得ることができる。
NMRデータの処理を容易にするために、コンピュータ
ープログラムを使用して複数の二次元NMRデータの組を
転送し自動的に処理する(二次元NMRデータを自動的に
フェイズ(phase)するためのルーチーン(routine)を
含む)。個々のHSQCスペクトルが迅速に観測され、添加
化合物用のビヒクル(DMSO)のみを含有し添加化合物を
含有しない対照サンプルのHSQCスペクトルと比較される
ようにデータをフォーマットすることにより、データの
分析を容易に行なうことができる。そのような二次元15
N/1H NMR相関スペクトルの作成の手段については、後記
の実施例において詳細に説明する。
15Nで標識された標的分子(ポリペプチド)の代表的
な二次源15N/1H NMR相関スペクトルを、図1(E2タンパ
ク質のDNA結合ドメイン)に示す。
第1スペクトルを取得した後、標識標的分子を、1以
上の試験化合物にさらす。2以上の試験化合物を同時に
試験しょうとする場合には、化合物(例えば、複数の小
分子)のデータベースを使用することが好ましい。その
ような分子を、典型的には、過重水素化ジメチルスルホ
キシドに溶解させる。データベース中の化合物は、所望
の必要性に応じて、販売業者から購入したり調製するこ
とができる。
個々の化合物は、とりわけ、サイズ(分子量=100〜3
00)および分子の多様性に基づいて選択することができ
る。非常に多様な結合部位と相互作用する化合物を見出
す可能性を最大にするために、集められている化合物
は、種々の形状(例えば、平らな芳香族環、ひだ状の脂
肪族環、単結合、二重結合または三重結合を有する直鎖
状または分枝鎖状の脂肪族化合物)および多様な官能基
(例えば、カルボン酸、エステル、エーテル、アミン、
アルデヒド、ケトンおよび種々のヘテロ環)を有するこ
とが可能である。
該NMRスクリーニング方法は、約0.1〜約10.0mMの範囲
のリガンド濃度を用いる。これらの濃度においては、酸
性または塩基性の化合物が、緩衝化タンパク質溶液のpH
を有意に変化させる可能性がある。化学シフトは、直接
的な結合相互作用だけでなく、pHの変化にも敏感であ
る。したがって、リガンド結合から生じたのではなくpH
の変化から生じた「偽陽性」の化学シフト変化が観察さ
れる可能性がある。したがって、リガンドの添加に際し
て緩衝溶液のpHが変化しないように保証する必要があ
る。pHを制御する1つの手段を、以下に記載する。
化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の1.0お
よび0.1Mの保存溶液として263゜Kで保存する。これが必
要なのは、水溶液中でのリガンドの溶解性が限られてい
るからである。DMSO溶液のpHを直接調節することは不可
能である。さらに、HClおよびNaOHはDMSO中で水溶性の
塩を形成するため、別の酸および塩基を使用しなければ
ならない。以下のアプローチにより安定なpHが得られる
ことが判明している。
DMSO中の1.0Mの保存溶液を、50mMリン酸塩(pH7.0)
中で1:10に希釈する。その希釈されたアリコート溶液の
pHを測定する。該アリコートのpHが変化しなければ(す
なわち、7.0で維持されていれば)、該DMSO保存溶液を
1:10に希釈して0.1M溶液を作製することにより使用溶液
を調製し、その溶液を保存する。
希釈されたアリコートのpHが7.0未満の場合は、その
1.0Mの保存DMSO溶液にエタノールアミンを加え、ついで
その保存溶液をリン酸緩衝液で1:10に希釈して、もう1
つのアリコートを調製し、該アリコートのpHを再検査す
る。
該希釈アリコートのpHが7.0を超えている場合は、そ
の1.0Mの保存DMSO溶液に酢酸を加え、ついでその保存溶
液をリン酸緩衝液で1:10に希釈して、もう1つのアリコ
ートを調製し、該アリコートのpHを再検査する。
エタノールアミンおよび酢酸はDMSOに可溶性であり、
適当な当量を加えることにより、水性緩衝液への転移の
際にpHが変化しないことが保証されるようにする。pHの
調節は相互に影響し合う過程であり、所望の結果が得ら
れるまで、その調節を繰返す。
この方法を1.0M保存溶液の1:10の希釈液(100mMリガ
ンド)で実施することにより、実験で用いるより低い濃
度(0.1〜10mM)または異なる/より弱い緩衝系におい
てpH変化が認められないように保証されていることに注
目されたい。
15Nで標識された標的分子を1以上の試験化合物にさ
らした後、第2二次元15N/1H NMR相関スペクトルを作成
する。その第2スペクトルは、前記と同様にして作成す
る。ついで、第1スペクトルと第2スペクトルとを比較
して、その2つのスペクトルの間の相違の有無を判定す
る。リガンドの存在を示す第2二次元15N/1H NMR相関ス
ペクトルにおける相違は、標的分子中の15N標識部位に
対応する。それらの相違は、当該技術分野でよく知られ
ている標準的な方法により判定する。
例示として、図2、3、4、5および6は、種々の標
的分子を種々の試験化合物にさらす前およびさらした後
の相関スペクトルの比較を示す。これらの研究の実施方
法の詳細については、実施例2および3に記載する。
第2二次元15N/1H相関スペクトルの特定のシグナル
が、標的分子中の特異的な窒素およびプロトン原子(例
えば、タンパク質中のアミノ酸残基の特定のアミド)に
対応する。例えば、図2からは、試験化合物にさらされ
たE2のDNA結合ドメインの二次元15N/1H相関スペクトル
化学シフトが、15(I15)、21(Y21)、22(R22)およ
び23(L23)位の残基で生じたことが認められる。
図2からは、リガンドの結合には、15位のイソロイシ
ン(Ile)残基、21位のチロシン残基、22位のアルギニ
ン(Arg)残基および23位のロイシン(Leu)残基が関与
していたことが認められる。このように、本発明の方法
はまた、リガンドと標的分子との間の特異的結合部位を
同定するために使用することができる。
化合物の添加に際して変化する個々のアミドシグナル
から、個々の化合物に対する結合を引き起こすタンパク
質の領域を同定する。十分に確立されている種々の異種
核多次元NMR実験を用いる標準的な方法により、これら
のシグナルをタンパク質の個々のアミド基に帰属する。
タンパク質により強固に結合する分子を見出すため
に、該タンパク質に結合した最初のリード物質に関する
最初のスクリーニングおよび/または構造情報からの構
造/活性相関に基づいて、試験用の分子を選択する。例
えば、最初のスクリーニングでは、すべて芳香族環を含
有するリガンドが同定されるかもしれない。したがっ
て、2回目のスクリーニングでは、試験化合物として他
の芳香族分子を使用することになろう。
後記の実施例2に記載するとおり、ストロメライシン
の触媒ドメインに対する結合に関する最初のスクリーニ
ングアッセイにおいて、リガンドとして2つのビアリー
ル化合物を特定した。したがって、2回目のスクリーニ
ングでは、試験化合物として一連のビアリール誘導体を
使用した。
第2組の試験化合物はまず、1mMの濃度でスクリーニ
ングし、親和性を示す化合物の結合定数を測定する。つ
いで、タンパク質に結合する最良のリード物質を、機能
的アッセイで得られた結果と比較する。適当なリード物
質である化合物を化学修飾して、新規医薬物質を見出す
目的に適った類似体を製造する。
また、本発明は、標的分子と該標的分子に結合するリ
ガンドとの間の解離定数の決定方法を提供する。その方
法は、a)15Nで標識された標的分子の第1二次元15N/1
H NMR相関スペクトルを作成し、b)該標識標的分子を
種々の濃度のリガンドで滴定し、c)工程(b)からの
各濃度のリガンドの第1二次元15N/1H NMR相関スペクト
ルを作成し、d)工程(c)からの各スペクトルを、工
程(a)からの第1スペクトルおよび工程(c)からの
他のすべてのスペクトルの両方と比較して、それらのス
ペクトルにおける相違をリガンド濃度の変化の関数とし
て定量し、そしてe)該標的分子と該リガンドとの間の
解離定数(KD)をそれらの相違から計算する工程を含
む。
医化学における重要性の観点から、そのような方法で
使用するのに好ましい標的分子はポリペプチドである。
1つの好ましい実施態様においては、リガンドの解離定
数の決定方法は、第2リガンドの存在下で実施すること
ができる。この実施態様においては、15Nで標識された
標的分子をその第2リガンドに結合させてから、その標
的を試験化合物にさらす。
結合定数または解離定数は、タンパク質の15N/1H化学
シフトをリガンドの濃度の関数として追跡することによ
り測定することができる。既知濃度([P])の標的
分子を、既に同定されている既知濃度([L])のリ
ガンドと混合し、二次元15N/1H相関スペクトルを得た。
このスペクトルから、実測化学シフト値(δobs)を得
る。標的分子の飽和点まで種々の濃度のリガンドについ
て、これらの工程を繰返し、可能であれば、飽和に関す
る限界化学シフト値(δsat)を測定する。
標的分子の飽和が達成される場合には、標的分子に対
する或る特定のリガンドの結合に関する解離定数を、
式: (式中、[P]は標的分子の全モル濃度、[L]
リガンドの全モル濃度、xは結合種のモル濃度を示す)
を用いて計算する。xの値は、式: (式中、δfreeは遊離種の化学シフト、δobsは実測化
学シフト、Δは飽和に関する限界化学シフト値(δsa
t)とリガンドを有さない標的分子の化学シフト(δfre
e)との差)から求められる。
ついで、標準的な曲線当てはめによる統計的方法を用
いて実測データに最適な値が得られるまでその値を変化
させることにより、解離定数を決定する。δsatが直接
分からない場合には、KDおよびδsatの両方を変化さ
せ、同じ曲線当てはめ法に付す。
種々の標的分子に対する種々のリガンドの解離または
結合親和性を決定するための前記の方法の使用は、後記
の実施例2および3で説明する。
好ましい標的分子、スペクトルの作成のための手段、
およびスペクトルの比較のための手段は、前記と同じで
ある。
本発明は、その主要な態様において、特異的な標的分
子に結合する2以上の分子を互いに連結させることによ
り、該標的分子に結合する新規リガンドを設計する方法
を提供する。
その設計方法の最初の工程は、特異的な標的分子に結
合する2以上のリガンドの特定である。そのようなリガ
ンドの特定は、前記の二次元15N/1H NMR相関分光法を用
いて行なう。
標的分子に異なる部位で結合する2以上のリガンドを
特定したら、標的分子とリガンドとの複合体を形成させ
