JP3295871B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents

圧電磁器組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用の圧電アクチ
ュエータ等の圧電素子に利用することができる圧電磁器
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子に用いられる圧電磁器組成物と
して、PZT系酸化物よりなるセラミックス(PbTi
3 −PbZrO3 系固溶体)が知られている。このP
ZT系セラミックスは優れた圧電特性を示し、電気機械
変換素子として、圧電アクチュエータ、圧電着火素子、
圧電ブザー、フィルタなど広く用いられている。
【0003】このPZT系セラミックスを自動車用油圧
切替弁等の圧電アクチュエータとして利用する場合、高
圧縮応力下での電界誘起歪量(変位性能)が大きく、ま
た、広い温度範囲で安定した電界誘起歪量(温度安定
性)を有することが必要となる。このとき、電界誘起歪
量の温度変化は誘電率の温度変化とほぼ対応することは
すでに確認されており、誘電率の温度変化の大きさが歪
量の温度安定性の目安となる。そして、高温でもエネル
ギー変換効率が高いことも必要となる。エネルギー変換
効率に関しては径方向電気機械結合係数(Kp)がその
目安となる。
【0004】具体的には、常温で20MPaの圧縮応
力が作用し、かつ−0.4〜+1.2kV/mm電界が
印加された下で、電界誘起歪量が0.070%以上であ
ること、自動車用部品に求められる使用温度範囲(−
30〜150℃)における誘電率の温度変化率(以下、
ε温度変化と称する)が150%以下であること、1
50℃で径方向電気機械結合係数(Kp)が55%以上
であること、の3条件を満たす必要がある。
【0005】こうした圧電特性は、圧電セラミックスを
構成する金属元素の種類とその組成により大きく変動す
ることがわかってきている。例えば、特開昭64−14
172号公報には、PZTの一部をLaおよびPMN
(Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O 3 )とで置換した圧電磁
器組成物が開示されている。これは変位性能に優れるも
のの温度安定性が不十分という不具合がある。また、特
開平5−845号公報には、PZTの結晶の一部をL
a、およびNbで置換した圧電磁器組成物が開示されて
いる。しかし、これは変位性能が不十分という不具合が
ある。また、特開平7−277820号公報には、PZ
Tの結晶の一部をPMNおよびNbで置換した圧電磁器
組成物が開示されているが、これも変位性能が不十分と
いう不具合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、高圧縮応力下での変位性能が
良好で、温度安定性にも優れ、かつ高温でもエネルギー
変換効率が高い圧電磁器組成物を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、PZTの結
晶の一部をLaおよびNbで置換したLa・Nb置換系
PZTに対して、さらにPMNを適当量置換した結果、
前記課題を解決する圧電磁器組成物を発見し、本発明に
至ったものである。即ち、本発明の圧電磁器組成物は、
一般式:(Pb1-(3X/2)-(U/2)LaX )((ZrY Ti
1-Y 1-Z-U (Mg1/3 Nb2/3 Z NbU )O3 (但
し、0<X<2/3、0<U<1)で示される圧電磁器
組成物であり、式中のY、Zの値が、0.02≦Z≦
0.10、0.53−(Z/3)≦Y≦0.56−(Z
/3)、であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の圧電磁器組成物は、PZ
Tのペロブスカイト型構造(ABO3 )のAサイトの一
部がLaで置換され、かつBサイトの一部がNbとPM
Nとで置換されたPZT系酸化物である。La、Nb、
PMNはいずれもPZTの変位性能を向上させる効果を
持つ置換種である。その効果の起源等、詳細なメカニズ
ムは現段階では明らかでないが、PZTの特性に及ぼす
効果が若干異なる。
【0009】La、Nbはいずれもドナー(サイト本来
の価数よりも高価数のイオン)であるが、Laは変位性
能の向上効果が大きい反面、温度安定性を悪化させる。
また、Nbは他の2置換種よりも変位性能の向上効果は
小さいが、温度安定性の向上効果が大きい。従って、L
aの置換のみでは温度安定性が不十分であり、Nbの置
換のみでは変位性能が不十分である。
【0010】そこで、温度安定性の向上効果および変位
性能の向上効果を得るためには、La、Nbの両方で置
換する必要がある。しかし、La、Nbの置換のみでは
第2相析出の問題から置換量は限定され、十分な歪量が
得られない。そこで、本発明では、PMNを更に置換す
ることにより、歪量を向上させることが明らかとなっ
た。更に、PMNの置換量を適当な量とすることによ
り、各々の置換種のメリットを損なうことなく、デメリ
ットを補い合い、歪量、特性の安定性、高温でのエネル
ギー変換効率の3特性を向上させることが可能となった
のである。
【0011】PMNは、その置換量(Z)が0.02≦
Z≦0.10の範囲内とする。このとき、0.02より
も小さいと変位性能の向上効果が小さくなってしまい、
Zが0.10よりも大きいと高温でのKp低下が大きく
なってしまう。このとき、PMNの置換量を0.02≦
Z≦0.08の範囲内とすることにより、ε温度変化が
100%以下、150℃でのKpが60%以上となり、
温度安定性、エネルギー変換効率の点で更に望ましい。
【0012】また、PZTの圧電特性はYの値で示され
るZr/Ti比に強く依存する。このため、Yの値も圧
電磁器組成物の圧電特性を決定する重要な因子である。
La、Nb置換系PZTにPMNを置換すると結晶構造
が若干変化し、Zが0.03のPMN置換は、Yの0.
