JP3297388B2 - 抗菌性カーペットの製造方法 - Google Patents

抗菌性カーペットの製造方法

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JP3297388B2 JP33400898A JP33400898A JP3297388B2 JP 3297388 B2 JP3297388 B2 JP 3297388B2 JP 33400898 A JP33400898 A JP 33400898A JP 33400898 A JP33400898 A JP 33400898A JP 3297388 B2 JP3297388 B2 JP 3297388B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抗菌剤であるタ
ンニンが処理液中で沈殿を生じることがなく、常に抗菌
剤濃度を一定にして付与処理を行うことのできる、抗菌
性カーペットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、住環境への関心の高まりから、カ
ーペット上における菌の増殖を抑制し、衛生面での向上
を図ることのできるカーペットが注目されてきており、
種々のものが上市されている。このような抗菌性カーペ
ットは、抗菌作用を有する抗菌剤がカーペットに付与さ
れてなるものであるが、このような抗菌剤として従来に
おいてはシリコン系第4アンモニウム塩や芳香族ハロゲ
ン化合物等に代表される化学合成物質が用いられてい
た。これらの化学合成物質はもちろん人体への安全性、
環境への影響等を考慮した上で選択されたものである。
【0003】しかしながら、最近になって上記のような
化学合成物質に対して極微量であっても強いアレルギー
様の反応(湿疹、じんましん等)を示す人、即ち化学物
質過敏症の人が急増してきており、大きな社会問題とな
っている。また、近年の化学物質が引き起こした環境問
題、例えば焼却炉周辺でのダイオキシン汚染の問題、プ
ラスチック製食品容器からの発ガン性物質の溶出等の問
題に端を発して、化学合成物質に対する消費者のイメー
ジは悪化しており、消費者心理として、化学合成物質の
使用は可能な限り避けたいという風潮が強くなりつつあ
る。
【0004】このような背景から、前記の抗菌剤として
も、従来の化学合成物質に代えて天然物質を用いた例が
種々提案されている。例えば、特開平8−296173
号公報には、抗菌剤として茶の抽出物(主成分:タンニ
ン)を固結剤と共に繊維に固定せしめた繊維製品が記載
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記茶の抽出物等の繊
維への固定は、茶の抽出物を含有する処理液に繊維を含
浸せしめることによって行うのが一般的であるが、タン
ニン等は水に対する溶解度が比較的小さく、しかも時間
の経過と共に凝集等して沈殿しやすく、浴中で安定的に
存在しにくいことから、常に一定濃度での含浸を行うこ
とができず、一定品質を確保するのが困難であるという
問題があった。
【0006】また、カーペットに抗菌剤を付与せしめる
場合においては、生産効率やコスト面から含浸法よりも
スプレー法が好適であるが、このようなスプレー法にお
いてはタンニンを含有する処理液をタンク等に充填して
おくことになるため、即ち貯蔵期間が長くなるために、
一段と沈殿しやすく、一定濃度での含浸を行うのが極め
て困難であるという問題が生じていた。更に、このよう
な沈殿が多く生じてしまうとスプレーノズルに沈殿物に
よる目詰まりが生じてしまい、生産に支障を来すという
問題もあった。
【0007】また、上記例示した従来技術においては、
抗菌成分であるタンニンの繊維への付着性を向上させる
ために、合成樹脂等の固結剤を用いているが、このよう
な固結剤を用いていても洗濯耐久性については未だ十分
と言えるものではなく、洗濯耐久性をより向上させるこ
とが望まれていた。
【0008】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてな
されたものであって、処理液が液安定性に優れて常に抗
菌剤濃度を一定にして処理を行うことができると共に、
得られるカーペットに優れた洗濯耐久性を付与せしめる
ことのできる抗菌性カーペットの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究の結果、処理液中に抗菌成分
であるタンニンと共に、ハーブ類の抽出成分を混合して
おくことによりタンニンの沈殿を防止することができ