る。2つのリガンドが存在する場合には、その複合体は
三成分複合体となる。3以上のリガンドが存在する場合
には、四成分および他の複合体が形成される。
複合体は、標的分子と種々のリガンドとを、それらの
リガンドが標的に結合するのを許容する条件下で同時に
または連続的に混合することにより形成させる。それら
の条件を決定するための手段は、当該技術分野でよく知
られている。
その複合体が形成したら、その三次元構造を決定す
る。三次元構造を決定する任意の手段を用いることがで
きる。そのような方法は、当該技術分野でよく知られて
いる。代表的で好ましい方法は、NMRおよびX線結晶学
である。ストロメライシンの触媒ドメインに結合した2
つのリガンドの三次元構造を決定するための三次元二重
および三重共鳴NMRの使用について、後記の実施例4で
詳細に説明する。
三次元構造の分析から、リガンド相互間の空間的配位
および標的分子のコンフォメーションに対するリガンド
の空間的配位が明らかとなる。まず第1に、標的分子に
対する各リガンドの空間的配位から、結合に直接関与す
るリガンド部分(すなわち、標的結合部位と相互作用す
る部分)の特定、および結合部位から突出しており後続
の連結操作において使用しうる各リガンドの部分の特定
が可能となる。
第2に、空間的配位データを用いて、各リガンドのお
互いに対する位置が決定される。すなわち、空間的に配
位しているリガンド間の不連続的な距離を計算すること
ができる。
第3に、空間的配位データはまた、リガンドおよび標
的の間の三次元的関係を明らかにする。したがって、リ
ガンド間の絶対的距離の計算に加え、それらのリガンド
の角配位(angular orientations)も決定することがで
きる。
ついで、リガンドおよび標的の空間的配位に関する知
見を用いて、2以上のリガンドを互いに連結しそれらの
全リガンドを含有する単一体にするためのリンカーを選
択する。リンカーの設計は、単一体の各リガンド部分を
標的に対して適当な配位で維持するのに必要な距離およ
び角配位に基づく。
適当なリンカーの三次元コンフォメーションは、当業
者においてよく知られているか、あるいは容易に確認す
ることができる。任意の範囲の距離および三次元投影
(projection)にわたり2以上のリガンドを互いに連結
することは理論的には可能であるが、実際には、距離お
よび投影を或る程度限定するのが好ましい。好ましい実
施態様においては、約15オングストローム(Å)未満、
より好ましくは約10Å未満、より一層好ましくは約5Å
未満の距離により、それらのリガンドを分離する。
適当なリンカー基を特定したら、それらのリガンド
を、そのリンカーで連結する。連結するための手段は、
当該技術分野においてよく知られており、リガンドおよ
びリンカー基自体の化学構造に応じて決まる。標的分子
に対する結合に直接関与していないリガンド部分を用い
て、それらのリガンドを互いに連結する。
ストロメライシンのタンパク質分解活性を抑制する薬
物(これは、本発明の方法を用いて設計された薬物であ
る)の設計については、後記の実施例4で詳細に説明す
る。
以下の実施例では、本発明の好ましい実施態様を例示
するが、これらの実施例は、本明細書および請求の範囲
を何ら限定するものではない。
実施例1 均一に15で標識された標的分子の調製 A.ストロメライシン ヒトストロメライシンは、447アミノ酸のタンパク質
であり、軟骨のタンパク質分解に関与していると考えら
れている。軟骨のタンパク質分解は、関節軟骨の分解的
喪失を引き起こし、それにより、骨関節症および慢性関
節リウマチの両方で認められる関節機能不全を引き起こ
すと考えられている。該タンパク質は、N末端の潜在的
なプロペプチドドメイン、ホモペキシンと相同なC末端
ドメイン、および内部の触媒ドメインを含む一連のドメ
インを有する。
約80アミノ酸のN末端前配列の除去により該プロ酵素
が45kDaの成熟酵素に変換されることが、研究で示され
ている。さらに、C末端ホモペキシン相同ドメインは、
触媒ドメインの適切なフォールディングまたは阻害物質
との相互作用に必要でないことが、研究で示されている
(例えば、A.I.Marcy,Biochemistry,30:6476−6483(19
91)を参照されたい)。したがって、ストロメライシン
の阻害物質に結合しストロメライシンの阻害物質と同様
に作用する可能性を有する化合物の同定に使用するタン
パク質断片として、ストロメライシンの81〜256アミノ
酸残基の内部セグメントを選択した。
本発明の方法を用いるために、ペプチドのバックボー
ンが同位体的に15Nに富むストロメライシンの81〜256の
断片(配列番号1)を調製することが必要であった。こ
れは、タンパク質断片の産生をコードするプラスミドを
大腸菌(E.coli)株中に挿入し、その遺伝的に修飾され
た細菌株を、15NNH4Clおよび13C−グルコースに富む制
限培地中で増殖させることにより行なった。
同位体的に富化されたタンパク質断片を、培地から単
離し、精製し、ついで、試験化合物の結合を評価するた
めの基礎として使用した。これらの方法の手順を、以下
に説明する。
Clarkら,Archiv.Biochem.and Biophys.,241:36−45
(1985)に記載されている方法により、ヒト皮膚繊維芽
細胞(ATCC No.CRL 1507)を増殖させ誘導した。Promeg
a RNAgents 全RNA単離系キット(Cat.#Z5110,Promega
Corp.,2800 Woods Hollow Road,Madison,WI 53711−53
99)を製造業者の指示に従い使用して、細胞1gから全RN
Aを単離した。該RNAの1μgを80℃で5分間熱変性さ
せ、ついでGeneAmp RNA PCRキット(Cat.#N808−001
7,Applied Biosystems/Perkin−Elmer,761 Main Avenu
e,Norwalk,CT 06859−0156)を製造業者の指示に従い使
用して逆転写PCRに付した。
第1プライマー(A)GAAATGAAGAGTCTTCAA(配列番号
3)および(B)GCGTCCCAGGTTCTGGAG(配列番号4)を
使用し、94℃、2分;45℃、2分;および72℃、3分の3
5サイクルでネスティドPCRを行なった。この後、内側プ
ライマー(C)ATACCATGGCCTATCCATTGGATGGAGC(配列番
号5)および(D)ATAGGATCCTTAGGTCTCAGGGGAGTCAGG
(配列番号6)を使用し直前に記載したのと同じ条件下
で30サイクルで再増幅して、ヒトストロメライシンのア
ミノ酸残基1〜256をコードするDNAを得た。
ついでPCR断片を、PCRクローニングベクターpT7Blue
(R)(Novagen,Inc.,597 Science Drive,Madison,WI
53711)中に製造業者の指示に従いクローニングした。
得られたプラスミドをNco IおよびBamH Iで切断し、ス
トロメライシン断片をNovagene発現ベクターpET3d(Nov
agen,Inc.,597 Science Drive,Madison,WI 53711)中に
再び製造業者の指示に従いサブクローニングした。
アミノ酸残基81〜256および開始メチオニンをコード
する成熟ストロメライシン発現構築物を、PCR増幅によ
り1〜256発現構築物から作製した。得られたPCR断片
を、前記と同様にして、まずNovagen pT7Blue(R)ベ
クター中にクローニングし、ついでNovagene pET3dベク
ター中に製造業者の指示に従いサブクローニングして、
プラスミド(pETST−83−256)を得た。この最終プラス
ミドは、ヒトストロメライシンの配列において2アミノ
酸だけ手前の81位から始まるペプチド配列を本プラスミ
ドがコードすることを除き、Qi−Zhuangら,Biochemistr
y,31:11231−11235(1992)に記載されているものと同
一である。
プラスミドpETST−83−256を大腸菌(E.coli)株BL21
(DE3)/pLysS(Novagen,Inc.,597 Science Drive,Madi
son,WI 53711)中に製造業者の指示に従い形質転換し
て、発現株BL21(DE3)/pLysS/pETST−255−1を得た。
1.698gのNa2HP4・7H2O、0.45gのKH2PO4、0.075gのNaC
l、0.150gの15NH4Cl、0.300の13C−グルコース、300μ
Lの1M MgSO4水溶液および15μlのCaCl2水溶液を150mM
の脱イオン水に溶解することにより予備培養培地を調製
した。
得られた予備培養培地溶液を滅菌し、無菌の500mLバ
ッフルフラスコへ移した。予備培養培地に細菌株を接種
する直前に、100%エタノール中のクロラムフェニコー
ル34mg/mLを含有する溶液150μlおよびアンピシリン20
mg/mLを含有する溶液1.5mLを該フラスコ内容物に加え
た。
ついで該フラスコ内容物に、遺伝的に修飾された大腸
菌(E.coli)株BL21(DE3)/pLysS/pETST−255−1のグ
リセロールストック1mLを接種した。0.65の光学密度が
認められるまで、該フラスコ内容物を37℃で振とう(22
5rpm)した。
113.28gのNa2HP4・7H2O、30gのKH2PO4、5gのNaClおよ
び10mLの1%DF−60消泡剤を9604mLの脱イオン水に溶解
することにより、発酵栄養培地を調製した。この溶液を
New Brunswick Scientific Micros Fermenter(Edison,
NJ)に入れ、121℃で40分間滅菌した。
該発酵培地に接種する直前に、発酵容器内容物に以下
の前滅菌成分を加えた:100mLの10%15NH4Cl水溶液、100
mLの10%13C−グルコース水溶液、20mLの1M MgSO4水溶
液および1mLの1M CaCl2水溶液、5mLの塩酸チアミン(10
mg/mL)水溶液、100%エタノール中に34mg/mLのクロラ
ムフェニコールを含有する溶液10mL、および該クロラム
フェニコール溶液に溶解した1.9gのアンピシリン。得ら
れた溶液のpHを、4N H2SO4水溶液を加えることによりpH
7.00に調節した。
前記振とうフラスコスケール法からの大腸菌(E col
i)株BL21(DE3)/pLysS/pETST−255−1の予備培養
を、該発酵槽の内容物に加え、0.48の光学密度が得られ
るまで細胞増殖を進行させた。この過程においては、必
