JP3296171B2 - 物体の温度測定方法及び装置 - Google Patents

物体の温度測定方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば、焼き付け塗
装されたカラー鋼板のように塗料によって反射率及び放
射率が変化する塗装表面の反射率、放射率及び温度を、
高精度、高速及び非接触に測定する物体の放射率及び温
度の測定方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、物体の表面温度を非接触で測定
する時は放射温度計が用いられている。この放射温度計
は、被測定物体の表面から放射される放射光を検出し、
温度に換算するものであるが、その換算にあたっては、
放射率を正しく設定する必要がある。したがって、放射
温度計を用いて被測定物体の表面の温度を測定する場合
には、被測定物体の表面の放射率を正しく求めることが
極めて重要になる。
【0003】しかし、通常、被測定物体の表面の放射率
を直接測定することは困難であるため、まず反射率を測
定し、次式に示すキルヒホッフの式を用いて被測定物体
の表面の放射率を求める方法が取られている。
【0004】反射率+放射率=1…(1)
【0005】そこで、入射光量に対する半球上の全反射
光量を直接測定し、反射率を求める装置として、以下の
従来例1又は2のものが知られている。
【0006】図2は従来例1における文献 JOURNAL OF
RESEARCH Vol.89,No.1,1984 に記載されている反射率
測定装置の模式図である。この装置は、半円状に複数並
べられた検出器23を、その半円の直径を軸として18
0゜回転させることにより、被測定物体の表面22に対
し、レーザ光源21から斜めに入射され、被測定物体の
表面22で反射されるレーザ光を、半球上の全成分に対
して光検出器アレイ23で受光するものである。しか
し、測定データが多数になり、またそれらの測定データ
を処理する必要があるため、測定及び演算に時間がかか
り、実用的ではない。また、測定装置と被測定物体の表
面22とのリフトオフを取ることができないという問題
点がある。
【0007】図3は従来例2における文献 OPTICAL SC
ATTERING Measurement and Analysis by JOHN C. STOVE
R,P140,1990 に記載されている反射率測定装置の模式
図である。この装置は、従来例1において、半球方向全
てについて個々に測定している反射光を、積分球31を
使って集光し、測定しているため、全反射光を瞬時に測
定することができる。しかし、積分球31を被測定物体
の表面32に接触させないと十分な測定精度が得られな
いため、非接触による測定には不向きである。
【0008】そこで、高速且つ非接触にオンラインで反
射率を測定し、それに基づいて被測定物体の表面の温度
を求める放射温度計として、以下の従来例3又は4の装
置が提案されている。
【0009】図4は従来例3における特開平4−439
28号公報に記載された放射式温度測定装置の模式図で
ある。この装置は、検出器が取り付けられた半球状のキ
ャビティ42と被測定物体の表面43との距離を2段階
以上変化させ、データを測定しておく。放射率が既知の
物体を用いて測定した放射率と距離との関係をあらかじ
め演算しておき、その演算結果及び測定したデータから
被測定物体の表面の放射率を求め、求めた放射率を用い
て被測定物体の表面の温度を測定するものである。
【0010】図5は従来例4における特開平5−209
792号公報に記載された放射式温度測定装置の模式図
である。この装置は発光源51からのスポット光を被測
定物体の表面52に斜めに入射し、その反射光の1次元
的な分布を、1次元CCD53で測定することにより反
射率を求め、この反射率を用いて被測定物体の表面の温
度を求めるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来例
3又は4を塗装材に適用する場合には、次のような問題
点がある。その問題点を示す前に、まず塗装材表面にお
ける反射特性と、そのメカニズムについて説明する。塗
装材表面にレーザ光を照射し、その照射方向を含む被測
定面に垂直な面で測定した1次元反射パターンを図6