01減少にほぼ対応した結晶構造変化を引き起こす。こ
のため最適なYを決定するためには−(Z/3)の因子
を考慮する必要がある。このとき、Yが0.53−(Z
/3)≦Y≦0.56−(Z/3)を満たすとき、変位
性能および温度安定性の両特性が十分に得られ望まし
い。なお、Yが0.53−(Z/3)よりも小さいと変
位性能が不十分となり、0.56−(Z/3)よりも大
きいと温度安定性が悪くなってしまう。
【0013】Laの置換量(X)は0.02以上で、N
b置換量(U)は0.02以上で特に効果が大きく望ま
しい。なお、La、Nb置換量の和が0.06を超える
と、ドナー置換によって発生する陽イオン欠陥量が臨界
値を超え、第2相(パイロクロア相)が析出する。この
第2相は分域壁の動きを拘束し、電界誘起歪量を低下さ
せる。従って、Laの置換量およびNbの置換量は、X
+U≦0.06を満たすのが望ましい。
【0014】また、Mnを少量添加すると、変位性能お
よび温度安定性を維持しつつ、誘電損失が低下する。誘
電損失はアクチュエータ駆動時の発熱の原因となるた
め、低い方が望ましく、従ってMnの少量添加はアクチ
ュエータ用途に対して有効である。しかし、添加量が
0.5mol%を超えると変位性能の低下が大きくなっ
てしまうため、Mnの添加量は0.5mol%以下が望
ましい。なお、0.5mol%のMn添加は約0.13
7重量%のMnO2 の添加に相当する。
【0015】本発明の圧電磁器組成物の作製方法は特に
限定されないが、通常のセラミックス製造プロセスで作
製できる。すなわち、圧電磁器組成物の原料となるPb
O、La2 3 、ZrO2 、TiO2 、Nb2 5 、M
gO、MnO2 等の高純度の原料粉末を秤量し、これら
を混合して混合粉末を調製する。そして、混合粉末をプ
レス成形等の方法で圧電磁器の形状に成形した後、成形
体を焼成すればよい。
【0016】成形体の焼成においては、組成変動を抑制
するために圧電磁器組成物と同組成のパッド材に成形体
を完全に埋め込んだ状態で焼成することが望ましい。こ
れにより、焼成によるPb等の蒸発を抑制することがで
き、組成変動を抑制することができる。このとき、焼成
する成形体の組成がパッド材と異なると両者間の物質移
動が起こる可能性があり、仕込組成通りの焼結体を得に
くい。
【0017】また、焼成温度は1000〜1300℃と
することが望ましい。焼成温度が1000℃より低いと
緻密な焼結体を得にくく、1300℃より高いとPb蒸
発が激しくなり、組成変動し易くなるためである。さら
に、成形体の焼成は酸素気流中あるいは酸素雰囲気中で
1000〜1300℃で行うことが望ましく、この焼成
により変位性能に優れた圧電磁器組成物が得られる。こ
れは、緻密化促進によって気孔が低減し、また酸素欠陥
量の減少によって分域壁が動き易くなるためと考えられ
る。また、このとき炉内を一旦真空にしてから酸素を導
入して焼成を行うことにより、さらに変位性能に優れた
圧電磁器組成物が得られ望ましい。
【0018】
【作用】本発明の圧電磁器組成物は、PZTの結晶の一
部をLaおよびNbで置換したLa・Nb置換系PZT
に対してさらにPMNを適当量置換したものである。L
a、Nb、PMNはいずれもPZTの電界誘起歪量を向
上させる効果を持つ置換種であるが、その挙動は若干異
なる。Laは歪量向上効果が大きいが、温度安定性を悪
化させる。Nbは他の2置換種よりも歪量向上効果は小
さいが、温度安定性向上効果を持つ。PMNは歪量向上
効果が大きいが、置換量が多すぎると高温でのKp低下
が大きい。
【0019】しかしながら、La、Nbの置換のみでは
第2相析出の問題から置換量は限定され、十分な歪量が
得られない。La、PMNの置換のみでは歪量は大きく
なるが、温度安定性の点で十分な特性が得られない。N
b、PMNの置換のみでは、PMNの置換量が少ないと
十分な歪量が得られず、逆に十分な歪量を得るためにP
MN置換量を多くすると高温でのKp低下が著しくな
る。
【0020】そのため、本発明では、PZTにLa、N
bを置換し、さらにPMNをバランスよく置換すること
