JPH05209792A - 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置 - Google Patents

放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置

Info

Publication number
JPH05209792A
JPH05209792A JP4016662A JP1666292A JPH05209792A JP H05209792 A JPH05209792 A JP H05209792A JP 4016662 A JP4016662 A JP 4016662A JP 1666292 A JP1666292 A JP 1666292A JP H05209792 A JPH05209792 A JP H05209792A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measured
light
emissivity
intensity
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4016662A
Other languages
English (en)
Inventor
Chihiro Uematsu
千尋 植松
Kazuo Hiramoto
一男 平本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP4016662A priority Critical patent/JPH05209792A/ja
Publication of JPH05209792A publication Critical patent/JPH05209792A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 所定強度の平行な光を被測定物11の表面に
所定角度傾けて照射し、被測定物表面表面12に対する
法線と照射方向との同一平面内で法線に対して照射方向
と線対称になり、しかも被測定物11の表面12から所
定の距離になる位置で反射光量と熱放射光量の1次元的
な分布を測定する。反射光量分布から反射率を求め、次
に反射率との関係から放射率を算出し、放射率と測定し
た熱放射光量とから表面温度を求める放射率と表面温度
の同時測定方法。 【効果】 従来の方法では不十分であった拡散反射性の
高い被測定物表面12の放射率が正確、簡単、迅速に得
られ、放射率が変化し、しかも高速で移動する被測定物
表面12の温度を測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射率と表面温度の同時
測定方法および該測定方法に使用する装置に関し、より
詳細には例えば鉄鋼業における各種鋼板、鋼管の高速オ
ンライン製造工程等に適用可能な放射率と表面温度の同
時測定方法および該測定方法に使用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】被測定物表面からの熱放射光量および放
射率から被測定物表面の温度を測定する放射式温度測定
法は、非接触で応答性の早い温度測定法であり、従来か
ら種々の方法が提案されている。
【0003】図8は従来例1における放射式温度測定法
(計測自動制御学会論文集第16巻2号(昭55)参
照)で使用される装置の模式的断面図であり、図中11
は被測定物を示しており、その表面12は鏡面性を有し
ている。被測定物11は容器31内に置かれ、被測定物
表面12の法線に対して角度θを有する照射光軸上に
は、黒体放射源33およびモーター35により回転され
る水冷式の回転セクター(扇形遮蔽板)36が配設さ
れ、また法線に対して前記照射光軸と線対称な反射光軸
上には放射計37が配設されている。このように構成さ
れた装置を用いて被測定物表面12の温度を測定する場
合、回転セクター36が黒体放射源33からの光束を遮
らない位置にあるときは、黒体放射源33から照射され
た照射光が被測定物表面12で反射され、該反射光およ
び被測定物表面12が放射する熱放射光との和(第1の
光強度)L1 が放射計37で検出される。また、回転セ
クター36が黒体放射源33からの光束を遮る位置にあ
るときは、被測定物表面12自体が放射する熱放射光
(第2の光強度)L2 のみが放射計37で検出される また、図9は従来例2における放射式温度測定法(特開
昭61−86621号公報参照)で使用される装置の模
式的断面図であり、図中11は被測定物を示しており、
その表面12は鏡面性を有している。被測定物表面12
の法線軸上にはミラー38、集光レンズ20および放射
計37が配設され、またミラー38を介して被測定物表
面12に光を照射する発光源13がミラー38の側方に
配設されている。このように構成された装置を用いて温
度を測定する場合、まず反射率ρが1である被測定物1
1とは異なる基準鏡面反射板に発光源13からミラー3
8を介して光束を照射し、反射光量を測定して発光源1
3の発光光量L0 を求める。また反射率ρと放射率εと