要に応じて4N H2SO4または4N KOHを加えることにより、
発酵槽の内容物をpH7.0に自動的に維持した。溶存酸素
含量が55%未満に下降すれば振とう速度を増加させるカ
スケードループにより、発酵槽の内容物の溶存酸素含量
を55%空気飽和以上に維持した。空気は、7標準リット
ル/分(SLPM)で発酵槽内容物に供給し、培養温度は、
この過程の全体にわたり37℃に維持した。
17,000×g、4℃で10分間の遠心分離により該細胞を
収穫し、得られた細胞ペレットを集め、−85℃に保存し
た。湿潤細胞収量は3.5g/Lであった。ドデシル硫酸ナト
リウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
による細胞ライゼートの可溶性および不溶性画分の分析
から、15N−ストロメライシンの約50%が可溶性相中に
存在することが明らかとなった。
前記のとおり調製した同位体標識ストロメライシン断
片を、Yeら,Biochemistry,31:11231−11235(1992)に
記載されている方法の変法を用いて精製した。
収穫された細胞を、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2、25単位
/mLのBenzonase酵素、および4−(2−アミノエチ
ル)−ベンゼンスルホニルフルオリド(「AEBSF」)、L
eupeptin 、Aprotinin およびPepstatin (すべて1
μg/mLの濃度であり、AEBSF、Leupeptin 、Aprotinin
およびPepstatin は、American International Chem
ical,17 Strathmore Road,Natick,MA 01760から入手可
能である)よりなる阻害物質混合物を含有する20mM Tri
s−HCl緩衝液(pH8.0)アジ化ナトリウム溶液に懸濁し
た。
得られた混合物を穏やかに1時間攪拌し、ついで4℃
に冷却した。ついで該細胞を、50%衝撃周波を用いる音
波処理により破壊した。得られたライゼートを14,000rp
mで30分間遠心分離した、後続の加工(以下を参照され
たい)のために不溶性画分のペレットを−80℃で凍結し
た。
固体硫酸アンモニウムを上清に20%の飽和点まで加
え、得られた溶液を700mLフェニルセファロースファー
ストフロー(「Q−Sepharose FF」)カラム(Pharmaci
a Biotech.,800 Centennial Ave.,P.O.Box 1327,Piscat
away,NJ 08855)上にローディングした。ローディング
前に、該セファロースカラムを50mM Tris−HCl緩衝液
(4℃でpH7.6)、5mM CaCl2および1M(NH42SO4で平
衡化した。ローディングされたカラムを、Tris−HCl緩
衝液(pH7.6)中で水性(NH42SO4の濃度を減少(1か
ら0Mまで)させ水性CaCl2の濃度を増加(5から20mMま
で)させる直線勾配を溶出した。
溶出液の活性画分を、Amicon stirred cell(Amicon,
Inc.,72 Cherry Hill Drive,Beverly,MA 01915)中で集
め濃縮した。濃縮されたサンプルを、Q−Sepharose FF
カラム、50mM Tris−HCl緩衝液(4℃でpH8.2)および1
0mM CaCl2と併用する開始緩衝液中で一晩透析した。
ついで、透析されたサンプルをQ−Sepharose FFカラ
ム上にローディングし、開始緩衝液および200mM NaClを
含む直線勾配で溶出した。同位体標識されたストロメラ
イシン断片の精製可溶性画分を濃縮し、4℃で保存し
た。
ペレットを8Mグアニジン−HCl中で可溶化した。溶液
を20,000rpmで20分間遠心分離し、50mM Tris−HCl(pH
7.6)、10mM CaCl2、0.5mM ZnCl2、およびAEBSF、Leupe
ptin 、Aprotinin およびPepstatin (すべて1μg/
mLの濃度)の阻害物質カクテルを含むフォールディング
緩衝液中に上清を滴下した。フォールディング緩衝液の
容量は、上清の10倍であった。上清とフォールディング
緩衝液との混合物を、20,000rpmで30分間遠心分離し
た。
この遠心分離からの上清を4℃で保存し、該ペレット
を前記のグアニジン−HCl中での可溶化、緩衝液中での
リフォールディングおよび遠心分離の工程に2回付し
た。その3回の遠心分離のそれぞれからの最終上清を合
わせ、固体硫酸アンモニウムを20%飽和の点まで加え
た。このように該不溶性画分に由来する得られた溶液
を、前記の可溶性画分の場合と同様にしてフェニルSeph
aroseおよびQ−Sepharose精製に付した。
精製された可溶性および不溶性画分を合わせて、精製
された同位体標識ストロメライシン81−256断片の約1.8
mg(もとの細胞ペーストの1グラム当たり)を得た。
B.ヒトパピローマウイルス(HPV)E2阻害物質 パピローマウイルスは、尖圭コンジローマおよび子宮
頚癌を引き起こす小さなDNAウイルスのファミリーであ
る。HPVのE2タンパク質は、ウイルス転写を調節し、ウ
イルス複製に必要である。したがって、DNAに体するE2
の結合を遮断する分子は、HPVに対する有用な治療剤と
なる可能性がある。DNAでなくタンパク質を標的として
選択したのは、DNAでなくタンパク質に結合する、より
高度の選択性を有する物質が見出されると予想されたか
らである。
ヒトパピローマウイルスE2のDNA結合ドメインを、E2
をコードする完全長DNAからPCRを用いてクローニング
し、T7発現系を用いて細菌中で過剰発現させた。15N標
識塩化アンモニウムを含有する最少培地上で増殖させた
細菌から、均一に15Nで標識されたタンパク質を単離し
た。緩衝液(50mM Tris、100mM NaCl、1mM EDTA、pH=
8.3)で前平衡化したS−sepharose FastFlowカラムを
使用して、該タンパク質を細菌細胞ライゼートから精製
した。
該タンパク質を、緩衝液中の100〜500mM NaClの直線
勾配で溶出し、プールし、pH7.0でMono−Sカラムに適
用した。該タンパク質を塩勾配(100〜500mM)で溶出
し、0.3mMまで濃縮し、TRIS(50mM、pH=7.0の緩衝化H2
O/D2O(9/1)溶液、アジ化ナトリウム(0.5%)を含
有)中に交換した。
C. RAF RAFタンパク質の均一に15Nで標識されたRas結合ドメ
インを、Emersonら,Biocemistry,34(21):6911−6918
(1995)に記載されているとおりに調製した。
D. FKBP 均一に15Nで標識された組換えヒトFK結合タンパク質
(FKBP)を、Loganら,J.Moi.Biol.,236:637−648(199
4)に記載されているとおりに調製した。
実施例2 二次元15N/1H NMR相関分光分析による化合物のスクリー
ニング ストロメライシンの触媒ドメインを、実施例1の方法
に従い調製した。該スクリーニングアッセイで使用した
タンパク質溶液は、H2O/D2O(9/1)TRIS緩衝化溶液(50
mM、pH=7.0)中に、均一に15Nで標識されたストロメラ
イシンの触媒ドメイン(0.3mM)、アセトヒドロキサム
酸(500mM)、CaCl2(20mM)およびアジ化ナトリウム
(0.5%)を含有するものであった。
三重共鳴プローブおよびBrukerサンプル変換器を備え
たBruker AMX500 NMR分光計上、29℃で二次元15N/1H NM
Rスペクトルを作成した。15N/1H HSQCスペクトルは、20
00Hz(15N,t1)および8333Hz(1H,t2)の掃引幅を用い
て80x1024のコンプレックスポイントとして得た。デー
タ収集においては、スキャン間で1秒の遅延および1自
由誘導減衰(fid)当たり8スキャンを用いた。すべて
のNMRスペクトルは、社内で書かれたソフトウェアを使
用してSilicon Graphicsコンピューター上で処理し分析
した。
前記のとおり、15N標識ストロメライシン標的分子に
ついて第1二次元15N/1H NMR相関スペクトルを得た。つ
いでストロメライシン標的を、試験化合物のデータベー
スにさらした。該化合物の保存溶液を100mMおよび1Mと
した。さらに、1サンプル当たり8〜10個の化合物を各
化合物に関して100mMの濃度で含有する組合せライブラ
リーを調製した。
1M保存溶液のpHを酢酸およびエタノールアミンで調節
して、100mMリン酸緩衝溶液(pH=7.0)による1/10の希
釈に際してpH変化が認められないようにした。小さなpH
変化が生体分子の化学シフトを変化させ、NMRデータの
解釈を複雑にすることがあるため、pHの調節は重要であ
る。
データベース中の化合物は、サイズ(分子量=100〜3
00)および分子の多様性に基づいて選択した。非常に多
様な結合部位と相互作用する化合物を見出す可能性を最
大にするために、集める化合物は、種々の形状(例え
ば、平らな芳香族環、ひだ状の脂肪族環、単結合、二重
結合または三重結合を有する直鎖状または分枝鎖状の脂
肪族化合物)および多様な官能基(例えば、カルボン
酸、エステル、エーテル、アミン、アルデヒド、ケトン
および種々のヘテロ環)を有するようにした。
各化合物を100mMの濃度で含有する化合物混合物のDMS
O保存溶液4μlを、均一に15Nで標識されたタンパク質
のH2O/D2O(9/1)緩衝化溶液0.4mlに加えることによ
り、NMRサンプルを調製した。NMRサンプル中の各化合物
の最終濃度は約1mMであった。
最初のスクリーニングにおいて、ストロメライシンの
触媒ドメインに結合する2つの化合物が見出された。こ
れらの化合物は共に、ビアリール部分を含有する。これ
らの最初の的中に基づき、構造的に同様の化合物をスト
ロメライシンに対して試験した。それらのビアリール化
合物の構造は、以下の構造式Iで表される(R1〜R3およ
びA1〜A3の定義については、表1を参照されたい)。
2回目のスクリーニングにおいては、飽和量のアセト
ヒドロキサム酸(500mM)の不存在下および存在下で結
合をアッセイした。
多数のビアリール化合物をストロメライシンの触媒ド
メインに結合することが判明した。図4は、ストロメラ
イシンをビアリール試験化合物にさらに前およびさらし
た後の代表的な二次元15N/1H NMR相関スペクトルを示
す。図4から示されるように、該化合物は、15N部位
(例えば、W124、T187、A199およびG204と称される15N