(a)に示す。図に示すように、反射パターンは鏡面性
拡散反射と完全拡散反射とが合成された合成反射パター
ンとなる。Bの部分を拡大したものが図6(b)であ
る。ここで鏡面性拡散反射とは、塗装された被測定物体
の表面に入射された光が、図7に示されるように、入射
された光の一部が塗装表面で反射されたものである。鏡
面性拡散反射は、正反射方向を中心とする指向性を有し
た楕円体反射パターンを示す。また完全拡散反射とは、
塗装された被測定物体の表面に入射された光が、図8に
示されるように、照射された光の一部が塗装表面で反射
されず、塗装内部まで入射し、多重反射及びレーリー散
乱により外部へ放射されたものである。完全拡散反射
は、指向性のない球状反射パターン(ランバーシャン)
を示す。合成反射とは、鏡面性拡散反射と完全拡散反射
とが足し合わされた反射である。
【0012】単位立体角当たりの完全拡散反射の光の成
分は、鏡面性拡散反射の成分に比べて非常に弱いため、
正反射方向を中心とする狭角の反射パターンによる測定
では、完全拡散反射成分を測定するどころか、その存在
すら確認することが困難である。しかし、完全拡散反射
は半球方向全てに反射成分を持つため、それらが積分さ
れ、算出された完全拡散反射成分は鏡面性拡散反射より
大きくなる場合があり、無視することはできない。した
がって、完全拡散反射を合成反射から分離して評価し、
全反射光量を精度良く求めなければ、精度の良い反射率
を求めることはできない。
【0013】以上の特性を考慮して、従来例3又は4で
の塗装材反射光量測定の問題点について説明する。従来
例3の特開平4−43928号公報の技術は、キャビテ
ィ41内における多重反射強度の距離による変化と、事
前に求めてある放射率との関係が常に一定であることを
前提としている。しかし、この関係は反射特性が鏡面性
拡散反射のみ、あるいは完全拡散反射のみの場合には成
立するが、両者が合成された合成反射では両特性の組み
合わせが被測定物体により様々に変化するため関係が成
立しない。したがって、その分測定精度が低くなる。
【0014】従来例4の特開平5−209792号公報
の技術は、点光源を用いて測定物体の表面における正反
射方向を中心とする狭角の1次元反射パターンを測定す
ることにより全反射光量を求めている。しかし、このよ
うな狭角の1次元反射パターン測定では半球状に拡散す
る完全拡散反射成分を演算することはできない。また、
反射パターンの測定方向が正反射方向を中心とし、且つ
狭角であるため、鏡面性反射と完全拡散反射が重なりあ
った合成反射パターンから両者を分離して評価すること
も困難である。
【0015】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたものであり、塗装材のように鏡面反射成分と
完全拡散反射成分が合成された反射特性を有する被測定
物体の反射率を高精度に求め、被測定物体の表面温度を
高精度に算出する物体の放射率及び温度の測定方法及び
装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る物体の温度
測定方法は、被測定物体の表面と平行に、且つセンサの
受光方向と垂直に配設された棒状の光源から前記被測定
物体の表面に光を照射する工程と、前記被測定物体の表
面からの反射光を受光し、その強度分布を求める工程
と、反射光の強度分布に基づいて、完全拡散反射モデル
を用いて指向性のない完全拡散反射成分を求め、また鏡
面性拡散反射モデルを用いて指向性を持つ鏡面性拡散反
射成分を求める工程と、完全拡散反射成分と鏡面性拡散
反射成分との和から前記被測定物体の表面の全反射光量
を算出する工程と、全反射光量に基づいて反射率を求
め、前記反射率と放射率との関係に基づいて被測定物体
の放射率を算出し、放射率に基づいて被測定物体の表面
の温度を演算する工程とを有している。塗装材のように
鏡面性拡散反射と完全拡散反射が合成された反射特性を
示す被測定物体表面の物体の放射率及び温度の測定方法
に関し、完全拡散反射モデルを用いて完全拡散反射成分
を算出し、鏡面性拡散反射モデルを用いて鏡面性拡散反
射成分を算出し、2つの反射成分についてそれぞれ評価
を行う。その2つの成分の和から全反射光量を求めて反
射率算出の精度を高め、それに基づいて放射率及び被測