がすでに分かっている物体からρとεとの和Kを求めて
おく。次に前記基準鏡面反射板を被測定物11に置き換
えて光束を被測定物11に照射し、被測定物表面12で
反射する反射光および被測定物表面12が放射する熱放
射光との和(第1の光強度)L1 を放射計37で測定す
る。また、照射光を被測定物表面12に照射せずに被測
定物表面12自体が放射する熱放射光(第2の光強度)
2 のみを放射計37で測定する。従来例1、2とも
に、これらの測定値から次の計算により被測定物表面1
2の放射率および温度を求める。まずL0 、L1 、L2
から 数1により被測定物表面12の反射率ρを求め
る。
【0004】
【数1】
【0005】次に、上記反射率ρから数2により被測定
物表面12の放射率εを求める。
【0006】
【数2】
【0007】ただし、被測定物表面12が拡散性反射面
の場合は数3により求める。
【0008】
【数3】
【0009】さらに第2の光強度から求められる輝度温
度Ta および上記放射率εから数4により被測定物表面
12の温度Tが得られる。
【0010】
【数4】
【0011】また図10(a)は従来例3における放射
式温度測定法(鉄と鋼、第65巻、1号(1979年)
および特公昭52−7954号公報参照)で使用される
装置の模式的断面図であり、図中11は被測定物を示し
ておりその表面12は鏡面性を有している。被測定物表
面12の直上には内面が鏡面反射性を有する円筒39が
配設され、円筒39上には図10(b)に示す開口部4
0を有する回転セクター36ならびに回転セクター36
を回転させるモータ35が配設されている。また回転セ
クター36上には放射計37が配設されており、円筒3
9の中心軸、回転セクター36の開口部40および放射
計37の入射光軸がそれぞれ被測定物表面12の法線軸
上に位置するように配設されている。このように構成さ
れた装置を用いて被測定物11の表面温度を測定する場
合、回転セクター36が被測定物表面12の法線軸上に
ないときは被測定物表面12が放射する放射エネルギー
E1のみが放射計37で検出される。被測定物表面12
の温度、放射率および放射エネルギーをそれぞれT、ε
およびEbとすると、放射計37により検出される上記
E1は数5のように表わせる。
【0012】
【数5】
【0013】また回転セクター36が被測定物表面12
の法線軸上にあるときは、被測定物表面12が放射した
熱放射光が回転セクター36の開口部40を通って直接
放射計37に入射する放射光と、回転セクター36の下
面、円筒39の内面および被測定物表面12との間でさ
まざまに反射を繰り返しながら回転セクター36の開口
部40を通って放射計37に入射する放射光との和を測
定する。このようにして放射計37により検出される放
射エネルギーE2 は、実効的に放射率が増大した形で数
6のように表わされる。
【0014】
【数6】
【0015】上記したg(ε)とεとの関係は予め知る
ことができるので、上記した数5および数6を連立方程
式として解くことにより、放射率εおよび被測定物表面
12の温度Tを求めることができる。
【0016】また、図11は従来例4の放射式温度測定
法(特願昭63−75670号公報参照)で使用される
装置の模式的断面図であり、図中11は被測定物を示し
ている。被測定物11の上方側方には発光源13、チョ
ッパー等の間欠照射装置(図示せず)および非球面レン
ズ14が同軸上に配設され、発光源13および非球面レ
ンズ14により形成された平行光束を被測定物表面12
の法線方向に反射する角度にハーフミラー17が配設さ
れ、ハーフミラー17の上方で被測定物表面12の法線
上には平行光束の直径Dに対して一定割合になる距離l
(位置P)に放射計37が配設されている。また、発光
源13及び非球面レンズ14により形成された平行光束
内にはミラー38が配設され、ミラー38が平行光束を
反射する光軸上には集光レンズ20および平行光束が集
光レンズ20により焦点を結ぶ位置には光検出器18が
それぞれ配設されている。また、ハーフミラー17と放
射計37との間には別のハーフミラー41が配設され、
被測定物表面12が放射する破線で示す部分の熱放射光
をハーフミラー41が反射する位置には放射計42が配
設されている。このように構成された装置を用いて被測
定物11の表面温度を測定する場合、発光源13からの
光が非球面レンズ14により平行光束に形成され、ハー
フミラー17を介して被測定物表面12に照射されてい
るとき、前記平行光束の光量I0 を光検出器18で測定
し、また被測定物表面12からの光量I1 を放射計37
で測定する。光量I1 は被測定物表面12が反射するD
/lで規定される近似反射光量(近似反射率とI0 との
積)と被測定物表面12が放射する熱放射光量I2 との
和である。次にチョッパー等の間欠照射装置により発光
源13からの平行光束が遮られるときは、被測定物表面
12が放射する熱放射光量I2 のみを放射計42で測定
する。これらの測定値から、前記近似反射率は(I1
2 )/I0 により求まり、また放射率εは(1−近似
反射率)により求まり、さらに熱放射光量により求めら