部位)の化学シフトを引き起こした。
これらの部位は、配列番号1の124位のトリプトファ
ン(Trp)残基、187位のトレオニン(Thr)、199位のア
ラニン(Ala)および204位のグリシン(Gly)に対応す
る。図9は、NMR結合データと、ストロメライシンの触
媒ドメインのNMR由来の三次元構造の外観との間の相関
性を示す。ある特定のリガンドの特異的結合部位の位置
決定が可能なことは、本発明の利点の1つである。
いくつかの化合物は、ヒドロキサム酸の存在下での
み、ストロメライシンに結合した。したがって、いくつ
かの化合物の結合親和性は、ヒドロキサム酸の存在下で
増強された(すなわち、協同的)。これらの結果は、本
発明のスクリーニングアッセイのもう1つの重要な能
力、すなわち、該タンパク質に他の分子の存在下で結合
する化合物を特定する能力を例示するものである。
構造式Iの種々のビアリール化合物を、ストロメライ
シンに対する結合に関して種々の濃度で試験した。各濃
度で作成した15N/1Hスペクトルを評価して、スペクトル
の相違を化合物濃度の関数として定量した。当該技術分
野でよく知られている標準的な方法により、それらの相
違から結合または解離定数(KD)を計算した。この研究
の結果を、表1に示す。表1中のR1−R3およびA1−A3に
ついての記号は、前記の構造式I中の対応位置を指す。
表1中のデータは、リガンドと標的分子との間の解離
定数または結合定数の決定における本発明の有用性を示
している。
本発明のNMRスクリーニングアッセイのもう1つの利
点は、二次元15N/1H NMR相関スペクトルからの実測化学
シフトと、他のスペクトルまたは標的分子の立体配置の
投影とが相関しうることである。基質分子との結合が生
じる可能性が最も高いポリペプチド内領域を示す図9
に、代表的なそのような相関の結果を示す。この図面に
おいては、ストロメライシン中の見掛け上の結合領域を
化合物1(表1から)について示す。
同様にして、E2タンパク質のDNA結合ドメインに対す
る結合に関して、データベースからの化合物をスクリー
ニングした。それらの化合物は、以下の構造式II(式
中、R1−R4およびAは表2と同意義)を有していた。
三重共鳴プローブおよびBrukerサンプル変換器を備え
たBruker AMX500 NMR分光計上、29℃でNMR実験を行なっ
た。15N−/1H HSQCスペクトルは、2000Hz(15N,t1)お
よび8333Hz(1H,t2)の掃引幅を用いて80×1024のコン
プレックスポイントとして得た。データ収集において
は、スキャン間で1秒の遅延および1自由誘導減衰(fi
d)当たり4スキャンを用いた。すべてのNMRスペクトル
は、Silicon Graphicsゴンピューター上で処理し分析し
た。
図2および3は、それぞれ第1試験化合物および第2
試験化合物にE2のDNA結合ドメインをさらす前およびさ
らした後の代表的な二次元15N/1H NMR相関スペクトルを
示す。
図2から示されるように、第1試験化合物は、15N部
位(例えば、I15、Y21、R22およびL23と称される15N部
位)において化学シフトを引き起こした。それらの部位
は、配列番号6の15位のイソロイシン(Ile)残基、21
位のチロシン残基(Try)、22位のアルギニン(Arg)残
基および23位のロイシン(Leu)残基に対応する。
図3から示されるように、第2試験化合物は、I6、G1
1、H38およびT52と称される個々の15N部位において化学
シフトを引き起こした。それらの部位は、配列番号6の
6位のイソロイシン(Ile)残基、11位のグリシン(Gl
y)残基、38位のヒスチジン(His)残基および52位のト
レオニン(Thr)に対応する。
図7および8は、それらのNMR結合データとE2のDNA結
合ドメインのNMR由来の三次元構造の外観との間の相関
性を示す。
いくつかの構造的に類似した化合物が、1mMの濃度で
スクリーニングした場合にタンパク質シグナルの化学シ
フトの変化を引き起こした。アミド共鳴の2つの異なる
組が、化合物の添加に際して変化することが判明した。
すなわち、そのシグナルの1つの組は、その2つの単量
体の間で形成されるβ−バレル内に位置するアミドに対
応し、もう1つの組は、DNA結合部位近傍に位置するア
ミドに対応する。
例えば、2つのフェニル環を連結する炭素に結合して
いるカルボキシル基を有する2つの該フェニル環を含有
する化合物は、DNA結合部位中のアミドに化学シフト変
化を引き起こしたに過ぎなかった。それに対して、ベン
ゾフェノンおよびフェノキシフェニルを含有する化合物
は、β−バレルに結合したに過ぎなかった。他の化合物
は、両方の組のシグナルの化学シフト変化を引き起こし
たが、各組におけるシグナルのシフト量は異なってい
た。このことは、2つの異なる結合部位の存在を示唆し
ている。
また、化学シフトの変化をリガンド濃度の関数として
モニターすることにより、それらの2つの結合部位につ
いての結合定数を測定した。それらの研究の結果を、以
下の表2に要約する。
RAFタンパク質の均一に15Nで標識されたRas結合ドメ
インを、実施例1に記載のとおりに調製し、前記のNMR
法に従う二次元15N/1H NMR相関分光分析によりスクリー
ニングした。代表的な研究の結果を図5に示す。この図
は、試験化合物にさらす前およびさらした後の両方の二
次元15N/1H NMR相関スペクトルを示している。
均一に15Nで標識されたFKBPを、実施例1に記載のと
おりに調製し、前記のNMR法に従う二次元15N/1H NMR相
関分光分析によりスクリーニングした。代表的な研究の
結果を図6に示す。この図は、試験化合物にさらす前お
よびさらした後の両方の二次元15N/1H NMR相関スペクト
ルを示している。
実施例3 NMR、酵素、フィルター結合およびゲルシフトスクリー
ニングアッセイの比較 本発明のNMR法により測定した、種々の生体分子に対
するリガンドの結合定数を、従来技術の方法から得られ
た同様の結果と比較するために、研究を行なった。
最初の研究においては、本発明のNMR法および従来技
術の酵素アッセイの両方により結合定数を測定した。標
的分子は、実施例1の方法に従い調製したストロメライ
シンの触媒ドメインであった。実施例2に記載の二次元
15N/1H NMR相関分光法を用いて、NMR結合定数KDを導き
出した。このようにして得たKD値を、酵素アッセイで測
定した阻害定数KIと比較した。
酵素アッセイでは、発蛍光団と消光物質との分離を引
き起こすペプチド切断の際に生じる蛍光の増強を追跡す
ることにより発蛍光性物質の切断の速度を測定した。種
々の濃度のアセトヒドロキサム酸およびビアリール化合
物のマトリックスを使用して、酵素活性を測定した。こ
のアッセイは、E.Matayoshiら,Science:247:954−958
(1990)に記載されている発蛍光性物質の特性を用いる
H.Weingartenら,Anal.Biochem.,147:437−440(1985)
に記載されている方法の変法である。
0.0〜1.0Mの範囲の8種類の濃度のアセトヒドロキサ
ム酸を使用し、6種類の濃度の化合物を使用して、合計
48個の値を得た。個々の化合物の濃度は、溶解性および
効力により異なった。
すべてのNMRの測定は、アセトヒドロキサム酸自体の
滴定の場合を除き、500mMアセトヒドロキサム酸の存在
下で行なった。加えたリガンドに対する実測化学シフト
の依存性から、解離定数を得た。ついで標準的な方法を
用いて、阻害データから阻害定数を得た。
これらの研究の結果を、以下の表3に要約する。この
表は、NMRから導き出した解離定数(KD)と、発蛍光性
物質を用いる酵素アッセイで測定した阻害定数(KI)と
の比較を示す。
表3のデータは、標的生体分子に対するリガンドの解
離定数または結合定数を測定するための迅速で効率的で
正確な方法を本発明のNMR法が提供することを示してい
る。その2つの方法により測定された結合定数を比較す
ると、試験化合物の効力は同程度となる。すなわち、そ
れらの2つの方法で測定した或る与えられた基質につい
ての値は等しくないが、それらは互いに比例しているの
である。
もう1つの研究においては、E2のDNA結合ドメイン
の、その標的DNAに対する結合についての結果を従来技
術の方法により得、本発明方法により得た結果と比較し
た。該標的は、実施例1の方法に従い調製したE2のDNA
結合ドメインであった。NMRスクリーニングアッセイお
よびリガンド解離定数を測定するためのNMR法を、実施
例2に記載のとおりに行なった。
NMR法からの結合定数を、標的に対するDNAの結合を測
定する物理的なフィルター結合アッセイの結果と比較し
た。前記の実施例2に従い調製したE2を使用して、高処
理量フィルター結合アッセイを行なった。該33P標識DNA
構築物は、高親和性の3つの及び低親和性の1つのE2結
合部位を含有するHPV−11ゲノムを、PSP−65プラスミド
(Promega,Madison,WI)中に挿入することにより形成さ
せた10,329塩基対のプラスミドを含んでいた。
NMRにより測定した種々の部位での結合親和性と、フ
ィルター結合アッセイにより測定したDNAに対するE2結
合の阻害とを、化合物のサブセットに関して比較した。
表2に示されるとおり、フィルター結合アッセイで測定
した活性は、DNA結合部位のアミドから算出した結合親
和性と密接に相関したが、β−バレル部位に関して測定
した親和性とは相関しなかった。これは、各部位の相対
的な位置と符合している。
もう1つの研究においては、NMRで測定した結合結果
を、当該技術分野でよく知られている方法を用いる従来
技術のゲルシフトアッセイにより得た同様の結果と比較
した。ゲルシフトアッセイは、2つのE2結合部位を含有
する62塩基対の33P標識DNA断片と完全長E2とを含有する
GST融合タンパク質を使用して行なった。
該方法では、ゲルシフトアッセイにおいて陽性結果を
与える多数の化合物を同定した。しかしながら、これら
の陽性結果のいくつかは、該DNAに対する結合によるも
のであると考えられた。なぜなら、これらの場合、E2タ
ンパク質に対する結合が、本発明のNMR方法においては
全く認められなかったからである。実際のところ、該化
合物の添加に際してタンパク質ではなくDNAの化学シフ
トが変化したことから明らかなとおり、これらの化合物
は、E2ではなくDNAに結合することが示された。これら
のデータから示されるとおり、本発明のさらにもう1つ
の利点は、偽陽性の発生を最小限に抑えうることであ
る。