定物体の温度を算出することで精度を高める。
【0017】また、本発明に係る物体の温度測定装置
は、被測定物体の表面からの反射光を受光するセンサ
と、被測定物体の表面と平行に、且つセンサの受光方向
と垂直に配設され、被測定物体の表面に光を照射する棒
状の光源と、センサが受光した前記反射光の強度分布を
求め、強度分布に基づいて、完全拡散反射モデルを用い
て指向性のない完全拡散反射成分を求め、また鏡面性拡
散反射モデルを用いて鏡面性拡散反射成分を求め、完全
拡散反射成分と鏡面性拡散反射成分との和に基づいて被
測定物体の表面の反射率を演算し、反射率と放射率の関
係に基づいて被測定物体の表面の反射率から被測定物体
の放射率を算出し、被測定物体の表面の放射率に基づい
て前記被測定物体の温度を演算する演算器とを備えてい
る。塗装材のように鏡面性拡散反射と完全拡散反射が合
成された反射特性を示す被測定物体表面の物体の放射率
及び温度の測定装置に関し、完全拡散反射モデルを用い
て完全拡散反射成分を算出し、鏡面性拡散反射モデルを
用いて鏡面性拡散反射成分を算出し、2つの反射成分に
ついてそれぞれ評価を行う。その2つの成分の和から全
反射光量を求めて反射率算出の精度を高め、それに基づ
いて放射率及び被測定物体の温度を算出する演算器を備
え、精度を高める。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施形態1.図1は本発明の第1の実施の形態に係る物
体の放射率及び温度の測定方法及び装置の構成図であ
る。図において、1は被測定物体の表面である。被測定
物体の表面1は塗装材によって塗装されている。棒状放
射源3は電源5と接続され、被測定物体表面1と平行に
配設される。棒状放射源3の照射光の強度を直接測定す
るために、棒状放射源3の放射方向と平行に光検出器9
が配設され、その照射強度の信号はリレースイッチ14
に送られる。また、棒状放射源3と被測定物体の表面1
との間には、棒状放射源3から被測定物体表面1上の反
射光測定範囲に照射される照射光を遮断できるように遮
断装置4が配設されている。遮断装置4の動作は、コン
トローラ13により制御され、この制御データはシャッ
ター信号として演算器8に送られる。走査型放射温度計
2は、棒状放射源3を法線とし、棒状放射源3の中心を
含む平面上で、しかも棒状放射源3から被測定物体の表
面1に斜めに照射される照射光の正反射方向が走査角の
中心となるように配設される。走査型放射温度計2から
は、演算器8に角度トリガ信号が出力される。また反射
光信号がリレースイッチ14に出力される。リレースイ
ッチ14では、光検出器9から入力されたデータ信号
と、走査型放射温度計2から入力された反射光信号を切
り換えて増幅器7に出力し、増幅器7は入力された信号
を増幅して演算器8に出力する。また、リレースイッチ
14は切り換え信号を演算器8に送出し、どちらの信号
を送出したかを演算器8が分かるようにする。なお、棒
状放射源3の光の照射光の強度測定は必ずしも光検出器
9を使う必要はなく、走査型放射温度計2の走査範囲に
棒状放射源3を設置し、走査型放射温度計2が棒状放射
源3の照射光の強度を直接測定するようにしてもよい。
【0019】本実施の形態は、走査型放射温度計2を用
いて、鏡面性拡散反射を含む範囲よりも広角の反射光の
強度を測定することにより、反射パターンの一部から完
全拡散反射の光量を求め、鏡面性拡散反射成分と合わせ
て半球上の全反射光量を求めるものである。
【0020】図9は本発明の第1の実施の形態に係る演
算器8の構成ブロック図である。図において、タイミン
グスイッチ91は、入力された反射光信号又は照射光の
強度のデータ信号を角度トリガ信号に基づいてサンプリ
ングする。タイミングスイッチ91からサンプリングさ
れて出力された光の強度のデータは、A/D変換器92
によりアナログデータからデジタルデータに変換され
て、メモリ切り換えスイッチ93に送られる。メモリ切
り換えスイッチ93は、コントローラ13から送られた
シャッター信号、及びリレースイッチ14から送られた
切り換え信号により、入力されたデータをメモリ94、
メモリ95又はメモリ96の該当するメモリに出力す
る。メモリ94は、遮断装置4を開いた状態で測定され
た反射光+放射光の強度の信号がデータとしてサンプリ