れた温度計出力V0 と前記放射率εおよび被測定物表面
12の温度Tとの関係を示す下記の数7により被測定物
表面温度Tが得られる。
【0017】
【数7】
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来例1、2
の放射式温度測定法では、被測定物表面12が鏡面反射
性ではなく拡散反射性の場合、周囲からの放射光(ノイ
ズ光)が被測定物表面12で拡散反射して放射計37に
入射するために放射率および温度の測定誤差が大きい。
また放射率εと反射率ρとの間に前記数2の関係が成立
しないので、被測定物表面12の拡散反射特性を表すρ
=P(1−ε)のごときパラメターPを導入して反射率
ρを補正する必要がある.しかしながらパラメターPは
被測定物11の材質、表面粗さ、酸化度合い等により変
化するため、例えば鉄鋼業における各種鋼板、鋼管の高
速オンライン製造工程等では精度の高い測定ができない
といった問題があった。
【0019】また上記した従来例3の放射式温度測定法
では、円筒39により周囲からの放射光(ノイズ光)は
放射計37に混入しないので測定精度は向上するが、円
筒37を被測定物表面12に近接して配設し、かつ円筒
37内面を鏡面性に保つことは、例えば鉄鋼業における
各種鋼板、鋼管の高速オンライン製造工程等では困難で
あるといった問題があった。
【0020】また上記した従来例4の放射式温度測定法
では、広い平行光束を被測定物表面12に対し法線方向
から照射して被測定物表面12からの熱放射光と反射光
とを測定するので、周囲からの放射光(ノイズ光)の影
響は少なく、拡散反射性表面の被測定物12に対しても
適用でき、さらに放射率は測定の都度求められるので放
射率補正が容易となり、例えば鉄鋼業における各種鋼
板、鋼管の高速オンライン製造工程にも適用可能であ
る。しかしながら、近似反射率を用いるため放射率の精
度が不十分であり、また非球面レンズをはじめ装置が大
型化し、かつ測定システムの自動化が不十分であるとい
う問題があった。
【0021】本発明はこのような課題に鑑みなされたも
のであり、自動システム化され、小型でメンテナンス性
が良い、高精度の放射率と表面温度の同時測定方法およ
び該方法に使用する装置を提供することを目的としてい
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明に係る放射率と表面温度の同時測定方法は、所
定の強度を有する平行光束を被測定物の表面に対して所
定角度傾けた照射方向から照射するとともに、前記被測
定物表面に対する法線と前記照射方向とを含む平面内で
前記法線に対して前記照射方向と線対称な方向でかつ前
記被測定物表面から所定の距離において前記被測定物表
面からの反射光量および熱放射光量の1次元的な分布を
測定し、前記反射光量分布から前記被測定物表面の反射
率を求め、該反射率と放射率との間の関係から前記被測
定物表面の放射率を算出し、該放射率と前記熱放射光量
とから被測定物表面の温度を求めることを特徴としてい
る。
【0023】また上記放射率と表面温度の同時測定方法
において、所定の強度を有する平行光束を被測定物表面
の法線に対して所定の角度を有する照射方向から前記被
測定物表面に対して照射するとともに、前記法線と前記
照射方向とを含む平面内で前記法線に対して前記照射方
向と線対称な方向で、かつ前記被測定物表面から所定の
距離において前記被測定物表面からの反射光量および熱
放射光量の1次元的な分布を測定して第1の光強度分布
を得、次に前記平行光束の照射を行うことなく前記被測
定物表面からの光量の1次元的な分布を測定して第2の
光強度分布を得、これら第1と第2の光強度分布の差か
ら前記反射光量分布を求め、第2の光強度分布から前記
熱放射光量を求めることを特徴としている。
【0024】また上記放射率と表面温度の同時測定方法
において、所定の強度を有する強度変調光の平行光束を
被測定物表面の法線に対して所定の角度を有する照射方
向から前記被測定物表面に対して照射するとともに、前
記法線と前記照射方向とを含む平面内で前記法線に対し
て前記照射方向と線対称な方向で、かつ前記被測定物表
面から所定の距離において前記被測定物表面からの反射
光量および熱放射光量の1次元的な分布を測定し、該測
定から前記強度変調光成分を抽出することによって反射
光量を得、前記被測定物表面からの光量の1次元的な分
布から前記強度変調光成分を除去することで前記熱放射
光量を得ることを特徴としている。
【0025】また本発明に係る放射率と表面温度の同時
測定装置は、所定強度の光を発生する発光源と、該発光
源からの光を平行光束に変換して被測定物表面に対する
法線から所定の角度で前記被測定物表面に照射するため
の光学系と、前記被測定物表面からの反射光と熱放射光
とを受光する1次元光検出器と、前記発光源の光を前記
1次元光検出器に導く光学系とを備えていることを特徴
としている。
【0026】
【作用】被測定物表面に光が照射される場合、入射光、
反射光および吸収光の間には下記の数8で示されるエネ
ルギー保存則が成立する.