て、常に一定濃度で処理することが可能となること、更
にハーブ類の抽出成分が存在することによって、おそら
くタンニンとバインダー樹脂とのなじみが良くなるため
と考えられるが、結果的に洗濯耐久性を顕著に向上でき
ることを見出し、この発明を完成したものである。
【0010】即ち、この発明に係る抗菌性カーペットの
製造方法は、タンニンと、ハーブ類の抽出成分と、バイ
ンダー樹脂とからなる組成物を含有してなる処理液でカ
ーペットの処理を行い、該組成物をカーペットのパイル
部に付与することを特徴とするものである。
【0011】処理液中にハーブ類の抽出成分を含有せし
めているから、タンニンの沈殿を防止することができ、
従って常に一定濃度で処理することが可能となり、一定
品質のカーペットを安定して提供することができる。ま
た、ハーブ類の抽出成分が存在することによって、得ら
れるカーペットの洗濯耐久性が顕著に向上する。これは
ハーブ類の抽出成分がバインダー樹脂とタンニンのなじ
みを良くしていることによって両者の結着力が向上した
ことによると考えられる。更に、ハーブ類の抽出成分を
併用していることにより抗菌性もタンニン単独の場合と
比べて一層向上する。
【0012】上記において、カーペットの処理を、処理
液をカーペットのパイル部にスプレー塗布することによ
り行うのが望ましく、これにより生産性が向上すると共
に、パイル部を選択性良く処理できて無駄がなく経済的
である。この際、タンニンの沈殿がないのでスプレーノ
ズルの目詰まり等の問題も生じない。
【0013】上記処理液において、タンニン100重量
部に対して、ハーブ類の抽出成分の配合量が10〜25
0重量部であり、バインダー樹脂の配合量が40〜10
00重量部であるのが望ましく、これにより一段と優れ
たタンニン沈殿防止効果を得ることができると共に、一
層優れた洗濯耐久性を確保できる。
【0014】また、上記組成物をパイル素材に対して
0.1〜10重量%の割合で付与するのが望ましく、こ
れにより十分な抗菌性能を有すると共に、一層風合いに
優れたカーペットを提供することができる。
【0015】また、上記タンニンはカテキン類であるの
が好ましい。カテキン類はタンニンの中でも一段と優れ
た抗菌作用を有するからである。
【0016】また、ハーブ類は、カモミール、シソ及び
アロエからなる群より選ばれる1種または2種以上のハ
ーブ類であるのが望ましい。上記のハーブ類の抽出成分
はタンニンの沈殿防止に特に優れた効果を発揮するもの
であり、一段と安定した品質の確保が可能となるからで
ある。
【0017】また、バインダー樹脂はウレタン樹脂であ
るのが望ましく、これによりカーペットに一段と柔らか
い風合いを付与することができる。
【0018】更に、処理液は界面活性剤を含有している
のが望ましく、この場合にはハーブ類の抽出成分と界面
活性剤の相乗作用によって一層優れた沈殿防止効果が得
られる。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明に係る抗菌性カーペット
の製造方法は、タンニンと、ハーブ類の抽出成分と、バ
インダー樹脂とからなる組成物を含有してなる処理液で
カーペットの処理を行い、該組成物をカーペットのパイ
ル部に付与するものである。即ち、タンニン、ハーブ類
の抽出成分、バインダー樹脂の3成分を必須成分として
含有する処理液でカーペットの処理を行う必要がある。
これら必須成分について順に説明する。
【0020】タンニンとは、天然には、例えば茶に含ま
れる成分であって、緑茶等の茶の抽出成分として良く知
られている成分である。このタンニンとしては、加水分
解型タンニン、縮合物型タンニン、新型タンニン等が挙
げられるが、これらの中でも、縮合物型タンニンに属す
る例えばエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキ
ンガレート、エピガロカテキンガレート等のカテキン類
が好適である。このカテキン類は、タンニンの中でも特
に優れた抗菌作用を呈する化合物であり、一層抗菌性能
に優れたカーペットを提供することが可能となるからで
ある。なお、上記処理液に含有せしめるタンニンとして
は、茶の抽出操作によって得られたタンニンに特に限定
されるものではない。
【0021】この発明において、ハーブ類とは、食用ま
たは薬用植物であって、かつ香草として用いられるもの
のことを言う。このようなハーブ類の抽出成分を処理液
中の1成分として含有せしめるのであるが、これらハー
ブ類の中でも、カモミール、シソ及びアロエからなる群
より選ばれる1種または2種以上のハーブ類を選択する
