JP3296314B2 - クリームチーズ様食品の製造法およびそれを使用したベーカリー製品 - Google Patents

クリームチーズ様食品の製造法およびそれを使用したベーカリー製品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、包あん焼成耐性を有す
クリームチーズ様食品の製造法およびそれを使用した
ベーカリー製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チーズまたはチーズ様の食品を包
あんした食品が製造されているが、このようなチーズま
たはチ−ズ様の食品は焼成耐性を有することが要求され
る。従来よりチーズまたはチ−ズ様の食品に包あん焼成
耐性を付与する手法として、デンプンを比較的多く配合
する手法が多く利用されてきた。しかしながら、デンプ
ンの多量配合は口溶けやフレ−バ−リリ−スの悪化を招
き、あまり好ましい方法ではない。
【0003】このような状況下において、最近ではガム
質やデンプンなどの増粘剤を用いなくても比較的高い粘
度を有する水中油型乳化物が提案されているが(特開平
6−54662号公報)、この提案はマヨネ−ズ様食品
に有利に利用できる水中油型乳化物を得ることを目的と
し、当該乳化物を包あん焼成したとき、焼成耐性を有す
るかどうかに関しては全く言及されていない。また、こ
の提案における水中油型乳化物は、水相中に乳化分散し
ている油滴の80%以上が1μm以下の粒子径を有する
ことを必須の要件とするものであり、そのため均質化圧
力を600kg/cmという高圧条件下で均質化処理
する必要がある。従って、このような高圧条件を満足す
る特殊な機器が必要となり不利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、デンプンを
使用せずに、ソフトで口溶け良好、且つ包あん焼成耐性
を有するクリームチ−ズ様食品の製造法およびそれを使
用したベーカリー製品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、デンプン
を使用せずに、チ−ズ様の食品に包あん焼成耐性を付与
すべく鋭意検討を進めたところ、特定量の蛋白成分と油
脂成分とから成る組成物を特定のpH領域に調整し特定
の粒子径になるようにO/W乳化せしめることによっ
て、解決し得るという知見を得、本発明を完成するに至
った。
【0006】すなわち本発明は、蛋白2〜15重量%、
油脂15〜70重量%、水分83〜15重量%を混合乳
化し、乳化物のpHを3.0〜6.5に調整すること、
および油滴の80重量%以上を1.15μm〜10.1
0μmの粒子径に調整することを特徴とする包あん焼成
耐性を有するクリームチーズ様食品の製造法、および当
該チーズ様食品を生地中に包あん焼成して成るベーカリ
ー製品、である。
【0007】本発明における包あん焼成耐性を有する
リームチーズ様食品とは、クリームチーズ様のボディー
を呈した食品をいい、マヨネーズのようなボディー感の
ない食品を指称するものではない。本発明において、蛋
白成分は全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白、ラクトアルブ
ミン、カゼイン等の乳蛋白、大豆蛋白等が例示でき、こ
れらの何れを使用してもよい。これらの蛋白を、チ−ズ
様食品全量に対して2〜15重量%、好ましくは4〜1
0重量%含有する。蛋白成分が少なすぎると包あん焼成
耐性に必要なボディ性が得られない。また、多すぎると
蛋白凝集による組織の荒れが生じるようになる。
【0008】また、油相中に使用する油脂成分として
は、食用として使用できるものを広く採用することがで
き、例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、
落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ
油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア
脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性
油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油
脂が例示でき、上記油脂類の単独または混合油あるいは
それらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂
(融点15〜40℃程度のもの)が例示できる。これら
のうち、特に菜種硬化油を使用するのが好ましい。
【0009】本発明においては、以上の油脂をチーズ様
食品全量に対して15〜70重量%、好ましくは20〜
60重量%使用する。油脂分が少なすぎると包あん焼成
耐性に必要なボディ性に欠ける。また、多すぎると油っ
ぽい食感となり、焼成時に油分離が生じ易くなる。
【0010】また、本発明において乳化剤の使用は、混
合物の乳化状態が十分であれば特に必要ではないが、要
すれば従来公知の乳化剤、例えばレシチン、グリセリン
脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステ
ル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル等を使用してもよい。そ
の他、乳化を安定にするために各種リン酸塩等の乳化安
定剤、あるいは香料等を添加してもよい。
【0011】本発明の包あん焼成耐性を有するクリーム
チーズ様食品を製造する方法の一例を例示すると以下の
ようである。先ず、蛋白成分と水、要すればさらに親水
性乳化剤を混合して水相を調製する。一方、油脂成分に
要すれば親油性乳化剤を添加して油相を調製し、これと
水相とを混合し、例えばアジホモミキサーやホモミキサ
ー等の比較的剪断力の強い攪拌機を使用して混合乳化す
る。次いでこの混合乳化液をpH3〜6.5、好ましく
は4〜6に調整しておく。pHが下限未満では酸味が強
くなりフィリング材として使用した際の風味の調和がと
れなくなる。また、上限を越えると本発明が目的とする
物性が得られ難くなる。本発明においては、pH調整に
使用する酸として有機酸を使用してもよく、これらの有
機酸としてはクエン酸、乳酸、グルコン酸等の有機酸、
あるいは各種果汁等が例示できる。また、混合物自体を
乳酸発酵してもよく、発酵後は有機酸やアルカリ性塩に
よりpH調整することもできる。
【0012】次いで、油相と水相とを混合乳化し、要す
れば均質機を用いて均質化する。均質化圧力は0〜30
0kg/cmが好ましいが、混合乳化時に乳化が十分
な場合はこの限りでなく特に均質化処理する必要はな
い。すなわち、本発明における乳化物は、油滴の粒子径
を「レーザー回折式粒度分布測定装置(LA−500
型、(株)堀場製作所,製」にて測定し、得られた測定
値をコンピューターで処理して体積基準の粒度分布とし
て表したとき、その油滴の80重量%以上が1.15μ
m〜10.10μmの粒子径を有していることが必須で
あるから、混合乳化後、既に油滴の80重量%以上が上
記範囲内の粒子径を有していれば、改めて均質化処理す
る必要はない。従って、油滴の80重量%以上が10.