【0027】
【数8】
【0028】また、キルヒホッフの法則から、放射率を
ε、吸収率をαとすると下記の数9が成立する。
【0029】
【数9】
【0030】図2は入射光および反射光のそれぞれの角
度を説明するための概念図である。光が平面A上の測定
点O点に対してBO方向から入射してOC方向へ反射す
る場合、法線ON軸および平面A上のOX軸を基準にす
ると、光の入射角は(θ,φ)、反射角は(θ’,
φ’)で表わされる。不透明で平面状の被測定物表面に
波長λの光が入射角(θ,φ)で入射し、反射角
(θ’,φ’)で反射する場合、被測定物が不透明の条
件からβ=0、平面の条件から反射率ρはρ=ρ(2π)
(半球反射率)であり、また反射率および放射率が波長
λと入射角(θ,φ)の関数であることから、数8およ
び数9より下記の数10が得られる。
【0031】
【数10】
【0032】しかしながら数9における前記半球反射率
ρ(2π) は、被測定物表面が鏡面反射性の場合は該被測
定物表面の法線に対して入射角(θ,φ)と共役な反射
角(θ’,φ’)への反射光の反射率ρとして求められ
るが、被測定物表面が拡散反射性の場合は上記のように
は求められない。本発明においては、前記半球反射率ρ
(2π) に代えて、半球反射率の近似値ρを求めることに
より被測定物表面が拡散反射性の場合にも適用可能にす
るものである。
【0033】図3は、放射率と表面温度の同時測定方法
の原理を説明するための概念図である。図3において、
被測定物表面12上の測定点Oに対して法線OO’に対
する角度αの方向AOから所定の強度I0 を有する平行
光束を照射した場合、被測定物表面から距離Lの位置に
ある1次元光検出器21で検出される光量をI1 〜In
(nは1次元光検出器21の画素数)とする。そのとき
1次元光検出器21で検出される光量分布は図4(a)
に示したようになり、また平行光束を照射しないときに
検出される光量分布は図4(b)に示したようになる。
なお図中I0 iは被測定物表面12からの熱放射光強度、
i −I0 i(ただしi=1〜n)は平行光束が被測定物
表面12で反射された反射光強度である。ここで被測定
物表面12の反射率分布は、反射角度δの関数R(δ)
を用いると下記の数11のように表わされる。
【0034】
【数11】
【0035】しかしながら、実際の反射率は測定点Oと
それぞれの光検出器との距離が異なるので補正する必要
があり、Ii (ただしi=1〜n)が最大になるm番目
の光検出器Dm と測定点Oとを結ぶ直線および法線OO
' とが作る角度σm 並びに距離Lを基準にすると、補正
反射率関数R' は下記の数12のように表わせる。
【0036】
【数12】
【0037】しかるにまた、一般的に被測定物表面12
が拡散性表面の場合においても、照射角θ1 に対しては
法線に関して共役な角度θ1 における反射率が最も大き
いのでδm =θ1 となり、したがって図3に示すように
δm と各画素とのなす角度をθとすると補正反射率関数
' は下記の数13のように表わされる。
【0038】
【数13】
【0039】一方、被測定物表面12に光束が法線方向
から照射される場合のθ方向の反射率分布Rsは、下記
の数14で近似できる。なお、αおよびβは被測定物表
面12の粗さ等によって決まる定数である。
【0040】
【数14】
【0041】上記のように数13および数14は同一の
反射率の角度分布を表わしているので未知数のαおよび
βは最小自乗法で求められ、いまα=C1 およびβ=C