のが好ましい。これら特定のハーブ類の抽出成分はタン
ニンの沈殿防止に特に優れた効果を発揮し、一段と安定
した品質のカーペットを提供することができるからであ
る。
【0022】上記ハーブ類の抽出のための溶媒として
は、通常、水またはアルコールが用いられる。例えば上
記ハーブ類の1種または2種以上を水またはアルコール
に浸漬し、数時間加温または煮沸することによって抽出
成分を得ることができる。もちろん、2種以上のハーブ
類の抽出成分を得る場合に、ハーブ1種類ごとに抽出を
行った後、各抽出成分を混合せしめるものとしても良
い。
【0023】バインダー樹脂は、上記タンニン等をカー
ペットに固着せしめるために用いられるものであり、こ
のような固着力を発揮できる樹脂であれば特に限定され
ず、例えばグリオキザール樹脂、アクリル樹脂、ウレタ
ン樹脂等が挙げられる。中でも、処理前のカーペット本
来の風合いを損なうことのないウレタン樹脂を用いるの
が好ましい。
【0024】上記必須3成分の処理液中における含有割
合は、タンニン100重量部に対して、ハーブ類の抽出
成分の配合量を10〜250重量部とし、バインダー樹
脂の配合量を40〜1000重量部とするのが好まし
い。ハーブ類の抽出成分の配合量が10重量部未満では
タンニン沈殿防止の効果が十分に得られなくなるので好
ましくないし、一方250重量部を超えてもこの増加に
見合うより以上の効果はもはや得られず、徒にコストを
増大させるので好ましくない。また、バインダー樹脂の
配合量が前記下限値未満では洗濯耐久性を十分に確保し
難くなるので好ましくないし、一方前記上限値を超える
と風合いの低下を生じやすくなるので好ましくない。中
でも、タンニン100重量部に対して、ハーブ類の抽出
成分の配合量を12〜200重量部とし、バインダー樹
脂の配合量を50〜800重量部とするのがより好まし
い。
【0025】また、処理液中におけるタンニンの濃度
は、0.1〜5重量%の範囲内とするのが好ましい。
0.1重量%未満では、所要重量のタンニンを付与せし
めるのに、カーペットの処理回数あるいは処理時間等を
増大させる必要が生じ、ひいては生産性を低下させるこ
ととなるので、好ましくない。一方、5重量%を超えて
もこれ以上の抗菌性向上の効果は殆ど望めず、徒にコス
トを増大させるので、好ましくない。
【0026】上記処理液中には、更に界面活性剤を含有
せしめるものとするのが望ましい。この界面活性剤とハ
ーブ類の抽出成分の相乗作用によって一層優れた沈殿防
止効果を得ることができるからである。この界面活性剤
としては、例えばポリオキシエチレンソルビトールアル
キルエーテル、ポリオキシエーテル硫酸ナトリウム塩、
アルキルアルキロールアマイド等が挙げられる。また、
この界面活性剤の処理液中における含有割合は、タンニ
ン100重量部に対して100重量部以下とするのが好
ましい。上記処理液中には、更に柔軟剤等を配合するも
のとしても良い。
【0027】なお、処理液の溶媒としては、水が好適で
あり、またバインダー樹脂を含有せしめることから、通
常、水系エマルジョン形態で用いられる。
【0028】この発明の抗菌性カーペットの製造方法
は、上記構成に係る処理液でカーペットの処理を行い、
上記の必須3成分をカーペットのパイル部に付与するも
のであるが、この処理方法としては、例えば含浸法、ス
プレー塗布法等が用いられる。中でも、生産性に優れる
と共にパイル部を選択性良く処理できて経済的であるこ
とから、スプレー塗布法が好適に用いられる。
【0029】そして、スプレー塗布等の処理によりカー
ペットの処理を行った後に、バインダー樹脂の固着性を
高める観点から、カーペットの熱処理を行うのが望まし
い。この熱処理は、通常120〜180℃の範囲で行
い、熱処理時間は10分も行えば十分である。
【0030】カーペットに所要の染色図柄の形成を行う
場合には、上記処理液によるカーペットの処理を行う前
に行うのが好ましい。
【0031】なお、上記必須3成分のカーペットのパイ
ル部への付与量は、必須3成分の合計付与重量(乾燥後
の重量、即ち固形分重量)が、パイル部の繊維重量に対
して0.1〜10重量%の範囲となるようにするのが好
ましい。10重量%を超えるとカーペットの風合いが低
下するので好ましくない。また0.1重量%未満では十
分な抗菌性能が発揮されないことが多くなるので好まし
くない。なお、この付与時において、必須3成分同士の
付与割合は、前記処理液中の好適含有割合と同一範囲と
するのが好ましく、これはタンニン100重量部に対し
て、ハーブ類の抽出成分の配合量が10〜250重量部