実施例4 ストロメライシンに対する強力で非ペプチド性の阻害物
質の設計 ストロメライシンの触媒ドメインに結合する新規リガ
ンドを設計するために、研究を行なった。ストロメライ
シンは自己分解を受けるため、ストロメライシンの分解
を阻止する阻害物質を探索した。その阻害物質は、該酵
素上の他の部位に結合する他の潜在的リガンドのスクリ
ーニングを容易にするであろう。
他の結合部位に関するスクリーニングにおける化合物
の選択で用いた基準は、主として、リガンドのサイズに
基づくものであった。該酵素を飽和させ(>98%の酵素
占有度)阻害するのに十分な溶解度を有する最小のリガ
ンドを探索した。
ストロメライシンの触媒ドメインのクローニング、発
現および精製を、実施例1に記載の方法を用いて行なっ
た。新規リガンドの設計の最初の工程は、ストロメライ
シン標的に結合する第1リガンドの同定であった。その
ような同定は、前記の二次元15N/1H NMR相関スクリーニ
ング法により行なった。
一般式R−(−CO)NHOHで表される種々のヒドロキサ
ム酸を、実施例2に記載の方法を用いてストロメライシ
ンに対する結合に関してスクリーニングした。試験した
化合物のうち、アセトヒドロキサム酸[CH3(CO)NHO
H]が選択基準を最も良く満たした。それは、ストロメ
ライシンに対する結合親和性が17mMであり、良好な水溶
性を有していた。アセトヒドロキサム酸は、500mMの濃
度において酵素の分解を阻害し、他の潜在的なリガンド
のスクリーニングを可能にした。
この設計方法の第2の工程は、アセトヒドロキサム酸
の結合部位とは別の部位で標的ストロメライシンに結合
する第2リガンドの特定であった。これは、飽和量のア
セトヒドロキサム酸の存在下でストロメライシンに結合
する能力に関して化合物をスクリーニングすることによ
り行なった。この第2特定工程の方法および結果の詳細
は、前記の実施例2に記載されている。
これらの研究から第2リガンドとして特定し、後続の
設計工程で使用した化合物は、表1において化合物No.4
と称される化合物であった(実施例2を参照された
い)。
この設計方法における次の工程は、標的ストロメライ
シン、第1リガンドおよび第2リガンドの三成分複合体
を構築することであった。これは、複合体の形成を引き
起こす条件下でストロメライシン標的をその2つのリガ
ンドにさらすことにより行なった。ついで三成分複合体
の三次元構造を、前記のNMR分光法を用いて決定した。
該三成分複合体中のストロメライシンの1H、13Cおよ
15Nバックボーン共鳴を、いくつかの3D二重および三
重共鳴NMRスペクトルの分析(A.Baxら,Acc.Chem.Res.,2
6:131−138(1993))から帰属した。隣接スピン系のC
α共鳴を、F115N)、F213C)およびF31H)次元に
おいてそれぞれ1773Hz(35.0ppm)、3788Hz(30.1ppm)
および8333Hz(16.67ppm)の同じスペクトル幅で記録し
た三次元(3D)HNCA(L.Kayら,J.Magn.Reson.,89:496−
514(1990))およびHN(CO)CA(A.Baxら,J.Bio.NMR,
1:99(1991))スペクトルの分析から同定した。
データマトリックスは、HNCAスペクトルについては38
(t1)×48(t2)×1024(t3)コンプレックスポイン
ト、HN(CO)CAスペクトルについては32(t1)x40(t
2)x1024(t3)コンプレックスポイントであった。両ス
ペクトルは、1増分(increment)当たり16スキャンで
得た。3D CBCA(CO)NHスペクトル(S.Grzesiekら,J.A
m.Chem.Soc.,114:6261−6293(1992))は、32(t1,
15N)×48(t2,13C)×1024(t3,1H)コンプレックスポ
イントおよび1増分当たり32スキャンで集めた。スペク
トル幅は、15N、13Cおよび1H次元においてそれぞれ1773
Hz(35.0ppm)、7575.8Hz(60.2ppm)および8333Hz(1
6.67ppm)であった。
3つすべてのスペクトルに関して、1H搬送周波数は水
共鳴上で設定し、15N搬送周波数は119.1ppmであった。
13C搬送周波数は、HNCAおよびHN(CO)CA実験において
は55.0ppmに、CBCA(CO)NH実験においては46.0ppmに設
定した。
バックボーンの帰属は、15N分離3D NOESY−HSQCスペ
クトルおよび3D HNHA−Jスペクトルにおいて観測され
る交差ピークの分析から確認した。15N分離3D NOESY−H
SQCスペクトル(S.Fesikら,J.Magn.Reson.,87:588−593
(1998);D.Marionら,J.Am.Chem.Soc.,111:1515−1517
(1989))は、80msの混合時間(mixing time)で集め
た。1増分当たり16スキャンで合計68(t1,15N)×96
(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレックスポイントを集
め、スペクトル幅は、15N次元については1773Hz(35.0p
m)、1H次元については6666.6Hz(t2,1H,13.3ppm)およ
び8333Hz(16.7ppm)であった。
3JHNHαカップリング定数を得るためにも使用した3D
HNHA−Jスペクトル(G.Vuisterら,J.Am.Chem.Soc.,11
5:7772−7777(1993))を、35(t1,15N)×64(t2,
1H)×1024(t3,1H)コンプレックスポイントおよび1
増分当たり32スキャンで得た。スペクトル幅および搬送
周波数は、15N分離NOESY−HSQCスペクトルの場合と同じ
であった。Hβシグナルのいくつかは、HNHB実験を用い
て帰属した。掃引幅は、32(t1,15N)×96(t2,1H)×1
024(t3,1H)コンプレックスポイントで得た15N分離NOE
SY−HSQCスペクトルの場合と同じであった。
1Hおよび13Cの化学シフトは、ほとんどすべての側鎖
共鳴に関して帰属された。3D HCCH−TOCSYスペクトル
(L.Kayら,J.Magn.Reson.,101b:333−337(1993))
は、13C同位体混合のためにDIPSI−2配列(S.Rucker
ら,Mol.Phys.,68:509(1989))を使用して13msの混合
時間で得た。10638Hz(70.8ppm,w1)、4000Hz(6.67pp
m,w2)および4844(8.07ppm,w3)のスペクトル幅を使用
して1増分当たり16スキャンで、合計96(t1,3C)×96
(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレックスデータポイン
トを集めた。搬送点(carrier point)は、13C、間接的
に検出された1Hおよび実測1H次元についてそれぞれ40pp
m、2.5ppmおよび水周波数(water frequency)であっ
た。
もう1つの3D HCCH−TOCSY研究を、13C搬送で122.5pp
mにて行ない、芳香族残基を帰属した。スペクトルは、5
263Hz(35.0ppm,w1)、3180Hz(5.30ppm,w2)および10,
000(16.7ppm,w3)のスペクトル幅で36(t1,13C)×48
(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレックスポイントで集
めた。搬送点は、13C、間接的に検出された1Hおよび実
1H次元についてそれぞれ122.5ppm、7.5ppmおよび水周
波数であった。
13C分離3D NOESY−HMQCスペクトル(S.Fesikら、J.Ma
gn.Reson.,87:588−593(1998);D.Marionら,J.Am.Che
m.Soc.,111:1515−1517(1989))は、75msの混合時間
を用いて記録した。10638Hz(70.49ppm,w1)、6666.6Hz
(13.3ppm,w2)および8333.3Hz(16.67ppm,w3)のスペ
クトル幅で、1増分当たり16スキャンで合計80(t1,
13C)×72(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレックスデ
ータポイントを集めた。1H搬送周波数は水共鳴に設定
し、13C搬送周波数は40.0ppmに設定した。
バリンおよびロイシン残基のメチル基の立体特異的帰
属は、部分的に13C標識されたタンパク質サンプルの高
分解能1H、13C−HSQCスペクトル(G.Bodenhausenら,J.C
hem.Phys.Lett.,69:185−189(1989))における13C−
13C1結合カップリングパターンに基づく生合成アプロー
チ(Neriら,Biochem.,28:7510−7516(1989))を用い
ることにより行なった。該スペクトルは、5000Hz(39.8
ppm,13C)および8333Hz(16.7ppm,1H)のスペクトル幅
に対して200(13C,t1)×2048(1H,t2)コンプレックス
ポイントで得た。搬送点は、13C次元については20.0pp
m、1H次元については水周波数であった。
2つのリガンドおよびタンパク質の間のNOEを検出す
るために、3D12C−フィルター(filtered)、13C−編集
(edited)NOESYスペクトルを集めた。パルススキーム
は、NOESY−HMQC配列(S.Fesikら,J.Magn.Reson.,87:58
8−593(1988);D.Marionら,J.Am.Chem.Soc.,111:1515
−1517(1989))と連結した二重13C−フィルター(fil
ter)配列(A.Gemmerkerら,J.Magn.Reson.,96:199−204
(1992))よりなるものであった。スペクトルは、80ms
の混合時間、および1増分当たり16スキャンで合計80
(t1,13C)×80(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレック
スポイントで集めた。スペクトル幅は、8865Hz(17.73p
pm,w1)、6667Hz(13.33ppm,w2)および8333Hz(16.67p
pm,w3)であり、搬送点は、尿素次元についてうは40.0p
pm、両プロトン次元については水周波数であった。
溶媒と徐々に交換したアミド基を同定するため、一連
1H、15N−HSQCスペクトル(G.Bodenhausenら,J.Chem.