により、各々の置換種のメリットを損なうことなく、デ
メリットを補い合い、歪量、特性の安定性、高温でのエ
ネルギー変換効率の相反する3特性を満たすことが可能
となったのである。従って、常温で20MPaの圧縮応
力が作用し、かつ−0.4〜+1.2kV/mm電界が
印加された下で、電界誘起歪量が0.070%以上であ
り、また、−30〜150℃におけるε温度変化が15
0%以下であり、さらに、150℃で径方向電気機械結
合係数(Kp)が55%以上となる。
【0021】また、La、Nbが置換され、更にPMN
が適当量置換されたPZTにMnを少量添加すると、結
晶構造、および電界誘起歪量、温度安定性がMnが添加
されていない圧電磁器組成物と同程度維持されつつ、誘
電損失が少なくなる。
【0022】
【実施例】以下、試験例により本発明を具体的に説明す
る。 (試験例1)この試験例1では表1に示す試料1〜試料
7の7種類の圧電磁器組成物を調製し、その特性を調べ
た。なお、表1の試料番号の欄にある「実施」の表示は
その試料が実施例であることを示し、また、「比較」の
表示はその試料が比較例であることを示している。(以
下の試験例において使用する表についても同様の表示方
法を用いている。) 原料粉末として、PbO、La2 3 、ZrO2 、Ti
2 、Nb2 5 、MgOの酸化物粉末を準備した。そ
して、組成式:(Pb1-(3X/2)-(U/2)LaX )((Zr
Y Ti1-Y 1-Z-U (Mg1/3 Nb2/3 Z NbU )O
3 において、U=0.03、X=0.03と一定にし、
Zを0.00、0.02、0.04、0.06、0.0
8、0.10、0.12と変化させ、YをZに応じて
0.540、0.533、0.527、0.520、
0.513、0.507、0.500と変化させて原料
粉末を所定量ずつ秤量し、十分に乾式混合して7種類の
混合粉末を調製した。
【0023】これらの混合粉末をMgOサヤを用いて7
00〜900℃、1〜10時間の条件で仮焼し、ボール
ミル(ZrO2 ボール、媒体エタノール)で8〜72時
間湿式粉砕してスラリーを得た。このスラリーを乾燥し
て解砕し、一軸プレス(39MPa)で予備成形した
後、294MPaの圧力でCIP成形し、直径約15m
m、厚さ約2mmの円板形状のペレットを作製した。ペ
レットを同一組成のパッド材に埋め込み、アルミナ製サ
ヤを用いて大気中において1000〜1300℃の条件
で、2〜4時間焼成しペレット状の圧電磁器組成物を得
た。
【0024】これらの焼成ペレットの両面を研磨した
後、両面にイオンコータでAu電極を施し、80〜15
0℃の絶縁油中で分極処理(1〜5kV/mmの電界を
5〜60分印加)して測定用試料とした。得られた測定
用試料について、高圧縮応力下でペレット単体の変位量
(1μm以下)を精度良く測定できる微小変位測定装置
を用いて電界誘起歪量を測定した。測定条件は常温、大
気中、圧縮応力20MPaとし、−0.4〜+1.2k
V/mmの電界を印加した際の歪量(%)を測定した。
【0025】また、ベクトルインピーダンスアナライザ
(HP 4194A)と恒温恒湿槽(タバイエスペック
PL−1F)とを組み合わせたシステムを用い、−3
0〜150℃における各測定用試料の誘電率(εT 33
を測定した。そして、測定された誘電率より、次式に従
ってε温度変化(%)を計算した。 (但し、εmax は−30〜150℃でのεT 33の最大
値、εmin は−30〜150℃でのεT 33の最小値。) また、このシステムを用い、150℃における径方向電
気機械結合係数(Kp(%))を測定した。表1に、得
られた試料のX、Y、Z、Uの値、および歪量、ε温度
変化、150℃のKpの測定結果を示す。また、図1
に、PMN置換量(Z)に対する、歪量(上のグラ
フ)、ε温度変化(中のグラフ)、および150℃での
Kp(下のグラフ)の変化を表すグラフを示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1および図1より、Zが0.02〜0.