であり、バインダー樹脂の配合量が40〜1000重量
部である処理液でカーペットのパイル部を処理すること
によりなし得る。
【0032】なお、カーペットのパイル部のパイル素材
としては、特に限定されるものではなく、ポリエステル
繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊
維、レーヨン繊維等の繊維からなるもの等を好適に使用
でき、その他、麻、綿、羊毛等の天然繊維からなるもの
等を使用できる。更にパイル部の形成手段も特に限定さ
れるものではなく、例えばモケット等のように経パイル
織、緯パイル織等の製織によりパイル部を形成する手
段、タフティングマシン等によりパイル糸を植毛してパ
イル部を形成する手段、編機によりパイル部を形成する
手段、接着剤を用いてパイル糸を接着してパイル部を形
成する手段等を例示することができる。パイル形態も特
に限定されず、カットパイル、ループパイル等いずれの
形態であっても良い。
【0033】一方、カーペット基材としては、特に限定
されるものではなくどのようなものでも使用できる。例
えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレ
ン繊維、アクリル繊維等の合成繊維、あるいは麻、綿、
羊毛等の天然繊維等の繊維からなる糸を製編織した布地
の他、各種の繊維や糸を、ニードリング等により機械的
に接結したり、あるいは接着剤等により化学的に接結し
た不織布等を使用できる。
【0034】また、カーペットの裏側には、通常、裏打
ち層が設けられるが、この裏打ち層の材質としては、特
に限定されず、例えば樹脂組成物、ゴム組成物、ジュー
ト、ポリプロピレン織布、ニードルパンチ基布などが挙
げられるが、通常は樹脂組成物やゴム組成物が使用され
る。この樹脂組成物の樹脂成分としては、アクリル系、
ウレタン系、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の
樹脂を挙げることができる。また、ゴム組成物のゴム成
分としては、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、M
BR(メチルメタクリレート−ブタジエンゴム)、NB
R(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、あるいは天
然ゴム等が挙げられる。
【0035】なお、この発明の抗菌性カーペットの使用
形態は特に限定されるものではなく、例えば、通常のカ
ーペットの他、マットあるいはタイルカーペット等とし
て構成することができるし、更には椅子張り用等のモケ
ット等として構成することもできる。
【0036】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0037】<使用材料> (カテキン含有液)伊藤園製のカテキン含有液(緑茶抽
出液)(商品名:テアフラン)で、カテキン濃度は10
重量%であった。
【0038】(カモミール抽出液)カモミールを水に浸
漬して5時間煮沸することによって抽出液を得た。この
抽出液中におけるカモミール抽出成分の濃度は5重量%
であった。
【0039】(シソ抽出液)シソを水に浸漬して5時間
煮沸することによって抽出液を得た。この抽出液中にお
けるシソ抽出成分の濃度は5重量%であった。
【0040】(アロエ抽出液)アロエを水に浸漬して5
時間煮沸することによって抽出液を得た。この抽出液中
におけるアロエ抽出成分の濃度は5重量%であった。
【0041】(ウレタン樹脂エマルジョン)大原パラヂ
ウム化学株式会社製ウレタン樹脂エマルジョン(商品
名:パラレヂン、ウレタン樹脂含有量20重量%) (グリオキザール樹脂エマルジョン)住友化学工業株式
会社製グリオキザール樹脂エマルジョン(商品名:スミ
テックスレジン、グリオキザール樹脂含有量40重量
%) (界面活性剤液)花王株式会社製のポリオキシエーテル
硫酸ナトリウム系界面活性剤液(商品名:エマール、界
面活性剤(固形分)含有量20重量%)
【0042】(カーペットA) カーペット基材…ポリプロピレン繊維の織布 パイル部…アクリル繊維からなるパイル糸を上記基材に
タフティングしたもの(パイル目付600g/m2 ) 裏打ち層…SBRラテックス (カーペットB) カーペット基材…ポリエステル繊維の不織布 パイル部…ポリエステル繊維からなるパイル糸を基材に
タフティングしたもの(パイル目付700g/m2 ) 裏打ち層…エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