Phys.Lett.,69:185−189(1980))を、該タンパク質が
D2O中に交換後2時間間隔で25℃で記録した。第1HSQCス
ペクトルの取得は、D2Oの添加の2時間後に開始した。
Bruker AMX500またはAMX600 NMR分光計上、25℃です
べてのNMRスペクトルを記録した。NMRデータは、Silico
n Graphicsコンピューター上で処理し分析した。すべて
のNMR実験において、必要に応じて、文献(A.Baxら,J.M
agn.Reson.,99:638(1992))に記載されているとおり
にパルスフィールド勾配をかけて、溶媒シグナルおよび
人為的スペクトルを抑制した。間接的に検出される次元
における四極検出は、States−TPPI法(D.Marisonら,J.
Am.Chem.Soc.,111:1515−1517(1989))を用いて行な
った。線形予測は、文献(E.Olejniczakら,J.Magn.Reso
n.,87:628−632(1990))に記載されているとおりに行
なった。
ついで三成分複合体の導き出された三次元構造を使用
して、第1リガンドおよび第2リガンドの相互間の及び
標的ストロメライシン分子に対する空間的配位を定め
た。
NOEデータから導き出された距離的制限を、NOE交差ピ
ーク強度に基づいて6つの範疇に分類し、1.8Åの下
限、およびそれぞれ2.5Å、3.0Å、3.5Å、4.0Å、4.5
Åおよび5.0Åの上限を与えた。ねじれ角Φについての
制限は、3D HNMA−Jスペクトル(G.Vuisterら,J.Am.Ch
em.Soc.,115:7772−7777(1993))から測定した3JHNH
αカップリング定数から導き出した。角Φは、3JHNHα
>8.5Hzについては120%±40%に、3JHNHα<5Hzについ
ては60%±40%に制限された。
最初の構造に基づき徐々に交換するアミドについて同
定された水素結合は、2つの制限、すなわち、H−Oの
距離については1.8〜2.5Å、N−Oの距離については1.
8〜3.3Åにより定められた。構造は、ハイブリッド・デ
ィスタンス・ジオメトリーシミュレーティッド・アニー
リング・アプローチ(hybrid distance geometry−simu
lated annealing approach)(M.Nilgesら,FEBS Lett.,
229:317−324(1988))を用いてSilicon Graphicsコン
ピューター上でX−PLOR3.1プログラム(A.Brnger,
“XPLOR 3.1 Manual",Yale University Press,New Have
n,1992)で計算した。
NOEデータから、合計1032個のおおよそのプロトン間
距離制限を導き出した。さらに、3D 12C−フィルター
(filtered)、13C−編集NOESYスペクトルから、21個の
明白な分子間距離制限を導き出した。該タンパク質を含
む1032個のNOE制限のうち、341個は残基内の制限、410
個は、一次配列において5個未満のアミノ酸により分離
された残基間での連続的または短距離の制限、281個
は、少なくとも5残基により分離された残基を含む長距
離の制限であった。
NOE距離制限に加え、HNHA−Jスペクトル(C.Viioste
rら,J.Am.Chem.Soc.,115:7772−7777(1993))から決
定した三結合カップリング定数(3JHNHα)から導き出
された構造計算には14個のΦ二面角制限が含まれてい
た。また、実験的制限は、60個の水素結合に対応する12
0個の距離制限を含んでいた。水素結合に関与するアミ
ドを、それらの特徴的に遅い交換速度、および水素結合
制限なしで計算した最初のNMR構造からの水素結合の相
手に基づいて同定した。重複していない実験的に導き出
された制限の合計数は、1166個であった。
構造は、NMR実験データと非常によく符合した。0.4Å
を超える距離違反(violations)はなく、また、5度を
超える二面角違反もなかった。さらに、ファンデルワー
ルス反発の頃についての模擬エネルギー(simulated en
ergy)は小さく、このことは、該構造が、望ましくない
原子間接触を欠くことを示している。
また、NMR構造は、対応する理想化されたパラメータ
ーからの結合長および結合角の偏差が小さいことから示
されるとおり、良好な共有結合幾何配置を示した。平均
座標からの残基93〜247に関する8個の構造の平均原子
根平均二乗偏差(average atomic root mean square de
viation)は、バックボーン原子(Ca,NおよびC′)に
ついては0.93Å、すべての非水素原子については1.43Å
であった。
ストロメライシン、アセトヒドロキサム酸(第1リガ
ンド)および第2リガンドを含む三成分複合体のリボン
プロットを、図10に示す。該構造は、他のマトリックス
メタロプロテイナーゼの球状折りたたみ部分と酷似して
おり、5ストランドのβ−シートおよび3個のa−ヘリ
ックスよりなる。
触媒亜鉛は、結合ポケット内に位置していた。それ
は、3個のヒスチジンおよびアセトヒドロキサム酸の2
個の酸素原子に配位していた。第2リガンドのビアリー
ル基は、第2ヘリックスと残基218〜223から形成される
ループとの間のS1′ポケット内に位置していた。この深
く狭いポケットは、リガンドと有利に接触させる疎水性
残基と並んでいる。
前記で決定した三成分複合体の三次元構造、および第
2リガンドの構造類似体(すなわち、他のビアリール化
合物)がストロメライシンに結合することに関して認め
られる構造/活性相関に基づき、アセトヒドロキサム酸
がビアリールに連結する新規分子を設計した。
以下の表4に示すとおり、選択された最初のビアリー
ルは、酸素リンカーを含有し、ビアリール結合に対する
パラ位にCNを有しているか又は有していなかった。最初
のリンカーは、種々の長さのメチレン単位を含有してい
た。種々の長さのメチレン単位を有するリンカーによ
り、化合物の連結を行なうための手段は、当該技術分野
でよく知られている。
CN置換ビアリールの方がストロメライシンに対して良
好に結合したことから予想されるとおり、CN誘導体は、
より良好なストロメライシン阻害を示した。ストロメラ
イシンに対する最良の阻害を示した化合物は、2個のメ
チレン単位を有するリンカーを含有していた。
本発明は、好ましい実施態様について記載されてい
る。それらの実施態様は、請求の範囲および明細書を何
ら限定するものではない。当業者であれば、本発明の範
囲および精神から逸脱しない、それらの実施態様に対す
る変化、修飾および改変を容易に予測しうるであろう。
実施例5 FKBPの強力な新規阻害物質の設計 FK結合タンパク質(FKBP)に結合する新規リガンドを
設計するために、研究を行なった。
実施例1に記載のとおりに、FKBPクローニング、発現
および精製を行なった。新規リガンドの設計の最初の工
程は、FKBP標的に結合する第1リガンドの特定であっ
た。そのような特定は、前記の二次元15N/1H NMR相関ス
クリーニング法に従い行なった。
いくつかの公知の強力な免疫抑制物質(すなわち、ア
スコマイシン、ラパマイシン)の種々の低分子量断片お
よび類似体を、実施例2に記載の方法を用いてFKBPに対
する結合に関してスクリーニングした。試験した化合物
のうち、以下の化合物29が、選択基準を最も良く満たし
た。それは、FKBPに対する結合親和性が2μM(当該技
術分野で公知の方法により蛍光により測定)であり、1m
Mのリガンド濃度で該タンパク質を飽和させた(>98%
の結合部位占有度)。
この設計方法の第2の工程は、化合物29の結合部位と
は別の部位で標的FKBPに結合する第2リガンドの特定で
あった。これは、飽和量のアスコマイシン断片類似体
(化合物29)の存在下でFKBPに結合する能力に関して化
合物をスクリーニングすることにより行なった。この第
2特定工程の方法の詳細は、実施例2に記載されてい
る。
最初のスクリーニングにおいて、ベンズアニリド部分
を含有する化合物を見出した。この最初の的中に基づ
き、構造的に類似している化合物を得、FKBPに対して試
験した。これらのベンズアニリド化合物の構造は、以下
の構造式III(R1−R4の定義については表5を参照され
たい)で表される。
2回目のスクリーニングにおいて、飽和量の化合物29
(1mM)の存在下および不存在下の両方において結合を
アッセイした。
表Aに記載するとおり、これらのジフェニルアミド化
合物に関して、構造活性相関を展開した。図6は、FKBP
をジフェニルアミド試験化合物にさらす前およびさらし
た後の代表的な二次元15N/1H NMR相関スペクトルを示
す。図6から認められるとおり、該化合物は、15N部位
(例えば、I50、Q53、E54およびV55と称される部位)の
化学シフトを引き起こした。これらの部位は、配合番号
7の50位のイソロイシン(Ile)、53位のグルタミン(G
ln)、54位のグルタミン酸(Glu)および55位のバリン
に対応する。例11は、NMR結合データと、NMR由来のFKBP
の三次元構造の外観との相関性を示す。ある特定のリガ
ンドの特異的結合部位の位置決定が可能なことは、本発
明の利点の1つである。
いくつかの化合物は、化合物29の存在下でのみ、FKBP
に結合した。したがって、いくつかの化合物の結合親和
性は、化合物29の存在下で増強された。これらの結果
は、本発明のスクリーニングアッセイのもう1つの重要
な能力、すなわち、該タンパク質に他の分子の存在下で
結合する化合物を同定する能力を例示するものである。
種々のベンズアニリド化合物を、FKBPに対する結合に
関して、複数のリガンド濃度で試験した。各濃度で作成
した15N/1Hスペクトルを評価して、スペクトルの相違を
化合物濃度の関数として定量した。当該技術分野でよく
知られている標準的な方法により、それらの相違から結
合または解離定数(KD)を計算した。この研究の結果
を、表5に示す。表5中のR1−R4についての記号は、前
記の構造式III中の対応位置を表す。
表5中のデータは、リガンドと標的分子との間の解離
定数または結合定数の決定における本発明方法の有用性
を示している。
この設計方法における次の工程は、標的FKBP、第1リ
ガンドおよび第2リガンドの三成分複合体を構築するこ
とであった。これは、複合体の形成を引き起こす条件下