ング毎に記憶される。メモリ95は、遮断装置4を閉じ
た状態で測定された放射光のみの強度の信号がデータと
してサンプリング毎に記憶される。メモリ96は、光検
出器9により測定された棒状放射源3の放射光の強度の
信号がデータとして記憶される。メモリ94、メモリ9
5又はメモリ96に記憶されたデータは必要に応じて、
演算部97から読み出される。
【0021】図10は演算部97の演算手順を示した図
である。また、図11は全反射光量を求める演算過程の
図である。ここでは被測定物体の表面1の反射率を求
め、その反射率から放射率及び被測定物体の表面1の温
度を求める方法について説明する。演算部97は、メモ
リ94及びメモリ95からデータを入力し、メモリ95
の値とメモリ94の値との差をとる(S1)。これによ
り、反射光のみの光の強度が求められる。これを走査角
毎に演算することで反射強度分布が求められる。走査角
に対応した反射強度分布から1点での反射パターンを合
成するためには、被測定物体の表面1、放射温度計2及
び棒状放射源3の位置関係を考慮し、被測定物体の表面
1上のそれぞれの位置に応じて反射強度補正を行う必要
がある(S2)。
【0022】そこで、先程求めた反射強度分布から完全
拡散反射の補正を行う。図12は被測定物体の表面1、
走査型放射温度計2及び棒状放射源3の位置関係を示す
図である。被測定物体の表面1をxz平面とし、棒状放射
源3の中心を通るxz平面の垂線をy 軸とする。完全拡散
反射の強度補正項目は次の4項目となる。 (1)棒状放射源3と被測定物体の表面1との距離補正
… l2 (2)棒状放射源3から対象への入射角補正… COSθ2
(XO ) (3)棒状放射源3の長さ補正… 2・Z0 (4)走査型放射温度計2の見込み角補正
【0023】まず、(1)〜(3)の要件を加味した補
正について説明する。図13は被測定物体の表面1と棒
状放射源3との位置関係を示す図である。走査型放射温
度計2はX 軸上をスキャンするものとし、棒状放射源3
の長さを 2・Z0 、棒状放射源3上のある点 (0, h1 ,z)
から被測定物体の表面1上の点(X0 ,0,0) までの距離を
l、棒状放射源3と被測定物体の表面1との最小距離を
h 1 とし、図のようにθ1 、θ2 を定義する。棒状放射
源3の単位長さ当たりの輝度をk とすると、(X0 ,0,0)
方向への輝度は次式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】したがって、(X0 ,0,0) における棒状放射
源3の単位長の照度ΔE は、次式のようになる。
【0026】
【数2】
【0027】したがって(X0 ,0,0)における棒状放射源
3全体からの照度E はZ の関数として次式で表される。
【0028】
【数3】
【0029】これを計算したものが、次式となる。
【0030】
【数4】
【0031】さらに(4)の要件を含む最終的な強度補
正式は、走査型放射温度計2の各画素が X0 の関数とし
て走査型放射温度計見込み角θ(対象の法線方向を0
度)で対象を見込む場合には次式により補正される。
【0032】
【数5】
【0033】図14は被測定物体の表面1上の完全拡散
反射の角度変換について示した図である。完全拡散反射
は、反射パターンがランバーシャンであるため、走査角
に対応した被測定物体の表面1上の各反射点において、
被測定物体の表面1の垂直方向と測定方向とに挟まれる
角をそれぞれ求め、それらを合成して、被測定物体の表
面1上の1点(X0 ,0,0) における反射パターンを算出す
る。この反射パターンには鏡面性反射による反射パター
ンも含まれている。完全拡散反射パターンは円として合
成されているので、反射パターンのうち、円に対応する
部分が完全拡散反射による反射パターンである。したが
って、この円に対応する部分をθの関数として積分し、
完全拡散反射成分を算出する(S3)。
【0034】完全拡散反射成分が導き出されると、次に
鏡面性拡散反射について反射強度補正を行う。先程求め
た反射パターンから、完全拡散反射パターンである円に
対応する部分を分離する。このままでは完全拡散反射の
補正をされているので、完全拡散反射の逆補正を行い、
鏡面性反射に対応する強度分布に戻す(S4)。鏡面性
拡散反射の場合、走査型放射温度計2で検出される反射