10の範囲内にある試料2〜試料6では、歪量が0.0
70%以上であり、ε温度変化が150%以下であり、
かつ、150℃でのKpが55%以上であることがわか
る。特に、Zが0.02≦Z≦0.08の範囲内にある
試料2〜試料5では、ε温度変化が100%以下、15
0℃でのKpが60%以上であることがわかる。一方、
Zが0とPMNで置換しなかった試料1では、歪量が小
さく、また、Zが0.10より大きい試料7では、15
0℃でのKpが低いことがわかる。
【0028】これらの結果から、PMNの置換量(Z)
が0.02〜0.10の範囲内にある圧電磁器組成物は
優れた特性を有することがわかる。特に、Zが0.02
≦Z≦0.08の範囲内にある圧電磁器組成物はきわめ
て特性に優れる。 (試験例2)この試験例2ではZr/Ti比が異なる圧
電磁器組成物を得るため、表2に示す試料8〜試料17
の10種類の圧電磁器組成物を調製し、その特性を調べ
た。このとき、組成式:(Pb1-(3X/2)-(U/2)LaX
((ZrY Ti1-Y 1-Z-U(Mg1/3 Nb2/3 Z
U )O3 において、Z=0.04で一定として、Yを
0.507、0.517、0.537、0.547、
0.557と変化させ、また、Z=0.06で一定とし
て、Yを0.500、0.510、0.530、0.5
40、0.550と変化させて原料粉末を所定量ずつ秤
量し、10種類の混合粉末を得る以外は、試験例1と同
様にして試料8〜試料17の10種類の測定用試料を得
た。表2に、得られた試料8〜試料17のX、Y、Z、
Uの値、および歪量、ε温度変化、150℃でのKpの
測定結果を示す。なお、0.53−(Z/3)≦Y≦
0.56−(Z/3)となるのは、Z=0.04の場合
では0.517≦Y≦0.547の条件のときで、ま
た、Z=0.06の場合では0.510≦Y≦0.54
0の条件のときである。
【0029】
【表2】
【0030】表2より、Yが0.53−Z/3≦Y≦
0.56−Z/3にある試料10〜試料15では、歪量
が0.070%以上であり、ε温度変化が150%以下
であり、かつ、150℃でのKpが55%以上であるこ
とがわかる。一方、Yが0.53−Z/3より小さい値
をとる試料8および試料9では、ε温度変化が80%程
度と小さく、優れた温度安定性を有するものの、ともに
歪量が0.064%と低いことがわかる。また、Zが
0.56−Z/3より大きい値をとる試料16および試
料17では、歪量がともに0.082%と高いものの、
ε温度変化が180%を超え温度安定性に劣ることがわ
かる。
【0031】これらの結果から、Yが0.53−Z/3
≦Y≦0.56−Z/3を満たす圧電磁器組成物は優れ
た特性を有することがわかる。 (試験例3)この試験例3ではLa、Nbの置換量が異
なる圧電磁器組成物を得るため、表3に示す試料18〜
試料25の8種類の圧電磁器組成物を調製し、その特性
を調べた。このとき、組成式:(Pb1-(3X/2)-(U/2)
X )((ZrY Ti1-Y 1-Z-U (Mg1/3
2/3 Z NbU )O3 において、Y=0.520、Z
=0.06、U=0.03で一定として、Xを0.0
0、0.01、0.02、0.04と変化させて原料粉
末を所定量ずつ秤量し、4種類の混合粉末を得ること
と、X=0.03、Y=0.520、Z=0.06で一
定として、Uを0.00、0.01、0.02、0.0
4と変化させて原料粉末を所定量ずつ秤量し、4種類の
混合粉末を得る以外は、試験例1と同様にして試料18
〜試料25の10種類の測定用試料を得た。表3に、得
られた試料18〜試料25のX、Y、Z、Uの値、およ
び歪量、ε温度変化、150℃でのKpの測定結果を示
す。
【0032】
【表3】
【0033】表3より、La、Nbの片方しか含まない
もの(試料18、22)では、歪量が小さいか、あるい
はε温度変化が大きいのに対して、La、Nbの両方含
むもの(試料19、20、21、23、24、25)で
は、歪量が大きく、かつε温度変化も低いことから、特