でFKBP標的をその2つのリガンドにさらすことにより行
なった。ついで該リガンドの位置および配位を、以下に
記載するとおりに決定した。
該三成分複合体中のFKBPの1H、13Cおよび15N共鳴を、
いくつかの3D二重および三重共鳴NMRスペクトルの分析
から帰属した。帰属の過程においては、アスコマイシン
と複合体形成させた場合のFKBPの公知の帰属の助けをか
りた(R.Xu.ら,Biopolymers,33:535−550 1993)。1H側
鎖および15N/1Hバックボーン共鳴は、F115N)、F21
H)およびF31H)次元においてそれぞれ2000Hz(39.5p
pm)、6250Hz(12.5ppm)および8333Hz(16.7ppm)のス
ペクトル幅で、46(t1)×80(t2)×1024(t3)コンプ
レックスポイントのデータマトリックスおよび1増分当
たり16スキャンで記録した三次元(3D)HC(CO)NHスペ
クトルの分析から同定した。1Hおよび13C側鎖およびC
α共鳴は、F113C)、F21H)およびF31H)次元に
おいてそれぞれ7541.5Hz(60.0ppm)、6250Hz(12.5pp
m)および8333Hz(16.7ppm)のスペクトル幅で、48(t
1)×64(t2)×1024(t3)コンプレックスポイントの
データマトリックスおよび1増分当たり16スキャンで記
録した三次元3D HCCH−TOCSYスペクトル(L.Kayら,J.Ma
gn.Reson.,101b:333−337,1993)の分析から同定した。
該リガンドとFKBPとの間の分子間NOEを、3D12C−フィル
ター(filtered)、13C−編集NOESYスペクトルの分析か
ら得た。パルススキームは、NOESY−HMQC配列(S.Fesik
ら,J.AM.Chem.Soc.,111:1515−1517(1989))と連結し
た二重13C−フィルター(filter)配列(A.Gemmecker
ら,J.Magn.Reson.,96:199−204(1992))よりなるもの
であった。スペクトルは、350msの混合時間および合計4
6(t1,13C)×64(t2,1H)×1024(t3,1H)コンプレッ
クスポイントおよび1増分当たり16スキャンで集めた。
スペクトル幅は、F113C)、F21H)およびF31H)
次元においてそれぞれ7541.5Hz(60.0ppm)、6250Hz(1
2.5ppm)および8333Hz(16.67ppm)であった。
すべてのスペクトルにおいて、15N搬送周波数は117.4
ppmに設定し、13C搬送周波数は40.0ppmに設定し、1H搬
送周波数は水共鳴上に設定した。すべてのNMRスペクト
ルは、Bruker AMX500 NMR分光計上、303Kで記録した。N
MRデータは、Silicon Graphicsコンピューター上で処理
し分析した。すべてのNMR実験において、必要に応じ
て、文献(A.Baxら,J.Magn.Reson.,99:638(1992))に
記載されているとおりにパルスフィールド勾配をかけ
て、溶媒シグナルおよび人為的スペクトルを抑制した。
間接的に検出される次元における四極検出は、States−
TPPI法(D.Marionら,J.Am.Chem.Soc.,87:1515−1517(1
989))を用いて行なった。線形予測は、文献(E.Olejn
iczakら,J.Magn.Reson.,87:628−632(1990))に記載
されているとおりに行なった。
NOEデータから導き出された距離制限を、NOE交差ピー
ク強度に基づいて3つの範疇に分類し、1.8Åの下限、
およびそれぞれ3.0、4.0および5.0Åの上限を与えた。F
KBPタンパク質構造についての公知の三次元配位座標を
用いてFKBPに結合した場合の化合物の位置および配位を
定めるために、該タンパク質と化合物33との間の合計17
個の分子間距離制限、および該タンパク質と化合物29と
の間の10個の分子間距離制限を用いた。FKBP、アスコマ
イシンの断片類似体(化合物29)およびベンズアニリド
化合物(化合物33)を含む三成分複合体のリボンプロッ
トを、図12に示す。
前記で決定した三成分複合体の三次元構造、およびFK
BPに対する第2化合物の構造類似体の結合に関して認め
られる構造活性相関に基づき、アスコマイシン断片類似
体をベンズアニリド化合物に連結する新規分子を設計し
た。この化合物(以下に示す)は、蛍光滴定により測定
した場合、FKBPに対して19nMの親和性を有する。これ
は、アスコマイシン断片類似体(化合物29)単独の場合
(Kd=2μM)に対して100倍の効力の増加である。
前記の非限定的な実施例により示されるとおり、本発
明は、ある与えられた標的分子に対する高親和性リガン
ドを設計するための方法であって、 a)標的分子上の別々の結合部位に結合する少なくとも
2つのリガンドを、多次元NMR分光法を用いて本明細書
に記載のスクリーニング方法により特定し、 b)前記の少なくとも2つのリガンドを該標的分子にさ
らすことにより、少なくとも三成分複合体を形成させ、 c)該複合体の三次元構造を決定し、それにより該標的
分子上の前記の少なくとも2つのリガンドの空間的配位
を決定し、そして d)工程c)において決定した空間的配位を使用して、
該標的分子上の別々の部位に結合する少なくとも2つの
リガンドの組合せと構造的に類似している高親和性リガ
ンドを設計することを含んでなる方法に関する。好まし
くは、前記の工程において設計した高親和性リガンド
は、ある与えられた標的分子に結合しインビトロ(in v
itro)およびインビボ(in vivo)で標的化治療効果を
その治療を要するヒトを含む哺乳動物において与える薬
物として機能するか、あるいはそのような薬物の基礎と
なる。
また、該方法は、ある与えられた標的分子に対する高
親和性リガンドの設計であって、 a)多次元NMR分光法を用いて、該標的分子に対する第
1リガンドを特定し、 b)多次元NMR分光法を用いて、標的分子に対する第2
リガンド(第2リガンドは、第1リガンドと同じであっ
ても異なっていてもよく、第2リガンドは、該標的上
の、第1リガンドとは異なる部位に結合する)を特定
し、 c)第1リガンドおよび第2リガンドを該標的分子に結
合させることにより、少なくとも三成分複合体を形成さ
せ、 d)該複合体の三次元構造を決定し、それにより該標的
分子上の第1リガンドおよび第2リガンドの空間的配位
を決定し、そして e)工程d)の空間的配位が維持されている該リガンド
を設計することを含んでなる方法に関する。
前記の方法においては、第1リガンドおよび第2リガ
ンドは、同一の分子構造または式を有していてもよく、
該部分は、該標的分子上の少なくとも2つの結合部位に
結合する。したがって、第1リガンドと第2リガンドと
の構造的な組合せに基づくリガンドは、その組合された
化合物の実際の合成および適当な生物学的アッセイでの
評価に際して薬物リード物質または薬物として有用であ
る。組合されたリガンド、高親和性リガンド、薬物リー
ド物質または薬物の合成は、合成的または生物学的手段
により達成される。概念的には、本明細書の全体にわた
って示されているとおり、第1リガンドと第2リガンド
とを、炭素原子、ヘテロ原子またはそれらの組合せによ
り連結して(一緒にして)、該リガンドまたは薬物リー
ド物質を得る。勿論、本明細書に記載の方法は、連結さ
れた(一緒になった)第1リガンド、第2リガンドまた
はさらに別のリガンドを最終的に与える直線型または非
直線型(輻合性)手段による高親和性リガンドの合成を
含む。
また、第1リガンドおよび第2リガンドは、異なる分
子構造を有していてもよく、該リガンドのいずれかは、
標的分子上の他方の(別の)結合部位に結合してもしな
くてもよい。
より詳しくは、本発明の方法はまた、ある与えられた
標的分子に対する高親和性リガンドの設計であって、 a)NMRで検出可能な同位体に富むように同位体標識さ
れた標的分子を調製し、 b)前記の同位体標識された標的分子の多次元NMRスペ
クトルを作成し、 c)前記の同位体標識された標的分子を複数の化合物に
さらすことにより該標的分子をスクリーニングして、該
標的分子上の別々の部位に結合する少なくとも第1リガ
ンドおよび第2リガンドを多次元NMR分光法により特定
し、 d)前記の同位体標識された標的分子に、少なくとも前
記第1および第2リガンドをさらすことにより、少なく
とも三成分複合体を形成させ、 e)前記の同位体標識された標的分子上の少なくとも第
1および第2リガンドの空間的配位を決定し、 f)工程e)で決定した空間的配位を用いて、前記の少
なくとも第1リガンドおよび第2リガンドの組合せに基
づき該高親和性リガンドを設計することを含んでなる設
計に関する。勿論、複数のリガンド(1+n)を組合せ
て、1+n(n=1−∞)個の組合せリガンドの空間的
配位を有する高親和性リガンドを形成させることができ
る。高親和性リガンドを設計した後、該方法にはさら
に、f)合成的または生物学的手段により高親和性リガ
ンドを製造する工程を含めることができる。少なくとも
2つのリガンド(第1リガンドおよび第2リガンド)
は、炭素原子により(例えば、メチレンまたはアルキレ
ン単位により)、またはヘテロ原子により(例えば、窒
素、酸素、硫黄により)、また該標的分子に対する1+
n個のリガンドの空間的配位を維持または模擬する他の
原子により連結することができる。また、リガンドによ
っては、介在するアルキレンまたはヘテロ原子のリンカ
ー単位を使用することなく、該分子を直接互いに組合せ
たりまたは一緒にする(連結する)こともできる。1+
n個の組合せリガンドから得られる高親和性リガンド
は、好ましくは、1+n個のリガンドのいずれか1つと
比べた場合、標的分子に対する結合能の増強を示す。し
たがって、本発明は、本明細書中に示す方法により設計
された高親和性リガンドであって、与えられた標的分子
の別々の部位に結合する少なくとも2つのリガンドと比
べて、与えられた標的分子に対する結合能(Kd)が増強
されていることを特徴とする高親和性リガンドを含む。
また、本発明は、核磁気共鳴から得られた構造活性相
関を用いて高親和性リガンドを見出す方法であって、 i)標的分子のサブサイト1に結合する低分子量(分子
量450未満)化合物をスクリーニングし、 ii)工程i)で得られた最初の結果から調製された類似