2 とすると被測定物表面12の反射率ρ(θ)は、ρ
(θ)=C2 ・exp(−C1・θ)となり、さらに半
球反射率ρ(2π) は下記の数15により求められる。し
たがって1次元光検出器21で測定不可能な角度範囲
(図3におけるθより大きい角度)の反射率分布につい
ても推定が可能となる。
【0042】
【数15】
【0043】以上によって被測定物表面の放射率εは、
ε=1−ρ(2π) で求められ、さらに該放射率と前記熱
放射光量I0 1より温度が得られることとなる。
【0044】なお、上記間欠的照射方法としては、チョ
ッパー等による発光源に対する間欠的遮蔽手段のほか、
発光源が間欠作動されるかあるいは強度変調光を用いて
も同様の作用をもたらす。
【0045】
【実施例】以下、本発明に係る放射率と表面温度の同時
測定方法および該方法に使用する装置の実施例を図面に
基づいて説明する。
【0046】図1は本発明に係る放射率と表面温度の同
時測定方法に用いられる装置の一実施例を模式的に示し
たブロック構成図であり、図中11は被測定物を示して
いる。被測定物表面12の法線に対して角度αを有する
照射光軸上には発光源13、非球面レンズ14、基準周
波数発振器15が接続されたチョッパー16および照射
光の一部を反射するように取りつけられたハーフミラー
17が配設されており、ハーフミラー17の反射光軸上
には光検出器18が配設されている。また、被測定物表
面12上方の反射光軸側には狭帯域フィルター19、集
光レンズ20および1次元CCD(荷電結合素子)21
が配設されている。さらに1次元CCD21は増幅器2
2、サンプリングアンドホールド回路23を介して演算
器24に接続されており、また基準周波数発振器15は
サンプリングアンドホールド回路23に接続されてい
る。なお1次元CCD21は、複数個の光検出器を1次
元状に並べたものでもよい。
【0047】このように構成された装置を用いて測定す
る場合、まず発光源13で形成された光を非球面レンズ
14で平行光束に変換し、基準周波数発振器15で駆動
されるチョッパー16を介して被測定物表面12に照射
する。被測定物表面12において反射または放射された
光は狭帯域フィルター19を透過し、集光レンズ20で
集光され、1次元CCD21で電気信号に変換され、増
幅器22で増幅される。さらにサンプリングアンドホー
ルド回路23に入力された電気信号は、基準周波数発振
器15からの基準周波数によって、間欠的に照射される
ときは反射光信号と熱放射光信号との和信号25、間欠
的に照射されないときは熱放射光信号26に変換されて
演算器24に入力される。また、光検出器18で検出さ
れた照射光信号27も演算器24に入力される。演算器
24により反射光信号と熱放射光信号との和信号25と
熱放射光信号26との差から反射光強度を求め、反射光
強度と照射光信号27から反射率を求め、被測定物表面
12の放射率と温度を得る。
【0048】以下に本装置を用いて、照射光と法線との
なす角度αを1°以下、狭帯域フィルター19の中心波
長を1.4μm、被測定物表面12と1次元CCD21
との距離を30mmとした場合、鏡面反射性に近い鋼板
(1)および拡散反射性の鋼板(2)についてそれぞれ
反射率分布を実測あるいは反射率関数(数13)で近似
した結果を図5に示す。また、本装置が測定可能な反射
光の角度0〜16°で実測した反射率データを用いて、
最小自乗法により数14における定数αおよびβを求
め、次いで数15によりさらに広角度まで求めた半球反
射率ρ(2π) は鋼板(1)が0.7、鋼板(2)が0.