性に優れていることがわかる。特に、0.02≦X≦
0.04、0.02≦U≦0.04(但し、X+U≦
0.06)(試料20、24)では、歪量が0.074
%以上であり、かつ、150℃でのKpが60%以上で
あることから、特性に優れていることがわかる。
【0034】(試験例4)Mnを添加した圧電磁器組成
物を得るため、MnO2 の酸化物粉末を準備し、Mnを
0.25mol%、0.5mol%と2種類変化させて
添加する以外は試験例1の試料4と同様にして試料26
および試料27の2種類の測定用試料を得た。表4に、
得られた試料26および試料27の、歪量、ε温度変
化、150℃でのKp、及び、誘電損失の測定結果を示
す。また、試料4についても比較用として併せて示す。
【0035】
【表4】
【0036】表4より、0.5mol%以下のMnを添
加した試料26および試料27では、試料4と比較する
と、歪量、ε温度変化、150℃でのKpはあまり変化
せず、誘電損失が大きく低下していることがわかる。こ
れらの結果から、0.5mol%以下のMnを添加した
圧電磁器組成物は優れた特性を有することがわかる。
【0037】(試験例5)酸素雰囲気下において焼成す
る以外は試験例1の試料4と同様にして試料28の測定
用試料を得た。表4に、得られた試料28の歪量、ε温
度変化、150℃でのKpを併せて示す。表4より酸素
雰囲気で焼成して作製された実施例28では、大気中に
おいて焼成して得られた実施例4と比較すると、ε温度
変化が若干低下し、かつ、歪量および150℃でのKp
が増加していることがわかる。
【0038】この結果から、酸素雰囲気下において焼成
して作製された圧電磁器組成物は優れた特性を有するこ
とがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明の圧電磁器組成物は、高圧縮応力
下での変位性能が良好で、温度安定性にも優れ、かつ高
温でもエネルギー変換効率が高いので圧電特性に優れ、
自動車用アクチュエータ等に用いられる圧電素子とし
て、好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本試験例1で調製された圧電磁器
組成物のX=0.03、U=0.03の際のPMNの置
換量(Z)による電界誘起歪量、ε温度変化、150℃
でのKpの変化をそれぞれ示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 神谷 信雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−14172(JP,A) 特開 平8−198672(JP,A) 特開 平3−266480(JP,A) 特開 平7−277820(JP,A) 特開 平7−69724(JP,A) 特開 平5−845(JP,A) 特開 平2−82587(JP,A) 特開 平4−130682(JP,A) 特開 平6−291383(JP,A) 特公 昭45−8145(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式: (Pb1-(3X/2)-(U/2)LaX )((ZrY Ti1-Y
    1-Z-U (Mg1/3 Nb2/ 3 Z NbU )O3 (但し、0<X<2/3、0<U<1)で示される圧電
    磁器組成物であり、 式中のY、Zの値が、 0.02≦Z≦0.10、 0.53−(Z/3)≦Y≦0.56−(Z/3) であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 【請求項2】上記式中のX、Uの値が、 0.02≦X≦0.04、 0.02≦U≦0.04、 (但し、X+U≦0.06)、 である請求項1記載の圧電磁器組成物。
  3. 【請求項3】0.5モル%以下のMnが添加された請求
    項1記載の圧電磁器組成物。
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