体をスクリーニングして、サブサイト1に対する結合を
最適化し、 iii)該標的分子の近隣結合部位(サブサイト2)に結
合する低分子量(分子量450未満)化合物および対応す
る類似体を、多次元NMR分光法を用いてスクリーニング
して、結合親和性を測定し、工程(i)〜(iii)の後
に、リード断片を得、 iv)工程i)〜iii)から得たリード断片を組合せて、
高親和性リガンドを設計することにより、標的分子のサ
ブサイトに組合するリガンドから高親和性リガンドを構
築することを含んでなる方法に関する。組合せは、合成
的または生物学的手段により達成することができる。合
成的手段には、組合されたリガンドの有機合成が含まれ
る。生物学的手段には、細胞ビヒクルまたは系による、
組合されたリガンドの発酵または作製が含まれる。好ま
しくは、標的分子はポリぺプチドである。また、本発明
は、断片の組合せが、標的分子に対する結合能(Kd)が
個々の断片より高いリガンドを与える、前記で挙げた方
法に関する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 24/02 530M (31)優先権主張番号 08/744,701 (32)優先日 平成8年10月31日(1996.10.31) (33)優先権主張国 米国(US) 早期審査対象出願 (72)発明者 オレイニツアツク,エドワード・テイー アメリカ合衆国、イリノイ・60030、グ レイズレイク、ローリー・コート・506 (56)参考文献 特表 平5−503691(JP,A) 特表 平7−506192(JP,A) Biochemical Pharm acology,英国,Vol.40,N o.1,pp161−167 Biochemistry,米国, 32,pp754−765 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 541 G01N 33/15 G01N 33/50 G01R 33/32 G01R 33/465

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ある与えられた標的分子に対する高親和性
    リガンドを設計する方法であって、 a)該標的分子上の別々の結合部位に結合する、該標的
    分子に対する少なくとも2つのリガンドを、多次元NMR
    分光法を用いて特定し、 b)前記の少なくとも2つのリガンドを該標的分子にさ
    らすことにより、少なくとも三成分複合体を形成させ、 c)該複合体の三次元構造、および該標的分子上の少な
    くとも2つのリガンドの空間的配位を決定し、そして d)工程c)で決定した空間的配位を用いて、該親和性
    リガンドを設計することを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】ある与えられた標的分子に対する高親和性
    リガンドを設計する方法であって、 a)多次元NMR分光法を用いて、該標的分子に対する第
    1リガンドを特定し、 b)多次元NMR分光法を用いて、該標的分子に対する第
    2リガンド(第2リガンドは、第1リガンドと同じであ
    っても異なっていてもよく、第2リガンドは、該標的上
    の、第1リガンドとは異なる部位に結合する)を特定
    し、 c)第1リガンドおよび第2リガンドを該標的分子に結
    合させることにより、三成分複合体を形成させ、 d)該複合体の三次元構造を決定し、それにより該標的
    分子上の第1リガンドおよび第2リガンドの空間的配位
    を決定し、そして e)工程d)の空間的配位が維持されている該高親和性
    リガンドを設計することを含んでなる方法。
  3. 【請求項3】第1リガンドが第2リガンドとは異なる、
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】ある与えられた標的分子に対する高親和性
    リガンドを設計する方法であって、 a)NMRで検出可能な同位体に富むように同位体標識さ
    れた標的分子を調製し、 b)前記の同位体標識された標的分子の多次元NMRスペ
    クトルを作成し、 c)前記の同位体標識された標的分子を複数の化合物に
    さらすことにより該標的分子をスクリーニングして、該
    標的分子上の別々の部位に結合する少なくとも第1およ
    び第2リガンドを多次元NMR分光法により特定し、 d)前記の同位体標識された標的分子に、少なくとも前
    記第1および第2リガンドをさらすことにより、少なく
    とも三成分複合体を形成させ、 e)前記の同位体標識された標的分子上の少なくとも第
    1および第2リガンドの空間的配位を決定し、 f)工程e)で決定した空間的配位を用いて、前記の少
    なくとも第1リガンドおよび第2リガンドの組合せに基
    づき該高親和性リガンドを設計することを含んでなる方
    法。
  5. 【請求項5】工程f)の後にさらに、g)合成的または
    生物学的手段により、該高親和性リガンドを製造するこ
    とを含む、工程3に記載の方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の方法により設計された高
    親和性リガンドであって、与えられた標的分子の別々の
    部位に結合する少なくとも2つのリガンドと比べて、与
    えられた標的分子に対する結合能が増強されていること
    を特徴とする高親和性リガンド。
  7. 【請求項7】ある与えられた標的分子に対するリガンド
    として機能する薬物を設計する方法であって、 a)二次元15N/1H NMR相関分光法を用いて、該標的分子
    に対する第1リガンドを特定し、 b)二次元15N/1H NMR相関分光法を用いて、該標的分子
    に対する第2リガンドを特定し、 c)第1リガンドおよび第2リガンドを該標的分子に結
    合させることにより、三成分複合体を形成させ、 d)該第三成分複合体の三次元構造を決定し、それによ
    り該標的分子上の第1リガンドおよび第2リガンドの空
    間的配位を決定し、そして e)工程(d)の空間的配位を維持したまま第1リガン
    ドと第2リガンドとを連結させて、該薬物を得る工程を
    含んでなる方法。
  8. 【請求項8】第1リガンドの同定が、均一に15Nで標識
    された標的分子の第1二次元15N/1H NMR相関スペクトル
    を作成し、該標識標的分子を1以上の化合物にさらし、
    該化合物のそれぞれについての別の二次元15N/1H NMR相
    関スペクトルを作成し、各スペクトルを第1スペクトル
    と比較して、それらのスペクトル間の相違のうち、該標
    的分子に結合している第1リガンドの存在を示す相違が
    存在するか否かを判定することにより達成される、請求
    項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】第2リガンドの同定が、均一に15Nで標識
    された標的分子の第1二次元15N/1H NMR相関スペクトル
    を作成し、該標識標的分子を1以上の化合物にさらし、
    該化合物のそれぞれについての別の二次元15N/1H NMR相
    関スペクトルを作成し、各スペクトルを第1スペクトル
    と比較して、それらのスペクトル間の相違のうち、該標
    的分子に結合している第2リガンドの存在を示す相違が
    存在するか否かを判定することにより達成される、請求
    項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】該標的分子が、該化合物にさらされる前
    に、第1リガンドに結合している、請求項9に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】該二次元15N/1H NMR相関スペクトルにお
    ける相違が、該標的分子中に個々の15N標識部位での化
    学シフト、およびそれらの15N標識部位に結合したプロ
    トンにおける化学シフトである、請求項8に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】該二次元15N/1H NMR相関スペクトルにお
    ける相違が、該標的分子中の個々の15N標識部位での化
    学シフト、およびそれらの15N標識部位に結合したプロ
    トンにおける化学シフトである、請求項9に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】該三成分複合体の三次元構造を、NMR分
    光法またはX線結晶学を用いて決定する、請求項7に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】該標的分子がポリペプチドである、請求
    項7に記載の方法。
  15. 【請求項15】請求項1に記載の方法により設計された
    薬物。
  16. 【請求項16】核磁気共鳴から得られた構造活性相関を
    用いて、標的分子に対する高親和性リガンドを見出す方
    法であって、 i)ある与えられた標的分子のサブセット1に結合する
    低分子量(分子量450未満)化合物を、多次元NMRを用い
    てスクリーニングして、結合親和性を測定し、 ii)工程i)で得られた結合結果から調製された類似体
    をスクリーニングして、該標的分子に対する第1断片の
    結合を最適化し、 iii)該標的分子の近隣結合部位(サブサイト2)に結
    合する化合物および対応する類似体を、多次元NMR分光
    法を用いてスクリーニングして、結合親和性を測定し
    て、該標的分子に対する第2断片の結合を最適化し、そ
    して iv)第1断片と第2断片とを組合せて高親和性リガンド
    を設計することを含んでなる方法。
  17. 【請求項17】該標的分子がタンパク質である、請求項
    16に記載の方法。
  18. 【請求項18】該標的分子に対する該高親和性リガンド
    の結合能が、その断片の結合能より高い、請求項16に記
    載の方法。
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