光は棒状放射源3の中心部から照射された光による寄与
がほとんどのため、放射源は点放射源として扱うことに
して強度補正を行う(S5)。点(X0 ,0,0)における照
度は、放射源輝度をk として次式で表される。
【0035】
【数6】
【0036】ここでの補正項目は (1)棒状放射源3と被測定物体の表面1との距離補正
… L2 (2)棒状放射源3から被測定物体の表面1への入射角
補正… COSθ2 (XO )である。さらに次の補正を加え
る。 (3)被測定物体の表面1から走査型放射温度計2への
出射角補正… COSθ(XO) 以上(1)〜(3)の要件を加味した補正式は次式のよ
うになる。
【0037】
【数7】
【0038】図15は被測定物体の表面1上の鏡面性拡
散反射の角度変換について示した図である。走査角に対
応した被測定物体上の各反射点における正反射方向と測
定方向の挟む角を求め合成し、被測定物体の表面1の1
点(X0 ,0,0) における鏡面性拡散反射パターンを算出す
る。
【0039】鏡面性拡散反射パターンが求められると、
これをθの関数として積分する(S6)。これにより鏡
面性拡散反射成分が導かれる。先程求めた完全拡散反射
成分と鏡面性拡散反射成分との和が、全反射光量となる
(S7)。
【0040】メモリ96に記憶される棒状放射源3の放
射強度を演算し(S8)、これと全反射光量との比から
反射率を求める。また、求めた放射率と、上述したキル
ヒホッフの式から放射率を求めることができる(S
9)。メモリ95に入力された放射光のみの光の強度及
び放射率に基づいて、被測定物体の表面1の温度が求め
られる(S10)。
【0041】図16は図1で構成される物体の放射率及
び温度の測定装置によりカラー鋼板の1次元反射パター
ンを測定したものである。サンプルは図6で測定したも
のと同じものを用いている。反射パターンの一部に完全
拡散反射が現れているのが分かる。また、棒状放射源3
を考慮して演算する演算器8を有した装置であるため、
図6と比較して、完全拡散反射が強調されている。これ
により完全拡散反射の測定精度が向上し、反射率測定精
度が向上する。
【0042】また、図17は図1で構成される物体の放
射率及び温度の測定装置により、カラー鋼板の温度をオ
フライン測定した結果である。温度測定値の比較には、
カラー鋼板に溶接した熱電対の指示値を用いた。また、
温度測定値は測定した反射率値及び放射率値を用いて求
めた値である。測定の結果、±3℃の温度精度であり、
高精度な温度測定が可能である。
【0043】上記の実施の形態においては、演算器8
が、反射光の強度分布から、完全拡散反射成分及び鏡面
性反射成分を別々の補正を加えて評価し、算出するの
で、高精度の全反射光量を得ることができ、被測定物体
の表面1の放射率及び温度が高精度、高速及び非接触に
測定できる。
【0044】実施形態2.なお、上述の実施の形態にお
いては、センサとして走査型放射温度計2を備えた装置
を例示したが、本発明ではそれに限定されるものではな
く、他の同様な機能を有するもの、例えば図18のよう
に、レンズ181により鏡面性拡散反射成分の反射光を
集光し、スポット検出器182で受光し、別の角度に配
設されたスポット検出器183により完全拡散反射光の
みを受光するようにしてもよい。
【0045】また、上述の実施の形態においては、棒状
放射源3を備えた装置を例示したが、本発明ではそれに
限定されるものではなく、他の同様な機能を有するも
の、例えば図19のように、レーザ191を用いて光を
照射するようにしてもよい。
【0046】さらに、上記の実施の形態においては、レ
ンズとスポット検出器を用いて受光していたが、本発明
ではそれに限定されるものではなく、他の同様な機能を
有するもの、例えば図20のように、リニアセンサ20
1を用いて鏡面性拡散反射成分を受光してもよい。
【0047】ところで、本発明は塗装された物体だけで
なく、塗装前の物体についても適用可能である。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、合成反射
成分を完全拡散反射成分と鏡面性拡散反射成分に分離し
て、それぞれについて別々の補正及び算出を行うため、
反射光の中に完全拡散反射成分及び鏡面性拡散反射成分
が含まれている被測定物体の表面の反射率、放射率及び