【0043】<実施例1>上記カテキン含有液6重量
部、カモミール抽出液6重量部、ウレタン樹脂エマルジ
ョン6重量部を、水82重量部に混合して表1に示す組
成の水系エマルジョンからなる処理液を調製し、この処
理液をカーペットAのパイル部にスプレー塗布した。次
いで140℃で8分間熱処理を行い、抗菌処理が施され
たカーペットを得た。
【0044】<実施例2〜7、9〜11、比較例1〜3
>上記各原料液を混合して調製した表1に示す組成から
なる処理液を用いた以外は、実施例1と同様にしてカー
ペットを得た。なお、実施例9、10では熱処理温度を
150℃とした。
【0045】<実施例8>上記各原料液を混合して調製
した表2に示す組成からなる処理液を用い、処理対象の
カーペットとしてカーペットBを用いた以外は、実施例
1と同様にしてカーペットを得た。
【0046】上記のようにして作製された各カーペット
に対し、下記に示す抗菌性試験法、風合い評価法に従
い、評価を行った。また、各処理液の液安定性も下記評
価法に従い評価した。
【0047】<抗菌性試験法>繊維製品の自主基準(例
えばSEKマーク認証基準)等について検討を行ってい
る繊維製品新機能評価協議会(JAFET)が定めた繊
維製品の定量的抗菌性試験方法(統一試験方法)マニュ
アルに準拠して試験を行った。なお、この統一試験方法
は、日本工業規格繊維製品の抗菌性試験方法(JIS
L1092−1990)に定量試験として組み込むべく提案
が図られている試験法である。
【0048】黄色ぶどう球菌IFO−12732に対す
る抗菌活性を調べた。即ち、無加工布(抗菌加工をして
いない標準綿布)に試験菌を接種し、密閉容器中で37
℃で24時間培養(培地:ニュートリエント培地)した
後の生菌数(B)を計測した。一方、実施例に係る各カ
ーペット試験片のパイル部に同様にして試験菌を接種
し、密閉容器中で37℃で24時間培養(培地:ニュー
トリエント培地)した後の生菌数(C)を計測した。以
下の算出式により、静菌活性値を求めた。
【0049】静菌活性値=logB−logC SEKマーク認証のための静菌活性値の基準値は2.2
以上である。なお、この静菌活性値は、数値が大きい程
抗菌性に優れていることを示す。
【0050】また、抗菌性能の耐久性評価のために、3
回洗濯を行った後の静菌活性値の評価も行ったが、この
際の洗濯の方法はJIS L0217 103号の洗い
方に準拠して行ったものである。洗剤としてはJAFE
T標準洗剤(中性液体合成洗剤:洗剤成分はポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、JAFETが配布している
もの)を用いた。
【0051】<カーペット風合い評価法>抗菌カーペッ
トと、抗菌処理前のカーペットのそれぞれのパイル部に
手で触れ、その時の両者における風合い(硬さ)の相違
度合いを下記判定基準に基づき評価した。
【0052】(判定基準) 「◎」…風合いの相違が感じられない 「○」…風合いの相違がほとんど感じられない 「△」…風合いの相違が少し認識される 「×」…風合いの相違が大きい
【0053】<処理液の安定性評価法>24時間静置し
た後の処理液を目視で観察し、下記判定基準に基づき評
価した。
【0054】 「◎」…沈殿が全く見られない 「○」…沈殿がほとんど観察されない 「△」…沈殿が少し生じている 「×」…沈殿がかなり生じている
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】表から明らかなように、この発明の製造方
法で製造した実施例1〜11のカーペットは、抗菌性及
びその洗濯耐久性に優れると共に、風合いも良好であっ
た。また、用いた処理液は液安定性に優れており、常に
一定濃度での処理が可能となるものであった。
【0059】これに対し、処理液中にバインダー樹脂を
含有しない比較例1では洗濯耐久性に劣っていた。ま
た、処理液中にハーブの抽出成分を含有しない比較例
2、3では処理液に沈殿がかなり生じており処理液の液
安定性に劣っていた。
【0060】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る抗菌性カ
ーペットの製造方法によれば、処理液中にハーブ類の抽
出成分を含有せしめているから、タンニンの沈殿を効果
的に防止することができ、常に一定濃度での処理が可能
となり、一定品質の抗菌性カーペットを安定して製造す
ることができる。また、ハーブ類の抽出成分の存在によ
って、得られるカーペットの洗濯耐久性を顕著に向上さ