6であった。
【0049】図5より明らかなように、鋼板(1)の反
射率は狭角度では高いが広角度では低下し、鋼板(2)
の反射率は狭角度では低いが広角度においても反射が持
続する。したがって従来の方法では、鋼板(1)の反射
率は高く、鋼板(2)の反射率は低く捉えられるおそれ
があった。しかしながら本測定法では、広範囲な反射率
分布の推定が可能なために鋼板(1)(2)ともに略等
しい反射率が得られており、本実施例に係る方法よって
拡散反射性の被測定物に対する放射率がきわめて簡単に
精度よく求められることが分かる。
【0050】さらに、上記と同一条件において鋼板
(1)を使用して高温にて酸化し、酸化膜の生成等によ
る放射率の変化およびこれに伴う温度変化を鋼板(1)
の表面に溶着させた熱電対による測定値とともに図6に
示す。従来の放射率を一定とした方法では測温精度は±
20℃であったが、図6で明らかなように本実施例に係
る方法では測温精度は±5℃以内であり、酸化膜の生成
すなわち拡散反射性の変化により放射率が変化しても精
度よく測定できることが分かる。
【0051】次に、本発明に係る放射率と温度の同時測
定方法及び該方法に使用する装置の別の実施例を図面に
基づいて説明する。図11は本発明に係る放射率と温度
の同時測定方法に用いられる装置の一実施例を模式的に
示したブロック構成図であり、図中11は被測定物を示
している。被測定物表面12上の法線に対する角度αの
照射光軸上には基準周波数発生器15及び光源電源28
により強度変調された光源13、非球面レンズ14及び
照射光の一部を反射するように取りつけられたハーフミ
ラー17が配設されており、ハーフミラー17の反射光
軸上には光検出器18が配設されている。また被測定物
表面12上方の反射光軸上には、狭帯域フィルタ19、
集光レンズ20及び1次元CCD21が配設されてい
る。さらに1次元CCD21はローパスフィルタ30、
増幅器31を介して演算器24に接続されている。また
1次元CCD21はロックインアンプ29にも接続さ
れ、ロックインアンプ29は基準周波数発生器15及び
演算器24に接続されている。また光検出器18はロッ
クインアンプ36に接続され、ロックインアンプ36は
基準周波数発生器15及び演算器24に接続されてい
る。
【0052】このよう構成された装置を用いて測定する
場合、まず強度変調された光源13の光を非球面レンズ
14で平行光束に変換し、被測定物表面12に照射す
る。被測定物表面12において反射または放射された光
は狭帯域フィルタ19を透過し、集光レンズ20で集光
され、1次元CCD21で受光電気信号33に変換され
る。受光電気信号33は、ロックインアンプ29により
変調周波数信号34及び同周波数信号成分すなわち反射
光信号32に変換される。また受光電気信号33は、ロ
ーパスフィルタ30、増幅器31により直流成分すなわ
ち熱放射と反射光成分実効値の和信号37に変換増幅さ
れる。また光検出器18で検出された基準光信号35
は、ロックインアンプ36により変調周波数信号34と
同周波数信号成分すなわち照射光信号27に変換され
る。演算器24においては、反射光信号32、熱放射と
反射光成分実効値の和信号37及び照射光信号27が入
力され、反射光信号32と照射光信号27から反射率を
求め、反射光信号32と熱放射と反射光成分実効値の和
信号37の関係から熱放射強度を求め、被測定物表面1
2の放射率と温度を得る。
【0053】以下に本装置を用いて、照射光と法線との
なす角度αを1°以下、狭帯域フィルター19の中心波
長を1.4μm、被測定物表面12と1次元CCD21
との距離を30mmとし、上記実施例に用いた鋼板
(1)、(2)を被測定物として測定を行った。反射率
分布を実測あるいは反射率関数(数13)で近似した結
果ならびに角度0〜16°で実測した反射率データを用
いて最小自乗法により数14における定数αおよびβを
求め、次いで数15によりさらに広角度まで推定した半
球反射率ρ(2π) は、それぞれ上記実施例と略同一であ
った。本実施例に係る方法によって拡散反射性の被測定
物に対する放射率が極めて簡単に精度よく求められるこ
とが分かる。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る放射率
と表面温度の同時測定方法にあっては、反射光量あるい
は放射光量の1次元的分布の測定に基づき行われるの
で、反射率もしくは放射率ならびに表面温度が同時に簡
単に求められる。また限定された角度範囲の1次元的分
布データから計算によりさらに広範囲の反射率分布が推
定されるので、鏡面反射性の被測定物はもとより従来の
方法では不正確な値しか求めることができなかった拡散
反射性の大きい被測定物に対する放射率および表面温度
をより正確に求めることができる。
【0055】また本発明に係る放射率と表面温度の同時
測定装置にあっては、演算器等の自動計算システムも組
み込まれているので、高速で移動する被測定物および放
射率が刻々と変動する被測定物の放射率と表面温度の同
時自動測定を達成することができる。また本発明に係る
放射率と表面温度の同時測定装置にあっては、平行光束
を形成する非球面レンズの小径化が可能であり、照射光
装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の実施例を示す模式的ブロッ