温度を高精度、高速及び非接触に測定することが可能と
なる。そのため未知の放射率を持つ塗装材についてもオ
ンライン温度測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る物体の放射率
及び温度の測定装置の構成図である。
【図2】従来例1に係る反射率測定装置の模式図であ
る。
【図3】従来例2に係る反射率測定装置の模式図であ
る。
【図4】従来例3に係る放射式温度測定装置の模式図で
ある。
【図5】従来例4に係る放射式温度測定装置の模式図で
ある。
【図6】塗装表面にレーザ光を照射したときの1次元反
射パターン図と拡大図である。
【図7】鏡面性拡散反射を示す図である。
【図8】完全拡散反射を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る演算器8の構
成ブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る演算部97
の演算手順を示した図である。
【図11】全反射光量を求める演算過程の図である。
【図12】被測定物体の表面1上の点、走査型放射温度
計2及び棒状放射源3の位置関係を示す図である。
【図13】被測定物体の表面1上の点と棒状放射源3と
の位置関係を示す図である。
【図14】完全拡散反射の角度変換について示した図で
ある。
【図15】鏡面性拡散反射の角度変換について示した図
である。
【図16】カラー鋼板を測定した1次元反射パターン図
である。
【図17】カラー鋼板の温度をオフライン測定した結果
を示す図である。
【図18】本発明の他の実施の形態に係る完全拡散反射
光と鏡面性拡散反射光を別々に受光する2つのスポット
検出器を備えた物体の放射率及び温度の測定装置であ
る。
【図19】本発明の他の実施の形態に係る光源にレーザ
を備えた物体の放射率及び温度の測定装置である。
【図20】本発明の他の実施の形態に係る鏡面性拡散反
射光の受光にリニアセンサを備えた物体の放射率及び温
度の測定装置である。
【符号の説明】
1 被測定物体の表面 2 走査型放射温度計 3 棒状放射源 4 遮光装置 5 電源 7 増幅器 8 演算器 9 光検出器 13 コントローラ 14 リレースイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 紀夫 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 真鍋 俊樹 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−74831(JP,A) 特開 平7−63613(JP,A) 特開 平6−31229(JP,A) 特開 昭63−6428(JP,A) 特許3259815(JP,B2) IEEE fifth Intern ational Conference on Image Processi ng And Its Applica tions,340−344 材料とプロセス,第9巻第5号,p. 946 SICE第35回学術講演会予稿集, 1996年 7月24日,Vol.1,p. 321−322 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 5/00 - 5/62 JICSTファイル(JOIS) IEEE Xplore

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物体の表面と平行に、且つセンサ
    の受光方向と垂直に配設された棒状の光源から前記被測
    定物体の表面に光を照射する工程と、 前記被測定物体の表面からの反射光を 受光し、その強度
    分布を求める工程と、 前記反射光の強度分布に基づいて、完全拡散反射モデル
    を用いて指向性のない完全拡散反射成分を求め、また鏡
    面性拡散反射モデルを用いて指向性を持つ鏡面性拡散反
    射成分を求める工程と、 前記完全拡散反射成分と前記鏡面性拡散反射成分との和
    から前記被測定物体の表面の全反射光量を算出する工程
    と、 該全反射光量に基づいて反射率を求め、前記反射率と放
    射率との関係に基づいて前記被測定物体の放射率を算出