せることができる。更に、ハーブ類の抽出成分自体も抗
菌性を有しているから、抗菌性を一層向上させることが
できる。
【0061】カーペットの処理を、処理液をカーペット
のパイル部にスプレー塗布することにより行う場合に
は、生産性を向上できると共に、パイル部を選択性良く
処理できるので無駄がなく経済的である。また、タンニ
ンの沈殿がないので、従来のようなスプレーノズルの目
詰まり等の問題も生じない。
【0062】処理液において、タンニン100重量部に
対して、ハーブ類の抽出成分の配合量が10〜250重
量部であり、バインダー樹脂の配合量が40〜1000
重量部である場合には、一段と優れたタンニン沈殿防止
効果を得ることができると共に、一層優れた洗濯耐久性
を確保することができる。
【0063】上記組成物をパイル素材に対して0.1〜
10重量%の割合で付与する場合には、十分な抗菌性能
を有すると共に、一層風合いに優れたカーペットを提供
することができる。
【0064】また、タンニンがカテキン類である場合に
は、一段と優れた抗菌性をカーペットに付与させること
ができる。
【0065】また、ハーブ類が、カモミール、シソ及び
アロエからなる群より選ばれる1種または2種以上のハ
ーブ類である場合には、タンニンの沈殿防止を確実に図
り得て、抗菌性カーペットとして一段と安定した品質の
ものを提供することができる。
【0066】また、バインダー樹脂がウレタン樹脂であ
る場合には、一段と柔らかい風合いを有する抗菌性カー
ペットを提供することができる。
【0067】更に、処理液が界面活性剤を含有するもの
である場合には、一層優れた沈殿防止効果が得られる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 15/72 A01N 65/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンニンと、ハーブ類の抽出成分と、バ
    インダー樹脂とからなる組成物を含有してなる処理液で
    カーペットの処理を行い、該組成物をカーペットのパイ
    ル部に付与することを特徴とする抗菌性カーペットの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記カーペットの処理を、前記処理液を
    カーペットのパイル部にスプレー塗布することにより行
    う請求項1に記載の抗菌性カーペットの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記処理液において、タンニン100重
    量部に対して、ハーブ類の抽出成分の配合量が10〜2
    50重量部であり、バインダー樹脂の配合量が40〜1
    000重量部である請求項1または2に記載の抗菌性カ
    ーペットの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記組成物をパイル素材に対して0.1
    〜10重量%の割合で付与する請求項3に記載の抗菌性
    カーペットの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記タンニンがカテキン類である請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の抗菌性カーペットの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記ハーブ類が、カモミール、シソ及び
    アロエからなる群より選ばれる1種または2種以上のハ
    ーブ類である請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌
    性カーペットの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記バインダー樹脂がウレタン樹脂であ
    る請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌性カーペッ
    トの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記処理液が、界面活性剤を含有するも
    のである請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌性カ
    ーペットの製造方法。
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