10μmを越える粒子径を有している場合には、当該粒
子径が1.15μm〜10.10μmの範囲を満足する
ように均質化すればよく、その場合、均質化圧力は通常
の0〜100kg/cm程度でよく、この程度の均質
化圧で均質化したときの油滴の粒子径を測定したところ
では、2〜5μm程度のものが最も多く分布している。
【0013】
【実施例】以下に実施例及び比較例を例示して、この発
明の効果をより一層明確にするが、これらは例示であっ
て本発明が特に限定されるものではない。なお、例中、
部は重量基準を意味する。また、油滴粒子径は、レーザ
ー回折式粒度分布測定装置(LA−500型、(株)堀
場製作所,製)を用い、得られた測定値をコンピュータ
ーで処理し、体積基準の粒度分布として表した。
【0014】実施例1 水55部を30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しなが
らカゼインNaを徐々に添加し溶解乃至分散させて水相
を調製した。この水相に無塩バタ−9部、菜種硬化油3
3部、レシチン、モノグリセリドを各々0.05%添加
し60℃にて十分乳化を行いクリ−ムミックスを調製し
た。このクリ−ムミックスに攪拌を続けながら、食塩、
適量の乳酸を添加しpH5.0に調製した後、100k
g/cm の圧力下で均質化を行いプラスティックフィ
ルムチュ−ブに充填後、密封し5℃に冷却しクリ−ムチ
−ズ様の食品を得た。かくして得たクリ−ムチ−ズ様の
食品はソフトでなめらかな食感を有し、バタ−ロ−ル生
地に包あん焼成しても空洞のない良好な焼き残りを示し
た。
【0015】比較例1 実施例1において、乳酸によるpH調整を行わない以外
は実施例1に記載した方法に準じて作成した。このよう
にして得られたものはチ−ズに欠かせない酸味を感じな
いばかりでなく性状も柔らかく、クリ−ムチ−ズとはか
け離れたものとなった。バタ−ロ−ル生地での包あん焼
成テストにおいても全く焼き残りせず不適であった。
【0016】比較例2 実施例1において、菜種硬化油を使用せず、水の添加量
を55%から80%に増やした以外は実施例1に記載し
た方法に準じて作成した。このようにして得られたもの
は非常に柔らかくバタ−ロ−ル生地での包あん焼成テス
トにおいても全く焼き残りせず不適であった。
【0017】以上の実施例1及び比較例1〜2をまとめ
ると以下のとおりである。 ○配合(部) 実施例1 比較例1 比較例2 ─────────────────────────────────── 菜種硬化油 33 33部 0部 無塩バタ− 9 9 9 カゼインNa 7 7 7 水 55 55 84 食塩 0.5 0.5 0.5 乳化剤 0.1 0.1 0.1 乳酸 適量 ─── 適量 ─────────────────────────────────── 粒子径 1.15μm以上 97.0 98.0 97.5 10.10μm以下 88.1 92.1 89.1 ─────────────────────────────────── pH 5.0 6.7 5.0 ─────────────────────────────────── 性状 なめらかで 柔らかすぎる 柔らかすぎる 適度な硬さ ─────────────────────────────────── バターロールでの 包あん焼成耐性 良好 残らない 残らない ───────────────────────────────────
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明はデンプンを使用
せずに、ソフトで口溶けの良好な包あん焼成耐性を有す
るクリームチーズ様の食品を特殊な機器を用いることな
く、簡単に製造することができるという効果を有する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23C 19/00 - 19/093 A23C 20/00 - 20/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白2〜15重量%、油脂15〜70重量
    %、水分83〜15重量%を混合乳化し、乳化物のpH
    を3.0〜6.5に調整すること、および油滴の80重
    量%以上を1.15μm〜10.10μmの粒子径に調
    整することを特徴とする、包あん焼成耐性を有するクリ
    ームチーズ様食品の製造法。
  2. 【請求項2】油脂として菜種硬化油を使用する、請求項
    1記載の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載のチーズ様食
    品を生地中に包あん焼成して成るベーカリー製品。
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JP2008054583A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Fuji Oil Co Ltd 気泡含有菓子生地の製造法

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