ク構成図である。
【図2】入射光と反射光との角度の関係を示す斜視図で
ある。
【図3】本発明に係る反射角度と反射光量との関係を示
す合成グラフである。
【図4】(a)(b)は本発明に係る光検出器の部位別
光量を示すグラフである。
【図5】実施例に係る反射角度別反射率の推定値および
実測結果を示すグラフである。
【図6】実施例に係る温度測定結果と熱伝対による温度
測定結果との比較および放射率を示すグラフである。
【図7】本発明に係る装置の別の実施例を示す模式的ブ
ロック構成図である。
【図8】従来例1を示す模式的断面図である。
【図9】従来例2を示す模式的断面図である。
【図10】(a)(b)は従来例3を示す模式的断面図
および平面図である。
【図11】従来例4を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
11 被測定物 12 被測定物表面 13 発光源 14 非球面レンズ 15 基準周波数発振器 16 チョッパー 17 ハーフミラー 18 光検出器 19 狭帯域フィルター 20 集光レンズ 21 1次元CCD 22 増幅器 23 サンプリングアンドホールド回路 24 演算器 25、26、27 信号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の強度を有する平行光束を被測定物
    の表面に対して所定角度傾けた照射方向から照射すると
    ともに、前記被測定物表面に対する法線と前記照射方向
    とを含む平面内で前記法線に対して前記照射方向と線対
    称な方向でかつ前記被測定物表面から所定の距離におい
    て前記被測定物表面からの反射光量および熱放射光量の
    1次元的な分布を測定し、前記反射光量分布から前記被
    測定物表面の反射率を求め、該反射率と放射率との間の
    関係から前記被測定物表面の放射率を算出し、該放射率
    と前記熱放射光量とから被測定物表面の温度を求めるこ
    とを特徴とする放射率と表面温度の同時測定方法。
  2. 【請求項2】 所定の強度を有する平行光束を被測定物
    表面の法線に対して所定の角度を有する照射方向から前
    記被測定物表面に対して照射するとともに、前記法線と
    前記照射方向とを含む平面内で前記法線に対して前記照
    射方向と線対称な方向で、かつ前記被測定物表面から所
    定の距離において前記被測定物表面からの反射光量およ
    び熱放射光量の1次元的な分布を測定して第1の光強度
    分布を得、次に前記平行光束の照射を行うことなく前記
    被測定物表面からの光量の1次元的な分布を測定して第
    2の光強度分布を得、これら第1と第2の光強度分布の
    差から前記反射光量分布を求め、第2の光強度分布から
    前記熱放射光量を求める請求項1記載の放射率と表面温
    度の同時測定方法。
  3. 【請求項3】 所定の強度を有する強度変調光の平行光
    束を被測定物表面の法線に対して所定の角度を有する照
    射方向から前記被測定物表面に対して照射するととも
    に、前記法線と前記照射方向とを含む平面内で前記法線
    に対して前記照射方向と線対称な方向で、かつ前記被測
    定物表面から所定の距離において前記被測定物表面から
    の反射光量および熱放射光量の1次元的な分布を測定
    し、該測定から前記強度変調光成分を抽出することによ
    って反射光量を得、前記被測定物表面からの光量の1次
    元的な分布から前記強度変調光成分を除去することで前
    記熱放射光量を得る請求項1記載の放射率と表面温度の
    同時測定方法。
  4. 【請求項4】 所定強度の光を発生する発光源と、該発
    光源からの光を平行光束に変換して被測定物表面に対す
    る法線から所定の角度で前記被測定物表面に照射するた
    めの光学系と、前記被測定物表面からの反射光と熱放射
    光とを受光する1次元光検出器と、前記発光源の光を前
    記1次元光検出器に導く光学系とを備えていることを特
    徴とする放射率と表面温度の同時測定装置。
JP4016662A 1992-01-31 1992-01-31 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置 Pending JPH05209792A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4016662A JPH05209792A (ja) 1992-01-31 1992-01-31 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4016662A JPH05209792A (ja) 1992-01-31 1992-01-31 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05209792A true JPH05209792A (ja) 1993-08-20

Family