    し、該放射率に基づいて前記被測定物体の表面の温度を
    演算する工程と を有することを特徴とする物体の温度測定方法。
  2. 【請求項2】 前記被測定物体の表面上の複数の点を含
    む範囲に光を照射して、前記複数の点からの反射光を受
    光することを特徴とする請求項1記載の物体の温度測定
    方法。
  3. 【請求項3】 前記被測定物体の表面は、反射光中に前
    記完全拡散反射及び前記鏡面性拡散反射の特性を有す
    る、塗装された表面であることを特徴とする請求項1又
    は2記載の物体の温度測定方法。
  4. 【請求項4】 被測定物体の表面からの反射光を受光す
    るセンサと、 前記被測定物体の表面と平行に、且つ前記センサの受光
    方向と垂直に配設され、前記被測定物体の表面に光を照
    射する棒状の光源と、 前記センサ が受光した前記反射光の強度分布を求め、該
    強度分布に基づいて、完全拡散反射モデルを用いて指向
    性のない完全拡散反射成分を求め、また鏡面性拡散反射
    モデルを用いて鏡面性拡散反射成分を求め、前記完全拡
    散反射成分と前記鏡面性拡散反射成分との和に基づいて
    前記被測定物体の表面の反射率を演算し、反射率と放射
    率の関係に基づいて前記被測定物体の表面の反射率から
    前記被測定物体の放射率を算出し、該被測定物体の表面
    の放射率に基づいて前記被測定物体の温度を演算する演
    算器と を備えたことを特徴とする物体の温度測定装置
  5. 【請求項5】 被測定物体の表面から放射される放射光
    を検出し温度に換算するものであり、かつ、その温度換
    算にあたって放射率を設定するものであって、前記被測
    定物体の表面の放射率を求めるのに反射率を測定する物
    体の温度測定装置において、 前記反射率を取得するために、前記被測定物体の表面か
    らの反射光を受光するセンサと、 前記被測定物体の表面と平行に、且つ前記センサの受光
    方向と垂直に配設され、前記被測定物体の表面に光を照
    射する棒状の光源と を備えたことを特徴とする物体の温度測定装置
  6. 【請求項6】 前記被測定物体の表面は、反射光中に前
    記完全拡散反射及び前記鏡面性拡散反射の特性を有す
    る、塗装された表面であることを特徴とする請求項4又
    は5記載の物体の温度測定装置。
  7. 【請求項7】 前記棒状の光源は前記被測定物体の表面
    上の複数の点を含む範囲に光を照射し、前記センサは、
    前記被測定物体の表面上の複数の点からの反射光を受光
    することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の
    物体の温度測定装置。
  8. 【請求項8】 前記完全拡散反射モデルは、前記被測定
    物体の表面の反射光の強度分布に基づいて前記反射光の
    強度を補正し、補正された前記反射光の強度を合成して
    前記被測定物体の表面上の1点からの反射光とする反射
    パターンを生成し、該反射パターンに基づいて完全拡散
    反射パターンを算出し、完全拡散反射パターンに基づい
    て前記完全拡散反射成分を求める数式群で構成され、ま
    た前記鏡面性反射モデルは、前記反射パターン及び前記
    完全拡散反射パターンに基づいて鏡面性拡散反射光の強
    度分布を算出し、該鏡面性拡散反射光の強度分布に基づ
    いて、前記鏡面性拡散反射光の強度を補正し、補正され
    た前記鏡面性拡散反射光を合成して前記被測定物体の表
    面上の1点からの反射光とする鏡面性拡散反射パターン
    を生成し、該鏡面性拡散反射パターンに基づいて前記鏡
    面性拡散反射成分を求める数式群で構成されることを特
    徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の物体の温度測
    定装置。
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材料とプロセス,第9巻第5号,p.946

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