ID=11922546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4016662A Pending JPH05209792A (ja) 1992-01-31 1992-01-31 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05209792A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002286550A (ja) * 2001-03-23 2002-10-03 Hioki Ee Corp 放射温度計
JP2018179973A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 Jfeスチール株式会社 放射温度測定装置及び放射温度測定方法
JP2020034430A (ja) * 2018-08-30 2020-03-05 株式会社チノー 温度測定方法及び温度測定装置
WO2022091541A1 (ja) 2020-10-27 2022-05-05 Jfeスチール株式会社 表面温度計測方法、表面温度計測装置、亜鉛系溶融めっき鋼板の製造方法、及び亜鉛系溶融めっき鋼板の製造設備

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002286550A (ja) * 2001-03-23 2002-10-03 Hioki Ee Corp 放射温度計
JP2018179973A (ja) * 2017-04-14 2018-11-15 Jfeスチール株式会社 放射温度測定装置及び放射温度測定方法
JP2020034430A (ja) * 2018-08-30 2020-03-05 株式会社チノー 温度測定方法及び温度測定装置
WO2022091541A1 (ja) 2020-10-27 2022-05-05 Jfeスチール株式会社 表面温度計測方法、表面温度計測装置、亜鉛系溶融めっき鋼板の製造方法、及び亜鉛系溶融めっき鋼板の製造設備
JPWO2022091541A1 (ja) * 2020-10-27 2022-05-05
KR20230073318A (ko) 2020-10-27 2023-05-25 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 표면 온도 계측 방법, 표면 온도 계측 장치, 아연계 용융 도금 강판의 제조 방법 및, 아연계 용융 도금 강판의 제조 설비

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5326173A (en) Apparatus and method for remote temperature measurement
US5154512A (en) Non-contact techniques for measuring temperature or radiation-heated objects
US4615620A (en) Apparatus for measuring the depth of fine engraved patterns
US5029117A (en) Method and apparatus for active pyrometry
JP2020034430A (ja) 温度測定方法及び温度測定装置
GB1573658A (en) Pyrometric temperature measurement
EP0708318A1 (en) Radiance measurement by angular filtering for use in temperature determination of radiant object
JPH05209792A (ja) 放射率と表面温度の同時測定方法および該方法に使用する装置
JPS6186621A (ja) 放射率と温度の同時測定方法及びその装置
JP2004020337A (ja) 温度測定装置
JPH04130746A (ja) ウエハ温度測定用の放射温度計およびウエハ温度測定方法
US7742171B2 (en) Reflectivity/emissivity measurement probe insensitive to variations in probe-to-target distance
JP3259815B2 (ja) 物体の放射率及び温度の測定方法及び装置、並びに棒状放射源
JP2013092502A (ja) 温度測定装置及び放射率測定装置
JP3570488B2 (ja) レーザビーム使用亜鉛メッキ鋼板合金化度測定方法
JPS5979122A (ja) レ−ザパワ−測定装置
JPH06102189A (ja) 異物検査装置
JP3296171B2 (ja) 物体の温度測定方法及び装置
JPS61107104A (ja) 微細パタ−ン深さ測定方法及びその装置
CN116379974B (zh) 一种多波长光源检测光学元件表面特性装置及方法
KR100205532B1 (ko) 분체의 수분 측정장치
JPH01245125A (ja) 放射率と温度の同時測定方法及びその装置
JPH06281418A (ja) 凹凸を有する板状透明体の光学的厚さ測定方法
JP3291781B2 (ja) 鋼板の温度測定方法及び装置
JPH0821849A (ja) レーザドップラ方式による高熱体の測定方法